最近聴いたCD・レゲエ篇 / Wackies(ワッキーズ)関係を聴きまくり

■African Roots, Act 1 / Bullwackie's All Stars

African Roots, Act 1

African Roots, Act 1

■African Roots, Act 2 / Wackie's Rhythm Force

African Roots Act 2 (Reis)

African Roots Act 2 (Reis)

■African Roots, Act 3/ Wackie's Rhythm Force

African Roots Act 3 (Reis)

African Roots Act 3 (Reis)

■Free for All / Bullwackie's All Stars

Free for All

Free for All

ワッキーズ(Wackie's)レーベルのオーナー、ブルワッキー(Bullwackie)ことロイド・バーンズ(Lloyd Barnes)は1948年にジャマイカに生まれ、少年時代を首都キングストンで過ごした。
彼の思春期にあたる頃、ジャマイカではサウンドシステムが勃興、スカが誕生するという音楽的変換期を迎える。
この頃バーンズはミュージシャンとしてプリンス・バスター(Prince Buster)の元で録音を残している。
短いスカの時代が終わり、ロックステディーという新しい波が起こり始めた1967年、ニューヨークへと移住した彼はまずサウンド・システムをスタートさせる。
ジャマイカの最新の音や、トレジャー・アイル(Tresure Isle)のダブ・プレート等をプレイして彼のシステムは瞬く間に規模を拡大するのだが、70年代の始め暴力がはびこるダンスホールに失望し、サウンド・システムを止めてしまう。
この事件がきっかけとなり、有名な地下スタジオ、ワッキーズ(Wackie's)建設を思い立ったのである。
1974年頃から本格的に録音を開始し、ニューヨークで活動していたジャマイカ人歌手ウェイン・ジャレット(Wayne Jarrett)やジャマイカからの有名な訪問者、ホレス・アンディ(Horace Andy)やシュガー・マイノット(Sugar Minott)らを手がけていった。
多くのジャマイカ人プロデューサーと同じく彼も多くのダブ・アルバムを手がけたことで知られ、1977年に始まった”African Roots"ダブ・シリーズはワッキーズのセッション・クルーの主要メンバーであったクライブ・ハント(Clive Hunt)がブロンクスのスタジオ、ファイブ・アーツ(Five Arts)で制作したのが第一弾で、二枚目以降がメインのワッキーズ・レーベルからのリリースとなった。
バーンズとエンジニアのダグラス・リーヴィは、ジャッキー・ミットゥ(Jackie Mittoo)やクライブ・ハント(Leroy Sibbles・シブルス(Leroy Sibbles)といったジャマイカを代表する一流ミュージシャンと組んで、独自のワッキーズ・サウンドを作り上げていく。
シャープで洗練されたこれらの音源は現在に至るまでレゲエのみならず、多くの音楽ファンを惹きつけてやまない。
ワッキーズ以前のアメリカのレーベルと言えば、バニー・リー(Bunny Lee)やリー・ペリー(Lee Perry)等の作品をライセンスしてアメリカでリリースした物が多く、ニューヨークにて録音、ミックスを施し独自のサウンドを創造したと言う意味において、これらの作品はオリジナル・ニューヨーク・ルーツ・サウンドと呼ぶにふさわしい。
http://www.reggaerecord.com/jp/content/featured_label.php?id=66

前回に引き続きワッキーズのダブモノをセレクトして聴いています。N.Y.レゲエということですが、レゲエ独特の躍動感はあるにせよ、非常に淡白かつ枯れた侘び寂びを感じる音ばかりで、この日向の匂いがしないところがN.Y.レゲエなのかなあ、なんて思ってみたり。
ワッキーズが最近リバイバルされた背景にはベルリンのミニマル・テクノ・レーベル、ベイシック・チャンネルのメンツがワッキーズの熱心なコレウターであったことはテクノやダブのファンにはよく知られていますが、どこまでも削ぎ落とした単なる"音響"そのものと化した音をリリースしていたベイシック・チャンネルが、数多あるダブ・ミュージックの中で、同じくダブの分子模型の如くシンプルな音を出し続けたワッキーズに親和性を感じたのであろうことは想像しやすいものがあります。

ベイシック・チャンネルのMark Ernestus、ワッキーズ再発に関してのインタビュー

ところで今回紹介したワッキーズ・レーベルの音源、実はiTuneミュージック・ストアでD/L購入したものなんですね。結構マニアックなアルバムなのでまさかあるとは思いませんでしたが、探してみると今回紹介したアルバム以外にも相当数のワッキーズ・レーベルのアルバムを確認することが出来ました。値段もアルバム1枚¥1500と、CDショップで買うよりも割安だし、アルバムによっては¥700で購入できるものもありましたね。興味の沸いた方は是非ドウゾ。
以下のYouTube動画はアルバムとは関係ありませんが、ワッキーズ・レーベルの音を集めてみたものです。

■Bullwackie's All Stars - Bullwackies Revenge

■Wackies Bullwackie

■AFRICAN ROOTS - Act V - 3 reggae dub tracks from Wackie's LP

■NEW SENSATION - Joe Axumite _ WACKIES Reggae Revival Classic

BULLWACKIE - ロイド・バーンズとワッキーズの輝き (監督:クリストファー・コイ 1986年)

BULLWACKIE - ロイド・バーンズとワッキーズの輝き [DVD]

BULLWACKIE - ロイド・バーンズとワッキーズの輝き [DVD]

ニューヨークのルーツ・ダブの伝説『ワッキーズ』! 80年代の第一次黄金期に撮影され、レーベル・アーティストの白熱のパフォーマンス満載のドキュメンタリー作品が、20年の歳月を越えてついにデジタル・リマスターDVD化!

ダブセンスマニアのREMIX版のリリースや黄金期の再発で近年新たなファンを獲得している、ニューヨークのルーツ・ダブ/レゲエの最重要レーベル、ワッキーズこだま和文ダブセンスマニア、ドイツのベーシックチャンネルが敬愛して止まないこのレーベルの80年代の活動の様子を、“ブルワッキー”ことロイド・バーンズのインタビュー、スタジオでのレコーディング・セッション、地元ニューヨークのライヴ映像などをふんだんに盛り込み日本語化!
Amazon紹介文より)

ワッキーズがマイブーム中なので、ついでに20年前に撮られたワッキーズドキュメンタリー映画を観てみました。こういうのって興味の無い方が観ても地味な音楽映画だなあとしか観られないでしょうが、実際インディペンドらしい地味さが逆にいい味を出しています。ローン・レンジャーやシュガー・マイノットのライブが観られて面白かったな。ただ全体的にワッキーズはヴォーカリストが弱いかな、という感じがしました。それとワッキーズ総裁であるロイド・バーンズが実にいい顔をしていて、知的で落ち着きのある物腰がとても印象に残りました。ワッキーズのライブホールとかまだ経営しているのかなあ。ちょっと行ってみたい気になりました。

■ブルワッキー - ロイド・バーンズとワッキーズの輝き

■Lone Ranger