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メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

20110531(Tue)

[]ドニーさん新作武侠映画『処刑剣 14BLADES』の武器は十徳ナイフだった…ッ!? ドニーさん新作武侠映画『処刑剣 14BLADES』の武器は十徳ナイフだった…ッ!?を含むブックマーク ドニーさん新作武侠映画『処刑剣 14BLADES』の武器は十徳ナイフだった…ッ!?のブックマークコメント

■処刑剣 14BLADES (監督:ダニエル・リー 2010年中国映画)

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■ドニーさん新作映画続々公開!

今年は本当にドニー・イェンさんの当たり年ですねえ。かく言う自分も『イップ・マン序章』、『イップ・マン葉問』、『孫文の義士団』、それからチャトラネコ君からお借りしたBlu-Ray『Legend of the Fist : The Return of Chen Zhen』と連続して観ていて、すっかりドニーさん映画にはまりっぱなしですよ!ドニーさん素敵!ドニーさん最高!つい最近知ったばかりなのにもう10年来のファンみたいな振りして偉そうなことほざいてるオレであります!そんなにわかドニーさんファンのオレのもとに新たなドニーさん映画公開という嬉しいニュースが!その名も『処刑剣 14BLADES』!もちろん早速観てきましたよッ!

この『処刑剣 14BLADES』、中国の明王朝が舞台なんですね。明王朝って14世紀後半に興った中国王朝なんだそうですね。14世紀っていうと日本じゃ南北朝時代・室町時代で、ヨーロッパじゃ黒死病が猛威を振るっていた時代でもあったようですね。いや映画とは全然関係ないんですがググッてみたもんだからちょっと書きたくて。で、主人公青龍ことドニーさんはこの時代、皇帝の下で特務機関【錦衣衛((きんいえい)】の一員として働いていたというわけです。この【錦衣衛】、幼い頃から血で血を洗う熾烈な訓練を受けさせられるんだそうですが、ドニーさんはその中でも最高に腕の立つものとして認められ、最強の武器【14本の剣】を授かっていたりするんですね。しかしある日何者かの陰謀に巻き込まれ、皇帝の証しである【玉璽(ぎょくじ)】を奪われた挙げ句全部ドニーさんに濡れ衣が着せられ、ドニーさんは追われる身になっちゃうんです!

■匂い立つようなエキゾチズム!

これまでドニーさん映画をあれこれ観てきましたが、最近の他の中国映画を知らないなりに感じたのは、どの映画も衣装、小道具、セット、撮影、そして俳優、どれも実に手抜き無く、細微かつ豪華絢爛に仕立て上げられているということなんですね。今作『処刑剣 14BLADES』でも、中国明王朝時代の人々の衣装や当時の建造物のセットが、実に美しく作られているのが目を惹きました。当然現代風のアレンジはされているのでしょうが、映画美術という観点で観るととてもレベルが高いんですね。もちろん撮影も美しく、現在の中国映画の底力を見せ付けられるような思いなんですよ。また、映画は中盤から、舞台を中国西方に移して物語られますが、中国西方というと文化的に中東と徐々に交じり合う地点であり、そのせいでよく見知った中華風な文化とはまた違うアラビアックなエキゾチズムを匂わせているんですね。そういったロケーションの面白さもこの映画の魅力を引き立てているんです。

さてそんなエキゾチックな舞台の中、ドニーさんの敵になり味方になる連中もまた容貌や扱う武器がエキゾチックで楽しいんですね。まずドニーさんの仲間になる"砂漠の判事"こと天鷹幇(てんおうほう)は台湾のアイドルスターのウージンとかいう優男のお兄さんが演じているだけあってなんだか砂漠の王子様みたいです。扱う武器は2つくっつけるとブーメランみたいに飛んで戻ってくる剣なんですね。対する敵役、今回最も恐るべき技を持つものとしてドニーさん一行を最後まで苦しめる女殺し屋・トゥオトゥオ(ケイト・ツイ)は刃の付いた鞭を操り分身の術まで使う手強い相手なんですね。もちろんアクションの出来は言うまでも無く素晴らしい冴えで、刀同士が激しく火花を散らすチャンバラ・メインの血湧き肉躍る武侠映画として完成していますよッ!アクションはワイヤーが多用されていますが、ロケーションのエキゾチズムに比例してそのワイヤーアクションがとても妖しくファンタジックな動きとして効果を挙げているんですね!

■【14BLADES】の正体は!?

いろいろ書きましたがこの『処刑剣 14BLADES』、映画の雰囲気はシリアスだしみんな眉間に皺寄せて大真面目に演じているけど、お話の内容はどこかコミックっぽい誇張がたっぷりあるし、登場人物はなんだか大見得切ってるし、そんなどことなく馬鹿馬鹿しい派手さ大仰さが逆に王道のエンターティメントを感じさせてよかったな!ただお話はちょっと説明不足な所があって、この物語でみんなが争奪していたのが皇帝の証し【玉璽】だっていうのが観ている自分は途中でやっと分かったりするのね。で、その皇帝の証がどんだけ重要なのか、あんまりピンとこなかったりするんだけども。ただアクションが楽しかったからそんな細かいところは気にならないけどね!他にもヒロインとして登場するホアことヴィッキー・チャオさんが菅野美穂似でとってもキュートでありました!悪モンの親玉はサモ・ハンだよ〜!(そして今回もサモ・ハンだと気が付かなかったよ〜!)

ところで表題にある【14BLADES】こと【14本の剣】、これは小ぶりな楽器ケースみたいのに収められていてドニーさんはいつもこれを背負ってるんですね。そしてそれぞれ用途が別の14種の剣を戦いに応じて使い分けたりしているのがまた面白いんですね。武器ケースにはワイヤーが仕込まれていて、これを壁に打ち出し巻き上げることで高い所に移動したりも出来る秘密兵器なんですよ。しかしこれ、何かに似てるなあ…と考えて思いついたのが十徳ナイフなんですね!ドライバーやら缶切りやらのいろんなアイテムがオールインワンになった十徳ナイフ、これがきっと【14BLADES】のアイディアの元になったと思うんですよ!でもまあ【14BLADES】の箱に入ってるのは基本的に剣とか弓矢で、14種類もいるかなあ?そもそもあの箱邪魔じゃね?あと戦ってる最中「ええとこの戦いにはこの剣、と」とかやってる暇があんのか?なーんてちょっと突っ込んでみたくなったことをお許し下さい!でもとっても面白いアイディアの武器だと思いましたよ!

■『処刑剣 14BLADES』予告編

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yosinoteyosinote 2011/06/02 06:57 いつも読んでいますが、はじめまして。ヴィッキー=管野美穂はおんなじコトを思いました!ドニーさんが秘密道具を出すかのように剣をつかうのも、よかったですね。14本ある意味よくわからん、とか突っ込みどころは多いけれど、細かいことは気にならない、というか気にしない・・・!

globalheadglobalhead 2011/06/02 09:40 コメントありがとうございます。ああいう「芸能人の誰かに似ている」のって一回思っちゃうと映画観ている間ずーーっと頭から離れなくて既にもう自分の脳内ではその芸能人扱いなんですよね。以前『プレデターズ』観た時松本人志そっくりのヤクザが出てきて、おかげで映画観ている間中「なんでロドリゲスのSFアクションに松っちゃんが出てるんだ?」という違和感で頭がいっぱいになってしまいストーリーを楽しむどころではなかったことを強く憶えています。
しかし『14BLADE』、なんで14なんですかねえ。確かに3BLADEとかじゃ貧弱だし6BLADEぐらいでも物足りないような気がするし10BLADEだとキリがよすぎて面白みが無いし逆に15BLADEを超えると多すぎて「それ重くて運べるはずないだろ普通」というツッコミが国内外から飛び出すことは必至だしここはやはり11BLADE〜14BLADEあたりが順当という計算だったのではないか?そうなのではないか?と思うわけなんですよ。

yosinoteyosinote 2011/06/03 00:01 自分も芸能人への変換癖があるので、わかります。『イップマン序章』にも出てるラム・カートンって、いつもヒロトの弟に見えてしようがないんですよね。両者ともすきなんですけど。
14のナゾ、面白い!世の中的にフィーチャーされる数字は大体奇数のような気がしますが、今回の映画では偶数なんですよね。13は西洋的に意味合いが重過ぎるし…脚本会議でノリで「14くらいにしとく?」って決めてたりするのかもしれませんね。想像したらおもしろい…

チャトランチャトラン 2011/07/18 01:27 14は中国語で「要死(死にたい)」と音が同じで
不吉な数字とされているようなので
使ったんじゃないですかねぇ?

なぜ今頃それを書くかというと、
亀戸モツ2次会で「皇帝の14bladesの記事でそういう話(何故14なのか?)と
書かれたからコメントしようとしたんだけど何度やっても下の画像認証で
弾かれちゃってもういいやぁってなったんですよねぇ」
て話をしてたんです。ってことで今度こそ・・・エイッ

globalheadglobalhead 2011/07/18 09:23 チャトランさんコメントありがとうございます。先日のモツ会いつものように楽しかったですよ。
「14」って中国じゃあそんな意味にも取れるんですね。欧米で「13」が不吉な数みたいなもんなんですな。きっとその推測で合っているのではないでしょうか。
ってかオレのいないところでもオレの話題でもちきりなのか!?さすがオレ人気者!

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20110530(Mon)

[]見知らぬ大地〜グラフィック・ノベル『アライバル (作:ショーン・タン)』 見知らぬ大地〜グラフィック・ノベル『アライバル (作:ショーン・タン)』を含むブックマーク 見知らぬ大地〜グラフィック・ノベル『アライバル (作:ショーン・タン)』のブックマークコメント

『アライバル』は文字の無い絵本である。それはこんな物語だ。

最初に家族の肖像が描かれる。一人の男とその妻、そしてその娘。時代は20世紀半ばほどだろうか。場所は東欧のどこかの町だろうか。男は旅支度をしている、どうやら一人旅のようだ。蒸気機関車に乗り妻と子に見送られる男。それから男は大型の旅客船に乗り継ぐ。海の旅はとても長い長い旅だ(船旅の長さを表わすためにここではなんと60コマを使って延々と移り変わってゆく雲の絵ばかりが続く)。

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そして男がようやく到着した所、そこは…。

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そこは、奇妙な建物が立ち並ぶ、幻想の異世界だったのである。

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作者はオーストラリアのイラストレーター・作家、ショーン・タン。この絵本『アライバル』は、セピア色で描かれた一見ノスタルジックな雰囲気から始まるが、大勢の移民たちが新天地に辿り着くと、その世界は突然がらりとファンタスティックな異世界へと変貌するのだ。今まで見た事もないような幻想的な佇まいを見せる町並み、あちこちに闊歩する不思議な生物、見慣れない食べ物、理解不能な文字や習慣。主人公である男はこの新天地で驚愕し、戸惑い、好奇心でいっぱいになる。男はこれからこの町に住み、仕事を見つけ、生活していかなければならない。物語はおっかなびっくり始まる男の毎日を追いながら、次第にこの世界に打ち解け馴染んで行く男の様子を描いてゆく。この作品で、特別なドラマが物語られるということはない。未知の国で淡々と、そして精一杯生きようとする、一人の中年男の平凡な日々が描かれるだけだ。

しかし、読み始めれば気付くだろうが、ここで描かれる幻想の異世界は、空想や妄想の世界なのではなく、「文化も生活様式も全く違う異邦を訪れたとき、人にはその世界がどのように異様で不可思議なものとして目に映るのか」ということを、ファンタジックな絵を通して描いているに過ぎない。男は、多分ヨーロッパのどこかの町から、新天地アメリカへと移住した男なのだろう。20世紀中期の、夢と希望に溢れ、新しく珍奇な文化を謳歌し、豊富な物資に恵まれ、豊かさを満喫していた、自由の国アメリカ。ヨーロッパの田舎町からやってきたこの男が、アメリカという巨大な国の懐に抱かれたとき、この国をどのように感じたか、どのように見えたのか、その驚きと、世界の新鮮さを、感情や言葉ではなく、【絵】で描いた物語、それがこの『アライバル』なのだ。

物語は、この世界で苦労をしながら、やはり同じ境遇に生きる移民者たちと心を通わせて行く主人公を描いてゆくが、これら主人公と出会う人々の、生まれた国から出なければならなかった理由を描く幾つかのエピソードが、これがまた凄まじい幻視をまとったグラフィックとして表現される。主人公の男のような経済的な理由のみならず、そこには、戦争や侵略といった、20世紀中葉の世界のどこかできっとあったであろう不幸で不安に満ちた生活を強いられた人々の、その恐怖のさまが、悪夢のような幻想として描かれてゆくのだ。そして、それを乗り越え、今新しい生活を始めた人々が、精一杯生きようと模索するさまが、物語に深い陰影を与えている。

そういえば、男が国に残してきた妻と子はどうしているのだろう。男と家族は、再び会うことができるのだろうか。それはこの絵本を読んで是非確認してほしい。一切の文字も台詞も用いず絵画の説得力だけで最後まで描ききったこの物語、ラストはきっと心に暖かなものを運んでくれるはずだ。

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なお、自分は日本の出版社から出たものを買ったのだけれど、文字がないのなら、洋書で買ったほうが安くつくかも知れない。

