Hatena::ブログ(Diary)

メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

20110930(Fri)

[]オタク青年は悲劇の歴史を乗り越えられるか〜小説『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』 オタク青年は悲劇の歴史を乗り越えられるか〜小説『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』を含むブックマーク オタク青年は悲劇の歴史を乗り越えられるか〜小説『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』のブックマークコメント

■オスカー・ワオの短く凄まじい人生 / ジュノ・ディアス

オスカーはファンタジー小説やロールプレイング・ゲームに夢中のオタク青年。心優しいロマンチストだが、女の子にはまったくモテない。不甲斐ない息子の行く末を心配した母親は彼を祖国ドミニカへ送り込み、彼は自分の一族が「フク」と呼ばれるカリブの呪いに囚われていることを知る。独裁者トルヒーヨの政権下で虐殺された祖父、禁じられた恋によって国を追われた母、母との確執から家をとびだした姉。それぞれにフクをめぐる物語があった―。英語とスペイン語、マジックリアリズムとオタク文化が激突する、全く新しいアメリカ文学の声。ピュリツァー賞、全米批評家協会賞をダブル受賞、英米で100万部のベストセラーとなった傑作長篇。

第1章はデブでオタクで非モテという三重苦を抱えるオスカー・ワオ少年のデコボコ青春奮闘記だ。さらに彼を悲惨にさせているのは「彼女の2、3人ぐらいいて当たり前」というドミニカ共和国の生まれだということだ。だからオスカー君は非モテだからといって引き篭もってなんかいない。いつも積極的に女子にアタックし、そしていつも宿命の如くボロボロになって敗退してゆくのだ。

なんとも可笑しくもまた哀れなオスカー君だが、しかしこの後物語は思いも寄らぬ展開を見せる。章毎に主要人物をオスカーの姉、母、姉の恋人、祖父母へと変えてゆきながら、そこで物語られるのはドミニカ共和国の血塗られた歴史なのだ。1930年代から続いていたラファエル・トルヒーヨ将軍による独裁政権は、ドミニカ共和国を粛清と拷問と密殺に満ちた恐怖政治の横行する冷酷な監視国家として成立させていた。その中でオスカー君の一族が辿ったあまりにも過酷な運命が、章を追うごとに次第に明らかになってゆく。

文中にはオスカー君のオタク趣味であるアメコミ、アニメ、SF小説TRPG、そしてオスカー君の愛して止まないファンタジー小説指輪物語』に関する膨大な固有名詞が列記され、さらにその解説が脚注として詳細に述べられている。この情報量だけでも既に凄まじいオタク小説として読むことが出来るが、それが何故ドミニカ共和国の歴史的暗部に結びつくという構成となっているのだろう。

これはカート・ヴォネガットが何故名作『スローターハウス5』を時空が腸捻転を起こしたような構成と奇妙な宇宙人の登場するへんてこりんなSF小説として仕上げたかを考えるとよく分かる。第2次世界大戦において3万人とも15万人ともいわれる夥しい数の非戦闘員死者を出すことになったドレスデン無差別爆撃を一兵卒として体験し生き延びたヴォネガットは、それを小説として書き上げようとしたが果たせなかったのだという。それはドレスデン爆撃の恐怖があまりにも生々しいものであり、ヴォネガットはそれを作家として対象化することが不可能だったのだ。そうして出来上がったのがあのねじくれまくった構成のSF小説スローターハウス5』だった。ヴォネガットは、小説として、ねじくれまくることしか出来なかった。そしてそれは、作家としての【痛み】だったのだ。

『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』の作者ジュノ・ディアスは、作品の執筆構想の途中で、ドミニカ共和国の暗く陰惨な歴史を書き上げようとしながらもヴォネガット同様それと正面から対峙し描くことが出来なかったのだという。そこでオタク少年の可笑しくもまた哀れな青春記を冒頭に挿入し、その一族の悲劇に彩られた歴史を徐々に遡ってゆくことで、ドミニカ共和国の暗部へと接近してゆく手法を選んだのだろう。即ちこれも、作家としての【痛み】だったのだ。

オスカー君の時代であるこの現代、トルヒーヨ政権は既に倒され存在していないが、その暴力の影はいまだドミニカ共和国を暗く覆っていた。そしてクライマックスにおいてオスカー君は遂にその暴力の影、即ちトルヒーヨの亡霊ともいえるものと対峙することになる。オスカー君は一族がその歴史の中で徹底的に振るわれてきた暴力そのものとの決着をつけるために戦うのだ。ってか戦えんのかこいつ、って感じだが。作品の後半からはあまりにも痛ましいドミニカ共和国の歴史とオスカー君の決意の凄まじさとで本を読みながらずっとワナワナウルウルしてしまった。あんまり本を読まない自分ですがこの作品は今年読んだ中で一番の傑作でした。お薦めです。

masamasamasamasa 2011/10/02 12:56 うーむ、これは読んでみたい!かみさんに許しを請うて買うてみるかな・・。

globalheadglobalhead 2011/10/02 14:14 オタク的なものに興味がある人にも海外の残虐な独裁者に興味がある人にも両方面白く読めるという不思議な小説でもありましたね。是非読んでみてください!

20110929(Thu)

[]『ねじまき少女』と『ダールグレン』読んだ 『ねじまき少女』と『ダールグレン』読んだを含むブックマーク 『ねじまき少女』と『ダールグレン』読んだのブックマークコメント

■ねじまき少女(上)(下) / パオロ・バチガルピ

ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)

ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)

ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)

ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)

石油が枯渇し、エネルギー構造が激変した近未来のバンコク。遺伝子組替動物を使役させエネルギーを取り出す工場を経営するアンダースン・レイクは、ある日、市場で奇妙な外見と芳醇な味を持つ果物ンガウを手にする。ンガウの調査を始めたアンダースンは、ある夜、クラブで踊る少女型アンドロイドのエミコに出会う。彼とねじまき少女エミコとの出会いは、世界の運命を大きく変えていった。

聖なる都市バンコクは、環境省の白シャツ隊隊長ジェイディーの失脚後、一触即発の状態にあった。カロリー企業に対する王国最後の砦“種子バンク”を管理する環境省と、カロリー企業との協調路線をとる通産省の利害は激しく対立していた。そして、新人類の都へと旅立つことを夢見るエミコが、その想いのあまり取った行動により、首都は未曾有の危機に陥っていった。新たな世界観を提示し、絶賛を浴びた新鋭によるエコSF。ヒューゴー賞ネビュラ賞ローカス賞などSF界の賞を総なめにした作品。

パオロ・バチガルピの近未来SF小説『ねじまき少女』は奇妙なタイトルではあるが非常にスリリングな物語だ。近未来の世界を舞台に物語は遺伝子組み換え作物の利権を巡る欧米巨大コングロマリットと小国タイの対立、そして蔓延する疫病の恐怖、さらにタイ政府内におけるパワーゲームとそれが生むクーデターの予兆を中心に語られる。主要登場人物は白人ネジマキ工場オーナー、その使用人の中国人難民、"虎”と恐れられる環境省の防疫隊隊長、そして日本から訪れタイで遺棄されたアンドロイド=ねじまき少女。これら所属する国家も来歴も生きるための指標もなにもかもが違う者たちが、それぞれの思惑の中で熱病に侵されたかのごとくハイテクと貧困の国タイの街を駆け抜け、生き、そしてまた死んでゆく。資源枯渇と食糧不足、そして疫病の流行により瀕死となった世界を舞台にしたこの物語は、しかし決して世界の終末やパニックを描くことを主軸としてはいない。全世界的な危機を迎え、大規模なパラダイム・シフトを余儀なくされた世界が、どのようなグロテスクなものに変貌してしまったか、そしてその世界がどこへ向おうとしているのかを、東南アジアの国タイを舞台に据え、微視的な視点から描いたのがこの物語となる。この物語の世界観は非常にユニークなものであると同時に実に異様だ。熱帯の国タイ、その倦んだような熱気と溢れんばかり植生、そして欧米とは全く異なる文化体系というエキゾチズム溢れるロケーションが、物語の異様さ・奇怪さになお一層拍車を掛ける。遺伝子工学やアンドロイド少女が登場しながらも殆どの人々は最下層の生活を送り、そして精霊や悪霊の存在が信じられ人々の心に神秘的な言葉を呟く。ここでは西洋的な合理主義が通用しない、というよりも相手にされておらず、あくまで東南アジアの流儀で物事が進む。そういった異質さがこの物語に新鮮な驚きを与えているのだ。なにもかもがグロテスク、そしてなにもかもが鮮烈。熱帯に咲き乱れれる目も彩な原色の花々とその葉の下で蠢く醜い毒虫のように。これはもう大傑作と言い切っていいだろう。ヒューゴー賞ネビュラ賞ローカス賞、キャンベル記念賞。

■ダールグレン( I )( II ) / サミュエル・R・ディレイニー

ダールグレン(1) (未来の文学)

ダールグレン(1) (未来の文学)

ダールグレン(2) (未来の文学)

ダールグレン(2) (未来の文学)

都市ベローナに何が起きたのか―多くの人々が逃げ出し、廃墟となった世界を跋扈する異形の集団。二つの月。永遠に続く夜と霧。毎日ランダムに変化する新聞の日付。そこに現れた青年は、自分の名前も街を訪れた目的も思い出せない。やがて“キッド”とよばれる彼は男女を問わず愛を交わし、詩を書きながら、迷宮都市をさまよいつづける…奔放なイマジネーションが織りなす架空の都市空間を舞台に、性と暴力の魅惑を鮮烈に謳い上げ、人種・ジェンダーのカテゴリーを侵犯していく強靱なフィクションの力。過剰にして凶暴な文体、緻密にして錯乱した構成、ジョイスに比すべき大胆な言語実験を駆使した、天才ディレイニーの代表作にしてアメリカSF最大の問題作。

随分前だったがやっと読んだディレイニーの『ダールグレン』。1975年刊行だが、SFマガジンであれの初紹介を読んだのは自分がまだ中学生のときだった。しかも冒頭とラストのネタバレもしっかりしていて、そしてなぜかそれをいまだに覚えていた。当時から結構話題になっていたがSFマガジンでも「なにしろ分厚い、長い」という事以外はよく伝わってなくて、それもなぜか強く記憶に残っている。さて伝説のSF作品と呼ばれるこの小説、実の所、それほど面白く読めなかった。そもそもディレイニー小説自体、以前からとっつき難くて『ノヴァ』ぐらいしか読んでいなかったが、この小説でもディレイニーの魅力がさっぱり伝わらなかった。いわゆるニューウェーブSF期に流行った自己内面を外界に投影したインナースペースな御話なのだが、結局読まされるのはディレイニーという人の強烈な自意識だけなのだ。半ば自叙伝的な側面も持つこの小説、ディレイニーの半生に存在するボヘミアな生活ぶりやディレッタントな文学趣味を「さあどうだ」とカードを切りながら見せつけらているようで、1975年当時にはディレイニー自身のカリスマ的な人気とあわせそれらはビザールな面白さを醸し出していたのかも知れないが、今現在読むと完全に風化した風俗小説としか思えない。つまりは不良ぶったモラトリアム小説でしかなく、もったいぶった文学小説もどきでしかなく、SF小説としては完全に失敗している。まあダールグレンの呪縛を解くにはダールグレンを読むしかないともいえるので、完読したということのみが成果だった。

yoyoshi yoyoshi 2015/11/23 22:27 バンコクの市場の果物の香り、屋台から漂う油と香辛料の匂い、どんな変革も飲み込んでしまう天使の都の懐の深さ!題名のアンドロイドではなくバンコクこそがヒロインに思えてきます。ラストの水が溢れるのも受容的。

globalheadglobalhead 2015/11/24 09:08 商標登録された作物の種、というアイディアに驚かされましたが、これが決して絵空事ではないというのにもぞっとしましたね。

20110928(Wed)

[]『ブラック・スワン』と『アンチ・クライスト』観たんだけど両方ともとても残念な人の映画だったなあ 『ブラック・スワン』と『アンチ・クライスト』観たんだけど両方ともとても残念な人の映画だったなあを含むブックマーク 『ブラック・スワン』と『アンチ・クライスト』観たんだけど両方ともとても残念な人の映画だったなあのブックマークコメント

ブラック・スワン (監督:ダーレン・アロノフスキー 2010年アメリカ映画)

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  • とても残念な人の映画ですね。
  • というかとても残念な人の映画です、と最初から分かっているわけだからとても残念な人と今更のように言ってしまっても意味が無いんだが、まあ要するに映画観ている間中ホントに残念な人だなあ、とずっと思ってしまった。
  • 仕事きつくてもうアタシ残念な人になっちゃう!と言いながらやっぱり残念な人になりましたあって、そのまんまじゃないか。
  • というか早く病院行きなさいよあんた。
  • 行けないなら誰かが連れて行ってあげるべきでしたね。
  • 単にそういう映画だと思ったなあ。
  • いや実のところクラシックバレエの世界という舞台が目を惹くし、エンタメ映画作品としてはよく出来てると思うし中盤「なげーなーこれ」と思っちゃいましたが全般的にはまあまあ飽きずに観れましたし決して駄作愚作凡作のたぐいではないとは思うんですよ。
  • ただオレ、個人的に「やっぱり駄目です負けましたあ」って映画がね、好きじゃないんですよ。
  • 葛藤があったらそれを克服して欲しいし、葛藤が葛藤のまま終わっちゃったら物語になってないと思うんですよ。
  • なんとかできるのが自分しかいないのなら自分で何とかする物語にして欲しかった。
  • それが結局「何にもしなかったし何にも出来ませんでした」って、っそりゃないでしょ。
  • 「とことん一所懸命やったけどでもやっぱり駄目だったホントにホントに無念だった」という映画だったらオレは一緒に泣いてあげられますよ。
  • ってかこの映画ホラーでいいじゃん。ホラーじゃダメなの?
  • ところでバレリーナって労災効くの?

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■アンチ・クライスト (監督:ラース・フォン・トリアー 2009年デンマーク/ドイツ/フランス/スウェーデン/イタリア/ポーランド映画)

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  • チョメチョメしまくってたら子供が窓から落ちて心が壊れてしまった奥さんと「俺はセラピストだから全然OK」とばかりに頓珍漢なことをやらかす間抜けな旦那とが織り成す愉快で心温まるスプラッタームービーです。
  • 残念な奥さんの話かと思って観たら残念な旦那の話だった。
  • お話の大前提が「自分の子供自分の不注意で死なせちゃったら誰でも気が狂うほど苦しみますよね?」という部分で作られているのがイヤだ。イヤだから取り合えず「知らんわンなもん」と言ってあげることにしよう。
  • そもそもこいつら夫婦に見えん。シャルロット・ゲンズブールはいいとしても、ウィリアム・デフォーがナチ顔だし。
  • 心が風邪をひいてしまった人に冷水ぶっ掛けるとどうなるか、といういい例ですね。
  • 旦那、能書き垂れすぎ。半端に賢くて感情面が貧困な人間の典型みたいなヤツですね。
  • ってかこの映画ホラーでいいじゃん。ホラーじゃダメなの?
  • タイトルは「反キリスト」でその理由と映画のテーマは柳下毅一郎氏の解説できっと正しいんだろうけど、まあしかししょーもない映画であることは確かだろう。
  • この陰鬱さやら醜悪さやらはキリストな人たちのものであってそれを信仰も何も無い日本人のオレが観て「なるほどー」と感心しなきゃならない謂れは無いし。
  • もちろん日本人であろうともキリスト教を信奉する欧米人の価値観をたっぷり受け継いでしまっている以上「カンケーありましぇん」と言うことはできないかもしれないけど、逆にだからこそ、「アーイヤだイヤだ性格悪いし性格暗いし付き合いきれんわこいつら」って言ってやるべきだと思う訳よ。
  • だから「ほらほらこんなに苦しんでどんどんどんどん悪くなっていってこんなに狂ってしまいましたよー凄いですねー怖いですねー」とかやってるラースなんちゃらいう映画監督の回復したがらない病人のような性格の悪さ性格の暗さそれ全部ひっくるめたひねくれた人間性にTVバラエティの客席の仕込みのおばちゃんみたいにいちいち律儀に頷きまくってないで「お前アホやろ」と言ってやったほうがいいんだと思いますよこんな映画。

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アンチクライスト [Blu-ray]

アンチクライスト [Blu-ray]

masamasamasamasa 2011/09/28 16:40 私も、全く情報を仕入れず見に行って、勝手に「あー、バレーの業界の、あれでしょ。トウシューズに画鋲入れたりするそんな陰湿な世界をナタリーポートマンが翻弄されつつ、最期にがっと行っちゃう系でしょ。最期にナタリーの痛快アクションがあって、今までいじめてくれた奴らをブラックスワンになって血祭りに上げるんでしょ!」と予想していたら、あー、そっちだったかー、とがっかりはしなかったんですが、面白かったんですが「ぶっちゃけこれトウシツでしょ」と思ってしまい、早めに病院行っとけば軽症で済んだかもとまじめに気の毒に思いました。お母さんがそもそも行っちゃってる系だったので医者に行きそびれたんでしょうか。個人的には全く救いがないラストが悲しかったです。

globalheadglobalhead 2011/09/28 18:44 ナタリーの痛快アクション観てえ!
自分はダーレン・アロノフスキーの「レスラー」がとても好きな映画で、この「ブラック・スワン」が公開されたときは「レスラー」と同じ文脈で語られることもあったようですが、しかし「レスラー」がレスラーを止め一般人として生きようともがき苦しみながら結局はそれを成し遂げることの出来なかった男の無念の物語だとすると、この「ブラック・スワン」は結局自分自身に振り回された挙げ句狂気の中に一件落着する物語であるという意味において、同列で語ることの出来ない物語であると思うんですよ。どちらも最終的に破滅が待っていたとしても、「レスラー」には自分を変えたい、変えよう、という意思があったと思うんです。しかし「ブラック・スワン」で描かれるのは虚仮脅かしな怪奇シーンに怯える主人公だけで、そこには主人公自身の意思的なものが何も見られないんです。どんなサスペンスを振り撒いたところで「どうせ幻覚なんでしょ、で、どうしたいの?」って思っちゃうんですよ。まあしかし一番思ったのは、「レスラー」のヨボヨボのジジイなんかはどうでもいいけど、若くて美人ちゃんな女子が破滅しちゃうなんて、なんて勿体無い!というのが正直な感想なんですけどね!

