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メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

20140531(Sat)

[] 購入コミック覚書 / いぬやしき(1)、聖☆おにいさん(10)、羊の木(5)  購入コミック覚書 / いぬやしき(1)、聖☆おにいさん(10)、羊の木(5)を含むブックマーク  購入コミック覚書 / いぬやしき(1)、聖☆おにいさん(10)、羊の木(5)のブックマークコメント

◆いぬやしき(1) / 奥浩也

いぬやしき(1) (イブニングKC)

いぬやしき(1) (イブニングKC)

その男には誰にも言えない秘密がある!58歳サラリーマン2児の父。希望もなければ人望もない冴えない男。しかしある日を境に男のすべては一変するーー。『GANTZ』で漫画表現の極地を切り拓いた奥浩哉がおくる、全く新しい世界がここに!

「どこまでもひたすらしょぼいおっさんが宇宙人にナニされて全身兵器と化し、世のため人のため戦う(かもしれない)」という、『GANTZ』完結後の奥浩也新連載漫画第1巻。目新しいところは無いのだが、「虐げられたものの逆襲」という分かり易い設定と、奥浩也ならではの精緻に描き込まれたグラフィックで物語に引き込んでゆく作品になっている、

◆聖☆おにいさん(10) / 中村光

聖☆おにいさん(10) (モーニング KC)

聖☆おにいさん(10) (モーニング KC)

東京都立川市が最近、業界人ならぬ天界人に出会う確率ナンバーワンスポットであることを、皆さんご存知だろうか。神(イエス)と仏(ブッダ)に始まり、何故かリア充を憎むマリア様に、天界のアイドル的存在・四大天使達、そしてブッダの弟子・アナンダなどなど、今、天界人の中で、立川が激アツ注目スポットに!!そして、有名人なあの人との初対面に、イエスもブッダも大興奮!!

やはり10巻ともなるとイエスと仏陀のネタは段々無くなってきたようで、その代わりサブキャラが入れ代わり立ち代わり登場し物語を盛り上げる。賑やかでいいんじゃないかな?それにしてもマリア様可愛すぎ。

◆羊の木(5) / 山上たつひこ(原作)、いがらしみきお(作画)

羊の木(5) (イブニングKC)

羊の木(5) (イブニングKC)

犯罪を犯し刑期を終えた元受刑者を地方都市へ移住させる政府の極秘更正事業の舞台となった魚深市。市長・鳥原秀太郎は一般市民には何も知らせずに過去を隠し元受刑者11人を受け入れたが・・・・。 元受刑者たちをよそに暴走する一部住民たち! 市長が、元受刑者たちが望んだ未来は築いてゆけるのか?

秘密裏に元重犯罪者を街に住まわせ更生させるというプロジェクトが次第に瓦解してゆき…という山上たつひこ原作、いがらしみきお作画のコミック完結編。最終巻ということで地獄の釜の蓋が開いたかのような混沌とパニックが街を襲うわけなんだが、相当エグイ展開を迎えており、お話は一応きれいにまとまるのだけれど、なんだかドロドロした澱みたいなものが最後まで残る嫌な読後感だったなあ。

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20140530(Fri)

[][]インド映画史上最高の売り上げを記録したハイテンション・ノンストップ・アクション・ムービー『Dhoom 3』がとっても凄いんです! インド映画史上最高の売り上げを記録したハイテンション・ノンストップ・アクション・ムービー『Dhoom 3』がとっても凄いんです!を含むブックマーク インド映画史上最高の売り上げを記録したハイテンション・ノンストップ・アクション・ムービー『Dhoom 3』がとっても凄いんです!のブックマークコメント

■Dhoom 3 (監督:ヴィジャイ・クリシュナ・アーチャーリヤ 2013年インド映画)

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2013年末に公開され、インド映画史上最高の興行収入を叩き出し、世界的にも稀な記録的興行収入を上げたという大ヒット・ボリウッド・ムービーがようやくDVDになって観ることが出来ました!『きっと、うまくいく』のアーミル・カーンが主演のド派手なアクション、ということは予告編で知ってはいたのですが、実際観てみるとこれが!大ヒットもうなずける、上映時間162分に渡ってひたすらハイテンションで突っ走ってゆく、最高にエキサイティングなノンストップ・アクション・ムービーだったのですよッ!

《物語》

舞台となるのはアメリカのシカゴ、ここで大銀行を立て続けに襲う強盗事件が巻き起こる。巧妙にして大胆、並外れた身体能力と超絶的なバイク技術で金を奪ってゆく犯人の名はサーヒル・カーン(アーミル・カーン)、彼の表の顔はサーカス団団長だった。そして彼の真の狙いは金ではなく、子供の頃サーカス団団長であった父親を破産に追い込んだ銀行への復讐だったのだ。犯人がインド人であるとにらんだシカゴ市警はムンバイからジャイ(アビシェーク・バッチャン)とアリー(ウダイ・チョープラー)の二人の腕利き警察官を呼び寄せる。しかしそのジャイの前になんとサーヒルが現れ、「犯人を知っている」と撹乱戦法に打って出た。警察をあざ笑うかのように次なる強奪作戦を開始するサーヒル、それを追い詰めるジャイとアリー。そして物語は驚愕の新展開を迎える!

とまあこんなお話に次から次へとアクションと、そして歌と踊りが盛り込まれ、一時たりとも目が離せないんですよ。いやあ凄かったなあ。では『Dhoom 3』のいったいどこが凄いのか、ちょっと紹介してみましょう!

1.オープニングが凄い(渋い)

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大ヒットアクション映画だから、冒頭から荒っぽいギンギンのアクションが炸裂する!と思ってたらそうじゃないんです。逆に破産間近のサーカス劇場を舞台に、主人公の子供時代が美しくもまた悲しく描かれてゆくんですね。決して派手なものではないにしろ、しっかりとした美術でもって描かれるサーカスショウとマジックに、まず心を奪われちゃうんですよ。ここで既に掴みはOK!って感じですね。

2.バイク・アクションが凄い

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この『Dhoom 3』、中心となるのはなんといってもバイク・アクションなんですよ。主人公サーヒルとこれを追うジャイとアリーが、熾烈なバイク同士のチェイスを展開するんですね。そしてこの迫力に満ちたバイクアクション・バイクチェイスが、これでもかとばかりにひたすら繰り広げられてゆくんですよ!前半なんてほとんどバイクアクション(そして合間にダンス)だけで費やされるんじゃないかってぐらいアクションの連続、バイクの爆音と派手なサウンドトラックが延々鳴り響き、段々脳みそにヤヴァイ物質が流れてきそうになります!劇中ではBMW MotorradのK1300RとS1000RRを使用しているそうですが、バイク乗らないんでこれが凄いのかどうなのかよく分からんが…。そして主人公がサーカスをやっているという設定から、アクロバティックな曲乗りを見せて次々と危機を乗り越えてみせるばかりか、そのバイクが007みたいな秘密兵器ギミックを搭載してくれちゃったりしてるんですよ!そしてこれがもうあんまり無茶なギミックなんで嬉しくて笑ってしまうぐらいなんです!これを追う刑事二人も負けずに無茶してくれて、いやがおうにも盛り上がりまくるんです!

3.ダンス・シーンが凄い

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インド映画といえば歌と踊りです。この『Dhoom 3』でも沢山のダンスシーンが盛り込まれますが、これがどれをとっても素晴らしい!オープニングは重量感たっぷりのタップダンス、ヒロインを演じるカトリーナ・カイフが最初にピンで踊るシーンなんかはセクシーであると同時に、ダンスというよりも殆ど体操競技みたいな迫力ある踊りを見せてくれます!さらにサーカスステージでのパフォーマンスは、まさにダンスとサーカスの融合、「インド映画におけるダンスシーンの中でも最高の製作費を掛けた」といわれるだけあって、まるでシルクド・ソレイユでも見せられているような華麗で幻想的なステージを演じているんですよ。さすがに空中ブランコまではしませんが、もうアーミル・カーンカトリーナ・カイフも宙を舞いまくり、あんまり空飛んでるから「だ、大丈夫なのかぁ〜〜ッ!?」と心配しちゃうぐらいです!

