Hatena::ブログ(Diary)

メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

20111231(Sat)

globalhead2011-12-31

[]大晦日、今年の10小ニュース 大晦日、今年の10小ニュースを含むブックマーク 大晦日、今年の10小ニュースのブックマークコメント

12月31日、2011年最後の日、大晦日です。今年もなんとか生き延びたようです。関係無いけどついこの間まで今年が平成22年だと思い込んでおりました。そしてTwitterで「今年が平成22年だっていうことを最後まで覚えていなかったなあ」などと公表してしまい、フォロワーの方から「うんうんもう歳だから仕方ないね」と慰めの言葉を戴いたぐらいです。ジジイなんです。耄碌してるんです。

という訳で【今年の10小ニュース】というのをお届けしたいと思います。【10小ニュース】。それは【10大ニュース】とはちと違う。小さいのであります。ミニマムなのであります。即ちこれを読んでいる方たちには一切何も関係ないオレの個人的などうでもいいニュースなのであります。だからきっと読んでも面白くもなんとも無いと思います。しかし書くのであります。今年もこうしてつましくさもしく川をたゆたう浮き草のようにプカプカフラフラと過ごしたその日々の、なんとなく薄ボンヤリと記憶に残ったあれやこれやをほじくりかえしてみるのであります。

【オレの今年の10小ニュース】

○映画のエキストラをやってきた

古澤健監督の『アベックパンチ』の観客役エキストラとして、半日がんばってきました。(日記)

○パソコン買った

4年ほど使っていたWindowsXPマシンがお亡くなりになったのでWindows7マシンに新調しました。(日記) 

○お伊勢参りした

今年は相方さんを一回しか旅行連れて行って上げられなかったなあ。来年もっとがんばります。(日記1)(日記2)(日記3)(日記4)

○『2011神宮外苑花火大会』に行って来た

動画も撮りました。(日記)

○相方さんのお誕生会

スイス料理の店、素敵でした。(日記)

○オレのお誕生会

湘南でビール飲んでました。(日記)

○新しいXbox360買った

そしてゲームやりまくりです。…最近やれてないけど…。(日記)

Gigazineに2回日記がとりあげられた

びっくりでしたよ。とりあげてくださった方、どうもありがとうございました。(2011年7月29日のヘッドラインニュース)(2011年11月7日のヘッドラインニュース)

○会社異動になった

横浜から東京に戻ってきました。(日記)

○帯状疱疹になった

12月に入ってすぐ、帯状疱疹に罹っちゃいましたよ。(日記)

いやあ、やっぱりちいちゃいですねえ。これがニュースなのか?と訊かれるとオレもどうかと思いますが、まあ今年も平々凡々と生きていたというわけです。今年あったそのほかの事といえば、今年もいろんな方とお会いしてお酒飲んだり相方さんとベルギービール飲みまくってたりしてましたね。どれも楽しかったなあ。ビールも料理も美味かったなあ。美味いビールと美味い料理と素敵な知り合いがあれば人生無問題だなあ。今年はあと、なんか凄いことが世間ではあったようですが、自分はこうして生きてるし、相方さんとも楽しく過ごしているから、全然気になんかしてません。

そんなわけで今年もおしまい、いつも日記読んでくださっている皆さん、どうもありがとうございました。来年は日記の更新がかなり減ると思うし、映画のこともあんまり書かなくなるような気がしますが、『メモリの藻屑とかなんとか』という日記の事を覚えていたら、たまに覗いてあげてください。

それでは良いお年を。

lazy-daisy5113lazy-daisy5113 2012/01/01 02:14 本年もどうぞ宜しくお願い致します。

globalheadglobalhead 2012/01/01 09:37 レイジーさんあけおめことよろ!

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20111229(Thu)

[]2011年・オレ的映画ベストテン! 2011年・オレ的映画ベストテン!を含むブックマーク 2011年・オレ的映画ベストテン!のブックマークコメント

という訳で年末恒例オレ的映画ベストテンであります。今年は5万本ぐらい映画観て映画館の座席で床ずれならぬ座席ずれになるかと思いました。すいませんいつものでまかせです。ええっと今年は前半ムキになって映画観過ぎたので後半どうでもよくなってしまいちょっとぐらい話題になった程度の映画はどんどんスルーしていつのまにか映画の話題についていけなくなってしまうぐらいになりました。映画離れってやつですねえ。来年はもっと映画離れして最終的には画面の向こうからやってくる列車を見て驚いて座席から逃げてしまうような人になりたいです。では恐ろしく適当に選んだと自負して止まない今年のベストテンをお送りします。適当と言いながら一応選考基準というのがあって、それは【Blu-rayで出たら迷わず買うか?5千円ぐらいしても買うか?そして自分ちで再び舐めるように観まくるか?】ということですね。ここで挙げた映画はBlu-rayで出てる分だったら既に購入済みだし、出てない分は出たら買おうと思ってます。

1位:エンジェル・ウォーズ

エンジェル ウォーズ Blu-ray & DVDセット

エンジェル ウォーズ Blu-ray & DVDセット

金髪まるぽちゃ少女が日本刀持ってセーラー服着て空中をくるくる廻っている、と。もうそれだけで感無量な映画でありました。いいっすねえ金髪まるぽちゃ。ザックわかってますよねえ。エロビデオに必要なのは美女とエロシーンとシチュエーション、いちいち60分なり90分なりのストーリーを追いかけたりしないのと一緒で(全部観るという人も知ってますが)、キメのシーンのハァハァ…が最高であればそれでいい、そんな映画、いや映画でもなんでもない映像クリップ、なんですよね。要するにこれ、ザックの私的ポルノなんですよ。だってザックったら舐めるようなカメラで主人公少女追ってるじゃん!きっと撮影中も編集中もピン起ちだったんだろうなあ!この映画の評価というのは、このザックの私的ポルノを一緒に楽しめるか楽しめないか、ということだと思うんですね。オレはガッツリ楽しめましたね! 【感想】

2位:世界侵略:ロサンゼルス決戦

世界侵略:ロサンゼルス決戦 [Blu-ray]

世界侵略:ロサンゼルス決戦 [Blu-ray]

エイリアン相手に撃って撃って撃って撃って撃って撃って撃って撃ちまくる映画でしたねえ!もうこれゲームのプロモーション映画って言っても信用しちゃうぐらいFPSゲームした映画だったなあ。FPSゲーム好きとして「やらなくても進行してしてくれるゲーム」という意味では最高のゲーム映画として観ました。ミリタリーゲームにイデオロなんちゃらなんて無いようにこの映画にイデオロなんちゃらを持ち出しても始まりませんよ。エイリアンの兵器テクノロジーレベルが低い、という批判もありましたが、同等ぐらいの兵器持ってなきゃゲームバランスが崩れるでしょ。そういった意味でこの映画も『エンジェル・ウォーズ』と同じぐらい映画でもなんでも無い「ゲーム映像クリップ」として突出してましたねえ。ああ撃ち合いたい! 【感想】

3位:ハンナ

ハンナ [Blu-ray]

ハンナ [Blu-ray]

世界は美しく、生きるに値する場所だ、ということを見いだしていきながら、にも関わらずやってることは殺して殺して殺しまくり、というアンビバレンツが面白い映画でしたね。つまり自分の純粋性を固持するためには徹底的に敵は排除する、そして敵を排除する万能ともいえる能力を持っている、嫌いなヤツは皆殺し、粛清の暁には自分はこの世界の王、そして自分が王になった時、この世界の美しさは完全に補完される、というお話なんですよねこれは。普通、人は個人であることと社会的であることとの間で引き裂かれてゆく存在ですが、これは徹底的に個人であることを押し通した、その結果の世界を描いているんですよ。いや今適当に思いついたこと書いてますが。 【感想】

4位:インモータルズ-神々の戦い-

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いや、日記でレビュー書いたときは書けなかったんですけどね、今だから言わせてください、「陰毛足るず!陰毛足るず!陰毛足るず!陰毛足るず!陰毛足るず!」…ああさっぱりした…。これも映像ばっかりで中身がなんにもない映画でしたねえ。しかもその映像っていうのが美術的にクオリティが高いってわけじゃなくてなんだか歪なの。にも関わらず監督がドヤ顔しまくってるのね。でもその薄っぺらさが、逆に面白かったのね。本人はアートやってるつもりなのに出来たものはコミックなの。しかしコミックにしては面白いことやってるという。で、最後はやることなくなって大スプラッタ大会とかね。もうなりふり構ってないですよね。そういう必死さが好きだったんですよ。しかしそれにしてもオレ内容のないような映画ホントに好きだなあ。 【感想】

5位:アンダーグラウンド

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エミール・クリストリッツァ渾身の1作です。本当は1位でもよかったんだけど、リバイバルだっていうことと、あとこれ1位にしちゃうとスカしたヤツみたいで嫌だったって事がありますね。いつもはヨーロッパ映画なんて観ないくせにたまたま観たヨーロッパ映画をこりゃスゲエとばかりに1位にするのってカッコ悪いじゃん。ひねくれたヤツなんですすいません。内容は特に書きませんが映画史に残っちゃうような1本ということでいいんじゃないでしょうか。いや映画史に残るような映画なんてなーんも観てないオレが言うのは蚤の目玉ほどにも説得力がありませんが。 【感想】

6位:タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密

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7位:ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル

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6位と7位は最近観てとても面白かったのが印象に残っている映画だったので順位に入れました。タンタンはCGの動きがよかったしMI:GPは体張ったアクションとコメディタッチのバランスがよかったですね。半年後には「なんでこれを入れたんだ?」と思っちゃう「所謂大作映画」かもしれませんが、まあ意外と適当に選んじゃっていいんだと思います。気分ですよ気分。よく出来てるし料金の分はきっちり楽しめるし気楽に観れる、いい映画だと思いますよ。 【感想】 【感想】

8位:SUPER 8/スーパーエイト

日記のレビューちゃんと書かなかったんですが、Blu-rayで見直してみると、あのモンスターって母親を亡くした少年の怒りとか悲しみが具現化したもんだったんですね。だからクライマックス、今まさにモンスターに頭からかじられようとしたときに少年が「つらいこともあるけど生きられるよ」とモンスターに言ったところ、モンスターが少年を離した、というのはそこで少年の心が昇華されたからだってことなんですね。まあそんな解題はどうでもよくってとにかくエル・ファニングたんが可愛さ極まれりの映画でしたね!エル・ファニングたんキャワイイなあ!キャワイイなあ! 【感想】

9位:トランスフォーマー / ダークサイド・ムーン

まあ劇場で観たときは結構退屈したんですけどね、しかも上映時間3時間もあって、何考えとんのかと。しかしなぜか気がつくとBlu-ray買って観ている自分がいたんですね。まあこの9位、『マイティ・ソー』でもよかったんですけどね。要するにCGがキラキラした映画だったらそれだけで評価が高くなっちゃいますねオレ。というか多分、映画に求めてるのはビジュアルだけで、内容は全然求めてないんでしょうね。内容というか、エモーションということですね。オレはエモーショナルなものに興味がないんですよ多分。 【感想】

10位:イップ・マン/序章 イップ・マン/葉問

イップ・マン 序章&葉問 Blu-rayツインパック

イップ・マン 序章&葉問 Blu-rayツインパック

今年前半1番興奮させられた映画ですね。それがなぜ10位なのかというと、『序章』と『葉問』を綺麗に並べて同位で10位すると、全部でベストテン11本選べるじゃないですか。なんかお得だなあ、と思ったもんですから。ただそれだけです。ちなみにドニーさん熱はもうすっかり醒めてます(←飽きやすいヤツ)。 【感想】 【感想】

次点:アンチクライスト

アンチクライスト [Blu-ray]

アンチクライスト [Blu-ray]

オレはホントこのラース・フォン・トリアーとかいう監督が大嫌いでね、「ほうらほうら人間の真の姿はこんなに醜いのじゃああわっはっは」とか知ったことぬかしたような映画撮ってますがそれは単にお前の心根が貧しいだけだからだろう、としか思えないんですよね。しかしそんな糞ラースの映画をワーストではなく何故次点に入れたかというと、貶しまくってやる気満々でレンタルしようと思ったら、これが、借りられない。ああくそうにっくきラースの糞映画を地獄の底まで罵倒してやるつもりだったのに借りられないとは何事じゃ、なんという不覚なのじゃ、くそうくそうもうこうなったらアマゾンで買ってでも観てやる、買ってでも愚弄してやる、なぜならそれだけわしは糞ラースが大嫌いだからじゃ、わしの恐ろしさを思い知るがいい糞ラースよ!わっはっは!ということでわざわざBlu-ray買って観ちゃったんですよねこの映画。オレいったいナニやってるんっすかね。観てみると映画はやっぱり大嫌いでしたけどね!あ、いや、ええっと、はっとするようないいシーンもありましたけど…。ああ最新作の『メランコリア』もきっと糞映画なんだろうなあ!早く観たいなあ!(え 【感想】

azecchiazecchi 2011/12/29 18:18 エンジェルウォーズ、僕にはあまりエロが感じられなくて、そこが不満でした。やっぱりまるぽちゃよりも、スッとしてて出るところは出てる!みたいなほうが…。金髪はいいんですけど。 あとエル・ファニングたんは衝撃的でしたね。これはもう100%同意です!ハァハァ

chirigamichirigami 2011/12/30 01:19 素晴らしいベスト10ですね。
全て見ているわけではないですが、自分もほぼそんな感じです!

globalheadglobalhead 2011/12/30 08:49 >アゼッチさん
アゼさん女子の趣味シビアそうだなあ!オレはエミリー・ブラウニングたん十分OKでしたよ!エミリーたんにオレの前でヘコヘコ踊ってもらいたい(セーラー服で)!エル・ファニングたんもよかったですねえ。それにしてもオレは金髪ロリってことなのか!?