あと「アンチ・クライスト」は、この間公開された「ツリー・オブ・ライフ」の裏版だと思いました。かたや地獄、かたや天国を描きながら、根っこのところでこの二つの映画は繋がっているんだと思うんですよ。それは宗教性であると同時に、欧米白人の自己観念のあり方の苛烈さであるとか孤独さであるとかですね。欧米人は神と自己を繋ぐアガペーの中に生きますが、それは容易く自己以外のものへの苛烈さへと変容します。彼らにとって地獄も、天国も、実は同じ道から至る場所なのではないかと思います。

chirigamichirigami 2011/09/28 22:59 ブラックスワンはありとあらゆるホラーのセオリーがぶち込まれている完全なホラー映画でしたね。
サイコサスペンスだと思って見にいったら本気で客を怖がらせに来てるじゃないですか!
小便ちびりそうになりましたよ…。

globalheadglobalhead 2011/09/29 00:12 自分もサイコサスペンスだろ、と思って観てたらこりゃ普通にホラーっぽいし、最初からホラーにしちゃえばよかったのに、と思いましたね。
やっぱホラーですよねえこれ。
ところでバレエホラーといいますとやっぱりサスペリアでしょうか、観てないけどJ・コネリーのエトワールなんてェのもありましたし、ロリ映画エコールというのもあれはバレエホラーに引っ掛かるかなあ。

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20110927(Tue)

[]映画『プリースト』はヴァンパイア+サイバーパンクだと思ったら実は西部劇だったッ!? 映画『プリースト』はヴァンパイア+サイバーパンクだと思ったら実は西部劇だったッ!?を含むブックマーク 映画『プリースト』はヴァンパイア+サイバーパンクだと思ったら実は西部劇だったッ!?のブックマークコメント

■プリースト (監督:スコット・スチュワート 2011年アメリカ映画)

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  • 予告編を観た印象がヴァンパイア+サイバーパンクな世界観+でもゴシックな宗教世界で、「おおこりゃどんな映画になっとるんじゃろ」と思い観に行ったのである。
  • ヴァンパイア対人類の戦いは長きに渡り、大地は荒廃し人類は膨大な死者を出したが、究極の戦士【プリースト】の登場によりからくもヴァンパイアに勝利していた、という未来。
  • ヴァンパイアたちは居留区に押し込められ、人類は城砦に覆われた信仰を絶対とする全体主義の都市に住んでいた。
  • この"全体主義国家都市"が陰鬱で『ブレードランナー』の都市みたいで、さらに「信仰しろ信仰しろ信仰しろ思いっきりハードに信仰しろ」と常にスローガンが放送されているところが『1984』あたりを思い出せて雰囲気があるのね。
  • 主人公は究極兵士【プリースト】なんだけど、この時代には既に対ヴァンパイア戦争は終わっちゃってるからしがない退役軍人みたいに過ごしている。
  • で、ある日主人公は兄夫婦がヴァンパイアに襲われ姪の女の子がさらわれたという事を知らされ、「助けに行きたい!」と最高為政者である協会に嘆願するんだけど「もうヴァンパイアいないことになってるからそんな話ありえないし外に出たら破門するからそこんとこヨロシク」とけんもホロロの対応、でも「ンなの知ったこっちゃねえ!」とばかり主人公は外の世界に出ちゃうんだね。
  • このとき主人公が乗るのが『AKIRA』にでも出てきそうなカッコいいバイクで、このバイクは最後まで活躍する。
  • 城塞都市を出るとそこは一面の荒野。朽ちかけた巨大な彫像の列が突然現れたかと思うと、過去に滅び瓦礫となった都市が広がっていたりする。
  • この荒野の雰囲気もとってもいいんだね。ちょっと『ジャッジ・ドレッド』とか『最後の猿の惑星』あたりを思い出したね。
  • で、主人公は仲間となったある青年と一緒にヴァンパイア追跡を始める。ヴァンパイアは荒野を走る鉱石貨車に潜んで都市を襲おうとしているらしい。
  • でもこっからがなんかイマイチなの。
  • サイバーパンクな世界がいきなり西部劇になっちゃうんだもの!
  • バイクは馬で、荒野はなにしろ荒野で、なんだか宿場町みたいのがあって、悪漢の乗った列車を追跡するって、これまんま西部劇のコンセプトじゃん。
  • いろんな要素をミックスして独特な世界を生み出そうとしたのはわかるんだけど、オチが西部劇って…いや、今度公開される『カウボーイ&エイリアン』は観に行くけどね!ってか『カウボーイ&エイリアン』も段々心配になってきたが…。
  • 主人公は信仰を捨てた者として別のプリーストたちに彼の抹殺指令が出るんだけど、このプリーストたちがまたしょぼい扱いで気が抜けるのね。
  • それと城塞都市の外を出たら神の恩寵を捨てたことになる、とか言いながら荒野に住んでいた兄夫婦とか宿場町の連中っていったいどういう扱いってことになるの?
  • そもそも十字架をモチーフにしたサイバーな武器をいっぱい駆使してカッコイイ戦いをするのかと期待してたら、最後は結局殴り合いでさあ…。
  • ハリウッド・アクションによくあるんだけど、「最後は殴り合い」ってあれどうにかならんもんか。昔『ユニバーサル・ソルジャー』観て現代科学の粋を凝らしたスーパー戦士が最後は泥臭い殴り合いで決着を付けるのを見てがっかりした記憶が蘇ったなあ。
  • ダークな世界観を期待していたら西部劇だった、っていうのが乗れなかった原因かなあ。でもずっとダークな世界観だったヴァンパイア映画『アンダーワールド』もぱっとしない映画ではあったが…。
  • 監督は『レギオン』のスコット・スチュワートで、そういえばあの映画も大風呂敷広げた設定なのにやってることはチッチャイという映画だったなあ。
  • でもヒロインで出てきたマギーQが結構良かったかな。

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azecchiazecchi 2011/09/30 09:41 これ僕は飛行機の中で観たのですが、正にそのとおりの感想ですね。最後のバイクチェイスとかのショボさ加減が泣けてきます。。。フモさんのレビューがもう少し早かったらスルーしてたのに。。。ちなみにマギーQにはエロを感じないのであまり興味が持てません。健康的すぎるというか。

globalheadglobalhead 2011/10/01 19:06 しみじみレンタルで十分な映画でしたねえ。しかもオレこれ、追加料金払って3Dで観てるんですよ!マギーQは最初誰この人?と思っててあとで名前分かって、ああなんか懐かしいなあという感慨込みでありました。

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20110926(Mon)

[]肉塊!鉄塊!金塊!〜映画『ワイルド・スピード MEGA MAX』 肉塊!鉄塊!金塊!〜映画『ワイルド・スピード MEGA MAX』を含むブックマーク 肉塊!鉄塊!金塊!〜映画『ワイルド・スピード MEGA MAX』のブックマークコメント

■ワイルド・スピード MEGA MAX (監督:ジャスティン・リン 2011年アメリカ映画)

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  • ハリウッド映画なんてェのはおおよそ肉塊と鉄塊と金塊とで作られているようなもんでしてな。
  • 肉塊てェのはマッチョとグラマー美人、鉄塊てェのは車と武器、金塊てェのは大金にまつわる話だったりたいそうな額の制作費ってことなんですな。
  • 「そんな映画ばかりじゃないだろあんたちゃんと映画観たことあんのかオイコラ」という向きもあらせられるかと思いますが、これ書いている人間はそんな映画ばっかり観ているような程度のヤツだとお察しください。
  • でまあこの『ワイルド・スピード MEGA MAX』なんてェ映画はまさにこの肉塊!鉄塊!金塊!にドンピシャの映画ではありませぬか!
  • コワモテするお兄サン!エロエロなチャンネー!爆走するたのしいじどうしゃ!バリバリ火を噴くマシンガン!とっても額の大きいおかね!くだらないことに湯水の如く使われている制作費!
  • 肉塊!鉄塊!金塊!そのココロは「なんにも考えなくていい映画だよ〜よってらっさいみてらっさい」ってことなんですよ皆々サマ!
  • それは単刀直入に表現するところのおバカ様映画!
  • お話はヴィン・ディーゼル扮する主人公と仲間たちがブラジルのマフィアの親玉から1億ドルをかっさらう、というもの。
  • 現金強奪作戦の為に世界中からその道のプロを集め主人公の仲間となりますが、それぞれが個性があってなかなか楽しい。いわばブラジル版『黄金の7人』てやつですか。
  • 初っ端の脱獄シーンや列車からの高級車強奪シーンはスピード感抜群で燃えます!
  • しかしそんな主人公らを捕らえるためドウェイン・ジョンソン扮する鬼の連邦捜査官が派遣される!
  • この【脂ハゲ】ヴィン・ディーゼル【とんがりハゲ】ドウェイン・ジョンソンハゲ対ハゲの熱いぶつかりあいが見物なんです!
  • ハゲが殴る!ハゲが蹴る!ハゲが唸る!ハゲが歯を剥く!ハゲが飛ぶ!ハゲが掴みあう!ハゲが汗みどろになる!ハゲが血反吐を吐く!ハゲの死闘!ハゲの対決!ハゲとハゲが絡み合い、もうどっちがどっちのハゲなのか分からないほどに画面いっぱいにあふれるハゲ!あまりにも凄まじいハゲとハゲの応酬!
  • そして最後に、がっちりと手と手を握るハゲ同士の熱い友情!
  • 男ならハゲに生まれたい、としみじみ思わせる究極のハゲ映画!
  • ああ…ハゲ最高!
  • 現金強奪作戦自体は、よく考えると無理の多い強引で穴だらけの作戦なんですが、おバカ様映画のノリの良さでまあまあ気にせず見ることが出来ると思います。逆にこの強奪作戦がもっとよく練られたものだったらこの映画ももう少しランクの高い作品になったかもしれませんが。
  • で、これは予告編でネタバレされてるから書いちゃうけど、結局車2台で重量10トンもの金庫を引っ張り出しそのまま走って逃げちゃおう!という奇想天外というか荒唐無稽な作戦が決行されます!
  • 実際のところ、いくらチューンナップされ馬力のある車だからって10トンの金庫を引きずって走り、あまつさえ追跡する車さえ追いつけない、なんて、いくらなんでもありえねーだろ!
  • しかし、この「ありえねー」クライマックスのアクションが楽しすぎる!でもやっぱりこれはありえねー!でも楽しい!
  • この馬鹿馬鹿しさを許せるかどうかでこの映画の評価も変わってくるでしょうかね。
  • というわけでまさに肉塊なマッチョのおっさんが鉄塊と化した金庫を車でぶん回しながら金塊じゃないけど金を強奪しちゃう、というやっぱりハリウッドらしい肉塊!鉄塊!金塊!な映画でありました!

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20110925(Sun)

[]【海外アニメを観よう・その2】フレンチ・アニメ 『ベルヴィル・ランデブー』,ソ連アニメ『イワンと仔馬 & 灰色首の野がも』 【海外アニメを観よう・その2】フレンチ・アニメ 『ベルヴィル・ランデブー』,ソ連アニメ『イワンと仔馬 & 灰色首の野がも』を含むブックマーク 【海外アニメを観よう・その2】フレンチ・アニメ 『ベルヴィル・ランデブー』,ソ連アニメ『イワンと仔馬 & 灰色首の野がも』のブックマークコメント

ベルヴィル・ランデブー (監督:シルヴァン・ショメ 2002年フランス/ベルギー/カナダ映画)

ベルヴィル・ランデブー [DVD]

ベルヴィル・ランデブー [DVD]

巨大な頭の老女、脚の筋肉だけが異常に発達した青年、ビア樽のように太った犬。特徴が極端に描かれ、一見、気味の悪いキャラクターを、これほどまで魅力的に見せるアニメも珍しい。戦後間もないフランス。マダム・スーザは孫のシャンピオンに自転車の才能があると知り、彼をツール・ド・フランスに出場させる。しかしレース中にシャンピオンは誘拐され、スーザは海を渡り、大都会「ベルヴィル」で孫を捜すのだった。 全編、ほとんどセリフなし。人物の行動と表情だけでストーリーを伝えるのは、フランス出身のシルヴァン・ショメ監督。あえて手描き風にこだわったノスタルジックな絵や、ちょっぴりグロテスクな描写の数々は、どこか、おとぎ話の世界に迷い込ませるような魔力を持っている。線路脇に建つ傾いた家や、ニューヨークのようなベルヴィルなど、あらゆる背景にも目を奪われる。さらに注目すべきは音楽で、物語のカギとなる三姉妹の老婆が歌うマイナー調のスウィングジャズや、大海原で流れるクラシックなどが強いインパクト。そしてフレッド・アステアジャック・タチへのオマージュ…と、見どころを書いたらキリがない!

