イラク人質事件 記者会見

 昨日,延々としゃべる彼らを見ている気がしなくて,今日のニュースで抜粋を見ただけだけど…

 「信念を持っていったのだから自己責任を言う批判は当らないはずだ」そうな。

 自分が日本人で,日本が民主主義国家で,自分も民主主義の恩恵を受けていると彼らが思っているならば,自ら主張する事の内容は,他人にもすべからく当てはまるということを踏まえて発言しなきゃいけないだろ。だとしたら,「信念が免責の絶対的な要件だ」というのであれば,「イラクは新たな国家に生まれ変わるべし」という信念のもとに戦争を始めたアメリカを責めることだってできなくなる。極端に言えば,信念さえ持っていれば殺人だって許される事になる(オウムなんか典型的なモノじゃないか)。

 まあはっきりいって,こういうツッコミは揚げ足取りといえばそれまでだが,そういう脇の甘さ,自らの脇の甘さを認識していないバカさ加減が批判の的になってるんだよ。もし仮に,「他人にもすべからく妥当する」ということを否定するのであれば,なぜ自分たちだけが妥当するのかということについて,人が納得する根拠がなければならない。が,彼らがそれを提示しているとは読み取れない。「自分たちのやっている事が正しいから」というのが理由だとすれば,結論を以って理由としているようなもんで,もうなんでもありでしょう。アメリカだってそう思ってるんだし*1

 今言われている「自己責任」の中身って結局のところ「自分の身の安全くらいは自分でどうにかなる範囲で,どうにかなるように準備して行動して下さいよ。それ以上のところに行って,他人の行動に制約や負担をかけたりしないように注意してくださいよ,これからは」という程度のモノじゃないか。自己責任だといって見殺しにする態度を取ったわけじゃなし。それすら,認められないとは情けない話だ。「準備していたつもりではありました*2が,足りませんでした。これからは気をつけます」くらいは,腹の中で違う事思っていてもいうもんでしょう*3。というか,それくらいの器量はあって欲しい。

 私は自分が日本人で,日本が民主主義国家で,自分も民主主義の恩恵を受けていると思っているので,彼らが何を言おうと自由だと思う。でも,批判はする。私の意見に対する批判の存在(内容は分からないが)も受け入れるという前提で。

*1:私はアメリカが正しいとも思ってないが,アメリカは日本にとって怒らせるわけにはいかない国であるという現実は見据えた方がいいと思っている。フランスや韓国みたいに日干しにされたら,日本がやっていけなくなるから。次の日干しのターゲットはスペインでしょうね,温厚だといわれているパウエルがあんだけの態度を取ったんだから

*2:どう考えても,準備したと認められるものではないと思うけど,彼らの行動は

*3:訂正 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040430-00000251-jij-soci危機管理の甘さについての言及があったとのこと。私自身の言い方に言い過ぎがあると思うので,ここは訂正します。ただ,危機管理が彼らの考えるところの自己責任には含まれていないように取れるところには,依然として問題があると思います

 イリアス 第二十一歌

  • 「遥かなる国,豊沃のパイオニエ」 なんとなく語感から「パイオニア」を連想する。
  • アレスがアテネを,アルテミスがヘレを挑発するが,モノの見事にやり返される。アレスはあごに石を投げつけられて失神するし,アルテミスはヘレにさんざんぶたれて泣いて逃げ出す(笑) アテネもヘレもなんかスケ番みたいだ(古)