アライバル

アライバル

The Arrival

The Arrival

chirigamichirigami 2011/05/30 12:31 読み終わった後もこの世界にもっと居たいと思わせる素晴らしい作品でしたね。
この作家の他の作品も読んでみたくなりました。
自分は洋書で買いましたが、そもそも英語の部分が無かったのでこの作品の場合は全く問題なかったです。

globalheadglobalhead 2011/05/30 17:59 おお、chirigamiさんもこの本読まれましたか。映画といいゲームといい趣味の広い方ですね。
表紙が一見地味な分どんな内容なのか知らない人には分かりにくてちょっと損をしている作品ですね。
自分も読んでみるまではどんなお話なのか全く想像できませんでした。
今回書いた記事で興味を持ってくれる方がいれば嬉しいなあと思います。
ショーン・タンは他の作品も読んでみたくなりますよね。
こういった文字の無い本ばかりではないようなので、英語の苦手な自分としては他の作品の翻訳を期待しています。

chirigamichirigami 2011/05/30 19:43 いえいえ、こちらも好きなものが頻繁に登場するので驚いております^^;
表紙は確かに地味ですが、読んだあとではこの古書風の表紙が作品の世界観にぴったりなのが分かりますね。
自分も英語の文章はよく分からないので、もっと日本で知名度も上がってバンバン翻訳されるといいなあと思います。

globalheadglobalhead 2011/05/30 20:42 そうですね、装丁のトータルなコンセプトも美しいですよね。
本の見返し部分に描かれた移民たちの沢山の顔の、その人種の多様さ、顔付きのバラエティを眺めているだけでもいろんな想像が沸いて楽しいんですよ。
さらに栞ひもが太くて金色で、これだけでも豪華な感じがするのに、グラフィックのセピア色と相まって、とても美しいアンサンブルを見せているんですよね。
調べるとショーン・タンは「アライバル」と同じ出版社から、「Tales From Outer Suburbia」の翻訳予定があるようですよ。

chirigamichirigami 2011/05/31 03:52 おお、それは朗報ですね!
ショーン・タンのサイトを見るとこの作品もまた独特の世界観のようで楽しみです。

globalheadglobalhead 2011/05/31 09:35 今回はセピア色で統一されていましたが次回はもっとカラフルな世界が展開しそうですね。自分も楽しみです。

20110527(Fri)

[]世界の小さな終末〜スティーヴン・キング畢生のホラー大作 『アンダー・ザ・ドーム』 世界の小さな終末〜スティーヴン・キング畢生のホラー大作 『アンダー・ザ・ドーム』を含むブックマーク 世界の小さな終末〜スティーヴン・キング畢生のホラー大作 『アンダー・ザ・ドーム』のブックマークコメント

■アンダー・ザ・ドーム (上)(下) / スティーヴン・キング

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■そこは人口2000人程の田舎町

メイン州の小さな町チェスターズミル。人口およそ二〇〇〇人。その町は突如、透明の障壁に囲まれた。上方は高空に達し、下方は地下深くまで及ぶ。“ドーム”と呼ばれるようになった障壁は、わずかな空気と水と電波を通すのみ。パニックのなかで、命を落とす者が連続する。そこで動き出すのは町を牛耳る男ビッグ・ジム・レニー。警察力を掌握したビッグ・ジムは混乱に乗じて恐怖政治を開始した。“ドーム”のなかで一触即発の内圧が高まりはじめる―。アクセル踏みっぱなしの小説を書く―そう決意して、“恐怖の帝王”キングが、その才能と筆力のすべテを恐怖と緊迫のために叩き込み、全一四〇〇ページを一気に駆け抜ける。巨匠の新たなる代表作、誕生。 (Amazon 紹介文より)

一つ:そこは人口2000人程の田舎町である。
一つ:そこは突然現れた透明の壁によって覆われてしまった世界である。
一つ:その壁は【絶対に】破ることが出来ない。
一つ:そこからは誰も出られず、誰も入ることは出来ない。
一つ:外界との連絡はある程度可能である。
一つ:食料と燃料は限られている。
一つ:刻々と大気は汚染されている。
一つ:そこに住む人々はパニックで暴発寸前である。
一つ:そしてその町には、絶対的な権力を得ようと恐怖政治を敷く男がいた。
――これがスティーヴン・キングのホラー小説、『アンダー・ザ・ドーム』のアウトラインである。

■アクセル踏みっぱなしの小説

海の向こうから「キングがなにやらとんでもない新作を発表したらしい」という噂を聞いてから早数年。そのボリュームもクオリティもキング作品の中でダントツと言われる新作、『アンダー・ザ・ドーム』の翻訳版がやっと日本にもお目見えすることとなった。いや、やっとというか、思ったより早かった、と言うべきかも知れない。しかも分厚い分値段も張るだろうな、と思っていたが、出版されたソフトカバーの装丁はなかなかに扱いやすく、それによりコストダウンも図ったのか思ったより高くつかなかった。このへん、出版社の尽力の賜物だろうし、商売も勿論あるだろうが、「キング愛」を感じさせるものがあった。

さて『アンダー・ザ・ドーム』だ。既にあちこちで言われていることだが、この作品、滅法読みやすい。キングの言う「アクセル踏みっぱなしの小説」そのままに、物語は不安と恐怖をマシンガンのように次々と射出する。ダレる場の無いその展開はただ単に一本調子に進んでいるのではなく、細かな緩急が正弦波のようにアップダウンを繰り返し、物語全体に鉄壁のドライブ感を生み出しているのだ。もうひとつ言えば、テーマにややこしい要素が一切無いこともこの読みやすさに繋がっているだろう。読みやすく、分かりやすいのだ。これはベストセラー・メーカーであるキングの、エンターティメント作品を生み出すために長年培ってきた匠の技が成せるものに間違いない。さらに付け加えるなら、翻訳の白石朗氏の絶妙な訳文が、この読みやすさを数段加速させていることも忘れてはならない。

■愚か者たちの船

物語は極限状況に置かれた人々と、その不安をあおってパニックを生み出し、絶対的な権力を握ろうとするよこしまな男、そしてそれを阻止しようと絶望的な戦いを挑むグループの、それぞれが交差するドラマが描かれる。面白いのはこの物語においてはドームに閉じ込められた町を描くことを主軸としており、ドームの外の世界が殆ど描かれないという事だ。"人知を超えた不可解なドームの出現"というものに対するアメリカ社会、さらに世界の反応と言ったようなものはこの小説では描かれないのだ。僅かに外の世界の代表として、ドームとの連絡役であるアメリカ軍代表者が主要人物として登場するだけで、物語はドーム内の"地獄"を克明に描くことに終始する。

一つのコミュニティが完膚なきまでに崩壊する様を描くのは昔からキングの好むテーマの一つだ。『呪われた町』しかり『トミー・ノッカーズ』しかり『ニードフル・シングス』しかり。これらの作品とこの『アンダー・ザ・ドーム』との共通点は舞台がアメリカの片田舎にある小さな町であるという事だ。それはのどかで素朴で、アメリカの原風景を思わせる場所であると同時に、貧困や無知、旧弊な価値観、遅れた文化、開かれていない人間関係が存在する場所でもあるのだ。キングの物語は、これら片田舎に住む住民たちの、無自覚な蒙昧ぶりに揺さぶりを掛ける。この『アンダー・ザ・ドーム』もその例外ではない。たかだか田舎町のボス猿であることに血眼になってこだわる本編の悪漢、ビッグ・ジム・レニーはもとより、町の住民たちにも大なり小なり愚昧で野卑な人間たちが存在し、町は愚か者たちの船と化して悲劇に拍車を掛けるのだ。

■暴力、暴力、暴力

そして閉ざされた町に暴力の嵐が吹き荒れ始める。暴力、暴力、暴力の嵐だ。町を覆う透明な巨大ドームという超自然的な設定はそこで行われる暴力とそれがもたらす惨たらしい死を描く為のお膳立てに過ぎない。頭のタガが外れた青年の殺人劇に始まり、陰謀によりパニックに到った人々の略奪行為、ビッグ・ジムによって組織されたならず者警察官たちの横暴、脅迫、レイプ、ビッグ・ジムに逆らうものへの弾圧、焼き討ち、逮捕監禁、拷問、リンチ、密殺、そしてテロリズム、銃撃戦、破壊、およそ【暴力】と名の付くあらゆる血生臭い行為が、つい数日前までのどかで平和だった筈のこの小さな町で行われるのだ。異様な事態に直面した時、人はどれだけ簡単にモラルを捨て、まともな思考を放棄し、下衆なものに成り下がるのか、その陰惨なショウケイスを見せられているかのようだ。

町の悪漢、ビッグ・ジム・レニーは悪辣な陰謀家だが、それに容易く鼓舞され理性を失い無法を無法と思わぬ住民たちのなんと多いことか。もちろんビッグ・ジムの行為を糾弾し、彼の悪事を暴こうと画策する主人公たちの集団も存在するのだが、この物語で起こる殆どの死と暴力は、町の住民たちの【愚劣さ】ゆえに起こされたものばかりなのだ。即ちこの小説において、暴力は【愚劣さ】によってもたらされ、その【愚劣さ】により、町は恐怖の支配する世界へと化し、そして究極の破滅へと雪崩のように転がり落ちてゆくのだ。死へと暴走するレミングの群れと化したチェスターズミルの住民たち、彼らの最期に待つものは何か。救いはあるのか。ドームとはなんだったのか。小説『アンダー・ザ・ドーム』はクライマックスに向けて火を噴き墜落する旅客機のように破壊をばら撒きながらひた走る。

アンダー・ザ・ドーム 上

アンダー・ザ・ドーム 上

アンダー・ザ・ドーム 下

アンダー・ザ・ドーム 下

agatha03agatha03 2011/05/27 21:47 こんにちは。 たった一週間の出来事、というのがすごいですよね。 神は7日間で世界を作り、それを人間が7日間で壊すのか、と。
あと、ドームのイメージ画像かっこいいですね!映像化がたのしみです。

globalheadglobalhead 2011/05/28 07:17 本読むスピードが遅い自分でさえよくもこの分厚さをこのスピードで読めたなあ、と思ったぐらいです。でも内容が薄いわけでは決して無いというのが凄いんですよね。
そして展開も速かったですねえ。人が死んでゆく数もスピードもハンパ無かったですよねえ!3ページに1人は死んでますよねえ!たった1ページで(モニョモニョ)もあったなあ!
全く恐ろしい小説だわ!
TVドラマ化されるという噂ですが、とりあえずビッグ・ジムをどんな憎たらしい顔の俳優がやってくれるまず楽しみですね。

20110526(Thu)

[]ゆるふわスパイ・ラブコメ〜映画『キス&キル』 ゆるふわスパイ・ラブコメ〜映画『キス&キル』を含むブックマーク ゆるふわスパイ・ラブコメ〜映画『キス&キル』のブックマークコメント

■キス&キル (監督:ロバート・ルケティック 2010年アメリカ映画)

キス&キル [Blu-ray]

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キス&キル [DVD]

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結婚したカレは秘密エージェントだった!?というスパイ・アクション・ラブコメ映画です。『パーフェクト・ライズ』とか『ナイト&デイ』とか『Mr.&Mrs. スミス』とか似たようなスパイ・コメディは沢山あるかと思いますが、割と嫌いじゃないですねこの手のオハナシ。基本的にスパイモノって好きなんでしょうね。プロット的には被らないけど『オースティン・パワーズ』シリーズとか『ゲット・スマート』あたりも楽しんで観たもんなあ。やっぱり【秘密任務】ってやつにグッと来るんでしょうか。そういや子供の頃玩具のスパイ・グッズとか買って喜んでたもんなあオレ。さて今回の『キス&キル』、主演のスパイであるアシュトン・カッチャーは分かりやすい優男だし、ヒロインのキャサリン・ハイグルは分かりやすい美人だし、監督は分かりやすいラブコメ映画を多く撮ってるというロバート・ルケティックという人だし、つまり全体的に実に分かりやすいライトなお話となっているわけですな。運命の女性と出会ってスパイ稼業から足を洗った男が後々組織から命を狙われる、という物語なんですが、冒頭は風光明媚な南フランスから始まり華麗なスパイ任務の様子やロマンティックな出会いなどをゴージャスに描きながらも、中盤からはせせこましい御近所のみを中心にドタバタするっていうスケールダウン感が、狙ったのか単に予算が無かったのかは別としても可笑しかったです。やっぱりどんなにイケメンで切れ者のスパイでも、結婚して落ち着いちゃうと所帯じみちゃうのは免れないってことなんでしょうかねえ。しかしいくら組織を抜けたからと言ってあんだけのヒットマンの頭数揃えて何年も潜伏させて虎視眈々と命を狙うって、随分回りくどいというか気の長い組織ではあるよなあ。全体的にはスパイ・アクションというよりもゆるふわラブコメな要素の方が比重が大きい映画でしたね。まあゆるふわ、というよりもちょっとゆるゆる、だったかもしれないけど!

