Hatena::ブログ(Diary)

メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

20131230(Mon)

[]今年をあれこれ振り返ってみたんだ 今年をあれこれ振り返ってみたんだを含むブックマーク 今年をあれこれ振り返ってみたんだのブックマークコメント

というわけで今年もそろそろおしまいですな。関係ないですがオレって文章の頭に「というわけで」ってつけちゃう癖がありますな。

さて今年もいろいろあったような無かったような…ええ、もう歳なんで過去の事なんてすぐ忘れちゃうんですよ。昨日の晩食べたご飯のメニューも覚えていないぐらいですよ。まあ多分またピザだったんでしょう。

今年は新年早々伊東までカピバラを見に行ったり、(伊東カピバラ旅行:その2 カピ一家の露天風呂に悶絶!編

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5月の連休に那須塩原までカピバラを見に行ったりしたぐらいでしょうか。(那須塩原カピバラ旅行

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カピバラって可愛いですね。いつ見ても癒されます。

しかし、ちょうどこの後ぐらいからオレの相方さんの仕事が超絶的に忙しくなってきて、平日はほぼ終電帰り、土日もほとんど休みの取れないといった生活が、なんと12月頭までほぼ5か月続いたんですよ。

我輩は社獣である - とは云ふもの丶お前ではなし

そんな大変な毎日を乗り切った相方さんは本当に凄いなあと思います。それだけ頑張ったおかげで、相方さんの仕上げた仕事はとても高い評価を得たのだそうです。今もなにかと忙しいようなんですが、でも土日は以前みたいに二人で過ごせるので、「こういうのって久しぶりだねえ」なんて二人で喋ってます。

さてオレのほうはどうしていたのかというと、平日は自分も仕事ですけど、土日は相方さんのいない部屋で家事に勤しんでおりました。掃除洗濯ご飯炊きってやつですね。自分で志願したんですが、あんまり掃除はしなかった…すまん相方…。夕飯作りもですね、まあオレは料理も出来ないわけじゃないんですが、小学生の家庭科レベルのものでして、カレーとか野菜炒めとか、あとまあ麺類関係ね、そんなもんなんですよ。でも最初はそれでもよかったんですが、何か月もそれじゃまずいだろ、と思って、和食好きの相方さんの為に、ネットでレシピ調べて、作ったことのない和食を作り始めたんですがね。

でも、レシピ通りに作ったつもりでも、火加減とか時間とか、よくわかんないんですよね。上手くできたこともあったんですが、食材や調味料の量も、見た目の量だけでやっちゃって、しょっちゅう多すぎたり少なすぎたりする。そもそもレシピだけで見た食べたことの無い料理を作るって、完成形の味が分かってないのに、きちんとできるわけもない。そんなですから、しょっちゅう失敗料理こさえましてねー。一回なんか作った全部の料理が食べられなくて捨てちゃったことがありましたよ…とほほ…。

相方さんの仕事が忙しかったときに感じたのは、彼女がこんなに大変でも自分にしてあげられることがたいしてないことのじれったさでしたね。さっき書いた家事とかね、たまに時間に開いた時に酒飲みに連れて行ったり、メシ食いに連れてったり(なにしろオレの料理の腕がアレだったんで)、それと、仕事の話(そりゃまあ、愚痴もないこともないんです)をできるだけ聞いてあげたりとか、そんなもんでね、彼女の仕事の大変さを肩代わりできたり手伝ったりできるわけではないんですよ。自分ではできるだけのことはしようとは思っていましたが、同時に自分が力足りずといいますか、無力だなあ、と思えて、そんな自分が悲しかったです。

でも、そんなんで若干しょげてたオレに彼女は「辛いときに一緒にしょげられても困るから、フモさん(オレのことです)はもっと気丈でいてよ」って言ったんですよね。胸張って支えになってくれてればいい、にっこり笑って元気でそこにいてくれればいい、そういうことだったんでしょう。仕事はこうして今では落ち着いたんですけれども、あの時オレは、いくらかでも彼女の支えになっていたんでしょうか。

そんなこんなでバタバタしていましたが、ようやく安心して年が越せそうです。年始にはまた彼女とカピバラを見に行く予定です。まあ、ちょっと寒いところに行くんですが、きっとカピたちは、オレと彼女を暖かく迎えてくれるでしょう。

まあ、そんな一年でした。ネットやリアルで、いつもお付き合いしてくださった皆さん、今年もありがとうございました。皆さんに幸多からんことを。それではよいお年を。

nikuzombienikuzombie 2014/01/01 12:09 あけましておめでとうございます。自分も同じような理由で料理を始め、同じような苦労しました。上手くいかなくて「じゃオマエはどうしたいんだよ!」とフライパン相手にプンスカ。で、材料ムダにしちゃったとガックリ。そんなんだったので「オレもオレも!」と思いながら読みました。それでは良いお正月を。

globalheadglobalhead 2014/01/01 18:54 あけましておめでとうございます。
自炊は長くやってはいたんですが、やっぱり量!とカロリー!と脂っこく塩っ辛い!あと簡単!それといつもおんなじ!が基本だったので、いざ他人のために作るとなると、全然勝手が違うんですよねえ。あと相方が野菜好きなんで、野菜あんまり食わない自分はなにをどう調理すればいいのか皆目見当つきませんでしたよ…。いつも調味料の分量がいい加減な自分のために、後半は計量スプーンとかカップをプレゼントされたぐらいです。
まあバタバタしてましたが、いい経験でした。それではnikuzombieさんもいいお正月を過ごされてくださいね。

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20131229(Sun)

[]2013年:今年よく聴いたエレクトロニック・ミュージック15選 2013年:今年よく聴いたエレクトロニック・ミュージック15選を含むブックマーク 2013年:今年よく聴いたエレクトロニック・ミュージック15選のブックマークコメント

◎クラシック

■Terry Farley presents Acid Rain - Definitive Original Acid & Deep House 1985-1991

アンダーワールドとケミカル・ブラザースを世界に紹介したことで知られ、伝説のハウス・レーベルJUNIOR BOY'S OWNの創設者でもあるロンドン出身のDJ、Terry Farley。その彼が80〜90年代シカゴ・アシッド&ディープ・ハウスの粒よりな超名曲全61曲を5枚組CDに渡って完璧に網羅したエレクトロニック・ミュージック・ファン必携のオムニバス・アルバム。荒れ狂うTB303のブリープ音とアンダーグラウンド・ハウスの深遠なグルーヴ。クラシックならではの生々しさ、荒々しさ、暗い情念のほとばしるさまがどこまでもスリリングな、最高の音楽体験だった。《試聴》

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◎エクスペリメンタル

■R Plus Seven / Oneohtrix Point Never

前作までダークなドローン系ミュージック・コンクレートで全オレを恐怖に陥れていたOneohtrix Point Neverの新作は、なんと曇天の空から一気に光が差し込んだような、美しく肯定的なメロディと硬質なリズムの踊る快作だ。独特なミュージック・コラージュ手法はそのままに、構成される音がどんどん乱調してゆく茶目っ気溢れる曲の連続。教会音楽風のメロディの後に痙攣的なリズムが刻まれたかと思うと三味線のような音が響く始末。全曲驚くべき完成度。 《試聴》

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■Colonial Pattern / Huerco S.

USアンダーグラウンド・シーンで注目を集めるプロデューサー、Huerco S.の1stアルバム。のたくるようなビートダウン系のリズムが震え、音像の定まらないブワブワとしたスモーキーな音が揺れ、メランコリックでささくれたインダストリアル・ノイズが現れてはまた消えてゆく。この原初のスープのようなカオティックな音には引き込まれた。 《試聴》

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■Chance Of Rain / Laurel Halo

Kode 9主宰によるダブステップ・レーベルHyperdubからリリースされた、ブルックリン出身の女性プロデューサーLaurel Haloによるニュー・アルバム。ドローン/アンビエント、ダブテクノ、チルウェイヴなどの音を混在させながら幻想的な音世界を構築している。変なジャケットもいい。 《試聴》

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■Feast/Beast / Clark

最近では映画『エリジウム』のサントラにも楽曲が抜擢されたWARPレーベルの鬼才、Clarkのニュー・アルバムはCD2枚組、全30曲に渡るRemixワークス集。Amon Tobin、Nathan FakeMassive AttackDepeche ModeらのRemixに加え、自身の未発表音源も含まれる。多数のアーチストのRemix集にも関わらず、徹底してClarkのカラーで染められ、アルバムを通して聴くと寄せ集めどころかまるで彼のオリジナルのように聞こえてしまう所が凄い。非常にアグレッシブかつ実験精神旺盛に組み立てられたこれらの音源は、あたかもコンセプト・アルバムのようにすら聴こえてくる。 《試聴》

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◎フロア

■Life Performance / Peter Van Hoesen
LIFE PERFORMANCE (IMPORT)

LIFE PERFORMANCE (IMPORT)

ベルギーのテクノ・プロデューサーPeter Van Hoesenが、ベルリンの名門TRESORレーベルからリリースした、フロアの熱気がダイレクトに伝わるハードなテクノ・ライブ・アルバム。 《試聴》

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■EP 1-5 / Diamond Version

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raster-notonレーベルのAlva NotoとByetoneが結成したユニットDiamond Versionが先行してリリースしたEP5枚をまとめたアルバム。全18曲の非常にソリッドなインダストリアル・エレクトロが疾走する。《試聴》

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◎ミニマル/アンビエント/ドローン

■Loyal / Heathered Pearls
Loyal

Loyal

ポーランド出身のアーティストJakub Alexanderによるプロジェクト、Heathered Pearlsの1st。脈動と血流の響きを思わせる電子音が、体を包むかのように鳴り響く胎内回帰アンビエント。これはお勧め。 《試聴》

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■Loyal Reworks / Heathered Pearls
Loyal Reworks

Loyal Reworks

そのHeathered Pearlsの『Loyal』を数々のプロデューサーがリミックス。こちらも素晴らしい。 《試聴》

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■Tranzparenz / Max Loderbauer
Tranzparenz

Tranzparenz

Moritz Von Oswald TrioのメンバーでありRicardo Villalobosとの共作でも知られるドイツのエレクトロニック・ミュージックのベテランMax Loderbauerのソロ・アルバム。厳選された音のみで奏でられる磨きこまれたミニマル・トラックは静謐と清浄さに満ち溢れている。名作。 《試聴》

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■Luxury Problems / Andy Stott
Luxury Problems

Luxury Problems

マンチェスターのミニマル・ダブ・インダストリアルDJ、Andy Stottによる2nd。こちらもどっぷりとダークな音源が並びますが、1stと比べて大幅に女性ヴォーカルをフィーチャー、とは言っても歌モノではなくHoly Orderを思わせるサンプリング・ヴォイスが飛び交う暗く美しく幻想的な音に仕上がっています。 《試聴》

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◎デトロイト

■In The Dark: Detroit Is Back / V.A.
IN THE DARK: DETROIT IS BACK

IN THE DARK: DETROIT IS BACK

テクノのみならず、ハウス、ソウルまでも網羅し、デトロイトの「今」を伝えるブラックネス100%の傑作コンピレーション。アンダーグラウンドの熱気が身体を包み込むようなバラエティに富む選曲。 《試聴》

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■Paradise / Floorplan (Robert Hood)
Paradise

Paradise

デトロイト・ミニマルテクノの重鎮Robert HoodがFloorplan名義でリリースした1stは黒く重いリズムが踊るストロング・スタイルの快作テクノ・アルバム。これは買い! 《試聴》

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■Divine Intervention / Orlando Voorn
Divine Intervention

Divine Intervention

デトロイトテクノをアムステルダムに紹介し橋渡しとなったベテランDJ、Orlando Voornが14年ぶりにリリースしたオリジナル・アルバム。 デトロイト・テクノを知り尽くした黒く骨太のビートが踊る傑作! 《試聴》

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■The Boat Party / KMFH (Kyle Hall)
BOAT PARTY (直輸入盤・帯ライナー付)

BOAT PARTY (直輸入盤・帯ライナー付)

OMAR Sに見出されたデトロイトハウス・ニュージェネレーションKyle Hallのデビューアルバム。シンプルで粒子の粗い剥き出しのドラムマシーン音を鳴り響かせながら、その音には極上のエレクトリック・ソウルが宿っている。 《試聴》

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20131228(Sat)

[]2013年:今年よく聴いた音楽 2013年:今年よく聴いた音楽を含むブックマーク 2013年:今年よく聴いた音楽のブックマークコメント

■The Next Day / David Bowie

ザ・ネクスト・デイ デラックス・エディション(完全生産限定盤)

ザ・ネクスト・デイ デラックス・エディション(完全生産限定盤)

個人的に今年一番盛り上がったのはデヴィッド・ボウイのニュー・アルバムの発表でしょう。前作から10年のブランク、66歳という年齢、それらを全く感じさせないどころか、そんな事実をきれいさっぱり忘れさせてしまうような、痛快なロック・アルバムでした。

そこから続くボウイの曲の数々は、10年のブランクなぞ無かったに等しい、さらに言ってしまえばここ最近のボウイのキャリアの中でもダントツと言っていい程の高いクオリティを誇る名曲・傑作曲が並び、そしてそれらはきっちりとボウイらしいアグレッシヴさで彩られているのだ。66歳でこのアグレッシヴさ。年齢なんか感じさせるどころか、昔から感じていたことだけれども「この人はやはり人を超越した何者かであるのかもしれない」とさえ思わしめましたよ、ええ、ええ。

デヴィッド・ボウイ会心の復活アルバム『The Next Day』!

■The Lost Sirens / New Order

Lost Sirens

Lost Sirens

ニュー・オーダーのニュー・アルバムが出たことも本当に嬉しかった。とはいってもこれは2005年に発表された『WAITING FOR THE SIREN'S CALL』におけるレコーディング・セッションのアウトテイク集なんですが、アウトテイク集とは全く思えない粒揃いの曲ばかりだった。

そしてこの『The Lost Sirens』、アウトテイク集なんていうバックグラウンドがありながら、地味さも未完成さも微塵もない、恐ろしく出来の良い作品として仕上がっているのだ。いや、個々の作品の完成度は今まで通りのNew Orderなんだが、並べられた楽曲のバランスがいいのだろう、さらに全8曲という短さも功を奏していて、トータルとして聴くと実に勢いのある親しみやすいアルバムとして聴けるのだ。しかも『WAITING FOR THE SIREN'S CALL』のアウトテイク集にもかかわらず、こちらのほうが出来がいいとさえ思えるぐらいだ。

New Orderが新譜発表!アウトテイク集とは思えないほどの高水準アルバム!『The Lost Sirens』

■Live at Bestival 2012 / New Order

そのニュー・オーダーのライブ・アルバムが発売され、しかもそれがとんでもなく高いクオリティだったことにも驚かされました。

ニュー・オーダーのライブ・アルバムが発売された。これがもう、ジョイ・ディビジョンからのファンにとっては歓喜感涙の出来で、というのもニュー・オーダーのヒット曲のみならずジョイ・ディビジョン時代の名曲も3曲プレイされているからだ。このライブは2012年9月8日に行われたUKの大型フェス【BESTIVAL 2012】で5万人の聴衆の前でプレイした様子を収めたもの。ニュー・オーダーのメンツはバーナード・サムナー、スティーブ・モリス、ジリアン・ギルバートのオリジナルメンバーにバッド・ルーテナントのトム・チャップマンが参加。残念ながらピーター・フックの名前はない。収録曲は全13曲、内容はプレイリストを見てもらうとして、この中でジョイ・ディビジョン時代のカヴァー「Isolation」「Transmission」「Love Will Tear Us Apart」が演奏されている。

New Orderのライブアルバム「Live At Bestival 2012」が熱い!凄い!

■Lost Tapes / CAN

Lost Tapes

Lost Tapes

名前だけは知っていたんですが、これまで全く聴いたことの無かったドイツの伝説的なロック・バンド、カンのアウトテイク集を聴いて、あまりの面白さにびっくりしてしまいました。

で、3枚組のこのアルバム(そもそもいきなり3枚組から入るっていうのもなんだが)、聴き通してみると、これがなんと、かな〜り面白かったんですよ!CANほども歴史が長く一部かもしれないが有名なバンドに対して、「これはこういう音だ!」と言い切っちゃうのも僭越だしそもそも言えるほど自分の音楽的理解力が高いかどうか疑問なんですが、それでも自分なりにCANの音に接してみて思ったことは、「これパンク以降のオルタナティヴ/ニューウェーブより全然早くその手の音を、しかもずっと超絶的な技巧でやってたバンドだったんじゃん!」ということでしたね。もうね、パンク/オルタナティヴ/ニューウェーブなどのポスト・ロックで聴いていた音の源流が、手に取るように聴こえてくるんですよ。逆に言えば、あれらの音って、CANを模倣することから始まったんじゃ?とさえ思ったぐらいだったんですよ。

CANのことは何にも知らなかったから最初に『Lost Tapes』を聴いてみた

■Desertshore / The Final Report // X-TG

Desertshore / The Final Report

Desertshore / The Final Report

オレがこの歳まで聴いてきた音楽の中でも、暗黒の中の暗黒、ダークサイドの極北と言っても過言ではないインダストリアル・ノイズ・バンド、スロッビング・グリッスルが最後のアルバムを出しました。いやまたこれがまた血も凍るような暗黒さで…。

音的にはまぎれもなくTGだが、エレクトロニクス的な進歩もあるせいか、昨今のインダストリアル/ドローン系の音と比べ遜色がないどころか桁違いの凄味と深みを見せる。もはや凶悪と言っていい。その深淵を覗くかのような暗黒ぶりはやはりTGがインダストリアル・ミュージックの中心部であり出発点であったということを再認識させてくれた。その年季を積み過ぎたドス黒さは既に付喪神と化しさらに悪霊やら動物霊やらが憑いて暗闇でウケケケケと哄笑を上げているようですらある。しかし…しかしだ。かつてTGを頻繁に聴いていた20代の頃、「これ以上こんな真っ暗な音を聴き続けるのはヤダ」と心底思ったように、このX-TGの2枚組を聴き続けるのは正直気分が鬱々として来て相当キツい。逆に言えばそれだけ魂をどこかに持ち去られてしまうかのような音だということが出来るのだが、どちらにしろ、現在このX-TGの2枚組は自分の中で封印中である。それにしても30年以上こんな音を出し続けてきたTGメンバーのメンタリティにもいろんな意味で恐れ入るが。

そこは底知れぬ奈落、光一つ差さない深淵〜スロッビング・グリッスルの別ユニット「X-TG」と「カーター・トゥッティ・ヴォイド」

エレクトロニック・ミュージック篇は明日やります。

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20131227(Fri)

[]2013年オレ的映画【裏】ベストテン!! 2013年オレ的映画【裏】ベストテン!!を含むブックマーク 2013年オレ的映画【裏】ベストテン!!のブックマークコメント

さて、昨日の『2013年オレ的SF映画ベストテン!』に続き、『2013年オレ的映画【裏】ベストテン!!』をお送りしたいと思います。

今回の【裏】ベストテンでは、劇場映画作品にこだわらず、海外TVドラマシリーズと、日本ではDVDスルー扱いになってしまったけど結構面白かった映画を集めてみました。なお、ベストテンとは謳ってますが、DVDスルー映画に関しましては「こんなのも面白かったですよ?」という作品を思いつくまま並べたもので、「年間1万本映画観てるオレが厳選に厳選を重ねた至高の10本を君たちに教えちゃるぜ?」といった類のものでは全くありませんので御留意されてください!

1位:スパルタカス (TVシリーズ)

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もうね、今年はこれでしょう!過激なバイオレンスとあからさまなセックス、ドロドロとした人間関係をこれでもかとばかりに描き、本国でも成人指定となった歴史ドラマです。ある意味今年最も衝撃的でエキサイティングな映像作品だった、と言い切ってもかまいません。その残酷描写は下手なホラーなんか観るより数段凄まじく、そこここでバレットタイム撮影されたそのアクションは官能的なまでに鮮烈です。お正月にTVで何か面白いドラマを観たいな?なんて思ってる方に是非お勧めしたい!相当エグイけど!現在シーズン1、2、序章となる「ゴッド・オブ・アリーナ」のソフトがリリースされているんですが、まだ日本発売していない完結篇を早く観たい!

おぞましい陰謀の張り巡らされた地獄のような闘技場で、奴隷戦士スパルタカスは、命を賭け、妻の奪還と、自由と、復讐を胸に誓い、血に塗れた戦いを繰り広げ続ける。殺戮とエロティシズムの徹底的な扇情の彼方に、何もかもを失った男の自由への渇望がマグマのように噴き上がる。その中で仲間の奴隷剣士たちとの反目、友情、結託、そしてその仲間たちの死、さらに彼らが織り成す様々な愛と別れのドラマもが描かれ、物語を盛り上げてゆく。その彼らの熱く暗く強烈な思いが、このドラマを一時たりとも目の離せない極上のエンターティメントとして完成させている。数々の「ヤヴァい」映像とストーリー、予想をことごとく裏切る展開が「TVでここまで出来るのか!?」と驚愕するほどの過激さとクオリティで観るものに迫ってくる。それをドラマという長丁場で描ききったこの物語は、ある意味映画すら越えた映像体験となっていることは間違いない。

レヴュー:復讐!陰謀!愛欲!殺戮!成人指定TVドラマ『スパルタカス』がヤヴァいッ!ヤヴァ過ぎるッ!!

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2位:ゲーム・オブ・スローンズ (TVシリーズ)

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J・R・R・マーティンの大人気大河ファンタジー小説を堂々の映像化。現在第2章までがソフト化されています。ファンタジーとはいえ、その中心となるのは複雑な人間関係と陰謀にまみれた政治闘争です。そして細部にわたって徹底的に構築された異世界の情景が堪りません。その世界にあたかも自分が存在しているかのような没入感は、さすが長時間視聴することになるTVドラマならではのことでしょう。たっぷりの時間でゆっくりその世界を堪能できるのが素晴らしいんですよー。ファンタジー好きの方にはきっとハマりますよ!

