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2010-08-29(日)

米澤穂信原作 山崎風愛構成 おみおみ作画 夏期限定 トロピカルパフェ事件

小山内さんは、マイ・オールタイム・ベストメロメロヒロインである*1。そして俺が完膚なきまでにめろめろになった(「これが萌えるということか!」とか思ったよ)作品こそ、『夏季限定トロピカルパフェ事件』であった。策士で食いしん坊で、悪魔と子悪魔のあわいに生息する小山内さん。たまらんちゃ! と、常々思っている。

 そんな小山内さんがコミックになると言われても、『春季限定ま〜』段階ではったく反応しなっかった。プロの絵が、「俺の小山内さん」を上書きしてしまうのが嫌過ぎたのである。これはコミカライズの感想なのに何を言っているのかと思われるだろうが、もうちょっと与太が続くっつーかね、このエントリ与太しかないから。続ける。

 それで結構前に、『夏季限定』がコミカライズされますよ〜」という話を聞いたときも「俺は俺の小山内さんを守るために、これには手を出さないぜ!」と後ろで波がざっぱーんってなりそうなテンションで宣言してみたところ、友達からこんな情報をもらった。「作画の人は○○さんですよ」

 ……顔見知り!

 にわかに状況一変である。ペンネームに合わせておみおみさんとここでは呼ばせていただくことにするけれども、おみおみさんが漫画を描いているという話は知り合い経由で聞いていた。っつーか、本人の口から聞いたこともあって、こっそりと応援していた(出たこのフレーズと思ったろ。俺もいまそう思いながら書いたんだ)。応援していた理由はごく些細なものである。あの人漫画描いてるんだよという話を聞いたあと、たまたま出くわすことがあったので「漫画描いてるんだって」と訊いたら「はい」と返事があった。そんときの目付きが良い意味で強かった。胡散臭いフレーズをもうひとつ追加するなら、良い目をしていたのだ。そういう目をしている人にはがんばってもらいたいと思ったし、たぶんがんばれるのだろうと思った。ただそんだけのことであるし、おみおみさんは憶えてないだろうと思われるけれども、あそこでぐちゃぐちゃエクスキューズを垂れられたら興ざめになって……今回こんなに悩まなかったはずだ。

 とにかくそんなわけで、作画者名でこのコミカライズを読むことは決定した。問題はいかに「俺の小山内さん」を守るかだ(30過ぎの人間の悩みとして、こんな切実な悩みがほかにあるだろうか)。絶対におみおみさんの描いた小山内さんが俺の中の小山内さんイメージを変えてしまうに違いない。どうすればいいか。俺は悩んだ。そして決意した。そうだ! 俺の小山内さんを書き記しておこう! というわけで30過ぎたいい大人であるところの俺は、急遽ノート鉛筆を取り出すと、夜なべして小山内さんを描いてみた。頭はこうで輪郭がこんな感じで、目はこうでしょ、鼻はもうちょっと小さいか(消しゴム)。高校生だからやっぱり制服姿だよね。なにコレやばいゾクゾクする思ったより楽しいじゃないか! うひゃあ。

 ……楽しかったのは描いていたときだけで、出来上がったものの出来にしょんぼりしたこと言うまでもない。ちなみに上の最後の心内文は本書からの引用で、俺が夜中に鼻息荒く思ったことではないのは、俺の名誉のために付け加えておく。いやこのセリフが出ていたコマも好きでね。

 そんなささやかな下準備を経て、昨日やっと本書を購入し、一気に読んでみた。くるくると変わる小山内さんの格好はどれも可愛らしく、たまらんかった。一番すきなのは窓の外を爪先立ちで眺める小山内さんではあったが。違和感あったのは靴下くらいのものである(小鳩くんがオールスターもどきのスニーカーを履いているのもちょっと意外だったけど)。何より表情がいいんだわ。特にちょっとムッとしたときの顔が大変不穏で、これぞ小山内さんだと思わされる。山崎風愛さんの書くセリフと絵の相性も良い。「じゃあ わたし 小鳩くんから言われのない中傷を受けた……ってこと?」とか「これが? おいしいかって訊くの?」とか「このりんごあめを食べてもらわないことには――真に価値あるものを紹介したことにはならないの」とか、どれも満面の笑みを浮かべながら読んでいた(に違いない)。あ、セリフ写してたら表紙が外れた。ほう、設定コレクションが並んでいるじゃないですか。あとでしっかり見よう。

 ストーリーはまだ伏線を張っている段階で、動くのは次。真価が問われるのはもちろんラストだ。原作だって冷静に読んだわけじゃなく、作画が顔見知りだって前提があるから、この感想に客観性など皆無なのは自覚しているし、読む方もそう読んでいただきたいが、原作ラストにあったあの圧力を乗り越えるくらいの絵が描かれることになったら、こりゃあ事件だと思うんだわ。

 それを目撃する贅沢を味わえることを望む。超がんばれ! 

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 おまけ:で、読んだ結果どうなったかと言えば、やはりプロの力というものか、俺の小山内さんイメージはすっかり漫画のイメージに置き換わった。でも大丈夫、ノートを開けばあの頃の小山内さんがそこにいるもん。線とかぐらぐらしていて頭身バランスがおかしい、俺の小山内さんが。これはこれで俺にだけは捨てがたい小山内さんなのである。これは俺だけの小山内さんだが、おみおみさんの描いた小山内さんは、みんなの小山内さんになれるといいなと思う。『春季限定』コミカライズの小山内さんもいるけど、そこはそれ、やはり身びいきって奴ですよ、はい。

*1:本当にどうでもいい話ではあるが、次点は「痴人の愛」のナオミと「ノルウェイの森」の直子。サランデル? 糞食らえ。

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