4.アーミル・カーンが凄い

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アーミル・カーンが主演、と知った時は「『きっと、うまくいく』のあの秀才青年役が、派手なアクションなんてできるもんなの?」なーんてナメたこと思ってたんですが、全くの見当違いでした!↑の写真見てくださいよ、なーんすかこの筋肉!?アーミル・カーンってムキムキじゃないですか!?この肉体でアクションだダンスだやられたらそりゃあ見栄えもしますよ!しかしそんな話を一緒に観ていた相方さんにしたら「いや、「『きっと、うまくいく』の時からアーミル・カーンっていい体してるって分かってたよ?」なーんて言うじゃないですか。やっぱり女性だけあって男の体をちゃんと見てるなーと思っちゃいましたよ。もちろんアーミル・カーン、体だけじゃなくてしっかりと良い演技も見せてくれてますよ!ちなみに『きっと、うまくいく』は本当に素晴らしい映画ですので、またご覧になっていない方はこれを機会に観ちゃいましょう!

5.中盤の驚愕展開が凄い

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インド映画って結構長いので、中間で一回インターミッションが入るんですね。そして丁度この中間部分で驚愕の新事実が発覚し、後半物語は思わぬ方向へと突き進んでゆくんですよ!いやもうその驚愕の度合いときたら観ていて「ま、ま、まさかぁ〜〜ッ!?」とTV画面に絶叫しちゃったぐらい無茶すぎる展開なんですが、ネタバレしちゃうからこれ以上書けません!だもんですから後半の展開もあんまり明かせないんですが、前半のハイテンションぶりは一旦落ち着き、情愛の狭間で一人の男が自分を取り戻そうと苦悩する切ない物語として進みながら、しかし壮絶なクライマックスへと向けてまたしてもテンションを上げてゆく!という訳なんですよ。

6.とにかく全部凄い

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今までボリウッド・ムービーを観ていて「ハリウッド映画をよく研究してるよなあー」とか「追い付け追い越せの気概が伝わってくるよなー」なんて思ってましたが、それはやっぱりハリウッド映画とどうしても比べてしまうからなんですよね。莫大な製作費を湯水のごとく使って製作されるハリウッド大作映画には及ばないかもしれないけれど、物凄く頑張ってる、みたいな、「努力賞」っぽい観方をしていた部分がオレにはあったんですよ。しかしこの『Dhoom 3』は違う。ハリウッド作品と比べてじゃなくて、一つのエンターティメント映画作品として既にして最高の面白さを誇っているんですよ。なにしろ購入したDVDを観返すことが殆どないオレが、あんまり面白くて2回観ちゃったってぐらいなんです。

Twitterなんかではよく「〇〇が劇場公開されないなんて!」なんて呟きをよく目にします。まあそれぞれ事情があるのでしょうが、ファンの方だったらやっぱり悔しい思いをしちゃうのでしょう。だからここでオレも言いたい!「『Dhoom 3』が日本で劇場公開されないなんて間違ってるでしょ!?」あーこれ絶対大画面で観たいよなー。アクション映画がお好きな方ならきっとハマること請け合い、大作映画のゴージャス感をひたすら味わいたい!って方にも是非お勧めしたい、ましてや「インド映画って結構面白いよね?」と関心のあるあなた、絶対『Dhoom 3』を観るべきです!!
おんもしろいぞ〜〜ッ!!

…でも今の所日本じゃ観られないので輸入DVDを買って観るしかないのですが、海外のAmazonって手もありますけれど、日本でもインド映画DVD専門のネットショップがあります。自分は「Ratna-Bollywood Style Shop」さんを利用してますので、このあたりで購入されればよろしいかと。ステマじゃないからね!

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20140529(Thu)

[][]見た目はチャラいがやるときゃやるぜ!〜映画『R...Rajkumar』 見た目はチャラいがやるときゃやるぜ!〜映画『R...Rajkumar』を含むブックマーク 見た目はチャラいがやるときゃやるぜ!〜映画『R...Rajkumar』のブックマークコメント

■R...Rajkumar (監督:プラブーデーヴァー 2013年インド映画)

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モクモクと赤く燃え立つ爆煙を背後に、泥だらけのヒゲ男とそれによりそう眉目麗しき美女が並び立つDVDジャケを見て、「おおこれはなにがしかの人的自然的災害の中で決死のサバイバルを敢行する男女のアクションとロマンを描く作品なのだろうか」とオレは思ったわけである。ところがDVDを観始めるとこれがビックリ、どこまでもC調でティッシュペーパーのように薄く軽いチンピラ男がマフィアの娘に禁じられた恋をして、危機また危機の大アクションを繰り広げる、というお話だったのである。ええと赤く燃え立つ爆煙は…映画には表れなかったような気がするが…多分これは恋に燃え立つチンピラ男の心象を表したものなのだろうな…。

お話はシヴラージとバルマルという男がそれぞれ率いる二つのマフィアが争い合うインドのどこかの町が舞台である。そこにふらりとやってきたのが今作の主人公ラージクマール(シャーヒド・カプール)。ラージクマールはその鉄腕ぶりを認められてシヴラージに雇われ、バルマル暗殺を命じられるが、そこでバルマルの娘チャンダー(ソーナークシー・シンハー)に恋をしてしまうのである。一方バルマルは娘チャンダーをシヴラージに嫁がせることで両組織の合併を目論む。黙っていられないのがラージクマール。彼は組織を抜け出し、チャンダーとの愛の為にシヴラージと対決することを誓うのである。

とまあ粗筋は十分シリアスなのだが、なにしろ主人公ラージクマールがお調子者のチャラ男なのである。チャラチャラヘラヘラしながら嫌がるチャンダーにストーカーのように付きまとい、「どうよ俺?凄いっしょ?イケてるっしょ?俺とコーサイしない理由なんてないっしょ?」としつこくしつこく口説きまくるのである。まあ、今まで観てきたインド映画も、しょーもない男が身持ちの固い女子にストーカーのようにくっついて口説きまくり、情にほだされたか根負けしたかで女子が交際を認める、というパターンがあまりにも多いのであるが、「しつこくすればなんとかなる」というほぼゴネ勝ちみたいな芸の無い口説き方にはそろそろ食傷してきたのも確かである。

そしてなんとかチャンダーを口説き落したラージクマールであったが、なんとそのチャンダーが政略結婚の餌としてマフィアのドンに差し出されてしまったからさあ大変、ラージクマールさん、マフィアの軍勢を敵に回して大立ち回りを演じるのだが、これがもう強い強い、見た目も性格もフニャ男くせに腕力だけは天下一品、寄せ来る敵を次から次へとあたかも鬼神の如く叩きのめしていくんである。個人的には遊園地の遊具で相手をぶちのめす描写がお気に入りだ。そしてたちまち辺りは屍累々、ここまでが実は中盤で、敵を倒したラージクマールさんがチャンダーさんと手に手をとって逃避行か、と思ったのだがさにあらず。チャンダーさんを恋敵シヴラージの元に残したまま、「チャンダーと結婚するのは俺だから。お前とは結婚できないから」とかなんとか言い残して去っちゃうのである。

いやいやいや!ここまでやったらあとは女の手を引いて新世界目指すだろ!?と思ったのだがそういう展開ではないのだ。結局中盤からはシヴラージの結婚準備をあの手この手で邪魔をして嫌がらせをし、「どう?あんたより俺のほうが一枚上手っしょ?」と見せつけるシーンがしばらく続くだけなのだ。まあ確かに一枚上手ではあるが、女にもしつこいが嫌がらせもしつこいラージクマールさんに段々うんざりしてくるのも確かなのである。そしてやっぱり最後にラージクマールさんはシヴラージと対決することになるんだが、だったら中盤の乱闘でメンチ切ってた時にやっときゃよかったじゃん?と思えてしまった。…でも英語字幕で観たのだけれど、英語の不自由なオレが肝心な部分の内容を把握できていなかっただけのような気もしてきた…。もしそうだったらゴメンよラージクマール!