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[]ファミリー向けSFコメディ〜映画『屋根裏のエイリアン』 ファミリー向けSFコメディ〜映画『屋根裏のエイリアン』を含むブックマーク ファミリー向けSFコメディ〜映画『屋根裏のエイリアン』のブックマークコメント

■屋根裏のエイリアン<未> (監督:ジョシュ・シュルツ 2009年アメリカ映画)

バカンスでやってきた別荘の屋根裏に地球征服を企むちっこいエイリアン集団が襲来、これを打破する為に子供たちが立ち上がる!という日本未公開のSFコメディです。子供向けのお話ではありますが、それなりに予算を掛けているSFXやしっかり練られた物語構成で、大人の鑑賞にも十分堪えられる映画になっています。登場するキャラは人間たちもエイリアンたちもそれぞれ個性的に性格付けされており、そのキャラ同士の絡み合いが物語を楽しく盛り上げているんですね。地球侵略にやってきたエイリアン集団は凶悪ではありますがどこかヌケているところがユーモラスだし、子供たちはそれぞれの特技を生かしてエイリアンたちを撃退しようとします。そしてジュブナイルものの定番といいますか、大人たちはといえば全然つかいものにならないっていうのが可笑しいですね。エイリアンたちは人間を操る装置を持っているのですが、これが子供には通用せず、そのせいで子供たちだけでエイリアン退治に乗り出さねばならなくなっちゃうんですね。この装置により最初にゾンビ化したしたのは子供たちからもともと嫌われていた大学生なんですが、その後その装置を奪った子供たちが「あのいけすかない大学生をこの装置を使って操りまくっちゃおう!」とばかりに馬鹿なことばかりさせて遊ぶシーンがなんだか物凄くサディスティックで、大爆笑させられました。「昇龍拳を放つお婆ちゃん」とかマジ腹抱えたわ。後半はエイリアン集団がこの別荘にやってきた訳を知った子供たちとエイリアンたちとの戦いが激烈となり、思ったよりも派手なSFXを使ったクライマックスを迎えます。こじんまりとまとまってはいますが決して退屈することの無い作品だし、家族揃って観るのが楽しい映画だと思いますよ。

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20110525(Wed)

[]最近聴いたCD いつものようにテクノやらハウスやらをちらほらと 最近聴いたCD いつものようにテクノやらハウスやらをちらほらとを含むブックマーク 最近聴いたCD いつものようにテクノやらハウスやらをちらほらとのブックマークコメント

■Feed Forward / Sandwell District

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UKアンダーグラウンド・テクノシーンで活躍するSandwell Districtの1stアルバム。一曲目、まるでホラー映画のサントラみたいな不気味なイントロからダーク&ミニマルに展開しつつ、クライマックスで宗教音楽のように全ての緊張が解き放たれる音構成が実に素晴らしかった。その後の曲もダークでヘヴィーに鳴り響く音の中に一条の光のような美しいメロディが混在し、聴いていてふわっと別の世界へ持っていかれそうな妖しい輝きに満ちた傑作アルバムです。今日の強力一押しアルバム。 《試聴》

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■Fabric 57 / Agoria

Fabric 57: Agoria

Fabric 57: Agoria

Fabricの57番はフレンチ・テクノDJ、Agoria。実はこのDJについてはよく知らなかったんですが、フランスではあのLaurent Garnierと並ぶ人気DJだとか。フレンチ・テクノといえば雑食性の高い選曲と腰の強いプレイを連想しますが、このAgoriaもデトロイト・テクノをそこここにちりばめた華麗な選曲とエモーショナルに盛り上がるDJセンスでかなり気に入ってしまいました(まあオリジナル・アルバムは試聴したところイマイチだったんだが…)。ラストがElla Fitzgerald With The Buddy Bregman Orchestraの「Night and Day」なんていうのも粋ですね。 《試聴》

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■Primary Structures / Âme

ジャーマン・テックハウス・レーベル「INNER VISIONS」をDIXONと共に主宰し、数々の名曲も生み出しているユニット・Âmeの最新MixCD。これがまた例によってハウス/テクノの枠に収まりきれない色彩感覚豊かなエレクトリック・ミュージックで、その変幻自在なMixはまるできらびやかな万華鏡のような音響世界。注目作です。(※動画の「Âme - Rrose Sélavy」はアルバム収録のものとは別バージョン) 《試聴》

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■Analog Aquarium / Rick Wilhite

ANALOG AQUARIUM

ANALOG AQUARIUM

Theo ParrishMoodymannと共に3Chairsに参加していたRick Wilhiteの1stソロはビートダウン系のディープなデトロイト・ハウス。タイトル「Analog Aquarium」にあるようにアナログにこだわった音造りをしているらしく、ソウルフルな温もりを感じさせます。 《試聴》

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■Forward To The Past / Steve Bug

Forward To The Past

Forward To The Past

ドイツのミニマル・テック・ハウス・プロデューサー、Steve BugのレーベルPoker Flatからのコンピレーション・アルバム。これが意外とオールド・スクールなアシッド&シカゴ・ハウス。あーしかしこの辺はあんまり好みの音じゃなかったな。 《試聴》

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■Music From Mathematics Selector Series One / Daryl Cura

Music from Mathematics..

Music from Mathematics..

「なんか軽いハウスものでも聴きたいなあ」と思ってざっくり探して見つけたCD。Mathematics Recordingsというレーベルの名は聞いたことは無いのですが、1曲目Bocca Grande「Adlibitum」のピアノの音が爽やかで気に入りました。 《試聴》

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20110524(Tue)

[]今度は復讐だ!〜映画『30デイズ・ナイト2:ダーク・デイズ』 今度は復讐だ!〜映画『30デイズ・ナイト2:ダーク・デイズ』を含むブックマーク 今度は復讐だ!〜映画『30デイズ・ナイト2:ダーク・デイズ』のブックマークコメント

30デイズ・ナイト2:ダーク・デイズ <未> (監督:ベン・ケタイ 2010年アメリカ映画)

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ヴァンパイアによって98人の犠牲者を出したアラスカ州の町バロウ。事件から一年、その町の数少ない生き残りであり、夫をヴァンパイアによって失ったステラは、事件の真相を世間に伝える為アメリカの街々を公演していたが誰一人として信じる者はいなかった。しかし、そんな彼女に密かに接触する集団がいた。彼らはステラと同じく肉親をヴァンパイアによって奪われ、復讐を誓った者たちだった。折りしも彼らはある情報源から、ヴァンパイアたちの首領であるリリスが潜んでいるという場所を知ることになる。大量の銃器を携え、ステラと仲間たちはヴァンパイアとリリスのいるという根城へと潜入する。"30日の極夜"の町でのヴァンパイアと人間たちの死闘を描いた『30デイズ・ナイト』の続編。

前作では極寒と暗黒に閉ざされた町での殺戮劇でしたが、この2作目ではロスアンジェルスの街を舞台に物語りは進行します。前作で一方的に屠られていた側が今度は狩る側へと転じるのです。1作目のラストで夫を失うという悲劇に見舞われた女性が復讐の為に立ち上がるんですね。ストーリーは原作コミックをほぼ踏襲した形になっており、この2作目ではボスキャラであるリリスをはじめ、ヴァンパイア協力者のFBI捜査官、逆に人間側に協力するヴァンパイアなどが登場し、1作目とは違う流れになっているところが新しいですね。ただし、主演ジョシュ・ハートネット、プロデューサーにサム・ライミを迎え、そこそこの話題作として公開された前作と比べ、この『ダーク・デイズ』は映画ではなくオリジナルビデオ作品として低予算で製作されており、日本でもDVDスルー作品になっています。

確かに1作目と比べると締りの無い部分が見受けられるのは確かです。主人公ステラの仲間に3人の男女が登場するんですが、最初コワモテな戦闘集団のごとく登場する彼らがいざヴァンパイアの本拠地へと潜入すると、アサルトライフルやら機関銃やらを手にしている割にはフォーメーションはなっていないし軽装だし、潜入計画自体なんだか杜撰だったりするし、挙句の果てにその中の1人の女なんてすぐ「私もう帰りたーい」とか抜かす根性の無いヤツで、これでホントに今までヴァンパイア狩りなんかしてたのか?と首を捻りたくなってくるような体たらくなんですよ。なんだか「これからぶっ殺しに行きます」という気迫や緊張感が無いんですよね。ハートマン軍曹に一回鍛え直してもらう必要があると思いましたね。

ただし主人公ステラはやはり凛々しく女戦士然とてハードボイルドな雰囲気を醸し出していました。そういった意味では『エイリアン』シリーズのシガニー・ウィーバー、『バイオハザード』シリーズのミラ・ジョボヴィッチみたいな"戦う女戦士"の系譜上にある映画として観る事も出来ますね。主演を演じたキエレ・サンチェスは地味な経歴の女優さんですが、やっぱり"戦う女戦士"役だとカッコよく見えちゃいますね。対するリリス役の女優さんもヨーロピアンなダークさを醸し出していてよかったですよ。まあ、作品の出来としてはそれほどでもないんですが、『30デイズ・ナイト』の後日談ということで、前作を楽しめた方にはそこそこ面白く観れるんじゃないかな。

参考:30日間の闇の中で繰り広げられる吸血鬼サバイバル!〜映画『30デイズ・ナイト』 『30デイズ・ナイト』コミック・シリーズ

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20110523(Mon)

[MOVIE]映画『パイレーツ・オブ・カリビアン / 生命の泉』はピシャンピシャンキシャーキシャーだったッ?! [MOVIE]映画『パイレーツ・オブ・カリビアン / 生命の泉』はピシャンピシャンキシャーキシャーだったッ?!を含むブックマーク [MOVIE]映画『パイレーツ・オブ・カリビアン / 生命の泉』はピシャンピシャンキシャーキシャーだったッ?!のブックマークコメント

パイレーツ・オブ・カリビアン / 生命の泉 (監督:ロブ・マーシャル 2011年アメリカ映画)

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パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの新作・第4作目『パイレーツ・オブ・カリビアン / 生命の泉』です。これまでもこのシリーズ作品は観ていましたが、1作目『呪われた海賊たち』は良くも悪くも健全なディズニー・アトラクション・ムービーといった雰囲気でしたね。しかし2作目『デッドマンズ・チェスト』はどこではじけたのか絶妙なスラップスティック・アクションとダーク・ファンタジーの華麗な融合が楽しい傑作映画でした。シリーズではこの2作目が一番好きですね。ところが3作目『ワールド・エンド』は売れに売れた2作目の夢よもう一度とあれこれ盛り込み過ぎ、結果的にとっ散らかった失敗作になっていましたね。そしてこの4作目では監督をこれまで3作を手掛けてきたゴア・ヴァービンスキーからロブ・マーシャルに変更、さらに3作目で物語に一区切り付いた為か登場人物を一新しての新シリーズという形になっていますね。IMAX3Dで観てきましたよ。

物語は永遠の命をもたらすという"生命の泉"のある島を巡り、スペイン海軍、英国軍側に付いた海賊バルボッサ、史上最強の海賊と謳われる黒ひげの、三つ巴の戦いに主人公キャプテン・ジャック・スパロウが絡む、というものです。物語進行はとってもシンプルで、かなり直線的に伝説の島へと向かっちゃってあっさり着いちゃったりしちゃうんですね。そのシンプルさの割に物語の尺は141分と相変わらず長くて、きっと山あり谷ありのエピソードを盛り込んだものにしようとしたのでしょうが、この盛り込まれたエピソードとその設定が無駄だったり無意味だったりするものが多くて物語に生かせていないんです。例えば渓谷を下るのを嫌がるジャックにロシアン・ルーレットをさせるシークエンスや、黒ひげとアンジェリカが親子なのかそうじゃないのか、といった設定が、実はあってもなくてもいいようなものだったりしているんです。この辺シナリオがかなり弱いんですよね。

にもかかわらず描くべきものや見せるべきものをきちんと見せていない。新キャラである「史上最強の海賊・黒ひげ」が、何故"史上最強の海賊"で、そして黒魔術が使えるのか、ちゃんと描いていないんです。この黒ひげのバックストーリーが描かれていないせいで、黒ひげがどれほど恐ろしい男なのか全然分からないんです。さらにこの黒ひげとバルボッサという、むさ苦しい悪モンの海賊二人のキャラがかぶっちゃってるんですよ。ここはバルボッサは登場させず、悪の海賊は黒ひげ一人にしたほうが、黒ひげという海賊の悪の魅力をもっと掘り下げて描けたでしょうし、ジャック・スパロウ側と黒ひげ側の対立の構図を中心とすれば分かりやすい物語になったような気がするんです。そして英国海軍側は黒ひげとは真逆のキャラを持ってきて絡ませたほうがメリハリが付いて面白かったのではないか。それとジャック・スパロウという男はこれまでのシリーズでも一見主役のようでありながらトリック・スター的な存在だったので、黒ひげと対立すべき中心的な善玉なキャラがもう一人必要でしたが、今回は宣教師がその役を引き受けたにもかかわらず、これがキャラ的に弱くいつも腰が引けてて魅力が無い。このへんのキャラの立て方の不味さも敗因の一つだと思いますね。

これまでの『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズは、呪われた骸骨船員や魚介類船員などのダーク・ファンタジー風味のクリーチャーが魅力の一つになっていますが、この4作目では人を餌食にする人魚の存在がそれに当たるでしょうね。この美しくも獰猛な人魚の群れがピシャンピシャンキシャーキシャーいいながら人間たちと戦うシーンはこの映画の中のハイライトといえるでしょう。この人魚からは"生命の泉"での儀式に必要な"人魚の涙"を得なければならないんですが、この人魚の描き方も微妙で、後半この人魚と人間の恋が描かれますが、でも捕食者と被・捕食者であると最初に描いているわけですから、これが恋愛関係になる、っていうのが意味不明なんですよね。そしてこの部分しかファンタジー風味が無かったのが物足りなかった。他にもスペイン海軍が躍起になって"生命の泉"を目指す理由も説得力が無いし、黒ひげとアンジェリカの関係の描かれ方も中途半端です。2作目にあったようなスラップスティックなアクションの妙味は冒頭だけで、全体的に見ると詰めの甘い、ちょっと残念な作品に仕上がってしまっていましたね。もうちょっと制作費をかけるべきだったかもなあ。

パイレーツ・オブ・カリビアン / 生命の泉

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chirigamichirigami 2011/05/23 12:35 全く同意です。
これでも制作費は2億ドルかかってるそうですから、お金よりも脚本をもっと練るべきでしたね。
ダークファンタジー部分もゴア・ヴァービンスキーならもっとうまくやったかなと。
このシリーズは大好きですが、これ以上はもう難しい気がします。

globalheadglobalhead 2011/05/23 16:15 今回は2作目3作目よりも少ない制作費160億円の内、31億円がジョニデのギャラらしく、その辺であれこれ削っちゃわなきゃならなかったのかな?なんて勘ぐっちゃいましたよ。監督のロブ・マーシャルはもともと振り付け師として活躍していた人みたいですが、「パイレーツ〜」みたいなアクション&ファンタジーものにはちょっと向いていなかったんじゃないかなあ。

lazy-daisy5113lazy-daisy5113 2011/05/23 21:50 凄いな〜31億!
ってそこに食い付いてみた。
ところでジャックのパパは出て来ますか?

globalheadglobalhead 2011/05/23 22:43 ジャックのパパ出てましたよ確か。特殊メイクしまくってたからホントにキース・リチャーズだったのかは謎ですが…

chirigamichirigami 2011/05/23 23:38 あのシーン、ジョニーデップとキースリチャーズは撮影時直接会ってはいないようですよ。

globalheadglobalhead 2011/05/24 00:05 おおやっぱり本物でしたか。
前作に出てたから今作もそうなんだろうな、と思いつつ、
なんかホントにちょっと出てきてあっという間に消えたし、前作ほど華々しい登場の仕方でもなかったんで、意外と別人?とか思ってたんですよ。

20110522(Sun)

globalhead2011-05-22

[]またしても新大久保でオフだった またしても新大久保でオフだったを含むブックマーク またしても新大久保でオフだったのブックマークコメント

先日の土曜日はまたしても新大久保の韓国酒場でオフ会でありました。主催のイズム君が栃木から上京されるというのでいい機会だからみんなで集まって飲みましょうや、ということになったんですね。参加されたのは侍功夫さん、ストロツェックさん、テルミンわちこさん、チャトラネコ君、ダーク・ディグラーさん、ナマニクさん、小覇王さん、ぱせよさんとオレ、という総勢10名の大所帯。

場所は「韓国料理 クンバリ 新大久保本店」、小さなお店でしたがなぜか店内がミリタリー風味だったかと思えば店員さんがイケメンだったり(まあオレには負けるが)(すいません嘘です許してください)と、なかなかにユニークなお店でありました。

途中オレは集まったワカモノたちにDVDなどを無理矢理貸し与えたり、「"バス男"のジョン・ヘダー似」と言い渡していたイズム君を「"スコピル"のマイケル・セラ似」と格上げして(しかしこれって格上げなのか?)あげたりして見え透いた人気取りをすることを忘れていませんでした。

さらにこれを機にワカモノたちに絶大な人気を得ている新潟のカリスマ映画ブロガー・カトキチ君からオレに乗り換えるように、と実に姑息なお願いなどをしてオレの人間性の本質を見せ付けることすら厭わなかったのを告白しておきます。

ここでオレがどれほどいやらしい行動をとっていたかはストロツェックさんの日記「Napoleon Dynamite Goes East−「栃木のバス男」を囲む会」を読んでいただければ分かると思いますので多くは書きませんが、まあザックリ言って、ホントにジジイの酔っ払いってイヤーねー!会は2次会へと続きましたが実は酔っ払っててあんまりいろいろ覚えていないんです!毎度毎度失礼なヤツで各方面の皆様方本当にすいません!これに懲りずまた飲んであげてください…。

katokitizkatokitiz 2011/05/22 21:53 とりあえずバス男を格上げしてないでオレとも飲んでください!

globalheadglobalhead 2011/05/22 23:44 また東京来たら一緒に飲みましょう!でも今度こそ大人しくしていたい!

