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メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

20131109(Sat)

[]スランプ有名シェフと落ちこぼれシェフとのヒューマンなコメディ〜『シェフ!〜三ツ星レストランの舞台裏へようこそ〜』 スランプ有名シェフと落ちこぼれシェフとのヒューマンなコメディ〜『シェフ!〜三ツ星レストランの舞台裏へようこそ〜』を含むブックマーク スランプ有名シェフと落ちこぼれシェフとのヒューマンなコメディ〜『シェフ!〜三ツ星レストランの舞台裏へようこそ〜』のブックマークコメント

■シェフ!〜三ツ星レストランの舞台裏へようこそ〜 (監督:ダニエル・コーエン 2012年フランス映画)

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フランス三ツ星レストランを舞台にしたコメディです。

主人公の若手シェフ、ジャッキー(ミカエル・ユーン)は料理に対する愛情と情熱が大きすぎて、なにかと一言多いという困った性格をしており、そのせいでどこのレストランも首になります。あれですよ、「スープの味を最初に確かめねえ客はうちのラーメンを食う資格はねえ!」とか言って客を追い出すラーメン屋みたいな、料理原理主義、料理バカ一代な料理人なんですよ。実際問題こんなヤツのいるメシ屋に入ったら確かにうんざりさせられるでしょうが、映画では嫌味無く演じられていて、料理が好き過ぎた挙句の困ったチャン、といったどうにも滑稽なキャラとして登場します。

一方、パリ有数の三ツ星レストランシェフ、アレクサンドル(ジャン・レノ)は、利益第一主義の経営者にもっと客に迎合した流行のメニューを作れ、と妥協を強いられ、それができなければお前なんかクビだからね!と言い渡されます。しかしアレクサンドルは料理を極めたプロ中のプロの頑固さを持つばかりにこれが受け入れられません。そんな八方塞がりのアレクサンドルは職を失いペンキ塗りをしていたジャッキーと出会います。ジャッキーの料理の腕に光るものがあることを感じたアレクサンドルは二人で新メニューを作ろうと持ちかけるんですね。

この二人の仮想的であるレストラン経営者の嫌味っぷり、その配下の憎たらしい新シェフ、さらにジャッキーの離婚の危機やアレクサンドルの反抗期の娘などがさらにコメディを盛り上げて行きます。でも一番可笑しかったのは二人が新たに取り組もうとする新メニュー、「分子料理」の存在でしょう。この「分子料理」、料理を化学の分野から解析した「分子ガストロノミー」と呼ばれる学問分野から派生した、実際に存在する概念なんですね。

この「分子料理法」、以前に映画『エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン』で大々的に応用されてるのを見たことがあるんですが、液体窒素などを使い、従来の料理概念を覆す非常に斬新な味覚と未来的な形状の料理が作られているんですよ。ただしこの映画『シェフ!〜』ではそれが思いっきり戯画化されていて、あたかも化学実験室で作成された宇宙食みたいなものとして登場させられます。また、この「分子料理法」を出すお店に主人公らが敵情視察しに行くシーンがあるんですが、なぜかジャン・レノがチョンマゲ姿、ミカエル・ユーンが白塗りの和服女性、という思いっきり勘違いした日本人の格好で登場し、頓珍漢の限りを尽くす、その怪しさには大いに笑わされました。

そんなこんなで二人は新メニューを作成し、高慢なレストラン経営者の鼻を明かそうとするのですが、そこでまた思わぬ危機が!?といった具合に最後まで飽きさせずに物語は展開してゆきます。まあ、お話としてみるなら、ジャッキーがそんなに才能のあるシェフだったら、その辺の町のレストランじゃなくて、それこそアレクサンドルが務めるような三ツ星レストランに最初っから務めていたんじゃないの?と思えますし、アレクサンドルにしても最初は嫌がっていた分子料理法を結構あっさり取り入れちゃって、じゃあ最初からそうしてればよかったんじゃ?なんて思わせますが、全体的に観ると新料理開発にあくせくする二人と、彼らを取り巻く人間関係の描写がとても豊かで、そして「仕事よりも愛!」と言っちゃうところなんか実にフランス映画らしくて、満足できる仕上がりの映画でしたね。

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