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20140528(Wed)

[][]もうケチな泥棒とは呼ばせない!悪党どもは俺が倒す!バイオレンス・アクション・ムービー『Rowdy Rathore』 もうケチな泥棒とは呼ばせない!悪党どもは俺が倒す!バイオレンス・アクション・ムービー『Rowdy Rathore』を含むブックマーク もうケチな泥棒とは呼ばせない!悪党どもは俺が倒す!バイオレンス・アクション・ムービー『Rowdy Rathore』のブックマークコメント

■Rowdy Rathore (監督:プラブーデーヴァ 2012年インド映画)

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ケチな泥棒があることをきっかけに、とんでもない戦いに巻き込まれてゆく、というインドのアクション娯楽作です。

主人公の名はシヴァ(アクシャイ・クマール)、今日も阿漕な泥棒稼業に勤しむ彼でしたが、街で見かけた女性プリヤ(ソーナークシー・シンハー)に一目惚れ、勇猛果敢にアタックし始めます。シヴァは真心を伝えるために自分が泥棒であることを明かして、彼女の為にもう足を洗うと誓い、プリヤはそんなシヴァを受け入れるんです。しかし仲間の元に戻ってきたシヴァは、泥棒は止めるけど、最後にもう一仕事やって有終の美を飾ろう!とか訳の分かんないことを言いだし、駅で乗客から大きな荷物箱をだまし取っちゃうんですね。さてさて中身はどんなお宝が…と箱を開けるシヴァ。するとなんと!中から小さな女の子が出てきたばかりか、シヴァを見て「パパ!」と呼ぶではないですか!いや俺心当たりないし!?いったいこりゃどうなってんだ!?しかしこれは、これから起こる凄まじい戦いの、きっかけにしか過ぎなかったのです。

この『Rowdy Rathore』、冒頭の雰囲気から「泥棒と美女とのロマンティック・コメディなのかな?」と思わせて、謎の少女の登場で「少女の親を探すハート・ウォーミング・ストーリーなのかな?」とさらに思わせて、あれやこれやと観ていたら、なーんと中盤から血しぶき飛び交うハード・バイオレンスの世界に突入してしまうからびっくりしました!さらにこの中盤からもう一人の"ある男"の物語が語られ始め、そして後半まで悪党の支配する街を舞台にした怒涛のアクション作品へとなだれ込んでゆくんですよ!インターミッションを挟んでのインドの2部構成ドラマはお馴染みですが、これはさらに3部構成ぐらいのドラマのようにすら見えましたね。ここで描かれる暴力描写も徹底していて、歌と踊りのインド映画は知ってるけど、さらにバイオレンスなのか!?と思ってしまいました。

こういった暴力描写は南インド映画に多いらしく、この映画自体はボリウッド映画にそんな南インド映画テイストを盛り込んだものらしいんですが、ボリウッド映画に見慣れたオレの目には逆にとても驚きで、かつ新鮮なものを感じました。そして後半から舞台になる、悪党に支配された南インドの小さな町というのが、実に泥臭く描かれていて雰囲気出てるんですよねー。ただしバイオレンスとは言っても、どこまでもそれをシリアスに追及した重苦しいドラマという訳ではなく、一人のヒーローが正義の名のもとに悪党どもを倒してゆく、勧善懲悪のアクション・ムービーとして仕上がっているんですよね。さらに物語のテンポも速く、お話は爽快感たっぷりで、そしてユーモアも決して忘れていないんですよ。この辺、実に娯楽作品に徹底していて安心して観られましたね。

あと監督が、以前観た『A.B.C.D. Any Body Can Dance』に出ていた主人公振付師プラブーデーヴァだったというのも後に知ってびっくりしました。振付師というのは知ってましたが監督もするんですね。しかも既に10本以上撮っていて、この『Rowdy Rathore』にしてもとても面白く出来ている。おみそれしました。そしてシヴァ役のアクシャイ・クマール、この映画ではぴったり七三に分けた髪とカイゼル髭、という容貌で登場していて、そのユーモラスな雰囲気が気に入りました。全体的にヌボッとした感じの役者さんで、アダム・サンドラ―と佇まいが似てるかな、と思ってちょっと調べたら、偶然にも二人とも同じ誕生日だったのでびっくりしました。しかもこの二人、オレとも同じ誕生日なんですよ。アクシャイ・クマール、贔屓にしちゃおうかな。

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20140527(Tue)

[][]裏切りのレースの幕が切って落とされた!〜映画『Race 2』 裏切りのレースの幕が切って落とされた!〜映画『Race 2』を含むブックマーク 裏切りのレースの幕が切って落とされた!〜映画『Race 2』のブックマークコメント

■Race 2 (監督:アッバース&ムスタン 2013年インド映画)

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昨年インドでスマッシュ・ヒットした映画『レース2(Race 2)』であります。「おおレース2っていうぐらいだから『キャノンボール』みたいなレースの映画なのかなーでもポスター写真観ると悪そうな人がいっぱい写ってるから『ワイルド・スピード』みたいな映画なのかもしれないなーまあ間違っても『デス・レース』みたいなヒャッハー系じゃないだろうしどう見たって『カーズ』みたいなCGアニメでもないはずだよなー」とかなんとかあれこれ考えてたんですよね。

でもオレ車って全然興味ないからレース映画って言われてもあんまり観る気しないんだよな、とパスしようとおもいつつ配役を見るとあの!インド一の美女にしてオレの女神、ディーピカー・パードゥコーン様が出演されているではないですか!うおお好きだ好きだディーピカー様!オレが世界で一番愛しているのはもちろんオレの相方さんに決まっておりますが2番目はやっぱりディーピカー様ですよ!「こりゃ観なきゃだわ!」とばかりに盛り上がるオレ!「ちょっと待て…レースでディーピカー様…これはひょっとしてディーピカー様が危険なほどに露出度の過激なパッツンパッツンのレースクィーン衣装を身に付けてあの豊満なオチチやオケツを悩ましくクネクネさせながらインド映画的上映時間3時間をフルに使って画面を行ったり来たりするだけの極楽のような映画なのではないか…ッ!?」と妄想だけが勝手に膨らんでゆくんですね。

うおおおこれは玉砕覚悟じゃあ!トラトラトラじゃああ!ニイタカヤマノボレじゃあ!と止まらない鼻血を止めるために鼻の穴にティッシュ10枚ぐらい詰めながらインド映画DVD販売店のオンラインショップでマウスも壊れよとばかりに「購入」ボタンをクリクリクリクリしたわけですよ。あんまりクリクリし過ぎたばかりに購入枚数が30枚ぐらいになって慌てて1枚に訂正しましたが。まあそれぐらい興奮してたというわけですよ。というわけでDVD観始めたんですけど、『レース2』ってタイトルでしたが車のレースと関係無いお話で、じゃあなんのレースかというと「あたかもレースのように競って大金を騙し取り合う悪人ども」の映画だったんですね。

「2」というナンバリングが付けられているようにこの映画は『Race』の続編となるようなんですが、1作目のほうは観ていません。映画は主人公ランヴィール・シン(サイフ・アリー・カーン)の嫁が車ごと爆殺されるシーンから始まります。シンは嫁の復讐を誓い、真犯人に近づいてゆく…というのが粗筋です。ただしこのシンさん、どうももとから真っ当な人ではないようです。調べると前作で悪どいことして金を儲けていて、多分それで恨みを買ったか、あんまり目立ち過ぎていたんで制裁を加えられたかしたのでしょう。シンさんの真犯人に近づく方法もあれこれ悪どいやり方です。相手に現金財宝強奪の巨額の儲けをちらつかせて信用させ、最後に裏切る。これの繰り返しです。そして真犯人として実業家のアルマーン・カーン(ジョン・エイブラハム)が浮上しますが、こいつも一筋縄の男ではない。カーンもまた、シンさんを信用させ、そして騙そうと企みます。かくして騙し騙されの裏切りのレースが始まる、という訳です。

この物語で登場する現金財宝の強奪方法や騙しのテクニック、さらには危機脱出方法は、ちょっと荒唐無稽すぎです。いいとこTVアニメの『ルパン3世』並の無理矢理感といったほうがいいかもしれません。とはいえそのハッタリのかまし方がまた面白かったりもします。それよりもロケーションで使われているトルコの風光明媚な観光地ぶり、さらに悪党どもが根城にするホテルやカジノの成金趣味な豪華さは、観ていて楽しいです。そしてなにより、悪党を演じるシンさんの、ギラギラしたいい男っぷりが愉快ですね。オレは途中からシンさんが松方弘樹さんに見えてしょうがなかったです。似ているわけではないんですが、なんだかそういう男臭さなんですよ。ただし期待していたディーピカー様はあんまり活躍してちょっと残念だったかな!?