>chirigamiさん
もうほとんど娯楽映画、ポップコーンムービーばかりです!まあオレが映画にそういうものしか求めてないってことなんでしょうね。chirigamiさんからいただいているコメントを拝見したら多分自分と好み似てるかなあと思ってましたよ。この中でまだ観てない映画があったらぜひお勧めします。

さあのうずさあのうず 2012/01/01 01:11 twitterではいつもどうも!5位のアンダーグラウンド、こちらで知って観てきました。
驚くような内容でしかも大傑作でした!
いいもん教えてくださりサンクスです!よかったのでブログでも広めてみますた(笑)

globalheadglobalhead 2012/01/01 09:55 あけましておめでとうございます!
『アンダーグラウンド』、本当に凄まじい映画でしたね。日記で推した映画を観てもらってさらに気に入ってもらえるなんてとても嬉しいです。
クリストリッツァ監督作品はどれも本当に素晴らしいですが、もし観られるのであれば『ウェディング・ベルを鳴らせ!』や『ライフ・イズ・ミラクル』あたりを特にお勧めします。以前日記にレビュー書いたのでよかったら参考にされてください。
『ウェディング・ベルを鳴らせ!』レビュー http://d.hatena.ne.jp/globalhead/20090518#p1
『ライフ・イズ・ミラクル』レヴュー http://d.hatena.ne.jp/globalhead/20090812#p1

さあのうずさあのうず 2012/01/01 11:21 あけおめです!ご返答ありがとうございます!レヴュー読ませていただきました〜。いやー2作とも面白そうですね。観たくなりました♪

20111228(Wed)

[]今年よく聴いたエレクトリック・ミュージック・アルバム10枚+シングル 今年よく聴いたエレクトリック・ミュージック・アルバム10枚+シングルを含むブックマーク 今年よく聴いたエレクトリック・ミュージック・アルバム10枚+シングルのブックマークコメント

今年もエレクトロ・ミュージックを中心に沢山のCDを聴きましたが、エレクトロ・ミュージックと一括りに言ってもその中は様々に細分化され、さらにジャンル内で融合・進化を遂げいるので聴いても聴いても飽きないし、驚かされることが多かったですね。自分はクラブに行くことの無いインドア・エレクトロ・ミュージック・リスナーですが、部屋だけでなく、いつもiPodにこれらの音楽を詰め込み、通勤時や出掛けるときに楽しんでいました。やはり自分にとって音楽は、とりわけエレクトロ・ミュージックは心の糧ですねえ。自分にはいろいろな趣味がありますが、「これだけは無くなったら絶対に困る」と思うのはまさに音楽なんですよね。

■Framework / Mike Dehnert

FRAMEWORK

FRAMEWORK

アムステルダムのDelsinからリリースされたベルリン地下テクノDJ、MIKE DEHNERTのアルバム。硬質かつダークなミニマル・ダブ。

■With U / Holy Other

With U

With U

Holy Otherはウィッチハウスというジャンルに属するのだそうですが、宗教音楽を思わせる幽玄さが美しかった。

■Feed Forward / Sandwell District

SANDWELL DISTRICT

SANDWELL DISTRICT

ダークなインダストリアル・テクノを得意とするSandwell District、このアルバムでも不気味でシリアスな音響世界を構築していました。

■Berghain 05 / Marcel Fengler

BERGHAIN 05

BERGHAIN 05

ベルリン・OSTGUT-TONレーベルのMixシリーズ「BERGHAIN」の第5弾はレジデントDJであるMarcel FenglerのMix。バランスよくハードな音を盛り込んでいて楽しめました。

■Ambient Selections / John Beltran

AMBIENT SELECTIONS

AMBIENT SELECTIONS

John Beltranのアンビエント・ミュージック集は美しく癒される音に溢れていて、しかも決してノンビートではない軽快さが素晴らしかった。

■Back In The Box / Global Communication

BACK IN THE BOX ( MIX )

BACK IN THE BOX ( MIX )

Global CommunicationのMix集はデトロイト好きには号泣必至のデトロイト名作集!聴かずに死ねるかという粒揃いの作品ばかり、無人島に持っていきたいアルバムの1つでした。

■Fünf / Various Artists

Funf

Funf

ベルリンのテクノ・レーベルOSTGUT-TONの設立5周年を記念してリリースされたコンピレーション。ベルリンのひんやりした空気感とダーク&ソリッドな音世界は実にはまりました。

■Treasure / Martin Schulte

Treasure / トレジャー

Treasure / トレジャー

ロシアのDJ、Martin Schulteによる3rdアルバムは静謐さと美しさを兼ね備えたポスト・ダブステップ・サウンド。聴いていてどこまでも心が落ち着きました。

■fabric 57: Agoria

Fabric 57: Agoria

Fabric 57: Agoria

フランスのDJ、AgoriaによるfabricのMixCD。フランスDJらしいバラエティ豊かなセレクトがどこまでも愉しい優れたMixでした。

■Live At Robert Johnson Volume 8 / Dixon

LIVE AT ROBERT JOHNSON VOL.8

LIVE AT ROBERT JOHNSON VOL.8

自分が最も信頼するベルリンのハウスレーベル、Innervisionsを主催するDJの一人Dixon。彼の音源はエレクトリック・ミュージックの枠に留まらない高い音楽性とインテリジェンスを感じます。

■Incident (Miyagi) / Joris Voorn

Incident (Miyagi)

Incident (Miyagi)

今年も様々な曲を聴き、沢山の良い曲と巡り合いましたが、その中で今年最も聴き、さらに2011年という年を象徴する曲をリリースしたのがこのJoris Voorn、そしてその曲『Incident (Miyagi)』です。この曲はJoris Voorn最大のヒット曲『Incident』を、東北地方太平洋沖地震チャリティーとしてRemixしたものです。ダンサンブルな中にもどこか祈りのようなメロディが込められたこの曲には実にゾクゾクさせられましたね。その後日本来日時にはDJプレイも観に行きましたよ。

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20111227(Tue)

[][][]今年面白かったコミックやら本やらゲームやら 今年面白かったコミックやら本やらゲームやらを含むブックマーク 今年面白かったコミックやら本やらゲームやらのブックマークコメント

今年も押し迫ってまいりましたね。この1年いろんなコミックやら本やらゲームやらを楽しみましたが、今回は総決算ということで、【今年面白かったコミックやら本やらゲームやら】をお送りしたいと思います。

■今年面白かったコミック

今年はなにしろBDをよく読みましたね。ここに挙げた4作はどれも衝撃的な作品ばかりでしたが、それ以外のBD作品もどれも面白く、楽しむことが出来ました。

○天空のビバンドム / ニコラ・ド・クレシー 

天空のビバンドム

天空のビバンドム

《レヴュー》

○アランの戦争――アラン・イングラム・コープの回想録 / エマニュエルギベール

アランの戦争――アラン・イングラム・コープの回想録 (BDコレクション)

アランの戦争――アラン・イングラム・コープの回想録 (BDコレクション)

《レヴュー》

○アライバル / ショーン・タン

アライバル

アライバル

《レヴュー》

○L'INCAL アンカル / アレハンドロ・ホドロフスキー、メビウス

L'INCAL アンカル (ShoPro Books)

L'INCAL アンカル (ShoPro Books)

《レヴュー》

■今年面白かった本

まああんまり本読んでないんですけどね。そんな中でもこの4作はダントツで面白かったですね。

○オスカー・ワオの短く凄まじい人生 / ジュノ・ディアス

《レヴュー》

○アニマルズ・ピープル / インドラ・シンハ

アニマルズ・ピープル

アニマルズ・ピープル

《レヴュー》

○ねじまき少女(上)(下) / パオロ・バチガルピ

ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)

ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)

ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)

ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)

《レヴュー》

○伝奇集/ J.L.ボルヘス

伝奇集 (岩波文庫)

伝奇集 (岩波文庫)

《レヴュー》

■今年面白かったゲーム

今年もゲームやり狂いましたね。ここで紹介した中には実はまだクリアしていないゲームがンガググ…。あ、FPSが入ってませんが、あれって自分にとっては惰性でやるのが楽しいジャンルなので別枠ということで。

Dead Space 2

Dead Space 2 (輸入版) - Xbox360

Dead Space 2 (輸入版) - Xbox360

《レヴュー》

○クライシス2

クライシス 2 - Xbox360

クライシス 2 - Xbox360

《レヴュー》

○デッドアイランド

DEAD ISLAND 【CEROレーティング「Z」】 - Xbox360

DEAD ISLAND 【CEROレーティング「Z」】 - Xbox360

《レヴュー》

バットマン アーカムシティ

《レヴュー》

次回、音楽篇、映画篇へと続きます!

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20111226(Mon)

[]最近読んだコミック / 羊の木(1)、テルマエ・ロマエ(4)、星を継ぐもの(1)(2)、進撃の巨人(6) 最近読んだコミック / 羊の木(1)、テルマエ・ロマエ(4)、星を継ぐもの(1)(2)、進撃の巨人(6)を含むブックマーク 最近読んだコミック / 羊の木(1)、テルマエ・ロマエ(4)、星を継ぐもの(1)(2)、進撃の巨人(6)のブックマークコメント

■羊の木(1) / 原作:山上たつひこ、作画:いがらしみきお

羊の木(1) (イブニングKC)

羊の木(1) (イブニングKC)

とある日本の地方都市。かつては海上交易で栄えた港町。名を魚深市という。その町が、犯罪を犯し刑期を終えた元受刑者を地方都市へ移住させる政府の極秘プロジェクトの試行都市となる。一般市民には何も知らせずに元受刑者の過去を隠し転入させるこのプロジェクトの全容を知るのは市長とその友人月末、大塚の3人のみ。移住するは、凶悪犯罪を犯した11人の元受刑者。はたして、このプロジェクトの行方は!?

原作:山上たつひこ、作画:いがらしみきお、というオレにとっての神漫画家二人がタッグを組んで恐ろしくスリリングな漫画を生み出した。とある地方都市で極秘裏に大勢の元受刑者を受け入れるプロジェクトが進行するというお話なのだが、これが一筋縄ではいかない面白さなのだ。刑期を終えた受刑者は既に罪人ではない。彼らは一般人として社会に受け入れなければならない。しかしそういった建前とは別に、出所者というのは忌避されることがあり、さらに再犯の可能性を疑われる。平たく言うと「気持ちが悪い」ものであるととらわれてしまう。読む者の気持ちはこの本音と建前の間で揺れ動いてしまう。そこには理性と生理感の相克がある。しかし理性的に取り扱おうとしても漫画の中の元受刑者たちはあまりにも不気味に見えてしまうし、生理感だけで突っ走ってしまうと例の「放射能ヒステリー」関連の人たちと何ら変わりない愚昧なものとなるではないか。この漫画にはそうった、なんともいえない居心地の悪さが満ち溢れている。そしてさらに、未だ始まったばかりのこの漫画は、どこに着地点を見つけようとしているのか、まるで読めない展開なのだ。これはサスペンスなのか?それともブラックコメディなのか?物語の最後に待っているのは幸福な連帯感なのか?それとも血みどろの破綻なのか?まさに期待と不安の同居する傑作漫画、これからの展開が本当に楽しみである。

■テルマエ・ロマエ(4) / ヤマザキマリ

テルマエ・ロマエ IV (ビームコミックス)

テルマエ・ロマエ IV (ビームコミックス)

主人公ルシウスが日本の温泉から帰ってこられなくなってしまい、温泉宿で働く羽目になるという、ここへ来て新展開の『テルマエ・ロマエ』第4巻。これには賛否両論あるようだが、自分としてはこの展開は大賛成。これまでのローマ-日本を行ったり来たりの展開はお約束の楽しさはあるけど、いつまでもこれだと息切れするだろうな、という不安感はあった。しかしこの4巻で単発の読みきりではなく日本を舞台にした続き物にすることで、より深く古代ローマと現代日本の比較文化論を展開できるようになったのではないかと思う。そしてなによりこの新展開が愉しいのだ。新キャラの女性はちょっと出来過ぎの気もするが、作者自体が才女であるわけだから、こういうキャラがいたとしてもおかしくない。なによりロマンスの香りがするのが愉しいし、ルシウスというキャラをより掘り下げ、さらに面白く描くことに成功していると思うし、しかも次回が気になる展開、というのも素晴らしいではないか。あれこれ批判もあるかもしれないが、自分としては作者にこのまま突っ走って欲しいな。

■星を継ぐもの(1)(2) / 星野宣之

星を継ぐもの 1 (ビッグコミックススペシャル)

星を継ぐもの 1 (ビッグコミックススペシャル)

星を継ぐもの 2 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

星を継ぐもの 2 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

SF文学の金字塔に新解釈を加えて漫画化! 時空を超えるミステリー!西暦205X年、月で深紅の宇宙服をまとった死体が発見された。だが、どれほど歴史をさかのぼっても該当者は見当たらない。そして誰も予見しない驚愕の事実が浮かび上がる。遺体はなんと5万年も前のものと鑑定されたのだ!ネアンデルタール人やクロマニョン人が毛皮や石器を身に着けていた5万年前に、月に宇宙服を着た人が!?SF文学界の巨星・ホーガンの名作を、漫画界の巨星・星野之宣が独自の解釈を加えて描く!

J・P・ホーガンの原作は未読。これを貸してくれた相方さんは原作も読んでいるらしいが、結構原作と違うのらしい。内容はと言うとこれはSFミステリーと言っていいかもしれない。月に残された5万年前の死体やらガニメデで発見された100万年前の宇宙船やら、驚天動地ともいえる様々な発見があり、それがなぜそこにあったのか、そしてそれがそこにあったということは、太古、この太陽系で何が起こっていたのか…そういったことを科学者たちが推論し、意見を戦わせ、真実を探ろう悪戦苦闘する様子がこの物語のキモとなるのだろう。それと同時に、星野宣之お得意のいかすスペース・シップが宇宙を駆け、宇宙服姿の人間たちが月やガニメデを闊歩するビジュアルにやっぱりうっとりさせられるのだ。星野宣之は科学考証として難のある物語を構築してしまうという部分があり、この作品でもそれは散見されるのだけれども、それでも、大法螺な大風呂敷の広げ方のセンスはまさにSF的である、と好意的に見てしまう。それにしてもこの物語でちょっぴり思ったのは、展開のせっかちさだ。実際にこれだけの謎が発見されたらその解析まで数十年かかるかもしれないし、月の次はガニメデです、とほいほい惑星間飛行した挙句にまたも新たな謎、まるで太陽系が小さな町のようですらある。いや、これは別に作品を貶しているわけではない。人間の想像力の大きさに比べて、人間の命はあまりにも短く、その想像力を現実化するための技術の進歩は、これもまたあまりにも遅い。この物語から伺われるある種のせっかちさは、そんな、想像力に追いつかない現実への、一人のSF者の、苛立ちなのかもしれない。そしてその苛立ちは、SF好きである自分にも、十分理解が出来るのだ。

進撃の巨人(6) / 諫山創

進撃の巨人(6) (講談社コミックス)

進撃の巨人(6) (講談社コミックス)

例によって謎が謎を呼び次々と新しい展開を迎えてゆく『進撃の巨人』第6巻。このまま大風呂敷を広げ続けて伏線回収できるのか?とも思うが、いや、だいたい人気連載漫画というのはえてしてそんなもんで、どれだけ読者の関心を引き続けるかが鍵であるから、人気のある限りこのまま新展開し続けて最後が何がなんだか分からなくなるのは宿命みたいなもんなんだろうな。そもそも今巻でも既に展開の矛盾が若干あり、あれ?と思ってしまったが、人気漫画は勢いでそれを逃げ切ってしまうものだから細かいことは気にしないことにしておこう。このままのスピード感で続いて欲しいですな。

jkjk 2011/12/27 11:52 ホーガン作品は壮大すぎるスケールと御都合主義になりかねない伏線の回収の見事さが快感ですが、映画化すると『バトルフィールド・アース』みたいになりそうなのでマンガ化は意外とアリですねー。いがらしみきおセンセの執筆再開後の作品は全く購入してないのでもう少ししたらまとめ買いしたいと。

globalheadglobalhead 2011/12/27 12:34 オレ、ホーガン作品ってなんだか苦手で1冊も読んだことないんですよ。だからこれがある意味初ホーガンかもしれません。いがらし+山上のコンビって凄いですよ。あといがらしの『I(アイ)』もお勧めします。

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20111225(Sun)

[]今年のクリスマスのご馳走は 今年のクリスマスのご馳走はを含むブックマーク 今年のクリスマスのご馳走はのブックマークコメント

今年のクリスマス・イヴは相方さんがローストビーフを作ってくれました。美味かったぜ!ローストビーフ腹いっぱい食っちまったぜ!ポテトとシメジのオーブン焼きも美味かったな。ビールは去年の暮れに買ってずっと寝かせいていたバーレイ・ワイン(ワインという名前なんですがビールなんです)「エル・ディアブロ2010」をやっと開けました。苦味と甘さのバランスがとてもいいビールでしたね。…ちょっと待て、今年のディアブロ買い忘れてるじゃんか…。

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デザートはシュト−レン。このお菓子って初めて食べたのかな?実はクリスマスの定番なんだそうですね。で、このシュトーレン、最初はエスプレッソと一緒に戴こうとしたんですが、「ちょっと待てよ?」と棚からアイリッシュ・ウィスキーのラフロイグを取り出してコップに注ぎ、それに浸して食べるという恐るべき行為に出てしまったんですがね…しかしなんとこれが、意外と、というよりメチャクチャ合う!いつもはお菓子なんて食わないオレですが、これは病み付きになりそう…。

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[]『どげせん』ストラップ 『どげせん』ストラップを含むブックマーク 『どげせん』ストラップのブックマークコメント

そういえば近所のガチャポンで『どげせん』ストラップが売っていたので迷わずGET!しかしガチャポン、こんなものまで出してるのかよ…。

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どげせん 1巻 (ニチブンコミックス)

どげせん 1巻 (ニチブンコミックス)

どげせん 2 (ニチブンコミックス)

どげせん 2 (ニチブンコミックス)

どげせん 3 (ニチブンコミックス)

どげせん 3 (ニチブンコミックス)

lazy-daisy5113lazy-daisy5113 2011/12/26 01:50 おう、おう、豪勢じゃのうワレ!