20110520(Fri)

[]もう熊なんか怖くない!?〜映画 『プロジェクト・グリズリー』 もう熊なんか怖くない!?〜映画 『プロジェクト・グリズリー』を含むブックマーク もう熊なんか怖くない!?〜映画 『プロジェクト・グリズリー』のブックマークコメント

■プロジェクト・グリズリー<未> (監督:ピーター・リンチ 1996年カナダ映画)

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プロジェクト・グリズリー!カナダの山奥でグリズリーに遭遇した男がいた!プロジェクト・グリズリー!しかし彼は無傷で助かる!プロジェクト・グリズリー!それから彼は取り付かれたように【対熊スーツ】を作り始めた!プロジェクト・グリズリー!この映画は、究極の【対熊スーツ】作りを目指した一人の変わり者の姿を追った真実のドキュメンタリー・ドラマである!プロジェクト・グリズリー!

…というわけでドキュメンタリー映画『プロジェクト・グリズリー』なんですけどね、この【対熊スーツ】の男の話、随分前にYouTubeで観てゲラゲラ笑っていたことは覚えているんですが、まさか映画になっていたとはねえ…。【対熊スーツ】もかなりナニだけど、映画作るほうも作るほうだよなあ…。しかもあのタランティーノが絶賛したというんですからなおさら意味が解りません。

【対熊スーツ】作りの男の名はトロイ、彼は7年の歳月と150万ドルの資金を使い、改良に改良を重ねながら【対熊スーツ】を作っていくんですが、途中でテストと称して実際にスーツ着てバットで殴られてみたり吊るした丸太にぶち当たってみたり崖から落ちてみたり走行するトラックにはねられてみたりあまつさえ火の中に飛び込んでみたりするんですね。ってか熊は火ィ吐かねえと思うけど。これらのことを大真面目にやってるんですよ。で、「うん、大丈夫だ」とか「ここはもっと改良だ」とかやってるんですね。テストが終わったら村の仲間たちと酒場に【対熊スーツ】持ち込んでそれ眺めながらギャハハウハハと酒盛りしてるんですね。で、「このスーツは凄いぜ」とかなんとか言ってるんですよ。まあ実の所、娯楽のあんまり無い田舎のおっさんの暇つぶしなんですよ。そういやなんだかそん中でトロイさんだけカメラ意識してちょっぴりオシャレしてるんですよね。なんかそんなところもウザいんですよね。

で、またこのトロイさん、映画の中で語る語る。もう「自分語り」しまくりなんですよ。もうトロイさんの頭の中には熊と自分との気宇壮大な怒涛の大河ドラマが出来上がっているんですよ。根本敬的に言えば「頭の中にオーケストラがいて常に自分の人生のBGMを流しまくっている」状態なんですね。もうナル入りまくりなんですよ。それとか「銃は無粋さ…本当に自分の身を守るならナイフに限るね」とか言って華麗なナイフさばき見せるんですが山に入るときには銃持った仲間に守られてたりするんですよね。あと精神統一とか言って変な体操するんですが「それ今思いついただろ?」としか思えないなんかインチキな動きだったりするのが悲しみをなお一層倍化させます。

そもそもなんで【対熊スーツ】作ってるのか訳が分からないんですよね。【対熊スーツ】着て熊と一戦交えるのか?人間、熊、本当の強者はどちらなのか白黒はっきりつけたいのか?というとどうもそうでもなくて、「グリズリーが自分と遭遇した時になぜ自分を襲わずに引き下がったのか知りたい」とか訳の分からない事を言ってるんですよ。例え【対熊スーツ】着てグリズリーと対峙したからって、もちろん相手は喋れるわけではないですから判る訳がないんですよね。グリズリーに「俺はお前なんか怖くないんだぞ!」と見せ付けたいのかもしれませんが、そんなの熊にとってはどうでもいいことですよね?

まあ実際の所「自分は熊を目の前にしても引き下がらない男の中の男なんだ!」とか納得したいだけなんでしょうね。だったら武術でも習って"熊殺し"の異名をとるまで体を鍛え上げればいいのにそういうのはきっと面倒なんで【対熊スーツ】を開発することにしたんでしょうが、あんなもん着て熊の目の前にいるのも自分が檻に入って熊眺めるのも、「熊と対話する」っていうなら実は一緒じゃん?って思えて仕方ないんですけどね。

さていよいよグリズリーとご対面だ!とばかりに【対熊スーツ】をヘリコプターで山に運び、自らも山に入ってゆくトロイさんとオッサン連中ですが、なんとこの【対熊スーツ】、なにしろ重すぎて、着ても殆ど動けない!しかも斜面が登れない!だから山に持っていっても着て動くことが出来ない!ということが発覚するんですね!しかも山は冬のシーズンで雪降りまくり!とりあえず【対熊スーツ】は置いといて熊さん探しに行く一行ですが、やっと熊さんを発見するものの、今度は【対熊スーツ】が遠くにありすぎて持ってこれない!もうなにもかも後手後手の無計画さ!

そんなこんなで映画は悲しいというかむしろ下らなさ過ぎる終りを迎えるんですが、実はこの映画の後トロイさん、カルトな人気を得てしまって98年にイグ・ノーベル賞を受賞してハーバード大学で記念講演、03年にはアニメ『シンプソンズ』にトロイさんをパロったエピソード登場、といった具合に妙な認知を得、さらに調子に乗ったトロイさん、今度は【対熊スーツ】を遙かに超えた【対テロスーツ】を作っているというじゃありませんか!いやあ、苔の一念というべきか、バカは死ななきゃ治らないというべきか、でもやるんだよ!というべきか…。でもね、ここまでクサしといてなんですが、意外と憎めないのは、同じしょーもないアホアホなオッサンだからなんでしょうか…。

プロジェクト・グリズリー [DVD]

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○Troy Hurtubise: Project Grizzly

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○Troy Hurtubise II: Project Grizzly goes to war

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20110519(Thu)

[]ナノスーツを駆使して異星人と戦え!〜ゲーム『クライシス2』 (XBOX360) (PS3) (PC) ナノスーツを駆使して異星人と戦え!〜ゲーム『クライシス2』 (XBOX360) (PS3) (PC)を含むブックマーク ナノスーツを駆使して異星人と戦え!〜ゲーム『クライシス2』 (XBOX360) (PS3) (PC)のブックマークコメント

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2023年ニューヨーク、疫病と異星人の侵略で瓦礫と死体の山になってしまったこの街を舞台に、「ナノ・スーツ」と呼ばれるハイテク戦闘スーツを着た男を主人公として繰り広げられるSFタイプのFPSゲームです。

このゲームの主軸となるのはまずこのナノ・スーツの機能を駆使した戦いですね。「アーマー」と呼ばれる戦闘服の装甲強化、「クローク」と呼ばれる光学迷彩、この二つを使い分けながら敵を倒してゆくわけです。敵とガチバトルするときは「アーマー」を、隠密行動するときは「クローク」を使って難局を乗り切るわけですね。これらはそれぞれパワーを消費し、時間が経つとその効力は失われるので、特殊機能使いっぱなしということが出来ません。この時間勝負のせめぎあいがゲームをエキサイティングにしているんですね。

逆に言うと、ハイテク戦闘服を身に着けている割に、これらの機能を使っていないとすぐやられちゃうようなゲーム・バランスになっているんですね。決して無敵強化スーツというわけではないのが悲しいですが、まあそれだとゲームとして面白くなくなっちゃうんですけどね。ナノ・スーツには他にも敵の位置や武器補充場所をを知ることが出来る「ナノ・ビジョン」と呼ばれる戦略分析モニター、さらにキック・パンチ力、ジャンプ力を高める機能なんぞが付いているんですな。

このナノ・スーツ、もちろん軍事目的で開発されたのでしょうが謎の多い兵器で、ゲームではこのナノ・スーツを開発した企業がこれを奪還すべく私設軍隊を導入し、主人公はエイリアンのみならずこの私設軍隊とも戦わなければなりません。またナノ・スーツはエイリアンを倒した時に採取できる「ナノカタリスト」なる物質によりアップグレードが可能であり、中盤からはパワーアップのためにエイリアンをガシガシ倒すのが楽しくなってきます。当然人間よりもエイリアンのほうが固く、画面に登場すると緊張感が高まるのがまたいいですね。

グラフィックは大変綺麗で、破壊され瓦礫となったマンハッタンの街並みをはじめとする様々なロケーションが実にいい雰囲気を出しています。さらに空を飛ぶ宇宙船や地面を割って現れる巨大地中兵器、触手状の構造物がSFな気分を盛り上げてくれますな。ただ撃ちまくるだけではなくナノ・スーツによる様々な能力を駆使した戦い、謎に満ちたストーリー、特攻・隠密それぞれの作戦により複数のルートが選べるマップ、そしてこの美しいグラフィックと、実に完成度の高いゲームでありますよ。

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クライシス 2 - Xbox360

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クライシス 2 - PS3

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クライシス 2

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20110518(Wed)

[]『犬の力』の ドン・ウィンズロウ新作『フランキー・マシーンの冬』 『犬の力』の ドン・ウィンズロウ新作『フランキー・マシーンの冬』を含むブックマーク 『犬の力』の ドン・ウィンズロウ新作『フランキー・マシーンの冬』のブックマークコメント

■フランキー・マシーンの冬 / ドン・ウィンズロウ

フランク・マシアーノはマフィアの世界から足を洗ったつもりだった。地元サンディエゴで釣り餌店をはじめ複数のビジネスを営むかたわら、元妻と娘、恋人の間を忙しく立ち回り、“紳士の時間”にはサーフィンを楽しむ62歳の元殺し屋。だが“餌店のフランク”としての彼の平和な日々は、冬のある一日に突然終わりを告げる。過去の何者かが、かつて“フランキー・マシーン”と呼ばれた凄腕の存在を消し去ろうとしていた―。

何者かの罠にはまり姿をくらました伝説の凄腕“フランキー・マシーン”を、マフィアの刺客がつけ狙う。20年来の友人、連邦捜査官のデイヴ・ハンセンも重要証人の殺害容疑でフランクの逮捕状を取った。じりじりと包囲網が狭まる中で、フラッシュバックする記憶をふるいにかけるフランク。誰がなぜ、彼を消そうとしているのか。だが容疑者のリストはあまりに長く、残された僅かな時間は尽き果てようとしていた―。黄昏の元殺し屋に仕掛けられた罠。鬼才、円熟のクライム・ノヴェル。

去年オレの中では大ヒットだったクライム・ノヴェル『犬の力』を書いたドン・ウィンズロウの新作長編だ。しかし帯が可笑しい。「ミステリが読みたい!第2位 このミステリーがすごい!第1位 の『犬の力』に続く待望の最新作!!」となっているが、ぱっと見たらこの作品が年間ミステリの1位2位のように思えてしまう。確かに『犬の力』は本当に凄い作品だったが、この『フランキー・マシーンの冬』では趣向を変え、『犬の力』よりももっとライトで読み易い作品に仕上がっている。上下2巻だが活字の量も少な目で、たいがいの方なら1日2日もあれば読めてしまえるだろう。まあ本を読むのが遅いオレは10日ぐらい掛かったが。

物語は上の粗筋を読んでもらうとして、ザックリ説明すると引退したマフィアの殺し屋フランク・マシアーノがかつて所属していた組織に理由も分からないまま命を狙われるというものだ。凄腕の殺し屋だったフランクは数々の罠を鮮やかに切り抜けてゆくが、追っ手の追撃は決して止まず、フランクは逃亡を続けながら何故自分が命を狙われなければならないのかを探ってゆく。物語の構成は、フランクの逃亡劇を中心としながら、その合間合間に追想という形で、若かりし頃のフランクがマフィアの殺し屋になった理由、その後の数々の"仕事"の内容が語られてゆく。そしてその追想を通し、自らが命を狙われる理由に迫ってゆくのだ。

この追想で語られる"仕事"の数々が、それぞれに「ショート・クライム・ストーリー」という形で完結していて、長編の中に幾つもの短篇が並んでいるような仕組みになっている。読者は長編の大筋と一緒に、殺し屋フランク・マシアーノの半生に起こった細々としたエピソードを楽しむことが出来るのだ。それにより、今や鮮度の低いイタリアン・マフィアという犯罪組織を題材にしながらも、この構成の妙によって面白い小説に仕上げている。大作『犬の力』の後だというせいだろう、軽いウォーミングアップといった内容の作品だが、この軽快さがまた、ドン・ウィンズロウの新たな魅力を引き出していると思う。

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20110517(Tue)

[]『デアデビル:ボーン・アゲイン』は熱い展開の楽しめるコミックだ! 『デアデビル:ボーン・アゲイン』は熱い展開の楽しめるコミックだ!を含むブックマーク 『デアデビル:ボーン・アゲイン』は熱い展開の楽しめるコミックだ!のブックマークコメント

■デアデビル:ボーン・アゲイン / フランク・ミラー、デビッド・マツケリー

名作『バットマン:イヤーワン』のフランク・ミラー/デビッド・マツケリーコンビの原点。アメリカンコミックスの歴史を塗り替えた、伝説のハードボイルド大作!かつての恋人に裏切られ、宿敵キングピンに正体を知られてしまったデアデビルことマット・マードック。仕事を、友を、コスチュームまで奪われた彼に残されたものとは…。高貴なるヒーローの転落と再生を描く、男泣き必須の伝説的名作。四半世紀の時を超え、ついに邦訳なる。

デアデビルというと映画化された作品の評判が悪かった印象しかなかったが、そもそもこの映画化作品を観たかどうかすら覚えていない。う〜ん多分観ていない。だいたいコスチュームが赤いだけの全身タイツ、というのも派手なようでいて地味すぎないか?そんなわけで今回発売されたアメコミ、『デアデビル:ボーン・アゲイン』も、スルーするつもりでいたのであるが、なんだかネットの評価を見てみると、これが意外と良いではないか。「伝説のハードボイルド大作」だなて言われてるではないか。それでこれはひょっとして、と購入し読んでみたのだが、これが、なんと、あなた、大傑作ではないですか!