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20140526(Mon)

[][]南インドへようこそ!恋あり笑いありアクションありの娯楽作『Chennai Express』 南インドへようこそ!恋あり笑いありアクションありの娯楽作『Chennai Express』を含むブックマーク 南インドへようこそ!恋あり笑いありアクションありの娯楽作『Chennai Express』のブックマークコメント

■Chennai Express (監督:ローヒト・シェッティー 2013年インド映画)

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親の決めた結婚から逃げ出した娘を偶然助けた主人公が、実はドンである彼女の父親の配下に追い掛け回されてさあタイヘン!というインドのロマンチック・コメディです。主演男女がインドを代表する二大俳優シャールク・カーンディーピカー・パードゥコーンという、大変豪華な組み合わせで、インドでも大ヒットしたという作品です。ヒンディー語DVDを英語字幕で鑑賞しました。

主人公の名前はラーフルシャールク・カーン)。北インド・ムンバイ在住の彼は、とある理由から間違って南インド行の電車、チェンナイ・エクスプレスに乗ってしまい、そこで親の決めた結婚から逃げ出した南インド・タミル出身の女の子、ミーナー(ディーピカー・パードゥコーン)と出会います。しかしミーナーは追ってきた男たちにラーフルともども捕まってしまい、そこでラーフルはミーナーがなんと地元を支配するドンの娘だということを知るんですね。かくしてドンである父親の前に突き出される二人ですが、結婚したくないミーナ―はラーフルのことを「この人、私の彼氏なの!」と父に紹介してしまうんです。「結婚前のドンの娘に手を出したなんて思われたら殺される!」逃げるが勝ちと判断したラーフル、ミーナ―を巻き添えにして逃げ出し、遠い静かな村に隠れ住んだ二人には、次第に愛が芽生えてゆくんです。しかし、ドンの追跡の手は決して緩んではいなかったのでした!

映画を観て勉強になった、ということはよくありますが、この『Chennai Express』も、今まで知らなかったインドの側面を、とても楽しみながら知ることが出来た作品でした。この物語、まず発端がインド西部の大都市ムンバイ。そして主人公二人が「チェンナイ鉄道」に乗って辿り着いたのがインド南部、タミル・ナードゥ州。この距離ざっと一千キロメートル、日本だと東京から釧路、または東京から種子島ぐらいの距離になるんですね。そしてムンバイは北インド、タミルは南インドというふうに区分けされるんですが、実はこの南北インドで言語・人種・文化が全く違うんです。とても大雑把に説明すると、北インドはアーリア系民族でヒンディー語が主流とされ、一般的な「インド」のイメージを持つ文化はこちらが占めます。しかし南インドはドラヴィダ系民族でタミル語をはじめとする様々な言語が使われています。ボリウッド映画ではこの南インドを割と「田舎」って感じで表現することが多いようです。ちなみにカレーを食べるときは北がナンで南がご飯*1

説明が長くなっちゃいましたがこの作品、北インド人男性と南インド人女性の障壁と恋を通して、この二つの文化の差異と融合を描こうとした作品なんですね。それをややこしい人間ドラマではなく、コメディとして描いているので、そういったインド南北の違いを知らなかった日本人のオレですらも、「あ、インドの中でもこんなに違うものなのか」と理解できる分り易さがあるんですよ。例えば前半シーンでは、主人公ラーフルと彼を拉致したタミル人の間で、言葉が通じないがためのチンプンカンプンのやり取りが描かれ、それが笑いを生んでいるんですね。そして言葉が分からないばかりに、ラーフルにとんでもない危機が襲ったりもするんです。南北の人種の違い、文化の違いも映像を見ると一目瞭然に比較できるし、それと併せ、風光明媚な南インドの自然、驚くような絶景が、「こういう場所って本当にあるんだ…」と目を見張らせるんですね。

映画そのものもコメディらしく非常にテンポがよく、合間合間に「チェンナイアイアイエクスプレース♪」なんていうノリのいい歌が入ってポンポンとシーンが移り変わっていくんですね。主人公ラーフルはいつも途方に暮れているかジタバタしているかのどちらかで、ミーナーはいかにも気の強い娘さんという感じで、二人は最初ツンツンしあっていますが次第に打ち解けていくんです。そしてこの二人を気持の高まりを象徴するかのように劇中挿入される南インドの極彩色の祭りが、これがもう、もんの凄く美しく、そしてエキゾチシズムたっぷりなんですね!こうして主人公ラーフルの目を通し、最初「南インドこええ!南インド野蛮!南インド田舎!」と描かれていたものが、「南インド綺麗だなあ。南インドの人たち優しいなあ。南インド素朴でいいところだなあ」と変わってゆく様子、それを観客が追体験してゆくんですよ。恋あり笑いありアクションあり、観ていたオレですら「南インド行ってみたい…」と思わすような素敵な映画でありましたよ。

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そして観よ!この極彩色の祝祭空間を!

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20140525(Sun)

[]PS4オープンワールド型アクション『inFAMOUS Second Son』をプレイ中 PS4のオープンワールド型アクション『inFAMOUS Second Son』をプレイ中を含むブックマーク PS4のオープンワールド型アクション『inFAMOUS Second Son』をプレイ中のブックマークコメント

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「せっかくPS4買ったけど、ゲームもあらかたやりつくしちゃったし、そろそろ新しいの出ないかなあ」と首を長くして待っていたPS4新作ゲーム『inFAMOUS Second Son』、早速買ってプレイしております。いやあやっぱりPS4は画面キレイでいいね!

この『inFAMOUS Second Son』、ゲームスタイルは最近流行りのオープンワールド型サード・パーソン・シューティングです。お話は「コンジット」と呼ばれる超能力者が発生した世界を描いていて、そのコンジットは危険分子と見なされ政府機関D.U.P.によって逮捕監禁されていたんですね。で、そのコンジットになっちゃった主人公がD.U.P.の軍隊と戦う!というものなんですね。ちょっと『X-MEN』入ってますね。

プレイスタイルは『GTA』みたいなオープン・ワールドで作られた町の中を超能力で宙を舞いながらミッションをクリアしたり時々襲い掛かってくるD.U.P.を殲滅したりするというもの。この間やった『セインツロウ IV』と似てるよなーと思ったんですが、『セインツロウ IV』自体『GTA』のパクリ、さらに『GTA』の製作者が製作したオープン・ワールド超能力アクション『ライオットアクト』のパクリなので、その流れで『プロトタイプ』やこのゲームの元タイトル『inFAMOUS』が製作されているわけですから、まあ「流行りだから」ってことでいいんじゃないでしょうか。同傾向のゲームの中でどんどん進化している、ということですね。

じゃあ『inFAMOUS Second Son』のウリはなにか、ということになると、ゲーム中の行動により「善と悪」のゲージが変わってゆく、ということでしょうか。この「善と悪」の選択によって特殊能力などのプレイスタイルが変わって来る、ということらしいんですが、まあやってみたらそれほど深く考えてプレイするほどのものでもありません。ただうっかりキー押し間違えて悪の行動をとり、「いやそこそういうつもりじゃなかったんだから!」と慌てる、ということはよくあります。

もう一つ特徴的なのは主人公がグラフィティ・アーチスト、というかスプレー缶悪戯書き大好き少年、ということになっていて、ゲームの最中このグラフィティ・アートを描くことができる、というものですね。これが面白いのはコントローラーをスプレー缶に見立てていて、まずコントローラーをスプレー缶みたいに振るところから始めるんですよ。するとコントローラーに内蔵されたスピーカーからスプレー缶独特の「カランカラン」っていう音がするのがなーんか楽しいんですよね。そして絵を描く時もコントローラーを傾けながら描くという。この辺グラフィティ好きの方もハマるんじゃないでしょうか。