わたしのイブは、一人で鯖缶をおかずにチンするご飯でした。

な、泣くものか!

globalheadglobalhead 2011/12/26 01:53 というわけであれこれ落ち着いたらそろそろ久しぶりに飲みに行きましょう。来なさいよ!来るんだからね!

paseyopaseyo 2011/12/26 08:45 >今年のディアブロ買い忘れてる
なん…だと…?

globalheadglobalhead 2011/12/26 11:48 >paseyo しくじった!

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20111224(Sat)

[](なんとなく)(気分)(それっぽい)クリスマス・ソング集を作ってみた (なんとなく)(気分)(それっぽい)クリスマス・ソング集を作ってみたを含むブックマーク (なんとなく)(気分)(それっぽい)クリスマス・ソング集を作ってみたのブックマークコメント

世の中はクリスマスだかクリスマス・イヴだかだそうですが、まあいろいろ意見もあるでしょうが年末家族やら好きな人と集まってなにやらお祝いするのはそれはそれでいいんじゃないでしょうか。まあ日本人にとっては「今年もありがとうございました来年もよろしく祭」ってことで落ち着いているようですし、だから「メリークリスマス!」と言うのは「今年もありがとうございました来年もよろしく!」って言ってるんだと思えばいいんですよ。あとオレにとっては美味い酒飲んで美味いもの食える絶好の口実となる良い日であります。酒は口実作って飲むのが一番美味いですよね!

そんなわけで【(なんとなく)(気分)(それっぽい)クリスマス・ソング集】というのを作ってみました。なにしろ(なんとなく)(気分)(それっぽい)なので「これクリスマスかあ?」という意見もあるかと思いますがその辺は寛大な気持ちでご容赦ください。ちょっと静か目の曲が多いですが、気に入ってもらえると嬉しいです。

Aztec Camera - Hot Club of Christ

まずはAztec Cameraのこのクリスマスソングで盛り上がってください!

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■Flying Pickets - Only You

イギリスのアカペラ・グループFlying PicketsによるYAZOOの曲のカヴァーです。メンバーの顔はむさ苦しいですが曲は極上の美しさです。これ、ウォン・カーウァイ監督の「天使の涙」のエンディングに使われた曲なんですよ。

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■Isabelle Antena - Le Poisson des Mers du Sud

フランスの歌姫Isabelle Antenaです。落ち着いた良い曲ですよ。

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■durutti column - I get along without you very well

イギリス・Factory Rabelの鬼才ギタリストdurutti column。これも静かで可愛らしい曲です。

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冨田勲 「月の光」

日本のシンセサイザーの巨匠と言えばこの人冨田勲、彼の出世作とも言えるドビュッシーのシンセサイザー版です。美しい曲ですね。

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■Alpha - Somewhere not here

Alphaはマッシヴ・アタックの元エンジニア、Corin DingleyとAndy Jenksのユニット。物凄くメロウな曲ですよ。

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Robert Wyatt - At Last I Am Free

Robert Wyattプログレッシブ・ロック・バンド、ソフト・マシーンのオリジナル・メンバー。シックのカヴァー曲であるこの曲は奇跡のように美しい旋律を奏でています。クリスマスの夜をこれでしっぽり過ごしてください!

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20111222(Thu)

[]【海外アニメを観よう・その10】日本初の長編カラー・アニメ『白蛇伝【海外アニメを観よう・その10】日本初の長編カラー・アニメ『白蛇伝』を含むブックマーク 【海外アニメを観よう・その10】日本初の長編カラー・アニメ『白蛇伝』のブックマークコメント

■『桃太郎 海の神兵』と手塚治虫

【海外アニメを観よう】というタイトルでこれまで幾つかの作品を紹介してきたが、最後は日本のアニメで締めくくることにする。ここで簡単に日本のアニメの歴史を振り返ってみると、記録に残る日本の最古のアニメは大正期に作られたものらしく、その後長編アニメーションが作られるのは太平洋戦争中の1942年になってからだった。

第二次世界大戦を迎えると、戦意高揚を目的とする作品が制作され瀬尾光世監督による日本初の長編アニメーション『桃太郎の海鷲』(1942年、37分)が生まれ、1945年には松竹動画研究所により『桃太郎 海の神兵』(74分)が産み出された。この時期軍部が提供した潤沢な予算は技術力の向上に繋がったとの評価がある。

Wikipedia:アニメの歴史 

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戦時下に戦争プロパガンダ目的で製作された、白黒では日本初の長編アニメーションとなる『桃太郎の海鷲』の姉妹編、『桃太郎 海の神兵』の製作に関する逸話も大変興味深い。

しかしながら製作時は戦況が非常に悪化しており、スタッフが次々と召集されて減っていった。そのうえ、スタジオでは空襲警報が鳴る度に機材、動画などを持って地下へ避難し、警報解除後にまた作業を再開するなど非常に困難な状況の連続で、一時は公開も危ぶまれたという。また物資不足も深刻で、国策映画といえど製作に必要な資材は潤沢な調達がままならず、質の悪いザラ紙の動画用紙は、撮影が終わると消して新たな動画を描き、セルも絵具を落として再使用するなど大変劣悪な制作環境のもと、昭和19年12月に完成。なんとか公開にまでこぎ着けたと瀬尾は語っている。

Wikipedia:桃太郎 海の神兵

しかし日本海軍より予算が与えられ製作された国策映画『桃太郎 海の神兵』は、軍部の要望とは裏腹に、実は密かに平和への願いが込められた作品として完成した。そしてまだ10代であった青年・手塚治虫は封切り初日にその映画を観ることとなる。手塚はうわべ的にはプロパガンダ映画として製作されたその映画の、真の演出の意図を読み取り、劇場の暗闇の中で感涙したという。手塚は1961年に虫プロを立ち上げ、日本初のTVアニメ『鉄腕アトム』を製作することとなるが、その後虫プロで製作されたTVアニメ『ジャングル大帝』の中で手塚は『桃太郎 海の神兵』へのオマージュと取れる1シーンを挿入する。『ジャングル大帝』はひとつの理想郷とコスモポリタニズムを描いた作品という事が出来るが、手塚はこの中に戦時下に平和を訴えたアニメ作品へのリスペクトを織り交ぜ、作品テーマをなお一層深化させようとしたのだ。

白蛇伝 (監督:大川博 1958年日本映画)

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そして1958年、日本初の長編カラー・アニメーション『白蛇伝』が劇場公開される。製作は東映動画(現・東映アニメーション)、スタッフの中には後に『ルパン三世』、『未来少年コナン』の作画監督を務めた大塚康生の姿もあった。また、宮崎駿がアニメ製作を目指したのはこの映画を観たのがきっかけなのだという。声の出演は森繁久彌と宮城まり子、この二人だけで主人公他全ての登場人物(と動物)が演じ分けられ声があてられた。また、「ライブアクション」と呼ばれる人物の動きをトレースする手法のために、松島トモ子、佐久間良子らが起用されている。

白蛇伝』は中国を舞台に、白蛇が変身した少女と、その少女が慕う青年との悲恋物語である。少女と主人公青年は恋に落ちるが、少女の正体を見破った修行僧に二人は引き裂かれてしまう。さらに窃盗の嫌疑をかけられた青年は遠方の地へ飛ばされ強制労働をさせられるが、少女への思いは募るばかり。一方少女もまた青年を追うが、そこへまた修行僧がやってきて、遂に白蛇少女対修行僧の超能力対決が始まる。こうして粗筋を書くと一見シリアスな物語だが、映画には喋る動物たちも多数出演し、そのコミカルな容姿や動作でアニメ映画らしい楽しさを加味している。

冒頭から丁寧すぎるぐらい物語のあらましが説明される。日本初のカラー長編アニメということから、老若男女どんな人にでも受け入れられ理解しやすい作品を作ろう、という製作者側の態度がうかがわれてどこかこそばゆいほどだ。物の怪と人間との出会いを扱ったテーマは、民間説話に数多く存在する変身譚の一つであり、これも誰にとっても馴染み深く親しみやすいファンタジーということができるだろう。そして描かれる線は丸く優しく、色彩は鮮やかではあってもくどくならないように抑制され、その動きは多少ぎこちないものの表現するべきものをきちんと表現している。

少女と青年の恋の行方、画面の中を伸び伸びと動き回る動物たちの楽しさ、不思議に満ちた幻術の技、そしてクライマックスの嵐の大波の中で展開されるスペクタクル、これらは、確かに今観ると古く拙い部分もあるにせよ、アニメを観る楽しさは十分伝わってくる。50年以上前のアニメであるが、ディズニー映画を参考に当時出来る限りのアニメの先端技法を駆使し、世界マーケットに出してもおかしくないクオリティのアニメを製作しようという気概が、作品のそこここに見て取ることが出来るのだ。日本のアニメは全てここから始まった、それがこの『白蛇伝』なのだ。

白蛇伝 [DVD]

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■【海外アニメを観よう】終りに

TVが普及して以来のいつの時代のどの子供とも変わりなく、自分も子供の頃からTVアニメはよく観ていたし、劇場でもアニメを観ていた。好きなアニメもあり、たいして好きじゃないアニメもあったが、とりあえずアニメと名の付くものは観ていた、というか見せられていた。子供だからアニメ以外の大人の物語はよく分からないし、だから観るのはアニメだった。勿論ウルトラマンのような特撮ドラマも好きだった。自分は年寄りなので、TVが白黒の時代からいろんなアニメや特撮ドラマを観ていた。

しかし10代も半ばを過ぎると段々とアニメも観なくなる。最後に熱狂して観ていたのは『宇宙戦艦ヤマト』だろうか。そして『機動戦士ガンダム』が世間で流行りだした頃からTVでアニメを観ることは殆ど無くなった(ただガンダムのファーストシーズンは20代を過ぎてから誰かからVHSを借りて一応全作観た)。にもかかわらず、成人してから、あれはもう30代になってからだろうか、『新世紀エヴァンゲリオン』には何故か猛烈にハマって、これも全作観るどころかDVDのBOXで作品全部を揃えたりした。

思い出話をしたかったわけではない。自分はいつからアニメに興味が無くなったのか思い出そうとしていたのだ。最近のアニメは、自分にはまるでわからない。興味も湧かない。興味も無いので、昨今のアニメをとやかく言うつもりはこれっぽっちも無い。あれらのアニメにはきちんとマーケットがあり、そしてそれを愛するファンがいるのだろう。それはそれでいいんじゃないかと思う。でも自分には関係ない。ただ、何故興味が無くなったのか、というのなら、やはりもう面白く感じられなくなったから、という事に尽きる。

アニメは、歳を取ると、面白くなくなってしまうものなのか。アニメは、一部の世代と一部のマニアだけのものなのだろうか。アニメというのは、"卒業"する類のジャンルなのだろうか。そしてアニメとは、"その程度"のものなのか。しかし例えば、ジブリのアニメは好きだった。最近のは観ていないが、他のアニメ作品を観なくなってからも、ジブリ作品は観ていた。ジブリ・ブランドを持ち上げたいわけではない。ただ、ジブリにはどこか志の違うものを感じていた。それはなんなのだろう?そう考えて、「ジブリ海外アニメコレクション」を中心に、古い時代のものも含まれた海外のアニメ作品のDVDを少しづつ借りて観ていた。すると、これが面白い。大人の(年寄りの)自分にも十分アピールする何かがある。その"何か"とは、アニメ本来の楽しさ、豊かさだ。

そういったわけで、アニメの原点ってなんなのだろう、という興味から、10数本の作品を視聴し、レビューを書いてみた。自分と同じように、かつてアニメが好きで、でも今興味を無くした人にこそ読んでもらいたかった。興味を持たれた作品があれば嬉しいです。

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20111221(Wed)

[]【海外アニメを観よう・その9】絢爛たる美術で描かれる異文化との融和『アズールとアズマール』 【海外アニメを観よう・その9】絢爛たる美術で描かれる異文化との融和『アズールとアズマール』を含むブックマーク 【海外アニメを観よう・その9】絢爛たる美術で描かれる異文化との融和『アズールとアズマール』のブックマークコメント

■アズールとアスマール (監督:ミッシェル・オスロ 2006年フランス映画)

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■美しい。あまりにも美しい。

幼い頃、アラビア人の乳母から聞いた子守歌を頼りに、ジンの妖精を探すため、遠く海を渡ったアズール。しかし、やっとたどりついた憧れの地は、“青い瞳は呪われている”とされる国だった!文化も人種も異なるその異国で、盲人のふりをして旅を続けるアズール。それは、瞳の色を隠すためだけでなく、受け入れられない異文化に対し、自ら心を閉ざした証でもあった。やがて、大好きな乳母ジェナヌと、兄弟のように育った乳母の子アスマールに再会。今や裕福な生活を送るアスマールと“呪われた青い瞳”を持つアズールは、対立し合いながら、それぞれジンの妖精を探しに旅立つ―。