こういった複雑で予断を許さない人間関係、それにより生み出される波乱万丈の展開だけがこの『GoT』の面白さではありません。このドラマが真に魅力に溢れたものに仕上がっているのは、細微に渡り周到に構築された世界観と、それを驚くべき見事な美術で再現したリアリティ溢れるビジュアルなのです。この『GoT』は、同じファンタジーという以外『ロード・オブ・ザ・リング』とは関係ありませんが、しかし『LOTR』が、徹底的に作りこまれたビジュアルにより圧倒的な世界を創出したのと同じぐらいの情熱とイマジネーションによって、この『GoT』が作り上げられたであろうことは間違いありません。あたかも異世界に投げ込まれ、その異世界を旅し、自らもそのドラマの中の住人のようにさえ感じさせる臨場感、これが『GoT』というドラマの魅力となるのです。

レヴュー:ダーク・ファンタジー系海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』を観た

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3位:SHERLOCK (シャーロック) (TVシリーズ)

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あのシャーロック・ホームズを現代的解釈で甦らせたドラマなんですが、なんといってもベネディクト・カンバーバッチ演じるホームズの偏屈・変人・そして天才ぶりがとことん素晴らしい!ベネディクト・カンバーバッチ自体が素晴らしい!もちろんマーティン・フリーマン演じる相方ワトソンが「…やれやれだぜ」といった顔をしながらホームズのおもりをしている様子が可笑しくもまた素晴らしい!ホームズの推理する様子をVFXを駆使して描くのも新鮮でした。

シャーロック・ホームズを21世紀の現代に蘇らせるという発想の面白さ、事件を解決するホームズのホームズらしい高速な思考&社会生活破綻者なところ、主演の二人・ベネディクト・カンバーバッチとマーティン・フリーマンの魅力もたっぷり、その二人のやりとりも実に楽しく、時にコミカルに時に緊張たっぷり、そして全3話・1作90分という少ない本数に凝縮した充実の内容、どれもこれも素晴らしかった。これもアメリカではなくイギリスのTVドラマである、という部分が功を奏したように感じました。なにより捜査の天才・ホームズに悪事の天才・モーリアティがじわじわと接近していく構成が興奮させられました。最終話第3話の卑怯なほどの引きの強さ、もうシーズン2をすぐさま観たくてたまらなくさせられます。まあ実はやっぱりあれこれ他に片付けておくDVDがあってすぐには観れないんですが…。ちなみに一緒に観ていたオレの相方さんはベネディクト・カンバーバッチがどうも気に入ったようで、「素敵な横顔だわあ…」とうっとりしておりました。

レヴュー:『SHERLOCK/シャーロック シーズン1』を観ました

SHERLOCK / シャーロック [Blu-ray] SHERLOCK/シャーロック シーズン2 [Blu-ray]

4位:暴走!ターボ・バスターズ (監督:ステフェン・ハールス,フリップ・ファン・デル・カイル 2010年オランダ映画)
同点:暴走!ニトロ・バスターズ (監督:ステフェン・ハールス 2011年オランダ映画)

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オランダのヤンキー連中がバカゆえにバカを繰り広げるというバカ映画2作。いやあもう、感心しちゃうぐらいひたすらバカだったなあ!レンタルで借りたけどあまりに面白かったから2作ともDVD買っちゃったよ!基本全員マレット・ヘアーしてるっていうのがなによりもガチ!意外と派手なアクション・シーンも盛り込まれ、銃撃戦やゾンビとの戦いも描かれているんですよ!

ひたすらバカなバカどもがバカゆえにやらかす困ったバカ行為が仕舞いに国家をも巻き込む大混乱へと発展してゆくのである。その脅威は戦略核並みの破壊力を秘め、テロリズム並みの恐怖を兼ね備えているのである。つまり核弾頭バカでありバカテロリズムということができるのである。たかだかバカだと侮っていると大変な目に遭う、ということなんである。そんなバカにノセられるTVメディア、そんなバカをも収拾できない国のお偉いさんはもっとバカ、という鋭い政治メッセージもこの作品には込められているのである。込められてんのか?(暴走!ターボ・バスターズ)


バカどもがユーロビートで踊り狂い、バカどもがゼロヨンで競い合い、バカどもがバカ女を巡って争う前半はバカの余裕綽々、バカの貫禄、バカの風格さえ漂う素晴らしいバカ振りだ。この映画を愛し続けて(2日ぐらいだけど)本当に良かった、としみじみ思える瞬間である。そして後半は一転、バカ軍団VSゾンビ軍団の血で血を洗う凄まじい展開を迎えるのである。まあ両方とも地球上からいなくなっても全く一切誰も困らないので相打ちになってもらいたいぐらいだが、下手にバカがゾンビになられるのも困るので一応暫定的にバカの応援をするのである。しかしその戦い方までバカすぎて、奈落の底まで脱力しそうなオレがいたのである。一個だけネタバレするけど、バカとゾンビのゼロヨン・レースって…なんでゾンビ車運転してんねん?(暴走!ニトロ・バスターズ)

レヴュー:オランダ発・5人の大バカ大暴走!?〜映画『暴走!ターボ・バスターズ』『暴走!ニトロ・バスターズ』

暴走! ターボ・バスターズ [DVD] 暴走! ニトロ・バスターズ [DVD]

6位:ニンジャ:インポッシブル (監督:トーマス・キャぺラン・マリング 2010年ノルウェー映画)

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ノルウェーのニンジャ諜報部隊!ノルウェーなんだけど何故だかニンジャ!ノルウェーニンジャのくせに真面目に修行!真面目に活動!怪しいレトロ風味がなんだか変!いわゆる007みたいなスパイ映画のパロディなんですが、馬鹿馬鹿しいことを眉間に皺寄せ大真面目に描く様子がじんわりと可笑しい作品でした。

お話はというと、冷戦下の世界を舞台に、この映画の主役であるノルウェー国王直属の隠密ニンジャ部隊の皆様が、CIA指揮下にあるSBとかいう秘密諜報機関と対立し、虚虚実実の諜報戦を繰り返しながら、最終的にお互いを潰しあう殲滅戦へと発展してゆくというものなんですな。しかしこうやって書くと物凄くシリアスな物語みたいなんですが、実際はというとなんだかひたすら妙な描写が次々と展開し、そのハズシ方がオカシイと言う脱力系のギャグ映画なんですよ。そのギャグのセンスもドタバタや下ネタを一切廃し、キザっぽかったりクールぶったりニヒルを気取る「所謂スパイ映画」の構造を裏返し、そこに「ニンジャ」という訳の分からない東洋の神秘を挿入することで微妙な可笑しさを醸し出そうとしているんですな。

レヴュー:ニンジャ・スパイに不可能はない!〜映画『ニンジャ:インポッシブル』

7位:俺たち喧嘩スケーター (監督:マイケル・ドース 2012年カナダ映画)

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スポ根ムービーなんですが、スポーツそのものよりもスポーツ中におっぱじまる喧嘩がメインというユニークな作品。氷の張られたスケートリンクに今日も嵐が吹き荒れる!これがねー、観ていて燃えるんですよ!エキサイトしてしまうんですよ!スポーツなんてまるで関心の無いオレですら、観ていてTVモニターに「オラオラやっちめぇ〜〜!」「いけいけいけホラいけぇ〜〜!!」と歓声あげまくってしまいましたよ!ちなみにレンタルオンリーでセルはないようですね。

主人公のダグはあんまりオツムは良くないんだけれど、気は優しくて力持ち、むさ苦しい髭面ながらいつもチワワみたいに瞳をキラキラさせていて、なんだか非常にキュートなキャラなんですよ。そのダグの活躍が弱小チームを牽引し、白けきっていた仲間チームの結束を再び固くし、自信を失っていた花形選手を甦らせていくんです。さらにダグの、見ていてこっちが照れくさくなるような不器用で純情な恋愛模様がまたいいんですね!そんな頑張り屋のダグを全く認めない親との葛藤も泣かせます。そしてそんなダグとチームメンバーがスポーツ・ドラマのお約束、頂上対決でクライマックスを迎えるんですが、この相手チームにもダグと同じ「喧嘩屋」がおり、しかもホッケー界で最も悪名高い伝説の喧嘩男だったりするんですよ。この新旧喧嘩屋の運命の戦いと、ダグの恋の行方が交差しながら、物語はいやがうえにも盛り上がりまくってゆくんですよ!

レヴュー:『俺たち喧嘩スケーター』はキュートで熱いスポ根ムービーだった!

8位:キラー・スナイパー (監督:ウィリアム・フリードキン 2011年アメリカ映画)

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殺し屋をやとって殺人を目論む家族…というとシリアスなサスペンスだと思ってしまいそうなんですが、この映画はなにしろ変!出て来る奴らがみんな変かアホ!殺し屋なんてなんとロリコン!物語が進めば進むほど呆れ返り呆然とさせられるそのありえないほどのアホさが堪りません。かといってコメディという訳ではなくて、どちらかというとキチガイじみたブラックユーモアといったほうがいいでしょうか。なにしろクライマックスに大爆発する狂った出来事にはあまりのことに笑い転げてしまいました。

確かに物語の骨子はよくあるクライム・サスペンスをなぞっています。しかし、この物語に登場する連中が、揃いも揃ってどこか変なんです。そのお話はというと、貧乏こじらせ過ぎたバカ一家が、保険金殺人を企てる所から始まります。しかしバカでヘタレのこの一家、自分らじゃ手を下せないから殺し屋を雇うことに。しかも現れた殺し屋に、殺しの料金を後払いにしてくれとかセコイことを言いだすんですね。そりゃあ貧乏こじらせまくってる連中ですから、そんなお金なんかあるわきゃ無い。殺し屋は最初ふざけんじゃねぇ、と断るんですが、一家の12歳の末娘を見たとたん態度を豹変。「あの娘を担保代わりに差し出すんなら考えてもいい」とか言いだすんですよ。おいおいこの殺し屋ロリコンだったのかよ!?しかも娘は娘で「えへへ〜いいかも〜」と殺し屋の言うことを承諾、かくして殺しが成功し報酬を得るまで、このバカ一家と殺し屋が一つ屋根の下で共同生活を始めちゃうんですね!いったいどうなってんだこのお話!?

レヴュー:御大フリードキンの『キラー・スナイパー』は奇っ怪な可笑しさに満ちた秀作ノワールだった!!

9位:クリーチャーズ 異次元からの侵略者 (監督:ドン・コスカレリ 2012年アメリカ映画)

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「クスリやったら異次元の侵略者見えるようになったわーメチャ凄いわーついでだから世界も救っちゃうわー」というなんだか有難いんだかろくでもないだか分かんないお話なんですが、物語自体もドラッグの幻覚みたいに異世界やクリーチャーが現れてきて、観ているこっちまでヤヴァイ気分になってくるんですね。いってみればこれ、クローネンバーグの『裸のランチ』をコメディでやってみました!みたいなお話なんですよ。あとドアノブがチンコになったりもしますので、チンコ好きの方は必見でしょう。

ヤヴァいドラッグで超感覚を身に着けてしまったお兄ちゃん、ジョンとデイブが、異世界のクリーチャーによる地球侵略を阻止するためにてんやわんやの大活躍を繰り広げる、というコミカルなSFストーリーです。監督はドン・コスカレリ、知る人ぞ知るホラー映画『ファンタズム』の監督ですが、個人的には超名作『プレスリーVSミイラ男』の監督として非常に心服する人でもあります。お話は主人公であるジョンとデイブが、ドラッグの作用で見る事が出来るようになってしまった不気味なクリーチャーたちを退治してゆくさまが描かれます。このクリーチャー、並行世界の地球を支配するコロックなる超知性が送り込んだ刺客らしいんですが、どれもB級テイスト溢れるグロ馬鹿馬鹿しさ溢れる造形でなかなか楽しい。フリーザーの中の食肉が寄せ集まって出来上がったミートマン(オレ命名。なんと頭が丸鶏)なんか一見の価値ありでしょう。

レヴュー:ジョンとデイブの異次元大作戦!?〜映画『クリーチャーズ 異次元からの侵略者』

10位:籠の中の乙女 (監督:ヨルゴス・ランティモス 2009年ギリシャ映画)

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外界から隔絶した高い塀に覆われた家を舞台に、そこで繰り広げられる閉鎖的な家族の倒錯の物語なんですが、まあ要するに、みんなオカシイんですよ!狂ってるんですよ!変態行為に勤しんでるんですよ!親父の教育が狂ってるからってせいもあるんですが、映画の間中ずっとわけのわからないものを見せられるんですよ!そのシュールすぎる光景が物凄すぎた作品でした。

父親がなぜ子供たちを外界から隔絶し、このようないびつな教育を行っているのかという理由は描かれません。そのいびつさゆえに、少なくとも子供たちの純粋性を守る為などということは考えられないでしょう。ではなぜか?と考えると、それは単に父親が狂っているから、としか考え付きません。しかしこの父親は一歩外の世界に出るとごく普通のビジネスマンであり、さらにこの裕福さを考えると有能であり一般的な社会性を持った人物だということもいえるのです。つまり彼は全き狂気の中にいる人物というよりは、そのパーソナリティーが有する複数のレイヤーの中で、子供の育て方という部分のみが壊れた人物だということなのです。しかしこれは一個人の特異な狂気の物語なのか?というとそうではないでしょう。確かにこの物語は異様であり、倒錯的ですが、それは現実のある局面をグロテスクなまでに極端に歪めて見せた情景なのだと言えるでしょう。そしてその歪めて見せた現実のある局面とは、「家族」の在り方であり「家庭」 の在り方なのです。

レヴュー:グロテスクに歪められた「家族」という名の肖像〜映画『籠の中の乙女』

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◎『2013年オレ的映画【裏】ベストテン!!』まとめ

というわけで『2013年オレ的映画【裏】ベストテン!!』はこんな具合の作品が並びました。

1位:スパルタカス

2位:ゲーム・オブ・スローンズ

3位:SHERLOCK (シャーロック)

4位:暴走!ターボ・バスターズ

同点:暴走!ニトロ・バスターズ

6位:ニンジャ:インポッシブル

7位:俺たち喧嘩スケーター

8位:キラー・スナイパー

9位:クリーチャーズ 異次元からの侵略者

10位:籠の中の乙女

昨日更新した"表"のほうのベストテンは劇場公開作品を中心に、ちょっと真面目っぽくヒョーロンチックに選んでみたんですが、こちらはもっと肩の力を抜いて観られる作品を並べてみました。1〜3位のTVドラマは何時間もどっぷり浸る事ができるのがよかったですねえ。そしてあとのDVDスルー作品は、「バカ!」とか「アホ!」とか「なんか変!」とか「暴力!」とか「変態!」とかみたいなのばかり並んでしまいましたねえ。これもひとえに選んだ人間のキャラですのでご容赦ください。ただし一辺倒なコメディではなく(『キラー・スナイパー』や『籠の中の乙女 』はコメディではないです)、毒が結構強い作品ばかりなので、もしも興味をもたれて鑑賞される方がいらっしゃったらご注意ください!

とまあこんな作品ばかり選んじゃいましたが、年末年始のビデオ鑑賞の手助けにでもなれば嬉しいです。それでは!

よしぼうよしぼう 2013/12/29 23:34 「スパルタカス」、「ゲーム・オブ・スローンズ」、「シャーロック」は納得のランクインです。ただ、「スパルタカス」のシーズン2はどう位置づけますか?ブログで勧めてらっしゃるのを見てレンタルしてきたんですが、主演俳優の病死というトラブルは仕方ないでしょう。ただ、あの灰汁の強い悪役を始め主要人物をかなりシーズン1のラストで殺しちゃったし、闘技場のグラディエーターという枠組みがあったから面白かった点もあったと思います。屋外での殺害シーンは他の映画で見慣れているし、背徳の人間関係も今ひとつです。1話も工夫しているけれど間延びして長く感じます。まだ途中までなので後半を見ると印象が変わるかもしれません。ただ、シーズン1があまりにも面白いので、シーズン2はどうしたものかと思っています。
「ゲーム・オブ・スローンズ」は原作のファンですが、原作にほぼ忠実でありながら、娯楽であることを失っていない最高の作品だと思います。ティリオンのイメージを変えたことはもとより、ウェスタロスの世界が再現されていることに毎回うならされます。
それと確か「シャーロック」で探偵の頭の中を再現しているのは、NHKの吹替え版の特徴だった様に思います。

globalheadglobalhead 2013/12/30 00:24 シーズン2は最初同様のことを感じましたが、最後まで観てみるとやっぱり面白かったですよ。
序章のあの人が出てきて盛り上がるんですよ。
バカ映画バスターズ2作も是非どうぞ。

20131226(Thu)

[]2013年オレ的映画ベストテン!! 2013年オレ的映画ベストテン!!を含むブックマーク 2013年オレ的映画ベストテン!!のブックマークコメント

というわけで毎年恒例の『オレ的映画ベストテン!!』に行ってみたいと思います。今年も大作・話題作が目白押しでしたが、個人的にはちょっと映画疲れしてきた部分があり、一ヶ月ほど劇場に足を運ばなかった時期もありましたが、まあなんとか10作品選ぶことが出来ました。では行ってみよう!

1位:ジャンゴ 繋がれざる者 (監督:クエンティン・タランティーノ 2012年アメリカ映画)

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今年いろいろ観た映画の中で、物語性、アクション、問題提起のあり方、配役の素晴らしさ、視覚的な強烈さなど、様々な要素が最もバランスよく盛り込まれ、そして面白く観ることのできた作品はやぱりこれでしょう。物語の主題はしいたげられたの者の怒り、愛するものの救出、そして報復と、感情に生々しく訴えかけるシンプルなものであるにもかかわらず、決して扇情的なだけの物語で終わることなく、濃厚で深みのある演出が冴えわたる作品として仕上がっていました。映画的興奮のまさに真骨頂ともいえる作品でしょう。

黒人奴隷復讐劇として描かれるこの物語、出てくるザコの白人どもが皆揃いも揃ってレッドネック丸出しの無知無教養で薄汚く下品極まりない糞野郎糞女ばかりである、という描き方が面白い。見渡してみればこの映画にまともな「アメリカ白人」は一人として登場しない。これは考えてみると凄まじいことだ。だからこそのブラック・スプロイテーション映画ということも出来るけれども、アメリカ人の撮ったアメリカ資本の映画でこういった描写が成立する、そしてそんな映画がアメリカ国内で大成功を収める、それ自体でこの映画は既に画期的なのではないか。QTがこの映画で成そうとしていたことの意気込みと覚悟が伝わってくるようだ。そしてそこまで情け容赦なく描かなければアメリカの闇の歴史は描き切れない、それと同時に、娯楽映画作品として贔屓や曖昧さの無い屹立した面白さは出し切れない、QTはそのように考えたのだろう。そんなQTの采配がなにより素晴らしい。

レヴュー:君よ憤怒の荒野を渡れ〜映画『ジャンゴ 繋がれざる者』

2位:華麗なるギャツビー (監督:バズ・ラーマン 2013年アメリカ映画)

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"20世紀最高の文学"と呼ばれるF・スコット・フィッツジェラルドの原作をバズ・ラーマンが彼独特のグラマラスでエモーショナルな作品として映画化。謎の億万長者ギャツビー。夜毎繰り広げられる軽佻浮薄なパーティの中でも、うずもれるほどの富の中でも、孤独を隠すことのできない彼の心の中には、成就しなかった一途な恋の残り火だけがくすぶっていた。喧騒の果ての虚無と、虚飾の中の虚構と、避けられない運命に翻弄されるギャツビーの、悲劇の予感が暗く垂れこめる物語は、ものみな全てが美しく輝く前半の描写があるからこそ、あまりにも悲痛に幕を引くのです。観終わった後も、いつもまでもこの作品のことが頭を離れませんでした。

この物語は、主人公ギャツビーの、実らなかった恋とその行方を描いている。大富豪となったギャツビーは、いうなれば世界の全てを手に入れた男だ。あたかも彼は世界の「王」の如く君臨していた。しかし、その世界には、愛する君が含まれていないのだ。彼にとって、世界は、「君と共に生きる」ことで、初めて成り立つものであった筈なのに、君はいないのだ。君のいない、君以外は全てがある世界、結局それは「全て」ではない以上、「無」と変わりない。君がいない世界は、それは、世界ですらない。それは「虚無」だ。なぜなら、彼にとって、「君」こそが世界と等価であり、「君」こそが、真に世界そのものであったからだ。そして彼は、虚無の中で、愛する君という輝きに満ちた光明を請い求める。虚しい世界を、君に振り向いてもらうために飾り立てる。虚しい飾り、まさに虚飾だ。あらん限りの世界の富で飾りたてられながら、飾り立てれば飾り立てるほど、それが巨大な虚無にしか見えないのは、その全てが、彼の「孤独」の裏返しでしかないからだ。ああ、この物語は、なんと寂しく悲しい世界を描いたものだったのだろう。

レヴュー:君だけが、いない。〜映画『華麗なるギャツビー』

3位:マン・オブ・スティール (監督:ザック・スナイダー 2013年アメリカ映画)

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クリプトン星の異世界描写や、クラーク・ケントが自らの力を隠して生きねばならないことの苦悩、そしてその彼を暖かく見守る地球の家族の物語にも感銘しましたが、それよりも強大すぎる力とそれが巻き起こす凄まじい破壊とを徹底的に視覚化した映像に酔い痴れました。恐ろしいスピードでありとあらゆるものが次から次へと壊されてゆく、その有様を目の当たりにすることの快感。「視覚の愉悦」「破壊の快楽」をどこまでも追求した作品として高く評価できるでしょう。

『マン・オブ・スティール』にはヒーローのルサンチマンも人格的欠損もない。オチャラケもなく若気の至りもない。さらにはもったいぶった悲壮さもなく、かつて葛藤はあったとしても今は苦悩さえもない。ただ守るべきものがあり、守る人がいるだけだ。これはなんとストレートで、潔いヒーローなのだろう。確かにその反面、スーパーマンの物語はキャラクターの陰影に欠けた聖人君子的なつまらなさも存在するのだけれども、エクスキューズのないヒーローを正面から描ききった『マン・オブ・スティール』は堂々として見事であり、そして格別な爽快感に満ち溢れている。だからこそ、『マン・オブ・スティール』はヒーローとは何か、という原点に還った素晴らしい作品として完成しており、そしてそのマイルストーンとなるべき映画として、長く語り継がれることになるのは間違いないだろう。

レヴュー:最強の男の、最強の映画。〜『マン・オブ・スティール』

4位:ムード・インディゴ〜うたかたの日々 (監督:ミシェル・ゴンドリー 2013年フランス映画)

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ボリス・ヴィアンの奇想小説を、ミシェル・ゴンドリーが持てるセンスを総動員して奇想のままシュールにアバンギャルドに映像化してしまった傑作。出会いのときめきと恋の高揚を描く前半のポップでカラフルな映像はどこまでも楽しく目を楽しませます。しかし後半は一転、避けられない死の運命に彩られた暗く沈痛な悲劇が待ち構えているのです。この物語もまた、美しくそしてはかない人の生の無常を描くのです。

