だったら今度は怪獣大戦争だ!〜映画『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』

ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー (監督:ギレルモ・デル・トロ 2008年アメリカ映画)


幼い頃魔界から召喚され、そのまま人間世界に馴染んでしまった地獄のプリンス、ヘルボーイロン・パールマン)は超常現象捜査防衛局“BPRD”の凄腕エージェントとして、仲間たちと協力しながら今日も怪事件を解決してゆく。コミック・アートの第一人者マイク・ミニューラ原作、ギレルモ・デル・トロ監督による映画『ヘルボーイ』の続編。

今作ではエルフ族が太古の昔ゴブリンに作らせた不滅の鋼鉄兵団を現代に蘇らせ、人類を破滅に導かんとするエルフ王子ヌアダ(ルーク・ゴス)の陰謀を阻止するためにヘルボーイはじめBPRDが活躍する…という物語なんだが、実の所物語は案外どうでもいい。この『ゴールデン・アーミー』の面白さはなんといってもこれでもかとばかりに出てくるクリーチャーの圧倒的な量!もうやりたい放題やってます!怪獣大好き!かぶりモノ大好き!B級命!異論は受けない!とばかりにイケイケで映画撮ってるデル・トロのニマニマした顔が目に浮かんできそうな位である。そのクリーチャーの数といったらSWのカンティーナ酒場かクライヴ・バーカーの『ミディアン』、デビルマンゲゲゲの鬼太郎か、といった具合だ。ま、『ミディアン』はちょっとセコかったけどな…。

しかしこの『ゴールデン・アーミー』、基本プロットがなんとなく『指輪物語』を思わせる。上古の時代の伝説、エルフやゴブリンといった亜人種の登場、種族を分かつ大規模な戦闘、戦局を覆す究極の魔的な力、それを制御する装飾品のようなアイテム。そして一時は失われたそのアイテムを巡って再び繰り広げられる熾烈な戦い。うむむ、これはデル・トロ版現代の指輪物語とは言えまいか!?しかし"指輪"の主役が気の優しいホビット族だったのに対し、"ゴールデン"の主役はでっかい図体に怖い顔、ヤサグレ子供オヤジのヘルボーイだ!いじましくレンバス齧りながら及び腰でつらぬき丸振り回していたフロドに対して、葉巻くゆらし缶ビールごくごく、小型ロケットランチャーみたいな無骨な拳銃ビッグ・ベイビーをぶっぱなすヘルボーイ!うううん可愛くねえええ!

いやいや、可愛くねえとは書いたがホントは今回のヘルボーイ、前作から更に3割増量のチャーミングさで観客のハートをノックアウトすること間違い無し!もともと「おっきい子供」みたいなやんちゃさと単細胞振りが周囲を憤慨させながら、本人は全く反省の色なしという大迷惑キャラだったヘルボーイだが、今回はそれに輪を掛けたトホホな行動の連発!だいたい映画初っ端から恋人リズ(セルマ・ブレア)との壮絶な痴話喧嘩を繰り広げ、挙句にマブダチ半魚人エイブ(ダグ・ジョーンズ)と酒飲んで酔っ払って「クッソー、女って奴はよう!…でも、そんなあいつが好きなんだああああ!!」などとクダまきながら甘ったるいラブ・ソングを大合唱するシーンはモフりたくなるほど愛くるしくて仕方なかったぞ!ま、バカ犬ほど可愛い、というアレかもしれんがな…。

それと宮崎アニメフリークを公言するデル・トロの宮崎オマージュが半端じゃない作品でもあった。中盤のでっかいアレは「もののけ」だし、横たわる巨石像は「ナウシカ」のアレだし、クライマックスのアレな戦いは見事に「カリオストロ」のアレじゃないか!つまりこの映画はSWでありデビルマンでありゲゲゲであり指輪であり宮崎アニメであるという恐るべきオタ魂に満ちた映画であった訳だ!さすが来日した時秋葉原でフィギュア10万円分大人買いするだけあるなデル・トロ!『パンズ・ラビリンス』が大ヒットしたおかげで芸術志向の監督みたく思われてるかもしれないが、オレの中でのデル・トロの代表作は『ヘルボーイ』だしこの『ゴールデン・アーミー』もそれに加わる事間違い無い!いいぞデル・トロ!巨匠なんぞにならないで生涯いちB級怪獣映画監督で居続けてくれ!

■Hellboy II: The Golden Army (Trailer)

ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー ポスター集