エピローグに当たる劇場シーンのアニメーションがまず楽しい。三つ子姉妹の歌と踊りのレビューが催されているだけれども、いろんなキャラが舞台に登場してはクニャクニャビョロビョロと変幻自在に伸び縮みしながら動きまわり踊りまわり、その動きの楽しさにまず引き込まれる。ここだけで短篇アニメーションとして完成されてさえいるのだ。そして本編、映画はツール・ド・フランスを目指す青年とおっかさんの物語として始まるのだが一転、青年は何者かに拉致されアメリカへと連れ去られてしまう!息子を追いアメリカに渡ったおっかさんが知り合ったのは3人の老婆、これが映画冒頭に登場した三つ子姉妹の年取った姿なのだが、蛙食ったりしゃぶってたりしてなんだかよく分かんない所が怪しくて可笑しい!そしておっかさんはこの老婆3人と息子を取り戻そうと大活躍するんだ!アニメの主人公が腰の曲がった皺だらけの婆さんとすっかり所帯臭いおばさんってところがいい!映画に登場するキャラクターは誰も彼も極端な姿にデフォルメされ珍奇で目を奪う。そして背景となるフランスやアメリカの街並みの描写がまた美しい。物語はちょっとブラックでシニカル、台詞は殆ど無いけれどもこのビジュアルと動き、そしてキャラの強烈さで魅せられる映画だ。

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■イワンと仔馬 (監督:イワン・イワノフ・ワノ 1947年ソ連映画)

イワンと仔馬&灰色首の野がも [DVD]

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ある夜、麦畑の番をしていたイワンは、星空から突然舞い降りてきた不思議な白馬に、二頭の黒馬とかわいいせむしの仔馬をもらいます。その黒馬が王様に見初められ、イワンは馬の世話係として宮殿で働くことになりますが、これをおもしろく思わない臣下は、王様を利用しイワンを陥れようとします。しかし、そのイワンに知恵と助言を与え、すべてを解決してくれるのはあの仔馬だったのです―。

3兄弟の一番下の子イワンは馬鹿で…と始まるこの物語、ああ、「イワンの馬鹿」の物語かと思ったらそうでもないんですね。「イワンの馬鹿」はもともとロシア民謡をトルストイが中篇として発表したもので、こちらはロシアの詩人ピョートル・パーヴロウィチ・エルショーフの作品『せむしの仔馬』をもとにしています(昔はこのタイトルだったようですが、"せむし"という言葉は差別語で使えない為現在のタイトルになったんでしょうね。同じような理由で『ノートルダムのせむし男』は『ノートルダム・ド・パリ』とか『ノートルダムの鐘』なんていうタイトルになっていますね)。物語はロシアの昔話『金色の馬』や『火の鳥』、『イワンの馬鹿』などをひとつにまとめたもので、これらファンタジックな生物たちが動き回るさまがとても躍動感に満ちアニメの醍醐味を見せるんですね。物語は王道ともいえる御伽噺ですが、馴染みの無かった分とても楽しんで観ることが出来ました。しかし後半のお姫様が繰り出す無理難題は「かぐや姫」を思い出しましたが、こういった物語って歴史のどこかで繋がっているんでしょうか。ロシアの素朴ながら力強い童話をアニメで蘇らせたこの作品は、欧米のものとはまた違った独特の土俗と習俗をかいま見せ、そういったエキゾチズムが驚きを生むものとなっていました。

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■灰色首の野がも(監督:レオニード・アマリリク、V・ポルコヴニコフ 1948年ソ連映画)

イワンと仔馬&灰色首の野がも [DVD]

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首が灰色の子がも・グレイは森でキツネに襲われそうなウサギを見つけ、助けようとしますが、逆に襲われ右の羽を負傷してしまいます。母親がもは、無残に森に落ちていた羽根を発見し、我が子は死んだものと思い込み、春までの遠い旅に出発してしまいます。たった一羽残されたグレイ。冬は容赦なく訪れ、腹をすかせたキツネが再び襲い掛かりますが、今度はウサギが森の仲間を連れてグレイを救出したのです。森の平和は保たれ、やがて傷も癒えたグレイは母親との再会を果たすため、再び大空へと飛び立ちます。

シベリアの大自然を舞台にした動物たちの一冬のドラマです。可愛らしい動物たちが厳しい自然の中で生き抜く様が描かれますが、どちらかというと子供向けな感じがしてちょっと退屈してしまいました…。

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20110924(Sat)

[]【海外アニメを観よう・その1】アフリカの不思議な少年〜 『キリクと魔女』2作 【海外アニメを観よう・その1】アフリカの不思議な少年〜 『キリクと魔女』2作を含むブックマーク 【海外アニメを観よう・その1】アフリカの不思議な少年〜 『キリクと魔女』2作のブックマークコメント

■キリクと魔女 (監督:ミッシェル・オスロ 1998年フランス/ベルギー/ルクセンブルク映画)

キリクと魔女 [DVD]

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本国フランスで大ヒットを記録し、世界各国の映画祭で多くの賞に輝いたアドベンチャー・アニメ。アフリカの村に生きる少年が、持ち前の好奇心と知恵をたずさえ、恐ろしい魔女が村の男たちを襲う本当の理由を求めて冒険の旅に出る。原作・監督・脚本は本作が初の長編となるミッシェル・オスロ。スタジオジブリの第1回洋画アニメーション提供作品。アフリカの村。ある日、小さな男の子が母親の胎内から自力で生まれ出てきた。そして、自分でへその緒を切ると自らキリクと名乗るのだった。彼が生まれた村は今、窮地に立たされている。魔女カラバの脅威に晒されていたのだ。キリクの父親や村の男たちは、カラバに戦いを挑み、その結果みな彼女に喰われてしまった。カラバの呪いによって村の泉は枯れ、黄金も奪われてしまった。そんな中、キリクはカラバとの対決に向かった叔父について行き彼の危機を救う。その後も、持ち前の機転で村人の窮地を防ぐキリクは“どうして魔女カラバは意地悪なの?”との疑問を強くしていく。その質問に“お山の賢者”だけが答えられると知ったキリクは、危険を顧みず彼のもとに向かうのだった…。

アフリカの小さな村を舞台に、不思議な子供キリクが災厄をもたらす魔女の脅威から村を守ってゆく、という物語。このキリク、生まれたばかりなのに喋るはちょこまか動き回るわでとても人間離れしている。かの御釈迦様が生まれたばかりで「天上天下唯我独尊」と呟いたという話があるが、そう考えるならキリクはある種の精霊、ひょっとしたら小さな神様なのだという事も出来るかもしれない。このキリクが知恵と勇気で魔女の企みをことごとく粉砕し、うなだれていた村人たちに希望を与えてゆくのだ。キリクに助けられるたび、村人たちがアフリカな音楽を鳴らしながら歌ったり踊ったりするところが楽しい。実はこの音楽、アフリカ出身の世界的ポップアーチスト、ユッスー・ンドゥールが担当している。ちょこまかと走り回るキリクの動きの楽しさのみならず、この『キリクと魔女』は映画美術全体がアーティスティックで美しい。それはアフリカらしい鮮やかな原色が踊る色彩設定だったり、アンリ・ルソーをモチーフにしたという村の建物や森の草木、魔女の要塞などの様式的なフォルムだったり、エジプト美術を参考にしたという人物の造型だったりする。こういった美術がなにしろ美しいアニメーションなのだ。そしてキリクと魔女が対峙するクライマックスとそのラストが何より素晴らしい。これは勧善懲悪などという単純な物語ではなく、"魔女”という一人の女の悲しみを描いた映画でもあるのだ。

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■キリクと魔女2 4つのちっちゃな冒険 (監督:ミッシェル・オスロ 2005年フランス映画)

キリクと魔女2 4つのちっちゃな大冒険 [DVD]

キリクと魔女2 4つのちっちゃな大冒険 [DVD]

背も力もない小さなキリクが知恵と勇気で困難に立ち向かう、フランスアニメの傑作「キリクと魔女」の第2弾。「黒ハイエナから畑を守れ!」「キリク、陶器を売りに街へ行く」「キリクとキリン 冒険の旅」「毒の花と魔法の花」の4つのエピソードからなるキリクの冒険物語。

『キリクと魔女』の続編として作られていますが、前作の続きというわけではなく、前作のキリクと魔女との戦いの中で語られていなかったエピソードを4つ並べた小篇集となっています。ここでもちっちゃなキリクがチョコマカチョコマカ動きながら持ち前の優れた機転で様々な困難、無理難題を乗り越えてゆきます。で、キリクが事件を解決するたびにまたもや村人たちが「キリクはぁ〜最高ぉ〜♪」とか歌いながらワイワイ踊って終わるんですね。しかしこれだけキリクが凄いヤツだって分かってるのに、キリクが新たな事件に直面するたび「キリクには無理だ」「キリクは分かってない」とか村人たちが否定的なことを言うんですね。おいおいお前らさっきまでキリク最高とか言って踊ってたじゃないかよ!そんな学習能力の無い村人たちにちょっと絶望した作品でもありました。

※【海外アニメを観よう】シリーズは飛び飛びで9回やる予定です。

20110923(Fri)

[]最近読んだコミックあれこれ 最近読んだコミックあれこれを含むブックマーク 最近読んだコミックあれこれのブックマークコメント

■激マン!(3)(4) / 永井豪

激マン! 3 (ニチブンコミックス)

激マン! 3 (ニチブンコミックス)

激マン! 4 (ニチブンコミックス)

激マン! 4 (ニチブンコミックス)

敬愛する永井豪先生の自伝漫画の3・4巻。自伝漫画といっても幼少時からダラダラやるんじゃなく売れっ子漫画家になっている段階から描いているのが面白い。そして永井センセの代表作『デビルマン』製作時の葛藤が、『デビルマン』の漫画を殆ど丸々再話しながら進行してゆくという驚きの展開。『デビルマン』のあのシーンはこんなこと考えながら書いてましたよーと微にいり細にいり描かれるので『デビルマン』好きのオレには嬉しいですがなかなか話が進まないと言う難も。それにしても今回驚いたのはあの『デビルマン』が、実はシレーヌ編の後ぐらいで打ち切りが決定していたということですね。まさかホントかよ!?と思っちゃいましたよ。なんでもアニメのほうが終わっちゃたから続ける意味が無いという編集長の判断なのだそうですが、なんだこの先見性の無いアホ編集長は。しかし永井センセにはまだまだ『デビルマン』の構想がたっぷりあったそうなんですよ。永井センセは考えた結果あの悪魔強制合体による世界終末の始まりを描き始め、それがどんな凄まじい形で結末を迎えるかは漫画好きの方なら誰しも知っていることだと思いますが、『デビルマン』がもっともっと長く続いていたら、そこにはどんな恐るべきことが描かれていたのか、当時殆ど神がかりな描写力と発想力を持った永井センセがどんな世界を描いたのか、想像するだけで悔しいし気が遠くなりそうですよ。次巻ではいよいよ『デビルマン』のあのクライマックス秘話が描かれるんでしょうね。あ〜これは本当に楽しみだ!

毎日かあさん(8)いがいが反抗期編 / 西原理恵子

毎日かあさん8 いがいが反抗期編

毎日かあさん8 いがいが反抗期編

西原理恵子センセのじたばた子育て奮闘記も8巻、息子はすっかり大きくなり娘もとってもおしゃまになりました。いつもわあわあぎゃあぎゃあやってますが、この漫画のテーマはやっぱり「幸福」ってことなんだと思います。子供がいるから幸福、子供を育てるから幸福、ってことではなくて、なんにしろ、人は幸福のために努力するし、幸福のために毎日生きるということなんです。自分は、人とちょっと違う家庭で育ってしまったので、家族とか家庭というものがよく分からないままこんなオッサンになってしまいましたし、親戚やらなんやらと言うものには関わらずにこれからも生きてゆくでしょうし、サイパラ家にあるような幸福と言うものを現実に体験することなく一生過ごすことになるような気もしますが、それでも、サイパラ家のジタバタを、自分には無かった・無いであろうある種の生活というものを、目を細めて眺めてしまうんです。その幸福は自分にはないでしょうが、その幸福は、自分にも理解できるんです。だから、それでいいんだと思います。

ベルセルク(36) / 三浦健太郎

ベルセルク 36 (ジェッツコミックス)

ベルセルク 36 (ジェッツコミックス)

ベルセルク第36巻はまだ巨大ナマコみたいなバケモノと戦っております。そろそろこのナマコのバケモノは飽きてきたのでサクッと血祭りにあげて次の章に行ってもらいたいです。例によって狂戦士化したガッツは強すぎるぐらい強いんで作者も困ってるんではないかと思います。そこで今回もまた新キャラ投入されました。前からちょろっと出ていた不思議な少年ですがやっと仲間に加わったようです。なんかお目目ぱっちり系です。きっとまたファンタジー色が濃くなる思うのですが、別にかまわないです。それよりも三浦健太郎先生はお体に気をつけて次の巻早く仕上げてもらいたいもんです。

きのう何食べた?(5) / よしながふみ

きのう何食べた?(5) (モーニング KC)

きのう何食べた?(5) (モーニング KC)

ゲイの弁護士シロさんが相方のケンジに毎日作る家庭料理メニューが楽しい料理漫画第5巻。しかし毎度思うがシロさんマメだなあ。オレ今まで紹介された料理なんて殆ど作ったことないし食ったことも無いのも結構あるなあ。いっつもピザとかカレーしか食わないからなあ…。今回紹介されたメニューでは「アボガドとトマトのわさび醤油和え」が食いたいなあ。誰か作ってくんないかなあ。それにしても料理上手な方なんかはこの漫画の料理を始める最初のコマで何の料理か分かったりするんだろうか。オレなんか完成図見るまで何の料理かさっぱりわかんなかったもんもあるなあ。

GANTZ(32) / 奥浩哉

GANTZ 32 (ヤングジャンプコミックス)

GANTZ 32 (ヤングジャンプコミックス)

巨人の宇宙船地獄編、タエちゃんがやっと服着ました。真っ裸で草むらに捨てられたりとかそもそも一回死んでたりとかヒロイン史上最低の扱いを受けているタエちゃんですがちょっと安心しました。裸で逃げ回っている他の人たちも早く服を着せてもらいたいものです。見てて寒そうなんだもん。それにしても巨人の皆さんはなんで目が四つもあるんでしょうか。正面に二つ、こめかみに二つ付いてても意味ないと思います。付けるんなら頭の後ろにするべきだったんではないでしょうか。だってそのほうが便利そうじゃん。

大東京トイボックス(7) / うめ

大東京トイボックス (7) (バーズコミックス)

大東京トイボックス (7) (バーズコミックス)

ゲーム製作会社を通してゲーム業界の裏事情をシリアスに描くお仕事漫画の7巻。しかしゲーム製作にはとても時間が掛かるかとは思いますが、もうちょっと展開早くしてもらってもいいのではないかと。それと主人公チームの現在作ってるゲームが横シューティングで、さらに因縁のゲームとして取り上げられこれから製作に関わろうというのが"伝説のRPG"で、なーんかゲームの最近の時流からちょっと離れているような気がします。あとレーティング云々のテーマも出ていますが、現行で既に日本でリリースされているゲームのレーティングのあり方は決まってしまっているようなもんだし、これを話題にするのもなんだか遅れているんじゃないかなあ。

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20110922(Thu)

[]『ヘルレイザーBlu-ray 3枚組BOX』買った 『ヘルレイザーBlu-ray 3枚組BOX』買ったを含むブックマーク 『ヘルレイザーBlu-ray 3枚組BOX』買ったのブックマークコメント

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ヘルレイザーBlu-ray 3枚組BOX』を買った。『ヘルレイザー』の1作目から3作目までが収められたBoxSetだ。そもそも今まで出ていなかったのが不思議なぐらいだ。この初Blu-ray化BoxSetと同時にDVDのBoxSetと1〜3のDVDのバラが発売されているが、Blu-rayのバラ売りは現在のところされていない。また、海外版だと特典映像が結構盛り込まれているようだが、この日本版では、12Pの薄いブックレットが付いていることと、1〜3ともバタリアンズの山口雄太氏井口昇氏によるオーディオ・コメンタリーが収録されているのと、1作目のみ木曜映画劇場で放送された際の日本語吹き替えが入っているのみだ。そもそも日本語吹き替えなんて特典とは呼べないとも思うが。しかも音声は1、2作が5.1ch DOLBY True HDなのに、3作目はDOLBY True HDのステレオなのだ。さらに1作目を観たときに気付いたが、フィルム傷や変色が修復されていなかった。こんななんとも不運な初Blu-ray化で、ファンの方はがっかりかもしれないが、それでもピンヘッドの雄姿がどうしても観たくて、こうしてBlu-ray Boxを買ってしまったのだ。

HD化に関しての画質は可もなく不可もなくといったものだが、逆にこれまで暗く潰れていてなんだかよくわからなかったVHSの画像でしか観られなかったものをくっきり観ることができるということであれば、それなりの成果はあるといってもいいだろう。ただおかげで特殊効果の粗もはっきり見えてしまうと言えば言えるのだが。

というわけでこの3作を既に全て観てしまったので、ざっくりした感想を書いておこうかと思う。

ヘルレイザー (監督:クライヴ・バーカー 1987年イギリス映画)

ヘル・レイザー [DVD]

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  • カッコイイ魔道士の話かと思って観に行ったら赤剥けのオッサンとトウの立ったおばちゃんの不倫話が中心だったから結構萎えた思い出があります。
  • 死体もグチャグチャ、不倫もグチャグチャ、ということでよろしいのでしょうか。
  • しかしAMAZONの作品紹介で「超人気ホラー・キャラクター、魔道士”ピンヘッド”が大暴れする大ヒット・シリーズ”ヘルレイザー”」とか書いてるけどだいたいピンヘッド"大暴れ"なんかしてねえし。
  • 復活中のフランクは血塗れになるの分かっててなんで服着るのか(2作目を見て分かりました。赤剥けだと寒いんだそうです)。
  • 魔道士の造型で注目を浴びたこの映画、壁の中から出てくる不細工な怪物の情けない造型も皆さん忘れないで下さい。
  • あと「究極の快楽」とか言ってるけど、痛がってる人しか出てこないのは何故?
  • やっぱり鎖に引っ掛けられて「ああああああきもちいいいいいい」と悶絶する人が一人でも出てこないとお話に説得力が無いと思います。
  • 全体的にもっさりどんよりしていて、写ってるのはずっと埃っぽい部屋ばっかりだし、最初観た時も思ったけど、個々のイメージは相当素晴らしいものがあるんだけど、映画の完成度それ自体は落ちると思うんだけどなあ。
  • 継母ジュリアの熟女ベッドシーンがいろんな意味で一番怖かった。