物語だけ取り出してしまうとこの作品は「難病悲恋モノ」でしかない。一組の男女が出会い、幸福の絶頂の中で結婚するが、妻は難病に倒れ、夫は看病に尽力するが、病状はどんどん悪化して行き…というものだからだ。しかしこの物語が「難病悲恋モノ」のテンプレ通りの物語であるにもかかわらず、実際描かれているものは全く違うものであることは観た方なら誰もが判るだろう。いわばこの物語は「難病悲恋モノ」をベースとしながら、その状況の中で立ち現れる主人公の情動を、どれだけアバンギャルドでアナーキーな描写でもって描くことが出来るか、といった挑戦めいた物語であり、ある意味メタな恋愛ドラマとして捉えることも出来るのだ。そしてこのようなベタでしかない骨組みの物語を、唯一無二の透徹したユニークさで描くことにより、凡百の悲恋モノを遥かに凌駕した、天にも昇るような幸福と、海の底に沈むような悲痛さを描写しつくしたものとして、この映画は完成しているのだ。

レヴュー:あの時、僕らは幸福だった。〜映画『ムード・インディゴ〜うたかたの日々』

5位:ライフ・オブ・パイ / トラと漂流した227日 (監督:アン・リー 2012年アメリカ映画)

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大海原に難破した少年と虎が一つの小船で227日漂流する、というあまりにも突飛なシチュエーション。それと同時に、死と隣り合わせの極限状態を、ファンタジックな映像と物語で描いてゆく、という恐るべき合わせ技を見せる物語です。しかもそれをきちんと成功させ、美しく力強い、素晴らしい作品に仕上げた手腕にはただただ脱帽でした。

いつ死が訪れるのか分からないギリギリの状況と、そんな状況の中でも決して希望を失わずに生きていこうとする意志、そしてその過酷な生を際立たせるのが、少年と虎が漂流している際に出会う、海の上での様々な出来事です。暗い海底に没した船が音もなく瞬かせる明かり、凪となり鏡面のように夕暮れの空を映し出す海、夜光虫の群れが電飾のように輝く夜の海、巨大な鯨が海面から躍り出る光景、海面を飛び交うトビウオの群れやイルカたち、そして少年と虎が流れ着いた不気味な島。そのどれもが力強いファンタジックな映像で圧倒的なまでに描き切られているのです。世界は美しく、荒々しく、そして驚異に満ちている。その中にいる自分は、宇宙に投げ出された宇宙飛行士のようにあまりにも無力だ。生命に満ち溢れた自然と、その中で死と隣り合わせに生きる生、その対比が、生きることのかけがえなさを、より一層鮮やかに、輝かせているのです。

レヴュー:海と虎と少年のオデッセイ〜映画『ライフ・オブ・パイ / トラと漂流した227日』

6位:アウトロー (監督:クリストファー・マッカリー 2012年アメリカ映画)

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クライム・サスペンスである原作を、ありがちなアクション映画に貶めることなく、正攻法でじっくり着実に描き、じわじわと映画的興奮を盛り上げてゆく作品でした。一見地味なんですが、観ているとぐいぐい引き込まれてゆくんですね。アクションと謎解きのバランスも素晴らしかった。トム・クルーズ演じる主人公と彼をサポートする女弁護士が実に魅力的に描かれていました。

まず何が良かったかって、そのじっくりしっかり組み立てられてゆく堅実極まりない物語運びですね。そして今風の細かいカット割りや矢継ぎ早のアクション編集、爆発や爆音やCGで水増しした見てくれの派手さ、そういったものを全部否定し正面からきっちり描く誠実な映像の撮り方、こういった部分が映画を独特のものとしているんですね。これはもともと脚本家として活躍しているクリストファー・マッカリーが監督したせいでしょうか、「きちんと物語を見せたい」という方向性の表れじゃないのかと思うんですよ。だから2時間10分という意外と長めの作品なのに、物語運びに無駄が無く、物語の持つサスペンスを確実に盛り上げてゆくんですよね。その物語も、「真の狙撃犯はなぜ人々を無差別に殺害したのか?」「狙撃犯はなぜ別の男を犯人に仕立て上げなければならなかったのか?」「狙撃犯を操る黒幕の正体は誰か?」「その黒幕が企む陰謀とは何なのか?」というミステリーが散りばめられ、そのミステリーの持つ緊張感と、真相が次第に明らかになってゆく興奮で、観ている者をグイグイ引っ張ってゆくんですよ。

レヴュー:映画『アウトロー』はトム君のアクションとしっかりしたストーリーが魅せる良作サスペンスだった!

7位:オブリビオン (監督:ジョセフ・コジンスキー 2013年アメリカ映画)

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人類が滅び去り、大地にはどこまでも続く廃墟と荒野が残され、そしてそこにぽつねんと存在する白く冷たく輝く未来的な建造物と飛行艇。この気の遠くなるような寂寞感溢れるヴィジュアルにまず目を奪われました。そしてそこで展開するのは一人の男の失われた記憶の謎とアイデンティティの物語。今年公開された中で最も素晴らしいSF作品だと思います。

この廃墟と化した地球の情景にぽつねんと現れる冷たく未来的なビジュアルとの対比、といった部分でこの作品はまず半分は成功しているといえる。SF映画作品としての魅力を非常に感じさせるのだ。しかしこの映画はデザインやVFXだけが魅力の映画だという訳では決してない。この『オブリビオン』を真に秀逸なSF映画たらしめているのはその物語だ。地球壊滅後の世界を描きながらも、この映画は多くの謎を冒頭から投げかけながら進行する。これらの謎が交差しながら、物語は次第に宇宙人地球侵略の真の全貌が明らかになってゆくのだ。そしてそこで描かれるのは、実はラブストーリーであり、そしてそれは、失われた記憶と、悲痛な事実とがない交ぜになった、あまりにも切ない物語だったのである。タイトル『OBLIVION』の意味は「忘却」。ジャックは何を忘却していたのか、またはさせられていたのか。自分とは誰か?自分とは何か?自分はどこから来てどこへ行くのか?かつて多くのSF作品は、それらを主題としながら幾多の傑作を残してきた。そしてこの『オブリビオン』も、そのあまりにもSF的な命題をテーマに描かれた傑作の一つとして数え上げられることは間違いない。

レヴュー:忘却の惑星〜映画『オブリビオン』

8位:ローン・レンジャー (監督:ゴア・ヴァービンスキー 2013年アメリカ映画)

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パイレーツ・オブ・カリビアン』のスタッフが再び結集した、ディズニーのお気楽アトラクション映画とばかり思って観たら、それはとんでもない勘違い、本当にいい意味で裏切られた映画でした。監督ゴア・ヴァービンスキーが『ランゴ』の流れをくむ魔術的なセンスを見せ、ファミリー・ムービー的な親しみやすさの中に先住民の悲劇と悲哀を絶妙に織り込んでいるんです。そしてなにより、クライマックスに用意された疾風怒濤のアクションの連打!あれには鳥肌が立ちました!

物語は、最初から正義のヒーロー、ローン・レンジャーが大活躍!といったものではない。ある意味この作品は「ローン・レンジャーはいかにしてローン・レンジャーになったのか」という、アメリカのヒーロー映画ではよくあるコンセプトの上で作られている。中盤までは「単なる役立たずのデカブツ」でしかないローン・レンジャー/ジョン・リードを牽引し、「戦いとはなんなのか?なぜ戦うのか?」をジョンに理解させるのがトントの役目なのだ。いわば、図体だけのジョンに心を宿させたのがトントというわけだ。ローン・レンジャーとは、ジョンの肉体とトントの精神が合致することによって初めて出現できたヒーローだったのだ。そしてクライマックス、いよいよローン・レンジャーが活躍する時がきた!白馬に乗ったローン・レンジャーが登場し、「ウィリアム・テル序曲」が高らかに鳴り響いたとき、オレは歓喜で鳥肌が立ちました。ここからは一気呵成、疾風怒濤の血湧き肉踊るアクションの連打連打に、思わず拍手喝采であります!いやあ、ええもん見せて頂きました!

レヴュー:ジョンの肉体とトントの精神〜映画『ローン・レンジャー』

9位:コズモポリス (監督:デヴィッド・クローネンバーグ 2012年フランス/カナダ/ポルトガル/イタリア映画)

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ハイテク・リムジンの中に一人ぼっちの王のごとく鎮座するマネートレーダーの虚無。空疎で観念的な会話劇として進行するこの物語は、観る者を置き去りにしてしまう難解さと退屈さがあることは否めません。しかしそこここで描かれるクローネンバーグならではの異様さ、歪んだ変態趣味が、次第に暗く冷たく脳髄を侵してゆく感覚がたまらないんですよ。リムジンの座席からシステマチックに便所が出てきてそこにオシッコするシーンは最高でしたね!

そもそも、マネートレーダーの虚無感だの、億万長者の破滅だの、世界経済の終焉の予兆だの、そんなものは本当は、どうでもいいのだ。観念的な世界に長く生きたばかりに生の実感を喪失した男の悲劇、というお行儀のいい解釈も、当たりが良すぎてつまらない。監督デヴィッド・クローネンバーグはそんなものをテーマにしたくて映画を撮ったわけでは決してないのだ。そんなことよりもこの映画の本当の楽しみは、ハイテク・リムジンに代表され、そしてそのリムジンの中だけで完結しようとする異様な人間性を描くクローネンバーグの変態性、これに尽きるのだ。そしてそうしたテクノロジーに弄ばれ、変質し、自滅する、『ビデオドローム』や『クラッシュ』でもさんざん描かれてきたクローネンバーグらしい崩壊感覚、それがやはりどこまでも暗い愉悦を観る者に与えてくれるのだ。

一見難解であり、文学的でもあるこの物語は、実は非常にクローネンバーグらしい異常さを垣間見せてくれる逸品として仕上がっているのだ。ある意味ドラッグと幻覚抜きの『裸のランチ』と言うことができるかもしれない。実際、観ている間は会話がウザくて閉口していたんだが、見終わった後、じわじわときますよ、この映画。

レヴュー:ハイテク・リムジンの中で変態化する小宇宙〜映画『コズモポリス』

10位:東ベルリンから来た女 (監督:クリスティアン・ペツォールト 2012年ドイツ映画)

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東西ドイツ統合前の、社会主義国家だった旧東ドイツの田舎町を舞台にしたドラマです。その町に赴任してきた寡黙な女医師は、監視社会と化した国を逃れ、国外脱出の計画を密かにたてていたんですね。静かで寂しげな映像の中に、自由を求め、必死で生きようとする一人の女の強い思いが鮮やかに描かれてゆき、胸を締め付けられるようなクライマックスを迎えるんです。

しかし、この映画は決してサスペンス映画という訳ではない。一人の女が、人として女として、幸福になりたい、人から愛されたい、人を幸福にしたい、そして、自由になりたい、そういったあたりまえの気持ちを封殺されながら、それでも、自分にできる最低限のことをやり通そうとする、人間的であろうとする、これはそんな、悲哀についての物語なのだ。どこまでももの寂しい風景と色彩、吹きすさぶ風の音があたかもバルバラの心象のように映画全体を覆い、物語を一層沈痛なものに変えてゆく。だが決して彼女は悲嘆の中に沈むことなく、生きることを選び通そうとする。映画のクレジットで流れる音楽はファンク・バンド、シックの名曲中の名曲「At Last Iam Free」。「最後には私は自由だ」と歌うこの曲通りに、物語の数年後に待っている筈のベルリンの壁崩壊の時、バルバラは真の自由を得る事が出来たのだろうか。

レヴュー:最後には、私は自由になれる。〜映画『東ベルリンから来た女』

東ベルリンから来た女 [DVD]

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◎【2013年オレ的映画ベストテン!!】のまとめ

というわけで【2013年オレ的映画ベストテン!!】のランキングは次の通りです。

1位:ジャンゴ 繋がれざる者

2位:華麗なるギャツビー

3位:マン・オブ・スティール

4位:ムード・インディゴ〜うたかたの日々

5位:ライフ・オブ・パイ / トラと漂流した227日

6位:アウトロー

7位:オブリビオン

8位:ローン・レンジャー

9位:コズモポリス

10位:東ベルリンから来た女

並べてみた後で気づいたんですが、これらの映画のうち、文学作品が原作となっているものが4作(『華麗なるギャツビー』『ムード・インディゴ〜うたかたの日々』『ライフ・オブ・パイ / トラと漂流した227日』『コズモポリス』)、未確認ですが原作があるらしい作品が1作(『東ベルリンから来た女』)さらにクライム・ノベル原作が1作(『アウトロー』)と、小説が元になって脚色された作品が6作(ないし5作)あったんですね。原作が優れているから素晴らしい映画だ、と言いたいわけではなくて、原作にあるしっかりと構成された物語と、そこに濃縮されたアレゴリーのあり方を、完璧に咀嚼し把握して脚色したからこそ、これらの映画作品が豊かなものになったのではないかと思います。さらに言ってしまえば、原作こそなくとも(原典はあるのでしょうが)『ジャンゴ 繋がれざる者』は、「しっかりと構成された物語と、そこに濃縮されたアレゴリーのあり方」が絶妙に表現されていたからこそ、ここまで映画的興奮に溢れた映画として完成していたのではないでしょうか。

それとは別に、『マン・オブ・スティール』『オブリビオン』『ローン・レンジャー』は、映画の視覚的な愉悦とアクションの醍醐味を、余す所なく表現した作品だと感じました。映画は、物語、視覚効果、活劇のそれぞれがバランスよく配されているのが理想でしょうが、そのひとつ、ないしふたつが特化することで映画そのものを牽引し完成度を高めることもありうるでしょう。しかしそのバランスのあり方は、逆の見方をするなら「足りないものがある」と観る方もいるわけです。要は、そのバランスのあり方がいかに自分にフィットするかによって、人の映画の楽しみ方は千差万別になる、ということです。今回10作の映画を挙げましたが、読まれた方の中には「あれとこれとそれが入ってない!なぜなんだ!?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。しかしこれは「これらの映画がいかに自分にフィットしたのか」という個人的なものであり、この選から漏れた多くの作品の中にも、優れたもの、楽しめたものが多数あったことは明記しておきたいと思います。

…というわけなんですが、明日は例によって『2013年オレ的【裏】ベストテン!』をやってみようかと思います。お楽しみに〜。

aq99aq99 2014/01/13 18:30 はじめまして!映画好きブロガーのベスト10を調べて、どの作品が、人気があったかを勝手に調べておりました。よろしければ、ご覧下さい。

20131225(Wed)

[]2013年:今年面白かった本などなど 2013年:今年面白かった本などなどを含むブックマーク 2013年:今年面白かった本などなどのブックマークコメント

沢山並べているように見えますが、これで今年読んだ本の3分の1ぐらいですから、実はたいして本は読んでいません。

■11/22/63 / スティーヴン・キング

11/22/63 上 11/22/63 下

今年一番といえばこれ、スティーヴン・キングの『11/22/63』でしょう。

キングの小説では、あらゆる出来事が、始まったその時に既に、終わりの予兆に満ちている。その終わりは、旅立ちだったり別離だったり、そして破滅であったり死であったりするのだ。それが穏やかで平穏な日であっても、喜びや楽しみや、温かな愛情であっても、今この時に生きている、という感覚を謳歌できない、うっすらとして確固たる確信、棘のように皮膚の下で疼く不安感、そのような遣る瀬無さ、無常さ、それがキングの小説には常に仄暗い鬼火のように輝いているのだ。ケネディ暗殺阻止の為、過去という「本来自分が属するべきでない世界」で生きることを余儀無くされた男が、孤独と漂泊の末に見出した愛。このささやかでかけがえのない愛さえも、自分は失わなければならないのか?時間旅行とラブ・ストーリー、この二つが絡むと、切なさはもう残酷さの域まで達する。そう、キングの『11/22/63』は、残酷なまでの切なさに満ちた時間旅行SFだったのだ。感涙必至。クライマックスが待ち受ける下巻は涙涙でページがびしょ濡れ、本がふやけてただでさえ分厚いキングの本が2倍の厚さになってしまった。ハンカチは必ず用意するべし。

レヴュー:スティーヴン・キングの新作『11/22/63』は残酷なまでの切なさに満ちた傑作時間改変SFだった!

■冬の犬 / アリステア・マクラウド

冬の犬 (新潮クレスト・ブックス)

冬の犬 (新潮クレスト・ブックス)

アリステア・マクラウドの『冬の犬』は、本当に「出会えてよかった」と思えた素晴らしい作品集でした。

そこには、厳しい自然の中で、望むも望まぬも無く、そこで生きざるを得ない、そこで生きる事しか知らない人々の、脈々たる歴史と家系が存在し、人々はその土地で、自分のできることをし、あるいはできなかったことを悔やみ、淡々と生き、人を愛し、子を生み育て、仕事をし、そして老いて、いつしか死んでゆく。ここでは人生への讃歌や自然への畏敬が描かれるのではない。ただ、自分たちは確かにそこにいて、そこに生きた、という、溜息のようにささやかな、生の記録があるだけだ。それでも、それら全ての生は、どれもが愛おしく、胸を打ち、共感に溢れている。珠玉という言葉があるが、その言葉がまさにあてはまるような、磨き上げられた珠を思わせる、極上の短編集『冬の犬』。本を読むのが好きな方であれば、きっと堪能できる作品集であるに違いない。あと、動物が、特に犬が頻繁に登場するので、動物好き・犬好きの人にもお勧めです。

レヴュー:冬の町、冬の土地、冬の人々。〜アリステア・マクラウド珠玉の短編集『冬の犬』

■老人と宇宙(そら)シリーズ / ジョン・スコルジー

老人と宇宙(そら) (ハヤカワ文庫SF) 遠すぎた星 老人と宇宙2 (ハヤカワ文庫SF) 最後の星戦 老人と宇宙3 (ハヤカワ文庫SF) ゾーイの物語 老人と宇宙4 (ハヤカワ文庫SF) 戦いの虚空 (老人と宇宙5)

今年読んだ中で1番のSFといえばこれ。というか、これ以外のSFはみんなつまらなかったぐらい。

75歳以上でないと入隊できない宇宙防衛軍!という設定から、爺さん婆さんがヨロヨロしながら異星人と戦うコメディSFかと思ったらさにあらず、人生を十分謳歌した75歳以上の人間だからこそ送り出される死と隣り合わせの熾烈な宇宙戦争がそこには待っていた、というお話なんですね。しかし爺さん婆さんじゃ戦士として役に立たないんじゃ?と思われるかもしれませんが、彼らは超テクノロジーにより見た目の肉体も20代の完璧な戦士へと改造手術を受けたりするんですね。そしてこの物語の面白いところは、この超テクノロジーが地球人には隠され、コロニー連合という異星に版図を広げた人類だけが知っている、という設定なんですね。コロニー連合というのはどこか政治的に秘密を抱えた謎の多い人類集団だということが明らかになるにつれ、この物語がよくある単純なミリタリーSFとは一味違う物語世界を展開しようとしていることがわかってくるんです。その中で、映画『スターシップ・トゥルーパー』の原作ともなったロバート・A・ハインラインの『宇宙の戦士』を現代的にバージョン・アップした異星人との宇宙戦争が描かれてゆくんですよ。

レヴュー:ジョン・スコルジーの『老人と宇宙(そら)』4部作読んだ (その1)
レヴュー:ジョン・スコルジーの『老人と宇宙(そら)』4部作読んだ (その2)
レヴュー:「老人と宇宙」シリーズ第5巻『戦いの虚空』は新たな章の始まりだった!

■考える生き方 / finalvent

考える生き方

考える生き方

オレにとって、顔見知りのブロガーさん以外で、最も尊敬でき、信頼できるブロガーはfinalventさんなんだと思う。

そんなfinalventさんが本を出した。『考える生き方』というタイトルで、ご本人も言及されているが、「自分語り」の内容だ。かねてから、「この人はいったいどういう方なのだろう?」と興味津々だった自分はさっそく読んでみた。「仕事・家族・恋愛・難病・学問、そして「人生の終わり」をどう了解するか?「極東ブログ」を主宰し、ネット界で尊敬を集める有名ブロガーが半生と思索を綴る」と惹句にあるように、そこにはfinalventさんの紆余曲折を経た半生と共に、それと自分がどう向き合ってきたか、どう考えてきたのか、が書かれている。書かれてはいるが、それは「こうすれば成功する!」だの「こうすればがっぽり儲かる!」などということが書かれているわけでは当然無い。もちろん「こう考えるのが人生を乗り切るベターな方法」といったハウツーものでもない。逆に書かれているのは、「そんなに成功した人生なんかじゃない、むしろ失敗した人生なんですよ」ということと、「自分の人生って空っぽだったのかなあ、と思うことがあります」ということだったりする。だからこその「空しさを希望に変えるために」という副題なのだ。

レヴュー:『考える生き方』を読んでわしも考えた

久住昌之のこんどは山かい!? 関東編 / 久住昌之

久住昌之のこんどは山かい!? 関東編

久住昌之のこんどは山かい!? 関東編

久住さんの軽妙洒脱な文章で書かれた「低山登山」体験記。これは山に(ただし低山)に行きたくなる!