たとえばこれがバットマンあたりだと、バットマンとはどういうものであるか、殆どの読者は周知であろうし、既にして「バットマンとはかくあるべし」という部分から物語は始まるだろう。しかし、このデアデビルについては、「盲目だが超感覚を持つことで常人以上の能力を会得している男」であるということ以外は、少なくともあまりアメコミのことが詳しくないオレは、殆ど先入観無しにこの物語を読むことになったのだ。オレがこの物語をたいそう面白く読むことが出来たのもそのせいであろうと思う。

物語は、暗黒街の顔役キングピンの陰謀により、デアデビルことマット・マードックが全てを失うところから始まる。職を失い、友を失い、事務所を爆破され、警察に追われる身になり、命を狙われ、しまいには浮浪者同然となってしまうのだ。いかなスーパーヒーローといえども、現実的な生活の基盤を失うと、人として生きていくのが不可能になる、という物語展開がまず面白い。決して万能のスーパーヒーローではなく、傷つき絶望し失意のどん底に落とされる、一人の人間として描かれているのだ。そして物語後半は、破滅を体験した主人公が、生きる力を得て再び蘇り、そして復讐を誓う、という再生の物語として描かれてゆく。

デアデビルの正体がキングピンに知れ渡ったのは、実は薬物中毒者に成り果てたマット・マードックのかつての恋人が、薬欲しさに彼の正体を売り渡したからだった。ジャンキー特有のボロボロの哀れ極まりない容姿で登場する彼女は、やはり悲嘆と絶望の世界で生きる女性だった。しかしその後彼女は、良心の呵責から破滅した主人公の行方を追い求める。そして絶望に打ちひしがれたこのかつての恋人と、マット・マードックとの再開シーンが、これがもう涙無しでは見られない盛り上がりまくりの怒涛の展開で、物語をなお一層熱く盛り上げるのだ。そう、この『デアデビル:ボーン・アゲイン』は、感情に訴えかける実に【熱い】物語であり、原作者であるフランク・ミラーの、面目躍如ともいうべき、優れた作品であるといえるだろう。それと、敵役として登場する"ニューク"なる男のキチガイ振りもハンパ無いんで、ヴィラン好きにもお薦めかも!

◎参考:復活悪魔くん デアデビル:ボーン・アゲイン - 小覇王の徒然はてな別館

デアデビル ムービーファインアートバスト デアデビル

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20110516(Mon)

[]スコット君はシャバくてチャラいリア充セーネンだったッ!?〜映画 『スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団』 スコット君はシャバくてチャラいリア充セーネンだったッ!?〜映画 『スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団』を含むブックマーク スコット君はシャバくてチャラいリア充セーネンだったッ!?〜映画 『スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団』のブックマークコメント

スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団 (監督:エドガー・ライト 2010年アメリカ映画)

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■それはシャバかったッ!?

シャバいぜシャバいぜシャバくて死ぬぜ!!映画『スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団』は惚れた彼女と付き合うために彼女の7人の元彼を倒さなければならない、ということになったシャバいセーネンのお話なんだぜ!このスコピル、監督があのエドガー・ライト、ボーイ・ミーツ・ガールなお話にロック・ミュージックとド派手なエフェクトを駆使した奇想天外なゲーム・バトルが盛り込まれ、小ネタの効いたユース・カルチャー満載の映画に仕上がっているんですが、オレ最初に原作のコミック読んで少々出来上がりに不安を抱いていたことも確かだったんですよね。

原作コミックはブライアン・リー・オマリーによる、日本語版は全3巻の作品なんですが、これがねー、ちょっとチャラ過ぎるんだわ。22歳でニートでロック・バンドとかやってて毎日ふらふら生きてるくせに何故かモテモテ君で、物語冒頭では女子高生と付き合ってるんですが、物語が進んでいくうちに過去も結構あれこれ女の子と付き合ってたことが分かってきて、しかもラモーナに一目惚れしたしたらさっさと女子高生を捨てて、そのラモーナとも何の困難もなくあっさり付き合えて、元カレとの荒唐無稽な戦いを別にすればもうリア充中のリア充って言っていいぐらいノホホンと生きちゃってるんだわ。

■原作はつまんなかった!

もうねー、好きなことやって好きな彼女と付き合えて好きな生き方してて、何の葛藤も不安も苦悩も無い、実にお気楽な人間なんですよスコット君は。ロックンローラーなのになんでこんなシャバいの?ハングリーさが無いの?22歳のセーネンともなればもうちょっと悩んだり壁にぶつかったり社会から凹まされたりとかあるでしょうが普通。それがもうまるで無い。しかもそれまで付き合ってた女子をあっさり捨てられる冷淡なヤツでもあるんですよ。そしてそんなスコット君のたった一つの障害であるラモーナの元カレ軍団との戦いも、なんでか毎回スコット君の勝ちでね。こんな適当で好き勝手に生きてるヤツが、さらに戦いまで強いって、それちょっと出来過ぎちゃーうんかと。人生においては戦わないから負けた事が無く、恋愛においては振られたこともあるけど次々にカノジョを変えられて、荒唐無稽なバトルでは根拠も無く無敵って、いったい何ナメくさってるのこのお話?というのが原作の感想ですね。おまけに絵は下手だし、バトルが行われるのは唐突で、何故戦わなければならないのかの説明は無く、それ以外のドラマはといえば男女がくっついたり離れたり、あとはダラダラグダグダとどうでもいいような日常生活のあれやこれやが描かれるだけで本当に退屈だったんですわ。

でもね、本国ではこのコミック、そこそこウケているらしい。それで、オレみたいなおっさんの持つセーシュン像というのが、現在のワカモノと乖離しているからなのかもしれないと思ったんですよね。つまり年寄りの冷や水でしかない、と。セーシュンが屈折である、孤独なモンである、タクシードライバーのトラビス君みたいなモンである、そして何かハングリーであったり、現実と遮二無二戦ったりするモンである、というオレの考えが、もう前世紀的な古臭いもんなのかもしれないってね。それは、今のワカモノは彼らなりに孤独だったり戦ったり苦悩したり屈折したりはしているけど、少なくともオレのようなおっさんよりは、生き方が軽やかで、もうちょっと器用で、すぐ暗くなったりしない明朗さを兼ね備えているのかもしれない、そういうことなのかもしれない、と思ったんですよね。これはひとえに、コミュニケーションというものの在り方捉え方が、インターネット世代の彼らというのは、おっさんのオレよりは巧みだからなのかもしれない、なんていうことをちょっと思ったんですよ。

■経験値稼いで1UP!

そんな不安を抱えながら観たこの映画なんですが、これがもう、素敵な魅力に溢れた大傑作だったんですよ!この映画の成功は、ひとえに監督エドガー・ライトの、原作の解釈と、映像化するときにどれとどれを描くべきかという取捨選択の巧みさ、そしてその編集の仕方が勝っていたからに他ならないでしょうね。まず原作ではあっさり彼女を捨てる一見冷淡にも見えるスコット君が、映画では意外と二股していた時期についてちょっぴり葛藤していたことですね。それ以外の日常生活も、実にヘタレで、女の子以上に女の子っぽいヘニョヘニョしているヤツなんですよ。つまりダメ野郎というのがはっきり描かれていて、しかもダメ野郎なりの感情の機微が描かれていたことですね。原作みたいな根拠の無い自信たっぷり野郎じゃないんですよ。そして映画ラストではこの二股行為についての彼なりの解答をきちんと言及している。葛藤と苦悩があって、そして成長している、ってことなんですね。決してシャバくてチャラいだけではなかったんですよ。

さらに原作では唐突過ぎるゲームなバトル・シーンを、映画では少しも違和感無く描ききっているんですね。これはゲームの効果音やゲームっぽいゲージを出現させたり、バンド演奏場面での視覚効果などのゲーム的なくすぐりが、映画冒頭から観客に刷り込まれるようになっていたからでしょうね。原作でもそれはあったことはあったんですが、映画の視覚・音響効果のほうがより分かりやすくて説得力があるんですよ。そして何故スコット君はゲームみたいに戦わなければならないのか?という謎を、逆にこれはゲームだから戦うんだ、ということで観客に納得させちゃうんですね。さらにこのテンポがまたいい。たたみかけるようなスピーディーさで音楽とバトルが映画の中で応酬しまくっているんです。この音楽シーンとバトルシーンだけも楽しいぐらいなんですよ。また映画の中で随所にちりばめられた笑いのセンスもエドガー・ライト独特のものでしょう。この笑いのポイント、タイミングがまた絶妙なんです。

スコット君とラモーナの恋愛模様、そして二人の過去に存在したそれぞれの恋の落とし前というものを、現実的にではなく、あくまでハイパーリアルな空想的なものとして描こうとしたとき、そこにゲーム画面という手法を導入した、というのが実はこの映画なんですよ。恋愛とその障害になるもの、それにまつわる困難と葛藤、それを乗り越えたときの勝利の高揚、というある種の生々しい感情を、ゲーム・バトルの眩いまでのSFX画面に置き換えたということなんですね。それにより、映画はより一層ファンタジックでイマジネイティブな物語として完成したんですね。個々人の瑣末な現実は、一見地味なもののようでも、本人にとっては、それは山あり谷ありのドラマティックなものだったりしますよね。恋愛ともなればそれはさらにひとしおの筈です。そしてそれを思いっきりデフォルメし、華々しくエキサイティングな映像として描いたもの、それがこの『スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団』だったんです。

スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団 予告編

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20110515(Sun)

[]新大久保で韓国風刺身を食べてきた 新大久保で韓国風刺身を食べてきたを含むブックマーク 新大久保で韓国風刺身を食べてきたのブックマークコメント

土曜日はdoyさん、doy奥さんとマーリーちゃんのdoyさん一家とチャトラネコ君、そしてオレと相方さんとで新大久保にある韓国料理の店に行って来ました。JR新大久保駅って今まで下りたこと無かったんですが、ここ、いわゆるコリアンタウンで、まるで韓国風味の原宿みたいに人でごったがえしていたなあ。

集まったお店の名前は『東海』、なんでも「韓国風天然刺身」を食べさせてくれるんだそうで、それっていったいどんなもんなんじゃろ?とdoy奥さんが一遍入ってみたかったらしいんですね。

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この日注文したのは「旬の季節魚(中)+つき出し20品目」でお値段¥16000、お刺身だけで¥16000だったらお高いですが、これにあれこれつき出しが付いて6人で食べるんなら割と普通の値段になるんじゃない?ということで頼んでみることにしました。それとは別にdoy奥さんが「生ダコ」を一度食べてみたい、というのでこれも注文したんですが、この「生ダコ」、ぶつ切りにされているのにもかかわらずヒクヒク蠢いていたのでみんな大騒ぎ。しかも箸でつまもうにも吸盤で皿に吸い付いているからタチが悪い!さらにオレが小学生のマーリーちゃんに「食え!蠢くタコの触手を食ってみやがれ!」と無理強いし泣かせてしまうという心温まる一幕もありました。

■戦慄!蠢く屍肉の群れ!

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さてそれから「旬の季節魚(中)+つき出し20品目」の皿が次々と運ばれてきたのですが、これが想像を上回るとんでもない量だったんです!

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だいたいメインが「旬の季節魚(この日はスズキ)」だったのにもかかわらず他にもお刺身が一盛り出てきたりとか、韓国料理食べに来たつもりなのになぜか普通に天麩羅が出てきたりとか、メインが出てきて結構食べてある程度ほっとした後に今度は毛ガニが出てきて「まだ出てくんの!?」と一同大慌てしたりとか、量も種類も多い上に出てくる品目がまさにカオス状態で、コストパフォーマンスは相当いいのですが、なにしろ食べ切れない!なんか凄い店でした。

ところでこの「韓国風天然刺身」、お刺身に韓国味噌を付けエゴマやサンチェの葉で巻いて食べるという、なんか焼肉が刺身に変わったような食べ方をするものなんですが、我々日本人一同は「普通に醤油とわさびで全然かまわないのに…」と賛否両論でありました。変わった食べ方で面白かったけどね。

おなか一杯食べた我々はその後韓国スーパーマーケットに。ここも韓国料理の食材が一杯で、冷蔵庫3つぶち抜きでキムチばっかりだとか馴染みの無い食材が置いてあったりとかとっても面白かったな。

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韓国スーパーマーケットをひとしきり眺めた後はdoyさん一家が帰られ、チャトラ君とオレと相方さんは新宿のパブに流れてまたしても怪しくグダグダと飲み明かしたのでありました。皆さんまたお会いしましょう!