素晴らしい。どのシーンも神々しいまでに美しい。場面が移り変わるたびに現れる情景の美しさに思わず目を奪われる。イスラム様式の建物、そしてその内装を無限に覆う幾何学的なアラベスク模様の精緻な美観。画面の構成もシンメトリーを多用した非常に様式性の高いもので、どの場面もあたかも絵画のように壮麗だ。いや、絵画というよりも最良の絵本を見せられているようだ。そしてその物語は力強く気高く、輝くような啓示に満ちている。

■二人の少年

ヨーロッパのある国で、アラブ人の乳母により育てられた白人少年アズールと乳母の息子であるアラブ人少年アズマール。二人は背格好のよく似た男の子で、肌の色の違いさえなければまるで双子のようだ。成長したアズールは乳母であったアズマールの母からかつて聞かされた妖精の伝説を確かめるために海を渡りアラブの地(北アフリカ・モロッコ近辺か?)へと渡る。しかしそこでアズールは白人であることで忌避され、アズールもまたアラブの文化を異様なものとして拒否し、盲のふりをして旅をすることになるのだ。自分たちとは違う者を忌避するアラブ人たちと自分の理解できない文化を拒絶する白人のアズール。

アズールとアズマールはこの地で再びまみえるが、アズマールは気持ちの合い通じた子供の頃の気安さをすっかり忘れ、かつてヨーロッパで白人から差別を受けたとしてアズールを拒絶する。この物語ではそういった"対立"と"分断"から、冒険を通して次第に歩み寄ってゆく二人を描くが、それは想像がつくように「東西の融和」というテーマを二人の中に具現化しようとしたからに他ならない。

肌の色が違う以外はあたかも鏡像のように似通った二人はお互いの勇気と気高さから再びお互いを敬いあう。肌の色が違う以外は同じ人間同士なのだから、お互いを、そしてお互いの文化を尊重することができればそこに融和が生まれるはずではないかというのがこの映画のテーマとなる。言ってしまえばそれは美しき理想主義であり、一つ間違えば綺麗事を並べた空疎な物語となってしまうが、そのテーマを絢爛たる美術と心躍るファンタジーの衣にくるむことにより、イデオロギッシュな臭みが実にマイルドに中和されているのだ。そしてそれを可能にしたのが、アニメーションという表現手法だったのだ。

■それは異国の言葉

この作品の最もユニークな部分は、アラブ人たちの話す台詞に一切字幕が出ないことだろう。そもそものオリジナル作品自体がそういった仕様になっているらしく、日本語吹き替え版でも白人たちの喋る言葉のみ日本語に吹き替えられており、アラビア語はそのままにされている(彼らが白人の言葉を喋る時は吹き替えられている)。当然、観ている者はアラビア語を理解していない限り彼らが何を喋っているのかはわからない。そして"相手の国の言葉が理解できない、何を話しているのかよくわからない"というこの作品独特のシチュエーションは、観る者に「自分が今異国の文化を持つものと相対している」という圧倒的な感覚を植えつける。

そしてこれは、「異文化同士の対峙」というこの作品のコンセプトを見事に体現した方法論であると思う。実の所、彼らの言葉はわからないが、画面を見ているならば何を話してるのかはなんとなく分かってくる。最初から分かっている、もしくは、分かるようになっているのが当たり前である、ではなく、分かろうと踏み込むからこそ分かってくる。それは「理解しよう、理解したい」という歩み寄りのありかたの一つだ。

アニメは人物を3DCGで、背景を止め絵で描いている。ポリゴン描写の人物は切り絵のような実にあっさりした造型で、スチール写真だけで見るとシンプル過ぎて魅力を感じないのだが、これが異様に描き込まれた背景画の中で動き回るととたんにその存在感を増す。「東西の融和」というテーマはあるけれども後半の妖精の地を目指す冒険とアクションは、ファンタジー物語の定番ともいえる魔法アイテムを駆使しながら展開し、おとぎ話の楽しさを童心に還って堪能できる。そしてこそばゆくなるほど幸福に満ちたラストは、観るものの頬を自然に緩めることだろう。映画『アズールとアスマール』は、今観ることの出来る最高のアニメーションの一本と言ってもいいかもしれない。

■アズールとアスマール 予告編

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アズールとアスマール [DVD]

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アズールとアスマール [Blu-ray]

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20111220(Tue)

[]最近聴いたCD / 冨田勲・Octave One・Pinch & Shackleton・Sepalcure・Martyn・Gold Panda・Deetron・Buraka Som Sistema・808State・Orbital 最近聴いたCD / 冨田勲・Octave One・Pinch & Shackleton・Sepalcure・Martyn・Gold Panda・Deetron・Buraka Som Sistema・808State・Orbitalを含むブックマーク 最近聴いたCD / 冨田勲・Octave One・Pinch & Shackleton・Sepalcure・Martyn・Gold Panda・Deetron・Buraka Som Sistema・808State・Orbitalのブックマークコメント

■惑星 ULTIMATE EDITION / 冨田勲

惑星(プラネッツ) Ultimate Edition

惑星(プラネッツ) Ultimate Edition

冨田勲「惑星ULTIMATE EDITION」は1976年発売された「惑星」を新たに作り直したものだ。10代の頃、ロックよりも先に富田シンセサイザーに心酔していた自分には感無量の出来だ。再構築された音は幾つか差し替えられておりアップトゥデートな「惑星」を聴くことができる。さらに富田オリジナルの新曲「イトカワとはやぶさ」が途中挿入されるが、これはあの惑星探査船はやぶさと糸川博士に捧げられた曲だ。富田は生前の糸川博士とも親交があったのらしい。しかしその糸川博士の生前のエピソードを初めて知ったのだが、、「日本の宇宙開発・ロケット開発の父」などと現在呼ばれている氏は、実はロケット実験がうまくいかず、失意の中で楽器の製作をはじめ、さらに60歳で貝塚バレエ団に入団し、富田の「惑星」バレエ版を踊ったのらしい。それにしても、スピーカーの前に鎮座して音楽を聴くのも久しぶりのことだ。あれからもう35年も経つのか。自分にとってテクノ好きのルーツは冨田であり、氏の電子音によるシンフォニーが自分にとっての音楽の基本だった。それがイーノとクラフトワークを経てテクノに辿り着いたのだ。 《試聴》

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■Revisited: Here, There, And Beyond / Octave One

Revisited: Here, There, And Beyond

Revisited: Here, There, And Beyond

デトロイト第2世代DJ、Octave Oneが自らのレーベル430WESTの20周年を記念してリリースしたRemix集。なんとRimixerはAril Brikha、Cari Lekebusch、Vince Watson、Luke Slater、Ken IshiiAlter Egoという凄まじいメンツで、これは買い買い買いだ!個人的にはSandwell District(Regis and Function)のRemixによる「I Believe」がキまくり! 《試聴》

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■Pinch & Shackleton / Pinch & Shackleton

PINCH & SHACKLETON

PINCH & SHACKLETON

ダブステップの人気者PinchとShackletonがタッグを組んで製作したドープなダブステップ音響世界CD。 《試聴》

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■Sepalcure / Sepalcure

SEPALCURE

SEPALCURE

ScubaのHOTFLUSHレーベルからリリースされたSepalcureの1st。MOUNT KIMBIEをさらにダンサンブルにしたようなリリカルなポスト・ダブステップ。 《試聴》

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■Ghost People / Martyn

Ghost People (BFCD025)

Ghost People (BFCD025)

オランダ出身D&B/ダブステップDJ、Martynのセカンド。 《試聴》

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■DJ Kicks / Gold Panda

DJ-Kicks: Gold Panda

DJ-Kicks: Gold Panda

K7!の人気MIXシリーズDJ Kicksの新しいのはダブステップで2ステップで時々テック・ハウスなDJ、Gold Panda。あとおまけとして様々なDJによるRemix-CDもついていてお得。 《試聴》

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■Balance 020 / Deetron

BALANCE 020

BALANCE 020

ちょいテックハウス寄りのDeetronによる2枚組Mix。これが意外と和みの出来で部屋聴きに適しております。 《試聴》

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■Komba / Buraka Som Sistema

Komba

Komba

アフリカ・アンゴラ生まれポルトガル経由の怪しいゲットー・ダンス・ミュージック「クドゥロ」をフィーチャーしたBuraka Som Sistemaの2nd。 《試聴》

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■808:88:98 / 808State

808:88:98

808:88:98

80年代・おマンチェ・セカンドサマーオブラブ・アシッドハウス・テクノバンド、808Stateの10年間の軌跡。懐かしい! 《試聴》

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Orbital 20 / Orbital

Orbital 20

Orbital 20

90年代・アシッドハウス・デジロック・テクノバンド、Orbitalの結成20周年を記念した2枚組ベスト。懐かしい! 《試聴》

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20111219(Mon)

[]『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』はシリーズ最高作かも 『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』はシリーズ最高作かもを含むブックマーク 『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』はシリーズ最高作かものブックマークコメント

ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル (監督:ブラッド・バード 2011年アメリカ映画)

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  • トム・クルーズ主演、『ミッション:インポッシブル』シリーズの最新作です。ちなみにIMAX劇場で鑑賞しました(IMAX素晴らしかったです)。
  • いやあこれは楽しかった!シリーズの中でもダントツの面白さでしたね。
  • これまでのシリーズでは『3』>『1』>>>>>>『2』という具合に好きでした。ただ『3』はJ・J・エイブラムスらしく派手だった割には内容を良く憶えていなかったりとか、『1』はとてもきっちり出来ていたけどブライアン・デ・パルマらしいチマチマ感が少々難だったりとか、あとジョン・ウーの『2』は2度と観る気のしないつまらなさだったりとか、"話題性があるからとりあえず観るけど『ダイハード』みたいに「このシリーズは大好き!」って言う程でもないシリーズ"ではあったんですよね。しかしその『ゴースト・プロトコル』はシリーズ全体のグレードを一気に上げましたね。
  • 物語はクレムリンにおける爆破テロの汚名を着せられた主人公とそのチームが、国家からのバックアップなしで爆破テロに絡む巨大なテロ計画を阻止しようと奮戦するもの。
  • プラハ、モスクワ、ドバイ、ムンバイ、バンクーバーなど世界各地を舞台にしたワールドワイドなロケーションが目を惹きますが、「世界を股にかけたスパイ・アクション」ということで、これは要するに007ということなんですね。
  • これまでの『ミッション:インポッシブル』シリーズはオリジナルのTVシリーズ『スパイ大作戦』を元にしているとはいえ、いわば「トム・クルーズの主演した007」だったんですよね。しかし今回の『ゴースト・プロトコル』はチーム・アクションを主軸にしたことからより『スパイ大作戦』らしい映画として仕上がっていたと思います。このチーム・アクションであったことが今までのシリーズの中でも抜きん出た作品になったことの要因のひとつだったのではないでしょうか。
  • 個人的にはなんといってもサイモン・ペッグの大活躍が嬉しかったですね。サイモンさん、実は前作にも出てたそうなんですがあんまり記憶になくて、この『ゴースト・プロトコル』に登場してきたときはちょっとびっくりしたぐらいなんですが(そのぐらい『3』って内容良く憶えていないんです)、この彼が映画でとてもいい味を出しているんですよ。
  • それはサイモンさんらしいコメディ風味なんですね。緊張感溢れるストーリー展開の中でサイモンさんのギャグがピリッといい味を効かせる事で、映画全体が締まってくれたんですよね。今回の『4』におけるサイモンさんの功績は大だと思います。
  • 一方、エージェント・ブランドの正体や主人公イーサンとの過去の因縁なんかはさらっと観てしまいました。自分は割りとウェットな展開はどうでもよいほうなんですよね。
  • そしてやはり主人公イーサンことトム君の活躍振りがいいですね。なんと言ってもこの映画の最大の見所である、ドバイにおける高層ビルの、スタントマン無しの空中アクションがとっても凄かった!
  • 逆に言えばこの後のムンバイを舞台にしたアクションが、良く練られたものとはいえドバイ・ステージの後ではかすんで見えてしまったのが残念といえば残念かも。
  • もうひとつ難を言えば今作の悪の首謀者、ヘンドリクスの造形がイマイチなんですよね。こいつの世界を破滅に導こうとする動機が単なるキ印のものでしかなく、そんなキ印になんで計画を遂行する潤沢な資金やサポート・チームが集結したのかということに説得力がない。
  • ただ、荒唐無稽といえば荒唐無稽な悪漢であり、新生007を含む昨今のスパイ・スリラーにありがちな、あまりにリアルな世界事情を背景にしたテロリストであるよりも、馬鹿馬鹿しさという点で、これはこれでアリだったのではないかと思います。
  • 荒唐無稽さという点では映画に登場する様々なスパイ・ガジェットも、結構馬鹿馬鹿しいものがあったりして楽しかった。
  • 演出も一捻りされていてよかったですね。病院脱出シーンや秘密指令電話機とか、クスリと笑わせるものがあるんですよね。
  • こういった点は『Mr.インクレディブル』や『レミーのおいしいレストラン』などのアニメを手掛けた監督のブラッド・バードの遊び心の表れかもしれません。オープニングなんかも楽しかったし、アクション・シーンの動きやコマ割りはブラッド・バード監督のアニメで培ってきた経験が生かされているのでしょうね。本当に面白い映画でした。

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Mission: Impossible - Ghost Protoco

Mission: Impossible - Ghost Protoco

chirigamichirigami 2011/12/19 12:49 本当に面白かったとしか言えない映画でしたね。そしてシリーズで最もスパイ大作戦をやってました。
今まで3が一番スパイ大作戦ぽいと思っていましたが、後から思えばトゥルー・ライズでしたし、デパルマの1も裏切り裏切られが複雑すぎて純粋にアクションを楽しめない部分がありました(2に至っては論外で…笑)
テンポのいいアクションの連続と間に挟まれるジョークが心地良く、ブラッド・バードらしい作品になっていてファンとして嬉しくなりました。
惜しむらくはブラッド・バードが起用された時にはすでにプロットが出来ていたという事で、脚本段階から関わっていれば悪役やトムを追う警官の造形ももっとひねりの効いた感じになっていたのではと思います。
噂では次回作からトムは前線から退いてブラントが主役になるという話ですが、自分としては限界までトムに頑張ってもらいたいなあ…。

globalheadglobalhead 2011/12/19 17:17 いかん、chirigamiさんのコメントのほうが自分の日記より的を得ている(笑)。こういうアクション主体で面白かった映画って「どこがどう面白くて」とかくだくだ書く気がしなくて、とりあえず「面白かった!」「楽しかった!」と連発してしまいますね。で、多少の粗があったとしても、せっかく楽しかったんだからそれをチマチマ穿り返すのってなんか損な気がしますよね。別に評論したくて映画観ているわけじゃなく、単にお金払った分楽しみたいだけですもん。そういった意味で面白かった以外に何を書くか困っちゃった映画ではありました(笑)。

chirigamichirigami 2011/12/19 23:52 恐縮です^^;
そうなんですよ、極端に言えばアクション映画の脚本なんてものはアクションとアクションのつなぎでしかなくて、後はもう面白いか面白くないかだけなんですよね。
細かい所を突っ込むのは野暮ってもんです。
とはいえブラッド・バードはこの作品にもA113ネタを仕込んだり細かい所でいろいろやってるみたいですが…。

