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大怪獣まんだら このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2016-08-18

Godzilla, my old friend.

| 01:06 | Godzilla, my old friend.を含むブックマーク Godzilla, my old friend.のブックマークコメント

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いよいよ大ヒット確定となった『シン・ゴジラ』。オタク界隈では、市川実日子が演ずるところの尾頭ヒロミ(環境省自然環境なんちゃら見習い代理補佐)が大人気だ。

特にパロディ漫画家田中圭一が、いろんな巨匠のタッチで描いた尾頭さんの絵をアップしてからだろうか。ツイッターで○○風の尾頭さんをよく見かけるようになったので、俺様ちゃんも追随してみた。永井豪タッチの尾頭さん……とカヨコ・アン・パターソン。もっとも永井タッチは、さっきの“いろんな巨匠”の中に含まれてたんだけど、根っからの豪ちゃんファンからすると若干の違和感が残るシロモノだった。無表情な尾頭さんを描くならば、女蛮子じゃなくて飛鳥了ベースでしょうと。まあ、あれは本宮タッチと松本タッチというオチのためのフリみたいなもんだから、それらしく見えれば何でもよかったんだろうけども。というかそもそも俺様ちゃんは、まったく気に入ってない尾頭さんの絵を何回描き直してるんだ!

そう、あんまり好きじゃないんですよ尾頭さん。ネット上の感想を眺めていると、石原さとみの演技ばかり槍玉に挙げられている印象だけど、市川実日子や高橋一生、余貴美子のセリフ回しも、全体を貫く様式的な芝居のトーンから浮いていて、自分はどうにもこうにも集中力が削がれて仕方がなかった。ただし、嶋田久作の「酷すぎます!」のみ、その立派すぎるアゴと平将門の怨霊に免じて赦します。赦します! !


で、『シン・ゴジラ』である。既にいろんなところで書いたり喋ったりしてるので、それらとあまり被らない方向で所感を述べたり、宇宙を旅して目についた感想に対する感想というか、いちゃもんをつけたりしていこうと思いまーす。我ながら心の狭い話だけど、諸君だってそういうことを言いたくなる日はあるだろ! ……ない? 聖人? 聖人だわ!


えー、まずざっくりとした感想を提示しておくと、前にも書いたとおり概ね満足。『シン・ゴジラ』の成功要因は、やはり予算規模や監督陣の資質に見合ったシチュエーション設定にあったと思う。“日本政府視点の災害シミュレーション映画”なるアプローチには、『ゴジラ('84)』の雪辱戦という意味合いも含まれているだろうが、何よりも最大の見せ場となるはずのゴジラによる大破壊シーンを最小限に留め、ごく当たり前の人間たちの営みや心の機微まで描かずに済むメリットのほうが大きい。

アナログ・デジタルを問わず、闇は百難を隠す。『パシフィック・リム』や『GODZILLA ゴジラ』、『クローバーフィールド/HAKAISHA』も、怪獣の大暴れは専らナイトシーンだった。だが今回のゴジラは、3.11をモチーフとしている以上、その出現と破壊は真っ昼間でなくてはならない。同じく東京大空襲をモチーフとした初代ゴジラが、夜の東京を襲ったように。で、そうなると物量とクオリティの両立は難しくなってくる。実際のところは、クオリティ面においても目を瞑らざるを得ないカットも少なからず存在したが、最終決戦周りのVFXの完成度は目を見張るものがあった。少なくとも自分の観測範囲内においては、今回のゴジラはCGだからダメという批判は見当たらない。

また、ありがちな家族の絆や男女の恋愛などを削ぎ落としたストイックなストーリー展開を評価する声もある。邦画らしからぬ邦画に仕上がっていると。しかし、どれだけの人間が邦画の実情を理解しているのだろうか。自分も洋画ばかり好んで観るクチだが、近年の邦画がどんどん底上げされてきていることは有名な話だ。特に2016年は豊作といわれており、『シン・ゴジラ』だけが突出しているとは言いがたい。もちろん、恋愛要素が盛り込まれた怪獣映画の名作だって存在する。すべての始祖たる『ゴジラ('54)』も、芹沢博士と山根恵美子のロマンスなくしては成立しない映画だ。庵野秀明樋口真嗣に、ローランド・エメリッヒのように短いスパンで人間関係エモーショナル演出する才があったならば、そういった方向性もあり得たかもしれない。いずれにせよ自分たちの得意分野で勝負したことが、きちんと結果に出ている。重要なのはそこだ。


邦画といえば、岡本喜八の『日本のいちばん長い日』との類似性を指摘する向きもあるが、こちらにも異議を唱えたい。もちろん、庵野秀明の作家性に喜八映画が大きく影響していることは間違いないし、あるいは今回も強く意識していた可能性は大いにある。ただ、『シン・ゴジラ』と『日本のいちばん長い日』における会議シーンは、画作りからテンポからまったく違う。『日本のいちばん長い日』には、あんな早口のやり取りも存在しない。最大級の褒め言葉というよりも、贔屓の引き倒しがすぎるのではないか。まあ、今回のゴジラ誕生に大きく関わっているらしい牧悟郎教授役として、岡本喜八が写真出演していることも、こうした言説を生む要因になっていると思われるが、そもそも牧教授の行動と作品から窺い知れる岡本喜八の思想にも大きなズレを感じるのだ。

おそらく庵野秀明にとって、自分の作品を構成するピースのひとつとして、敬愛する映画監督の肖像を組み込んでみたかったという以上の裏の意味はない。それは他のオマージュ、引用にしても同じことで、ただただ好きだから入れたに過ぎないのだろう。だから、唐突に何の関係もない「宇宙大戦争マーチ」が流れたりする。そういえば第3形態が初ゴジ、第4形態がキンゴジ(……に聴こえたが、モスゴジ以降の標準的な昭和ゴジラかもしれない)、最後の最後で84ゴジの鳴き声で吠えていたが、こんなふうに意味らしい意味が込められていたのはSEぐらいだ。そこがどうしても自分の肌には合わなかった。「あっ、あの曲だ」「このアングルは……」と思った瞬間、現実に引き戻されてしまう。もう少し必然性があれば、また違ったかと思うんだが、エンドロールでダメ押しとばかりに「怪獣大戦争マーチ」、とどめに『ゴジラVSメカゴジラ』のメインテーマまで流されたら、もう全部どうでもよくなってきて笑ってしまった。根負けだ、根負け。そのあまりの無意味さ、無邪気さに叩きのめされた。赦します。庵野秀明のすべてを赦します。『シン・ゴジラ』のすべてを赦します。ついでにサンドマンも赦します。赦します!!


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怪獣チャンネル#022「シン・ゴジラ」

ナチュラルボーン怪獣野郎2人組による、極めて役に立たない『シン・ゴジラ』トーク。10分間の無料版もあるけど、いずれにせよ胡散臭いので胡散臭いです。


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オタク大賞マンスリー Vol.50 「この夏見るべき最強の怪獣映画!ネタバレ上等『ガメラ』を語る」

『大怪獣ガメラ』は無人の列車に石油を積んでぶつけるから実質『シン・ゴジラ』、『ガメラ対バルゴン』は血を流しながら巨大トカゲが上陸するから実質『シン・ゴジラ』、『ガメラ対ギャオス』は官民一体となって怪獣撃滅に挑むので実質『シン・ゴジラ』などと世迷い言を呟いてます。なお、『ガメラ対ジグラ』も藤山浩二がインチキ外国人の役を奮闘しているから実質『シン・ゴジラ』です。