[]ついでにラーメン日記 ついでにラーメン日記を含むブックマーク ついでにラーメン日記のブックマークコメント

今週はスーラータンメンと熊本風黒ラーメンというのをいただきました。

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20110513(Fri)

[] 早 く 人 間 に な り た い  〜映画『スプライス 早 く 人 間 に な り た い  〜映画『スプライス』を含むブックマーク  早 く 人 間 に な り た い  〜映画『スプライス』のブックマークコメント

スプライス (監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ 2009年カナダ・フランス映画)

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生化学者のカップルがいろんな生物の遺伝子を結合させた新生物を作り出してしまいエラいことになる、というSFホラー映画であります。しかしよくあるモンスター・ホラーとちょっぴり違うのは、生み出されたクリーチャーが最初は根本敬の漫画に出てきそうな巨大化した精子みたいだったのが、どんどん変態してなんだか人間の女子そっくりのキモ可愛い生物になっちゃうってコトですかね。人間の女子、って言っても毒棘の付いた尻尾はあるし足は逆関節だし時々羽だか鰭だかが生えるし頭はツルッパゲで目は離れてるし顔の真ん中には亀裂があるし、まあちょっとマニアックな好みの女子になっちゃいますけどね。顔だけで言えばシンニード・オコーナー的なスキンヘッドにしたビョークってところでしょうか。っていうかビョーク主演にしたほうが余計なSFX使わなくてよかったかもしれませんねこの映画。

しかし自分らで遺伝子デザインした割に、生まれたクリーチャーがどういう形態と生態を持っているのか予測不可能だった生化学者カップルというのもちょっと間抜けな感じがしますね。こういう形態の生物であることの必然性はどのあたりにあったんでしょうか。いろいろ組み合わせたけどどんな生物になるのかはお楽しみ!ということだったんでしょうか。それとも全ては想定外だったんでしょうか。この時期に科学者の想定外はやはり不謹慎ではないかと言う気がしてなりません。だいたいこいつらが行き当たりばったりな連中で、まあ「生物の創造主になる」という魔力に負けた部分は科学者の好奇心と言うことで分からないでもないんですが、その後クリーチャー作ったのはいいけどやることなすことみんな後手後手で、そのせいで全部その後の悲劇は起こったんですから、ろくなもんではありません。おまけに自分らをNARD(オタク)とか名乗って村上隆的なオタクアートを部屋に並べて悦に入っているいけ好かない連中で、そうかそのせいで出来上がった女子型クリーチャーはネオテニーな幼女顔でツルペタだったのか!?とも思えるんですが、しかしオタクだったらクリーチャー作るんならもっと触手とかそういったもので遊び心をくすぐるべきだったのではないかと思います。

で、出来上がったクリーチャーの置き場所に困った生化学者カップル、クリーチャーを納屋に軟禁して住まわすんですが、おいおいあんな不潔なところに住まわすか?どんな免疫系持ってるかもわかんないような生き物を。そしてその育て方がまた惨くてですね、人間扱いもしなければ動物扱いもしない、言ってみれば「産みたくて産んだ子じゃないし愛情なんか無いからマンションに閉じ込めてほっぽっておこう」的な鬼畜嫁の様相を呈しているんですよ。まあ実のところクリーチャーへの愛情は二人ともあることはあるんですが、「せっかく生まれた生き物なんだから精一杯育てよう」みたいな真摯さに欠けてるんですよね。なんかおっかなびっくりというか、なにかあったらぶっ殺せばいいし、みたいな投げやり感があるんですよね。人間じゃないとしてもせめてペット育てるぐらいの愛情を注ぐべきですよね。だから可愛そうなのはクリーチャーですよ。生まれてきたくて生まれたんじゃないのにこの仕打ちはあんまりというものですよ。そりゃあグレたくもなってくるわな。で、グレればグレたでまたお仕置きですよ。全く惨いっちゃあありません。

そんなわけで『フランケンシュタインの怪物』として始まったこの映画、『エイリアン』や『ザ・フライ』などの名だたるSFホラーのパスティーシュを見せながら、ちょっと『崖の上のポニョ』(まあ監督は観てないだろうが)も入りつつ、ラストは『スピーシーズ』でオチとなるんですね。つまりあのB級トホホ映画『スピーシーズ』がオチだったというのがこの映画のオシイところだった訳で、このままクローネンバーグ的グジャドロ路線を追求してゆけばもっと見所のある映画となっていたかもしれんなあ、とも思えます。それよりも物語冒頭に出てきた頭の先がチンポコみたいな動くタラコ状の実験生物にもっと頑張ってもらいたかったですね。あれが研究所抜け出して巨大化して町で人間食ったり融合したり建物破壊して大暴れ、ペンタゴンも手をこまねいているところを女子顔クリーチャーが「あの生物を倒せるのは私だけ…お父さんお母さん(生化学者カップルのことね)、もう生きて会うことはないと思いますが出撃します!お二人のこと…愛してました」とかベタベタのこと言ってタラコ怪物に死を掛けた戦いを挑むのね。で、戦いには勝つんですが瀕死の重症を負い生化学者カップルの腕の中で息絶えるんです。で、カップルは「私たちが間違っていた…」と女子型クリーチャーの亡骸を抱きながらさめざめと泣いて幕、と。こういう物語のほうが面白かったんじゃないかなあ。え、ダメ!?

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スプライス [DVD]

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jkjk 2011/05/13 16:51 ドラえもんの「のび太と台風のフー子」も読ませなくちゃー ですね。 なんか色々と掘り下げっつーか食い足りないトコが多い作品でしたが、段ボールにつめて右往左往するシーンは拾ってきた野良犬がみつかりそうになった小学生みたいで微笑ましく

globalheadglobalhead 2011/05/13 22:03 ドラえもんの「のび太と台風のフー子」…ってなんですぐそんなタイトルが出てくるんですかjkさん。意外と結構只者じゃないですね。
そして粗筋調べてみたらスプライス的でもありながらもいい話じゃないですか台風フー子。

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20110512(Thu)

[]北朝鮮軍、アメリカ占領。〜ゲーム『HOMEFRONT』 (PS3)(XBOX360)(PC) 北朝鮮軍、アメリカ占領。〜ゲーム『HOMEFRONT』 (PS3)(XBOX360)(PC)を含むブックマーク 北朝鮮軍、アメリカ占領。〜ゲーム『HOMEFRONT』 (PS3)(XBOX360)(PC)のブックマークコメント

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このゲーム『HOMEFRONT』、2027年の近未来を舞台にしたFPSなですけどね、なんと北朝鮮軍がアメリカを占領しちゃうっていうショッキングなストーリーなんですね。金正日大将軍様がお亡くなりになった後、その後継者がもうイケイケの軍拡主義者で、韓国を武力制圧したあと日本もサクッと占領、そのあとも着々と東南アジアの国々を手中に収め、大朝鮮連邦を作ってしまうんですね。さていよいよお次のターゲットがアメリカで、これは人工衛星からのEMP攻撃(高高度核爆発)による電磁パルスで、アメリカ大陸の通信網を破壊しつくしてしまうんです。その混乱に乗じた占領作戦により、成すすべもなくアメリカは大朝鮮連邦軍の支配下に置かれてしまうんですね!ここまでがプロローグ。

ゲームの主人公は大朝鮮連邦占領軍に対抗するアメリカ人レジスタンス組織の一員です。プレイヤーはこの主人公となり、仲間と共にゲリラ活動を繰り返し、祖国を鬼畜朝鮮人から取り戻す、というのがこのゲーム『HOMEFRONT』なんですね。ゲームが始まると英語とハングル語の放送が外出禁止令を告げ、突然敵兵士に連行された主人公は護送車の中から破壊されたアメリカの町と辻々で蹂躙され暴行を受けさらには処刑されるアメリカ市民たちの惨たらしい様子を眺めているんです。この辺俄然気分が盛り上がりますねー。そして護送車を急襲したレジスタンス兵士たちに救出された主人公は復讐を胸に攻撃作戦に参加するんですね。ゲームは常に仲間との連携プレーになり、リーダーの後を付いてゆけばゲームの進路が分かるようになっています。

2027年という近未来の舞台設定の割には武器が今風なのは、まああんまり突飛な武器を出すよりもリアルだからなんでしょうかね。しかもアメリカ側は意外と武器を温存していて、結構敵と互角に戦えたりするんですね。だから少ない物資でのゲリラ活動という辛さはあんまりなくて、しかもゲリラ作戦を展開、というよりも正面からのガチバトルが多くて、この辺ゲームのテーマから考えるともうちょっとミッション練ったほうが雰囲気出たんじゃないのかなあ。ゲーム中はハンビーに乗り込んだり攻撃ヘリに乗ったりもできます。この辺のヴィークルの多様さは最近のゲームの流れでしょうね。ただなにしろキャンペーンが短いんですよ。やり始めたらあっという間に終わった、ていう感じですかね。正味10時間ぐらいで終わっちゃうんじゃないでしょうかね。そういった部分で、悪くは無いけれども物足りなさの残るゲームではありました。

ところでこのゲーム、オレはSteamからD/Lした海外版でやったんですが、日本語ローカライズでは北朝鮮とか金正日とかいう直接的な固有名詞はもっとあいまいな語句に差し替えられているようですね。購入を考えられている方はご注意を。それとゲームに出てくる金正日の架空の後継者っていうのが妙にイケメンだったということにちょっと納得できないものを感じたオレでありました!

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HOMEFRONT ( ホームフロント ) - PS3

HOMEFRONT ( ホームフロント ) - PS3

HOMEFRONT ( ホームフロント ) - Xbox360

HOMEFRONT ( ホームフロント ) - Xbox360

Homefront (輸入版)

Homefront (輸入版)

chirigamichirigami 2011/05/12 12:33 後継者がイケメンなのは修正されたからのようです
当初のトレイラーではもっと正日似でした(笑)

globalheadglobalhead 2011/05/12 12:37 わはは、そうでしたか。すっごい悪い顔してたのが想像できるよなあ修正前。

20110511(Wed)

[]映画『リミット』はシンプルなシチュエーションの中でイマジネーションを尽くした映画だった 映画『リミット』はシンプルなシチュエーションの中でイマジネーションを尽くした映画だったを含むブックマーク 映画『リミット』はシンプルなシチュエーションの中でイマジネーションを尽くした映画だったのブックマークコメント

■リミット (監督:ロドリゴ・コルテス 2009年スペイン映画)

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意識を取り戻すと、そこは暗がり、俺は何か狭い所に押し込められ、横たわっている。ライターが見つかったので火をつけてみると、俺は棺桶に入れられ、地中に生き埋めになっているではないか!?なぜ?どうして?そしてここはどこなんだ?他の持ち物は携帯電話、ナイフ、ペン、酒。俺はここから脱出することが出来るのか?…映画『リミット』は、そんな極限状態に置かれた男の、シチュエーション・スリラーである。

なにしろ野心的な映画だ。90分の上映時間の間、登場人物は生き埋めになった男ただひとり、そして舞台はずっと棺桶の中。他の登場人物は電話の声と動画のみ。このシチュエーションだけで観客を飽きさせず90分間のドラマを成り立たせようとしている所がまず凄い。そしてこれが面白く出来上がっているのだ。ずっと同じ場所、同じ一人の俳優だけでどう物語を引っ張ってゆくのか、よく観るとあちこちで工夫が凝らされている。カメラのアングルや移動の仕方、ライターや携帯電話などの光源の明るさや色彩により刻々と変わってゆく棺桶内の映像、主人公と携帯電話の相手とのやり取りのみに終始しない様々なサスペンスの導入、これらは、単調になりがちなシチュエーションを90分間緊張感を持たせるため計算しつくして成り立ったものなのだろう。

物語のあらましは、イラクでトラック運転手として働くアメリカ人労働者がテロに遭う、という背景があるものの、そういった政治的背景がテーマというよりもむしろ、「舞台は棺桶、登場人物はたった一人。持ち物はライターと携帯電話その他」という"縛り"でどう映画を撮るか?どのようにしたら面白い映画が成り立つか?という監督・製作者の自らのイマジネーションへの挑戦として成り立ったものなのではないかという気がする。この映画ではイラク、テロ、といった構図が持ち込まれるが、例えば相手がマフィアだとしたら、同じシチュエーションでも違った展開になるだろうし、閉じ込められた者の立場や、持ち物のバリエーションによっても、やはり違った物語展開を見せるだろう。これを個人的な恨みやSFやホラータッチの超自然的なものとしても物語は展開できるし、なんとなればブラックなコメディとして作ることも可能だろう。そこはもう物語り作りをするもののさじ加減で、どのような映画にだってなるのだ。

そういった、ひとつのシチュエーションからどうテーマを選び、そのテーマに沿ってどう物語を展開してゆくか、どうアイディアを盛り込むか、どう観客の意表を突き驚かせることができるか、といった知恵比べともいえる部分がこの映画の本当の面白さであり、その展開とアイディアの妙を堪能できれば観客にとっても実にスリリングな映画体験となることができるだろう。そういった意味では、この映画、とても製作者が楽しんで作ったような気がしてならないし、その製作者側の楽しさが、観客にも伝わってくる映画作りがなされているように感じる。シンプルなシチュエーションのせいで小品扱いになりそうな作品だが(自分もそう思っていた)、しかし小粒でもピリリと辛い作品に仕上がっていたことは確かだ。

しかし下世話な話をすると、こんな映画だったらさぞや制作費も安かったろうなあ!と誰もが思うだろうが、実際の制作費は約2.5億円、これが安いのか高いのかさっぱり分からないが、意欲のある方なら、安い制作費で、こんなシンプルなシチュエーションながら想像力を尽くした映画を撮ってみたい、と思わせられるのではないだろうか。そういった、自分だったらどう作るだろう、と思わす映画でもあった。

