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メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

20120522(Tue)

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ダーク・シャドウ (監督:ティム・バートン 2012年アメリカ映画)

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ティム・バートンのダーク・ファンタジィ・コメディ『ダーク・シャドウ』です。それにしても、実の所ティム・バートン作品には『スリーピー・ホロウ』以来どうも期待を裏切られる作品が多くなってきていて、今回も「まあとりあえず観とっか」程度の期待度で観に行ったわけなんですが。そうしたらコレ、結構面白い作品じゃないですか。わたくしはとても気に入りましたよ。

お話は魔女の呪いでヴァンパイアにされ、200年間地中に埋められていた主人公バーナバス(ジョニー・デップ)が70年代に復活、すっかり落ちぶれてしまった子孫たちの家業を再建すべく怪しい技を使いながら東奔西走するというもの。しかしかつて自分を陥れた魔女は敵対する企業の経営者となって町を牛耳っており、主人公バーナバスの足を引っ張ろうと画策するんですね。

まず200年の昔から蘇ったバーナバスの時代錯誤な出で立ちや喋り方のギャップが可笑しい。そしてなんとか時代に適応しようとする彼の四苦八苦する様が可笑しい。しかしそんなハンディキャップをものともせずバーナバスはいつも堂々と立ち振る舞い、子孫の家族たちの為に奮闘するところが実に頼もしい。そしてその合間に血を吸うためにちゃんと殺戮を繰り返しているブラックさがまた楽しい!でもそんなバーナバス、ヴァンパイアになってもお色気にはかな〜り弱いというのがまたまた可笑しい!この映画でのジョニー・デップのすっかり板についた怪人演技と凝った衣装がこれまた素敵です。そもそもこの映画、衣装やセットのバカバカしいほどゴシックな重々しさとバートン映画らしい秀逸なデザインが実に美しく、こういった美術をとことん愛でるのもこの映画の楽しみ方の一つだと思います。

そして脇を固める女優陣がまた素敵だ。女手一つでコリンズ家をまとめるエリザベス(ミシェル・ファイファー)、エリザベスの娘キャロリン(クロエ・グレース・モレッツ)、バーナバスが思いを寄せる家庭教師ヴィクトリア(ベラ・ヒースコート)、バーナバスの宿敵である魔女アンジェリーク(エヴァ・グリーン)と、どの女優も美しい。あ、精神科医ジュリア(ヘレナ・ボナム=カーター)は色物だから…ま、いっか。ただ個人的には、デスマスクみたいな蒼白な美女たちの中でクロエ・グレース・モレッツだけが若々しい生気に満ちていて、ちょっとバートン世界に合ってないような気がしましたが、ここは旬の女優を使って話題性を持たせるという意味合いがあったのでしょうね。

物語は多少とっ散らかっているかもしれません。説明不足であったり余計に感じられたり唐突だったりする部分も見受けられます。70年代ポップスを散りばめた音楽は試みとして面白いけれども個人的には映画の雰囲気と合っているとは思えず、さらにクライマックスの○○○は実は○○○だった、なんて展開は聞いてないよ!とスクリーンに突っ込みそうになりました。しかしこれは逆に、元がTVドラマであったということと合わせ、ティム・バートンが映画を作っているうちにノリノリになっちゃってその挙句の脱線という気がしないでもありません。ティム・バートン、この映画をかなり伸び伸びと、そして楽しんで作っていたのではないでしょうか。

それはこの映画の楽しさと繋がっていると同時に、近作では美術こそバートン流ではあったものの、内容的にはかつてのバートンらしさをうかがわせる作品が少なかった中、この『ダーク・シャドウ』では、見事にこれぞバートン!と思わせる特色に溢れているのが感じるからなんですね。描かれる奇妙な家族愛は『ビートルジュース』に通じますし、死んだ恋人の亡霊は『コープス・ブライド』、正体を現しクネクネ動く○○○は『マーズアタック!』の宇宙人美女そのものでしたし、ゴシック趣味は『スリーピー・ホロウ』、笑えないほどブラックな殺戮劇は『スウィーニー・トッド』と、かつてのバートン作品を髣髴させる描写が多く見られました。その中でもやはり特筆すべきは、バートンの傑作映画『シザーハンズ』との強い類似性でしょう。

デスマスク顔の風変わりな麗人、時代と隔絶した異様な姿の怪人が現実の世界に適応し生きていこうと悪戦苦闘するさまは『シザーハンズ』と通じます。そして物語中盤、バーナバスがクリーチャーであることが町の住民に知れてしまい、住民たちは暴徒となってバーナバスの屋敷へと殺到します。『シザーハンズ』にも全く同じ描写が見られます。はぐれ者の悲哀と悲劇、これはかつてのバートン映画の主題でもありました。ただし、『ダーク・シャドウ』はここで『シザーハンズ』と同じ轍を踏みません。風変わりで空想癖と美意識ばかり強いナードな青年が現実に負け自分だけの世界に引きこもる物語、それが『シザーハンズ』だとすれば、『ダーク・シャドウ』の主人公バーナバスは悲哀も悲劇もものともせず、世界と、そして現実と戦おうとするのです。それも自分の為ではなく家族のために。守るものがあり、そのために戦おうとする姿は、かつてエドワード・シザーハンズのごとく変わり者のオタク青年だったティム・バートンが、監督業で名を馳せ、そして家族を持ち、公私ともに大人の男へと成長し生きてきたことと重なるものがあるのではないでしょうか。即ち『ダーク・シャドウ』は、成長し大人となり、現実に勝利しようと戦うエドワード・シザーハンズの姿を描いた物語だということができるかもしれません。

ダーク・シャドウ 予告編

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Dark Shadows/score

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ダーク・シャドウ Blu-ray & DVDセット(初回限定生産)

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masamasamasamasa 2012/05/24 18:13 昨日観てきました。今までのティム・バートン作品の中で一番好きかも!音楽もよかったし、ストーリーもほぼ納得できるものでした。
確かにちょっと唐突な展開もありましたが、ぎりぎりせりふの説明があったからまあいいか、という感じですね。
サントラ欲しいかも。それにしても最近の米映画はモレッツに下品な言葉をしゃべらせるのがはやっているのでしょうかw

globalheadglobalhead 2012/05/24 20:43 自分もここ最近の作品の中では一番好きかも。一番よかったのは笑える要素が多かったことかな。シャレが効いてたってことでしょうか。
実は数週間ぶりに映画館で映画を観た事も手伝って、画面に現れるどのシーンも楽しくて、最初からずーっとニマニマしながら観てましたよ。
作品とは関係ないですが、こういう新鮮さっていうのも大事かな、なんて思いましたね。
楽しいのがまずあったから、枝葉末節にああだこうだ批評なんか差し挟まないで観れたのがよかったんでしょうね。
だから文章ではバランス考えてあれこれ書きましたが、実際は別にこれでいいじゃん、て思って観てましたよ。
バートン自身も肩肘張らずに作っていたように感じて、そういった「好きなことやってる感」が観るほうも構えずに観られた要因なんではないでしょうかね。