 イリアス 第二十二歌

  • 「この期に及んでなお惚けもせず気も確かなこの不幸なわしを憐れと思ってくれ」はヘクトルの父プリアモスの言。現代でも同じような感覚を持つことがある。私の祖父も死ぬまで惚けなかった。医者がガンを隠していたが,病室に起き忘れたカルテを祖父が勝手に見てしまい,医者の方が気の毒なほど慌てていた。祖父自身は医者ではなかったが医学的な知識は持っていたため(他の医療関係の職についていた)そうやって盗み見たカルテや,点滴の袋に書いてある薬の名前から,死ぬまで正確に自分の病状を把握していたらしい。どうも,慌てる医者を見て面白がっていたきらいがあったが,身体が利かなくなったことや,病状のことは,惚けてしまって理解できなくなっていた方が幸せだったのではないかという疑問は,当時ずっとうちの家族について回った。
  • ヘクトルはやっぱりイリアスの主な登場人物の中で人格者といえるほうではないのかな。自分が判断を誤ったことを素直に認めているし。判断を誤った原因を神にも求めていないし。自分の判断についての責任を取るとはこういうことだろう。
  • なくなった人を弔う催しには戦車レースをやるらしい。どういう意味があるのだろう。
  • アキレウスは勇猛というよりも野蛮というか,やっていることが激しいを通り越してあさましい。いくらもっとも大切な戦友を倒した相手だからって,戦争とはそういうものでしょう。相手にだって同じ状況はヤマほどあるんだから。遺体に侮辱を加えることが目的になってるのはいただけない。
  • 死んだヘクトルの脚の腱に穴をあけて紐で戦車に結び付けて引きずったりしてるが,そんなコトするから自分だって足の腱に受けた傷が致命傷になったりするんじゃないの???←アキレウス

 イリアス 第二十三歌

  • 「神から産まれた名馬アリオン」こんな名前の車なかったっけ。確かトヨタのヤツで,仔猫がCMに出てくるような気がしたが。名馬の名から引っ張ったのだとしても不思議はないかも。
  • 死んだパトロクロスのためにアキレウスが協議会を主催する。種目は戦車レース,ボクシング,相撲(レスリング?),競走,組討(?フェンシング?),砲丸投げ(?),アーチェリー,槍投げ。古代のオリンピックの種目とほぼ一致するのだろうか。
  • 戦車競技の最中にアンティロコスとメネラオスが道の狭いところでデッドヒートを繰り広げるが,若いアンティロコスが互いにぶつかって戦車が壊れそうになるにも関わらず突っ込んでいき,先を行っていたメネラオスが退かざるを得なくなる場面がある。なんだか,一昔前のF1みたいだ。アンティロコスが無謀さを非難されているのが,セナやシューマッハコーナリングで突っ込んでいくのを非難されていたのとそっくりな状況に思える。
  • 勇者としてここまで名前を並べてきたアイアスも,実は性格が悪かったらしい。ギリシア軍は曲者だらけってとこだったのか。
  • 若者から見て一世代上,つまり中年は「青いお年寄り」というらしい。年寄りは引っ込んでてくれ,なんてことをいいたい時にぴったりしそうな表現だ。

 イリアス 第二十四歌

  • もう,アキレウスってサド??ってくらいヘクトルの遺体に酷いことしている。執念深いというか。学生時代に法哲学で「力の強いカラス同士の喧嘩は優劣がつけばすぐに終わる,殺すことはしない。が,弱い鳩同士の喧嘩では恐怖心のせいで,勝った鳩は負けた鳩が死んだあとも屍骸をずっと突つきまわして肉のかたまりになるまでやめない」って聞いたぞ。結局パワーという関係ではアキレウスの方が強かったかもしれないけれど,人間力としてはヘクトルの方が上だったってことを示してるんじゃないかとか勘繰ってしまう。
  • 初めてここで,「パリスの審判」についてちょこっとだけ触れられている。にしても,やっぱりパリスってバカ。
  • ヘルメイアスがヘクトルの遺体を引取りにギリシア陣に向かうプリアモスを先導してやる。最初は名を伏せていたが,アキレウスの部屋の手前で名を明かし,「神が特定の人間をあからさまに贔屓するところを見せるのは賢明ではない」といって,その場で姿を隠す。確かにヘルメイアスは神で人間とは違うが,ほとんどギリシアの神は性格的な欠点を持つなど人間と変わらないところも持っている。だから,神も人間も同列に扱ってしまうが,ヘルメイアスは賢いし,気配りという点でも優れている。だからこそ人助けの神に慣れたのだろうが。パリスやアプロディテに少しでもこの賢さや気配りがあれば,話は全然違っていただろうに…
  • パトロクロスが冥界から舞い戻って,なぜ自分の遺体を火葬してくれないのかとアキレウスに訴える場面があるが,この辺を読むと,パトロクロスの死以降のアキレウスの一連の行動は,パトロクロスのためではなく,アキレウス自身のためのものと受取れる。葬式は生きている人間のためのもの,とはよく言ったものだ。