久住昌之のこんどは山かい!? 関東編」は、オレと同じく山に全然興味が無く関わりもなかった久住昌之さんが、編集さんに言いくるめられて関東近辺のあちこちの山で低山登山を体験するというエッセイだ。久住さんはただ山なだけなら全然興味を惹かれなかっただろうが、山登り後に現地のメシ屋で美味い酒と美味い食いもんにありつける、と聞かされてついつい山登りをしちゃうのである。そしていわゆる素人向け登山らしく、なにしろ低地で、しかもだいたいは頂上近くまで車で行けるだけ行ってあとは降りてくるだけ、そして待つのは美味い酒と食いもの、それと温泉、という実にお気楽な登山をしてくるのである。

レヴュー:オレと山、山とオレ〜『久住昌之のこんどは山かい!? 関東編』

■ケンブリッジ・シックス / チャールズ・カミング

久方ぶりにスパイ小説でキリキリとした緊張感を味わいました。

虚々実々、権謀術策の陰謀に次ぐ陰謀が渦を巻き、網の目のように罠が張り巡らされ、何が真実で何が嘘なのか、誰が味方で誰が敵なのか茫として解らぬままギャデスは運命に翻弄されていきます。それはあたかも鏡の国の戦争に巻き込まれたかのような、現実の裏側で進行する影の戦争、誰一人知らない闇の組織との戦いです。二重思考と二重生活、裏と表の社会に生きる諜報員たちが次々と登場し、まるでこの世界は一枚皮を剥くと誰も見たこともない不気味な異世界が広がっているかのようにさえ感じさせます。この物語は、ル・カレに代表するような敵対諜報部同士の息詰まるような諜報合戦を描くエスピオナージュ小説ではなく、「国家さえも揺るがすような、知るべきではない事実を知ってしまったごく平凡な男が巻き込まれる身の毛もよだつスリラー」として突出した面白さを醸し出しています。

レヴュー:”知りすぎた男”の恐怖を描く緊迫のエスピオナージュ小説『ケンブリッジ・シックス』

■不浄の血―アイザック・バシェヴィス・シンガー傑作選 / アイザック・バシェヴィス・シンガー

ユダヤ社会の徹底した異文化ぶりを堪能しました。

シンガーの作品群はその書かれた言語と同じようにホロコースト以前のドイツ・東欧ユダヤ人社会とその文化を主に描いている。そしてその文化の中心となるのは、なんといってもユダヤ教の戒律であり、その戒律を通じて描かれる人々の営みであり、そしてその戒律から生み出されるユダヤ人であることの歴史性とアイデンティティであり、さらにその戒律の禁忌から生み出される背教と戒めの物語なのだ。それにしてもこの短編集を読んでいて正直、ここまでユダヤ教というものが、古代パレスチナから連綿とその民族的歴史性を固持し続けるものであるとは思わなかった。ユダヤ教の歴史はそれこそ旧約聖書時代まで遡り、その成立以前である紀元前1280年頃のモーゼ十戒まで含めると実に3千有余年、少なくとも2500年以前の暮らしや規律や生きる寄る辺とする物の在り方を頑なに近代まで守り続けていたのだ。それはある意味、現在に残された古代といった様相すらある。

レヴュー:イデッシュ語で描かれた古くそして豊潤なるユダヤ社会〜『不浄の血―アイザック・バシェヴィス・シンガー傑作選』

■黄金の街 / リチャード・プライス

黄金の街 (上) (講談社文庫) 黄金の街 (下) (講談社文庫)

映画的で丹念な情景描写が秀逸でした。

確かに、派手でびっくりするような展開は無いにせよ、この「丹念な筆致」がこの物語を第一級の作品にしていることは間違いない。この丹念さは、実は作者が実際にニューヨークの街を歩き、様々な人や警官にリサーチしながら、その生の声や実際にあった出来事を積み重ね、それをフィクションの中に丁寧に生かした結果なのだそうだ。だから、この物語では一つの物事に対する人間の反応や対応の仕方が一筋縄ではなくて非常に面白い。一筋縄ではない、というのは、時として予想を裏切り、普通ならしないであろうと思われるような行動や言動をついついしてしまう、といった部分だ。

レヴュー:映画好きの方にこそお勧めしたいクライム・ノヴェル『黄金の街』(リチャード・プライス著)

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20131224(Tue)

[]2013年:今年面白かったコミックなどなど 2013年:今年面白かったコミックなどなどを含むブックマーク 2013年:今年面白かったコミックなどなどのブックマークコメント

■海外コミック編

〇ブラックホール / チャールズ・バーンズ

今年一番衝撃を受けた海外コミック。海外コミックの奥深さを思い知らされました。

チャールズ・バーンズの『ブラックホール』は、こうした青春期の暗黒が無慈悲なほどに徹底的に描かれてゆく。この物語はそれ自体が血を流し、毒の吐息を吐き、苦痛の悲鳴をあげてさえいるように思えて仕方なかった。おぞましく、暗く、孤独で、惨めな青春の墓標。自らの青春期に、なにがしかの躓きを覚えたことのあるものならば、この物語の終焉に待つものに、静かな衝撃と深い共感を受けることは間違いないはずだ。個人的には2013年上半期に刊行された海外コミックの中でも最大の問題作であり最高の傑作であると確信した。興味の湧いた方は是非手にとって読んでいただきたい。その素晴らしさは保障する。

悲しくて醜くて受け入れがたいもの 〜アメリカ・オルタナティブ・コミックの傑作 『ブラックホール』

〇シェヘラザード 千夜一夜物語 / セルジオ・トッピ

千夜一夜物語』を題材にした、イタリアのコミック。アメコミ、バンドデシネとも違う親しみやすさ、エキゾチズム、そして何より卓越したグラフィックに目を見張らされました。

この作品集に収められた11の物語は、それぞれが千夜一夜物語に題を取りながらも若干の脚色がなされているという。そしてその多くは、高慢と驕りの物語であり、(神・魔人・人との)契約と裏切りの物語であり、そして力無きものの知恵の物語なのである。それは翻れば、夜毎処女たちを弄び朝日と共にその首を刎ねる狂王の高慢と驕り、かつては誉れ高き王であった者の裏切られた運命、力こそ無いけれども命を守るため知恵を絞り物語を続けるシェヘラザードと、それぞれが繋がってはいないだろうか。シェヘラザードは、そういった暗喩に満ちた物語を紡ぐことで狂王を正気へと目覚めさせようとしていたのではないか。そう、全ては繋がっているのだ。

不毛の荒野に広がる苛烈と残酷の物語〜『シェヘラザード 千夜一夜物語』

〇天使の爪 / メビウス&ホドロフスキー
天使の爪

天使の爪

アレクサンドロ・ホドロフスキー原作、メビウス画のエロティック・バンドデシネ。単なるポルノグラフィにとどまらない突き抜けたエロティシズムは、このコンビの凄みを改めて感じさせました。

この『天使の爪』はコミック形式の作品ではなく、『猫の目』と同じくメビウス描く大判のグラフィックにホドロフスキーの散文が添えられ、ある種のストーリーめいたものを形作る構成となっているのだが、このグラフィックがことごとく、あからさまにインモラルな性的イメージに満ち溢れたものなのだ。そしてそれにインスパイアされて書かれたホドロフスキーの文章は、この物語の"主人公"とされる"女"の倒錯した性の遍歴を、それが密教の秘儀の如くであるように魔術的に描写するのである。

メビウス&ホドロフスキーのタッグで送る超絶ポルノグラフィ〜『天使の爪』

〇闇の国々III,IV / ブノワ・ペータース、フランソワ・スクイテン

闇の国々III 闇の国々IV

異界の都市を巡る幻想と驚異の物語、その恐るべき画力とイメージ力でバンドデシネの物凄さを思い知らせてくれた連作『闇の国々』も遂に完結。

ブノワ・ペータースとフランソワ・スクイテンによるBD、『闇の国々』日本語翻訳が今回の第4巻でとりあえずの完結を迎える事になった。『闇の国々』は架空の世界の架空の都市群を舞台に、そこで巻き起こる様々な謎めいた事件や現象を描いたものだが、何よりもフランソワ・スクイテンによる精緻極まる建造物の描写が目を奪う作品だった。架空の都市に屹立し都市全てを覆う高層建築、また、荒野に突如現れる異形の遺跡群は時代を超越した数多の様式が混沌として混じり合い、それ自体が迷宮のごとく存在した。これらを描く銅板画のように硬質な描線と幻惑的なデザイン、気の遠くなるような遠大なスケール感が何より魅力的な作品だったのだ。さらに、そこで暮らし、そして怪異に出会う人々は19世紀から20初頭を思わせる文化の中で生活しつつ、未知の科学技術がその中に応用され、それは過去と未来の混合したレトロ・フューチャーなテイストを表出させていた。

不条理の迷宮〜『闇の国々III』

異界の都市の物語、堂々完結。〜『闇の国々IV』

■国内コミック編

〇風童(かぜわらし)、みずほ草子(1) / 花輪和一

風童 ーかぜわらしー (ビッグコミックススペシャル) みずほ草紙 1 (ビッグコミックススペシャル)

日本の中世を舞台にし、異界と現世とが重なった独特のアニミズム世界を描きながら、人の生の苦しみと救いを浮かび上がらせる花輪和一ならではの珠玉の短編集。

花輪は日本の中世〜近代を舞台にした怪奇幻想譚を得意とするが、その作品のテーマは単に怪異のみを描くものではなく、その怪異を通して人の持つ"業"の深さを浮かび上がらせようとする。そこで描かれるのは人の残酷さ、人の運命の残酷さ、その救いようの無さだ。ただし花輪は同時に、その救済も描こうとする。しかしその救済は、子供のように無私であることだったり、現世利益を期待せず全ての願望も欲望も捨て去ることだったり、動物のようにただ生きている実感だけを信じる事だったり、非常に宗教的である分、おそろしくストイックでギリギリのものだったりする。即ち花輪世界における救済は、非常に難易度の高い救済なのだ。しかし難易度が高いからこそ、よじれまくった【因業】を断つ最終兵器と成り得るのだ。

祝・花輪和一の新作作品集2冊同時刊行!!

〇I 【アイ】/ いがらしみきお

I【アイ】 第1集 (IKKI COMIX) I 2 (IKKI COMIX) I【アイ】 3 (IKKI COMIX)

神は存在するのか?人はなぜ生き、そして死ぬのか?人はいつか救われるのか?そもそも「救い」とはなんなのか?そして人はなぜ、「ここ」に存在するのか?そんなメタフィジカルなテーマを掲げながらダークなホラー作品として展開していたいがらしみきおの長編コミック『 I 【アイ】』が遂に完結。

物語は、現実というものがうまく捉えられない少年・雅彦と、奇妙な能力を持った異様な風体の少年・イサオとが主人公となる。放浪の旅に出た二人は、夥しいほどの死と生々しく接してゆくが、その死には、常にイサオが関わっていた。しかし死の寸前に、彼らはイサオによって「救われて」いたのだ。そしてイサオが時折呟く謎の言葉。それらは、世界と人との接点と、その世界を認識する人の意識の在り方と、その中から導き出される、概念としての【神】を暗にほのめかしていたのである。イサオはいったい何者なのか?そして雅彦の放浪の果てに待つものは何か?コミック『 I 【アイ】』はこうした物語である。

神は存在したのか?〜『 I 【アイ】 (3)』 / いがらしみきお

ちいさこべえ / 望月ミネタロウ

ちいさこべえ 1 (ビッグコミックススペシャル) ちいさこべえ 2 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

山本周五郎原作の人間ドラマ。古き善き日本映画を観ているような和風な感触が堪らなくいい。

物語の主人公は大工の若棟梁・茂次。彼は物語冒頭で大火事により両親を亡くす。自らの工務店を建て直すため奔走する茂次は、店の手伝いに幼馴染だった若い娘・りつを雇う。そしてこのりつが、先の大火事でやはり焼けてしまった福祉施設の孤児たち5人を、茂次の家で養いたいと言い出すところから物語が始まる。茂次とりつ、二人の性格設定がいい。意地っ張りの茂次、強情なりつ。自分を曲げないという部分で二人は似たもの同士だが、だからこそ二人はなかなか相容れない(まあ大体茂次が折れるのだが)。将来的にはロマンス要素もあるのだろうけれども、この巻ではそういった甘さはない。この二人のきちっと立ち上がった性格描写が読んでいてとても心地よいのだ。

山本周五郎原作で綴られる望月ミネタロウの新作漫画『ちいさこべえ』

〇テルマエ・ロマエ / ヤマザキマリ

お風呂というキーワードでもって現代と古代ローマ比較文化論を展開した『テルマエ・ロマエ』は、時空を超えたロマンチックなクライマックスを迎えました。

漫画『テルマエ・ロマエ』は、古代ローマの浴場技師ルシウスが現代日本にタイムトラベルして優れた風呂文化を目の当たりにする、という物語でしたが、実はこれは逆で、日本のお風呂を愛する作者が、同じように愛するローマ文化を、風呂という切り口で幻視した物語、ということができるのではないでしょうか。そしてそれは、温泉宿育ちで古代ローマ文化に精通する女性、さつきさんが登場することにより、一巡して構造が成立するんですよね。そしてそのさつきさんとルシウスのロマンスは、イタリア人夫を持つ作者自身とも綺麗に重なってしまうんですよね。ですから、『テルマエ・ロマエ』後半のロマンス展開はある意味必然であっただろうし、さつきさんが古代ローマへと旅立つクライマックスは、それ自体が作者の古代ローマへの強い愛情と郷愁の結果でもあるんですよね。

『テルマエ・ロマエ』が完結した。

〇エリア51、ノブナガン / 久正人

エリア51  7 (BUNCH COMICS) ノブナガン(4) (アース・スターコミックス)

久正人がブレイクしてくれてとても嬉しい。

『ジャバウォッキー』同様独特のコントラスト度の高いハイセンスなグラフィックとトリッキーなアングルを駆使し、「モンスターvs美少女」の物語を時にエキサイティングに、そして時に残酷に描いてゆくんですよ。そんな甘さを配したハードボイルドな物語の中に、時折怒涛の如く噴出する主人公の痛ましいほどのパッションが熱いんですね。(エリア51)

いわばこの物語、鬱展開の全く存在しないエヴァンゲリオン的な世界観の中でサイボーグ009みたいな個々に個性的な超能力を持つ若者たちが力を合わせて敵と戦う、といったものなんですね。この超能力少年少女たちのエイリアン・テクノロジーを身にまとった姿や敵宇宙生物のビジュアルがまた久正人らしい卓越したグラフィックでデザインされ目を楽しませます。(ノブナガン

久正人のハイセンスなグラフィックが躍るモンスター・コミック、『エリア51』と『ノブナガン』

〇地上の記憶 / 白山宣之
地上の記憶 (アクションコミックス)

地上の記憶 (アクションコミックス)

夭折した漫画家、白山宣之の作品集。上質な文学小説を読んでいるような作品に感嘆しました。

端正な描線の絵を描かれていたこと以外その作風がどんなものか思い出せず、折角だから読んでみようと思い購入してみた。そして読んでみて驚いた。これが近年にない素晴らしい漫画体験だったからだ。収録作品は最も古い昭和54年作「Tropico」から平成15年作「大力伝」まで全5作。寡作だったことで知られ、さらに現行で流通している単行本はこの「地上の記憶」だけだということを考えると、「埋もれたままなのがあまりにも惜しい作家」の秀作の数々を、遺作集という形でしか体験できないことがなにより口惜しい。

惜しまれつつ世を去った白山宣之の瑞々しい遺作集『地上の記憶』

〇ベアゲルター(1) / 沙村広明
ベアゲルター(1) (シリウスKC)

ベアゲルター(1) (シリウスKC)

叛逆ズベ公4人組が繰り広げろハイパーバイオレンス世界。昭和任侠・バイオレンス映画、スプラッタ/トーチャーホラー、なにより『キル・ビル』好きにお薦めしたい1作。

女!エロ!ヤクザ!暴力!陰謀!殺戮!などなどが乱れ飛ぶノワール作品となっているわけである。沙村広明の代表作『無限の住人』は乗り遅れてしまって読んでおらず、せいぜい彼の単発作『ブラッドハーレーの馬車』を1冊読んだことがある程度なのだが、そこで感じた冷え冷えとした暴力と淫蕩なエロティシズム、そして穿たれた孔のような昏い狂気は共通している。そしてやはり、作者が公言しているように、この『ベアゲルター』は当初、「女囚サソリみたいな復讐系キャラやスケバンキャラも出して70年代東映テイストで」ということが目論まれて執筆されたのだという。

70年代東映テイストの”ずべ公”バイオレンス・アクション、沙村広明の『ベアゲルター』

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20131223(Mon)

[]2013年:今年面白かったゲームなどなど 2013年:今年面白かったゲームなどなどを含むブックマーク 2013年:今年面白かったゲームなどなどのブックマークコメント

トゥームレイダー

今年プレイした中で一番楽しかったのはこの新生『トゥームレイダー』でした。

で、今回の『Tomb Raiderトゥームレイダー)』、アクション・ゲームとしては『アンチャーテッド』に非常に近いものを感じさせます。『アンチャーテッド』が『Tomb Raiderトゥームレイダー)』に敬意を表したトレジャー・ハンター・ゲームだということを考えると面白いですね。謎解きと戦闘が半々ぐらいですが、設定にもよりますが凶悪な難易度というものではありません。銃の弾数やライフゲージなどのGUIを廃したのも今風ですよね。しかし『アンチャーテッド』との違いはゲーム世界の暗さや敵の非情さでしょう。これは主人公ララが決して能天気なタフガイではなく華奢で冒険慣れしていない若い女性である、といった部分で決定的に違ってきていますね。そのララが血塗れ傷塗れになりながら冒険を続けてゆく、という心細さが逆に緊張感を生み出しているんですね。

レヴュー:21歳、ララ・クラフト初めての冒険〜ゲーム『Tomb Raider(トゥームレイダー)』

〇Metro: Last Light

2010年に発売されたFPSゲーム『Metro:2033』の続編、『Metro: Last Light』。FPSゲームではこれの出来がよかったなあ。PC版でプレイしました。

暗闇に包まれ、迷路と化した地下鉄坑道は、瓦礫と腐った植物に覆われ、白骨死体が山のように打ち捨てられ、蜘蛛の巣がそこここにかかり、巨大化した虫と虫の卵があちこちに固まり、そこを歩く気持ち悪さは半端ではありません。それと同時にそのビジュアルの再現度の高さに心奪われます。プレイヤーの装着したマスクに水滴が付着する描写はFPSゲームではよくありますが、この『Metro: Last Light』ではさらに飛んできたハエがぶつかってきたり、バカでかい蜘蛛がくっついたり、泥が跳ねたり、倒したモンスターの血痕が付着したりと恐ろしく細かいのです。それだけではなく、それらマスクの付着物を「拭き取る」というアクションが出来る、という細かい演出振り!

レヴュー:人類滅亡後のロシア、地下鉄坑道に生き残った人々の戦いを描く『Metro: Last Light』

Dead Space 3

Dead Space 3 (輸入版:北米) - PS3

Dead Space 3 (輸入版:北米) - PS3

Dead Space』シリーズ新作。これはもう出たらやらなきゃダメでしょう。相変わらずローカライズ版はありません。

Dead Space』というのは映画『エイリアン』+『遊星からの物体X』+ゲーム『バイオハザード』といったゲームなんですな。宇宙船の中で物体Xに取り付かれたかアンブレラのウィルスに感染した連中がグログロな化け物に変身してプレイヤーを追っかけまわす、という内容で(正確にはエイリアンテクノロジーの暴走らしいですが)、プレイヤーはそれら化け物の皆さんを採掘作業用の工具でガシガシと汚い肉片に変えてゆく(そしてガシガシ踏んづける)、というのがゲームの趣旨であります。多分。採掘作業用の工具が武器っちゅうのは『Half-life』でゴードン・フリーマン博士がバールやレンチ使って異界の化け物と戦うのと似た独特の現場作業員感があって哀愁を漂わせておりますな。

レヴュー:『Dead Space 3』は相変わらず死体を踏んづけまくる愉快な化け物ゲームだった!

メタルギア ライジング リベンジェンス

メタルギア』シリーズの番外編はチャンバラアクション!

さて今回の『MGR』、なにしろ剣戟アクションなわけですよ。ハイテク刀振り回して敵を次々とぶった斬って行くわけですが、ハイテク刀なだけに何でも斬っちゃうんですよ、これがかな〜り気持ち良いんですよ。敵のサイボーグのみならずロボット兵器まで切り刻んでしまう、それだけじゃなくゲーム内のオブジェも切り刻んじゃう、橋の上にいる敵なんか橋桁ぶった切って落としちゃう、この斬って斬って斬りまくるアクションが楽しいんですよ。まあなにもかも斬れる訳ではないんですが、ゲーム中にぶった斬れるものを発見した時にはゲームの進行とは全く関係ないのにとりあえずバサバサバサ!とやって「おおお斬れる斬れまくるぞウヒヒ」とか無意味に喜んでしまう、そういう楽しさがこのゲームにはあるんですな。

レヴュー:ぶった斬る快感とスピード感!〜『メタルギア ライジング リベンジェンス』

Call Of Duty: Ghosts

まあ相変わらずっちゃあ相変わらずなんですが、出ればやっぱり買ってプレイしちゃう『Call Of Duty』シリーズ新作。

この「Ghosts」、例によって「Cod」シリーズらしい派手派手な物語展開を見せます。まず冒頭の宇宙空間での戦闘にびっくりさせられますな!崩壊する軍事衛星、真空の宇宙空間に放り出される兵士、といった映像は、日本公開が迫ってきた映画『ゼロ・グラビティ』そのままの緊迫感で御座いますよ。そして軍事衛星から射出される兵器(多分レールガンなんじゃないかな?)により大地まで切り裂かれてゆくアメリカ滅亡の映像はローランド・エメリッヒの世界終末映画『2012』を彷彿させましたな。

レヴュー:今回も相変わらずのド派手な戦闘が展開!〜ゲーム『Call Of Duty: Ghosts』

20131222(Sun)

[]ねこぢるyの新作ねこぢる『お化けアパート』 ねこぢるyの新作ねこぢる『お化けアパート』を含むブックマーク ねこぢるyの新作ねこぢる『お化けアパート』のブックマークコメント

■お化けアパート(上)/ ねこぢるy

おばけアパート・前編 (TH COMIC Series)

涅槃の彼方を描く『ねこぢるうどん』の作者・ねこぢるの謎の自死は衝撃だった。ニーチェの「深淵を覗き込むとき、深淵もまたお前を覗き込む」という言葉の通りに、彼女もまた自らの覗く涅槃の彼方に取り込まれてしまったのだろうか。

彼女の死後、夫でもある漫画家・山野一が、「ねこぢるy」(末尾のyは山野のyなのだろう)というペンネームでねこぢる世界を再構築し世に送り出す。ねこぢるyが描き出すその世界は、亡くなった妻をもう一度この世界に出現させる、あたかも魂呼びの儀式の如き恐るべき作業だったに違いない。

そして今回書き下ろしの形で出版された『お化けアパート』は、これまでのねこぢるyのイタコ化した作風と異なり、涅槃の彼方へと旅立ったねこじると、現世に生きる山野一が融合したかのような新たな地平を見せる。ねこぢるであってねこぢるではなく、山野一であって山野一ではない。ねこぢるの不条理と前衛は説明のある物語へと変換され、透徹した涅槃への憧憬は現世での生きる苦しみに書き換えられ、法悦の中で漂うかのような幻視は映画的なアクションへと様変わりする。

これらはかつてのねこぢるが描いたであろう作品とは趣を異にする。しかし、現在進行形のねこぢるyの作品として考えると目を見張るような進化ではある。これは、漫画家・山野がようやくねこぢるの死を乗り越え、新生ねこぢるyとして活動を始めたということではないだろうか。そしてオレは、これでいいのだと思う。畢竟この世は生きる者の世界であり、そして我々は死ぬまでこの世界でジタバタしなければならないからだ。これからのねこぢるyの活動に期待したい。

おばけアパート・前編 (TH COMIC Series)

おばけアパート・前編 (TH COMIC Series)

『お化けアパート』を読んだついでに山野一の漫画も購入。まだ読んでないけど、パラパラめくってみた感じは…いやあどっぷりディープだわ…。

■四丁目の夕日 / 山野一

四丁目の夕日 (扶桑社文庫)

四丁目の夕日 (扶桑社文庫)

■混沌大陸パンゲア / 山野一

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[]購入コミック覚え書き 購入コミック覚え書きを含むブックマーク 購入コミック覚え書きのブックマークコメント