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20111216(Fri)

[]駆け落ち/失踪 (5回連続・最終回) 駆け落ち/失踪 (5回連続・最終回)を含むブックマーク 駆け落ち/失踪 (5回連続・最終回)のブックマークコメント

友人Nが失踪してから10数年が過ぎた。その年の夏、オレは夏休みを利用して北海道の実家へ帰省していた。帰省した時はいつもお定まりのように自転車に乗り、田舎町の更に外れの、野原や、海辺や、牧場や、人の手がほとんど付いていない原野を走り回っていた。

帰省して3日目ぐらいのその日は、自然にも飽きて市街地を特にあてがあるわけでもなく自転車でクルクル廻っていた。高校を卒業してすぐ上京したものだから、オレの田舎での思い出は高校止まりである。あの頃通っていた学校や、通学路や、行き帰りに使っていたバス停や、寄り道していた喫茶店や映画館の近くを通ると、懐かしさで胸の奥がちりちりと疼くのを覚えた。オレは随分と若い内から感傷的な人間だった。そのときも、自転車を漕ぐスピードで後ろへと通り過ぎてゆくそんな風景を眺めながら、学生だった時の友人達の顔や、その友人達と日夜繰り広げられた馬鹿騒ぎや、決して成就しなかった密やかな片思いの思い出などが、オレの頭の中で現れては消えていった。そして、自転車は、いつの間にか、友人Nの実家へと向かっていた。

学生時代は学校の近くにあったNの家に上がりこんでは二人で遅い時間まで馬鹿話に講じていた。オレもNも映画や小説、漫画や音楽が大好きで、おまけにとても趣味が合ったもんだから、話題にはいつも事欠かなかった。そして現実味の無い夢を語りあったり、10代の頃にありがちなウジウジとした悩みを披露しあったりしていた。Nの片思いが絶望的になったときも、オレがこっぴどく振られたときも、お互いの愚痴を聞きあっていた。飯どきにはご飯までよばれていた。オレはあの頃から図々しい男だったのらしい。ただお陰でNだけではなくNの家族の方々ともとてもオープンな付き合いだった。特にNのお母さんは話好きなとても料理の上手い方で、オレはいつも世話になりっぱなしだった。

Nの弟Yともオレは仲が良かった。オレとNと弟Yで遊ぶ事もよくあった。Nの家族は皆落ち着いて穏やかな顔をした人ばかりだった。オレはNの家にいると妙に安らいだ気持ちになった。母子家庭だったせいか子供の頃からあまり見たくもないものを見ながら育ったオレにとって、Nの家はある意味理想のような家族だった。だが、そんなふうに交流のあったNの家族とは、Nの失踪後、何か居心地の悪い思いと罪悪感が心の中にあって疎遠になっていた。実は帰省する度、Nの家の近所まで行っては、ドアを叩く事もできずに帰ってきてばかりいたのだ。そうして何年も逡巡しながら、この日、オレは意を決して、Nの家を訪ねる事にした。

出迎えてくれたのは、あの懐かしいNのお母さんだった。Nのお母さんは驚きながらもすぐ昔のあの柔らかな笑顔を浮かべ、オレを家に招き入れてくれた。ちょっとだけ緊張していたオレも、十数年の空白などなかったように、すぐに寛いだ気分になった。Nの家は何も変わっていなかった。Nがいないという事を除けば。オレはこの日、訪ねたこの家に、ひょっとしてあのNがいて、昔と変わらず照れくさそうな顔をして現れ、「あんときは悪かったなあ」なんて言いながら、このオレを迎えてくれるんじゃないのか、そしてまた昔みたいに、あいつと馬鹿話の一つでも出来るんじゃないのか、そんな、あまりに出来のいい、夢みたいな期待が、ほんの少しも無かったと言えば嘘になるだろう。だがそこには当然のことのように、Nは居はしなかった。

型通りの近況報告をしあった後、Nのお母さんは、オレが訪ねてきた一番の理由である、Nのその後の行方について話して聞かせてくれた。

「本当にあれ以来、ずっと行方が判らなかったの。ちゃんと生きて生活していてくれればいい、と思っていたけれど、何にも手掛かりが無くて、ちょっと諦めかけていたぐらい。でもね。ついこの間なんだけれど、ひょんなことから息子の居場所が分かったのよ」詳しい理由は今ははっきりとは覚えていないのだが、その前の年、Nが国民年金か健康保険に再加入したかなにかし、それが両親の元に通知されたのが、彼の居場所の分かった理由らしい。「それで、電話してみたのよ。そうしたら、息子、いつのまにか結婚していたようなんだけど、自分の苗字を奥さんの苗字に変えてしまっていたみたいなの。それもあって今まで見つけることが出来なかったんじゃないかしらねえ。」

相手の奥さんは離婚経験のある子連れの女性だという話だ。Nは結婚して子供の苗字が変わるのが可哀想だから、それで自分の苗字を変えたんだと言っていたのだという。苗字を変えた理由は本当はそうじゃないのかもしれないが、彼がそう言っているのなら、それを信じてあげればそれでいいのかもしれない。Nは東京を離れ他県に住み、塗装業を営んでいるという。そしてNの発見と前後して関東にNの親族の方の慶事があり、いい機会だから、とNの両親はNを呼び寄せ、関東のどこかで親戚共々集まり、そこでやっと再会を果たせたのだという。そしてこれがそのときの写真、と、Nのお母さんは、10数年ぶりに会った彼女の息子の写真をオレに見せた。

オレはNの写真を見て絶句した。Nの人相はまるで変わっていた。頬は削ぎ取ったかのようにこけ、両の眉は力無く垂れ下がり、そしてその下の瞳は光が無く、古井戸の底のように暗い虚無の色をした2つの点が、ぼんやりとカメラのレンズの方向の、そのまた彼方にある何かを見ていた。それは、オレの知っているNの顔とは、似通ってはいるが、それでも違う何者かの顔だった。そしてそれは、生きていて、いろんなものを、無くすか奪われ続けてきた老人の顔だった。10数年で、人の顔は、ここまで変わってしまえるものなのか。この変わり果てた人相こそが、Nの選んだ人生の結果なのか。両親や兄弟や友人や知人や、自分のそれまで属していた全ての生活と社会を捨て、誰にも知られない場所へと逃走し身を隠し続けたその10数年に、Nの心の中からいったいどれだけのものが消え去り無くなっていったのか想像するのは辛かった。だがオレは目の前の彼のお母さんにそんなことを言う事は出来ず、ただ無言でNの写真を返した。

住所を聞いたはずだったが、Nとは結局その後も連絡を取ることは無かった。あれから何度か実家には帰ったけれども、Nの家に行く事もその後無くなってしまった。夏、または冬、実家には思い出した頃に帰っていたけれど、そのたび覚えていた風景はどんどんと変わって行き、または消え去り、年々と自分の知らない土地になっていった。もはや感傷だの郷愁だのに耽られる様な風景も思い出も無く、知人も友人もいなくなってしまったその土地に、オレは帰ることさえ止めてしまった。しかしなにしろもう、全ては遠い昔の話である。

(了)




付記:このエントリ『駆け落ち/失踪』は自分の実体験を元に5年前日記の原稿として書いたものだ。多少綺麗に書いた部分はあったとしても、会話の内容も含め脚色はしていない。ただ、若干重い内容だった為、なかなか発表する機会のないまま今まで「下書き」フォルダの中にお蔵入りとなっていた。この度やっと日の目を見たわけだが、1話目からちょっとした反響があって驚いていた。こういう長編のエントリは2度と書くことは無いだろうが、書いていた際には結構苦労したのでその甲斐があったかもしれない。全5回ということで相当な文章量となってしまったが、最後まで全部読んで下さった皆さん、どうもありがとうございました。


今でも友人Nのことは記憶にふっと上がってくる。街を歩いていて、Nと似た人が歩いていると、思わず振り向いてしまうこともよくある。あれから20数年も経ったのに、Nとのこの事件は、自分にとって、なにか、ある種の呪縛のように、自分の心に刻印され続けている。今も関東のどこかの空の下で、Nとその家族が、幸福に生きていることを願って止まない。

20111215(Thu)

[]駆け落ち/失踪 (5回連続・第4回) 駆け落ち/失踪 (5回連続・第4回)を含むブックマーク 駆け落ち/失踪 (5回連続・第4回)のブックマークコメント

オレはもうNのことが分からなくなっていた。Nは例によって「部屋を探す」「仕事を探す」などと言っていたけれども、最初の一週間の、あのまるで手応えの無いやりとりに、オレはNを信用する気をすっかり失ってしまっていた。Nも多分、もうどうしていいのか、分からなくなっていたのだろう。彼はただひたすら、自分の現実を見る必要の無い逃げ場を探して、あてども無く右往左往し続けていただけなのだろう。逃げて逃げ続けていれば、ひょっとしたら、自分と自分の愛する彼女とが幸せに暮らせる、夢のような場所に辿り着けるのかもしれない、彼は本当にそんなふうに思っていたのだろうか。それとも、なにもかもが駄目になってしまうことを確信しながら、それでも、それを先延ばしにするためだけに、ひと時でも長く彼女と居ることのできる時間を得るためだけに、自分を騙し続けて破滅へとひた走っていたのだろうか。

オレが遂に我慢しきれなくなったのは彼らが再び部屋にやってきて3日目のことだった。その日は土曜だったか日曜だったかでオレの仕事が休みであり、いつもよりオレたちは遅い時間に起き出していた。3人でコーヒーでも飲もうかという段になり、Nが一丁前な旦那様気取りでフィリピン娘に「コーヒー淹れてよ」などと命令していたあたりからオレの苛立ちはふつふつとたぎり始めていた。そしてガールフレンドの淹れたコーヒーを弛緩した顔をしながら美味そうにズルズルと啜り、合間にブハァブハァと吐息を漏らしては呆けている姿にオレは我慢ならなくなってきていた。こいつは一体何様なんだ?いったいどうしたらこんな状況で、こんなに暢気な態度を取ることができるんだ?

「もういい加減にしろ」まだ中身の入ったコーヒーカップを床に叩き付けオレはNに怒鳴った。「いったいいつまでここにいるつもりだ?ずっとか?ずっとなのか?ずっとこうしているつもりなのか?だけどオレはもう願い下げだ。お前が出ていかないのならこのオレが出て行く」オレはNにそう吐き捨てるとバタバタと洋服を着始めた。オレの怒号に凍りついていたNはもう自分に居場所が無いことをやっと悟ったようだった。そして蒼褪めた顔でフィリピン娘を促すと、無言のまま身の回りのものを鞄に詰め始めた。しかし部屋を出るのはオレのほうが早かった。部屋を出る時オレの目にちらりと入った、荷造りをするNの姿は、どこまでも惨めそうに見えた。そしてそれが、Nの姿を見る最後となった。

街をぶらつきながらイラついた気分を沈め、夕方自分のアパートに帰ると、既にNとフィリピン娘は姿を消していた。部屋には彼らが新たに買い足した鍋や食器がそのまま残されていた。オレのトレーナーが一着無くなっていたが、多分間違えて持っていってしまったのだろう。オレは自分の部屋の真ん中で、なにか砂でも噛んでいるかのような、遣り切れない気持ちを抱えたまま、一人立ちつくしていた。書置きは無かった。

Nがオレのアパートから消えて1年以上経った頃、オレはようやく、Nの弟Yに、Nの消息を聞くために電話をかけた。それまで気になっていなかったわけではない。ただ、Nとのこの一連の出来事が、自分にとって、あまり触れたくない出来事だった為に、できるだけ忘れた振りをし続けていたかったのだ。

Nがその後どうなったのか。オレの部屋を出たNとフィリピン娘は、やはり弟Yのアパートを訪ねたのだという。そしてそこでやっと諭され、Nはフィリピン娘と別れることを承諾する。不法滞在者のフィリピン娘は母国に強制送還されることとなったが、出国まで、彼女のような立場の人間が収容される施設に1週間ほど拘束されていたのだと言う。送還の日まで、Nは施設の彼女の元へあしげく通い続けたが、「荷物を盗まれた」「あなたがいなくて寂しい」と漏らす彼女に、Nはとても心を痛めていたのらしい。

そして送還の期日がやってきて、Nとフィリピン娘は別れる事となる。その後Nは東京のどこかの街のアパートをあてがわれ、親戚の計らいで新しい職に就くが、いつも心ここに在らずと言った風情で、結局は長くは続かず、それからも職を転々としていたのだと言う。その頃のNは、誰が見ても、魂の抜け殻のようだったという話だ。その最中にもフィリピン娘への未練は捨てきれず、フィリピンへ度々送金していたらしいことが後に分かった。そのうちNは両親の知らぬ間に住んでいたアパートも引き払い、行方知れずとなる。一度、関東のどこかのキャッシュ・ディスペンサーから、いくばくかの金を引き出した記録が両親の元に届き、それがNの最後の足跡となった。Nは、今度こそ、本当に、失踪したのである。

(続く)

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20111214(Wed)

[]駆け落ち/失踪 (5回連続・第3回) 駆け落ち/失踪 (5回連続・第3回)を含むブックマーク 駆け落ち/失踪 (5回連続・第3回)のブックマークコメント

ドアの前に立っていたのは友人Nの弟だった。彼もまた実家から上京してきており、大学卒業後一人暮らしをしながら勤めに出ていた。「兄貴いますか?」とNの弟。返事をしようとしたオレの肩越しに弟が来たことを知ったNが顔を出し、「やあ、Y。」と彼の弟の名前を読んだ。その時だった、兄の姿を認めた弟Yは、「兄貴!お前こんな所で何やってるんだよお!」と突然怒鳴り声を上げ、いきなりオレの後ろのNに掴みかかって行ったのである。

「お前よお!親父やお袋や会社の人間がどれだけ心配してたのか判ってるのかよ!いきなり寮からいなくなって音沙汰無しで、失踪届けが出てたんだからな!」Nを床に押し倒し馬乗りになって弟Yが喚いた。「そうしたらこんなところで虫けらみたいな女と隠れてたのかよ!」オレは慌てて二人を引き離しに入った。「気持ちはわかるが止めてくれ。ここはオレの部屋だ。」いまだ肩で息をしている弟Yをなだめ、うな垂れているNと共に床に座らせた。

「フモさんごめん。でも行方が判らないから死んでるのかとさえ思ってたんだよ。本当に皆心配してたんだ。」と弟Y。それはオレにも責任はあった。Nに家族には連絡しないでくれと言われ、こんな大事になるとは想像すらせす、Nの言う通りにしていたのだ。ただ理由はどうあれ、弟Yがフィリピン女性をフィリピン人で水商売をやっていたと言うだけで「虫けら」呼ばわりしたのは悲しかった。

