映画『ザ・ホード 死霊の大群』はボコりまくりシメまくりのゾンビ・ホラーだったッ!?

■ザ・ホード 死霊の大群 (監督:ヤニック・ダアン&ベンジャミン・ロシェ 2008年フランス映画)


ギャングに仲間を殺された警官たちが、「法の裁きなんか待っちゃいられねえ!お礼参りなんじゃあぁ〜〜〜ッ!!」とかなんとか喚きながらブチ切れ気味にギャング連中の潜伏するビルへと突入するんですな。そして血で血を洗う凄惨な撃ち合い!勝つのは警官かギャングか!?という折も折り、なんとも都合が良いのか悪いのか、突然街中にゾンビが溢れ、警官とギャングが争うビルへも押し寄せてくるんです!「なんじゃあこりゃあぁ〜〜〜ッ!?」恐慌状態の警官とギャングは、ビルから逃れるためにとりあえず手を組むことにしたが…!?というお話です。

それにしてもフランス産ホラーって最近結構目にしますな。アレクサンドル・アジャの『ハイテンション』しかり、パスカル・ロジェの『マーターズ』しかり、アレクサンドル・バスティロの『屋敷女』なんてぇのも話題になったし、『フロンティア』のサヴィエ・ジャン、『ネクロノミカン』や『サイレント・ヒル』を撮ったクリストフ・ガンズ、『正体不明 THEM(ゼム)』のダビッド・モロー&グザビエ・パリュもフランス人監督なんじゃないでしょうか。全部観ているわけではないんですが、観たことがあるのだけを思い返しても、おフレンチのホラーって、エグくてしつっこくって暴力的で情け容赦ない作品が多いですな!やっぱラテン系は血の気が濃い分映画撮っても血の量が多くて暴力的でしつっこいんでしょうか!?だからあんなに陰惨な映画が撮れるんでしょうか!?

というわけでこの『ザ・ホード 死霊の大群』も血の気が濃くてしつっこくて暴力的です!しかし先程挙げた監督たちとちょっとベクトルの違うしつこさです!映画それ自体はギャング対警官、というフレンチ・ノワール独特の暗さ、暴力性をかもし出しており、これがこの映画の特色ともなっておるんですが、なにしろゾンビ相手にしても情け容赦ありません!大体ゾンビ登場の段階で「頭部を破壊すればゾンビは動きを停止する」というゾンビ映画のお約束が登場人物の皆さんの周知の事実となったにもかかわらず、その後も登場人物の皆さん、ゾンビと遭遇する度に「頭部を…」なーんてことはすっかり忘れたかのようにゾンビの方々をこれでもかとばかりにボコボコにブチのめします!

これがもうやってやってやりまくりなんです!物凄い痛そうです!でも相手はゾンビなんだから痛いわけねーだろ!なんぼ殴っても蹴っても意味ねーんだよ!とは思うんですが、そんなことなどお構い無しに徹底的に暴力を振るいます!いーから早く頭撃っちゃえよ頭よー、そこまでゾンビ迫ってるんだから悠長に楽しいリンチ行為やってんじゃねーよーなどと途中で呆れてしまいますが登場人物の皆さんにそんな声など届きません!とにかく血が騒ぐんだ!とにかく血が燃えるんだ!シメたいからシメる!ボコりたいからボコる!やってやってやりまくるんだ!なぜならオレらはラテン系だから!…そんな魂の叫びが画面の奥から轟いて来そうです!そういった意味でこの『ザ・ホード 死霊の大群』、斜め上の方向に製作してしまったゾンビ・ホラーといえるやもしれません!?

■ザ・ホード 死霊の大群 予告編