■瓜子姫の夜・シンデレラの朝 / 諸星大二郎

「瓜子姫とかシンデレラとか一回やってなかったっけ?また再録だらけの編集本?」と思ったら見事に新作だけだった。これまで民俗学的切り口からあやかしの物語を紡いでいた諸星だが、今回は掲載誌のせいもあるのかきっちりダークファンタジー。オチの弱い作品が散見しつつ決してクオリティは落ちていない。さらに題材も和風、洋風、中華風と、楽しくなってくるようなバラエティに富み、しかもそれがどれも面白い。諸星に関しては新作が読める、というただそれだけのことがしみじみと有難い。

ちいさこべえ(2) / 望月ミネタロウ

山本周五郎の短編小説を現代解釈した望月ミネタロウのコミック『ちいさこべえ』。登場人物たちの細かな心の機微を、絶妙な描線で描かれた絵と、台詞の無いコマの積み重ねと、そこから生まれる淡々と湧き上がるような緊張感だけで描き出す、その構成力が唯一無二の作品世界を生み出している。この2巻ではさらにそれが研ぎ澄まされ、何か古い日本の名作映画を観ているような醍醐味を感じた。

ノブナガン(4) / 久正人

ノブナガン(4) (アース・スターコミックス)

ノブナガン(4) (アース・スターコミックス)

■エリア51(7) / 久正人

エリア51  7 (BUNCH COMICS)

エリア51 7 (BUNCH COMICS)

とても好きな漫画家だけど久正人は意外と独創的過ぎるところがあるから、知る人ぞ知るで終わってしまうのは惜しいなあと思ってたけど、アニメ化ですっかり認知度を上げ、このまま人気が出て良質な作品をコンスタントに生み出してくれるようになれば、ファンとしても願ったりかなったりだなあ。

アオイホノオ(10)(11) / 島本和彦

アオイホノオ (10) (少年サンデーコミックススペシャル) アオイホノオ (11) (少年サンデーコミックススペシャル)

「おおアオイホノオの11巻が出ておるわい」と買って読んだらなんか変な感じがして、で、どうやら10巻を買い洩らしていたようなんだよな。まあそれでも相変わらずホノオ君が燃え上がるルサンチマンで我が身を焼き焦がしている、という部分では一貫していて、話が分かんなくなるっていうこともなかった、というのが面白かった。

■イノサン(3) / 坂本眞一

イノサン 3 (ヤングジャンプコミックス)

イノサン 3 (ヤングジャンプコミックス)

華麗なる描線、優美なグラフィック、エモな主人公、そして徹底的にゲスい物語展開。フランス死刑執行人という歴史上に実在したエキセントリックなキャラクターを題材を選びながら、描かれているのはお化け屋敷。わかった!これは【ゴス】なんだね!目の下に星の刺青したキャラが大見得切って登場した時にはゲラゲラ笑っちゃいました。いいなあ、どんどん面白くなってくるぞこのマンガ。

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20131221(Sat)

[]最近聴いたエレクトロニック・ミュージック / Laurel Halo、Booka Shade、Fluxion、John Talabot、Breach、Gherkin Jerks 最近聴いたエレクトロニック・ミュージック / Laurel Halo、Booka Shade、Fluxion、John Talabot、Breach、Gherkin Jerksを含むブックマーク 最近聴いたエレクトロニック・ミュージック / Laurel Halo、Booka Shade、Fluxion、John Talabot、Breach、Gherkin Jerksのブックマークコメント

■Chance Of Rain / Laurel Halo

Kode 9主宰によるダブステップ・レーベルHyperdubからリリースされた、ブルックリン出身の女性プロデューサーLaurel Haloによるニュー・アルバム。ドローン/アンビエント、ダブテクノ、チルウェイヴなどの音を混在させながら幻想的な音世界を構築している。派手さはないがこれはじんわりはまった。今回のお勧め。変なジャケットもいい。 《試聴》

D

■Eve / Booka Shade

Eve

Eve

ベルリンを中心に活動するテクノ/ハウス・デュオBooka Shadeのニュー・アルバム。カラフルで多幸感に満ちた曲が多いが、なんといってもLil Louisのトラックをサンプリングした「Love Inc」がいい!CDは2枚組でMIXとNON-MIXを収録。 《試聴》

D

■Vibrant Forms (reissue) / Fluxion

Vibrant Forms

Vibrant Forms

BASIC CHANNEL傘下の伝説的レーベル・CHAIN REACTION出身、FLUXIONが1999年にリリースしたアルバムのリイシュー。当時既にダブ・テクノを先取りしたかのようなハードかつ先鋭的なサウンド。 《試聴》

D

■DJ Kicks / John Talabot

DJ-KICKS (IMPORT)

DJ-KICKS (IMPORT)

ドイツの老舗レーベルK7のコンピレーション・シリーズ「DJ Kicks」、今回のDJはバルセロナ在住のJohn Talabot。 《試聴》

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■DJ-Kicks / Breach

DJ-KICKS

DJ-KICKS

「DJ-Kicks」をさらにもう一枚。DJを務めるBreachは実はイギリス・ブリストル出身のアーチストBen Westbeechの別名。ソフトなハウス・ミュージック

《試聴》

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■The Gherkin Jerks Compilation / Gherkin Jerks

MR. FINGERSやFINGERS INC.としても知られるシカゴ・ハウスのパイオニア、Larry Heardが80年代にGherkin Jerks名義でリリースしていたレア・シカゴハウス・シングル集。 《試聴》

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20131220(Fri)

[]ビン・ラディンがゾンビになって襲ってくる!?〜映画『オゾンビ』 ビン・ラディンがゾンビになって襲ってくる!?〜映画『オゾンビ』を含むブックマーク ビン・ラディンがゾンビになって襲ってくる!?〜映画『オゾンビ』のブックマークコメント

■オゾンビ (監督:ジョン・ライド 2012年アメリカ映画)

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助手「ありゃありゃ、博士またゾンビ映画観てるんですか。ゾンビ映画飽きたっていうのは嘘だったんですか」
博士「待て待て。この映画、なんとあのオサマ・ビン・ラディンがゾンビになって襲ってくるという、香ばしいまでの一発ネタで作られたゾンビ映画なのじゃ」
助手「はー。ホントにトンデモ系ですね。ゾンビ映画ってもうキワモノやるぐらいしか残されてないんですかねえ。しかしタイトル『おゾンビ』って、いったいゾンビを丁寧に言ってどうなるっていうんですか」
博士「ちゃうちゃう。オサマとゾンビを掛け合わせて『オゾンビ』というわけなのじゃ」
助手「おお、ビン・ラディンがアメリカ軍に暗殺されちゃう冒頭は見事に『ゼロ・ダーク・サーティー』のラストと一緒ですね。このまま『ゼロ・ダーク・サーティー2』とか言って公開しても騙されて観に来る人がいるかもしれませんね」
博士「おらんおらん」
助手「で、やっぱりただでさえ老い先短い人生の時間をとことん無駄にしたとしみじみ思わせ歯軋りと涙の止まらないサイテー映画だったんでしょ?」
博士「いや、確かに「さてどんだけ突っ込んでやろうかの」と思ってわくわくして観始めたのじゃが、なんとこれが、予想に反して意外と頑張って作られているゾンビ映画での」
助手「トンデモネタ映画のクセに生意気ですね」
博士「ゾンビ化したビン・ラディンを捜索をする為アフガンに派遣されたアメリカ特殊部隊と、911で多くの仲間を失い復讐の為に単身アフガンに乗り込んだ元消防士と、その元消防士の消息を追ってやってきた元消防士の妹が登場人物なんじゃが、これがどれもキャラが非常によく立ってての。特殊部隊の主人公がコリン・ファレル似で、これがなぜかすぐ脱ぎたがる、という変なキャラなのじゃ。それと特殊部隊の女兵士は刀を振り回してゾンビをやっつける金髪美人で、さらに元消防士の妹さんというのも落ち着いた黒髪がなかなか悪くない美人ちゃんで、わしはどっちの美人ちゃんを選べばいいのか悩んでしまったぐらいじゃ」
助手「選ぶって、何をですか」
博士「妄想の中のわしのヨメじゃ」
助手「…で、最終的にコリン・ファレル似を選ぶことにしたわけですね博士!」
博士「…(ポッ)」
助手「…(マジかよこのオッサン!?)」
博士「ゴホン。映画自体は独特のユルイ雰囲気で描かれておって、まあダレるっちゃあダレるんじゃが、ダレつつもどうでもいい無駄話をグダグダしており、この無駄話がタランティーノ映画っぽくていいのじゃよ。まあちょっと褒めすぎじゃが」
助手「僕と博士のこの映画レビューもグダグダの無駄話ですけど、タランティーノ映画のタの字も無いですね」
博士「ほっとけ。で、登場人物たちが常に別行動だったり二手に分かれたりしておって、これにより常に様々な視点で物語が進行しているのじゃ。あと、ゾンビというのがみんなもともとタリバン兵とかアフガンのいたいけな農民の皆さんなので、イスラームな出で立ち・顔つきのゾンビ、というのが新鮮だったの。これはゾンビがみんなアフロ・アフリカのみなさん、という『ゾンビ大陸アフリカ』と似たエキゾチズムが漂っておったぞ」
助手「ゾンビはもうあらゆる人種と国家を網羅してますね。エスキモーゾンビとかもあったりするんですかね。探すとホントにありそうだから怖いなあ」
博士「さらに舞台が戦地だけにアメリカ特殊部隊とタリバン兵との銃撃戦もきちんと描かれておるのじゃ。まあ低予算なりの映画なのじゃろうが、そういったいろんな点で頑張ってるなあ、と思えてな、思ったより見ごたえあったわい」
助手「コリン・ファレル似の裸体が一番見ごたえあったんですよね?」
博士「…(ポッ)」
助手「…(絶対転職してやる!)」

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20131219(Thu)

[]オランダのコメディゾンビ映画『ゾンビ・クエスト』 オランダのコメディゾンビ映画『ゾンビ・クエスト』を含むブックマーク オランダのコメディゾンビ映画『ゾンビ・クエスト』のブックマークコメント

■ゾンビ・クエスト (監督:マルテイン・スミッツ,エルヴィン・ヴァン・デン・エショフ 2011年オランダ映画)

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助手「博士、またゾンビ映画観てるんですか。この間ゾンビはもう飽きたって言ってたばかりじゃないですか」
博士「ふふん。確かにゾンビ映画は飽きたわい。しかしこの『ゾンビ・クエスト』、ちょっと珍しいオランダ製のゾンビ映画なのじゃ」
助手「ほう。チューリップと風車ですね」
博士「今時オランダで連想するのはその程度か馬鹿者。オランダと言えば合法ドラッグと飾り窓の女に決まっておるじゃろうが」
助手「じゃあこの映画、飾り窓の女がゾンビになってチューリップ畑でドラッグ決めながら風車に突っ込む、というお話なんですね、わかります」
博士「一回死んで来い。実をいうとこの間『暴走!ターボ・バスターズ』『暴走!ニトロ・バスターズ』という超絶バカ映画を観てたいそう気に入ってな。で、これがオランダ映画なのじゃ。オランダには何かある。そう直感したわしはこのオランダゾンビ映画を観てみることにしたわけじゃな」
助手「で、なにかあったわけですか」
博士「うむ。まず出演俳優の名前が凄い。ヤハ・ゲイアー、ヤフヤ・ガイール、ジジ・ラヴェリ、ミマウン・アウレド・ラディ、ミモーニ・ウル・ラディ、セルジオ・ハッセルバインク、ジジ・ラヴェッリじゃぞ」
助手「さすが移民の国オランダですね」
博士「さらに原題が凄い。なんと「ゾンビビ(Zombibi)」じゃ」
助手「ぞんびび!」
博士「ぞんびびー!」
助手「ぞんびびびびびーー!!」
博士「…いい加減にしろ」
助手「すんません」
博士「あとな、他のゾンビ映画とちと違う所は、ゾンビ化すると緑色の汁を口やらなにやらから滴らせることじゃな」
助手「ウンチやオシッコも緑なんですかね」
博士「少なくとも緑便を出すゾンビは登場しなかったのう」
助手「そもそもどんなお話なんですか」
博士「突然ゾンビの溢れ出した街で、冴えない非モテの主人公が惚れた女を助けるために、仲間を集めてビルの屋上を目指す、というお話じゃ」
助手「ビルの各階には格闘家が待ち構えていて主人公と戦うのですか」
博士「それはブルース・リーの映画じゃ」
助手「で、面白かったんですか」
博士「うーむ。『スコット・ピルグリム』みたいなゲーム画面っぽい戦いをしてみせたり、変な武器で戦ったり、突然現れた謎のキャラのニックネームがバーンと画面に映し出されたりしておったが、結局なんだか悪ふざけしているだけみたいな演出ばかりじゃったのう」
助手「じゃあつまんなかったんですか」
博士「いや、婦警役で出てくる金髪娘がなかなか美人ちゃんじゃったのう。映画は★2つじゃがこの美人ちゃんがいたから★2.5ぐらいじゃ」
助手「ゾンビ映画だけにかぶりつきたくなるような美人、というわけですね」
博士「それがオチかい…」

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20131218(Wed)

[]『アフターショック』はフリーメイソンイルミナティの巨大な陰謀を描いた映画だったッ!?【ネタバレあり】【ネタ記事です】 『アフターショック』はフリーメイソンとイルミナティの巨大な陰謀を描いた映画だったッ!?【ネタバレあり】【ネタ記事です】を含むブックマーク 『アフターショック』はフリーメイソンとイルミナティの巨大な陰謀を描いた映画だったッ!?【ネタバレあり】【ネタ記事です】のブックマークコメント

■アフターショック (監督:ニコラス・ロペス 2012年アメリカ映画)

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地震が起こってみんな死んじゃう、というパニック・ホラーです。みんな、というか、たいがい死にます。死んでない人も、そのうち死にます。死んでいない人は、今度は殺されます。殺そうとする人を殺してなんとか生き延びようとしますが、たいがい殺されます。そういう映画なんですね。しかし一見単なる残虐ホラーでしかないこの映画、実は注意深く観るなら、その背後に歴史を陰で操る秘密結社フリーメイソン、そしてイルミナティの恐るべき陰謀を描いたものであることが分かるんですね!

まずこの映画で描かれる巨大地震、これを自然災害だと思われるでしょうか?違います、これは地震兵器HAARPを使ったものなんです!アメリカ空軍、アメリカ海軍、国防高等研究計画局 (DARPA) の共同研究で開発されたHAARPは、一般的には「高周波活性オーロラ調査プログラム」と呼ばれる研究設備ですが、実は強力な電磁波を照射することにより地殻変動を起こすことのできる恐ろしい地震兵器なんです。アメリカの政界・財界を牛耳るイルミナティはこの兵器を作成させ、そして彼らの陰謀の妨げになる国家を地震を引き起こすことにより壊滅させようとしているんですね。映画の中で携帯電話が一切使えなくなる描写がありますが、これはHAARPによる強大な電磁波が作用したことを描いているんですね。

さてどうしてイルミナティはチリを壊滅させようとしたのでしょう?それはイルミナティフリーメイソンとの長大な歴史を通じた確執がそこにあったからなんですんね。この映画でイーライ・ロス演じる「グリンゴ」という男が登場しますが、実は彼こそがイルミナティの陰謀を追ってやってきたフリーメイソンの使者だったのですね!これはイーライ・ロスがユダヤ人であることから説明できるんですね。それと、地震により左手を失う男、彼もフリーメイソンなんですね。何故なら左手はフリーメイソンのシンボル、直角定規とコンパスを握る側の手だからなんですね。この右手を失うことでフリーメイソンの危機を暗示させているのです。現地のガイドとして現れる金持ちの男、これはユダヤ資本を握るロスチャイルド家のメタファー、ないしはロスチャイルド家の男であることに間違いありません。さらにもう一つ、フリーメイソンを想起させるのが登山鉄道の描写ですね。有名な登山鉄道といえばスイスのユングフラウ鉄道、そしてスイスと言えばユダヤ人社会の膨大な隠し財産が眠るというスイス銀行がある場所ではありませんか。

フリーメイソンの誓いを立てるイーライ・ロスさん (41歳・映画監督)

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フリーメイソンは「ワン・ワールド・オーダー(ひとつの世界組織)」の名のもとに世界統一国家を興そうとしていましたが、その中から生まれたイルミナティフリーメイソンのいわば過激分子であり、主義主張の対立が大きな溝を作っていました。フリーメイソンの目指すのは世界の支配でしたが、イルミナティは世界の淘汰、劣悪人種の絶滅を企んでいたからなのでした。イーライ・ロス演じるグリンゴは、ここチリでイルミナティの地震兵器実験が実行されるのを嗅ぎ付けやってくるのですが、逆に返り討ちに遭ってしまうんですね。グリンゴたちを襲う脱獄囚たちも、実はイルミナティの差し金だったんですね。

さてクライマックス、次々と仲間を失いながら主人公たちは礼拝堂の地下に逃げこみますが、これ、フリーメイソンの起源であるテンプル騎士団が14世紀に壊滅したとき、生き残りたちがロスリン礼拝堂の地下に驚くべき宝を隠した、という伝説に由来しているんですね。しかしこの映画では財宝ではなく、嬰児のミイラが収められているシーンが描かれます。そして最後のイルミナティの差し金を倒したフリーメイソン・メンバーはここを抜けて海へと逃れるんです。これは実は胎児が産道を抜けて出生する、というイメージのメタファーなんですね。つまり、フリーメイソンが勝利を収め、新たな世界秩序を生誕させる、というメッセージなんですね。

ところで、映画ブログ界隈にも実はフリーメイソンの息がかかったブロガーが存在します。フリーメイソンは反キリストとしても知られますが、ホラー映画というまさに反キリスト的な映画ばかり観続ける『ナマニクさんの暇潰し』主催のナマニク氏、さらに『ゾンビ、カンフー、ロックンロール』という反キリスト的なアイコンを並べたタイトルのブログを主催する侍功夫氏、彼らは日本におけるフリーメイソンの隠れメンバーとしてネット世界を暗躍し、人々の心を堕落させようと目論んでいます。彼らの邪悪な文章に決して騙されてはいけません。心清く行い正しく生きるために、みなさんはこの『メモリの藻屑、記憶領域のゴミ』だけを読むようにしてください。そして彼らの悪行を注意深く監視し続けてください。


…というわけだけど全部デタラメのネタ記事だからね!オレは陰謀論信者じゃないからねッ!?あとナマニクさん侍さんネタに使ってどうもすいません!

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20131217(Tue)

[]『エンド・オブ・ホワイトハウス』は『ホワイトハウス・ダウン』ではなかった…ッ!? 『エンド・オブ・ホワイトハウス』は『ホワイトハウス・ダウン』ではなかった…ッ!?を含むブックマーク 『エンド・オブ・ホワイトハウス』は『ホワイトハウス・ダウン』ではなかった…ッ!?のブックマークコメント

エンド・オブ・ホワイトハウス (監督:アントワン・フークワ 2013年アメリカ映画)

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ホワイトハウスがテロリストに制圧されて大騒ぎさ!という映画、『ホワイトハウス・ダウン』です。…いや、『エンド・オブ・ホワイトハウス』です。自分は劇場公開時この『エンド・オブ・ホワイトハウス』はスルーしたんですが『ホワイトハウス・ダウン』は劇場で観たんですね。でもなにしろどっちも同じテーマなのでもう既に自分の中ではタイトルがごっちゃになってます。ごっちゃになってるどころか「あれ?『ラスト・オブ・ホワイトハウス』だったっけ?」とかタイトルすらまともに覚えていません。

で、こっちのほうの(こっちってどっちだよ)『エンド・オブ・ホワイトハウス』は、南北朝鮮統一を目指す狂信的テロリストによって襲撃されギッタギタにされるほうの『エンド・オブ・ホワイトハウス』です(だから『エンド・オブ・ホワイトハウス』ってタイトルの映画は1本だけなんだってば)。もうね、この『エンド・オブ〜』、初っ端からワシントンD.C.が謎の戦闘機の攻撃により本土決戦状態になるのまず楽しいですね!崩れ落ちるワシントン記念塔とか、逃げ惑う善良なアメリカ市民の皆さんが銃弾を浴び虫けらのように死んじゃう様とか、宇宙人の地球侵略みたいで燃えるんですよ!

続いてホワイトハウスを急襲するテロリスト軍団によってSPや警備の皆さんが次々と蜂の巣にされ、血しぶき上げてバタバタと絶命してゆくシーンが続き、物語はいやがおうにも盛り上がります!不意打ちとはいえ圧倒的な火力で力まかせになぶり殺しまくりです!もう一方的な虐殺ですよ!ああ久しぶりに映画でいい虐殺シーン見られたなあ!ありがてえありがてえ!そんなわけでホワイトハウスはあっというまに制圧され占拠され、大統領以下政府要人はテロリストによって地下核シェルターに幽閉されるんですな!もうここまでの流れだけなら傑作中の傑作映画として今年のベストテン映画に殿堂入りしていたかもしれません!

で、その占拠されたホワイトハウスにたった一人生き残っていたのがブルース・ウィリス演じるジョン・マクレーン!…あ、違いました(いやまあたいした違いは無いんですが)、ええっとたった一人生き残ってたのが大統領SPのマイク・バニングさんで、このバニングさんが超人的な戦闘スキルと、SPだからこその建物構造の知識でもって、どのようにしてテロリストを追いつめていくのか…ッ!!というのがこの映画の見所なんですな。…見所なんですが、あれだけ用意周到にホワイトハウスを陥落させたテロリストが、こっから何故だか初心者マークの運転手みたいに不注意行為と不安全行動でグズグズになってゆくんですよ!

