パラダイス・ナウ (監督ハニ・アブ・アサド 2005年フランス/ドイツ/オランダ/パレスチナ映画)

パラダイス・ナウ [DVD]

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パレスチナ暫定自治区の小さな町。二人の青年ザイードとハレードはイスラエル占領下のこの町に住んでいた。つまらないバイト。くだらない客。ダルい毎日。でもヨーロッパ帰りだというパレスチナ人の女の子と知り合った。可愛い子だった。そんなある日、民族開放組織から命令が下る。君たちに栄誉ある自爆テロの殉教者となってもらいたい、と。この映画『パラダイス・ナウ』は、パレスチナ問題を背景に、二人のパレスチナ人青年が自爆テロを遂行するまでの48時間を描いたドラマである。タイトルは、自爆するまさにその瞬間を指す言葉なのらしい。

イスラエルパレスチナの問題は、戦争でも紛争でもない。ただイスラエルの一方的な暴力としか思えない。パレスチナ問題をここでおさらいするつもりは無いが、映画の中で語られる「パレスチナは軍隊を持っていない」という部分に、インティファーダと呼ばれる人民蜂起、そしてゲリラ活動や自爆テロに向かわざるを得ないパレスチナの苦悩が見え隠れしているように思う。テロによってしか抵抗する事ができないという恐るべき選択肢の無さの中に彼らはいる。しかしそういった政治的な背景を持った映画であることは勿論なのだが、オレはむしろ、遣り切れない日常の中で息を殺して生きざるを得ない青年達の青春群像を描いた映画として観た。

閉塞感に満ちた日々、そしてその中から生まれる暴発、といった部分は、青春映画の一つの典型であるといってもいい。パレスチナのような過酷な現実は日本や他の文明国には無いかもしれないが、一見平和のように見える国に生きていてさえも、生き難さや遣り切れなさは決して無い訳ではない筈だ。そんな中で暴発寸前の生を生きる者もいるだろう。”自爆テロ”という”国家にとってのひとつの正義”を行使するのも、一種反社会的な”自分だけの正義”を行使するのも、どこか根っこは一緒のように思う。そこにある”世界に圧殺されたくない”という切実さは、実はどちらも変わらないのではないか。行為それ自体はテロリズムであったとしても、行使する若者達は血に飢えた狂人でも狂信者でもない。彼らも、世界のどこかの町に住む名前も無い誰かと一緒に、遣る瀬無い生の中にいる混乱した一つの魂なのだ。

だからこの映画に横溢する殺伐とした救い様の無さは、ただパレスチナのみにある感情ではないのだと思う。少なくともオレはそんな風にこの映画を観た。
■Paradise Now - גן עדן עכשיו - الجنة الآن - Trailer


フランドル (監督:ブリュノ・デュモン 2005年フランス映画)

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え〜と、フランスの片田舎に住む恋人同士の男女が主人公なんですが、カレシのほうが湾岸戦争と思しき戦争に出征しそこで地獄を見て、カノジョのほうはカノジョのほうでカレシのいない間にいろんな男と寝るんですがそのうち頭がおかしくなってしまう、とかいう映画なんですね。で、最後はカレシが戻ってきてメデタシメデタシと言う事みたいなんですが、ええと、なんじゃこの映画は。

湾岸戦争と思しき、とは言っても劇中は一度も湾岸戦争とは言わないし、戦闘シーンはへっぽこ三銃士みたいのが砂漠をタラタラ歩いてはたまに子供撃ち殺したりレイプしたり仲間殺されたりしてるんですが、あれってこんな戦争じゃなかっただろ。戦闘シーンもまるでリアリティないし、要するにこれは湾岸戦争というよりは観念としての戦争なんでしょうね。「なんか悲劇やりたかったから戦争にしてみました」程度の動機で作られているのよ。

だからここで描かれる戦争の地獄とかいうのも、戦争による男女の別離とかいうのも、借り物ののような描かれ方しかしてなくて、なんだかハリウッドの古臭い戦争モノのヘボイ模倣みたいなの。こんなのでこのフランス人監督は自国を舞台に何がやりたかったの?と思ってしまう。観念的な部分から一歩も出ていないという意味では素人の妄想程度の映画でしかないと思うんだけど、これでも06年カンヌ国際映画祭審査員グランプリを受賞したんだって。うううう〜ん…。

さ む い

首都圏は本日みぞれ混じりの雨である。最高気温は4度とか5度とか言っておる。当然だが寒いんである。いや、外が寒いのはまあ致し方ないとしても、職場の事務所までもが寒いんである。有史以前から建っていたようなボロ事務所なので暖房を入れても効果が無いのだ。今作業着の上にさらにドカジャン着てるぞ(ドカジャンとはDOKATAジャンパーの事である。3K仕事には欠かせないオシャレアイテムである。決してDOKATAブルゾンなどという呼び方はしない)。しかし寒いのは何か着ればいいだけの話なんだが、指がかじかんで仕事にならんのだ。キーボードのキーが打てないんっすよ!打ち間違いだらけでさっきから数文字打ってはBackSpaceキーで削除しまくりですよ!過酷な職場なんですよ!ああもうマジで軍手してキー打ちたくなってきたわ。ってかもう帰らしてくれ。寒いんで一杯やりたくなってきたわ。
(追記:最低気温は1度だったらしい…)
(追記2:ズボン2枚重ねに突入)
(追記3:遂に靴下ホッカイロ導入)