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メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

20130220(Wed)

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■1922 / スティーヴン・キング

1922 (文春文庫)

S・キングの短編集を久方ぶりに読んだ。タイトルは『1922』、これには中編「1922」と短編「公正な取引」の2編が収められている。もともと本国で『Full Dark,No Stars』として刊行されたものからセレクトされており、残りの作品2編は『ビッグ・ドライバー』というタイトルで近日発売予定とのこと。さてこの『1922』、元の短編集タイトルが「Full Dark,No Stars」=「真っ暗闇で星さえ見えない」と謳われている通り、これでもかとばかりにイヤらしい不幸がつるべ撃ちに訪れる暗〜いお話が描かれている。

まず「1922」は1922年のアメリカのド田舎を舞台に、土地売却を巡ってのいざこざからある農夫が嫁をぶっ殺しちゃうんだが、それからこの男の地獄が始まっちゃう、というキング大好きド田舎悲惨物語。殺人を犯した者の転落、という犯罪小説としてはどこにでも転がっているようなテーマで、正直最初は退屈に感じたのだが、これが読み進めてみるとキング一流の語り口でじっくりじっとり真綿で首を絞めるが如く悲惨に悲惨が重ねられ不幸に不幸が積み上げられてゆき、完膚なきまでに主人公を絶望のズンドコまで追い詰める様がもう、うっとりするぐらい素晴らしいんですねえ。「もうなにもかも駄目なんだあああああ!!!」と地獄の中心で絶望を叫ぶ主人公にほっこりしちゃいますね。まさしく「真っ暗闇で星さえ見えない」暗黒の物語でありましたよ!ああなんて悪趣味なんでしょうウヒヒ!

もう1作「公正な取引」は、”悪魔との契約”というまたもやありふれたテーマなんですが、これも「1922」同様、キングの筆にかかるとどこまでもひたすらイヤらしいお話として仕上がっているんですな。ここでも不幸に次ぐ不幸の連打、不幸のトレモロ、不幸の百本ノックが描かれまくるわけなんでありますよ!しかもじっくりじっとりだった「1922」と比べるとこちらは高bpmのダンスミュージックの如くズッコンズッコン矢継ぎ早に不幸が炸裂してその最低振りを天高く奏でます!そしてなにしろあのラスト!いいのかよオイ!と突っ込んじゃいましたよグフフ!

というわけで『1922』、キングにしては地味っぽいという評もありますが、オレは十分楽しめた短編集でしたね。次回発売の『ビッグ・ドライバー』はさらにエグい、という噂なのでとっても楽しみです。

1922 (文春文庫)

1922 (文春文庫)