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ヘルレイザー2 (監督:トニー・ランデル 1988年イギリス映画)

ヘルレイザー2 [DVD]

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  • マットレスから生き返るって凄い。
  • 後半の異世界描写がもうかっ飛びまくっててサイコー!どう見ても手書きの絵なのが泣かせるけど!
  • 新キャラは魔道士になっちゃった博士。なんかいつもぶら下がってます。
  • そして魔道士の皆さんと博士とのガチンコバトルが始まり映画は盛り上がりまくります!
  • しかし魔道士の皆さん、雁首揃えて全員瞬殺されます。
  • 魔道士の皆さん弱すぎ。
  • 考えてみると今までこいつら、つっ立ったまま能書き垂れたり歯鳴らしたりしてただけだったもんな!
  • お前らにはがっかりさせられたよ!
  • その分博士が大暴れ!
  • でも最後は地面に刺さった自分の触手が抜けなくなって死にます。
  • アホなの?死ぬの?(死んだけど)
  • 歯カチカチ鳴らす魔道士、カメラに写ってないときカチカチを休んでいるのを発見。写ったらあわててカチカチしてやんの。
  • あとパズル好きの少女役の子が…あんまり可愛くないと思うんだけど…。

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ヘルレイザー3 (監督:アンソニー・ヒコックス 1992年アメリカ映画)

ヘルレイザー3 [DVD]

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  • 『1』や『2』と比べてファンから評判の悪い『3』、自分も昔観たときはイマイチな印象しか無かったが、今こうして観返して見ると…。
  • これ、結構出来がいいじゃん!?
  • 撮影が綺麗(Blu-ray画質も一番綺麗だった)!配役も衣装もセットもロケも小道具も3作の中で一番いい!そして多分3作の中で一番金が掛かっている!
  • 物語の鍵となる【彫像】がかっこいい!ヒロインも美人で好み!なにしろ中盤までの流れは悪くない。
  • だが舞台の中心となるクラブ「ボイラーハウス」の惨劇からが拙いのだ。これからガンガン盛り上げるべき筈の部分なのに。
  • 屍累々のシーンなのに血糊の量が圧倒的に少ない!死体の山なんてみんなして雑魚寝しているようにしか見えないよ!責任者出て来い!
  • 市街地ではバンバン派手に爆発シーンが入るけど、あのなー、ホラーに爆発なんていらないんだよ(人体以外は)!アクション映画じゃないんだからよ!
  • 新魔道士の皆さんの造形は嫌いじゃないけどアホっぽ過ぎるんだよ。
  • 結局、陰惨さと淫靡さが決定的に欠けているんだよ!
  • でも、『2』と同様、夢と現実を行き来するストーリーは悪くないんだよな。
  • もっと悪夢的なものが欲しいんだよ!
  • あのラストも好きだ。ストーリーも『1』『2』からの展開を上手くまとめたと思う。
  • だから全体的に惜しい作品なんだよなー。少なくとも駄作っていうほどの作品ではなかった。

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■実はオレ、18インチのピンヘッド・フィギュアも持ってるよ!

下の煙草の箱と大きさ比べてみて!

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ヘルレイザー ブルーレイ(初回限定生産3枚組) [Blu-ray]

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ヘルレイザー DVD BOX(初回限定生産3枚組)

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20110921(Wed)

[]ジョン・カーペンター久々の新作映画『ザ・ウォード 監禁病棟』を観てきた ジョン・カーペンター久々の新作映画『ザ・ウォード 監禁病棟』を観てきたを含むブックマーク ジョン・カーペンター久々の新作映画『ザ・ウォード 監禁病棟』を観てきたのブックマークコメント

■ザ・ウォード 監禁病棟 (監督:ジョン・カーペンター 2011年アメリカ映画)

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  • ジョン・カーペンター、なんでも10年ぶりの新作だという。前作は2002年の『ゴースト・オブ・マーズ』だというから、そうか、あれからもう10年も撮ってなかったのかと改めて思った。
  • ジョン・カーペンターは好きな監督だ。なんと言っても『遊星からの物体X』だ。『ニューヨーク1997』だ。そして『ゼイリブ』だ。好きな作品を全部挙げて行ったら切りが無い。
  • そんなカーペンターの新作が日本で公開されるというならこれは観に行くしかない。オレは公開初日初回を観る為に銀座シネパトスに一番乗り、1時間前から並んで待っていたのだ。
  • 物語は女子ばかりの監禁病棟で起こる怪異を描いたものだ。病棟に現れる謎の殺人者によって患者が一人また一人と屠られて行くのだ。
  • しかしこれだけではよくあるスラッシャー・ホラーだ。
  • 設定にしろありがちだ。女子ばかりの精神科の監禁病棟というシチュエーションは今年公開された『エンジェル・ウォーズ』を思い出させるし、女子刑務所ではあるが精神科病棟を巡るホラーというのであればハル・ベリーの主演した『ゴシカ』という映画がある。
  • しかしこの映画には幾つかの謎が仕掛けられている。
  • 例えば患者たちが消えて行くのにもかかわらず病院は何もしないのだ。
  • それと冒頭の描写だ。主人公の少女クリステンはある家に火を放ちそれを呆然と見つめているところを拘束され病棟に送られるが、彼女は何故放火したのかを覚えていない。にも関わらず彼女の掌にはその家の住所が書き付けられていたのだ。
  • さらに病棟の少女たちは何かを隠している。
  • そういった伏線が最終的にどういった形で回収されるのかを楽しみながら見るのがいい。
  • だが、そういった物語性とは別に、不気味な影がクリステンの前に突然現れて驚かせたり、逃げ回る少女たちが暗闇から現れる禍々しい手に引きずり込まれたり、そしておぞましい方法で殺戮されていったり…といった、ショッカーの見せ方が、やはり、非常に上手く、そして見ていて楽しいのだ。わくわくするのだ。
  • これはもう、ジョン・カーペンターの職人芸と言ってしまっていいような手馴れた手腕だ。
  • シンプルな舞台と構成はウォーミングアップということもあるのだろうが、カーペンター初期作を思い出させて申し分ない。
  • 確かに派手さは無い。血糊の量も少ないかも知れない。昨今のデジタル処理を駆使したホラーと比べたら古臭いかもしれない。しかし、安心して観られるのだ。
  • ラストの種明かしは、某映画とそっくりで、実はこれも衝撃的というほどのものではない。
  • しかし、映画全篇に散りばめられたカーペンター節(妙にのったりしたテンポも含めて)を堪能出来るという意味においては、これはファンにとって十分によく出来た映画だろう。
  • カーペンター映画で青春期を過ごしたオレのような人間には、カーぺンターの新作はやはり嬉しいものだ。余裕なんか見せてないでこれからもどんどん作品を撮ってもらいたいと思う。

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遊星からの物体X 【Blu-ray ベスト・ライブラリー100】

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ゼイリブ [DVD]

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20110920(Tue)

[]『世界侵略:ロサンゼルス決戦』は熱い戦争映画だったッ!! 『世界侵略:ロサンゼルス決戦』は熱い戦争映画だったッ!!を含むブックマーク 『世界侵略:ロサンゼルス決戦』は熱い戦争映画だったッ!!のブックマークコメント

世界侵略:ロサンゼルス決戦 (監督:ジョナサン・リーベスマン 2011年アメリカ映画)

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  • うおおおおお『世界侵略:ロサンゼルス決戦』凄かったぜええええええ燃えたぜ燃えたぜ熱くて死ぬぜええええ!!
  • お話はエイリアン軍団が地球侵略してきてあちこちの大都市は火の海瓦礫の山屍累々人類の運命は風前の灯そこで世界の警察アメリカ合衆国軍隊が今度は宇宙の警察となってロサンゼルス決戦するっていう身も蓋も無いぐらいタイトルそのまんまの映画ですが別に全然構わないじゃないかよそんなの〜!
  • というかエイリアン軍団と合衆国軍隊のガチバトルが描かれるって言うよりも、空爆前に生存者救出に向かったアメリカ軍小隊の視点を通して対エイリアン戦の一部始終を描いたものなんだけどね。
  • もうね、銃弾と砲弾と爆破と爆撃で目一杯お腹一杯にしてくれる映画だったね!!
  • エイリアンの地球侵略ってことから『インディペンデンス・デイ』とか『宇宙戦争』(どっちも大好きな映画だ!)が引き合いに出されるけど、どっちかっていうとSF版『ブラックホーク・ダウン』って印象だったね!
  • ブラックホーク・ダウン』って言い方が月並みならSFスタイルの実写版『CALL OF DUTY : MODERN WARFARE』って言ってもいいかな!あの現実の市街地を舞台に最新鋭の武器を駆使したリアルな現代戦を描くFPSゲームそのままの臨場感なんだ!地対地ミサイルのレーザー誘導装置なんてゲームにもよく登場するから映画に出てきた時は燃えたね!
  • つまりもうストーリーがどうこうじゃなくて敵とのいつ終わるとも知れぬ血みどろの銃撃戦が延々と続く映画なんだよ!その延々と続く戦闘の熾烈さと緊張感が快感なんだ!
  • 主役は当然アメリカ海兵隊の皆さんだ!ガチムチで角刈りで迷彩服に身を包んだ兵隊さんたちがアサルトライフル構えてエイリアンの皆さんに戦いを挑むんだ!決してコンピューター・ウォーなんかじゃない白兵戦なんだ!
  • たちこめる爆煙により視界ゼロの戦場に突然現れるエイリアン軍団!撃っても撃っても倒れないエイリアンとの戦いで銃弾も残り少ない!エイリアン軍団の攻撃に次々と倒れてゆく仲間たち!そしてエイリアンたちはさらに強力な武器を瀕死の海兵隊員たちへと差し向ける!
  • しかしそんな死の戦場で「退却NO!」を合言葉に兵隊さんたちは戦うんだね!
  • この兵隊さんたちがなにしろかっこよかったね!ヘリから全員降下とか「無茶しやがって」なんて台詞とか泣かせるじゃないか!
  • 別に軍隊最高!とかアメリカ軍万歳!とか言ってるわけじゃない。こんなのは映画という「ごっこ遊び」なんだ。そしてリアルで真剣な「ごっこ遊び」だから面白かったんだよ!
  • 『CoD:MW』を引き合いに出しただけあって観終わった後撃ち殺しまくり戦闘ゲームをやりまくりたくなる映画だったな!ギアーズ発売は今週!勿論合言葉は「退却NO!」だ!
  • とりあえず今年のベスト10に入れていいぐらい面白い映画だったよ!エイリアン侵略映画と撃ち殺しまくりゲームの好きな人は是非!

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ブラックホーク・ダウン(買っ得THE1800) [DVD]

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20110919(Mon)

[]山下公園へトライアスロンを観に行った 山下公園へトライアスロンを観に行ったを含むブックマーク 山下公園へトライアスロンを観に行ったのブックマークコメント

日曜日は横浜・山下公園で開催された『2011トライアスロン世界選手権シリーズ横浜大会(HP)』を観覧しに行きました。実はオレ、スポーツ観戦とかはまるっきりしない人間なんですが、相方さんの知り合いの方が参加されるということで、一緒に応援に行った訳なんですよね。

しかしこの日は日中30度を超える猛暑日!横浜も太陽がジリジリと照り付けておりました!ちなみに写真の後ろのほうに見えるのが横浜マリンタワーです。

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横浜山下公園到着。ここを中心に今回のトライアスロン大会が開催されているんです。

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到着した時間には既に大会が始まっていて、選手の皆さんが次々に海へと飛び込んでゆきます!

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海から上がってすぐ走る走る!

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そしてバイク(自転車)競技!

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このあともまた走る走る…という訳で相方さんの知り合いの方は2時間半みっちりトライアスロンされておりました!いやースゲエなあトライアスロン!オレには絶対無理!だいたいオレなんて2時間半観戦してただけで太陽に焼き焦がされて既に半死半生!ちなみにトライアスロンって競技を3つやるからトライでアスロンなんですってね。この日初めて知りました。

お昼ごろ相方さんのお知り合いの競技は終わり、お疲れ様でした!とご挨拶してお別れしました。普段はスポーツ観戦しないオレでしたがみんなで集まってわあわあ応援するのは楽しかったですね。暑かったけど天気も良かったし!

お腹が減っていたのでこの日は中華街にぶらっと入って例によってラーメン食ってました。

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連休ともあって地下鉄の元町・中華街駅は降りる人でごった返していました。

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それにしても元町・中華街駅のイメージキャラが萌えキャラって…いったい誰得?

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20110918(Sun)

[]最近聴いたCD その2 / Derrick Carter、Marcel Fengler、Gilles Peterson、Balam Acab、Club Salsoul 最近聴いたCD その2  / Derrick Carter、Marcel Fengler、Gilles Peterson、Balam Acab、Club Salsoulを含むブックマーク 最近聴いたCD その2  / Derrick Carter、Marcel Fengler、Gilles Peterson、Balam Acab、Club Salsoulのブックマークコメント

■Fabric 56 / Derrick Carter

Fabric 56: Derrick Carter

Fabric 56: Derrick Carter

Fabricの56番はシカゴ・ハウスのDerrick Carter。ファンキー! 《試聴》

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■Berghain 05 / Marcel Fengler

BERGHAIN 05

BERGHAIN 05

ベルリンのテクノ/ハウス・レーベル、OSTGUT-TONのMIXシリーズ「BERGHAIN」の最新作。きっちり仕事してます。 《試聴》

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■Masterpiece / Gilles Peterson

MASTERPIECE

MASTERPIECE

イギリスの名門レーベルMINISTRY OF SOUNDが送るMIX-CDシリーズ『Masterpiece』に遂にGilles Petersonが登場。相変わらずジャンルレスで広範かつ膨大なサウンドチョイスに唸らされる3枚組! 《試聴》

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■Wander Wonder / Balam Acab

Wander / Wonder

Wander / Wonder

ダブステを耽美にどろんどろんにした音ウィッチハウスのアーティスト、Balam Acabのニューアルバム。 《試聴》

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■Club Salsoul - In the Mix

Club Salsoul

Club Salsoul

なんだか急にSalsoulの音が聴きたくなって買ってしまった。後悔はしてない。 《試聴》

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20110917(Sat)

[]最近聴いたCD その1 / John Beltran、Machinedrum、Mount Kimbie、Robert Hood、Omar 最近聴いたCD その1  /  John Beltran、Machinedrum、Mount Kimbie、Robert Hood、Omarを含むブックマーク 最近聴いたCD その1  /  John Beltran、Machinedrum、Mount Kimbie、Robert Hood、Omarのブックマークコメント

■Ambient Selections / John Beltran

AMBIENT SELECTIONS

AMBIENT SELECTIONS

John Beltranによる珠玉のアンビエント・サウンド集。美しい曲多し。 《試聴》

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■Room(s) (Japanese Edition) / Machinedrum

Room(s)

Room(s)

NYを拠点に活躍するTravis StewartことMachinedrumのニューアルバム。基本はダブステだがアグレッシブな展開。 《試聴》

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■Carbonated - EP / Mount Kimbie

Carbonated

Carbonated

昨年アルバム『Crooks & Lovers』で一世を風靡したMount KimbieのEP。ダブステ風ぶわぶわサウンド。 《試聴》

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■Omega: Alive / Robert Hood

Omega: Alive

Omega: Alive

デトロイト・テクノRobert Hoodによるライブ・アルバム。 《試聴》

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■It Can Be Done But Only I Can Do It / Omar

IT CAN BE DONE BUT ONLY I CAN DO IT

IT CAN BE DONE BUT ONLY I CAN DO IT

デトロイト・ハウサーOmarのニュー・アルバム。 《試聴》

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20110916(Fri)

[]最近やってるゲーム / RESISTANCE 3 (PS3) 最近やってるゲーム / RESISTANCE 3 (PS3)を含むブックマーク 最近やってるゲーム / RESISTANCE 3 (PS3)のブックマークコメント

またしてもFPSゲームを買ってきてはやっているのであった。タイトルは『RESISTANCE 3』、"3"というからにはシリーズ3作目である。確か2はやったが1はやっておらん。内容はエイリアンが地球に攻めてきて人類は次々とぶち殺され文明は崩壊・街は瓦礫の山、その中でレジスタンスとして果敢にエイリアンに立ち向かう人々の戦いを描いたお話なんである。

