“2CV AZ”の魔窟 其の1


 Hさんとは、クルマで25分ほどの距離。無理言つてお願ひしてガレージを見せていただきました。

 彼の2CVは1955年製で、自動遠心クラッチが附いているという、日本でも貴重なもの。空冷水平對向2氣筒12馬力という非常に非力なものだが、大人2名の乘車では平地ならシュルシュルと輕快に走つてくれる。過去3囘ほど當無禮ログで記事にさせていただいております。前所有者は、英國シトロエンの社員さんださうです。




 空冷エンジンは眞冬のオーバークールを防ぐためにグリルにカバーをつけます。オーバーライダーから伸びてゐるウィンカーは日本の道交法を滿たすための後附け。



 トランクまでキャンバストップで覆はれてゐるのが特徴。後にユーザーの要望で、普通のトランクと成りました。





 メーターは左隅にあるスピードメーター(ケーブルの廻轉を利用してワイパーを驅動する)と正面の電流計(オルタネーターは無い)。燃料系は無い。鍵なしの燃料キャップを開けて中のメジャーを引つ張つて目測する。意外に正確な殘量を示すさうです。




 タイア・サイズは125の15インチと云ふ特殊なもの。ミシュランXは2CVのために生産が續けられてゐます。3穴の鐵ホイールも、勿論ミシュラン製。此のホイールがホース・リールとしてガレージ横に据ゑ附けられてゐます。