それとこのゲーム、アメリカのシアトルが舞台ってことで、シアトルの街並みが忠実に再現されている(らしい)です。だから「アメリカならシアトル!シアトル行ってみたい!住んでみたい!というか既に行ったし住んでる!」という方も一度プレイしてゲームの中の再現度を確かめる、というのもアリかもしれません。

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20140524(Sat)

[]最近聴いたエレクトロニック・ミュージック / CV313、Garnier、The Black Dog 最近聴いたエレクトロニック・ミュージック / CV313、Garnier、The Black Dogを含むブックマーク 最近聴いたエレクトロニック・ミュージック / CV313、Garnier、The Black Dogのブックマークコメント

◆Dimensional Space / CV313

Dimensional Space

Dimensional Space

ミニマル・ダブ・ユニット、CV313の1stアルバム…らしいのだが「あれ、前もアルバム出してなかったっけ?」と思ったら最初に出ていたのはLIVEだった。20分超の曲を含む2枚組、どの曲もズブズブドロドロウワンウワンと地の底から響き渡るようなアンビエント・ミニマル・ダブ。どの曲もどう取り換えても皆同じ、というよりも、少しづつトーンを変えながら一定にズブズブドロドロウワンウワンといっている音の揺らぎを2時間半たっぷり浴びまくることが出来る、ということなのだ。もはや曲自体の違いも、アルバム全体の緩急も、そんなもの一切必要なくどこまでもひたすらズブズブし続けること、CV313のミニマル・ダブはそんなダウナーな悦楽に満ちた音であり、そしてそれは「音楽」ですらない「音圧」と「残響」の連なりなのだ。 《試聴》

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◆Altering Illusions 1/3 / CV313

Altering Illusions 1/3

Altering Illusions 1/3

2012年に限定盤LPでリリースされていたレーベルコンピレーションのCD版、ということなのだが、基本的にはCV313による幾つかの別名義ユニットの曲が収められており、要するにズブズブドロドロウワンウワンということにおいては全て一緒のようなものである、と言っていいかもしれない。しかもこちらも2枚組で、前述の『Dimensional Space』と同じく2時間半たっぷりズブズブドロドロウワンウワンな音に陶酔できるというわけである。そして『Dimensional Space』とこのアルバムの両方を買ったオレは、合わせて5時間以上のズブズブドロドロウワンウワンに浸っていられるというわけだ。極楽である。 《試聴》

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◆AF4302 EP / Garnier

AF4302 EP

AF4302 EP

《試聴》

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◆AF 0490 / Garnier

AF 0490

AF 0490

《試聴》

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先頃アルバム『A13』をリリースしたLaurent Garnierの"Garnier"名義によるシングル2枚。『AF4302 EP』は50Weaponsレーベルから、そして『AF 0490』はStill Musicレーベルから、という変則的なリリースで、音はLaurent Garnierらしいシカゴ・テイストのハウス・ミュージック、まだまだ野心的なスタンスを見せているところがかっこいい。

◆Liber Collected / The Black Dog

Liber Collected

Liber Collected

UKテクノの重鎮、The Black Dogが2011年に連続リリースした"Liber”シリーズ4枚のシングルをまとめたアルバム。 《試聴》

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◆Sound of Sheffield / The Black Dog

Sound of Sheffield, Vol. 1

Sound of Sheffield, Vol. 1

そしてそのThe Black Dogによる新たなシングル・シリーズ『Sound of Sheffield』の第1弾。こちらも4枚リリースされる予定とか。 《試聴》

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20140523(Fri)

[][]華麗なる映像美にひたすら圧倒されるインド映画版『ロミオとジュリエット』〜映画『Goliyon Ki Raasleela Ram-Leela』 華麗なる映像美にひたすら圧倒されるインド映画版『ロミオとジュリエット』〜映画『Goliyon Ki Raasleela Ram-Leela』を含むブックマーク 華麗なる映像美にひたすら圧倒されるインド映画版『ロミオとジュリエット』〜映画『Goliyon Ki Raasleela Ram-Leela』のブックマークコメント

■Goliyon Ki Raasleela Ram-Leela (監督:サンジャイ・リーラー・バンサーリー 2013年インド映画)

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「うああ、今のインド映画って、こんな凄いことになってるんだ…」冒頭から、圧倒的な映像美に度肝を抜かれてしまいました。映画のタイトルは『Goliyon Ki Raasleela Ram-Leela』、2013年に公開されインドでも大ヒットを記録した作品です。

映画はどことも知れぬ砂漠の中にある町から始まります。数百年を経たような城壁の中にみっちりと並ぶ古びた家々、壁に描かれたインドの神、色とりどりの商品が並ぶ市、その中で闊歩する目も鮮やかな民族衣装を着た人々。ああ、インドの古い時代なのだな、と思っていると今度は銃砲店に並ぶ山のような軽機関銃が写され、さらに女たちはスマートフォンで写真を撮っている。観ている者は困惑するでしょう、ここはどこで、いつなのか?と。いや、実はこの映画は、いつでも、どこでもない、時代も場所も超越した架空の土地を描いた作品なのです。そしてそれにより、インドであるという以外、時代と土地柄を限定しない絢爛豪華な美術を可能にしていて、次から次へと現われ目を奪うその異国情緒が、この作品の見所の一つとなるんですよ。

そしてこの映画の主人公たちが登場します。一人は髭面のイケメン色男、ラーム(ランヴィール・シン)。こいつがもう、笑っちゃうくらいセクシー全開で、破れたジーンズ姿にシャツをはだけた胸を見せ、群衆たちと陽気に歌い踊るオープニング・シーンでは、思わず「どうもすいません」と謝りたくなってしまったオレでありました(なぜ謝ってしまうんだオレ)。ラームは祭りの最中、美しい娘リーラーと出会います。そして、ラームとリーラーは恋に落ちるのです。このリーラーを演じるのが、オレが今、世界の映画女優の中でも最も熱い視線を送るインド一の美女、ディーピカー・パードゥコーン。この作品でもディーピカーちゃん、悩ましいほどに美しく、オヂサン終始うっとりしておりました!

しかし。ラームとリーラーはこの町を二分し激しく憎み合う二つの豪族の跡取り同志であり、この恋は決して許されるものではなかったのです。そう、なんとこの作品、誰もが知るあのシェークスピア戯曲『ロミオとジュリエット』を、インドを舞台に展開した物語だったのですよ。そして原典に『ロミオとジュリエット』を持つと分かった瞬間に、この物語には抗うことの出来ぬ悲劇が待ち構えていることに気付かれさます。しかし『ロミオとジュリエット』を下敷きにしつつも、映画はそれを奔放に改編し、この物語ならではの自由な展開を見せます。

まず敵対する家同士は大量の銃を持ち、映画ではこの銃による威嚇や殺人が頻繁に行われるのです。しかもラームとリーラーは後にそれぞれの家の宗主となり、愛し合いつつも家同士の憎しみも抱えねばならなくなるのです。それは『風と共に去りぬ』の大恋愛ロマンに『ゴッドファーザー』の冷徹な殺戮を持ち込んだようなドラマだということができるかもしれません。映画タイトルの意味は『銃弾の円舞:ラームとリーラー』、このタイトル通り、物語は愛と死が手を取りながら、目まぐるしく円舞を踊るのです。

二人の出会い、高まる気持、人目を忍ぶ密会、結婚を誓う二人、そして駆け落ち。映画は二人の切ない恋の行方を、インド映画らしい躍動感溢れる踊りと美しい歌で盛り上げてゆくんです。そこに目の痛くなるほどの原色に彩られたインドの神々が踊る艶やかな祝祭シーンが盛り込まれ、その高揚はいやが上にも高められていきます。しかしそれと並行して、対立する二つの家の抗争が、町全てを巻き込みながら次第に血生臭いものへと化し、暴力と死がじわじわと画面を覆うのです。そして物語は、鮮烈で幻惑的な色彩美、匂い立つようなエキゾチシズム、熱狂と陶酔、そして死と生のコントラストに彩られながら、運命のクライマックスへとひた走ってゆくんです。

