単発受賞作をシリーズ化する能力もライトノベル作家として重要なのでは

ロリコンファル-シリーズ濫造 −ライトノベル発行数の増大とシリーズ物の関係−
http://d.hatena.ne.jp/kagami/20060525#p2


ウィンドバード::Recreation-]「谷川流褒めちぎり計画」の前置き
http://d.hatena.ne.jp/kazenotori/20060526/1148569940


 ライトノベルでは、単発で完結している新人賞受賞作がシリーズ化されることが多いです。これには

  • 新人賞は基本的に単発の完結作品である。そうでないと評価してもらいにくいし、評価もしにくい。
  • しかし、シリーズ物は儲かるので出版社・編集部はシリーズ化したい。

という理由があるのでしょう。

 物語ファンとしての私は、シリーズ作品を作るなら最初からそれを前提とした作り方をして欲しいと思っています。見事に完結している受賞作に無理に続編を書き足す事で、作品の完成度を落としてしまうことになるのは残念です。実際、受賞作は受賞作で終わらせておいて、改めてシリーズを始める作家さんも少なくないですしね。

 しかしライトノベルファンとしての私が、受賞作がシリーズ化されて、しかもそれが面白かった時に「やるじゃん!」と思っていることも、これまた確かなのです。古くは神坂一さんの「スレイヤーズ」、近年ならば谷川流さんの「涼宮ハルヒ」や海原零さんの「銀盤カレイドスコープ」などがそうですね。「ハルヒ」や「銀盤」は2作目、3作目あたりでは「ああ、やっぱり無理に続けない方が良かったのでは……」と思っていたこともありましたが、今では「続けて大正解!」と思っております。まだ完結していないので、この先で「ああ、やっぱり……」に逆戻りする可能性もありますけれども。

 あと最近では日日日さんの「蟲と眼球」シリーズにも驚かされました。これも新人賞受賞作をシリーズ化したものですが、なんというかもー「無理矢理ストーリーを接ぎ木して、力でねじ伏せちゃいました。てへっ★」という感じ。グリコのファンの方は不満かも知れませんが、よくぞここまでシリーズとしての体裁を整えたものです。

 純粋に作品内容から見るならば、新人賞受賞作のシリーズ化はデメリットが多いと思います。しかし消費されていく商業作品としてライトノベルを見るならば、受賞作をヒットシリーズへと増築する能力もライトノベル作家として重要ではないかと思います*1。また、そこには作家さんだけでなく、編集の人の能力も関わっているのでしょう。

*1:ちなみにヒットしなければ打ち切られてしまいます