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古本屋 銀杏堂 日々の言葉

2011-01-01 HUMANITY

ginnando2011-01-01

「HUMANITY:A Celebration of Friendship, Family, Love & Laughter」Geoff Blackwell

ジェフ・ブラックウェルによって編集された、この写真集。とても愛おしい人々の、その瞬間の数々を収めた傑作だ。「入院中の婦人を見舞う高齢の男性、手をしっかりにぎり、お互い満面の笑みを浮かべている」キャプションには、「A faithful friend is the medicine of life」

「フィリピンのお婆ちゃん二人、原色の鮮やかな衣装をまとい、なにやら携帯電話の画面を見いっている。なんだかとても楽しそう。仲のいい友達なんだな」これには、「With mirth and laughter let old wrinkles come」、「孫とバスケットボールに興じるお爺さん、かなり本気だ」「ガラス窓越しに、変顔で子供を楽しませるお父さん」「腕筋のコブを競い合う、やんちゃな子供達」「結婚式当日、娘を祝福し抱きしめる母、部屋の壁にはウェデイングドレスを着た若き日の母の写真が飾られている、これが娘そっくりで美しい」

人生いいことばかりじゃなく、つらいこともあるが、なんか友達っていいな。兄弟っていいな。家族っていいな。改めて笑顔っていいよなと思わせてくれる1冊です。

2010-09-10 アレン・ギンズバーグと旅するサンフランシスコ

ginnando2010-09-10

アレン・ギンズバーグと旅するサンフランシスコ」 ブルース・インターアクションズ

ビート関連の地を巡るサンフランシスコ・ガイドブック。まずは、象徴的存在である「シティ・ライツ・ブックス」、コロンバス・アベニュー261番地に今も健在だ。1953年、アメリカ初の「ペーパーバック専門書店」として誕生、56年にギンズバーグの「HOWL」を出版、新しい世代の無名の詩人たちの輝ける存在となった。街角の書店でありながら、出版社でもある「シティ・ライツ・ブックス」は、掲げられた主張、その個性のまま、ずっと孤独に闘い続けてきた。その頑固なまでな姿勢に敬意を表したい。本書に、各フロアの解説とそこでのエピソードが綴られている。貴重な話の数々。

そして、「ノースビーチ」、ここでは、リチャード・ブローディガン、ゲイリー・スナイダー、その他の作家、詩人の暮らしたアパートメントが紹介されている。その中の一人、スチュワート・ブランドのエピソードが面白い。当時、合法的だったLSDを使用していたブランドは、手に「宇宙から写した地球の写真」を持ちシティ・ライツ・ブックスを訪れ、目に狂気の光を放ち、「今こそ僕たちは、この惑星を見つめなくちゃいけない」と宣言、そして、その手にしていた写真が、「ホール・アース・カタログ」第1号の表紙となり、その風景は、彼の全てのホール・アース活動のエンブレムとなった。

本書は、前作「THE BEAT GENERATION in NEW YORK(ジャック・ケルアックと旅するニューヨーク)」の取材から生まれた副産物的なものであるらしいが、こちらほうが、装丁、デザイン、内容とも優れているし、興味深く面白い。サンフランシスコという街の魅力だろうか。

2010-08-03 イヌイットの壁かけ

ginnando2010-08-03

イヌイットの壁かけ」 岩崎昌子

1970年、岩崎さんがカナダに住むことになり、ある日、オタワの街角の画廊で1枚の「壁かけ」に出会う。スコットランドダッフルと呼ばれる厚い布地に上に、いろんな形に切り抜いたフェルトを一針一針、丁寧に縫い上げた布絵。それは、イヌイットの人々が作ったものだった。氷原の上での暮らし、狩りの様子などが色彩鮮やかに描かれている。どれも、手作りで、世界で1枚だけのものだ。岩崎さんは、以来30年に渡り収集を続け、100点以上の作品を集めた。本書には、119枚の「壁かけ」が収められている。なんというかリアルな生活の記録になっているのだ。「アザラシの解体」「カリブーの皮を枠に張り、伸ばす様(狩猟シーズンには、どこの家でも見られる光景らしい)」「防寒着(パーカー)を作る様子」、また自然描写も豊かだ。今はもう、イグルーに住むイヌイットはいない。エアコンの利いた住宅に住み、スノーモービルに乗る。きっと彼らは、「壁かけ」にかつての暮らしを描くことによって「伝統」を紡いでいるのだと思う。

2010-07-06 The Mennonites

ginnando2010-07-06

「The Mennonites」Larry Towell

「メノナイト」の人々を写したラリー・トーウェルの傑作写真集。本書は、1990年〜99年にかけ、カナダ・オンタリオ州とメキシコで撮影された。冒頭に「メノナイト」の移民の歴史が記されている。16世紀にオランダ→プロシア→ウクライナと移動、19世紀終わりにカナダに移った、そしてメキシコ、ブラジル、ボリビアと南米へ渡った。彼らは、非常に信仰心が強く、自分達の信念を持って生きている。300年前の暮らしと変わることないライフスタイル。電化製品には頼らず、自動車も乗らない、現代文明とは一線を引いた暮らし。そして「絶対平和主義」。

この写真集は、ひとつの物語を紡いでいる。広大な土地での田園生活。大人も子供も同様に働く。常に祈りは欠かさない。食卓に並ぶものは豪華ではないが、全て自分達で作ったもの。彼らの暮らしを見ていると、思ってしまうのだ。我々は、いったいどこに行こうとしているかと。

2010-06-11 OUTSIDE INSIDE BRUCE DAVIDSON

ginnando2010-06-11

「OUTSIDE INSIDE」 BRUCE DAVIDSON

「ブルース・デビッドソン全仕事」とでも言うべき内容の写真集が出た。1954年〜2009年までの仕事が時系列に収められている。3冊に分納され、全944ページ、総重量約10kg。すごいボリュームなのだ。1959年の名作「THE BROOKLYN GANG」を始めに、60年代の傑作の数々は、その時代の波、空気を捉えた緊迫した作品になっている。61年の「THE FREEDOM RIDERS」、65年の「SELMA TO MONTGOMERY MARCH」、そして60年代アメリカの各地を写した「NEW YORK CITY」「CHICAGO」「THE SOUTH」「BIRMINGHAM,ALABAMA」は、激動の時代の渦中にいた市井の人々の表情を捉えたドキュメンタリー写真の傑作だ。ブルース・デビッドソンの世界、その作家性を十分堪能できる1冊なのだが、残念なのは、29cm*29cmの紙面の横幅に写真全体を収めるようサイズ調整されているので、上下の余白が多く、サイズの小さくなってしまった写真が少なくないことだ。