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ストーリー:前作から4年、人類の希望であったネイサン・ヘイル中尉が戦いの中で命を落としてから人類の9割がキメラに改造されるか殺され、生き残った人々は地下に身を隠した。文明は滅び、キメラを中心とする新たな生態系が築かれつつあった。キメラへと変貌したヘイルを射殺したジョー・カペリは、上官を殺害したかどで軍を不名誉除隊させられ、望みのないキメラとの戦いから身を引いた。4年後、オクラホマ州ヘイブンの地下壕で、カぺりは人類に残された残り少ない日々を妻のスーザンと幼い息子ジャックと穏やかにすごそうとつとめていた。その頃、地球上の天候は大きく変化し、北米地域の気温は低下の一途をたどる。それはまるでキメラによる地球侵略の仕上げのように人類をみ、カペリの息子ジャックも原因不明の発熱や咳に苦しんでいた。

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グロいエイリアンの皆さんが総出演、ゾンビみたいな顔したヤツとか虫みたいなヤツとかあと巨大モンスター、巨大ロボットなんぞが徘徊し、生き残った人類や瓦礫となった街を踏み潰してゆくのである。人類はエイリアンたちを避けて地下に逃れ細々と生き残り…とまあよくある設定で、去年やった『METRO2033』あたりをちょっと思い出しちゃったな。シリーズとしてはこっちのほうが早いけど。

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しかし今回のゲームで面白いのはその武器だ。どの武器もプライマリとセカンダリ、または攻撃補助が用意され、武器のレベルアップ概念が存在する。さらにエイリアンから奪った超兵器は特殊能力を持っていて面白い。例えば壁越しにレントゲンのように向こう側の敵が透けて見える上にそれを壁越しに攻撃できる銃があったりする。これは便利だ。ただし武器が強い分敵もカタく出来ており、狙撃銃でヘッドショットする以外は一撃死は難しい。それと特徴的なのはヘルス回復。最近はオートで回復するFPSゲームが主流だが、この『RESISTANCE3』では体力回復はヘルスキットを拾わなきゃならないという昔ながらの作り。ヘタレゲーマーのオレにはちょっときついが、いい感じに難易度を上げる仕様と言えるかもしれない。

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難点としては昨今のFPSゲームにしてはグラフィックが若干弱く感じることだろう。これは前作もそうだったが、同時期に発売されているようなFPSゲームと比べると、気にはならない程度ではあるが見劣りするのは否めない。ゲーム内容もFPSとしてはよくあるものだ。だから強烈にお薦めするものではないのだけれども、FPSと聞けばとりあえずやっとけ、というオレのようなFPS馬鹿には結構楽しめるゲームとして出来上がっていると思う。

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RESISTANCE 3 (レジスタンス 3) - PS3

RESISTANCE 3 (レジスタンス 3) - PS3

game botgame bot 2011/12/12 16:09 今後からはFPSゲームもオートマウスを使って下さい。
すべてのFPS系ゲームで使用可能なオートマウスがあります。
マウスの左側ボタンの速度調節可能など
安い価格に確実な機能を持ったオートマウスです。
もう少し詳しい機能は下記のホームページを参考にして下さい。
(www.automouse.jp)

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20110915(Thu)

[]ケヴィン・ベーコン主演、『マッハ!』のプラッチャヤー・ピンゲーオ監督ハリウッド進出作品〜映画『パーフェクト・スナイパー』 ケヴィン・ベーコン主演、『マッハ!』のプラッチャヤー・ピンゲーオ監督ハリウッド進出作品〜映画『パーフェクト・スナイパー』を含むブックマーク ケヴィン・ベーコン主演、『マッハ!』のプラッチャヤー・ピンゲーオ監督ハリウッド進出作品〜映画『パーフェクト・スナイパー』のブックマークコメント

■パーフェクト・スナイパー <未>(監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ 2010年アメリカ映画)

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オレの大好きなムエタイ格闘ムービー『マッハ!』を監督したプラッチャヤー・ピンゲーオが、なんとケヴィン・ベーコン主演でハリウッド映画を撮ったというじゃないか。まさかケヴィン・ベーコンが半裸になってムエタイを!?象に乗ったり仏像を守ったりするのか!?まさか途中で変なヘルメット被ってエネルギー吸収したりリブ・タイラーを誘拐したり変な薬打って透明になったりトレマーズに追いかけられたりする映画じゃないだろうな!?…とまあ『マッハ!』プラス・ケヴィン・ベーコンという既にして異種格闘戦みたいな組み合わせに胸ときめかせてDVDをレンタルしたわけですよ!

舞台はタイ。トニー・ジャーが象を愛で、アメリカから結婚式でやってきた馬鹿連中がハングオーバーを起こす国タイ。ここで凄腕の殺し屋スナイパー、チャーチ(ジャイモン・フンスー)はある男から殺しの依頼を受ける。男の娘は犯罪シンジケートにさらわれていた。このシンジケートの常套手段はさらった女をシャブ漬けにして売春を強要するというものだった。娘は現在生死すらも分からない。男はチャーチに、この犯罪シンジケートを襲撃し娘を探してくれと頼むのだ。そこでチャーチはタイ在住の武器商人ジミー(ケヴィン・ベーコン)と接触し、強力な狙撃銃を入手してシンジケート襲撃に出る。しかしそれにより犯罪組織同士の抗争に巻き込まれたチャーチは、依頼主が手を引くように説得するのも省みず、犯罪者どもを叩き潰すことを胸に誓い再び死地へと赴くのだ。

…というお話なんですが、読んでもらうと分かるように実は主人公はケヴィン・ベーコンじゃなくて殺し屋役の黒人俳優ジャイモン・フンスー。この人は知らなかったんだけど『ブラッド・ダイヤモンド』『グラディエーター』『アイランド』なんていう作品に出演しているらしい。そう言われてみると見た事があるような無いような。でもケヴィン・ベーコン、『スーパー!』の時もそうだったけど、食えない小悪党を演じて実に存在感を醸し出している。この映画、ケヴィン・ベーコンが出ていなければもっと地味な映画になっていたかも知れないけど、彼の出演で実にピリッと締まったものになっているんですね。仏頂面で巨体で質実剛健、必要最低限のことしか喋らないジャイモン・フンスーと、細身で神経症的でヘラヘラとチャラ臭くて何考えてんのか分からない信用の置けない雰囲気をむんむんさせているケヴィン・ベーコン、この二人の対比があったから映画にいいアクセントを生んでいたんだろう。

映画はスナイパーものなのでガン・アクション・メイン。ジャイモン・フンスーがバゴンバゴンと百発百中のスナイパーの腕前を見せてくれる。それとは別に横一列に弾が吹き飛ぶ改造ショットガンで敵を次々と粉砕してゆく姿がまた鬼神を見ているよう。ただし格闘はあるけどムエタイなんかじゃなくて、主演役者の技量に合わせた地味目の格闘技だったのはちと残念か。そしてよくある犯罪アクションと見せかけておいてこの映画、プラッチャヤー・ピンゲーオらしいタイ風味が忍ばせてある。いや別にパクチーが入ってるんじゃないです!実はこのお話、冒頭からなんだか実に怪しい娘が絡んできて主人公と行動を共にする。ちょっぴりネタバレすると、この映画、少々超自然的な要素が加味されているんですね。その辺が精霊や鬼が草葉の陰で跳梁跋扈する幻想の国タイらしい所。この怪しい娘をチランタニン・ピタックポントラクンという女優さんがやってるんですが、いやなんだかスゲエ名前だな!麻薬と売春の渦巻く魔の都タイも上手く描写され、そこそこに面白い映画でしたよ。

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パーフェクト・スナイパー [DVD]

パーフェクト・スナイパー [DVD]

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20110914(Wed)

[]『マッハ!』『チョコレート・ファイター』のアクション監督パンナー・リットグライ監督作品〜映画『マッハ!ニュージェネレーション』 『マッハ!』『チョコレート・ファイター』のアクション監督パンナー・リットグライ監督作品〜映画『マッハ!ニュージェネレーション』を含むブックマーク 『マッハ!』『チョコレート・ファイター』のアクション監督パンナー・リットグライ監督作品〜映画『マッハ!ニュージェネレーション』のブックマークコメント

■マッハ!ニュー・ジェネレーション <未>(監督:パンナー・リットグライ 2010年タイ映画)

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香港カンフークション全盛時代にそれらの映画をことごとくスルーしてしまった自分にとって、格闘アクションに開眼させられたのはトニー・ジャー主演のタイ映画『マッハ!』だった(実際にはその前にチャウ・シンチー映画をとても面白く観ていたのだが、結局数作観て興味が薄れてしまった)。『マッハ!』は本当にビックリさせられる映画だった。拳も蹴りもマジ入ってるんだもの。綺麗な殺陣を見せるんじゃなくてストレートにぶっ殺しに行ってるんだもの。確かにアクション映画は「本当に打撃が入ってなくたってそれらしく見えればいい」ものなんだけど、トニー界隈のタイ映画って、そこから一歩突っ込んで、「本当にぶっ殺すつもりなんかなくたってぶっ殺しにかかっている様に見えればいい」という所までやっちゃってるんだよなあ。特に頭部を狙った蹴りや膝は見ていて「うわあああ」と怖気だってしまうよ。ドニー・イェンカンフー映画などは観てるともはや芸術的なものさえ感じるけど、タイ映画にはそういった洗練とは無縁な剥き出しで原始的な凶暴性を感じるんだ。要するにね、元気がいいんだ。

この『マッハ!ニュー・ジェネレーション』もタイ製のアクション映画。タイトルに"マッハ!"とは付いてるけどトニー・ジャーは出ていない。でもウィル・フェレル映画の日本タイトルがいつも『俺たち〜』なんて付いているみたいに、タイ・アクション映画になんでもかんでも『マッハ!』と付いたからってオレは気にしない。だって分かりやすいもの。監督は『マッハ!』や『七人のマッハ!!!!!!!』、『トム・ヤン・クン』や『チョコレート・ファイター』、その他多数のタイ・アクション映画でアクション監督を務めるパンナー・リットグライ。映画の中でも最後のボスキャラ役でそのとてもとても怖い顔を見せ、重量級のアクションを披露する。

物語はハリウッド映画出演のオーディションに受かったスタントマン・チームが何者かに拉致監禁されるところから始まる。実はオーディション主催者たちは格闘家にデスゲームを強要し、それを金持ちたちに見せて賭け事をさせる、という犯罪組織の連中だったんだ。逃げられない状況の中、次々と刺客がスタントマン・チームの前に送られてゆく。彼らは刺客を倒し、無事生き延びることが出来るのか?というのがこの映画のお話なんだね。お話それ自体は無理矢理な設定なんだけど、この映画の見所は次から次へと休むことなく繰り出される格闘に次ぐ格闘、戦いに次ぐ戦いなんだ。

それは1対1、1対多数、集団での乱闘などさまざまな形で行われ、その戦いは素手で、武器で、そして車やバイクを使ったエクストリームなもの、さらに火や水を使った戦いまでが用意され、しかもそれら全ての戦いが恐るべきスピードで展開してゆくんだ。金網の中を縦横無尽に虫みたいに跳ね回りながら戦う場面と、デスゲームにかけたのか、映画『デスレース』そっくりな改造車と金属のお面被った敵が出てくる場面が面白かったね。後半なんか走行中のトレーラーの下で戦っちゃったりしてるんだよ!?これらどれをとってもガチンコ勝負な映像に、観ていて「痛いよ!それ痛いよ!」と思わず突っ込みたくなること必至、こいつら命が惜しくないのか?という危ないアクション満載、お話なんか全然ないけど、王道B級格闘アクション路線なこの映画、観終わった後の満腹感は十分補償します!やっぱりタイは元気がいいな!

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マッハ! ニュー・ジェネレーション [DVD]

マッハ! ニュー・ジェネレーション [DVD]

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20110913(Tue)

[]ナチスの追うミケランジェロ絵画の隠し場所は?〜映画『ミケランジェロの暗号』 ナチスの追うミケランジェロ絵画の隠し場所は?〜映画『ミケランジェロの暗号』を含むブックマーク ナチスの追うミケランジェロ絵画の隠し場所は?〜映画『ミケランジェロの暗号』のブックマークコメント

■ミケランジェロの暗号 (監督:ウォルフガング・ムルンベルガー 2010年オーストリア映画)

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  • 『ミケランジェロの暗号』というタイトルだが『ダヴィンチ・コード』のような歴史ミステリというわけではない。
  • そもそも"暗号"という要素も無くせいぜい謎掛け程度なのでそういったものを期待するとはぐらかされるかもしれない。
  • 舞台は第2次大戦勃発の最中にあるウィーン。ここで新たに発見されたミケランジェロの絵画を所有する画商と、その絵画を奪いムッソリーニに献上することでイタリアとの同盟を強固にせんとするナチス・ドイツとの虚々実々の駆け引きを描いたのがこの映画である。
  • 主人公は画商の息子ヴィクトル。そして彼の一家の使用人でヴィクトルとも友人でありながらナチス親衛隊員となったルディ。
  • かつては使用人だったルディはナチス隊員になることでユダヤ人のヴィクトル一家に暴力的に振舞う。ただ、この映画の面白いところはルディが完全なナチスの冷血漢として描かれているわけではなく、ヴィクトル一家に多少なりとも恩義を感じているという部分だ。もちろんルディはナチスに忠誠を誓い隊員の範疇を超えることは決してしないが、心のどこかにやましさを憶えている。このルディの心情がこの後の物語の展開に大きく影響してくる。
  • ただこの導入部は人物紹介と説明が長くて若干退屈。
  • ホロコーストが迫り来る中ヴィクトルの一家はミケランジェロの絵の没収を恐れ2枚の贋作を作る。一家は逮捕されるが、ナチスが手にしたミケランジェロは後に贋作の一枚だということが分かってしまう。
  • 贋のミケランジェロを掴まされ、イタリアとの関係が危うくなることを恐れたナチスはルディに特命を出し収容所のヴィクトルを尋問することを命令する。
  • いくら国宝級の絵画とはいえ、そもそも同盟国であるイタリアとドイツの関係が危うくなるほどの最重要要素であるのかどうかはちょいと首をひねるし、それを血眼になって探すドイツももうちょっと他にやることがあるんじゃないのかとは思う。ただユダヤ人迫害だのオカルトだの本筋を外れたことをやりたがるナチスらしいといえばナチスらしいかもしれない。
  • しかし本物のミケランジェロのありかはヴィクトルの父しか知らず、そしてその父は既に収容所で獄死していた。ヴィクトルに謎の言葉を残して。
  • ヴィクトルをベルリンに移送するルディ、しかし二人の乗った飛行機はパルチザンの攻撃に遭い墜落!そしてここから映画は俄然面白くなる。
  • なんとヴィクトルはルディのナチス制服を奪い、自分はルディであり、一緒にいるのはユダヤ人のヴィクトルである、と救出しに来たナチス軍をまんまと騙してしまう!
  • こうして二人の立場は逆転、ナチスに成りすましたヴィクトルはいまだ収容所に監禁された母を救うために一世一代の大勝負に出るのだ。
  • ここでユダヤ人扱いされ散々ボコられるルディの悲惨さ情けなさがまた可笑しい。
  • SS隊員に成りすましたヴィクトルだったが、かといってルディに熾烈に復讐するかというとそうでもない。やはりルディと同じように、ヴィクトルもまた相手に対して苛烈になれ切れない何かを感じている。そうでなければそもそも飛行機事故にあった際にルディを助けていない。いわゆる冷血極悪なナチスと悲惨な被害者であるユダヤ人、といった戦争映画によくある図式ではなく、この二人の捻じくれた友情を中心に描くことにより、物語は厚みのあるものとなっている。
  • ヴィクトルの正体が発覚しはしないか?ヴィクトルは母を救うことが出来るか?そしてミケランジェロの絵画の行方は?ボコボコにされてるルディはどうなっちゃうのか?これら様々なサスペンスを抱えながら、映画はクライマックスへと向かってゆくのだ。

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20110912(Mon)

[]湘南でビール 湘南でビールを含むブックマーク 湘南でビールのブックマークコメント

  • 日曜日は誕生日祝いの食事をするため相方さんと茅ヶ崎にあるレストランに行くことになっていた。
  • ところが前日、調子に乗って仲間とたらふく酒を飲んでいたものだから(昨日の日記参照)、朝から二日酔い。
  • かといって二日酔いに負けているわけにも行かず熱いシャワーをたっぷり浴びてとりあえず出掛けることに。
  • 「二日酔いには汁物だ!ラーメン食うんだよ!」とばかりにお昼はラーメン。