本当に堪能させられました。最近ちょくちょくインド映画を観ているんですが、実はインド映画にハマるきっかけとなったのが、たまたま観たこの映画だったんですよ。インド映画のくくりにとらわれず、これまで観た様々の映画の中でも、最高に心奪われた作品の一つになったのが、この『Goliyon Ki Raasleela Ram-Leela』なんです。お勧めです。

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美しい旋律と躍動感あふれるリズムに彩られながら、宿命的な暗さをがじわじわと迫ってくるこの曲なども鳥肌立つほどいい。

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20140522(Thu)

[][]自動車泥棒と車を盗まれた女の子を巡る恋とアクション!〜映画『Besharam』 自動車泥棒と車を盗まれた女の子を巡る恋とアクション!〜映画『Besharam』を含むブックマーク 自動車泥棒と車を盗まれた女の子を巡る恋とアクション!〜映画『Besharam』のブックマークコメント

■Besharam (監督:アビナヴ・スィン・カシヤプ 2013年インド映画)

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高級車狙いのチャラい自動車泥棒が、身持ちの固い美女に惚れて改心するものの、思いもよらぬ大騒動に巻き込まれちゃう、という2013年のインド映画です。

主人公の名はバブリー(ランビール・カプール)、派手な洋服に軽い態度、どこからどこまでもチャラ臭い彼は自動車泥棒。今日もいつものように車を盗み、あっという間にお金に換えてしまいます。そんな彼はある日、泥棒の下見に出向いた結婚式場で清楚な美人ターラー(パッラヴィー・シャルダー)に一目惚れ。あの手この手でターラーにアタックするバブリーですが、ひたすらチャラいバブリーにターラーは鼻もひっかけません。ところが、知らずに盗んだ車が実はターラーのものと知ったバブリーは、「君の車をとりもどしてあげる!」と約束してしまいます。自分で車を盗んだくせに調子のいい男だね!

ターラーを伴い車探しに出るバブリーですが、見つけた車は悪徳政治家ビーム・シン(ジャーヴェード・ジャーフリー)のものとなっていました。なんとか車を奪回したバブリーですが、ビーム・シンの大量の裏金が車の中に入っており、バブリーは銃で武装したゴロツキどもに追い回される羽目に、おまけにターラーには自分が車を盗んだことまでバレてしまい、バブリーには次から次へと苦難が襲うのです!

主人公はひたすら軽いチャラ男なんですが、なんだか憎めない性格なんですね。彼は実は孤児で、表の顔は自動車整備工なんですが、孤児院に寄付するために自動車泥棒をやっている、という泣かせる理由があったんですよ。でも理由はともあれ泥棒は泥棒、悪いことは悪いこと。それをバブリーはターラーと出会うことでようやく知るんですね。で、このターラーなんですが、なにしろ固い。体が硬いんじゃなくて身持ちが固い。まあ、いくらなんでもバブリーみたいなチャラさが七色になって体から放出されてる男相手じゃ、どんな女子だって態度は固くなるだろうなあ、とは思いますけどね!だから懸命に口説くバブリーの前でも、ターラーはいつもしかめっ面してツンツンしまくり。というか、そもそも生まれも育ちも違うこの二人、全然相性合わないと思うんだけどなあ…。

だからとことん一所懸命なバブリーに次第に気持ちを軟化させるターラー、という展開はなんだか説得力が乏しい気もしないでもないんですが、まあ男と女は七不思議、ツンが多ければ多いほどデレの海もまた深いのかもしれません。そして二人が意気投合し車を奪回してからの、思いもよらぬアクションの連打がなんとも嬉しい!

盗難車を保有し裏金を隠していた悪徳政治家ビーム・シンというのは、こりゃもうはっきり言ってマフィアそのもので、彼を取り巻くゴロツキは、機関銃のみならずRPGまで撃ってくるからオソロシイ!こんな相手にいきなり獅子奮迅の活躍を見せるバブリーなんですが、ヲイヲイ、お前今までヘラヘラしたチャラ男だったくせに、いったいなんなのその異様に高い身体能力は!?伏線は!?伏線は!?なーんて言うのは野暮、インドではコケたって話もありますが、インド映画ビギナーには十分及第点、ここはインド映画らしいなんでもありのエンターティメントを楽しもうではありませんか!

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20140521(Wed)

[][]『ロボット』『ラ・ワン』に続くインドSFXヒーロー・ムービーはインド版『X-MEN』だった!?〜映画『Krrish 3』 『ロボット』『ラ・ワン』に続くインドSFXヒーロー・ムービーはインド版『X-MEN』だった!?〜映画『Krrish 3』を含むブックマーク 『ロボット』『ラ・ワン』に続くインドSFXヒーロー・ムービーはインド版『X-MEN』だった!?〜映画『Krrish 3』のブックマークコメント

■Krrish 3 <未> (監督:ラーケーシュ・ローシャン 2013年インド映画)

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「鳥だッ!?飛行機だッ!?いやあれはクリシュだッ!!」と言ってたかどうかは分かりませんが、インドのSFXスーパーヒーロー映画『クリシュ3(Krrish 3)』であります。インドのSFXヒーロー映画といえばラジニカーント主演の『ロボット』、シャー・ルク・カーン主演の『ラ・ワン』と、非常にユニークな傑作が多いので、この『クリシュ3』もちと楽しみにして観てみることにしました。ちなみにタイトルに『3』とナンバリングされてますからシリーズ第3作なのでしょうが、1,2作がどうなっているのかは観ていないので分かりません。調べてみると宇宙人がどうとかいう話もありましたが、まあ要はいろいろあって超常的なパワーを得たんだってことなのだと思います。ヒンディー語DVDを英語字幕で鑑賞しました。

さてこのクリシュ、黒髪に稲妻模様の黒マスク、裾の長い黒ジャケットという全身黒装束の出で立ちで、ジャケットの長い裾をひるがえしながら戦うというのがポイントです。眼からビーム出したり口から炎吐いたりという特殊能力はありませんが、強靭な肉体とずば抜けた跳躍能力を備えているんですな。ただしあくまで跳躍能力なので、空飛んだりとかはできません。物語後半でジェット機のように空を飛ぶ能力を手に入れることになりますが、前半ではぴょーんぴょーんと街中をジャンプして活躍しております。この辺スパイダーマンあたりと差別化を図ろうとしたのでありましょうか。

こんなスーパーヒーロー・クリシュの表の顔はクリシュナという青年です。クリシュナさんは科学者の父ローヒトと妻のプリヤーと幸せに暮らしております。しかし危機が訪れるとクリシュナさんはクリシュに変身して人々を助けるんですな。このクリシュナ/クリシュ、さらに父ローヒトをリティック・ローシャンが一人三役で演じております。奥さん役のプリヤンカー・チョープラーさんは大変な美人ちゃんで、まあオレの女神ディーピカー様ほどではないにしても、映画の間中目の保養になってくれましたよグヘヘ。

さてヒーローがいるなら敵がいる!ということでヴィランの紹介を。まず悪の天才科学者カール(ヴィヴェーク・オーベローイ)、彼は車椅子に乗る障碍者ですが念動力を持っております。念動力持ってるならその力で立てばいいのに…などと言ってはいけません。彼が操る配下は変身能力を持つ女カーヤー(カンガナー・ラーナーウト)をはじめ、カメレオン舌男やらネコ科獰猛女やら怪力クマ男など、人間と動物のDNAを合体させて生まれたミュータントたちです。ちょっと『X-MEN』っぽいです。多分オマージュということで深く考えないほうがいいんだと思います。そしてこんなヴィランたちがクリシュと死闘を繰り広げるというわけですね。