それと、拉致された大統領の代わりに副大統領がテロ鎮圧の指揮を執るんですが、これが偉そうにしてる割には意外と役立たずな奴で、ゼェハァ言いながら孤軍奮闘するバニングさんに「あとお前にまかしたから。ちゃんとやっとけよな」なんて感じの投げっぷり、国防長官の暴走を止めることも出来ず、あとはテロ軍団に翻弄されてうろたえてるだけ、という情けなさぶりを発揮しておりました。そもそも「アメリカがテロリストにキンタマ握られたら世界はエライことになるだろ!」というお話ではありますが、「いや、別に世界全部がアメリカに頼ってるわけじゃないと思うんだけど…」となんとな〜く白けちゃうという、そういうお話でもありましたな。まあ突っ込み所はありつつ、そこそこ楽しめる作品ではありましたよ。

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20131216(Mon)

[]再生と克服の物語〜映画『ゼロ・グラビティ』【※ネタバレあり】 再生と克服の物語〜映画『ゼロ・グラビティ』【※ネタバレあり】を含むブックマーク 再生と克服の物語〜映画『ゼロ・グラビティ』【※ネタバレあり】のブックマークコメント

ゼロ・グラビティ (監督:アルフォンソ・キュリアン 2013年アメリカ映画)

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映画『ゼロ・グラビティ』は、軌道上に停泊するスペースシャトルで船外活動中の宇宙船クルーが、飛来するスペース・デブリにより突然の事故に遭遇し、暗黒の宇宙に投げ出されながらも必死に生存の糸口を探り続ける、というドラマだ。映画では無重力状態の宇宙で次々と危機が訪れ、一時たりとも目を離せない緊迫した状況が映画終盤まで覆い尽くす。果たして主人公ら宇宙船クルーは生きてこの宇宙から地球へ帰る事ができるのか?というのがこの映画なのだ。

このように、映画『ゼロ・グラビティ』は死の世界である宇宙空間で事故に遭遇し、絶対の危機を迎える人間たちのサバイバルの物語であり、その生か死かのスリリングな演出を楽しむスペクタクルなエンターテイメント作品であり、最新VFXの粋で作られた驚異の映像を楽しむ映画であるが、しかしこの作品はただそれだけのものなのだろうか。いや、ただそれだけでも十二分にエキサイティングな作品ではあるけれども、そういった表層上のヴィジュアルのみにとどまらず、この作品には隠されたもう一つのテーマがあるように思えた。それは、かつて幼い我が子を亡くした主人公ストーンの、再生と克服の物語である、という部分である。

【以下本編とラストの内容に関わる記述がありますので未見の方はご注意ください】


この映画に出演したサンドラ・ブロックは、その準備期間に女性的であったり母性的であったりしない、機械のような体つきを目指してトレーニングしたという。それはなぜか。それは、サンドラ・ブロック演じるライアン・ストーンを、女性的であること、母性的であることを拒否し、そこから遠ざかろうとした存在として描こうとする演出者の意図だったのではないか。それは、自らの女性性と母性を否定することにより、我が子を亡くしたトラウマから遠ざかろうとしたライアン博士の心象を表現しようとしたことではないだろうか。まずストーンは、我が子の死、というトラウマに囚われた状態でこの映画に登場するのだ。

物語の舞台は地球上空60万メートルの宇宙空間。闇と光の織りなす美しさと静謐さに溢れるこの場所は、同時に生物の生きられない死の世界だ。そしてこの死の世界である宇宙空間を涅槃=死者の世界と捉えることはできないか。我が子を亡くしたトラウマに苛まれるストーンは、宇宙飛行任務としてこの宇宙=涅槃へと訪れる。そして涅槃とは、死んだ我が子の魂が送られた場所である。つまりストーンは、宇宙に出ることで限りなく死した子の場所へと肉薄することになり、さらに生命の危険に遭遇することで、自らも限りなく死へと近づいてゆく。そう、はからずも母と子は「死」というキーワードにより、宇宙空間で会遇するのだ。

そして中盤、からくも逃れた宇宙船の中で、ストーンは宇宙服を脱ぎ捨て、無重力空間の中で胎児のように体を丸めて漂う。このシークエンスは胎児へと還る=もう一度自らの生を生き直す、という明らかなメタファーだろう。ではなぜストーンは生き直さねばならないのか。それは、我が子の死、という拭い切れない悲劇と悲嘆に苛まれる自らの人生を克服し、もう一度生き直す、ということなのではないか。そしてこの中盤のシーンから、物語は「宇宙空間でのパニック・スペクタクル」から「再生と克服の物語」として新たに語り始められることになるのだ。

物語はその後、生き残る望みの全くない、絶対的な絶望状況に至る。その中で遂にストーンは生存を諦め、自ら死を選ぶことを決意する。だがそのストーンを救うのは、既に死亡したと思われるコワルスキー宇宙飛行士の幻影だ。この幻影の与えたヒントにより、ストーンは危機を乗り越える方法をひらめかせる。現実的に言うなら低酸素状態からの幻覚と、その錯綜したシナプスが奇跡的にたぐりよせた生存の糸口、ということになるだろうが、このシーンを死者からのメッセージと捉えることもできる。

死者であるコワルスキーはストーンに生きろ、と言う。それは同時に、死者の国にいる娘からの伝言であり、コワルスキーはそのメッセンジャーであったといえないだろうか。それは、生きる望みを得たストーンが、コワルスキーに「そちらにいる娘によろしく」と告げるシーンからも明らかではないか。そしてこのシーンこそが、我が子の死を真に受入れ、涅槃にあるその魂の平安を祈りながら、自らはその悲嘆と決別し、生あるものの世界で生き抜こうとする、その決意の場面だったのではないか。まさにこの時、ストーンは我が子の死という悲劇を克服したのである。

死者の世界である涅槃=宇宙空間から生あるものの世界=地球へとストーンの帰還が始まる。大気圏に突入するストーンは「結果はどうあれ、これは最高の旅よ」と呟く。これは地球=生あるものの世界で生きることを選択したストーンが、様々な苦難が存在しながらも、人生とは美しく、そして素晴らしいものだと改めて気付き、その生を肯定的に受け止めることを、高らかに宣言した瞬間なのだろう。

そして宇宙ポッドで着水した湖の中で水に飲み込まれるストーン、そこから脱出するストーンのシーン。これも明らかに胎内にある羊水とそこからの誕生のイメージ。岸辺に這い上がりゆっくりと立ち上がるストーンは、今もう一度幼生として誕生し、人として再生し、その人生を新たに歩もうとする暗喩に他ならない。こうして遥かな宇宙を旅しながら、同時にストーンは自らの内的宇宙を旅し、事故の危機を乗り越えながら、同時に自らの心的危機を乗り越えていった。ここで画面に現れるタイトル「GRAVITY」とはこの地球の重力のことであり、そして重力は、自らをこの世界にしっかりと繋ぎとめる力であり、それは生それ自身をこの世界に繋ぎとめる強い思い、ということでもあったのだ。

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ゼロ・グラビティ 国内盤

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Gravity

Gravity

20131215(Sun)

[]Society6 Artist Calendar 2014 Society6 Artist Calendar 2014を含むブックマーク Society6 Artist Calendar 2014のブックマークコメント

LAのアーティストプロダクトブランド「Society6」の2014年カレンダーを購入。サイトを見たらもうSOLD OUTみたい。

それにしても「インクと煙」ってなんだろう?

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中はこんな感じ。

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20131214(Sat)

[]iPhoneケースはデヴィッド・ボウイ iPhoneケースはデヴィッド・ボウイを含むブックマーク iPhoneケースはデヴィッド・ボウイのブックマークコメント

『アラジン・セイン』の時のボウイに『スペイス・オディティ』を想像させる宇宙服を着せたiPhone5s用ケースを購入、早速つけてみた。

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Aladdin Sane 40th Anniversary

Aladdin Sane 40th Anniversary

Space Oddity

Space Oddity

[]The Next Day Extra / David Bowie The Next Day Extra / David Bowieを含むブックマーク The Next Day Extra / David Bowieのブックマークコメント

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そういえば今年発表されたボウイのアルバム『The Next Day』が完全限定版のエクストラ・ヴァージョンになって発売されていた。CD1がオリジナルトラック、CD2がRemixバージョンと未発表曲の10曲入り、さらにPV4曲が入ったDVD付。そしてブックレットが4冊(※国内版)、1つは日本語解説と訳詩、Frameと名付けられた写真集、Languageと名付けられた歌詞を英語で収めたもの、そしてYouと名付けられたブックレットは白紙。まあ内容的にはコレクターズ・アイテムといったところかな。

ザ・ネクスト・デイ・エクストラ(DVD付)

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The Next Day Extra

The Next Day Extra

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20131213(Fri)

[]オレ的SF映画ベストテン! オレ的SF映画ベストテン!を含むブックマーク オレ的SF映画ベストテン!のブックマークコメント

というわけで前回の勿体ぶった前置きに続き、やっとワッシュさん提供:「SF映画ベストテン!」に行ってみたいと思います。

1位:地球に落ちてきた男

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『地球に落ちてきた男』は、滅亡に瀕した故郷の惑星を救うために、たった一人で地球に訪れた異星人の孤独と漂泊の物語だ。この映画は、「自分の居場所はここではなく、どこか他の場所にあるのかもしれない」ということ、そして「でもだからといって、そこにはもう帰れないのかもしれない、自分は、場違いな場所で生き続けるしかないのかもしれない」というテーマを描いていた。「愛してくれている人は本当は君の事なんて何も理解してなくて、そして、本当に愛していた人達は、もうとっくに死んでしまっているのかもしれない。」、そして、「つまり、君は一人ぼっちで、孤独で、理解不能な有象無象の中で、一人で生きなくちゃならない」という《孤独》についての物語であり、「音楽を作ってみた。死んでしまったかもしれない家族が、ひょっとして聞いてくれるかもしれないから。」という、《表現とは何か》という物語であり、ラスト、「ニュートンさん、飲みすぎですよ」のコメントで終わるこの映画は、《飲酒》についての映画でもあるのだった。これほど鮮やかに《孤独》について描いた映画をオレは知らない。映画を観終わり、劇場から出たときに、現実の光景がどこまでも白々として見えるほどに、オレは映画に衝撃を受けていた。
【レヴュー:デビッド・ボウイ・リバイバル(番外編) 映画「地球に落ちてきた男」】

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2位:アナザープラネット

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「ここではないどこか」で、私の夢は叶えられる。「ここではないどこか」で、私は幸せになれる。しかし逆に言えばそれは、今いる、今生きているこの場所では、私は、決して、絶対に、夢を叶えることも、幸せになることも、出来ないということなのではないのか。そして、「ここではないどこか」というのは、他ならぬ「空に浮かぶもう一つの地球」なのだ。悲嘆に満ちた現実と、いつまでも癒されることのない未来しか存在しない世界、しかしその世界の空の上に、あり得ない筈の、【救済】が、ぽっかりと浮かんでいる。そしてその【救済】は、この現実世界に生きる者には、本当なら決して手の届かない、「ここではないどこか」にしか存在しない。それならばそれは、果たして【救済】と呼べるのか。しかし、それでも人は夢想してしまう、こうでなかった自分と、こうでなかった人生を。【救済】へと、いつか手の届く日を。だからこそ映画『アナザープラネット』は、どこまでも切なさに満ちた作品なのだ。
【レヴュー:贖罪の惑星〜映画『アナザープラネット』】

3位:コンタクト

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理論的には、この宇宙に地球以外の知的生命体がいるのはほぼ確実だ。そしてその異星知的生命体の幾つかは、地球人よりも進んだ、優れた科学力を持っているだろうことも想像できる。そしてその進んだ科学でもって、宇宙を旅し、さらに他の惑星の知的生命体にコンタクトを取ろうとすることも、きっとありえるだろう。そして我々が、そんな異星人たちとコンタクトできる日が、いつかきっとあるはずなのだ。それがいつになるのか、明日なのか、10年後なのか、100年後なのか、決して分からないのだが…。この『コンタクト』には、原作者カール・セーガンの、「地球外知的生命と出会いたい!」という、張り裂けんばかりの思いが詰まっている。セーガンは科学者だったからこそ、その思いはなおのこと強く、そしてその思いが漠として成就しないことの焦燥と悔しさも、同じように強いものだったろう。宇宙に憧れを持つ者の、この遥かなる思いは、SF者ならば、同じように抱く感情なのではないのか。そしてセーガンは、その思いの成就するときを、フィクションとしてしたためた。現実にそれが、成就しないからこそ。その切なさが、この物語には横溢しているのだ。個人的にはジョディ・フォスターの代表作だと思っている。

コンタクト [Blu-ray]

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4位:ストーカー

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タルコフスキー監督のこの作品は、絵画のように美しい映像と形而上的なテーマが評価の中心となるのだろうが、実はここで語られる哲学めいた台詞や思わせぶりなカットは、単なる雰囲気付作りなのであまり難しく捉える必要は無い。それよりもこの映画で目を惹くのは、「何も無い所に何かがあると思わせる、そしてその何かが非常に危険なものであると思い込ませる」、その表現の仕方だろう。一見ただの草むらだったり、水溜りだったり、荒れ果てた廃墟だったりする場所を、タルコフスキーは「ここは人を死に至らしめる危険な力の働く場所なのだ」と登場人物に語らせ、そしてそれを映画を観る者に納得させてしまう、その描写力、表現方法が優れているのだ。そういった恐怖や不安を観る者の想像力にゆだね、最後まで「何かがある」と思い込ませながらその「何か」が最後まで分からない、それにより観る者の想像が映画が終わった後でさえ終わることがない、それが深い余韻となってこの作品を形作っているのだ。

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5位:メランコリア

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地球との衝突が懸念される外宇宙からやって来た惑星メランコリア。この危機的な状況の中にある人々を描いた物語が映画『メランコリア』です。しかしこの作品は宇宙的な規模の破滅を描いたSF作品ではありません。メランコリア=鬱病というタイトルが意味するように、惑星メランコリアは登場人物の鬱的な状態の象徴的な存在です。日常生活と表裏一体となった破滅への不安と恐怖に怯える人々の心象が具現化したものであるということができます。その中心となる人物が主人公であるジャスティンです。世界なんか終わってしまえばいい、そううそぶくジャスティンの世界は、実は破綻した結婚生活という形で一度終わっている。その彼女にとって、メランコリアの地球衝突は、内的な破滅を外的な破滅に投影したものだといえる。即ち、この映画は惑星衝突による世界の終わりという形で一個人の絶望と虚無を物語化した作品だと言えるのです。これは外宇宙よりも内宇宙を目指した60年代ニューウェーヴSF運動と繋がり、そして鬱的な内的世界を外界に反映さ出た物語は、伝説のSF作家アンナ・カヴァンを思い起こさせます。SF小説ファンにも是非一度観てほしい映画だと言えるでしょう。
【レヴュー:世界の終り、そして憂鬱という名の昏きトンネルの向こう〜映画『メランコリア』 】

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6位:不思議惑星キン・ザ・ザ

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全てというわけではないが、SFはアレゴリカルなテーマを得意とするジャンルでもある。乱暴に言うなら「原水爆の恐怖=怪獣ゴジラ」のような感じだ。個人・社会に関わらず現実的に存在する不安や恐怖を何らかの形に受肉させ、架空の"物語"として成立させる、ということだ。『不思議惑星キン・ザ・ザ』は、どことも知れぬ砂漠の惑星に理由もわからず送り込まれ、不可思議な人々や不可解な出来事に遭遇する、というどこか不条理ドラマめいたSF映画だ。この映画に横溢する不可思議さ、奇妙さは、製作国である1986年当時のソヴィエト連邦の、その社会の在り方をアレゴリカルに描いたものなのだろう、ということは予想できる。しかし、当時の共産主義国家体制における言論統制から、巧みにすり抜ける形の表現のあり方が、そのアレゴリーの指し示すものを不透明にしているがため、それらが具体的に何に根差し、何を言い表そうとしているのかが、漠然としか想像できないのだ。その理解の困難さが、逆にミステリアスなエキゾチズムと、情報の極端に少ない異邦に取り残されたようなむずむずとした不安感を醸し出す。そしてそれがはからずもSF作品としての圧倒的な異世界感を生み出しているのだ。

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7位:ブラザー・フロム・アナザー・プラネット

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この映画の魅力は低予算でありながら豊かなイマジネーションで作品世界の構築に成功しているという事だろう。SF映画といえば金の掛かったセットやVFXなどを思い浮かべるが、それらが一切無くとも想像力さえあればここまで素晴らしい作品を作る事ができる、といういい例だと思う。手造り感溢れる特殊メイクやVFXが極稀に現れるけれども、逆にそれらが全く無かったとしてもこの映画はなんら遜色なく成立してしまう。追うものと追われるもの、そしてそれに絡む様々な人々、といった、シンプルなストーリーも功を奏しているだろう。単なる黒人俳優をこれは宇宙人なのだ、と説明し、黒服の怪しげな白人を、これは悪い宇宙人だ、と説明されれば、あとは観客の想像力の中で物語はどこまでも広がって行くのだ。観る者の想像力に物語を委ねる事、ここが優れているのだ。
【レヴュー:ブラザー・フロム・アナザー・プラネット】

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8位:マリリンとアインシュタイン

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もしもマリリン・モンローとアルバート・アインシュタインが出会っていたら?という歴史のifを描いた作品です。彼らの他にもジョー・ディマジオ、ジョセフ・マッカーシーが登場し、この4人がそれぞれにドラマを繰り広げるんですね。アインシュタイン、モンロー、ディマジオ、マッカーシー、類稀なる知性、類稀なる美貌、類稀なるスポーツ能力、そして反共・資本主義礼賛という類稀なる"狂信"。これら、当時の世界で類稀なる豊かさを誇っていた栄光の50年代アメリカを代表し象徴する者たちの、その喪失と虚無、それは、続く60年代におけるアメリカの、挫折と失墜を予期し、または用意した巨大なる"空洞"だったのではないでしょうか。この映画『マリリンとアインシュタイン』の原題は「インシグニフィカンス」(=無意味なこと)、全ての栄光がやがて無意味なものと化してゆくこと、映画は、それを描こうとしていたのかもしれません。モンローが解説する相対性理論のシーンは必見でしょう。
【レヴュー:もしもマリリン・モンローとアインシュタインが出会っていたら〜映画『マリリンとアインシュタイン』】

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9位:スローターハウス5

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一人の男が体験する第2次世界大戦で起こったドレスデン絨毯爆撃の惨禍と、平凡な生活を営みそして死んでゆく地球の生活と、宇宙人に拉致され異星の動物園に入れられる人生とをシャッフルさせながら描いた異色作。物語は、細切れにされた人生の断片を、その幸福と不幸を、主人公の"時間を行き来する能力"でもって、まるで"時間が痙攣を起こしたかのように"ランダムに描いてゆく。細切れにされ、並列に描かれる幸福と不幸には、何一つドラマは無い。そこには、幸福にも、不幸にも、一歩引いて接することしかできなくなってしまった人間の、巨大な【虚無感】があるだけだ。けれども、この物語は、そういった人生への諦観を描きながらも、陰鬱な絶望に堕することを、決して善しとしないのだ。人生とは【虚無】だ。しかし、生きるということのニヒリズムの果てに、物語はその先を描こうとする。例え人生が空しいものであろうとも、それでも人生の良い面だけを見て生きていこうじゃないかと、それでも人生を肯定して生きていこう、と。『スローターハウス5』とは、そういう物語なのだとオレは思う。
【レヴュー:生きることのニヒリズムを超えて〜映画『スローターハウス5』】

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10位:渚にて

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遂に第三次世界大戦が勃発し、核攻撃と放射能汚染により北半球の人類は全滅、僅かに南半球に位置するオーストラリアの人々だけが生き残っていた。しかしその地にも汚染物質の降下は避けられず、そこで生きる人々の人生はあと数十日しか残されていなかった…という米ソ冷戦下に製作された人類滅亡映画。この映画には熾烈な戦闘も恐ろしい破壊もおぞましい死体も暴徒と化す人々も、スペクタクルとなるような衝撃映像は一切描かれない。ただ淡々と静かに、人生最後の日々を生きる人々の毎日とその哀歓を、そしてその絶望とを、はかなく美しく描いた作品なのだ。今、核戦争による人類滅亡という事態はあり得ないかもしれない。しかし、間近に迫りくる自らの死を知りながら、その不条理と恐怖に打ちひしがれながら、それでも毎日をごく普通に生き続ける、という情景は、理由は違っていても現実的に存在しうることだ。そして、それは自分だけではなく、自分の周りの、愛する人々全ての運命なのだとしたら。数ある人類滅亡映画の中でも、「静かな世界の終末」を描いた作品としてこの『渚にて』は白眉と言えるだろう。グレゴリー・ペックエヴァ・ガードナーフレッド・アステアアンソニー・パーキンスのハリウッド豪華出演陣の出演も見逃せない。

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《選外》:第3の選択/米ソ宇宙開発の陰謀〜火星移住計画の謎

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この『第3の選択』はTVドキュメンタリーとして始まる。そこで語られるのは、相次ぐ科学者や技術者の不可解な死亡、そして彼らが米ソのある秘密計画に関与していたのではないかという疑惑。死亡した科学者の残した謎のビデオテープ、そしてアポロ宇宙飛行士が月面で目撃したという奇怪な人工施設。そこから浮かび上がってくるのは米ソが秘密裏に進める「第三の選択」という計画であった。そしてその計画は、近い将来居住不能となる地球を捨て、選ばれた者だけが火星へ移住する、というものだったのだ。番組製作者はこの陰謀を取材と証言、極秘に入手した物的証拠から暴きだす。そして番組のラスト、あまりにも衝撃的なある事実を観る者に突きつける。…とまあ、実際はフェイク・ドキュメンタリー番組だったのだが、そういったことを全く知らず、TVでたまたまやっているのを「本当にあったこと」と思って観た時には、あまりの内容に怖気だった覚えがある。イギリスで製作されたTV番組ということで選からは外したが、これは是非観てもらいたい怪作。『X-FILE』とかが好きな方は盛り上がりますよ!

f:id:globalhead:20131209115511j:image 第3の選択 米ソ宇宙開発の陰謀〜火星移住計画の謎〜 [VHS]

というわけで以上がオレの『SF映画ベストテン』となります。

1位:地球に落ちてきた男 (監督:ニコラス・ローグ 1976年イギリス映画)

2位:アナザー・プラネット (監督:マイク・ケイヒル 2011年アメリカ映画)

3位:コンタクト (監督:ロバート・ゼメキス 1997年アメリカ映画)

4位:ストーカー (監督:アンドレイ・タルコフスキー 1979年ソ連映画)

5位:メランコリア (監督:ラース・フォン・トリアー 2011年デンマーク/スウェーデン/フランス/ドイツ映画)

6位:不思議惑星キン・ザ・ザ (監督:ゲオルギー・ダネリア 1986年ソ連映画)

7位:ブラザー・フロム・アナザー・プラネット (監督:ジョン・セイルズ 1984年アメリカ映画)

8位:マリリンとアインシュタイン (監督:ニコラス・ローグ 1985年イギリス映画)

9位:スローターハウス5 (監督:ジョージ・ロイ・ヒル 1972年アメリカ映画)

10位:渚にて (監督:スタンリー・クレイマー 1959年アメリカ映画)

選外:第3の選択/米ソ宇宙開発の陰謀〜火星移住計画の謎 (監督:クリストファー・マイルズ 1977年イギリス製作番組)

活劇に頼らず、SF映画でなければ成し得ない表現、SF映画という形でしか成立しないイマジネーション、それと同時に、SFというジャンルにとらわれないエクストリームな自由さと文学性を持った作品、そしてもちろん、オレの個人的な心情にどこまでもフィットした作品を中心に選んでみました。

ではワッシュさんよろしく!

mutsugimutsugi 2013/12/16 13:51 「月に囚われた男」も是非

globalheadglobalhead 2013/12/17 08:05 おおっと漏れていた!