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  • 茅ヶ崎までは電車で3、40分。今まで足を延ばした事が無い場所だからちょっとした小旅行気分。
  • しかし茅ヶ崎に着いて早々、ラーメンだけじゃまだ腹が満足していないらしくマクドナルドに寄ってハンバーガーのセットをモシャモシャ食ってるオレ。どんだけ腹減ってたんだ。
  • お店の予約時間までまだたっぷり時間があるので茅ヶ崎の海岸に行ってみることに。
  • 道を歩いていたら海も見えないうちから既に水着の人が歩いている…。
  • やっと海岸沿いに続く防砂林が見えてくる。その向こうは海。

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  • 空の雲は夏と秋が混ぜこぜ。砂浜を歩いてみたけれど砂に足をとられて歩き難い。でも湘南の海岸はとても気持ちよかった。

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  • ただし9月になったとはいえまだまだ直射日光が強い。小一時間歩いたところで汗だくになり相方さんと二人ですっかりバテてしまう。
  • 「やっぱりオレらアウトドアじゃなくて空調効いた密室だよな…」早速喫茶店に退避しとことん涼むオレと相方さん。なんとか汗が引いたあたりで電車に乗り香川という駅を目指す。
  • この日行くことになっていたレストランは湘南ビールで有名な【MOKICHI TRATTORIA】。酒造元である熊澤酒造が経営しているレストランだ。地ビール好きのオレと相方さんとでここでとことん地ビール呑みの料理楽しむのしようという目論見だったのである。
  • 香川の駅を降りなんでもない住宅街をしばらく歩くと突然別世界。ここが【MOKICHI TRATTORIA】をはじめとする様々なレストランのある場所。

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  • 早速相方さんと湘南ビールで乾杯。

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  • 美味い!これは美味過ぎる!暑い中をさんざん歩きお茶やらジュースやらを結構飲んでいたにも関わらずやっぱりビールは美味い!
  • お昼にラーメンとハンバーガーを食ってしまったのであまり食欲は無かったのだが…だがレストランのメニューは美味そうなものばかり!ここで負けちゃいけない!食うんだ!たらふく食うんだ!
  • そしてこれがお腹に入れた様々な料理。美味かった!実に美味かった!釜焼きのピザなんか絶品!しかしよく食えたなあ…。

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  • 2時間ほど飲み食いして「もう食べられましぇん」と相方さんにギブアップを告げこの日はお開き。外に出るとレストランの中庭に電飾を施した木が立っていてとてもファンタジックであった。

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  • 相方さん、誕生日のご馳走どうもありがとう!またこれからも楽しい毎日を過ごそうね!

トラットリア・モキチ

食べログ トラットリア・モキチ

梅松竹子梅松竹子 2011/09/14 04:19 おめでとうございます!胃袋に拍手!!!
先に相方さまのブログにお邪魔して「やっと暑さがマシになってきたのに、あちぃ、あちぃ」と思ったんですが、こちらの記事はロマンティックというより笑えますね。
年を重ねて、それまでの知識や経験の蓄積で物事の良さを感じられるのは素敵なことです。
ウンチクも説得力あります。読む側も蓄積してる人の言うことだからってスンナリ納得する部分が多いです。
ワカモノは勢いよく力強く吸収・発信しますが、新しいものと蓄積物をミックスして吸収なんて年いかないとできません♪

globalheadglobalhead 2011/09/14 09:24 ありがとうございます。根性で食いました(相方のおごりだったし!)。
それにしても残暑厳しいですねえ。9月になって少し油断が入ってるからなおさらそう感じます。まあ実際毎年9月も暫く暑いもんなんですが、やっぱり毎年思っちゃうんですよね。
なんかここんところずっと日記で書くような文章って浮かんでこないんですよ。歳のせいとも書きましたが、あと仕事が忙しくなってきて精神的に余裕が無いこともあるんだと思います。
日記を書くのはすっかり習慣になってしまったので、これを簡単に止める事はできそうにないんですが、少々日常生活に負担が出てきたのでそういうのを減らしたいんですよね。まあたいしたこと書いてないのにナニ頑張ってるんだ?という気もしますし。
また気が向いたら読んであげて下さいね。でわでわ。

20110911(Sun)

[]あれやこれやの休日 あれやこれやの休日を含むブックマーク あれやこれやの休日のブックマークコメント

■金曜日

  • 金曜は一日だけ夏休みを貰っており、会社を休んでおった。
  • 特に予定があった訳でもない。社員同士で代わりばんこに休みをとっていたが、丁度この日が空いていただけなのだ。
  • 予定が無いなりに、丁度運転免許の更新時期だったので、この日に更新に行くことにした。
  • 運転免許は持っているが、基本的に車の運転は嫌いなので、まるでしない。会社にも用事があっても車の運転はしない、と宣言しているぐらい運転は苦手だ。自分はむら気の上臆病者なので運転には向いていないと自分で決め付けている。公道に出たこともあるが、あれは嫌な体験以外の何者でもなかった。それなもんだから、殆どペーパーの自分は必然的に5年毎の更新でOKなゴールドカード、そういうわけで免許の更新も5年振りだ。
  • 更新は大昔運転免許を取った鮫洲の運転試験場へ行ってやることにした。いつも更新はこの場所だ。平日だったからかなり空いていて、朝10時に着いて11時には終わってしまった。
  • 前回視力がヤバくてそれでも一応眼鏡無しで通ったのだが、5年経った今年はいよいよ危ないだろうと眼鏡を持って行った。まあ日常的にも実は眼鏡は殆どしない(たまに映画観るときにするぐらい)程度の視力ではあるのだが、ちょっと心配だったのだ。にも関わらず今回も何故だか眼鏡無しで通ってしまった。まあ次回はきっとまた5年後だろうけれども、その時は老眼鏡で行くことになるのかなあ。

■土曜日

  • 土曜日は知り合いに誘われ関内ホールへ『稲川淳二の怪談ナイト』というのを観に行った。

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  • 幽霊などはいないと思っているが怪談噺は嫌いではない。関内ホールは満席で稲川さんの人気のほどをうかがわせる。舞台には昭和の匂いがする古い日本家屋がしつらえられ、稲川さんはその縁側で怪談を話す、という段取りだ。内容的には実にオーソドクスな怪談噺で、新味は無いもののファンの方はその内容より稲川さんの話芸が好きで観に来ているのだろう。いわば落語のようなものなのだ。
  • 後半は心霊写真特集だったがこれが半分ギャグになっており、まさか怪談ナイトを観に来て笑わせられるとは思わなかった。稲川さんは心霊写真についてしきりに「こういうのに祟りとかは無いので安心してください」と言っていて、この人は怪談で人を楽しませたくとも決して脅しをかけるようなことはしたくない人なんだと思え、その良心的な態度にちょっと感心した。やっぱりこの人は怪談噺の噺家なんだね。
  • 帰りは馬車道の地ビール屋「タップルーム」でお酒とお食事とお話。

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  • オレが辛い物好きだからかバースデイ・プレゼントにタバスコ詰め合わせを戴いた。重宝します。

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  • それとマーリー画伯からも暗黒皇帝の似顔絵を貰ったよ!どうもありがとう!

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20110909(Fri)

[]50-1または競売ナンバー49の戯言 50-1または競売ナンバー49の戯言を含むブックマーク 50-1または競売ナンバー49の戯言のブックマークコメント

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  • 今日はオレの誕生日、なんと49歳になる。
  • あと1年で50歳、いよいよ半世紀にさしかかる人生となるのだ。
  • しかし毎度誕生日にはこの日記に誕生日エントリを挙げているが、年々書くことが無くなって困る。
  • ええと、身体は概ね健康だ。目が悪くなり歯が悪くなり夜更かしが難しくなり酒の量も若干減った。体重はちょっと増えた。腰や肩は特に支障が無い。
  • ただ頭が問題だ。50歳前後であろうと頭脳明晰な人間などこの世には幾らでもいるが、このオレに関してはどうもそういうわけには行かず、こと思考の瞬発力に関しては年々鈍磨する一方、モノは忘れるしモノは覚えないし、ブログなどというものを毎日書いているけれども文章力の低下もふつふつと感じている。
  • この日記も7年続けているが、昔の頃の発想力や構成力など、思考に関する事柄は昔のほうが全然あった。他人が読んでどう思うかは分からないが、少なくとも自分が読んで、昔の頃のほうが文章が面白かったし、なんといっても楽しく書いていた。書きたいことが有り余り、いつも文章にしたい言葉が頭に溢れていた。ところが今はそんなことはない。いつも読んで貰っている方も薄々感じられているだろうが、殆ど惰性、何も言葉が頭に浮かばないのを無理矢理捻り出し、文章を書いているというよりは文章をでっち上げている、捏造している、といったほうが近いものになっている。日記を書くのが自己目的化しているのだ。
  • まあ歳を取ってくると誰でも思考力は衰えはするだろう。しかし年齢を積んだ者は思考力の低下をそれまで蓄積してきた知識と経験で補うものであるが、オレは基本的に昔から知識も経験も意味も無く馬鹿にしてきたような人間だから、今このような歳になって、蓄積してきたものが何も無いのだ。思わぬしっぺ返しである。
  • そうして今の自分は何なのかというと、単なるアホである。面白いアホなら需要もあるだろうが、オレの場合面白くもなんとも無いから始末に負えない。
  • 誤字脱字、固有名詞の間違い、てにをはの混乱、同じ言葉を繰り返し使ってしまう癖、こういったことがいつも書いている文章の中に散見し、それらを後で発見して赤面していることしきりである。お恥ずかしい。
  • それと合わせ、当たり前のことだが、この歳にもなると普通の社会人としてやるべきことが多々あり、それを今までずっとないがしろにし続けてきたので、そういったものをきちんと遂行し、そろそろもうちょっとまともな生活をしようかと思っているところである。
  • そんなわけで今後は書き溜めてある日記記事を放出して、その後はボチボチと単なる生存記録とか購入記録とか他人が読んでも面白くもなんともない日記にしてしまおう…という予定である。
  • この日記は、「自分はここにいて、こんなことを思っている」ということを、他人に認められたくて始めたようなものだったが、今や、書きたいことは殆ど書いてしまったし、日記を通して様々な方と知り合えることも出来て、自分は一人じゃないんだ、ということに気付いたし、自分はありふれた平凡な人間で、そしてそれが何の支障もないことであることも分からせてくれたし、なによりも、いつも自分といてくれる素敵な相方と知り合えた、そして、何不自由も無いと言うわけではないが、それでも十分に幸福である、ということをしみじみと納得させてくれた場所であった。
  • だからその役割はすっかりと全うしてくれたのだと思う。
  • だからあとはきちんと現実に戻るだけなのだ。
  • いつも読んでくれている皆さん、たまに読んでくれている皆さん、そしてたまさか読んでしまった皆さん、ありがとう。
  • オレはもう少しこの世界で生きてゆくよ。

uribonuribon 2011/09/09 14:51 お誕生日おめでとうございます!
ええっ辞めないでえ〜。とりあえず50歳まで続けてみるというのはいかがでしょう。
相方さんと楽しいお誕生日をお過ごしください。

globalheadglobalhead 2011/09/09 15:30 ありがとうありがとう!
辞めるってわけじゃないんですがちょっと縮小しようかと思ったんですよ。
自分は日記の文章書いている時間って結構長くって、下手すると3時間ぐらいああでもないこうでもないと考えながら書いちゃうんですが、
それで出来上がったものが良く書けているかというとそういうことも無くて、
さらにそんな時間を一日のうちに割いていると他の事が出来なくなっちゃうんですよ。
ちょっとそういうのまずいなあ、とずっと思ってたんですが、
癖というか習慣というか今までダラダラ続けちゃってしまい、気分的にきつくなってきてたんですよね。
だから一回気分変えて気楽にやろうかと。
あと半月分ぐらいの書き溜めはあるのでまだ暫く続いていると思いますから、気が向いたらまた読んであげて下さい。

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20110908(Thu)

[]日本の古典怪談映画を観た〜その2『雨月物語日本の古典怪談映画を観た〜その2『雨月物語』 を含むブックマーク 日本の古典怪談映画を観た〜その2『雨月物語』 のブックマークコメント

雨月物語 (監督:溝口健二 1953年日本映画)

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雨月物語』は上田秋成によって江戸時代後期に著された怪異小説集だ。この小説も、小学生の頃、子供向けに抄訳された本で読んだことがある。その後もTVで映像化された作品を幾つか観た筈だ。なにぶん子供の頃に読んだものだから、それぞれの短編の筋を全て覚えているわけではないのだが、「吉備津の釜」や「蛇性の婬」あたりの有名な作品は、本当に怖かった覚えがある。

この映画『雨月物語』は1953年の作品となる。まだ白黒映画の時代の作品だ。監督は溝口健二黒澤明小津安二郎と並ぶ日本映画の巨匠ということなのだが、いかんせん不勉強なオレは溝口の映画を観たのはこれが始めてだったりする(ついでに言っちゃうと小津の映画もまともに観たことがなく、さらにバラしちゃうと黒澤の映画ってあんまり好きじゃなかったりする。スマン。本当にスマン)。出演は京マチ子水戸光子田中絹代森雅之、小沢栄らで、非常に評価の高い作品らしく、海外でも1953年ヴェネツィア国際映画祭「銀獅子賞」、エディンバラ映画祭においてデヴィッド・O・セルズニック賞、米アカデミー賞衣装デザイン賞ノミネート、ナショナル・ボード・オブ・レビュー「経歴賞」の受賞・ノミネート歴があるらしい。

戦国時代、北近江(現在の滋賀県)の山奥の村で陶器を作って生活する二組の夫婦がいた。既に戦火は村にまで迫っていたが主人公・源十郎は金欲しさに危険を顧みず町へ陶器を卸しに行こうとしていた。その従弟・藤兵衛も町へ出て侍となり、立身出世することを夢見ていた。妻たちはそれを押しとどめようとするが、二人はそれを押し切り出掛けてしまう。そして二人の出掛けた城下町で藤兵衛はひょんなことから侍になってしまい、源十郎は貴族風の美女から沢山の注文を貰い、その女の屋敷まで届けに行くと女から誘惑されてしまう。しかし、その女は実は亡霊であり、源十郎は知らずに生気を吸い取られていた。一方、源十郎の妻・宮木は野武士に襲われ命を落とし、藤兵衛の妻・阿浜は遊女に身を落としていた。物語は原作の「浅茅が宿」と「蛇性の婬」を脚色したものである。

雨月物語』の原作から怪異譚を想像していたし、確かに死霊や亡霊が現れ主人公を惑わせていたりはするけれども、物語はむしろ、金儲けや功名心から家庭をないがしろにした男たちが、最後に家族の大切さに気付く、といったことを描いたものなのだろう。亡霊から逃れ、「やっぱり家族が一番だ」と家に帰った源十郎を迎えたのが、やはり亡霊となった女房だった、という結末はあまりに物悲しい。そしてその女房も、源十郎にあれほどないがしろにされながらも亡霊の姿で優しく迎える、というのも、どこか切ないものを感じる。歴史的に見るとこの映画が制作された1953年というのは、1945年の敗戦間もない頃であり、手元足元のものを顧みず戦争へと突っ走ってしまった男たちへの哀歌と取れるのと同時に、1950年代の朝鮮戦争特需から高度経済成長へとなだれ込む日本が、再び家庭や愛する者をないがしろにし始めることへの監督・溝口健二の憂慮があったのかもしれない。

ただ、この『雨月物語』が教訓主義的な作品であると言いたいわけではなく、怪異譚としての魅力も確かに兼ね備えている。自分が特に恐ろしかったのは、亡霊が現れる場面ではない。戦乱の中、売り物の陶器を町に届けるため、二つの家族が危険の少ないであろう川を船で渡ろうとする場面が、自分には一番恐ろしかった。川には霧が立ち込め、見通しは定かではなく、前後不覚のまま水面を進む船が、現世に存在するのではなく、このまま黄泉の国へとたゆたっていくかのように見え、その非現実感が、どこまでも不安げで、恐ろしかったのだ。『雨月物語』は、こういった幽明の狭間を描き、おぼろげで不確かな世界へ、観る者を連れ出してゆくのだ。

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改訂 雨月物語 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

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20110907(Wed)

[]日本の古典怪談映画を観た〜その1『怪談』 日本の古典怪談映画を観た〜その1『怪談』 を含むブックマーク 日本の古典怪談映画を観た〜その1『怪談』 のブックマークコメント

■怪談 (監督:小林正樹 1965年日本映画)

