剣も銃刀法違反です - 「迷宮街クロニクル」
- 作者: 林亮介,津雪
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2008/11/15
- メディア: 文庫
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ウィザードリィが好きな方なら多分楽しめる、剣と魔法の青春ファンタジー開幕編。読み応えがあって大変面白かったです。ただ、ちょっと説明が不足している作品ではないかとも思います。例えば次のシーン。
ここでは剣を使って相手を殴る。なんで銃を使わないのか? と訓練場の橋本さんに訊いたことがあるが、返事は「ここは日本だぞ」だった。
いや「ここは日本だぞ」が理由ならば、銃だけでなく剣も駄目なのですが。
なぜ銃が駄目で剣なら良いかと言えば、それはこの作品が「ウィザードリィ」だからでありまして、しかしその予備知識がない人にとってはこの作品は理解しにくいかも知れません。
そもそも日本国内であっても危険な野生動物と相対する場合は(何重もの法規制のもとで)銃を持つことが認められています。あなたがプロのハンターで、山に熊を狩りに行こうとしていた時に「ここは日本だぞ、銃は置いていけ」と言われて納得するでしょうか。にもかかわらず、上記のシーンで主人公は「そんなものか」と納得し、剣と魔法を武器に凶暴なモンスター達と死闘を繰り広げるのです。ファンタジーの世界観になじみのない人が読んだら「こいつら何故銃器を使わないで、わざわざ自分たちの死亡率を高めているんだろう。馬鹿じゃないのか」という感想をもたれても不思議ではないと思います。
他にも色々重箱の隅をつつくようなことを考えたのですが既に石野休日さんにほとんど言われてしまっているのでやめておきます。
でも面白かったことは間違いなし。上中下巻の3巻構成らしいですが、中巻が出たら買います。