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[リミット] コレクターズ・エディション [Blu-ray]

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20110510(Tue)

[]陰謀だッ!陰謀だッ!陰謀なんだ・・・ッ!?〜映画『アンノウン』(多分ネタバレなし) 陰謀だッ!陰謀だッ!陰謀なんだ・・・ッ!?〜映画『アンノウン』(多分ネタバレなし)を含むブックマーク 陰謀だッ!陰謀だッ!陰謀なんだ・・・ッ!?〜映画『アンノウン』(多分ネタバレなし)のブックマークコメント

■アンノウン (監督:ジャウム・コレット=セラ 2011年アメリカ・ドイツ映画)

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この『アンノウン』、事故に遭った男が目覚めてみると自分のことを誰も覚えていない、っていうスリラーなんですけどね。主人公はアメリカからドイツのベルリンに学会出席の為やってきた学者さん(リーアム・ニーソン)なんですね。で、奥さんとホテルにチェックインしようとしたら空港に鞄を忘れてきたことを思いだし、こりゃヤヴェと一人でタクシーで引き返したら途中事故に巻き込まれて車ごと川に転落、なんとか命は助かったけれども4日間意識不明、目を覚ました学者さんはあわてて奥さんの待ってるはずのホテルに駆けつけると、なんと奥さん「あんた誰?」とかゆってて、しかも自分と同じ名を名乗る男が「彼女の旦那はボクチンだけど何か?」とかヌカしてる、いや嘘だろ笑えねえ冗談よせよコラとか詰め寄ると、自分のはずの名前:しかし写真はその男の身分証明書まで出された挙句警備にとっつかまり、「俺は大学の偉いセンセーなんだからネットで検索してみやがれ!」とブチ切れてみたものの、検索してみると出てきたのはさっきの男…うわああああこりゃいったいどゆことなんだああああこれはいったい何の陰謀だあああ!っていうお話なんでありますよ。

スリラーっていうジャンルの物語にはなると思いますが、なになにスリラー、って言った途端にそれだけでネタバレしそうだからなかなか内容についてはこれ以上突っ込めないお話なんですよね。まあ少なくともリーアム・ニーソンウィル・フェレルと一緒になって華麗なフィギュア・スケート技を決めるお笑いスリラーとかクリスティーナ・アギレラと一緒にクラブであられもない格好で歌い踊るミュージカル・スリラーとかあとまあ難病小動物大行進とかそういった類ではない普通にきちんとスリラーなのでその辺は安心して楽しんでもらっていいとは思いますが。逆に言うと最初のこの「誰も自分のことを覚えていない」というシチュエーションからどんなお話が成り立つのか、どんな展開を見せてくれるのか、どんなオチをつけてくれるのか、というのをワクワクしながら観る映画だということが出来るんですね。だから観るほうはこんなことなんじゃないのか?あんなことなんじゃないのか?とかいろいろ想像したり空想したりして、お話が進むにつれその予想が裏切られたり合ってたりするのを確認するのが楽しい、そんなお話なんですね。

まあしかし順当に考えてこの学者さんがいったいどんな目に遭ってるのか?というのは二つ考えられて、まずまわりがみんな嘘を言っている、もしくは、まわりが言ってる事が正しくて自分の認識が間違ってる、ということになるんですよね。もっと奇抜に考えると、まわりの言ってることも自分の言ってることも正しい、ということだって考えられるし、そうするとそれを矛盾無く説明できる世界観の設定ってどんなの?ということをあれこれ想像してみたりもできる。逆にまわりも自分もみんな間違ってる、というお話の持っていきようもあるけれども、そうするとかなりシュールな世界を構築しなきゃならんよなあ、ということを想像したりも出来る。そんなことをあれこれ考えながら観ていると、出てくるヤツラがみんななんだか腹にイチモツもってるような、なんか隠し事していて主人公だけが知らない、といったような、誰も彼も嘘言っている陰謀だらけの陰謀世界なのかもしれない、と観ているほうも疑心暗鬼になってくるんですよ。もうこの世は陰謀だらけですよ!嘘だ嘘だみんな嘘つきだ!東電も菅直人原子力安全保安院もマスコミも信じねえッ!オレは騙されている!オレは騙されているんだああ!とかなんか映画とは全然関係ないことで恐怖の雄たけびをあげてしまいたくなる今日この頃でありますよねえ。

そういうわけで映画は実はこういうことらしいああいうことらしい…と進んでいきますが、まあこの辺の説明はよく考えると結構整合感に欠けていたりする部分もあることはあるのだけれども、そこはそれリーアム・ニーソンさんのオヤジの魅力で十分補われていて、観ている間はうまく騙されてあげましょうや、っていう気分になりますね。あとベルリンの冬の寒々とした陰鬱なロケーションが雰囲気を上手く盛り上げているし、奥さん役のジャニュアリー・ジョーンズさんやリーアムさんを事故に巻き込んでしまうタクシー運転手役のダイアン・クルーガーさんの綺麗どころお二人に見とれていると、それだけでこの映画は傑作でいいんではないのかッ!?と断言してしまいたくなるような気さえする単純なオレであります。特にダイアン・クルーガーさんはタランティーノの『イングロリアス・バスターズ』やフレンチ・ノワール『すべて彼女のために』にも出演されていたのを以前見たことがあるんですが、ちょっとゴツ目のキーラ・ナイトレイって雰囲気がよいですねえ。そういうわけでこの映画、クライマックスは思った以上に派手な展開で幕を閉じて大満足だったんですが、空港に鞄を忘れたばっかりに全ての事件が起こったということを考えると、この映画の教訓は「忘れ物には注意しましょう」っていうことになるんでしょうかね!

■アンノウン 予告編

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20110509(Mon)

[]孤独な少女と中年男との20年にわたる文通〜クレイアニメ『メアリー&マックス』 孤独な少女と中年男との20年にわたる文通〜クレイアニメ『メアリー&マックス』を含むブックマーク 孤独な少女と中年男との20年にわたる文通〜クレイアニメ『メアリー&マックス』のブックマークコメント

■メアリー&マックス (監督:アダム・エリオット 2008年オーストラリア映画)

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この『メアリー&マックス』は、メルボルンに住む8歳の少女メアリーと、ニューヨークに住む44歳の男マックスとの、20年にわたる文通を通し、友情や信頼について描いたオーストラリアのクレイ・アニメーション映画です。製作まで5年の歳月を費やし、各国のアニメーション賞も受賞している評価の高い作品のようですね。ただ、楽しく可愛らしいアニメーションを期待すると結構重い内容のドラマにびっくりさせられます。

8歳の少女メアリーは空想好きですが、両親の愛情は薄いし、額の痣にコンプレックスを持つ引っ込み思案な子でもあるんです。彼女はある日、孤独を紛らわせようと、電話帳から行き当たりばったりに見つけたN.Y.在住の「マックス・ホロウィッツ」に手紙を書くことにしたんですね。このマックス氏は44歳になる太った変わり者で、後にアスペルガー症候群であることを告白しますが、メアリーと同じく孤独な生活を営む彼は、このメアリーと文通を始めるることにするんですね。そして二人は長きに渡る文通で友情を育みますが、成長したメアリーがマックス氏のアスペをテーマに本を出版してしまったことから、二人の関係は最悪なものになり、その悲しみからメアリーは…という物語なんですね。

孤独や人の心の傷をテーマにしたこの物語では、主人公の一人であるマックス氏のアスペルガー症候群が描かれますが、実は監督自身が病理震顫という疾患を持っており、また、監督による2003年の短編クレイアニメ『ハーヴィー・クランペット』ではトゥレット障害という疾患を取り上げているらしく、そういった神経精神疾患に関心をもって映画テーマを選んでいる監督といえるのかもしれません。この『メアリー&マックス』では「実話を元に描かれている」と冒頭に出てくるのですが、監督が長年文通しているN.Y.在住のペンパルがマックスと同じくアスペルガー症候群であり、そこから着想を得たようなんですね。

映画ではメアリーとマックスの文通内容とそれぞれの実生活が描かれてゆきますが、この文通内容というのが個性的というかとても風変わりなもので、それを映像化したビジュアルの奇抜さがこの映画の特徴でしょうか。ただどうもキャラクター造形がデフォルメ過多でどうにもグロテスクで、あちらの国のアニメにはよくあることではありますが、個人的な趣味としてはピリッとしたところの無い造形があんまり好きになれなかったんですよね。そして物語展開も露悪的で過剰な演出が多くて、やはりこれにもグロテスクなものを感じたんですよ。文通内容が全てナレーションで語られるというのも何か説明的で退屈に思えました。マックスのパートのモノトーンの色彩もどこか重苦しくて、監督の持つそういった暗さや重さが気になっちゃったんですね。

ただこの暗さと重さ、そして世界のグロテスクさというのは、ある意味監督自身の剥き出しの心象ということもできるんですよね。そういった剥き出しの心象が最終的には「他人を愛するにはまず自分自身を愛せ」とか「人間は誰もが不完全な生き物」などといったストレートな言葉で語られ、自らの歪さを乗り越えたある種の自己肯定へと結びついてゆくのは物語展開としては悪くないんですけどね。次回はこういった認識を足がかりにしたもっと明るくて軽やかな物語を作ってもらいたいような気がします。

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Mary & Max

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ハーヴィー・クランペット [DVD]

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20110508(Sun)

[]休日日記 休日日記を含むブックマーク 休日日記のブックマークコメント

またしても昼にラーメン食ってたオレである。しかしこのラーメン屋、出てから気がついたんだが配膳するとき服の袖にラーメン汁ぶっかけてくれてたみたいで、明るい色の上着だったから油染みが目立ってイヤ〜ンな気分になってしまった。

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夜はまたしてもベルギービール屋。こちらはゴイヤストリプル。

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トリプルカルメリート。これは麦の香りが芳醇で本当に美味いビールであった。

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しかしゴールデンウィーク初日から休むことなく飲み続けていたせいかこの日曜日はどうにも体調が悪くてダウン。一日だらだらと寝て、この日は酒とあとついでにタバコも抜く事にした。

梅松竹子梅松竹子 2011/05/09 01:04 いいですね、ラーメン三昧。
しかし体調は大丈夫でしょうか。お大事に。

globalheadglobalhead 2011/05/09 06:47 暴飲暴食がたたったようです。今週はおとなしくしておくことにします。

チャトラネコチャトラネコ 2011/05/09 08:36 ラーメンがなんとなく二郎っぽいですが
どちらで?

globalheadglobalhead 2011/05/09 08:48 川粼の駅ビルの地下にあるなんちゃらいうラーメン屋でしたね。あそこには4軒ばかり軒を連ねた小さいラーメン横丁っぽいところがあるんですよ。

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20110506(Fri)

[]チチとケツ食わせろ!!!〜映画『ピラニア3D』 チチとケツ食わせろ!!!〜映画『ピラニア3D』を含むブックマーク チチとケツ食わせろ!!!〜映画『ピラニア3D』のブックマークコメント

■ピラニア3D (監督:アレクサンドル・アジャ 2010年アメリカ映画)

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昨日アリゾナ州のビクトリア湖行ったんです。ビクトリア湖。
そしたらなんか人がめちゃくちゃいっぱいで芋でも洗ってるみたいなんです。
で、よく見たらなんか垂れ幕下がってて、スプリング・ブレイクにつきフェステボー&カーニボーの真っ最中とか書いてあるんです。
もうね、アホかと。馬鹿かと。
お前らな、たかがクソ田舎のクソ湖なのにここまでチチとかケツとか出してぎゃあぎゃあ騒いでるんじゃねえよ、ボケが。
チチとケツですよ、チチとケツ。
なんか親子連れとかもいるし。一家4人でチチとケツ鑑賞か。おめでてーな。
よーしパパ女子のチチが透けた濡れTシャツ拝んじゃうぞー、とか言ってるの。もう見てらんない。
お前らな、オレが密かに所蔵している裏モノAVやるからその場所空けろと。
湖ってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。
キャンプしている脳みその足りないクソバカどもが、いつジェイソンに襲われ血塗れの肉塊になってもおかしくない、
殺るか、殺られるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。女子供は、すっこんでろ。
で、やっと湖に着いたか思ったら、隣の奴が、ピラニアが出た!、とか言ってるんです。
そこでまたぶち切れですよ。
あのな、ピラニアなんてこんなアメリカのクソ湖なんかいねーんだよ。ボケが。
引きつった顔して何が、ピラニアが出た、だ。
お前は本当にピラニアがどんなものなのか知ってるのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
お前、ピラニアが出たって言いたいだけちゃうんかと。
ホラー映画通のオレから言わせてもらえば今、ホラー映画通の間での最新流行はやっぱり、
アレクサンドル・アジャの『ピラニア3D』、これだね。
突如現れたピラニアの群れのせいで、鮮血の惨劇が巻き起こる。これがホラー通の好み。
大量のクソバカ男女が無残な肉片と化してゆく。そん代わり妙に陽光がさんさんとしていて画面が明るい。これ。
で、それに無意味なぐらいチチとケツの映像がてんこ盛り。これ最強。
しかしこれをビデマで注文すると次から店員にマークされるという危険も伴う、諸刃の剣。
素人にはお薦め出来ない。
まあお前らド素人は、リメイク版『エルム街の悪夢』でも観てなさいってこった。

『ピラニア3D』ッ!突然の地震で湖の底に生じた亀裂からヤツラはやってきたッ!それは太古より生き続けていた最凶の人食いピラニアの群れッ!折りしも湖のほとりではアメリカ中から集まってきた4万5千人ものクソバカ中のクソバカ男女がチチとかケツとか出してクルクルパーなフェステボー&カーニボーの真っ最中ッ!あたかもゴンズイ玉の如く沸いた人食いピラニアさんたちにとってこれはまさに嬉しい入れ食い状態ッ!殺れッ!殺ってくれッ!このクソバカどもが全員この世から抹殺されても人類の未来には何の影響も無いッ!むしろこれは喜ぶべきことに違いないッ!人食いピラニアさん、それは人類の救世主ッ!さあ、思う存分クソバカどもを食い散らかすんだあああああ〜〜〜〜〜〜ッ!!!