「いくら兄の友人とはいえフモさんの部屋に何時までも兄を厄介にさせておくわけにはいかない。取り合えず家族や会社には安否を知らせ、兄は自分のアパートに来て貰う。女のことは面倒見切れない。」と弟Y。「…嫌だよ、彼女とは別れられないよ。」と弱弱しく呟くN。「彼女は可哀想な立場の女性なんだ。彼女だって行き場所が無いんだよ。」食い下がる兄Nに弟Yは暫く考え込み、あまり乗り気で無さそうに「じゃあしょうがないから女もアパートに来て貰う。そして今後どうするのか家族として話し合う。」と言った。オレが引き止める理由は何も無かった。

それで話は決まったらしく、Nとフィリピン女性は身の回りのものを持ってきていた鞄に詰めると、弟Yと共に慌しくオレの部屋から退出した。「悪かったな。今までありがとう。」オレに礼をするNと、無言で会釈するフィリピン女性。そして三人は去った。しかしやっと部屋で一人になり、安心するのかと思えたのに、一週間分のあの二人の気配と、今日あったドタバタの、澱のように澱んだ怒気がいまだに部屋の中に漂っていて、奇妙にザワザワと気分が粟立ち、どうにも落ち着く事ができなかった。

でもそんな気分も二、三日もすれば収まる。オレはどうにも拍子抜けしたまま、それでもいつもの日常に少しづつ戻りつつあった。しかし、話はこれで終わらなかったのである。

彼らが去ってから数日後。オレの部屋を訪ねる人が。そして。ドアを開けると、またNとフィリピン女性の二人が立っていたのである。物凄く嫌な予感がちりちりと頭の隅で燻ぶっているのを感じながら、オレはNにどうしたのか尋ねた。「フモ、すまん、やっぱり弟のアパートは居辛くて…。また二、三日泊めてくれないかな…。」

訊くと彼の弟Yのフィリピン女性に対する扱いが酷いのだという。相当に嫌っているらしいのだ。「それで彼女が可哀想になっちゃって、また出てきちゃったんだ。」さすがのオレも既に呆れていた。結局何も何一つも解決しないまま振り出しに戻し、全く同じことを繰り返そうとしているのだ。友人の頭の中にあることはただ一つ、彼女と一緒にいることだけである。しかし一緒にいる為の現実的な方法とか策とかを見つけるわけでも探すわけでもなく、ただただ自分の妄執の虜になっているだけではないか。オレは何も言う事ができず、だからと言って彼をどうすればいいのか思いつかなかった。しかし惨めそうにうな垂れる彼を追い返すことも出来ず、例によって追い帰されても行き場所が無い、と言う彼らをまた泊める事にしたのである。

(続く)

CUSCUSCUSCUS 2011/12/14 19:40 通りすがりの勝手な感想を言いますとすごくおもしろいです。これを経験された方にとってはとてもそんなもんじゃないと思いますが。次が待ち遠しいです。

globalheadglobalhead 2011/12/14 22:45 「あったこと」を文章で表した段階で、それは「読み物」になるということは承知していますので、楽しんでもらって大いに結構ですし、書いた自分としても嬉しいです。
続きに期待してください。

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20111213(Tue)

[]駆け落ち/失踪 (5回連続・第2回) 駆け落ち/失踪 (5回連続・第2回)を含むブックマーク 駆け落ち/失踪 (5回連続・第2回)のブックマークコメント

フィリピン娘と駆け落ちしてきた友人とオレとの奇妙な生活が始まった。オレはその頃バイトをして糊口をしのいでいたのだけれど、朝バイトに出て残業して夜遅く帰ってきて、陽の落ちた暗い空の下を家路につくと、目の前に近づいてくるオレのアパートの窓には灯りが点いている、それがもう変な感じだった。そしてアパートのオレの部屋のドアを開けると、友人とそのガールフレンドが夕飯を作って待っているのだ。

フィリピン娘の作る料理はフィリピン風魚料理だった。季節は冬だったから、部屋の中は既に暖房が入り、部屋には夕飯の湯気が立ち上っている。望んで招いたわけではないが部屋には人が待っている。バイトから帰ってきたオレを待ち構えていた二人は、オレの顔を見て「おかえりなさい」と告げる。上京してずっと一人暮らしをしていたオレには、そんな事全てが奇異だった。奇異であり、こそばゆくもあり、そして大いに居心地が悪かった。一人暮らしの孤独な生活が長かったオレは、それに和んでいたのかもしれない。迎え入れてくれる人がいるという感覚が心地よかったのかもしれない。ただそれは、口にこそ出さなかったけれど、容易に受け入れるべきではない感情のように思えた。でもそんな風に、何日かが過ぎていった。

二日も寝泊りすると落ち着いてきたのか、友人の表情からは緊張感が失せ、逆に弛緩した様な笑みまで浮かべていた。それはそうだろう、オレがバイト先から帰ってくるまでは好きな女と殆ど一日二人だけの世界だ。友人にとってはあたかも蜜月にも似た幸福な日々だったに違いない。彼が逃走してきた現実に目を向けさえしなければ。後から考えると、友人はフィリピン人女性と駆け落ちしたくて逃げ出したんじゃなく、彼自身の索漠とした現実から逃げ出すきっかけとなったのが、たまたま今回のフィリピン人女性だっただけなのだろう。

ただ、現実から逃走していたと言うのなら当時の自分も一緒だった。オレは上京後半年で通っていた学校を辞め、田舎に帰ることも無く目的も目標も無いまま未来の無い無為な生活を続けていた。オレが友人に”現実”だの”常識”だのを押し付けられなかったのは、オレのそういった負い目もあったからだった。だが、二日が経ち三日が経ってくると、今度はオレの神経が参ってき始めていた。

フィリピン女性に含む所は何も無かった。彼女の国籍にも職業にも、生い立ちにも性格にも興味は無かった。片言の日本語しか通じない相手に細かなコミニューケーションなど、はなから放棄していた。もとよりコミニュケーションをしなければならない積極的な理由も思いつかなかった。彼女はオレの部屋に何かの間違いでいる羽目になってしまった見知らぬ人でしかなかったからだ。ただ、二十歳そこそこの、女の事もろくに知らぬ、自意識だけは人一倍過剰な奥手のオタク野郎だったオレにとって、自分の部屋に素性のよく判らない若い女性が座っており、おまつさえ夜になると自分から数メートル先の暗がりで寝息を立てているのだということを意識するのは、おそろしい緊張を強いられる事だった。

部屋はいつも綺麗に掃除されていたが、知らない間にいろんなものの置き場所が変わっていたり、新たに買い足されていたりした。自分の部屋のようでいて自分の部屋でないような妙な感覚があった。そうして3日か4日経ち、オレは再び友人にこれからどうしたいのか問いただす事にした。「部屋は探したのか?」「…いいや、まだ。」「務め先は探したのか?」「…いいや、それもまだ。」「なあ、オレは一週間と約束したんだから、それまでにどうにかしてくれきゃ困るよ。」「うん、判ってるよ…。」何日かそんな手応えの無い会話が繰り返された。オレは友人の最初の約束を信用していたのだけれど、当の彼自身はすっかりと現実の向こう側へ逃避したまま、帰ってくるつもりが無さそうだった。オレの苛立ちは段々とピークに達しつつあった。そんなある日、オレの部屋を訪ねてきた人間がいた。友人Nの弟であった。

(続く)

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20111212(Mon)

[]駆け落ち/失踪 (5回連続・第1回) 駆け落ち/失踪 (5回連続・第1回)を含むブックマーク 駆け落ち/失踪 (5回連続・第1回)のブックマークコメント

これはオレがまだ20代半ば、北海道の田舎から東京に上京して数年ほど経った頃の話だ。

12月の終わり頃だった。夜半オレのアパートに訪ねてきたやつがいたのだ。ドアを開けると友人のNが立っていた。そしてその後ろにはどう見ても日本人じゃない女性が一人。「やあフモ。」厭に明るい表情が気になった。後ろの女性の存在をいぶかしく思っていたオレに彼は一言、「今晩泊めてくれないか?」といきなり切り出す。「はあ?泊めるって…その女の人は?」訳が判らず聞き返すオレ。「ああ、俺のガールフレンドだ!いや、いろいろ訳があってさ。」取り合えず二人を部屋に上げたが、状況がもはや尋常ではない。安普請の狭いアパートの部屋に三人で腰を下ろすが、オレは見知らぬ女性の存在が気になって仕方が無い。「なんなんだよいったい。」女性をちらちら見ながら問いただすオレに友人Nはその事情というのを話し始める。「彼女、ナンシーっていうんだ。」促され、会釈する女性。「実は俺、逃げてきたんだよ。」

まとめるとこんな話だ。彼女ナンシーはフィリピンパブのホステスだった。友人Nはそのフィリピンパブで彼女を見初め、足げく通い詰めていた。ある日Nはナンシーに、彼女がこんな店で務めている事情を訊いたのらしい。話によるとフィリピンには偽造旅券を発券して簡単に日本に出稼ぎに行かせてくれる業者がいたらしく、彼女はそれを頼って日本に来た。そしてお決まりのように水商売につかされ、裏業者の日本の親玉の情婦となった。当然ヤクザである。彼女はそれが厭で厭でたまらなかった。そしてそれを聞いた友人Nは、彼女を不憫に思い、思い余って二人で駆け落ちする事にしたのだという。しかし駆け落ちするにも、Nは彼の勤める建築会社の共同アパートに住み込みで住んでおり、そのアパートに彼女を連れ込むわけにも行かない。それで彼はアパートを抜け出すと、東京に住む彼の弟から借りた車に彼女と乗り込み、一週間行くあても無く車の中で二人で寝泊りしていたのらしい。だがそんな生活は当然きつい。それで、同じ東京に住むオレを頼って、今日やってきたのだと言う話だ。

Nはオレと一緒に北海道から上京してきた男で、地元にいた頃もかなり仲良く付き合っていた。言ってみれば無二の親友ぐらいの付き合いだった。だが、幾ら仲がよくても、この状況はかなり異常だ。
「逃げてきたって言ったって、これからどうするんだよ。」とオレ。
「ううん…。仕事見つけてどこかにアパート借りて、二人で一緒に住もうと思ってるんだ。」
「…。」
「それまで住まわせてくれよ。」
「…。」
今から考えると、どうしたって断るべきだったのだ。そんな行き当たりばったりな行動が正しい訳がない。そして逃げてきたと言う事は、会社にも家族にも言っていないという事だろう。当然誰もが心配するはずだ。しかし彼はそんな事など考えてもいないようだった。自分の極端な行動に頭が麻痺していたんだろう。そしてそれはオレも同じで、行く当てがない、という彼等の状況に気圧される形で宿泊を許してしまったのだ。
「一週間でどうにかしろ。それ以上はダメだ。」
「ありがとう。」
「…。」
しかし泊まるとは言っても、オレのアパートはたったの一間、友人のガールフレンドだかなんだか知らないが、見知らぬ女の子がこれから暫くオレの近くで眠る事になるのだ。もとより女っ毛のない生活を続けていたオレには有り得なさ過ぎる状況だ。
「あのなNよ。」
「うん。」
「少なくともオレが眠っている時には横でエッチなんかすんなよな。」
「…判った。」
まあ、本当の問題はそこではないはずなんだが。

そういう訳で、オレと友人と、友人のガールフレンドの外国人女性との奇妙な共同生活が始まる事になったのである。

(続く)

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20111209(Fri)

[]それでも僕らは生きることも愛することも止めることはできない〜コミック『皺 shiwa』 それでも僕らは生きることも愛することも止めることはできない〜コミック『皺 shiwa』を含むブックマーク それでも僕らは生きることも愛することも止めることはできない〜コミック『皺 shiwa』のブックマークコメント

■皺 shiwa / パコ・ロカ

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I.

人の生は不条理に満ちている。生きている為には食べ続けなければならない。そしてどんなに食べようと食ったものは排泄され、また腹は減る。そしてその為に多くの人は望もうが望むまいが働かなければならない。そして人は子供を残す必要を感じようが感じまいが、性欲と言うものに振り回され、時としてそのせいで不幸や悲しみに堕ちる事がある。実はこれら全てこそが「生きている」ということであり、その中から幸福は生まれるのだろうけれども、そういった「肉体性」が煩わしく感じることもまた多いのだ。それは人間は「肉体性」だけで生きているわけではなく、「観念」を兼ね備えた生き物だからだ。食って寝て排泄して、ある意味動物のようにそれだけで生きられたらそれはそれで幸福なのかもしれないが、人としての、人であることの「観念」はそれだけであることを善しとしないのだ。こうして「肉体性」と「観念」が乖離するからこそ、人の人生は不条理なものになる。

なにより「死」が不条理だ。そもそも、生き物は、死ぬものだ。だから人の死もまた、生物として、種としての新陳代謝なのだ、ということは頭では分かるが、しかしだからと言って、決して死を手放しで受け入れられるものではない。もちろん、どんな人間であろうと、生まれた時から「死」は運命付けられている。「死」を逃れられるものはいない。しかしそれと同時に、「自分の死」を体験できる者もいない。体験できたときには既に死んでいるのだから。だから実は、「自分の死」は抽象的な出来事としてしか捉えることが出来ない。にも関わらず、自分がいつか必ず死ぬことだけは分かっている。ここでも「肉体性」と「観念」とが乖離を起こす。だから「死」は、不条理なのだ。

それと同時に、「老いる」こともまた不条理だ。どんなに肉体を鍛錬しようと、どんなに知識を蓄え知力を研ぎ澄まそうと、歳を取る毎にそれは段々と衰えていってしまう。個人差はあろうとも、ある峠を越えると、体力も知力も、坂を下ってゆくように落ちていってしまう。衰えを食い止める為にあれこれやることは出来るだろう。それが無駄なことだとは決して言わない。しかしそれでも若かった頃のピーク時と同じレベルまで戻ることは無い。生物の細胞は老化する。それはそのように機能付けられているからだ。老いることは生物としての宿命だ。そこには努力だの鍛錬などではどうしようもない限界がある。どんな努力も鍛錬もいつかは失われてしまう。にもかかわらず人間には、肉体と精神が思うがままに操れた時代の記憶があり、その落差を、やはり不条理だと思うだろう。

II.

自分は今年で49歳になる。来年はもう50、つまりは半世紀と言うことだ。この年代は壮年期と表現されるのだろうが、自分としては、もうすっかり若くは無い年代だとしか思えない。老年と言うほどではないけれど、「自分も歳を取ったな」と如実に感じられる年代なのだ。もともと体力は無いほうだけれど、体のあちこちには次第にガタがきはじめているのは分かるし、若かった頃よりも記憶力や精神的な反発力、即ち知力が次第に衰えてきていることを感じるのだ。病気で体が言うことが利かなくなったり、日常生活に支障をきたすのは怖い。しかしそれと同等か、ある意味それ以上に、自分の頭が使い物にならなくなってくるのが怖い。例えば運よく80歳まで生きられたとして、自分の寿命はあと30年。しかしその30年の間に、自分の頭がすっかり呆けてしまって、自分が誰かさえ分からなくなってしまうようなら、その、あと30年の寿命さえ意味が無くなってしまう。自分が誰かさえ分からなくなってしまった時、その時が人の本当の寿命なのではないのかとすら思う。それはあと何年後のことなのだろうか。

スペインのコミック・アーチスト、パコ・ロカの作品『皺 shiwa』は、ある男が老人ホームに入るところから始まる。既に認知症の兆候が出始めていた彼は、老人ホームで自分と同じく呆け始めている様々な老人たちと出会う。相手の言葉を鸚鵡返しで言うことしかできない老人。自分がオリエント急行の旅をしていると思い込んでいる老人。いつも家族に電話しなければ、と気にしている老人。一人ぼっちになると火星人にさらわれると思い込んでいる老人。その中で、今だ気持ちの頑健なある男と友人になった主人公は、彼の忠告で本当の"呆け"になることを回避するために様々なことを試すが、しかし、アルツハイマーの病は既に彼を蝕み始めていた。

III.

