武光誠『大和朝廷と天皇家』

大和朝廷と天皇家 (平凡社新書)
武光 誠

4582851800
平凡社 2003-05
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 宋書に載ったいわゆる「倭の五王」の記事が履中から雄略までの系譜を作らせたのではないかという指摘は、なかなか良いアイディア。だけどやっぱり史料の虚実を分ける方法は恣意的になっちゃっているように思う。まあ仕方ないんだろうけど。
 ところでこの本とは全然関係ないけれど、この時代、中国や朝鮮半島から日本に来た人びとを渡来人という。昔は帰化人と言っていたのだけど、俺が歴史を習った頃にはすでに渡来人と呼ばれていた。帰化人だと、帰化した国に憧れてやってきたみたいな意味になるらしく、「文化・社会的に劣っていた日本に、進んだ朝鮮や中国の人間が『帰化』することはおかしい」という主張から呼び名変更となったらしい。
 でも落ち着いて考えると、帰化ありえるんだよね。この頃の中国・韓国って戦争ばっかりだし、持ち込まれた技術(土器の製造、鍜治、金属加工技術、織物など)を見ても、あんまり元の国で敬われる身分にも思えないし。今いるところにいるよりは海を渡った方が良い暮らしが出来るってのも、ある種の憧れなんじゃないのかなあ。