20131212(Thu)

[]『オレ的SF映画ベストテン!』…の勿体ぶった前フリ。 『オレ的SF映画ベストテン!』…の勿体ぶった前フリ。を含むブックマーク 『オレ的SF映画ベストテン!』…の勿体ぶった前フリ。のブックマークコメント

ワッシュさんの《SF映画ベストテン》に参加するのだが。

…ああ難しい…。

「難しく考えずに」が基本なのだろうが、ことSFに関しては、難しいのである。なにしろ一応これでもSF者の末端、幼少の頃からSFの洗礼を受け、SFと共に生きSFと共に育ち、SFにグレてSFと決別しつつ、SF恋しさに再びSFの元に戻ってきた、という数奇なSF人生を生きてきたSF者としては、SFを、そしてSF映画を語る、というのは、それ即ち自らの人生を語る、ということだからである。SF、それは、オレにとって腐れ縁の女であり、幾ら憎もうと赤の他人になることなどできない呪われた血縁関係のようなものだからなのである。…え?能書きウザイって?うううスイマセン、もうちょっと自分語りさせてくださいスイマセンスイマセン。

さて《SF映画ベストテン》を難しくしているのがいわゆる《金字塔》の存在である。いうなれば「これ抜きにしてSF映画は語れない」という作品である。『2001年宇宙の旅』、『猿の惑星』、『スター・ウォーズ』、『ブレードランナー』、『エイリアン』、『惑星ソラリス』これらの映画は"SF"という括りを外しても既に映画史に残るであろう名作傑作だ。ほらもうこれで6本でしょ?

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で、あと4本をどうしよう?とかなるとオレの場合は『遊星からの物体X』『マッドマックス2』『宇宙戦争』『トゥモロー・ワールド』あたりを入れておけば、王道のベストテンである。

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という訳でちょちょいのちょいですぐ決まるのだ。

暫定的王道オレ的SF映画ベストテン

1位:2001年宇宙の旅

2位:猿の惑星

3位:スター・ウォーズ

4位:ブレードランナー

5位:エイリアン

6位:惑星ソラリス

7位:遊星からの物体X

8位:マッドマックス2

9位:宇宙戦争

10位:トゥモロー・ワールド

しかし、これではあまりにも当たり前すぎてつまらないではないか。なんの意外性もないではないか。順序は違っていても似通ったSFベストテンなぞネットのどこにでもころがっていそうではないか。

それに選は外れるが、『未来世紀ブラジル』とか『攻殻機動隊』とか『12モンキーズ』とか『マックィーン絶対の危機(人喰いアメーバの恐怖)』とかも非常に外すのが惜しい作品なのである。

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軽い気持ちで観られて楽しいSF映画だってあるのだ。『ギャラクシー★クエスト』とか『銀河ヒッチハイクガイド』とか、キアヌ・リーブスの出てた『ビルとテッドの大冒険』『ビルとテッドの地獄旅行』だって立派にSFじゃないか、と思うのだ。こういう作品は大作並べちゃうと入れ難くなっちゃうんだけど、いい作品なんだよなあ。

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アイアン・スカイ』『第9地区』『スターシップ・トゥルーパーズ』はどれも非常に優れたSF映画作品で自分も大好きなんですが、アレゴリーが強すぎるという部分であえて選から外した。

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ターミネーター2』や『マトリックス』も好きなんですが、あれはSFというよりアクション映画として面白いんだよなあ。

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『アバター』もとても好きなSF映画なんですよ。でも、これはIMAXで観ることのできる最高の3D映画、ということなんですよね。

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もっとこう、例えば「モンスターSFベストテン」とか「宇宙SFベストテン」とか「近未来SFベストテン」とか「核戦争SFベストテン」絞ってもらえれば厳選もできるかもしれないのだが、SFの海は広大過ぎて、目的地が定まらないまま彷徨うばかりのオレなのだ…。ああどうしよう…そんなことを考えていたら、〆切がどんどん迫ってくるのである。一時は棄権まで考えたぐらいである。だがしかし、SF者(の末端)として生れた以上、やらねばならない。やり遂げなければならないのだ。

というわけで、なんとか10作選びました。

発表は明日で!(ひっぱるのかよ)

azecchiazecchi 2013/12/14 12:56 なんて渋い10選なんだ!と思ってたら、本題に入る前にこんな前フリがあったんですね(笑)。確かにSFって括りだと悩みますよね~。僕もめっちゃ悩みました。フモさんと被ってたのは、結局コンタクトだけになりましたが、その選定理由(解説?)読んで、僕が如何に軽々しく10位とかにこの作品を置いたかを思い知らされたというか、もっと上位にすべきでした(笑)。

globalheadglobalhead 2013/12/14 16:56 そうなんです、王道はきちんと押さえたうえで、それは誰でも知っている映画だろうからそれ以外の映画を推してみよう、ということだったんですよ。あのベストテンだけ見て奇をてらってると思われた方もいるみたいですね。

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20131211(Wed)

[]故郷のトルコへいざ行かん!〜映画『おじいちゃんの里帰り』 故郷のトルコへいざ行かん!〜映画『おじいちゃんの里帰り』を含むブックマーク 故郷のトルコへいざ行かん!〜映画『おじいちゃんの里帰り』のブックマークコメント

■おじいちゃんの里帰り (監督:ヤセミン・サムデレリ 2011年ドイツ映画)

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1960年代、愛する家族を生まれ故郷であるトルコに残し、一人ドイツへと出稼ぎにやってきたフセインさん。働き詰めに働いて、ようやくドイツへ家族を呼び寄せ、気付いてみたらもう70歳を超え、子供たちもそれぞれ家族を持ち、孫の顔まで拝むことができた。あー、やっとなんとか落ち着いたな…そう思ったフセインさんは家族に告げる。「なあ!みんなでわしの生まれ故郷のトルコへ行こう!」かくして、わいわいがやがや、喧々諤々のトルコ旅行の始まり始まり!

ドイツ映画『おじいちゃんの里帰り』は、ドイツの映画ですがトルコの映画です。50年前ドイツに移民してきたトルコ人家族が中心だからです。第2次大戦後のドイツは経済復興を移民の労働力に頼っていたのだとか。ヨーロッパの主要各国では移民の受け入れは普通にあることなんだろうなあ、と漠然とした認識はあったにせよ、こういった形で具体的なドイツの移民政策の話を知るのは初めてでした。そしてドイツは人口比における移民の割合が一時期一番高い国だったんですね。ちょっぴり勉強になりました。

ドイツは第2次世界大戦後、移民国として発展してきた。旧ドイツ領土から強制的に追放された人々やその子孫には、「帰還移住者」としてドイツ国籍を付与。1970年代まで続いた奇跡の経済復興期には、トルコなどから多くの外国人労働者およびその家族らを呼び寄せた。政治的に迫害を受け、庇護を求める難民も積極的に受け入れてきた。こうして今日では全人口8213万5000人のうち1556万7000人(2008年)、5人に1人が「移民の背景」を持つ住民となっている。

ドイツニュースダイジェスト/移民問題とドイツの課題

映画はドイツからトルコへと向かうフセイン一家が巻き起こす様々なドラマと、、若かりし頃のフセイン爺ちゃんの、ドイツへ移住してからの日々が交互に語られていきます。冒頭、移住してから50年、やっとのことでドイツ国籍を取れたフセイン爺ちゃんの複雑な心境が描かれます。苦労はあったけど、家族と一緒に幸福に暮らしているドイツ、奥さんと出会い、貧しかったけど輝かしい青春を送っていたトルコ。70歳になってなお、フセイン爺ちゃんの心は二つの故郷に引き裂かれていたんですね。実はオレも30年以上前、ホッカイドーと呼ばれる遠い国から日本に移民してきた口なので、お爺ちゃんの気持ちがなんとなくわかります。まあオレの場合、もう別に帰りたいとかは思わないですが。

面白かったのはイスラム教徒であるフセイン一家がドイツのキリスト教に眉をひそめる場面でしょうか。これ、別に敵対するとかいう深刻なもんではなくて、言ってみりゃあ納豆に対する関東と関西の考え方の違い程度に描かれているんですね。関西じゃあ「納豆みたいなもん食うなんて信じられん」なんて言われているのかもしれませんが、実際食べてみたら美味しかった、なんて方もいらっしゃるでしょう。この『おじいちゃんの里帰り』では、「木に懸けられた手足が血まみれの男を敬うなんて気色悪い!」とか言いながら、次第に「クリスマスはキラキラして楽しいからいんでね?」なんて受け入れます。まあこれは映画ですけど、実際にもそんなふうに肩ひじ張らないものだったらいいですね。

現実的にはドイツとトルコ人移民とは、住民同士の軋轢、差別や経済格差など一筋縄ではいかない問題を沢山孕んでいるのでしょう。痛ましいヘイトクライムも実際に起こっているようなんです。ドイツ在住のトルコ人監督であるヤセミン・サムデレリは当然そういった問題を熟知しているのでしょうけれども、映画ではそういった現実的にシビアな側面を決して描きません。しかしそれは避けて通ったのではなく、これらの問題は既に誰もが身に染みて分かっている事実なのだから、わざわざそれを描くのではなく、むしろ移民として生きてきたことの誇り、幸せを描こうじゃないか、と思ってこの映画を撮ったのではないでしょうか。そんな部分に、「人生明るい部分を見て生きていこうじゃないか」というトルコ移民の逞しさをと力強さを垣間見た映画でした。

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HeadacheHeadache 2013/12/12 17:11 あっ、これ見よう!!

globalheadglobalhead 2013/12/12 20:26 フセイン爺ちゃんの若かりし頃が結構イイ男なんです。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/globalhead/20131211

20131210(Tue)

[]ビール日記 ビール日記を含むブックマーク ビール日記のブックマークコメント

●一足お先にクリスマス・ビール

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行きつけのベルギー・ビール屋に行ったら、早々とクリスマス・ビールが出ていたので早速飲んでみました。

ビールの名前は「シャポー・ウィンター・グーズ(CHAPEAU WINTER GUEUZE)」。

グーズにレーズンを加えた珍しいランビック。ヨーロッパではクリスマスのときに作るケーキにレーズンやスパイスが使われているのを見たりしますが、ベルギービールのクリスマス限定のものにはスパイスを使ったアルコール度数の強いビールをよく見ます。

このランビックもレーズンではありますが、ケーキを連想させるところでは同じような感覚なのではないかと思われます。元のグーズの甘みのある味わいに白ワインのような風味が加わり、上品な仕上がりとなっています。

クリスマス時期限定醸造ですが、瓶内熟成するため1年中お楽しみいただけます。

http://www.kinki-beer.jp/detroch_02.php

ここでまた「ランビック」「グーズ」というものを説明しなければなりません。

ランビックは、ベルギーのブリュッセルの南西に位置するパヨッテンラント地域でのみ醸造される特色のあるビールのスタイルである。

慎重に培養した醸造用酵母を使って発酵させるエールやラガーの製法と異なり、ランビックは自然発酵で造られる。自然発酵は、ブリュッセルを縦断するゼンネの谷に自然に生息すると言われている野生酵母とバクテリアにさらされることで起こる。この珍しい工程により、ドライで、ワインやシードルのようなわずかな酸味という特有のフレーバーがビールに加わる。

ランビック/Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%93%E3%83%83%E3%82%AF

グーズ (Gueze)

熟成期間1年の若いランビックと2年から3年熟成した古いランビックを混ぜて瓶詰めしたもの。若いランビックはまだ完全には発酵していないため、瓶内二次発酵 (いわゆるméthode champenoise) が起こり、炭酸ガスが発生する。約1年の再発酵で良いグーズになるが、瓶のままで10年から20年保存できる。名前は似ているが、ドイツのエールのスタイルであるゴーゼ(Gose)とは別物である。

「野生酵母とバクテリア」で醸造されるビールであるランビックは、その工法から非常に原始的なビールであるということができるかもしれませんね。そのランビックの熟成の若いものと古いものをブレンドしたビールがグーズというわけなんです。そしてその味はというと、とてつもなく酸っぱい!ビールで酸っぱい、という事自体が衝撃的な味なんですが、ただ酸っぱいだけではない複雑な風味も隠されていて、一度飲んだら絶対忘れられない強烈な個性を持ったビールであるといえるでしょう。自分がベルギー・ビールに興味を持ったのは、このとんでもなく強烈な個性のビールを最初に飲んだからなんです。

ただし、この「シャポー・ウィンター・グーズ」はレーズンが加えられ、酸味こそ強いものの、マイルドでフルーツの甘さが加わっています。ベルビュー・クリークというフルーツ・ビールをご存知の方がいらっしゃるかもしれませんが、実はこれもチェリーをグーズに漬けたランビック・ビールなんですね。そしてこの「シャポー・ウィンター・グーズ」はレーズンを使ったクリスマス限定のランビックという訳なんですね。

というわけで、能書きはこのぐらいにして、相方さんと乾杯!

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●シメイブルー グランド・リザーヴ

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「今日の晩御飯はパンとハムとチーズにしようか」ということなって、じゃあビールは?と相方さんと相談した結果、シメイブルーにしようじゃないか、ということに。どうせ二人で飲むんだからと、いつもの小瓶(350ml)ではなく思い切って750mlの大瓶を買ってみました。ビールの栓はコルクと金具。なんだかシャンパンみたいですね。ベルギーではビールはワインと一緒な扱いなので、この日はワイン気分でシメイブルーを楽しみました。

●お正月用ビール

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お正月用にちょっときばったビールを幾つか購入しました。まずは新潟にある瓢湖屋敷の杜ブルワリーの「スワンレイクバーレイ」。通常の倍の原材料を使用し、約1年熟成した長期熟成ビールで、バーレイワインの大好きな相方さん用です。500ml入りで、アルコール度数は最初8%ということを調べて買ったんですが、届いたビールは8%の表示を消して度数10%になっています!きっと醸造後に予定よりも高い度数で出来上がっていた、ということなんでしょう。こういうイレギュラーもクラフトビールらしくて楽しいです。しかし10%…これは酔っぱらうなあ!

スワンレイクバーレイは、英国の伝統的なスタイルからできた高アルコールビールだ。ワインに対する尊敬の念からつくりだされたと云われ、バーレイ(大麦)からできたワインという意味があるようだ。まるで、宝石のような美しい琥珀色につつまれたボディは、エールイーストがもたらすフルーティーな風味、強いアルコールフレーバー、熟成による味わいが渾然一体となり深みのある味わいをつくりだしている。まるで宝石をちりばめたかのような魅惑的なテイストが味わえる。

http://www.craftbeers.jp/Swanlake-Barley.html

ビールは箱入りで届きましたよ。

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続いてのお正月ビールは静岡のベアードブルーイング製、「ウエストコースト ウィートワイン2013」。度数は9.5度。そして静岡の常陸野ネストビール製ベルジャンダークストロングビール「NESTエキストラ・ハイ 330ml」。こちらは度数8%。どちらも酔っぱらいそう…。

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◎ウエストコースト ウィートワイン2013

ベアードブルーイングがごく僅かに発売している限定品アイテムだ。1980年代にアメリカ西海岸で生まれたというウィートワインというスタイルでつくられている。バーレイワインはおもに大麦麦芽でつくられるが、このウィートワインは小麦麦芽が主原料となっている。熟したアンズやシェリーのようなアロマ、ベッコウ飴のようなリッチなフレーバー、そして小麦に由来する滑らかで優しいタッチが印象的。ブランデーグラスでゆっくりと味わっていただきたい上質なクラフトビールだ。

http://www.craftbeers.jp/West-Coast-Wheat-Wine.html

◎NESTエキストラ・ハイ 330ml

NESTエクストラハイは、ベルギーのダークストロングエールというスタイルでできた高アルコールビールです。色合いはやや濃い目のブラウンで、ホップ、モルト、エステル香、そしてコリアンダーのような香りが複雑に絡み合って、濃厚でクリーミーな味わいを形づくっています。ここまで紹介すると英国のバーレイワインを思い浮かべる方も多いかと思いますが、それよりもやや味わいはスムーズ。1998年にはワールドビアカップにおいて銀メダル受賞という快挙を成し遂げたプレミアムビールです。

http://www.craftbeers.jp/nest-extra-high330.html

[]ビール日記の追記 ビール日記の追記を含むブックマーク ビール日記の追記のブックマークコメント

トラピスト・ビールといえばシメイが最も有名だが、今回「シメイ ゴールド」なる、これまで門外不出だったビールが販売されることになったらしい。

おおおこれは飲みたい…。

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「シメイ ゴールド」は修道院開設当初よりスクールモン修道院の修道士ならびに、修道院を訪れたゲストのみしか口にすることが出来なかった門外不出のビールです。

※現地では「シメイ ドレー」という名前です。

シメイ ゴールドの特徴

ややオレンジがかったにごりのある淡いゴールド。

オレンジ、レモン、アプリコット、白桃などのフルーティーな香りがあります。

オレンジのような柑橘系のフレーバーを伴った、さわやかな酸味と旨みのバランスの良いすっいりとした味わい。後に心地よい苦味が続きます。

http://www.belgianbeer.co.jp/lineup/detail_1237.htm

20131209(Mon)

[]怪しく美しいオリエンタル・ジャパン伝奇ファンタジー〜映画『47RONIN』 怪しく美しいオリエンタル・ジャパン伝奇ファンタジー〜映画『47RONIN』を含むブックマーク 怪しく美しいオリエンタル・ジャパン伝奇ファンタジー〜映画『47RONIN』のブックマークコメント

■47RONIN (監督:カール・リンシュ 2013年アメリカ映画)

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「え?あの忠臣蔵を海外で映画化?主演がキアヌ・リーブス?怪しげなクリーチャーや魔法が炸裂?怪しすぎる日本"風"美術がテンコ盛り?で、タイトルが『47RONIN』? 」…少なくとも、『47RONIN』の予告編を観た時に思ったのは、海外で日本が映像化されるときにありがちな、バッタもんじみた日本の風景と習俗がこれでもかと盛り込まれた、「勘違い日本映画」の王道を行くお笑い映画に仕上がっているのだろうな、ということだった。いやしかし、「勘違い日本映画」は意外と嫌いじゃない。あの『ウルヴァリン SAMURAI』だって、勘違いぶりに大笑いしつつ、映画の出来は最高だったじゃないか。これは観に行くしかない、と早速映画館に足を運んだオレだったが、あにはからんや、そこで観ることのできた映画は、非常によく練り上げられた、怪しく美しい伝奇ファンタジー映画だったのである。

物語の骨子はなにしろあの「忠臣蔵」である。吉良上野介の姦計に陥れられた浅野内匠頭が切腹を命じられ、浅野の汚名を晴らすべきく、かつての家臣・大石内蔵助率いる総勢四十七名の赤穂浪士が本所・吉良邸に討ち入り、見事首級を取ったのち全員切腹、義士と認められた、という元禄赤穂事件を題に採る『仮名手本忠臣蔵』である。映画では浅野内匠頭を田中泯、吉良上野介浅野忠信、大石倉之助を真田広之が演じ、さらにオリジナル・キャラクターとして、山から拾われ天狗の子と蔑まれながら浅野家に育てられたカイ(キアヌ・リーブス)、浅野家の姫でありながらカイと禁断の恋に落ちるミカ(柴咲コウ)、吉良を誘惑し暗黒面に落とす妖術使いの女ミズキ(菊地凛子)が登場する。

まず初っ端から、舞台が日本でありながら、なにもかもが新たにデザインし直された別の日本が登場して驚かされる。城郭からその内装、侍たちの鎧、裃、女たちの着る着物やその化粧。さらに彼らの居る自然の情景すら鋭角的な険しい山々や不気味な奇岩がそそり立つ、どこかヨーロッパ的ですらあるような厳しい自然の只中なのだ。これがいわゆる「勘違い日本映画」なら、中国や東南アジアの文化とチャンポンになったあげくゲシュタルト崩壊を起こしたような「謎の無国籍文化」が描かれるところを、この『47RONIN』では、指輪物語やダンジョンズ・アンド・ドラゴンズを彷彿させるようなハイ・ファンタジー、RPGの情景とその美意識を日本の文化と融合させたような世界が広がっているのだ。確かにトゥーマッチな部分こそあるにせよ、ちぐはぐだったり寄せ集めだったりするような部分は微塵もない。これは緻密なリサーチと計算によってリ・イマジネーションされた日本の情景だということができるだろう。

映画では様々な作品の引用・インスパイアを楽しむ事が出来るが、例えば冒頭の麒麟討伐の場面は『もののけ姫』だし、出島での帆船の群れは『パイレーツ・オブ・カリビアン』を思い出させたし、魔性の女にたぶらかされた狂える男・吉良上野介はあたかもシェークスピアの『マクベス』で、吉良に捕えられたミカの後ろに立つ3人の老女はその『マクベス』の3人の魔女を思わせるし、草原を行く赤穂浪士の馬隊はLOTRの一場面のようだし、天狗の剣を授かりに行くシーンは『エクスカリバー』そのものだし、和洋折衷の悪魔的な城郭はどこか『ブレードランナー』の未来都市じみた禍々しさで、赤穂浪士が討ち入りに入る吉良邸はこれもLOTRのモルドールとだぶって見えた。こういった中世物語、ファンタジーが舞台である日本とミクスチャーされながら描かれる部分が楽しかった。

こうしてしっかりと形作られた独特の世界観と美術に裏打ちされ、楽しむことのできる作品ではあるが、物語的に説明不足な部分も無いわけではない。それは主演であるキアヌ・リーブス演じるカイの出自の真相と彼の立ち位置だろう。天狗の子と呼ばれた彼の出自は後半明かされるが、強力な存在理由というか説得力がない存在で、海外の観客に受け入れられやすいように登場したキャラだというのはわかるとしても、やはり「付け足されたキャラ」感が拭えない。そして吉良をたぶらかす魔女ミズキは、そもそもなぜ魔女であり、何を理由に吉良に近づいたのかが明かされない。最も違和感があったのはあのラストだろう。「忠臣蔵」である以上しょうがないことなのだが、リ・イマジネーションされた日本なのなら例えばタランティーノ映画のようにそこも変化していてもよかったのではないか。製作者側も懸命に「日本のかつての風習」として割り切ろうとしているのだろうが、逆に日本人のオレが観ても「復讐を第一義に据えたんならそれで終わりで良くて、別に武士道とか忠節とか、今更古臭い封建主義礼賛の行事事なんか、切っちゃっても映画として成り立ったんじゃない?」と思えてしまった。