次第に自分が自分でなくなってゆく。自分で自分のことが出来なくなってゆく。自分が誰で、自分が何をしているのかが分からなくなってゆく。友人の顔も、家族の顔も、伴侶の顔も、みんなみんな、忘れ去ってゆく。そして仕舞いに、動くことも出来ず、考えることも出来なくなくなり、ただ、座って息をしているだけの、ただ生きているだけの、肉の塊になってゆく。そこでは、既に、"自分"であることすら消滅している。

パコ・ロカの『皺 shiwa』は、親しみやすい描線と暖かい色彩で、認知症に罹った老人たちと、一人の老人の、アルツハイマー発症までを描いてゆく。その物語には、希望は無い。しかし、この物語は、ただ、希望の無さのみを描いたものではない。自分がこの物語を読んで、最も感じたのは、その切なさだった。

どれだけ健やかに生きようと、人々に愛されようと、世間に何がしかの功を成そうと、どれだけ世界中の知識を集めようと、どれだけ財産を持とうと、人は必ず老い、そして死んでゆく。どんな人間であろうとそれは避けられない。そしてその中の、あるパーセンテージの人々は、認知症を発症する。自分が自分で無くなり、自分が誰なのかが分からなくなってゆく。それはなんと不条理なことなのだろう。生とは、なんと不条理なものなのだろう。しかしそれを知りながらも、人は、生きることを、前向きに生きてゆくことを止めることはできない。より良く生き、より良く人を愛することを止めることはできない。なぜならいかに不条理であろうと、それが、「生きる」ことだからだ。いつか老いさらばえ、自分が誰なのか分からなくなる日が来ようとも、自分はまた明日を健やかに生き、そしてあなたを愛するだろう。それをきっと止めないだろう。そうしてゆくことだけが、生きる喜びを確かめるられることなのだから。

息子夫婦に連れられ、老人ホームに入ることになった元銀行員のエミリオ。そこでは、たくさんの老人たちがそれぞれの「老い」を生きていた。やがて彼らは「アルツハイマー」という残酷な現実と向き合うことになり……。大切な人の顔も、思い出さえも、なにもかもが失われていくなかで、人生最後の日々に人は何を思うのか――。

まさに一本一本刻まれた「しわ」のように、さりげない描写を静かに積み重ね、2007年にフランスで刊行されるや話題となった表題作『皺』の他、スペイン内戦を背景に灯台守の老人と青年兵士の交流を描いた短編『灯台』を収録。

皺 (ShoPro Books)

皺 (ShoPro Books)

REDEpimorphaREDEpimorpha 2011/12/09 13:56 こんにちは、とうとうコメント書こうと思いました。
管理人さんはほんとに色々なジャンルの本読まれてますね。
自分は本屋に行くと危ない橋渡るのがイヤで、凄く買うのに
迷って熟考してしまうんですけど、ここのブログ読んでると
色々参考になります。映画批評も役立ってます。ありがとうございます。

globalheadglobalhead 2011/12/09 20:54 コメントありがとうございます。でもたいした量の本読んでないんですよ。コミック以外だと月2,3冊って所ですかね。本読むのメチャクチャ遅いんですよ。
ただ、面白そうだな、と思った本は躊躇無く買う事にしています。そして積読本が山になり大変なことになっています。
それにしてもリンクのHP、なんか物凄いですね。ボチボチ読んでみます。

jkjk 2011/12/11 17:04 以前ツイットしたようなかすかな記憶もありますが、ウチの亡くなった婆さんは『ボケってのは死に怯える年寄りが安らかに余生を過ごすためのカミサマからのプレゼント』って言ってましたn。

globalheadglobalhead 2011/12/12 07:09 なるほど、お年寄りの知恵は深みがありますね。あとは周りに迷惑さえかからなければいいんですが。

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20111208(Thu)

[]最近読んだ本などなど 最近読んだ本などなどを含むブックマーク 最近読んだ本などなどのブックマークコメント

■チリの地震―クライスト短篇集 / ハインリヒ・フォン・クライスト

17世紀、チリの大地震が引き裂かれたまま死にゆこうとしていた若い男女の運命を変えた。息をつかせぬ衝撃的な名作集。カフカが愛しドゥルーズが影響をうけた夭折の作家、復活。佐々木中氏、推薦。

著者であるハインリヒ・フォン・クライストは18世紀から19世紀にかけてドイツで活躍した作家・ジャーナリストである。彼はおそろしく不遇な人生を送ったらしく、その作品が評価されるようになったのは没後からであったという。この『チリの地震―クライスト短篇集』には「チリの地震」「聖ドミンゴ島の婚約」「ロカルノの女乞食」「拾い子」「聖ツェツィーリエあるいは音楽の魔力」「決闘」の6編の短篇小説と「話をしながらだんだんに考えを仕上げてゆくこと」「マリオネット芝居について」の2編のエッセイが収められている。

ここに収められたクライスト作品の特徴は苛烈で残酷な運命の中を生きる人々とそれを描く硬質で屹立した文章だろう。クライストの小説から感じるのは近世ヨーロッパの陰鬱さと寒々しさだ。18世紀後半の一般にはそれほど名の知られていないドイツ作家とはいえ、描かれる作品世界は今読んでも十二分に興奮と緊張感に満ち、読んでいて少しも古臭さも退屈さも感じなかったばかりか、他の作品も読んでみたくなるほど面白かった。

それではざっと作品の紹介を。「チリの地震」は不貞により死罪を言い渡された男女が大地震により監獄を脱出、しかしその後二人を待つ残酷な運命を描く。この物語で繰り広げられる苛烈さはあたかも中世の銅版画を見せられているような陰惨さに満ちている。「聖ドミンゴ島の婚約」は黒人奴隷蜂起により白人たちが次々となぶり殺しされている聖ドミンゴ島において、黒人住居に一夜の宿を請う白人と主の黒人との虚々実々の駆け引きが恐ろしい緊張感を孕む作品。「拾い子」は拾われた身でありながら放蕩息子と成り果てた男が義父の財産と義母の肉体を狙うというこれもまた苛烈な話。「聖ツェツィーリエあるいは音楽の魔力」は聖像破壊運動として教会を襲った兄弟がそこで奏でられる音楽の法悦に発狂するという話。

「決闘」は領主暗殺に端を発する弾劾が二転三転、被疑者が挙げたアリバイにより不貞を疑われ放逐された娘と彼女を哀れに思う公爵が被疑者との決闘に挑む、という目まぐるしい展開の作品。これなどは先の読めないストーリーに非常に興奮させられた。時代を超えた名短編集ということができる本作品、興味の湧いた方には是非お薦めしたい。

■火山の下 / マルカム・ラウリー

ポポカテペトルとイスタクシワトル。二つの火山を臨むメキシコ、クワウナワクの町で、元英国領事ジェフリー・ファーミンは、最愛の妻イヴォンヌに捨てられ、酒浸りの日々を送っている。一九三八年十一月の「死者の日」の朝、イヴォンヌが突然彼のもとに舞い戻ってくる。ぎこちなく再会した二人は、領事の腹違いの弟ヒューを伴って闘牛見物に出かけることに。しかし領事は心の底で妻を許すことができず、ますます酒に溺れていき、ドン・キホーテさながらに、破滅へと向かって衝動的に突き進んでいく。ガルシア=マルケス、大江健三郎ら世界の作家たちが愛読する二十世紀文学の傑作、待望の新訳。

1930年代のメキシコを舞台に、あるアル中男の破滅を描いた物語である。冒頭の、男の死を思い返す友人たちの章を別にすると、物語は男の生前の、たった1日に起こったことのみを描いている。物語は、職を辞したままメキシコに居残る元英国人領事と、その領事と離婚はしたものの復縁を望んで再びメキシコの地に戻ってきた元妻と、領事の弟であり、領事の元妻に恋心を抱く風来坊の男との3人が主人公になり、この3人を交互に語り部にしながら進んでゆく。

しかしこの物語の主軸となるのは、そこで「起こったこと」なのではなく、そこに登場する主要な3人の人物たちの、「意識の流れ」を描くことにある。登場人物たちは物語の中で、回想し、逡巡し、悲嘆し、悔恨し、希望し、絶望する。そして意識の流れは、ひとつの事柄から、また別の事柄へと、想起と関心を移ろわせながら流れてゆくがために、読む者は、暗く奥深い迷宮の中に放り込まれたような心細さを感じながら物語を読み進めてゆくことになる。

さらにこの物語を特殊にしているのは、作者による膨大な情景・心理の書き込み量だ。ほんの1行もあれば表現できるようなことを、この物語では10数行を費やして描写してゆく。その描写がまた、豊富な語彙と詩的な比喩が重層的に重なり合う恐るべき代物で、こういった練りに練った文章が延々と続くために、正直、読み難い、というか、読んでいて相当体力を消耗する。実は読み終わるのに息抜きに他の本を時々読みながら、数ヶ月掛かってしまった。

そういった文章そのものの物凄さのせいなのか、アル中男の破滅という、個人的にはあまり食指の動かないテーマの物語を、気圧される形で読んでしまった。特に、アルコールで徐々に混濁し幻想と記憶の残滓と現実の情景とさらにアルコールによる記憶喪失とが交錯する意識の流れをそのまま描いた後半は、あたかも煉獄で責め苛まれる亡者の苦悶を体験させられているかのような鬼気迫るものだった。

■T・S・スピヴェット君傑作集 / ライフ・ラーセン

T・S・スピヴェット君 傑作集

T・S・スピヴェット君 傑作集

モンタナに住む十二歳の天才地図製作者、T・S・スピヴェット君のもとに、スミソニアン博物館から一本の電話が入った。それは、科学振興に尽力した人物に与えられる由緒あるベアード賞受賞と授賞式への招待の知らせだった。過去にスミソニアンにイラストが採用された経緯はあるものの、少年はこの賞に応募した覚えはない。これは質の悪いいたずら?そもそもこの賞は大人に与えられるものでは?スピヴェット君は混乱し、一旦は受賞を辞退してしまう。だがやがて、彼は自分の研究に無関心な両親のもとを離れ、世界一の博物館で好きな研究に専念することを決意する。彼は放浪者のごとく貨物列車に飛び乗り、ひとり東部を目指す。それは、現実を超越した奇妙な旅のはじまりだった。アメリカ大陸横断の大冒険を通じて、自らの家族のルーツと向き合う天才少年の成長と葛藤を、イラスト、図表満載で描き上げる、期待の新鋭による傑作長篇。

天才少年T・S・スピヴェット君がモンタナの片田舎からスミソニアン博物館のあるワシントンDCへと一人ぼっちの無銭旅行をする物語である。相方さんから借りて読んだのである。物語はなんでも表や数字にしなければ気がすまない天才少年スピヴェット君の様々な図説が盛り込まれ、それらが文章欄外に多数描かれている。その為、大部な製本の本となっており、持ち歩きが面倒なばかりか、値段もちょっとしたものだったりするのが結構ネックかも。

また、主人公が天才少年であることから、言うことがいちいちこまっしゃくれていて可愛げが無いということが、読んでいてちょっとナニだった。十二歳の天才地図製作者とはいえ、自分の好きなこと言ったりやったりして得意になっているということに関しては、電車の駅全部言えるようなオコチャマとレベル的にたいした違わないわけで、それがアカデミズム寄りだったかどうかということなんじやないのかな。そもそも物語自体にアカデミズム礼賛の臭いがして、なんだかそんなコンサバティブさがやはりちょっとナニだった。あと自分の母親をちゃんと名前で呼ばない気取り方とか、スミソニアン博物館に辿り着いてから家族は全員死んだとか嘘言ったりとか、そういうのがええとやっぱりちょっとナニでした。

お話は、こういう生意気なクソガキが現実に鼻っ柱折られてあれこれ目覚めることを主題にしたほうがよかったと思うんだけど。ホーボー・ホットラインとかスミソニアンの秘密結社とか、広げたらもっと面白そうなネタは幾つかあり、その辺を膨らませてくれたらもっと面白い作品になったと思うな。

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20111207(Wed)

[] 最近読んだコミックあれこれ  最近読んだコミックあれこれを含むブックマーク  最近読んだコミックあれこれのブックマークコメント

西原理恵子人生画力対決(3) / 西原理恵子

西原理恵子の人生画力対決 3 (コミックス単行本)

西原理恵子の人生画力対決 3 (コミックス単行本)

自らを含め「漫画家ってホントは絵がド下手だった!?」という恥部を曝け出し笑いものにする『西原理恵子人生画力対決』、今回もサイパラさんのどす黒いオーラ全開で妬み嫉みありおりはべりいまそかりが炸裂しております。そしてその下手な絵を笑うだけでなくその漫画家の人生にまで肉薄しさらにその人生まで笑いものにしてしまうとあまりにも極悪なサイパラさんです。因業とはこの人のことです。しかしそれにしてもここで登場する漫画家さんたちの漫画って実はひとっつも読んだことがありません。多分自分は漫画ジャンルというものにもう付いていけてないのだと思います。

■どげせん(3) / RIN, 板垣恵介

どげせん 3 (ニチブンコミックス)

どげせん 3 (ニチブンコミックス)

「土下座、それは新たなる戦闘形態!」という訳の分からないテーマで続いてきた土下座漫画もどうやら最終巻なのらしい。いったい土下座だけでどれだけネタが続くのか、と思ってきたが、3巻ぐらいで丁度いい引き際なのかもしれない。この巻でも屁理屈としか言いようの無い頓珍漢な理屈を振り回してなんだか知らないが相手が納得した気になる、という馬鹿馬鹿しさは相変わらず、そしてラストではあんなものにまで土下座を見せて地球は平和を迎えるのだ…いや迎えてないけど。

ハカイジュウ(5) / 本田真吾

ハカイジュウ 5 (少年チャンピオン・コミックス)

ハカイジュウ 5 (少年チャンピオン・コミックス)

突然現れた大怪獣に蹂躙される孤絶した街を舞台にした物語は登場人物全員死亡か?と思わせた前巻から今巻では街の外の様子が描かれてゆく。そして友人を追って閉鎖された街へ入り込もうとする高校生男女が中心に物語は進んでゆく。それを襲うのは怪獣ではなく頭の行っちゃった特殊部隊員!この展開はいいね。でも修学旅行離れて個人行動で知り合いの家に行っちゃうという冒頭はちょっとナニかとは思うんだがまあいか。

