吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

スター・トレック

 お馴染みのメンバーがどうやってエンタープライズ号のクルーとなったのか、その始原を描く物語。始原を問うなとはレヴィナスの言葉だったか(ラカンかな?)、しかし何事も始まりはあるもので、カーク船長の文字通りの誕生の場面など、全然知らない事実だったので(というか、映画のオリジナルです)なかなか興味深い。若き日のやんちゃなカークがなんであんなふうな名キャプテンになれたのかちょっと謎だが、前半、キャラクターの描き方が大変小気味よい。


 なんといっても巻頭。エンタープライズ号を下からカメラが舐めていくシーンではぞくぞくする。しかしこれ、「スターウォーズ」のオープニングそっくり。この映画は既視感の強い作品で、どこかしこで見たことのあるような場面ばかりだった。ま、それでも面白かったからいいけど。


 途中まではかなり面白かったのだが、スポックが未来から現れたころからタイムパラドクスの処理がめちゃくちゃになり、さらにアクションシーンが立て続けで目が疲れてきて、とうとう寝てしまった。ああ、またしても。で、結局ラストシーンを知らないので、いったい何がどうなったのやら?


 全体にかなり若者向けになっていた本作、新たなファンは獲得できてもオールド・トレッキーは満足するかな? 脚本も全体に子どもっぽいし。知的な刺激が少ないのはちょっといただけません。ただ、アクションに次ぐアクションはかなりの高得点。この映画に何を期待するかによってかなり評価は分かれるだろう。
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STAR TREK
126分、アメリカ、2009
製作・監督: J・J・エイブラムス、原作: ジーン・ロッデンベリー、脚本: ロベルト・オーチーアレックス・カーツマン、音楽: マイケル・ジアッキノ
出演: クリス・パインザカリー・クイントエリック・バナウィノナ・ライダーゾーイ・サルダナカール・アーバンレナード・ニモイ