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47 RONIN

47 RONIN

kenken 2013/12/09 12:17 こんにちは
47RONIN、面白く見たのですがやはりあのラストに引っ掛かりました。
自分の場合は「介錯は?」とか、「なにも全員で…」という画的な意味で、
感動の場面なのにちょっと面白くなってしまってるなと(笑

globalheadglobalhead 2013/12/09 14:33 そうそう介錯も気になりましたよねー。しかしただでさえ47人雁首揃えてるところにさらに介錯人が47人揃うと総勢100人弱、みんなでわらわら切腹したり首切ったりしてたら何が何だか訳わかんないシーンになりそうですよね!
(計算間違ってたのでこっそり数を訂正しました)

kenken 2013/12/09 15:49 ですよねえ、ハラキリだけでは死ねないだろうに…
まあ確かに介錯人がそんなにいるとスリーハンドレットの如き凄惨な場面になりそうなんで割愛したんでしょうけど、それも見たかったですね。

globalheadglobalhead 2013/12/09 16:15 そうですね、血が一切出ないこの映画、最後のシーンだけでもいっせのせで47個の首が豪快に宙を舞う!おしまい!てなエンディングにしても面白かったかもですね。

20131206(Fri)

[]アクション、コメディ、ロマンスがバランスよくブレンドされた秀作〜映画『RED リターンズ』 アクション、コメディ、ロマンスがバランスよくブレンドされた秀作〜映画『RED リターンズ』を含むブックマーク アクション、コメディ、ロマンスがバランスよくブレンドされた秀作〜映画『RED リターンズ』のブックマークコメント

■REDリターンズ (監督:ディーン・パリソット 2013年アメリカ映画)

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引退した凄腕の元CIAエージェントが活躍する『RED/レッド』の続編だが、オレはこの1作目、あまり面白く観られなかったのだ。実は予告編を観て、ハードでシリアスなアクション映画だと勝手に思い込んでいたのだ。しかし実際に観てみると、アクションはそれなりにあるものの、どちらかというとロマンス要素もあるコミカルな作品で、思い込みと違ったばかりに拍子抜けしてしまったのである。だから1作目が面白くなかったのは、作品の出来不出来というより、オレが接し方を間違ってしまった、という部分が大きいのだろう。そんなわけでこの続編は、もっとリラックスして楽しもうと心掛けてみた。

そうして観てみた『REDリターンズ』、これがもうすこぶる面白い。「ナメてましたどうもすいません」と製作者の皆さんに頭を下げたくなるほど面白い。これはひょっとしてこの暮れに公開された映画のダークホースなのではないかとすら思った。

元凄腕諜報部員たちが繰り出す元凄腕ならではのタフなアクションがまず楽しい。でも皆さん老齢なのでそんなアクションがどことなく心もとないのがコミカルだ。そして彼らのお年を召してさらに盛んなロマンス要素がこの作品に実に豊かな味わいをもたらしている。アクション、コメディ、ロマンス、これらがバランスよく映画の中に配置され、爽快感ととぼけた雰囲気のほどよくブレンドされた快作エンターティメントとして仕上がっているのだ。

ブルース・ウィリスジョン・マルコヴィッチアンソニー・ホプキンスヘレン・ミレンといった出演陣の魅力も忘れてはならない。年寄りならではのカッコよさ、年寄りならではの狡猾さ、年寄りならではのズッコケ具合、そして年寄りとは思えないほどのクールさと色気。これらのキャラクターを絶妙と言っていいほどに演じきっている。これら老齢枠(失礼!)の出演者に加え、脂の乗り切った年代と肉体を見せつけるキャサリン・ゼタ=ジョーンズの匂い立つような妖艶さ、それと対照的なメアリー=ルイーズ・パーカーの快活で健康的な色香と予想を覆す突拍子もない性格、この二人の個性がなお一層作品を小気味いいものにする。

そんな和気藹々としたキャラクターたちと対照的に、ピンッと尖りまくった異色の存在感を醸し出しているのがこの中では最若手であるイ・ビョンホンだ。鍛え上げられた肉体と水も滴る二枚目顔、圧倒的なスピードを見せる剃刀の如き鋭利なアクション、キレッキレの狂気じみた性格、このイ・ビョンホンのキャラクターは、本来ならこういったアクション映画のメインとなるべきものであり、当然この作品でもその魅力を余すところなく発揮している。

ただ、何一つ遜色の無い筈のアクション・スター、イ・ビョンホンが、この作品では単にキツくて余裕がなく、洗練さに欠ける青臭いひよっこに見えてしまうのは、周りを囲む出演陣の、余裕に満ちたいぶし銀の存在感とどうしても比べてしまうからだろう。というより、今回のイ・ビョンホンの役回りというのが、年寄りキャラとの対比を際立たせる為にあったのだろう。そんなイ・ビョンホンがお話が進むにつれ、どんどんコミカルキャラに変身してゆくのが、この映画のもう一つの面白さだ。

この映画を素敵なものに感じたのは、まず一人の年寄りとして、年寄りたちが活躍する様を観るのが痛快だったことが挙げられる。それも人間ドラマではなくフィジカルなアクションとして見られるという部分が楽しかった。それともう一つ素敵だな、と思えたのは、男性キャラ女性キャラそれぞれが、きちんと調和がとれた、性分の合う組み合わせの中で存在し行動しているということだ。

ごく一般的にアクション映画というものは、マッチョな男とマッチョな男がくんずほぐれつ敵対しながらギラギラにマッチョな男の世界を構成し、そこで女は庇護される存在か男並みにマッチョになるしかないのだが、この『REDリターンズ』では男と女が非常に自然に両立しながらお互いを尊重し存在しあっている。だからこそこの映画には華があり匂いがあり生活感があり、猥雑で豊かで明るいのだ。そして男だけが中心の男ばかり出てくる物語がどことなくいびつなものであることを気づかせてくれる。『RED リターンズ』は、女の偉大さを感じさせる物語でもあったのだ。

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20131205(Thu)

[]シェイクスピア戯曲を演じる受刑者たち〜『塀の中のジュリアス・シーザーシェイクスピア戯曲を演じる受刑者たち〜『塀の中のジュリアス・シーザー』を含むブックマーク シェイクスピア戯曲を演じる受刑者たち〜『塀の中のジュリアス・シーザー』のブックマークコメント

■塀の中のジュリアス・シーザー (監督:パオロ・タヴィアーニ、ヴィットリオ・タヴィアーニ 2012年イタリア映画)

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この『塀の中のジュリアス・シーザー』、「あのシーザーが刑務所に入れられた!」という映画ではもちろん御座いません。実際にム所に入れられている重犯罪者たちが、ム所内の演技実習でシェークスピアの戯曲「ジュリアス・シーザー」を演じることが決まり、そのオーディションから練習風景、そして舞台公演までを追ったドキュメンタリーなんですな。

舞台「ジュリアス・シーザー」を演じることになった堀の中の面々は、いずれ劣らぬツワモノばかり。その犯罪歴と刑期も凄みがあって、麻薬売買で刑期17年とか、累犯及び殺人で終身刑とか、組織犯罪で刑期14年6ヶ月とか、当然のことながら一筋縄の連中ではありません。犯した犯罪のダークサイドが顔つきにも滲み出ていて、苦み走ったコワモテぶりは、逆に舞台俳優として個性満々のキャラクターなのですよ。

作品では彼ら堀の中のコワモテたちの練習風景から舞台までの進行が、戯曲「ジュリアス・シーザー」の後半のストーリーの流れときちんとシンクロさせて描かれており、要するに練習風景を見つつも「ジュリアス・シーザー」のストーリー進行もきちんと理解できる、といった仕組みになっています。

シェークスピア戯曲「ジュリアス・シーザー」は読んだこと観たことはないのですが、調べるに、シェークスピアが当時のイギリスにおける王権継承についての政治不安を、古代ローマの政治不安に重ねて描いたものらしいのですな。それをこの『塀の中のジュリアス・シーザー』では、服役中の犯罪者たちの心に巣食う暗部を、シーザー暗殺を巡る葛藤と苦悩に重ね合わせて描こうとしているんです。だから映画では、受刑者たちが「ジュリアス・シーザー」の登場人物にあまりに感情移入してしまい懊悩する、なんていう一コマがあったりするんです。

しかし一見ドキュメンタリーとして制作されているこの作品、よく見るとドキュメンタリーらしさがないんですな。それは全体のカメラ位置、カメラワーク、きちんとしたライティング、受刑者たちが心情吐露するシーンの予定調和ぶり、そして個人的な心情吐露であるはずのそのセリフの立て板に水の流麗さ、から伺えるんですよ。さらにこの映画では受刑者たちの練習時間以外の個人的な様子や呟き、個々へのインタビューのようなものは全く拾われておらず、彼らは重犯罪者であり服役者である、という記号以上の存在としては扱われてはいないんですね。要するに最初からなにもかも膳立てされて撮影している、というふうにしかみえないんですよ。ドキュメンタリーのはずがシナリオのあるドラマに見える、ということなんですね。

しかしこの映画を嘘ドキュメンタリーと言いたいわけではなくて、実はこの映画、『「ジュリアス・シーザー」の舞台練習をする受刑者を描く物語を実際の受刑者を使って作った映画』という二重構造の作品なのではないのかと思うのですよ。つまり最初に書いた「ジュリアス・シーザー」の葛藤と苦悩の物語と受刑者たちの葛藤と苦悩とをオーバーラップさせて描くことが最初からテーマとしてあり、あらかじめそれに則ったシナリオに基づいて製作されたドラマなのだ、ということですね。

そういった意味でこれは「ジュリアス・シーザー」の新たな解釈に基づく映画化、と言えるのかもしれませんね。しかしそれならそれでドキュメンタリー"風"になんかせずに最初からそういった構造の物語として描いたほうが映画的な興奮は増したと思いますが、この作品ではやはりどうにも中途半端で言葉足りずのように感じました。

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ジュリアス・シーザー (新潮文庫)

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20131204(Wed)

[]インディー・ジョーンズぽくもありアンチャーテッドぽくもあり〜ゲーム『デッドフォール・アドベンチャーズ』 インディー・ジョーンズぽくもありアンチャーテッドぽくもあり〜ゲーム『デッドフォール・アドベンチャーズ』を含むブックマーク インディー・ジョーンズぽくもありアンチャーテッドぽくもあり〜ゲーム『デッドフォール・アドベンチャーズ』のブックマークコメント

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さて『CoD:G』もとっくに終わり、「あとは来年出るPS4とそのソフトを待つぐらいかなあ」と悠長に構えるつもりのオレであったが、実は『CoD:G』と一緒に買ったソフトのことも忘れてはいなかったのである。その名は『デッドフォール・アドベンチャーズ』。Xbox360専用ゲームである。

どんなゲームなのかというと、第2次大戦の最中にある世界を舞台にした、一人称視点、いわゆるFPSタイプのトレジャーハンター・ゲームである。トレジャーハンター・ゲームというとまず思い浮かべるのは『トゥーム・レイダー』と『アンチャーテッド』。『デッドフォール・アドベンチャーズ』はあれらは三人称視点のアクション・ゲームを、一人称視点で、そしてFPSらしくシューティングをメインにしつつも謎解きも盛り込んだゲームとなっているのだ。

主人公の名は「インディ・ジョーンズ」のモデルにもなったH・R・ハガードの小説に登場する伝説の冒険家アラン・クォーターメインの曾孫…という設定のジェームズ・リー・クォーターメイン。その彼が「インディ・ジョーンズ」を思わせる危険に満ちた古代秘宝探索と、KGB、ナチス、そしてミイラなど超自然の化け物との戦いを繰り広げていくという訳なのだ。

最初に書いてしまうと、ゲームとしてはいささか洗練さに欠けた部分がある。先にタイトルを挙げた『アンチャーテッド』、そして新生スタートを切った『トゥーム・レイダー』などと比べると、どうにもぎこちないモーションに、あか抜けないキャラクター造形、既視感に満ちたシナリオ展開とアドベンチャーのザックリ感などなど、見劣りする部分があまりに多い。さらにキー操作の説明が足りないばかりに序盤で既につまりそうになったぐらいだ。

ではクソゲーなのか?というと実はこれが、そこそこに楽しめるゲームでもあったりするのだ。確かに有名人気ゲームタイトルと比べてしまうとナニなのかもしれないが、FPSでトレジャーハンターもの、ここで既に新鮮なのだ。謎解きもそれほど難しくはないが、歯応えが無いというほどでもない。洗練さに欠けつつ、それは逆に荒削りな良さに通じる部分があり、なにより、その荒削りな部分がインディーPCゲームを思わせる懐っこさを感じさせるのだ。

海外の評価も賛否両論で、決して万人に勧められるゲームではないのかもしれないが、少なくともオレは楽しくプレイしている。コントローラーを握りながら、10時間前後の異世界探検を体験するには申し分のないゲームだろう。大作・名作ゲームばかりではなく、癖はあるがちょっとした味わいのあるゲームもまたいいのではないだろうか。

Deadfall Adventures - Xbox360

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20131203(Tue)

[]「老人と宇宙」シリーズ第5巻『戦いの虚空』は新たな章の始まりだった! 「老人と宇宙」シリーズ第5巻『戦いの虚空』は新たな章の始まりだった!を含むブックマーク 「老人と宇宙」シリーズ第5巻『戦いの虚空』は新たな章の始まりだった!のブックマークコメント

■戦いの虚空 (老人と宇宙5) / ジョン・スコルジー

戦いの虚空 (老人と宇宙5)

コロニー連合は、兵士と植民者の供給を頼っていた地球に関係を断たれた。このままでは防御を失った人類の惑星は、技術力に欠ける地球も含めて、30年で絶滅する――そのころ、コロニー防衛軍のハリー・ウィルスンは、外交団の一員として、ろくでもない任務に追われていた。しかし、その奮闘により、連合と地球との関係に希望が見えてきたとき、謎の敵が攻撃を仕掛けてくる……。陰謀渦巻く〈老人と宇宙(そら)〉シリーズ第5弾!

ロバート・A・ハインライン作のミリタリーSF『宇宙の戦士』の再来」とまで呼ばれるジョン・スコルジーの『老人と宇宙(そら)』シリーズ最新作第5巻です。このシリーズ、実は中心となるお話は3巻目ぐらいで終わっていて、4巻はその追補編みたいな作品だったもんですから、さらにこの5巻まで出てしまうとは思いませんでした。続きを期待するファンの熱い要望に作者が気圧されたってことなのでしょう。

遥かな未来、宇宙はさまざまな知的種族によりコンクラーベと呼ばれる宇宙同盟を組織しつつあったんですな。一方人類はそれに与せず様々な植民星からなるコロニー連合を形作っていたのですが、ただひとつ地球だけは蚊帳の外にされ、そんな宇宙の趨勢を知らされることも無くコロニー連合に兵士と植民者を供出していたんです。しかしあることがきっかけでコロニー連合の欺瞞を知った人類は、コロニー連合との関係を断とうとします。そんな地球を懐柔しようと交渉を続けるコロニー連合でしたが、この交渉を決裂させようと謎の組織によるテロ活動が頻発する…というのがこの『戦いの虚空』の背景です。

さてこの第5巻、これまでの1〜4巻で主人公となっていたジョン・ペリーとその一家は残念ながら登場せず、「伝説の人物」といった扱いになっています。その代りに主役を務めるのがコロニー防衛軍のハリー・ウィルスン。彼が随行する外交チームはコロニー連合では最低ランクの雑用扱いなチーム。しかし、彼らは持ち前の気転と行動力で様々な無理難題を乗り越え、次第に暗躍するテロ組織の陰謀へと肉薄してゆく、というのがこの『戦いの虚空』です。

物語はウェブ連載という形式で発表されたものをまとめた形になっています。構成はハリーら外交チームの活躍と、その背後で進行する陰謀が交互に描かれ、それぞれのエピソードは一触即発の危機を描いたものもあれば宇宙のあちこちで進行する不気味な陰謀を描いたもの、スコルジーならではのとぼけた笑いが描かれたものなどさまざま、こういった構成で書かれたせいなのかこれまでのシリーズの中で一番分厚い分量になっていますね。

逆に沢山の細かなエピソードを積み上げて物語られている分、物語の求心力がばらけてしまい、ウェブ連載で毎週読むのならならこれが醍醐味だったんでしょうけれども、1冊の小説として一気に読もうとすると、小粒のエピソードをちびちび読まされているような気分になってくるんですよ。物語はアクションよりも対外交渉と陰謀による細かな事件にウェイトが占められ、そういった部分でもこれまでのシリーズと比べるなら若干地味目に思えてしまうかもしれません。

ただしこれが最終章、地球上空の宇宙エレベーターを舞台にした大スペクタクルへとなだれ込むと、これまでの欲求不満が一気に吹き飛ぶようなド派手でめまぐるしい展開を見せつけられます。大破壊もドンパチもなんでもありです。そして要所要所で笑わせてくれるスコルジー節ももちろんアリです。いやー最初っからこのテンションでやってくれればいいのにスコルジーさん!しかもここで物語は一応の結末を迎えるのですがまだ全ては終わってないことになっているんですね。いや、どうも新章突入ということらしいんですよ。また次回もウェブ連載形式みたいなんですが、今度は初っ端からもっと飛ばして下さいスコルジーさん!

ジョン・スコルジーの『老人と宇宙(そら)』4部作読んだ (その1)

ジョン・スコルジーの『老人と宇宙(そら)』4部作読んだ (その2)

老人と宇宙(そら) (ハヤカワ文庫SF) 遠すぎた星 老人と宇宙2 (ハヤカワ文庫SF) 最後の星戦 老人と宇宙3 (ハヤカワ文庫SF) ゾーイの物語 老人と宇宙4 (ハヤカワ文庫SF)

20131202(Mon)

[]ノートパソコンとかあとあれこれ買った ノートパソコンとかあとあれこれ買ったを含むブックマーク ノートパソコンとかあとあれこれ買ったのブックマークコメント

■ノートパソコン買った

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ノートパソコンを買った、というか相方さんからプレゼントしてもらいました。相方さんの仕事が忙しすぎて、今年のオレの誕生祝をしていなかったので、それとクリスマス・プレゼントを同時にやっちゃえ!ということで、「これで好きなもん買え」と相方さんがポンッとオレに札束投げてよこしたわけですな。相変わらず男らしい相方さんです。で、その札束と自分で出した差額で買ったのがこのノートパソコンということなんですよ。

まあセカンド・マシンということで、それほど性能やメーカーは気にしていなかったんですが、Windowsマシンで大きさは13インチで、とりあえずSSDは外せない、あとそれほど値段が張らず、値段の割に薄くて軽いの、ということでVAIOのこのモデルになっちゃいました。しかし買った後気付いたんですがこのモデル、タッチスクリーンだったんですね。知らずに買ったんでなんだか得した気分なんですが、多少大きな買い物だったにも関わらずそういうとこキチンと調べずに買っちゃうところがオレらしいですね。タッチスクリーン、最初はそんなに使うのかなあ、と思ってましたが、使ってみるとタッチパッドやマウスを使うよりもまずタッチスクリーンで操作してしまいますね。今の所外で使うかどうかは謎ですが、外で使うったってオレは仕事で使うことは無いですから、外で日記書いたりするんですかねえ…。というわけで相方さんありがとう!

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スペック:Windows8Pro64ビット/Corei5-3337U(1.80GHz)/4GB(オンボード)/ハイブリッドHDD 約500GB (HDD+SSD) (Serial ATA、5400回転/分)/インテルHDグラフィックス4000/13.3型ワイド(WXGA1366×768)VAIOディスプレイ/タッチ/USB3.0x1(USB給電対応)+USB2.0x1/“メモリースティックデュオ"/“SDメモリーカード"共用スロット×1(同時使用不可)/W-LANb/g/n/HDウェブカメラ/BT/シルバー

http://nttxstore.jp/_II_SN14253475

http://www.sony.jp/vaio-biz/spec/T1313AJDB.html

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■iPhone5sに機種換えした

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今まで使ってたiPhone4がそろそろ3年になり、ボタンも云う事効かなくなってきたし、動きものっそりして感じるし、もう機種変更してもええんぢゃないかい?ということでiPhone5sに換えました。色はシルバーで32G。こうして触ってみると3年分の技術革新ぶりを体験するのは楽しいですね。Siriとか指紋認証とか、実際無くてもなにも困りませんが、そういうことのできる未来っぽいオモチャだっていうのが楽しいんですね。そしてやっぱり早くなったのが嬉しいですね。あと契約の時にアホほどくっついてくる鬱陶しいオプションを速攻で切るのが目下の課題ですね。

それと、2年間無料だというんでテザリング・オプションをつけました。これでこの間買ったノートパソコンがますます外で使えるようになる、というわけなんですな…いやだから外では使わないと思うんだが。

■眼鏡買い替えた

老眼で買った眼鏡も1年経ち、前より目が疲れることが多くなってきた(ひどいときは頭痛まで)ので、これも買い換えることにしました。視力は極端に悪いわけではないんですが、乱視がきついので結局あれこれぼやけて見えてしまうんですね。今まではダークブルーのフレームでしたが、今度のはダークブラウンです。なお一層年寄臭くなりました。

しかし老眼という事で、この間まで使っていた眼鏡は遠近両用だったんですが、なんでも中近両用というのもあって、これは車の運転みたいに遠くを見る必要が無いなら、中近のほうがより自然な視力矯正が行われる、ということらしいんですが、「おお、それでええやん」と思ったオレ、その中近で作った後に気付いたんですが、映画館で映画観るときはどうなのよ…。まあ、映画館じゃなくて家で映画観てりゃあいいってことかな!?

■イヤフォン用ケーブル買い替えた

携帯音楽プレイヤー用に「Ultimate Ears TripleFi 10」というイヤフォンを使ってるんですが、まあこれがなかなかに素晴らしい音を聴かせるイヤフォンでありまして、「もうオレはイヤフォンはこれ1個でいいいやあ」と思えるほどなんですが、まあお値段もカナ〜リしたりするんですわな。で、イヤフォンのネックとなるのがケーブルの断線なんですが、お高いイヤフォンが断線で使用できなくなっちゃう、なんていう悪夢のような事態を、この「Ultimate Ears TripleFi 10」はケーブル変更可という仕様でもって乗り切れるわけなんです。しかし、このケーブル自体もお高いんだけどさあ…。それでもケーブルのなかでは一番安いの使ってるんですよこれでも。しかもそのお高いケーブルが今までに2回断線起こしてまして、それはそれぞれ違うメーカーなんですが、今回なんか前回買ってから3ヵ月、という涙の止まらない短い期間だったわけですよ…。ケーブルだけでそこそこのイヤフォン買えちゃうよ…。まあ音が気に入ってるからまた買ったけどさあ…。

Ultimate Ears TripleFi 10 Noise-Isolating Earphones 並行輸入品

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■というわけでお金使い果たした

というわけで調子に乗ってお金使い過ぎて正月も近いというのに青色吐息であります。今年の年は越せるんだろうか…あとはネット乞食するしか…(ヲイ)。

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