ええっと、輸入盤Blu-Rayで観ました。最初3Dメガネの付いたUK3D版買っちゃったんですが、これが見事に再生できなくて、も一回US版で買い直しちゃいましたよ。全く毎度のことですが無駄の多い人生生きてますよねオレ。しかし、「多分日本じゃ絶対やらないだろ」と思って輸入盤買ったのに、ついこの間日本公開が決まったそうじゃないですか。まあ、それはそれでよかったけど、「オレ、日本未公開だから輸入盤Blu-Rayで観たんだもんね」って威張り腐ろうと思ってたのに、これじゃああんまり威張り腐れないじゃないですか。くそうなんか悔しい。せっかく買い直してまで観たのにさあ。けっ。

いやしかし、話題の通り面白い映画でしたよ。バカアホどもが大量虐殺に遭うんですが、観ていてずっと「死ね死ねみんな死んでしまえ」とゲラゲラ笑いながら観てしまいましたね。冒頭から新たな登場人物が現れるたび、「こいつも死ぬ!あいつも死ぬ!楽しいのう!楽しいのう!」と夢と希望で頭ん中はち切れそうでしたよ。なにしろお話はピラニアにみんな食い殺されるってだけですから、Blu-Ray観てるときは英語字幕にしてたけど、途中から字幕さえ読む必要を感じませんでしたね。見世物に徹底しているからそれも可能なんでしょうね。そういった部分も優れた映画だと思いました。

しかしこれだけロケーション的に明るい場所ばっかりのホラーも珍しいですよね。怖い、というよりも、徹底的に血塗れの徹底的なバカをやりましたあ、ってなナンセンスさが光る映画ですよね。しかもスコーンと突き抜けた眩しいほどのバカさ。カリフォルニアの青いバカ。バカにもセンスが必要ですが、この映画で監督アジャは一つ図抜けたバカをやってくれました。素晴らしい。

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ピラニア [DVD]

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20110505(Thu)

[]連休の反省だった(後半) 連休の反省だった(後半)を含むブックマーク 連休の反省だった(後半)のブックマークコメント

■某月某日

相方さんが実家に帰るのというので送ってゆく。途中でラーメンを食べる。

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■某月某日

電車にネルフのロゴが入ったトランクを持ったおじさんを発見。ま、まさか…冬月教授!?

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■某月某日

東京国立美術館へ【生誕100年岡本太郎展】を観に行く。

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朝10時の開館に並んだんだけど結構混んでいた。

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岡本太郎ってちょっと泥臭い感じがするんだけど「明日の神話」はやはり圧巻でした。

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帰りにラーメン食べた。

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■某月某日

六本木の国立新美術館に【シュルレアリスム展―パリ・ポンピドゥセンター所蔵作品による】を観に行く。

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正直シュルレアリスムって"マンガ"って概念の無い西洋人がマンガやろうとしていたもんだろ、と思っているんだが、まあ嫌いではない。ポスターのイヴ・タンギー「岩の窓のある宮殿」も海の底に沈んだウンコって感じで楽しい。

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そしてなにしろエルンスト。オレにとってシュルレアリスムといえばエルンスト。この「三本の糸杉」もよかったが、

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なにより圧巻だったのはこの「最後の森」。エルンストは戦時中退廃芸術扱いされてナチスドイツから作品没収されてたぐらいだが、この人のデカルコマニーを応用した作品の数々は確かになんともいえない退廃感と終末感が漂っていて10代の頃から好きだったな。今回の展覧会に出品はされてないけど「雨後のヨーロッパ II」や「沈黙の目」とかもオレのお気に入りのエルンスト作品である。

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そして帰りはやっぱりラーメン食っていたオレであった…。要するにこの連休をまとめると、美術館に行ってはラーメン食ってたというわけである。ああ明日から仕事だ…おまけに土曜は出勤だしな。

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[]そしてまたも地ビール三昧 そしてまたも地ビール三昧を含むブックマーク そしてまたも地ビール三昧のブックマークコメント

近所のコンビニ「サンクス」にはなぜか地ビールがよく置いてあって寒心する。今日見つけたのは新潟の【エチゴビール】の「プレミアム レッドエール」と「ホワイトエール ヴァイツェン」、そして長野県の【ヤッホーブルーイング】の「軽井沢高原ビール ベルジャンダーク」。缶ラベルがあんまり垢抜けないのが逆に楽しい。飲むのが楽しみだ。

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CUSCUSCUSCUS 2011/05/05 13:37 > 電車にネルフのロゴが入ったトランクを持ったおじさんを発見。ま、まさか…冬月教授!?

いやあ、声を出して笑いました。私もやりたかったので。


>オレにとってシュルレアリスムといえばエルンスト。


私にとってもそうです。思春期を百頭女で狂わせていました。

globalheadglobalhead 2011/05/05 15:25 こんにちは。しかしCUSCUSさん、「私もやりたかった」とは冬月教授を演じたかったと言うことですか…!?
それにしても「百頭女」もいいですよねえ。エルンストのコラージュは今見てもナンセンスながらニヒリスティックな味わいがあって楽しいです。

CUSCUSCUSCUS 2011/05/05 20:29 > 「私もやりたかった」とは冬月教授を演じたかったと言うことですか…!?

いえいえ、ネルフのロゴを自分の持ち物に貼り付けたかった、というだけです。

CUSCUSCUSCUS 2011/05/05 22:02 正直に言うと、私はエヴァをあまり知らないんです。ただ、ネルフのロゴは気に入っています。

globalheadglobalhead 2011/05/06 09:07 じゃあCUSCUSさんにはとりあえずエヴァ全篇  …はちょっときついから劇場版の「序」と「破」を鑑賞していただきトランクにはネルフのロゴを貼ってもらいさらに冬月教授のコスプレにもチャレンジする方向で行きましょう!

CUSCUSCUSCUS 2011/05/10 20:22 「形而上生物学」とは何か? その萌芽はかの古代ギリシアの哲学者アリストテレスまで遡る。かれこそが始めて生物学を形而上学と結びつけたのである。そこには彼の生物学の研究から導かれた目的論的世界観がある。ここに重要なポイントが存在する。すなわち「世界観」という言葉である。あるいは現代的にパースペクティブと言い換えてもよい。形而上生物学は生物の観察から導かれる目的的活動の上に、目的のそして価値の、基礎となる意味に対して、すなわち「何のために?」という問いに対して解答を与える果敢な試みである。それが従来の形而上学と異なる点はあくまでも生物学的事象の観察にその基礎をおいている点である。(冬月教授語る。・・・・酔いに任せて書いちまったぜい。)

globalheadglobalhead 2011/05/11 06:03 きゃああ冬月教授〜〜〜!

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20110504(Wed)

[]連休の反省だった(前半) 連休の反省だった(前半)を含むブックマーク 連休の反省だった(前半)のブックマークコメント

■某月某日

ラーメン食った。

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ジェラート食った。ピスタチオ味がなかなか。

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以前お花見したときdoy奥さんから教えてもらった「ジャークシーズニング」を入手。これをチキンに塗って焼き上げればジャマイカ風ジャークチキンの出来上がり!

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■某月某日

渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムに【フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展】を観に行った。魚の切り身やら死んだウサギやらを並べた静物画がよかったな。一見綺麗な花の静物画も端っこにカタツムリが這っていたりして隠微な猥褻さがそこはかとなく漂っているんだよね。

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■某月某日

ジンギスカン食いつつ黒ビールの大ジョッキを3杯飲んでしまう。

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そのあと久方ぶりに【横濱Cheers】に寄って地ビールの中サイズグラスを4杯飲む。お陰で次の日は二日酔いに…。写真のビールは福島の地ビール「みちのく福島路ビール デュンケル」、大変美味しいエールでありました。福島がんばれ!

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lazy-daisy5113lazy-daisy5113 2011/05/05 00:27 チャーシューが!チャーシューが旨そう!
私も先週、福島のお酒「栄川」を呑みました。20代から呑んでいる好きな銘柄です。

globalheadglobalhead 2011/05/05 08:14 最近ラーメンばっかり食っているオレです。
有名店には目もくれず店なんか調べずに行き当たりばったりに目に入った店に入るだけ、ラーメンなんざ所詮そんな程度の食いモンでいいと思ってます。
福島のビールは飲み屋の店主自体が応援をかねて仕入れてきたんだそうです。しかしそれ抜きでも美味い地ビールでした。

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20110502(Mon)

[]ぶーんぶーんロボダ!ロボダ!ロボダ!〜映画『ロボット』 ぶーんぶーんロボダ!ロボダ!ロボダ!〜映画『ロボット』を含むブックマーク ぶーんぶーんロボダ!ロボダ!ロボダ!〜映画『ロボット』のブックマークコメント

■ロボット / ROBOT(Endhiran)<未> (監督:S. Shankar 2010年インド映画)

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■歌って踊ってド派手なアクションとSFX!

最近ちょっと話題になっているのがインド製ロボットSF映画『ロボット』。インド版『ターミネーター』とか言われてますが、無数のロボットが組み体操みたいに合体して襲ってくるムービーをある日ネットで見かけ、「こりゃスゲエエエエエエ!!!」と鼻息荒くしたオレはインド雑貨の店を見つけて早速ネット注文、数週間後届いたDVDを観てまたもや「こりゃスゲエエエエエエ!!!」と大興奮しておりました(ちなみに日本語版DVDの発売は今の所ありません。輸入盤DVDはヒンズー語とタミル語の2バージョン発売されているようです)。

主演は『ムトゥ・踊るマハラジャ』で有名なインドの大スター・ラジニカーント、インドでも破格の製作費で作られたこの映画は大ヒットし、おかげで極東に住むこんなオレの耳にもその噂が届いたというわけです。上映時間は174分、びっくりするようなアイディアの盛り込まれたSFXとド派手なアクション・シーンは勿論のこと、マサラ・ムービーらしい歌あり踊りありの楽しいシーンも盛り込まれ、さらにヒロインのお姉さまはボリウッド独特の肉感的な美女で目の保養しまくりと、あれもこれもてんこ盛りサービス満点お腹いっぱいな一級のエンターティメント作品として完成しておりますよ。

■心を持ったロボット、チッティ!

あらすじはこんな感じ:ロボット科学者バシー博士(ラジニカーント)は、自分そっくりの万能ロボット、チッティを完成させる。チッティの高性能に驚く近所の皆さん、そしてバシー博士の恋人サナ(アイシュワリヤー・ラーイ)。二人と一体の楽しい毎日が続いた。そんなチッティをバシーの恩師でもあるボーラー教授(ダニー・デンゾンパ)は密かに我が物にせんと狙っていた。そんなある日、人間の心を持ちサナに恋したチッティはバシー博士に逆らうようになり、怒った博士はチッティをバラバラにして捨ててしまう。ボーラー教授をこれ幸いとチッティを回収し、殺人チップをチッティに埋め込み、テロをおっぱじめようとしていた。ダークサイドに堕ちたチッティは自らの欲望のままに行動し、ボーラー教授を殺害、さらにサナをさらい、遂には自分のコピーロボットを大量に作って人間たちを蹂躙し始めたのだ。この危機にバシー博士はサナを助け、チッティの暴走を食い止めようと立ち上がる(英語字幕で観たんで多少違うかも)。

とまあこんなお話に、マサラ・ムービー定番の歌と踊りが!

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歌と踊りが!

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歌と踊りが!

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盛り込まれているんですね!!

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いやあ、楽しいなあ!!!

■それはありえねー!!

そしてこの映画のもうひとつの醍醐味は「ありえねー!」と絶叫したくなるようなヘンテコ・アクション&SFXシーンです!

「ありえねー!」マシンガンの量!

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「ありえねー!」ロボット組み体操!

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「ありえねー!」ロボット団子!

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「ありえねー!」ロボット合体ロボット!

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いやあ、楽しいなあ!!!

そんな「ありえねー!」楽しいアクションシーンを動画でご堪能ください!

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■サントラでつづる『ロボット』の楽しい映像の数々

さてこの『ロボット』のサウンド・トラックは、なんとあの『スラムドッグ$ミリオネア』も手掛けたインドの巨匠A.R. Rahmanの手によるものなんです。エレクトリック・ミュージックとインド音楽が微妙に折衷されたサウンドが素晴らしいです。このサントラはAmazonでダウン・ロードのみの販売をしていますが、iTune Music Storeでも購入可能です。また若干選曲の異なる『ROBOT / A.R. Rahman』というアルバムもあります。今回のミュージック・クリップ集はこのサントラ曲から集めてみました。

●Irumbile Oru Idhaiyam

ヒロインに恋したロボットの熱いハートが踊るさまがダンスなって再現されます!

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●Chitti Dance Showcase

「俺はダンスも上手いんだぜ」とパーティーでダンスを踊るロボット!

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●Arima Arima

ダークサイドに堕ちたロボットがヒロインのハートを射止めたと思い込んで踊る歓喜のダンス!

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●Kilimanjaro

タイトルはキリマンジャロなんだけどなぜかペルーのマチュピチュ遺跡で踊るヒロインと博士!意味は分からない!

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●Boom Boom Robo Da

科学者、ヒロイン、ロボットがまだ楽しい毎日を送っていた頃のスナップをバックに歌われる『ロボット』テーマ・ソング。

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●Puthiya Manidha

映画のオープニング・タイトル・バック。

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いやあ、楽しいなあ、楽しいなあ!!!

Endhiran

Endhiran

○iTMS : Endhiran / Various Artists

○iTMS : ROBOT / A.R. Rahman

■『ロボット』予告編

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■『ロボット』DVDジャケット

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梅松竹子梅松竹子 2011/05/09 01:01 素敵!!日本語字幕で観たーーい。
3枚目画像、ラジニが藤岡弘に見えました。

globalheadglobalhead 2011/05/09 06:43 インドではこういう濃いい顔が受けるんでしょうか。濃い顔の自分もインドに行ったらモテるんではないかとちょっと期待しちゃいます。