■消されたヘッドライン (監督:ケヴィン・マクドナルド 2009年アメリカ・イギリス映画)
謎の殺人事件と一見自殺を思わす不審死を追う新聞記者が、そこに巨大な陰謀が関わっていた事を見つけ出し、事件の真相を暴こうと奔走するさまを描いた映画なんですけどね。いやーこれは劇場で観ても良かったなーと思えるぐらいスリリングな良作でしたよ。
やっぱりねー、オレどうも《陰謀を暴くっ!》っていうのに弱いんですわー。熱くなってしまうんですわー。根が『X-FILE』体質とでもいうんでしょうか、去年観た『ザ・バンク』も相当興奮しましたが、「世の中陰謀だらけなんだあああ!」という疑心暗鬼の中から「真実はここにあるっ!!」と主人公が命の危険を顧みず巨悪を暴く!というのに心底シビレるタチなんですわ。この現実じゃ「これなんかおかしくね?」ということがいつのまにかウニョウニョ…となし崩しに曖昧になることが多いから、逆にこういうフィクションでスパッと善悪裁いて欲しいのかもしれませんな。
で、この『消されたヘッドライン』なんですけどね、ラッセル・クロウがユルユルの体にボサボサの頭とヒゲで、ちょっとひと癖ある事件記者カルを演じるんですけどね、これがなーんかちょっとババっち過ぎるというか、リアリズムを目指した為に逆に華の無い主人公になっちゃったというか、ちょっと映画を地味に見せてるかもしれませんね。その彼と絡むのが上院議員役のベン・アフレック、彼はアシスタント女性の不審死と不倫疑惑でマスコミから追い掛け回され、かつての友人であるカルの所へ「俺にはもう行くところが無い…」と頼ってくるんですね。この辺から男の友情モノな要素が入ってくるんですよ。
さらに事件を追うカルに補佐として新聞社のWEB版記者デラ(レイチェル・マクアダムス)が付けられるんですね。デラはまだ若い女性記者で、ここでカルに現場の仕事のあり方を見せつけられます。この辺なんかは師弟モノの雰囲気がありますし、やっぱり捜査は男女ペアのほうが絵的に引き立ちますよね。それとカルが新聞という古いメディア、デラがWEBという新しいメディアを担っているという対比も面白い。この二人の上司がリン編集長(ヘレン・ミレン)、「正義とか真実なんかより新聞が売れる記事書きなさいよ!」とケツを叩くんですが、こういう儲け第一のアコギな上司というのもリアルで味わい深い。事件の裏には民間軍事会社の黒い影が潜み、殺し屋も暗躍する緊張感溢れる作品に仕上がっていましたよ。
■『消されたヘッドライン』予告編
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