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メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

20140312(Wed)

[]大友克洋のオムニバスアニメ『SHORT PEACE』はなんだか物足りなかったなあ 大友克洋のオムニバスアニメ『SHORT PEACE』はなんだか物足りなかったなあを含むブックマーク 大友克洋のオムニバスアニメ『SHORT PEACE』はなんだか物足りなかったなあのブックマークコメント

■SHORT PEACE (監督:大友克洋,森田修平,安藤裕章,カトキハジメ,森本晃司 2013年日本映画)

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大友克洋といえばオレぐらいの世代だと『童夢』『AKIRA』で一世を風靡した漫画家だが、映像作品にも力を入れており、80年代頃からぽつぽつと実写・アニメ作品をリリースしている。この『SHORT PEACE』も『ロボット・カーニバル』『迷宮物語』『MEMORIES』など、かつて大友が参加したオムニバス・アニメの流れを汲んだものだ。タイトル『SHORT PEACE』は1979年に出版された大友初の漫画短編集『ショート・ピース』にちなんだものなのだろうが、内容自体は関係ない。

『SHORT PEACE』はそれぞれ個別の監督によるオープニングイメージ作品一篇と四篇のアニメ作品で構成されている。海外マーケットを意識したのだろう、全体的には「日本」をテーマにしたオムニバスなのだという。ただ、このオムニバスに限ったことではないのだけれども、日本人が海外の目を気にしたジャポネスクに拘って作られた作品って、当の日本人から見ると「野暮ったいなあ」ってなことになってしまうことが多いような気がするんだが…。

オープニングは森本晃司監督によるCM映像(それも古臭い)みたいなイメージ作品。そしてまず1作目は昔々の日本を舞台にした森田修平監督による『九十九』。「付喪神」の「つくも」にゴロ合わせしたようで、山道に迷った男が廃屋の中で古物に取り憑いた付喪神の化け物に遭遇する、といったもの。キャラがモロにCG臭い造形で、なんだかゲームキャラを見せられているみたい。化け物となった古物は唐傘や着物や茶碗など、実に和物なものばかりで、これらがわらわらと集まり蠢き変化する様がこの作品の見せ場ということなのだろう。男の持つ寄木細工の道具箱も秘密兵器っぽくてなかなかいい。しかしこの1作目から既に和物全開なので、この後も続く和物三昧に段々食傷してくることになる。

2作目は大友克洋監督『火要鎮(ひのようじん)』。これは1995年に発表された大友の短編漫画「火之要鎮」を原作としているようだが、「江戸の火事と火消し」というテーマこそ一緒だけれども、物語運びは新たに創作しなおされている。漫画版「火之要鎮」自体、「AKIRA」連載終了後に大友が「AKIRA」のイメージから脱却しようと描いた作品で、物語そのものよりも漫画の中で描かれる、時代考証を重ねた江戸期の細々とした生活雑貨の描写に注目すべき作品となっていた。このアニメ版でも非常に綿密な江戸風俗の描き方をしている印象を受けた。また、画面の上下が切られ絵巻物のような模様が入れられているところなどが特徴的。しかしアーティスティックでよく出来ているとは思うが、醍醐味というかダイナミズムに欠けるお行儀のよさが難点か。

3作目安藤裕章監督の『GAMBO』。戦国時代を舞台に、村人をなぶり殺す鬼型宇宙人と、少女の願いで現れた白熊(?)との戦いを描く。粗筋からもうかがえるようにこれがメチャクチャ。なんで白熊なのかわからないし、冒頭でその白熊がキリシタン侍と何故戦ってるのかわからないし、そもそもそのキリシタン侍がなんなのかわからないし、不時着してUFO壊れているくせにその中でさらった娘に幼体を寄生させている鬼のやりたいこともわかんないし、鬼と熊の戦いは熊が首の骨を折られる、蘇る、の繰り返しでしかないし、無意味に血の量多いし、「で、結局なんだったの?」と思うことしきり。

4作目は戦争で荒廃した近未来の東京を舞台に描かれる、カトキハジメ監督作『武器よさらば』。原作は1981年に描かれた大友克洋の同タイトル短編。パワードスーツで武装した小隊が一機の強力な無人兵器と熾烈な戦闘を繰り広げる、といったSF作品なのだが、実際の所『SHORT PEACE』で期待していたのはこういう作品だったんだよなー。全部を近未来SFにしろってことじゃなく、そもそも4作品あるのにそのうち3作品を日本の近世で固めちゃうってのがバランス悪い。作品のほうは原作をさらに掘り下げて新たな展開を加えており、どこかとぼけた雰囲気だった原作が緊迫感に満ちたものに様変わりしている。次々と現れる兵器と連呼される兵器名称、どこまでも無機的な敵ロボット兵器とのスピーディーな戦闘、物語をもっと広げて長編にしてしまってもよかったのにな。ただ、いかにもアニメ作品といった感じの抑揚であてられたボイスアクトにどうにも臭みを感じた。

全体的にトータル60分ちょっとと短いのが気になった。もう1作品ぐらい入れるべきだったんじゃないのかなあ。それと大友の名を冠しつつ、この作品自体で何か画期的なことをやっているという気があまりしなかったんだよなあ。もう「大友克洋」のネームバリューだけでは通用しないし、彼の神通力も落ちているんじゃないのかな。そんな、観終わってどうも中途半端な気分の『SHORT PEACE』であった。

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武器よさらば

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