アクションやSFXはハリウッド・ヒーロー・ムービーと比べても全く遜色ない派手なものです。特にラストのアクションなどは『マ〇リッ〇ス』や『マ〇・オブ・〇ティー〇』もかくやと思わせる破壊とスピードに満ち溢れた凄まじいもので、非常に楽しめました。ただし若干低年齢向けに作ってあるようで、「正義を貫こう!」とか「みんなで団結だ!」みたいなメッセージ性がちょっと気になるかもしれません。十分面白く観られたし、インドでも大ヒットした作品なんですが、個人的にはハチャメチャだった『ロボット』、SF的な物語性が充実していた『ラ・ワン』を超えるほどではなかったのが残念!それと面白かったのはこの映画、クリシュと妻と変身女カーヤーとの三角関係が描かれるという部分ですね。実は誘拐したクリシュの妻にカーヤーがなりすまして接近した、ということなんですが、ヒーローへの恋に身を焦がすヴィラン女子、というのもなかなか新しい気がしました。

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20140520(Tue)

[][]ダンシング・インディア!〜映画『ABCD - Any Body Can Dance』 ダンシング・インディア!〜映画『ABCD - Any Body Can Dance』を含むブックマーク ダンシング・インディア!〜映画『ABCD - Any Body Can Dance』のブックマークコメント

■ABCD - Any Body Can Dance (監督:レモ・デスーザ 2013年インド映画)

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この『ABCD - Any Body Can Dance』、「インド初のダンス映画!」って触れ込みの作品なんですよ。あれ?インド映画ってだいたい歌ったり踊ったりしてない?と思われるかもしれませんが、実はコレ、「ダンス・トーナメントを描くことにより初めてダンスそのものをテーマにしたインド映画」ってことなんですね。

自分はインド映画に関してはビギナーですが、最近日本で公開されたインド映画を観ていても、以前からあった「歌と踊りのインド映画」というイメージから、インド映画が抜け出そうとしている、というのはなんとなく感じていました。また、そういった映画を日本に配給する側の、「これまでのイメージにとらわれない新しいインド映画を観て欲しい」という気概も感じるんですね。でも、でも、もうちょっと歌と踊りのインド映画を楽しませてよ!という気持ちもあって、この『ABCD - Any Body Can Dance』の存在を知った時はなんだか嬉しかったですね。ヒンディー語DVDを英語字幕で鑑賞しました。

お話はなにしろシンプル。主人公の名はヴィシュヌ(プラブデーヴァ)、彼はダンス学校JDCの振付師だったのですが、JDCのあこぎな経営方針と対立し、そこを離れてしまうんですね。失意の中にあったヴィシュヌですが、ある日近所のヤンチャな少年少女の身のこなしにひらめくものを感じ、彼らにダンスを教えることを思いつき、ダンススクールDDRを立ち上げます。少年少女たちは最初、対立するチーム同士だったんですが、ヴィシュヌの熱い心に打たれ、さらにダンスをすることの喜びを覚え、次第に打ち解けてゆきます。親たちの反発、少年少女の喧嘩やハメの外し過ぎ、JDCの妨害など、幾度も危機を迎えるDDRでしたが、それを乗り越え、いよいよダンス・コンテスト番組でJDCと対決することになるのです。

ダンス・トーナメントとそれを取り巻く人々を描く映画ですから、なにしろ全編これでもかとばかりダンス・ダンス・ダンスです(村上春樹とは関係ありません)。次から次へと繰り出されるダンス・シーンが、なにしろ圧倒的で、とても楽しめる娯楽作品になっているんですね。いわゆる「ステージで踊るダンス」が主流なので、ボリウッド映画的なエキゾチックさとはまた違うのですが、それでも魅せられましたね。そしてお話は「対立・友情・特訓・失敗・成功」という、こういったテーマの物語によくあるような王道展開で、決して目新しいものは無いにせよ、だからこそ安心して観られるんですよ。

俳優たちも実際のダンサーが演じているらしく、また、主演の振付師ヴィシュヌを演じるプラブデーヴァは、「インドのマイケル・ジャクソン」と異名を持つほどの存在だとか。プラブデーヴァが踊るシーンは1度きりなんですが、確かに他とは違うものを感じました。もう一人、ヴィシュヌの友人を演じるゴーピー(ガネーシュ・アーチャーリヤー)という人がいるんですが、これが失礼ながらとんでもない百貫おデブで、「面白いけど、なんなのこの人?」と思ってたら、なんとこの人まで本職の振付師なんだとか。ある意味一番すごいのはこの人かもしれない…。

この映画を観ていて思い出したのは学園コーラス・ドラマ『グリー』ですね。落ちこぼれとして疎まれていた少年少女たちが、様々な問題を乗り越えながら一致団結し、最後には栄光を手に入れる、というストーリー。でも『ABCD』の少年少女たちは、見てくれこそヤンチャそうなんですが、『グリー』ほどに鬱屈を抱えていなくて、一人一人は屈託が無く、よく見るとなーんだか可愛いんですね。キャラの掘り下げ云々というよりも、こういった分かりやすく親しみやすいキャラである、ということも観易さの一因だったのではないでしょうか。そして、男子は全員腹筋割れてますッ!男なら普通割れてるもんだよね?ってなぐらい割れてますッ!腹筋割れ大好きな方も是非ドウゾ。

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20140519(Mon)

[]チェルノブイリの春を愛す。〜『チェルノブイリの春』 チェルノブイリの春を愛す。〜『チェルノブイリの春』を含むブックマーク チェルノブイリの春を愛す。〜『チェルノブイリの春』のブックマークコメント

チェルノブイリの春 / エマニュエル・ルパージュ

チェルノブイリの春

描くことは「ものの表皮をめくること」。チェルノブイリと福島を彷徨う過程で、ルパージュの目に見えてきたものとは? 前提ありきの作品を拒絶しそのために苦悩もする著者が偏見なき眼差しで生身の人々を見つめ描き上げた、衝撃のドキュメンタリー・バンドデシネ

冒頭から暗いモノトーンのグラフィックがチェルノブイリの廃墟と誰もが知るこの原発事故の恐ろしい経緯を描き出してゆく。作者エマニュエル・ルパージュのグラフィックは禍々しくもまた美しい。その美しさはそこに横たわる透徹した"死"が、その不条理が、逆に見る者を魅了してしまうからなのだろう。

この『チェルノブイリの春』はバンドデシネ作家エマニュエル・ルパージュが、チェルノブイリに滞在した2週間の間に体験し感じたことを描いたコミック作品である。作者エマニュエル・ルパージュの作品は先に『ムチャチョ―ある少年の革命』(拙レビューはこちら)が訳出されているが、自分はこの作品の瑞々しい色彩感覚と圧倒的な描写力に非常に感銘した記憶があり、この『チェルノブイリの春』も歴史的な原発事故のルポルタージュというイデオロギッシュな側面それ自体よりも、あくまでエマニュエル・ルパージュの新作として興味を覚え読んでみたのだ。

そもそもこの作品が成立したのは、ルパージュがとある支援団体から、一人の画家としてチェルノブイリの惨禍をドキュメンタリーしてほしい、と要請されたことから始まる。だが完成した著作にはルパージュが描いた作品や感じたことが殆ど反映されていなかった。その著作で反映されなかったルパージュの想いとは何だったのか。それは、「チェルノブイリが、美しい」という事実だったのである。そして再び描かれたのがこの『チェルノブイリの春』というわけだったのだ。

そう、放射能による死の世界である筈のチェルノブイリは、今、百花繚乱の植物が生い茂る、自然の宝庫と化していたのだ。ルパージュは戸惑う。人類の愚かさ、原子力産業の危険さを描こうと意気込んでチェルノブイリに入ったルパージュが見たものが、目を奪うような自然の美しさだったからだ。そして、チェルノブイリの周辺で生きる人々が、危険と絶望的な状況の中にあるにもかかわらず、生き生きとして明るく柔和に生きていたからだ。その戸惑いは、美への追及が人よりも秀でる画家の目とその感受性からである、ということもできるだろう。事実チェルノブイリとその周辺は永劫として人の立ち入ることのできる土地ではなく、その周辺で生きることに生命の保証は何もないのは確かなのだ。美しい自然の背後にある"死"を描くべきなのに、「描くことは「ものの表皮をめくること」」である筈なのに、ただただ美しい自然に、ルパージュは打ちのめされるのだ。

