Hatena::ブログ(Diary)

メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

20130408(Mon)

[]「孤独であること」の圧倒的な肯定〜映画『パラノーマン ブライス・ホローの謎「孤独であること」の圧倒的な肯定〜映画『パラノーマン ブライス・ホローの謎』を含むブックマーク 「孤独であること」の圧倒的な肯定〜映画『パラノーマン ブライス・ホローの謎』のブックマークコメント

パラノーマン ブライス・ホローの謎 (監督:クリス・バトラー/サム・フェル 2012年アメリカ映画)

f:id:globalhead:20130407065441j:image

今日も死者たちの呟き声が聞こてくる。部屋の中で、庭先で、街角で、森の中で。蒼白い顔をし、おぞましい死に方をしたその時の姿で、僕に話しかけてくる。僕の名はノーマン、物心ついた頃から死者の姿が見え、死者の言葉が聞こえる、という普通じゃない力を持っている。学校でその事が知られて以来、僕は頭のおかしいキモいヤツ呼ばわりされ、イジメに遭っていた。当然のように友達はいない。同じイジメられっこの太っちょの子が仲良くしたそうにしているから、たまに遊んでいるけど、基本的にいつも一人だ。もちろんガールフレンドもいない。でも一人は性に合ってるから、気にならない。そんな僕の目の前にある日、死んだばかりの叔父が現れ、【町にかけられた呪い】の話を始めたのだ。それは封印された魔女の魂であり、ある儀式によってその魂を鎮めなければ町に災厄が降りかかるというのだ。死んだ叔父の教えに従い不気味な森の奥で儀式を始めた僕だが、儀式は失敗、そして地面からは腐れ果てた肉体の死者たちが起き上がり、僕を取り囲んだ…。

という物語の映画、『パラノーマン ブライス・ホローの謎』です。しかしこうして粗筋だけを書いてみると、とってもコワ〜イホラー映画のように思えてしまうんですが、実はこれ、とってもキュートで親しみやすいパペットを使って撮影された、ストップモーション・アニメなんですね。内容もホラーというよりは、ホラー要素を盛り込んだ少年の成長の物語と言ったところでしょうか。そしてこの映画、同じくちょっぴりホラーでやっぱりキュートなストップモーション・アニメ、『コララインとボタンの魔女』のライカ・エンターテインメントが新たに手掛けた作品なんですね。

とても手が掛かると言われているストップモーション・アニメですが、この『パラノーマン ブライス・ホローの謎』ではパペットたちが驚くほど美しく滑らかな動きを見せ、時々ストップモーション・アニメではなくCGアニメなのではないかと思わせるほどです。映画ではエフェクトとしてCGも使っているようなんですが、基本はやはりストップモーション・アニメなんですね。だったらCGでもいいじゃん、と思えるでしょうが、例えばピクサーやドリームワークスあたりの完璧にコントロールされたハイクオリティCGでもまだ実現できないテクスチャの質感や光線の醸し出す温もりのある陰影がストップモーション・アニメでは実現できているんですね。…とかなんとか知ったこと書いてますがこの『パラノーマン』をCGアニメだって言われて見せられたらそのまま納得しちゃうんだろうなあ…。ただ、映像を見て感じたのはCGアニメがあくまでリアルな立体を描こうとしているのに比べ、この『パラノーマン』では元が立体だからこそ逆に平面的な絵画性の美しさも描けているといったことなんですね。

物語はこの後、町にかけられた呪いと、その呪いをかけた魔女についての驚くべき真実が語られ、差別や偏見の生み出す残酷さと悲しみを描かれていきますが、自分はそういった優等生的なメイン・テーマには実はあんまり興味が無くて、それよりもこの映画がちょっと他とは変わっているなあ、と思ったのは、主人公の少年が基本的に孤独で、仲間や家族の助けがあったりはするけれども、最終的にはたった一人で事件を解決せざるを得ない、といった部分なんですね。そういえば同じライカ・エンターテインメントの『コララインとボタンの魔女』でも、やはり主人公の少女がたったひとりで問題を解決せざるを得ない物語でした。しかも両方とも主人公に事件解決のアドバイスをするのは"死者"なんですね。

こういった、低年齢層もターゲットに盛り込まれたアニメ作品の多くは、主人公のスタンドプレイではなく、仲間とのリレーションシップによる事件の解決を通して、人間関係やコミュニティの素晴らしさ、場合によっては「愛」の貴さを描くものが基本のようなイメージがありますが、この『パラノーマン』では、確かにそういった要素はあるにせよ、本質的な部分で主人公が孤独であることは変わりないように思えました。友人は登場しますがそれは「熱い友情」といったものではないし、家族である姉の協力もどこか付け足したようなものだったし、そもそもこの映画には主人公に呼応するヒロインが登場せず、そこがまた一般のアニメと違って変わってるなあ、と思えた部分でもあるんですよ。むしろ、この映画の本当のテーマは、クライマックスの「赦し」も含めて、「孤独であること」の圧倒的な肯定だったのではないでしょうか。

《参考》

I HATE HATE - 『パラノーマン ブライス・ホローの謎』 - THE KAWASAKI CHAINSAW MASSACRE I HATE HATE - 『パラノーマン ブライス・ホローの謎』 - THE KAWASAKI CHAINSAW MASSACRE
※主人公のノーマンってブログ主のDOYさんそっくりなんですよ!

魔女?死者?あの子と話そう パラノーマン ブライス・ホローの謎 - 小覇王の徒然はてな別館 魔女?死者?あの子と話そう パラノーマン ブライス・ホローの謎 - 小覇王の徒然はてな別館

今の世界に『パラノーマン ブライス・ホローの謎』が必要な理由 - ゾンビ、カンフー、ロックンロール 今の世界に『パラノーマン ブライス・ホローの謎』が必要な理由 - ゾンビ、カンフー、ロックンロール

D

コララインとボタンの魔女 スペシャル・エディション [Blu-ray]

コララインとボタンの魔女 スペシャル・エディション [Blu-ray]

The Art and Making of ParaNorman

The Art and Making of ParaNorman