司馬遼太郎の蔵書のことを書いたついでに、全國の大學や研究所などにある著名文庫で、ぼく自身興味のあるトコをいくつか紹介。
静嘉堂文庫: http://www.seikado.or.jp/
三菱財閥の岩崎彌之助氏と岩崎小彌太氏との舊蔵書。古典籍は約20萬冊(國寶7、重要文化財82)、美術品は約5000點(世界に3點しか現存していない、南宋時代・建窯の「曜変天目茶碗」が有名)。漢籍部分は、清末の四大藏書家の一人、陸心源の舊蔵書が基礎となっている。これまで何度訪れたか、分かりません。宋代の目録や、赤繪の目録なども、オススメ。所藏している漢籍を調べるためには、『静嘉堂文庫漢籍分類目録』が便利。


○天理大學附属天理圖書館: http://www.tcl.gr.jp/
天理教真柱の中山正善さんが、集めに集めた古典籍の數々。とりあえず、笑うしかありません。中山さんの蔵書蒐集に協力したのが、かの弘文荘主人・反町茂雄。中山さんとの交流は、反町茂雄著『一古書肆の思い出』(平凡社ライブラリー)にくわしい。天理といえば忘れてはならないのが、「古義堂文庫」。これは江戸の大學者・伊藤仁斎およびその長子・東涯にはじまる、所謂京都堀川學派とその門人たちの直筆本などなど、約5500点、1萬冊の書物からなる。1956年には、『古義堂文庫目録』が刊行。年に何回かは、天理の善本を紹介した展覧会が、東京でも開催。


關西大學圖書館内藤文庫:
http://www.kansai-u.ac.jp/Library/home.htm
京大東洋史創始者の一人、内藤湖南(虎次郎)と、子息伯健(乾吉)氏の舊蔵書約3萬3千冊よりなる。湖南の蔵書には、世界にただ一本だけの清の學者・章学誠の手校本だとか、宋版だとか。あかん、クラクラしてきた。目録としては、『内藤文庫漢籍古刊古鈔目録』(関西大學圖書館、昭和61年)があるが、圖書館のウェブによると、『CD−ROM版内藤文庫目録』というものが企画されている模様。これは絶対買うぞ。湖南の著作である『内藤湖南全集』(筑摩書房、全14卷)は今でも新刊書店で入手可能。


○東北大學附属 狩野文庫:
http://www.library.tohoku.ac.jp/main/
在野の新聞記者であった内藤湖南を京大に呼び寄せた張本人の狩野亨吉(かのうこうきち)の舊蔵書約10萬冊からなる。和漢の漢籍が中心で、「江戸學の宝庫」。國寶2点あり。そのうち、55000冊がマイクロフィルム化。狩野文庫は訪れたことはまだないけど、東北大學にいる先輩に狩野文庫の蔵書をコピーしてもらったことがあります。一度は行きたい場所のひとつ。なお、この圖書館には、夏目漱石の舊蔵書も、弟子の小宮豊隆の盡力で「漱石文庫」として所藏。他にどんな文庫があるのかは、トップ頁の「特殊文庫紹介」をクリックしてみてください。


千葉大學附属圖書館郭沫若文庫:
http://www.ll.chiba-u.ac.jp/
郭沫若蒋介石に追われて、昭和3年に日本に亡命してきたが、その時身を潜めたのが千葉の市川。それが縁なのかどうかは分からないが、蔵書3000冊を千葉大學に寄贈。日本に亡命してきてからの内藤湖南との交流は、つとに有名。目録があるのかどうかは、確認できず。
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気になる文庫は、まだまだあるけど、第一回目は、とりあえずこれにて失礼!