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子供の頃はなにしろ怪談話が大好きで、怪談小説は勿論TVの心霊特集やオカルト漫画をドキドキしながら観たり読んだりしていたものである。小泉八雲の『怪談』はその中でも一番のお気に入りで、子供向けに翻訳された八雲の怪談話を神妙な顔をして読んでいたものだ。誰もが知るように小泉八雲はパトリック・ラフカディオ・ハーンの本名を持つ帰化人であるが、外国の人がどうしてこんなに日本的なお話を書けるのか不思議に感じていたのを覚えている。

映画『怪談』はその八雲の小説から「黒髪」「雪女」「耳無芳一の話」「茶碗の中」の四編を映画化したオムニバス作品である。公開は1965年、もう半世紀近く前に作られた映画であり、監督の小林正樹にとっても初のカラー作品だったということだが、だからこそ入念な色彩設計がなされたという。美術にも力が入っており、映画の殆どがセットで撮影されているが、その広大さには目を奪われるだろう。さらにそこに出現する空は、リアルな青空の絵ではなく巨大な瞳や血のような赤が塗られたホリゾントであり、映画全体をおそろしく人工的で演劇的な幻想世界として演出している。

音楽がまた素晴らしい。武満徹が担当したそれは、"テープ変調を伴う邦楽器を駆使した”ものらしく、不気味であると同時にモダンであり、今聴くと「まさかシンセサイザー…のはずはないよな」と一瞬耳を疑ったほどだ。出演者も豪華だ。三國連太郎新珠三千代岸恵子仲代達矢菅井きん、浜村純、丹波哲郎志村喬田中邦衛佐藤慶、その他映画には馴染みのない舞台俳優も多く起用したという。おどろおどろしい怪奇話というよりは一級の芸術品を目指して作られた作品であり、カンヌ映画祭審査員特別賞を受賞、アカデミー賞の外国語映画賞にもノミネートされている。

物語の内容は既にお馴染みのものであろうから省くが、「黒髪」において既婚女性が当時の風習である”お歯黒”姿できちんと描かれていたのにはびっくりした。そしてやはり、なんと壇ノ浦の合戦の様子から描かれる「耳無芳一の話」はその格調高さ、描かれる妖異の幻想味に於いて圧巻であろう。特に平家落ち武者たちが横並びに出現するシーンでは、「日本にはこんな巨大なスタジオがあったのか」と思うほど圧倒された。全体的に”タルコフスキー的”と言っていいほど間の多いゆったりとした時間の流れる映画で、せっかちな方には向かないとは思うが、古き日本の時間感覚を味わうつもりで観られるなら芳醇な映像体験が出来る筈だ。

■怪談 予告編

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怪談―小泉八雲怪奇短編集 (偕成社文庫)

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20110906(Tue)

[]『地獄の黙示録 3Disc コレクターズ・エディション』Blu-ray買った 『地獄の黙示録 3Disc コレクターズ・エディション』Blu-ray買ったを含むブックマーク 『地獄の黙示録 3Disc コレクターズ・エディション』Blu-ray買ったのブックマークコメント

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あの『地獄の黙示録』が遂にBlu-ray化!ということで早速買っちまったのである。Discは3枚、Disc1は『地獄の黙示録 劇場公開版(147分)』と『同 特別完全版(196分)』、Disc2は『ハートオブダークネス コッポラの黙示録(96分)』と映像特典(23分)、そしてDisc3には321分もの特典が収められている。まともに全部観ると783分、実に13時間あまりのとんでもないボリュームなのである。ほぼ半日『地獄の黙示録』漬け、文字通り地獄の黙示録状態、地獄の黙示録を骨までしゃぶりつくす仕様なのである。だいたい特典だけで5時間半って、いったいどうしたらいいんだ…。そもそも撮影フィルムだけで100万フィートあったという映画だから、これをラッシュで全部視聴し編集した人間の地獄の苦しみの一部でも購入者に味合わせようと言う魂胆なのか。ってか今ちょっとだけ特典観たら、ジャングルの人たちが「ハートに火をつけて」を歌いながら踊っているとんでもないシーンがあったぞ。おいおい14歳のローレンス・フィッシュバーンが出演してたのか(哨戒艇の黒人兵)この映画!?とまあちょっとさわり観ただけでも凄いことになっている。

本編の映像の美しさは言うまでもない。昔劇場で観てその後DVDで観ていても、Blu-rayのくっきりパリパリのHD画質でもう一度見直すと、「こんな映画だったのか!?」と度肝を抜かれること必至、まるで新たな気持ちでもう一度見られるからお得としか言いようがないほどに綺麗なのである。そしてこの本編を見てもう一つ驚愕の事実が発覚した。『地獄の黙示録』は劇場公開版のみならず特別完全版もちゃんと観ていた、と思っていたのだが、このBlu-rayで特別完全版を観たところ、それは記憶の間違いであり、今始めて特別完全版を観たということが発覚したのである。いやああびっくりした!あんなシーンやこんなシーンが付け加えられているなんて!プレイメイトの末路を描いたエピソードも凄かったがベトナム奥地に住むフランス人入植者一族のエピソードも物語の内容を一層深めているじゃないか!しかもカーツ大佐の本拠地に潜入してからもかなりのシーンが付け加えられ、そしてなにより驚いたのはラストが違う!あれは違うって言っていいんじゃないの!?いやあほんとびっくりしたわ。

こういった削除シーンを復活させた完全版はファンにとって嬉しいものであると同時に単に冗漫になってしまう場合もあり、もしもこれから初めて『地獄の黙示録』を観る人がいたらどちらのバージョンを観たほうがいいか薦めるのに躊躇するものがあるけど、そもそもが中盤からグダグダになってゆくのが逆に面白い映画だから、それに輪をかけてもっととりとめもなくグダグダになってゆく特別完全版は実に完全版らしい完全版と言えるかも。

内容についてはいまさらあれこれ言うこともない、映画史にいろんな意味で残るに決まっている傑作であり問題作だろう。しかしこの映画が真に面白いのはこれだけ力の篭った作品なのにもかかわらず実はストーリーがちぐはぐでテーマもあやふやである、という妙に歪な完成度だと言うことだ。狂気に満ちたベトナム戦争で始まったはずのものが次第に文明論にすり返られ(しかもそれが西洋の側からの視点しかなく)、そして長々と物語られてきたこのお話の結末がアメリカ人同士の諍いでしかなかったという狭窄的な視点が、『地獄の黙示録』の歪な完成度の原因となっているんだろう。欧米白人が異文化に触れその只中に取り込まれたときにそのアイデンティティを失くすという構図は、ベルトリッチの『シェルタリング・スカイ』にも通じるものを感じるが、彼らのその異文化への恐怖は、徹底的な排他性という意味において彼らの一神教の神を奉ずる信仰とどこか通じているのかもしれない。

にもかかわらず「地獄の黙示録」が非常に興味深い作品として完成しているのは、監督コッポラ自身が意図せずに異文化の中でアイデンティティを喪失してゆく過程をフィルムの中に焼き付けているという、ある種偶然の要素によるものだろう。物語の混乱はコッポラのかの地での混乱そのものを体現しており、しかもそれを最後まで対象化できなかったという異様さがあの映画の奇妙な魅力となっているのだ。

20110905(Mon)

[]シュヴァンクマイエルの奇妙な世界〜映画『サヴァイヴィング・ライフ -夢は第二の人生-』 シュヴァンクマイエルの奇妙な世界〜映画『サヴァイヴィング・ライフ -夢は第二の人生-』を含むブックマーク シュヴァンクマイエルの奇妙な世界〜映画『サヴァイヴィング・ライフ -夢は第二の人生-』のブックマークコメント

■サヴァイヴィング・ライフ -夢は第二の人生- (監督:ヤン・シュヴァンクマイエル 2010年チェコ/スロヴァキア/日本映画)

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チェコ出身のシュルレアリスト/パペット・アニメ映像作家、ヤン・シュヴァンクマイエルの長編新作映画『サヴァイヴィング・ライフ -夢は第二の人生-』は【夢】をテーマにした奇想奇天烈な物語です。映画は写真切り絵のアニメーションと実写の混合で製作され、例によってシュヴァンクマイエルらしいシュールな映像を堪能することが出来ます。

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物語の主人公はうだつのあがらない中年男エフジェン。仕事は退屈で妻は口うるさく、生活は困窮したまま、そんな彼の楽しみといえば寝ることぐらいです。そんな彼はある日夢の中で理想の女性エフジェニエと出会います。彼は次第にエフジェニエと過ごす夢にのめりこんでゆき、遂には妻に秘密で仕事を退職し秘密の隠れ家を借りて昼間っから眠り呆け、【夢の中の第二の人生】を生きるようになってゆきます。しかし夢の内容が気になりだしたエフジェンは精神分析医を尋ね、彼の夢が幼少時の記憶と密接に結びついていることを知るのです。

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フロイトユングなどお馴染みの精神分析学者による夢に関する学説が登場し、夢の裏に隠された深層心理を読み解いてゆきますが、まあこれは精神分析学の俗流な解釈がストレートに描写されているだけなので決して小難しいことを言っているわけではありません。逆にストレートすぎる分とても素朴な物語展開ともいえます。主人公の名前がエフジェンで夢の中の女性の名前がエフジェニエ、即ちエフジェニエはエフジェンのアニマであり、さらに夢の中でエフジェンは父と思しき男を殺害しエフジェニエと結ばれる、ということからこれはエディプス・コンプレックスの物語である、ということが分かります。ただこういった"夢分析"はあくまで物語の骨組みのひとつでしかなく、主題と言うわけではありません。

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この映画の見所はなんと言ってもシュルレアリスト、シュヴァンクマイエルによる摩訶不思議なヴィジュアル世界です。写真を切り絵でアニメーションさせたカクカクした画像は映画に不気味な印象を与え、一見夢と現実の対比のように描かれながらも、実はこの物語全てが夢であり、夢の中でまた夢を見ているかのような、まるで映画『インセプション』をもっともっとシュールでナンセンスにしたような物語が展開してゆくのです。立ち並ぶアパートの窓からは巨大な手や巨大なリンゴや巨大なヘビが飛び出し、鶏の頭をした裸の女、犬の頭をしたスーツの男が街角や部屋に現れます。これらにそれぞれ意味を見出すことも可能なのかもしれないでしょうが、それよりも突然現れる突飛なイメージの世界を監督と一緒になって遊びまわるほうが映画を楽しむことが出来るでしょう。

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全てが自分の理想通りに生きられる夢の中で生活できたら、なんて誰でも思ったことがあるかもしれません。もうどうにも変えられないしがらみや苦痛ばかりの現実の人生を捨てて、永遠の喜びだけがある夢の中で生きられたら。しかしシュヴァンクマイエルの描く夢はどこかイビツでグロテスクです。そしていつも暗くどんよりとしていて、それは悪夢と言うほどのものではないにしろ、夢の持つ不条理がそのまま映像になったような世界です。生が不条理であるように、実は夢もまた不条理。結局全てが薔薇色な世界なんてありません。シュヴァンクマイエルはそんな不条理な世界を、シニカルな視点で描いてゆくのです。

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20110904(Sun)

[]Blu-rayソフトあれこれ買った〜『スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団』『エンジェル ウォーズ』 Blu-rayソフトあれこれ買った〜『スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団』『エンジェル ウォーズ』を含むブックマーク Blu-rayソフトあれこれ買った〜『スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団』『エンジェル ウォーズ』のブックマークコメント

Blu-rayソフトあれこれ買った…というだけの話なのだが、それにしても日記のカテゴリーが「DVD」のままなのはどうしてくれようか、とちょっと思ったのである。このカテゴリーは単に「映像ソフト買った」程度のものなので、実のところDVDでもBlu-rayでもどっちでもいいのだが、見た目がなんだかちぐはぐじゃないのか?そうじゃないのか?じゃないのか?と感じてしまうのである。かといって新たに「Blu-ray」というカテゴリーを作るのもなんか違うな、という気もするのである。まあこれはもちろん書いてるほうの問題であり、読むほうにとっては「どっちでもいいよ!というかどうでもいいよ!もう読む気無くしたよこの日記!もとから読む気無いけど!」ということになってしまい、それはそれで由々しきことだと思ったのである。そういうことを実は今日半日飯食ったりネットのエロページ眺めたりケツ掻いたり鼻くそほじったりしながら沈思黙考していたのだが、オレのカミソリのように冴え渡る鋭利な脳髄(すいません嘘です)で熟考の結果、「面倒くさいからそのままでいいや」ということになったのである。というわけでやっと本題だが、本題自体も実はたいした内容ではないのである(ええっ!?)。

スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団 The Ultimate Japan Version [Blu-ray]

スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団』Blu-rayは2枚組、Disc1は506分の特典映像、Disc2(DVD仕様)は135分の特典映像が収められている。面白かったのがDisc2の町山智浩氏による渋谷シネマライズでのトークショーの模様を収めた映像でのお話。町山さんがエドガー・ライト監督に会いにいった時、町山さんはロメロのゾンビ映画『ランド・オブ・ザ・デッド』のTシャツを着ていたのらしい。するとライト監督が町山さんのTシャツを指差し「これは俺だ!」と言ったのだという。自身も『ショーン・オブ・ザ・デッド』なんていうゾンビ映画を撮っているゾンビ映画好きのライト監督、ロメロ好きが講じてロメロに会いに行ったばかりでなくなんと当時撮影中だった『ランド〜』のエキストラに出演しており、しかも自分の扮するゾンビの顔がポスターにデカデカと使われたのだという。そのポスター写真が使われたTシャツを、偶然にも町山さんが何も知らずに着ていった、ということなのだ。という訳でそのポスターとエドガー・ライト監督の写真を並べて検証してみたのだが…ひょっとしてライト監督、ハゲ頭ゾンビの真後ろにいるロン毛のゾンビなのか!?(というかサイモン・ペグも出ていたことを今始めて知った…ゾンビ映画ファンの方には常識なんだろうなあ)

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■エンジェル ウォーズ Blu-ray & DVDセット コレクターズBOX

最初に書くとこの『エンジェル ウォーズ』Blu-ray&DVD3枚組、UK版だと13.99ポンド、日本円で1700円ちょい、これが日本版だと定価5980円という殆ど3倍以上の値段になっているのである。なんだUK版のほうがいいじゃん…と思ったのは日本版を買った後だった!うおお!詳しくはカトキチさんのブログ『くりごはんが嫌い』に書いてあるので読んでみよう!ちなみに日本版だけについている限りなくどうでもいいトレーディング・カード、オレのはロケットさんだったよ!ホントにどうでもいいけどね!あとこれも日本版だけについているひたすらどうでもいいARコンテンツとかいうヤツもひたすらどうでもよかったけど悔しいからやってみたよ!これやるためにわざわざ「アラプリ」とかいうアプリも落としたよ!認証とか必要でメンド臭いアプリだけどな!そしてやってみたらホントに心の底からひたすらどうでもいいクソつまんねえコンテンツだったよ!どうでもよすぎてオレはさめざめと泣いたよ!あと「キャストの決めゼリフ着ボイス購入者全員にプレゼント!」という地の果てまでどうでもいいキャンペーンもやってるけどオレはスマフォだからなんの意味もねえんだよ!ってか前から思ってたけど吹き替えの声優グループ「スフィア」ってなんなんだよ!?「次世代声優」って意味がわかんねーんだよ!?あと「エンジェルウォーズDVDタイアップキャンペーン」でフィットネスクラブとタイアップしてるけど誰得なんだよ!?そもそもこの『エンジェルウォーズ』日本版の特典全てがセンス無いって言うか誰得だよ!…というわけでいつもは気にもしない特典について日本版を買ってしまった恨みでついつい吼えてしまいました皆さんどうもスイマセン。あ、エクステンデッド・バージョンは劇場版のタイトルロールでしか使われていなかったダンスシーンが本編に入っていてステキでした。なんか『ムーラン・ルージュ』みたいでしたね。映画の内容もなにしろオレは『エンジェル・ウォーズ』大好き派なので文句無しです、キャ〜〜ッ!ベイビードールきゃわいい〜〜〜ッ!!