ドリフターズ(2) / 平野耕太

ドリフターズ 2 (ヤングキングコミックス)

ドリフターズ 2 (ヤングキングコミックス)

歴史上の人物たちがファンタジー世界みたいな場所に集められて戦いを繰り広げる平野耕太ドリフターズ』、2巻がやっと出ました。この作者はもう血生臭い戦いを描きたいだけの狂った人ですが自分としても血生臭い戦いを観たいだけの狂った人ですので全てOKです。そしてわけの分からないギャグ展開も狂っていて楽しいです。ただゲームやったりちんこいじったりしてばかりいないでもうちょっと早く単行本出してください。

アオイホノオ(7) / 島本和彦

アオイホノオ (7) (少年サンデーコミックススペシャル)

アオイホノオ (7) (少年サンデーコミックススペシャル)

漫画家を目指す美術学校生の若さゆえのしょーもないルサンチマンと斜め上ばかり目指す激情を描く島本和彦の自伝漫画第7巻ですが例によって主人公はルサンチマンと激情の嵐です。しかしそんな主人公を尻目に友人たちは着々とガイナックスの母体を作っていくんですね。そしてあの岡田斗司夫が遂に登場、そのとんでもないキャラがこれでもかと紙面に炸裂しています。核シェルター持ってたのかおっさん。

ヒストリエ(7) / 岩明均

ヒストリエ(7) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(7) (アフタヌーンKC)

ヒストリエも7巻ですがあんまりゆっくりリリースされるんでもうどういうお話なのかよく分かってません。なんか古代のお話です。確かアレクサンダー大王の側近の若かりし頃のお話だったと思うんですが違うかもしれません。この7巻でも「こいつ誰だっけ?」と思うような登場人物が出てきてもはや自分の手には負えていません。

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20111206(Tue)

[]『ゾンビランド』の監督&主演による第2作『ピザボーイ 史上最凶のご注文』は二匹目のドジョウになったのか? 『ゾンビランド』の監督&主演による第2作『ピザボーイ 史上最凶のご注文』は二匹目のドジョウになったのか?を含むブックマーク 『ゾンビランド』の監督&主演による第2作『ピザボーイ 史上最凶のご注文』は二匹目のドジョウになったのか?のブックマークコメント

■ピザボーイ 史上最凶のご注文 (監督:ルーベン・フライシャー 2011年アメリカ映画)

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  • この『ピザボーイ 史上最凶のご注文』、快作『ゾンビランド』の監督ルーベン・フライシャーが、『ソーシャルネットワーク』のジェシー・アイゼンバーグを主演にして製作したコメディ・アクションなんですね。ジェシー君は『ゾンビランド』にも主演していましたね。『ゾンビランド』もジェシー君もついでに言っちゃうとピザも大好きなので観に行くことにしましたよ。
  • お話はしがないピザ配達員が悪党に拉致られ、爆弾を体に巻きつけられた挙句銀行強盗を命じられちゃう、というもの。現実でもこんな怖いお話がありましたね。
  • ピザ配達員を演じるのはジェシー君。おかしなインド人の友達がいて、その美人の妹さんに惚れていますが、あんまりうまく行ってないようです。
  • 一方、悪党を演じるのは『トロピック・サンダー/史上最低の作戦 』や『デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜』にも出演しているコワモテ顔のコメディアン、ダニー・マクブライト。ダニーさんは宝くじで億万長者になった親父さんの遺産を狙いぶっ殺そうと企むボンクラ息子。このボンクラ息子、爆弾マニアの友人がいて、この爆弾を使い、その辺のヤツを拉致して銀行強盗をさせ、そのお金をもとに殺し屋を雇って親父さんを殺そうと計画するんですね。…なんだか回りくどいヤツですよね。
  • というわけで拉致され爆弾腹巻にされたジェシー君、嫌がるインド人の友達を仲間に引き入れて銀行強盗に乗り出す、というわけです。まんまと強盗は成功しますがここからドタバタが始まるんですね。
  • ただここまでの流れが随分直線的なんですよねえ。なんだかヒネリが無いんです。
  • インド人の友達はいつもなんだかわあわあ喚いていて可笑しいといえば可笑しいんですが、「友情」以外でジェシー君の役に立ってないんですよ。まあ役立たず、というのもいいのかもしれませんが、インド人である必然性もあんまりなくて、何かこの友人ならではの逆襲方法とかあってもよかったんじゃないのかな。
  • ジェシー君も『ソーシャルネットワーク』並みに早口で、なんだ『ソーシャルネットワーク』のあの早口は役作りじゃなくて素なのか、と思いましたが、逆にその早口振りからもっと頭の切れるどんでん返しでもしてくれるのかと思ったら、普通にボンクラなんですよね。この役、ジェシー君じゃなくてセス・ローゲンあたりがやったほうが駄目なボンクラのドタバタ度が高まってよかったような気がしますね。
  • ソーシャルネットワーク』といえば劇中ジェシー君が「フェイスブックはもうやってない」なんていう台詞を吐いてちょっと可笑しかったです。
  • 銀行強盗が成功してからお話は急展開を迎えることは迎えるんだけど、二転三転というよりは一転ぐらい?ここでも捻りがあんまりなくて、やっぱり想像の範囲内の展開なんですよねえ。
  • 巻き込まれ型の物語は、巻き込まれた側がどう反撃に出るかが醍醐味なんですが、なんだか「お!そう来たか!」というびっくりするようなものがないんですよ。
  • 結局最後まで直線的なお話で、脇道に逸れたギャグで笑わせてくれるでもなく、悪党連中は単に下品なだけだったし、これはジェシー君が出てなかったら案外DVDスルーな映画だったんでしょうねえ。

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20111205(Mon)

[]『タンタンの冒険 / ユニコーン号の秘密』はスピの超絶アクションをピージャクがさらに濃縮したCGアニメだ! 『タンタンの冒険 / ユニコーン号の秘密』はスピの超絶アクションをピージャクがさらに濃縮したCGアニメだ!を含むブックマーク 『タンタンの冒険 / ユニコーン号の秘密』はスピの超絶アクションをピージャクがさらに濃縮したCGアニメだ!のブックマークコメント

■タンタンの冒険 / ユニコーン号の秘密 (監督:スティーヴン・スピルバーグ 2011年アメリカ映画)

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  • スティーブン・スピルバーグ監督、ピーター・ジャクソン製作、という夢のようなタッグで作られたCGアニメ、『タンタンの冒険 / ユニコーン号の秘密』を観てきました。ちなみに3DIMAX版を観ましたよ。
  • それにしても、原作となっているタンタンって、その絵柄こそなんとなく観たことはあったんですが、どんなお話のものなのかは全く知らなかったんですよ。
  • そして映画を観てみるとこれがスピルバーグの『インディ・ジョーンズ』を思わせる大冒険活劇。可愛い絵柄のタンタンをスピルバーグが冒険劇として脚色したのかな、と思ったらそうではなくて、タンタンって、もともとこういった冒険劇の物語なのらしいんですね。
  • スピルバーグも30年前、『レイダース/失われた聖櫃(アーク)』公開時にパリに行った時、「"インディ"と"タンタン"はそっくり」という評論を読み、その時初めてタンタンを読み、「これは自分の手で映画化しなければ!」と思ったということなんですね。
  • それなもんですから、この『タンタンの冒険 / ユニコーン号の秘密』で、スピルバーグは水を得た魚のように素晴らしいアクションに次ぐアクションを展開しているんですね!本当に楽しかった!これは老若男女誰もが楽しめる最高峰のアクション・アニメだと言ってもいいでしょう。
  • それまで実写のアクションを撮ってきたスピルバーグにとって、CGアニメは初挑戦だったということですが、あたかも実写のような実にリアルな映像をCGで再現しながら、その動きは、実写では有り得ない、しかし現実離れし過ぎない、絶妙なバランスのアクションを見せているんですよ。これがそのまま実写だと嘘っぽくにしかならない動きを、アニメであることを逆手にとって、びっくりするような動きとして再現し、そしてそれがとても成功しているんですよね。アクション映画監督スピルバーグの面目躍如といったところでしょう。
  • ですからアクションは息つく暇も無いぐらい次から次へと連打され、一つのアクションがまた新たな次のアクションを生み、恐るべき高速さで物語が展開してゆくんです。
  • これはコンマ1秒で製作可能なCGアニメだからこそ可能だったことなのでしょう。アクション映画監督の天才といってもいいスピルバーグは、その持てる才能全てを、コンマ1秒単位でこの物語のアクションに注ぎ込んでいるんです。そうして出来上がったものが恐るべき作品であるのは言うまでもありません。
  • しかし、一緒に観に行った相方さんは、面白かったけど、なんだか疲れた、とも言ってるんですよね。これ、映像と動きが緻密に濃縮され過ぎるからだったんでしょうか。
  • この緻密に濃縮された映像、というとこれは実は製作のピーター・ジャクソンの影響のものであるだろうと感じました。
  • ピーター・ジャクソンは、『ロード・オブ・ザ・リング』などの名作を生み出している監督ですが、実はこの監督、映像にしても編集にしても結構クドイ演出の目立つ監督でもあるんですよね。初期の『バッド・テイスト』や『乙女の祈り』も相当濃厚な味わいの作品だったし、『LOTR』完成後に撮った『キングコング』にしたってその尺も主演のジャック・ブラックの顔つきまでも濃いいものでしたし、近作『ラブリー・ボーン』でも徹底的にやっちゃった死後の世界の映像には相当のこってり感が目立っていたと思うんですよ。まあもともとがエネルギッシュなキャラなんでどうしてもこうなっちゃうんでしょうね。
  • つまりこの映画、スピルバーグの超絶アクションをピーター・ジャクソンがさらに濃縮した、というとんでもない作品でもあると言うわけなんですね。そんな映像を一度に全部体験するのは確かに疲れるかもしれませんが、ソフトを買って2度3度と楽しむにはもってこいの作品とも言えるでしょうね。
  • それともう一つ、これだけの満腹感たっぷりな映画のはずなのに、物語的にはさらっと流れている感じがしたのは、これがタンタンという、少年の物語だったというのもあるんでしょうね。『レイダース』と比べて『タンタン』に無いものは、オカルトと大人の女性とのロマンス、エグい暴力と死体の山、そしてむさ苦しさなんですね。つまりね、スケベじゃないんですよ。胡散臭くないんです。クリーンなんです。ただこれは宮崎アニメにエロシーンを期待するようなもので、観客層や原作を考えるとどうしてもこうなっちゃうんでしょうね。どちらにしても映画としては大満足しましたし、大ヒットするといいな、と思います。

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ペーパーバック版 なぞのユニコーン号 (タンタンの冒険)

ペーパーバック版 なぞのユニコーン号 (タンタンの冒険)

タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密 - 3DS

タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密 - 3DS

EbisEbis 2011/12/05 13:57  パンズ・ラビリンスにはピージャクさんかかわってないのでは……。

globalheadglobalhead 2011/12/05 13:59 あ、ほんとですね。こっそり直しておきます。

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20111202(Fri)

[]バットマン・ゲームの新作はGTAタイプのオープン・ワールド・アクションだ!〜ゲーム『バットマン アーカムシティ』 バットマン・ゲームの新作はGTAタイプのオープン・ワールド・アクションだ!〜ゲーム『バットマン アーカムシティ』を含むブックマーク バットマン・ゲームの新作はGTAタイプのオープン・ワールド・アクションだ!〜ゲーム『バットマン アーカムシティ』のブックマークコメント

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前作『バットマン アーカム・アサイラム』に続き発売されたバットマン・ゲーム、それがこの『バットマン アーカムシティ』です。前作がゴッサム・シティの犯罪者専門精神病院「アーカム・アサイラム」が舞台でしたが、今作では犯罪者のみを収監した都市「アーカムシティ」が舞台になります。このアーカムシティ、実際のバットマン・ストーリーに登場しているのかどうかは分からないんですが、かつて普通に機能していた都市をまるまる潰して犯罪者を封じ込めた都市として機能しているようなんですね。ひとつの荒廃した都市がそのまま監獄になっている、というわけなんですよ。これ、ニューヨークを一つの監獄にしたジョン・カーペンター映画『ニューヨーク1997』みたいな設定だと言うわけなんですね。

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というわけで精神病院という限定された場所から広大な一つの街を舞台にしたこのゲーム、ある意味『GTA』や『Fallout3』みたいなオープン・ワールド(箱庭)タイプのアクション・ゲームとして成立しているんですね。この街をバットケープで滑空したりグラップネルと呼ばれるワイヤーを射出する銃を使い、スパイダーマンみたいに街中を飛び回ることが出来るのが楽しいですね。高所から高所へと渡り歩きながら街を移動する感触はゲーム『プロトタイプ』と似た所がありますね。街の広さはそれほど広大ではありませんが、最近のオープン・ワールド・アクションによくあるように、メイン・クエストとは別のサブ・クエストが数多く存在し、まさに一つの街をまるまる舞台にしてのバットマン・アクションが楽しめると言うわけなんですよ。

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ゲームは冒頭からブルース・ウェインの拉致監禁というびっくりするような展開から始まります。そして執事アルフレッドの協力でアーカム・シティ内でバットマン装備を手に入れたブルースは、この街で進行する陰謀を食い止めるために戦いを開始するんですね。ゲームにはバットマン・ストーリーでお馴染みのジョーカーやトゥー・フェイス、ペンギンやポイズン・アイビーやMr.フリーズらのヴィランが総登場、さらにキャット・ウーマンが密かにバットマンに協力し、バットマン・ファンには実に嬉しいゲーム内容になっているんですね。

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アクションは前作と同じく、様々なバットマン・ガジェットを使って道を切り開きながら進めていく形になります。原作と同じくバットマンは銃を武器に戦わず、これらのガジェットと格闘攻撃のみがバットマンの武器になります。また、基本が生身の人間のヒーローである為、銃による攻撃には打たれ弱かったりします。だから正面突破のランボー・スタイルのアクションではなく、スニーキングを主体とし、物陰から物陰へ隠れながらの攻撃がメインとなるんですね。この時グラップネルを使い、空中を飛び交って敵の目をごまかし、高所から突然ダイブしては一人一人敵を殲滅してゆくのが主体となりますね。このバットマンならではのアクロバティックな攻撃が、プレイしていて実に楽しいしかっこいいんですよ。

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ゲームは経験値を貯めることでレベルアップしてゆくようになっており、レベルアップでより多くの攻撃方法やガジェットの使用方法が広がるようになってゆきます。格闘技もコマンドの使用により多用で、プレイしていて魔人のように敵を粉砕してゆくバットマンの姿に惚れ惚れしてしまいますよ。探査モードと呼ばれる光学探査装置を使用した謎解きも前作同様サイバーで楽しいものになっています。バットマン・ファンにもアクション・ゲーム・ファンにも是非やってもらいたい良作アクション・ゲームですね。

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バットマン アーカム・アサイラム - Xbox360

バットマン アーカム・アサイラム - Xbox360

バットマン アーカム・アサイラム - PS3

バットマン アーカム・アサイラム - PS3