(ちなみにこれ↓がトレーディングカードに入っていたロケットさん)

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ベイビードールさんのアクション・フィギュアというのも発売されるらしいですな。でも顔ちょっとコワイ…。

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chirigamichirigami 2011/09/04 22:29 私も「エンジェルウォーズ」(この邦題書くのも嫌なんですが…笑)国内版ブルーレイ買いました。
本編の素晴らしさはともかく、日本版オリジナル特典のガッカリ感は近年稀に見るものがありますね。トレカをはじめとしてARコードやら着ボイス…その全てをことごとくハズしているのも凄いですが、おそらくこの特典を考えた人物はこの映画のファン=アニメファンだと勘違いしているようです。フィットネスクラブに至ってはもはや意味不明^^;
当初日本版のジャケにデカデカと「エンジェルウォーズ」と表記されているのを見て海外版をマジで検討していたんですが、日本語字幕情報がギリギリにならないと分からなかったのでやむなく日本版を購入しちまいました。(ジャケの表記は後に修正されたのでホッとしましたが)
まあしかし、この作品中身は最高なのにマーケティングが酷いせいでかなり損してる印象でしたねー。何でもアリすぎて売りづらいというのもあったかも知れませんが(笑)

globalheadglobalhead 2011/09/04 23:03 賛否両論だった「エンジェルウォーズ」、chirigamiさんもお気に入りだと判ってちょっとホッとしました。いやー…いいっすよねえこの映画!!
特典の企画の方向性を見るとこのソフトを誰にどう売りたかったのか迷走しているのが如実なんですが、
逆にこういう映画なら間違いなく観る様な層(つまり「ザックの映画じゃん!」とか一応判って観ている層)とは別の層を一所懸命取り込もうとしているんだろうナァ、
というのも見え隠れしているんですよね。
そういう営業活動も判らないではないのですが、やっぱり本当にこの映画を愛している人たちにまずアピールしないでどうすんだ?という気もするんですよ。
洋画コンテンツの売り上げって落ち気味らしいし、なんでもいいから手広くやってとりあえず売っとけ、というのも手段だと思うけど、
最終的にはこういった商売に信頼無くして行くような気がしますね。

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20110903(Sat)

[]あれこれDVD(とかblu-rayとか)観た〜『ガリバー旅行記』『恋とニュースの作り方』『導火線 FLASH POINT』『MAD探偵 7人の容疑者』 あれこれDVD(とかblu-rayとか)観た〜『ガリバー旅行記』『恋とニュースの作り方』『導火線 FLASH POINT』『MAD探偵 7人の容疑者』を含むブックマーク あれこれDVD(とかblu-rayとか)観た〜『ガリバー旅行記』『恋とニュースの作り方』『導火線 FLASH POINT』『MAD探偵 7人の容疑者』のブックマークコメント

ガリバー旅行記 (監督:ロブ・レターマン 2010年アメリカ映画)

むさ苦しく暑苦しく能天気で自己主張ばかり強い困ったデブことジャック・ブラックが現代版のガリバーとなって小人の国に降臨するというお話。現実世界では負け犬だったジャック・ブラックが、小人の王国では周りよりも身体が遙かにデカイという特長を生かして態度までデカくなる、身体が大きい俺は大物なんだ!となにやら勘違いして得意になる、というある意味情け無い話です。まああれだけ身体がデカけりゃ確かに怖いモノ無しですもんねえ。しかも脂肪が厚いから敵の軍艦の砲弾も跳ね飛ばしちゃいますもんねえ。厚い脂肪がこんな所で役に立つとは人生分からないものです。しかし敵の王国はジャック・ブラックよりも大きなトランスフォーマーみたいなロボットを建造し、ジャックと戦わせ、そしてこのデブを見事に叩きのめすのですな。それにしても小人の連中、中世レベルの文化程度なのになんでロボットなんか作れるのでしょう。この変なギャップは逆に観ていて楽しかったです。

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■恋とニュースの作り方 (監督:ロジャー・ミッシェル 2010年アメリカ映画)

TV局をリストラされた女の子(レイチェル・マクアダムス)が別のTV局にプロデューサー再就職、心機一転と頑張ってみるものの任されたのはどうしようもない低視聴率ニュース番組。この番組をなんとか盛り立てようと奮戦する主人公の姿を描くコメディです。ちょっとドジな主人公、最低ラインの環境、しかしそれを努力と苦労を重ねて最後に一発逆転の大成功、主人公はキャリアも積んでついでに恋人も見つけちゃう、というよくあるハリウッドのシナリオ・メソッドに則った作りのサクセス・ストーリーなもんですから、観なくてもほぼお話が分かってしまうような映画ですが、逆にその分安心して観られるのではないかと想います。ただ「女性と仕事」というのであれば「プラダを着た悪魔」のほうが仕事のシビアさ、舞台となる職場の特別さもきちんと描いて断然面白かったですが。大体再就職してすぐプロデューサーに抜擢されついでに番組を成功させちゃうって実はこの女の子はもともと才能があったともいえるわけで、凡人がこれを見て「元気を貰った」とか言ってはいけないような気がします。

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■導火線 FLASH POINT (監督:ウィルソン・イップ 2007年香港映画)

導火線 FLASH POINT [DVD]

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イップ・マン 序章/葉問』『孫文の義士団』『14BLADE』で今年日本を席巻してまわっているドニーさんのアクション映画です。しかしオレ、ドニーさん映画『SPL/狼よ静かに死ね』を観たときも思ったけど、実はドニーさんの現代劇刑事ドラマがどうも苦手なんです。ドニーさん、今風の洋服を着るとチャラく見えるんです。映画では言動も行動も「ハズレ刑事(デカ)」してて、これがなんだか二昔前ぐらいの日本の刑事ドラマとか刑事マンガを見せられているみたいで安くてイヤなんです。シナリオもロケーションもお手軽に思えるし配役もみんないまひとつに見えちゃうんです。しかし同じ「ハズレ刑事(デカ)」モノでもハリウッドでも未だに濫造されているそのテの映画だとそれほど気にならないんですけどね。きっとハリウッドモノだと最初からバカ映画だと思って観るからでしょうかね。しかしドニーさんだとどうしても期待してしまうから落胆も大きいのかな。あ、ただしアクションは凄いです。オシッコちびっちゃいます。この映画もラストは凄いことになってます。

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■MAD探偵 7人の容疑者 (監督:ジョニー・トー/ワイ・カーファイ 2007年香港映画)

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最初タイトル見た時は「NintendoDSのゲーム?」とか思っちゃいましたが実は映画だったんですね。映画はタイトル通りMADな探偵のお話です。どんな風にMADかというと主人公の探偵は人間の深層心理にある人格を人の形として可視化できたり、被害者と同じ状況に身を置いて、その被害者がどんな目に遭ったかが分かっちゃうんですね。いわゆるサイキック・オカルト探偵なんですね。しかしあれこれ見えちゃうばっかりに行動がおかしくて、それでMADな探偵と言うわけなんですね。お話はと言うと刑事失踪事件の捜査を依頼された主人公が犯人に迫ってゆくというものですが、映画を観ている者からは冒頭から犯人が分かっちゃってるので、それをどう追い詰めてゆくのか、という「刑事コロンボ」スタイルの推理ドラマになるわけですが、なにしろ探偵がサイキックなので推理はしないし、そういった論理ゲームみたいなことはしていません。ただ犯人らしい奴には人格がいっぱいあって、それが何人もの人間の形になってうじゃうじゃ群れていて、「こりゃなんだ?」という見た目の奇怪さ、そして探偵の行動の奇矯さで物語をリードしてゆくんです。そういった風変わりで、しかも説明があんまり無いからこそ生まれる不思議さ、そういった部分が面白い映画ですね。個人的には別れた奥さんの幻影と愛おしそうにデートするシーンがなんだか哀れでぐっときました。

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katokitizkatokitiz 2011/09/03 14:02 別れた奥さんの幻影と愛おしそうにデートするシーンがなんだか哀れでぐっときました>号泣しました。

globalheadglobalhead 2011/09/03 14:37 最初死んだ奥さんのように描かれて哀れを誘いながら、実は生きててしかも凄く冷たい、という展開がさらに悲しかったですねえ。

20110902(Fri)

[]死を想え。〜映画『ヒアアフター』 死を想え。〜映画『ヒアアフター』を含むブックマーク 死を想え。〜映画『ヒアアフター』のブックマークコメント

■ヒアアフター (監督:クリント・イーストウッド 2010年アメリカ映画)

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――食べ、飲もう。我々は明日死ぬのだから (イザヤ書 22:13)

クリント・イーストウッドの映画『ヒアアフター』、タイトルである"HEREAFTER"は【来世】とか【将来】という意味があるのらしい。そして映画『ヒアアフター』は現実世界で傷ついた人々が【来世】をキーワードに現実世界の【将来】を生きようとする物語なのだ。

主要となる登場人物は3人。一人は霊能力を持ち死者と対話できる能力を持ちながら、その力に翻弄される人生に疲れ果てた男ジョージ(マット・デイモン)。もう一人は津波に巻き込まれ死後のヴィジョンを見てしまうという臨死体験を経験したばかりに社会生活が営めなくなった女マリー(セシル・ドゥ・フランス)。最後の一人は双子の兄を事故で亡くし、それ以来死後の世界にいるだろうはずの兄と対話することを願って止まない少年マーカス(ジョージ・マクラレン)。3人はサンフランシスコ、パリ、ロンドン、それぞれ地球上の別々の街で暮らしており、最初はこの3つの街を行き来しながらエピソードが物語られてゆくが、次第に彼らは運命の糸に手繰り寄せられるように接近してゆき、そしてある日出会うこととなるのだ。【死後の世界】というどちらかというとホラーやサスペンス向け、一歩間違えばスピリチュアルな胡散臭い世界になってしまう題材を、監督:クリント・イーストウッドはけれんに頼ることなく、また【死後の世界】なるもののオカルト要素を多大にクローズアップさせること無く、さらりと美しい人間ドラマとして完成させている。

実際のところ、【死後の世界】なんてありはしない。さらに言ってしまえば霊魂も神も存在しない。人は現象世界にささやかな時間にのみ存在する化学反応でしかない。人が死ぬのは虫や動物や植物や細菌が死ぬのと何一つ変わりない。これらの生命があぶくのように現れては消え去ってゆくように、人の生命もあぶくのように現れては消え去ってゆくだけのものでしかない。人は生命として何も特別ではない。ただ、一つだけ他の生命と違うところがあるのだとすれば、それは人は、観念を持ち、想像することのできる生命だということだ。

そして人は死を想像する、見ず知らずの赤の他人の死を、肉親や友人ら近しい者の死を、そして自分の死を。これを解剖学者の養老孟司氏はそれぞれ『三人称の死』『二人称の死』『一人称の死』と呼ぶ。見ず知らずの赤の他人の死は、『三人称の死』、すなわち、既に死んでおり"死体"という"モノ"となってしまった死のことだ。人は死ぬものだ、という客観的な死だ。『一人称の死』、すなわち自分の死は、これは、経験することの出来ない、つまり認識の不可能な死だ。そして『二人称の死』、肉親や友人ら近しい者の死、どこかで情の通じているものの死は、それと相対する者にとって、決して"モノ"と化したものではなく、"生"の延長線にある、受け入れ難い"何か"の状態になってしまったもののことだ。

人は肉親や友人ら近しい者の死に直面したとき、嘆き悲しみ、語りかけさえする。それは、人にとって、死んだ肉親や友人ら近しい者が、死体ではなく、生きているものだという認識があるからだ。死んだ近しい者たちは、相対するものの観念の中では、まだ生きた姿を持っている。それは、それが想像することができるからだ。即ち、死んだものは、どこかで、生きている。その"どこか"というのは実はそれを想像するものの脳内なのだけれども、物理的に、客観的に、死んでしまった者を生かしているのは、つまりは生きている者だということができるのだ。だから死者を弔い、死者を想うのは、それは生きている自分の為だということができる。【死後の世界】は存在しない。しかし、死者たちが生きる場所は存在する。それは人の心の中なのだ。

『ヒアアフター』は【来世】であり【将来】という意味を持っていた。登場人物たちは、死と死者のことを想い、その中から、自らの生のあり方を模索する。死を想う事によって生を想う。オカルトでもスピリチュアルでもなんでもなく、これはそんな物語なのだ。メメント・モリ

(なおこの映画はid:doyさんからお借りした輸入版Blu-rayで視聴しました。311の震災により上映自粛となり、打ち切られた不幸な映画ですが、輸入版でも日本語字幕・吹き替えがついているので、劇場で見逃した方、国内版ソフトが待ちきれない方は輸入版購入もありではないかと思われます)

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死の壁 (新潮新書)

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メメント・モリ

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20110901(Thu)

[]『ウルトラQ』カラー化!〜『総天然色ウルトラQ』 『ウルトラQ』カラー化!〜『総天然色ウルトラQ』を含むブックマーク 『ウルトラQ』カラー化!〜『総天然色ウルトラQ』のブックマークコメント

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今ではすっかりいいオヤジであるオレではあるが、子供の頃は円谷プロの"ウルトラ・シリーズ"に熱狂していたガキンチョであった。なにしろウルトラマン、ウルトラセブン、帰ってきたウルトラマンあたりをリアルタイムで観ていたような年齢だ。ただウルトラマンA、タロウあたりから観ていて段々つまらなくなってきて、ウルトラマンレオを最後にこのシリーズも観なくなってしまったが。そしてこのウルトラ・シリーズ、その第1弾となるのはM78星雲の超人なんかは決して出てこないTVシリーズ『ウルトラQ』だったのだ。実はこれもリアルタイムで観ていた。当時はまだカラーTVがあんまり普及していなくて、この『ウルトラQ』も白黒で製作されていた。オレんちもまだ白黒TVだった。そしてこの『ウルトラQ』、子供心を鷲掴みにする怪奇で幻想、そして怪獣てんこ盛りの素晴らしい空想科学ドラマだったのだ。その後このウルトラ・シリーズは続々とソフト化されたが、この『ウルトラQ』だけは他のウルトラ・シリーズには目もくれず全巻DVDで揃えた位お気に入りだったのだ。好きなモンスターはナメゴン、マンモスフラワー、バルンガ、そしてガラモンかな。恐竜っぽいのよりも変な形のものが好きだったな。あと巨人と巨蝶モルフォ蝶の話とか、蜘蛛男爵の話とか、海獣ピーターとか、怪談めいたお話が好きだったなあ。

昭和41年、米国の『トワイライトゾーン』などをヒントに1話完結型のSFドラマとして製作された、独特の怪獣路線を融合させ、子供たちを虜にした“空想特撮シリーズ”。

映画『ゴジラ』の特撮監督として世界的に名を轟かせた円谷英二の構想の下、スタートしたTV番組企画であり、円谷プロ、東宝、TBSの3社がトライアングルを組んだ国内初の特撮テレビ映画である。

最高視聴率36.4%、平均視聴率32.39%を記録。日本全土に空前の怪獣ブームを引き起こした。

総天然色ウルトラQ 公式サイト

そしてなんとその『ウルトラQ』が、HDリマスター&カラー化され、BOXSETで発売されると聞いて驚いた。白黒のフィルムをデジタル技術でカラー化してしまうのだ。これは観たい、これは観てみたい。しかしなんといってもお値段が凄いことになっている。Blu-ray Boxは「I」「II」とも定価31500円でTotalが63000円、アマゾン価格ではそれぞれ23098円、Totalが46196円。DVD Boxは「I」「II」とも定価22050円でTotalが44100円、アマゾン価格ではそれぞれ16169円、Totalが32338円。ノスタルジー気分で「ちょっと観てみたい」というような値段ではない。残念だが購入はさっさと諦めた。だがやっぱり気になるので「特撮ニュータイプ」という雑誌の7月号にどんな風にカラーになったのかその映像が一部DVDで観られるのと言うので買ってきて見た。どんなもんだったかは動画を貼っておいたので興味のある方は見てみるといい。いやー確かに凄い。思い出の白黒写真がカラーになったみたいな感慨深さがある。モンスターがカラーになった、というのとは別に、当時の日本の情景がカラーになって蘇っている、という感動もある。オレは田舎生まれだから、昔の東京の町並みや建物がどんなだったかは知らないけれども、あの頃憧れていた東京の姿がカラーになっている、というのがとても新鮮なのだ。いやもうこれは全巻揃えて…いやいやいやオレのお財布が…と葛藤に悶々とする今日この頃なのであった。

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◆『総天然色ウルトラQ』Blu-ray

『総天然色ウルトラQ』Blu-ray BOX I

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『総天然色ウルトラQ』 Blu-ray BOX ?(最終巻)

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◆『総天然色ウルトラQ』DVD

『総天然色ウルトラQ』DVD-BOX I

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『総天然色ウルトラQ』 DVD BOX ?(最終巻)

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◆『総天然色ウルトラQ』関連書籍

キャラクター大全 総天然色 ウルトラQ 上巻

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