「こんな時間をチェルノブイリで過ごすことが想像しただろうか。大惨事の真っ只中で、惨状を描きに来たはずなのに。満ち足りて、濃密な時間を生きている感覚だ…今、この場所で時の流れを見失った…」 (p191〜p120)

そしてルパージュのグラフィックは冒頭のダークなモノトーンから一転、緑こぼれる生き生きとしたチェルノブイリの大地を描き出してゆくのである。その自然は人の生きてゆくことのできる自然ではないかもしれない。しかし、イデオロギッシュな視点から一つ離れて、生命の持つ雄々しさ、決して生きることを止めない力強さを、この作品では肯定していこうとするのだ。

なお巻末には2012年にルパージュが原発事故後の福島を訪れた際の短編ドキュメンタリーコミック『フクシマの傷』が掲載されている。ここでルパージュはチェルノブイリの教訓を何一つ生かさない日本の行政への怒りを顕わにし、その惨状の一齣をグラフィックとして焼き付けている。

ムチャチョ (EURO MANGA COLLECTION)

ムチャチョ (EURO MANGA COLLECTION)

20140518(Sun)

[]超巨大惑星を旅する3つの知的種族の冒険譚〜『オマル-導きの惑星-』 超巨大惑星を旅する3つの知的種族の冒険譚〜『オマル-導きの惑星-』を含むブックマーク 超巨大惑星を旅する3つの知的種族の冒険譚〜『オマル-導きの惑星-』のブックマークコメント

■オマル-導きの惑星- / ロラン・ジュヌフォール

オマル-導きの惑星- (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

総面積は地球の5000倍にもおよぶ巨大惑星オマル。そこではヒト族、シレ族、ホドキン族の3種族が暮らしていた。何世紀にもおよぶ壮絶な抗争の末、65年前に結ばれたロプラッド和平条約により、いまはかろうじて平和が保たれていた。そんな3種族共同統治区プラットフォームジャンクションの大港に停泊中の巨大飛行帆船イャルテル号をめざし、今、種族も年齢も出自もまったく異なる6名の男女が向かっていた。彼らが手にするのは謎めいた卵の殻と22年も前に購入された乗船券。彼らの目的は?そしてイャルテル号の行く手には?フランス有数のSF賞、ロニー兄賞受賞に輝く壮大なSF叙事詩!

この間はイタリアSF『モンド9 (モンドノーヴェ)』を読んだばかりだったが、今回はフランスSFである。どちらも日本ではあまり紹介されていないヨーロッパ圏のSFなのだが、翻訳数の多い英米SFと比べると、世界観の成立の仕方に独特のものを感じることができて、そういった部分が新鮮で面白い。この『オマル-導きの惑星-』を読んで最初に思い浮かべたのはフランスのバンドデシネ諸作品だった。メビウス、エンキ・ビラル、そしてブノワ・ペータースあたりのバンドデシネ作品、あるいはバンドデシネではないがローラン・トポールとルネ・ラルーによるアニメ作品『ファンタスティック・プラネット』などは、英米SFに多く見られる実証主義的な空想科学作品というよりも、強烈なエキゾチシズムの溢れる非常に幻想味の強い異世界描写が中心となるが、この『オマル-導きの惑星-』でもそれは同工だ。

物語の舞台となるのは「総面積は地球の5000倍にもおよぶ」という謎の巨大惑星オマルである。要するに地の果てすら分からないほどに茫洋として広大な世界、ということである。そしてこの地には3種の知的種族が存在する。我々人類であるヒト族、身長2m40あるという甲殻類を思わせる姿のシレ族、爬虫類的な容姿のホドキン族がそれだ。この3種の知的種族は異種族間において長年に渡り抗争を続けてきたが、最近になって協定が成立し、現在は平和が保たれているらしい。しかしこの3種族においてもその棲息する既知空間は地球の550倍程度の土地であり、オマルのそれ以外の土地は未踏の謎とされているのである。彼らの1500年前に何らかの理由でこの地にやってきたとされているが、科学知識は幾つかの技術を残したまま遠い過去に忘れ去られ、その社会はいわゆるスチームパンク的なレトロフューチャーの様相を呈している。

物語はこのオマルのとある地から旅立つ飛行船に、お互いの素性すら知らぬ3種族6人が、何者かの導きで集められる所から始まる。彼らは22年前に発見された乗車券と、謎めいた細工の施された卵の欠片を持ち合わせており、この欠片を集めると一つの卵として完成するらしい。紆余曲折を経てやっと6人は顔を合わせ、次々にお互いの来歴を語ってゆく。そしてこのそれぞれに語られる彼らの物語が、オマルという惑星世界の全貌を少しづつ明らかにしてゆく、という構成になっているのだ。しかし彼らの乗った飛行船は海賊の襲撃により崩壊寸前となってまま航行しており、彼らが生きたまま目的の地とされる場所に辿り着けるのかすら分からない状況なのだ。

こうして物語は惑星オマルの全容を明らかにしつつ、6人の旅人たちが集められた理由をクライマックスで描くこととなるが、全体的に言うなら「オマルとは何か」というその世界観を説明することで終始する作品となっている。その為ひとつの物語としてのドラマチックなカタルシスには欠けるのだが、異質な世界をじっくりと俯瞰し、その世界の不可思議な有様を堪能させることがこの作品の目的になっているのだろう。だからある意味これは、長い長い物語の、その緒端のみを描いた作品だということもできるだろう。続巻の予定もされているので、新たな展開はそちらに期待するべきなのかもしれない。自分自身としては異世界冒険譚として非常に楽しむことができた。

それと思ったのは、やはりヨーロッパで書かれたSFらしいな、ということだ。広大な土地に散らばる様々な国家、様々な民族、様々な文化、それらが長い時間の中で対立し和合しまた分裂し、その紆余曲折の果てに今現在は取り敢えず均衡を保っている。そういった異質なものを全て飲み込みながら成立し、多様さの中でバランスの保たれている世界、といった部分で、この『オマル-導きの惑星-』はヨーロッパの歴史性とその重厚さの中で生きる者が、逞しき空想の中で垣間見せるヴィジョンであるように感じた。

20140517(Sat)

[]EnoとUnder WorldのKarl Hydeによるコラボアルバム『Someday World』が素晴らしい EnoとUnder WorldのKarl Hydeによるコラボアルバム『Someday World』が素晴らしいを含むブックマーク EnoとUnder WorldのKarl Hydeによるコラボアルバム『Someday World』が素晴らしいのブックマークコメント

◆Someday World / ENO・HYDE

Someday World [輸入盤スペシャル・エディション2CD] (WARPCD249X)

Brian EnoとUnder WorldのKarl Hydeがタッグを組んだコラボ・アルバムが堂々のリリース。Brian Enoといえばアンビエント・シリーズが有名だったりするけれども、個人的にはそれ以前のRoxy MUsic、さらにソロ時代の「ヤンチャな電子音楽職人」「でも時としてメロウかつ美意識爆発」なEnoが大変お気に入りだった。この『Someday World』はそんなかつてのソロ時代を髣髴させる音作りがオールド・ファンとしては大変嬉しくて、最近のEnoのアルバムではピカイチである、と断言したい(まあ最近の全部聞いてるわけでじゃないけど)。今作ではEnoのヴォーカルが大幅にフィーチャーされているのだが、これがまた生気に溢れ、元気いっぱいで頼もしいのだ(実はEnoのヴォーカルって結構好きだ)。かつてはアルバム『Another Day on Earth』で「涅槃間近のお爺ちゃん」みたいなヴォーカルを聞かされて「まあEnoももういい爺さんだしなあ」と思っていたのが嘘のようだ。そしてそんな若々しい風をEnoにもたらしたのがKarl Hydeということなのだろう。アートどっぷりじゃない元気なEno、実にいーのー(ヲイ)。もちろん今日のオススメ。 《試聴》

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[]最近聴いたエレクトロニック・ミュージック / Bleep:10、Legowelt、Teebs、Dino Sabatini 最近聴いたエレクトロニック・ミュージック / Bleep:10、Legowelt、Teebs、Dino Sabatiniを含むブックマーク 最近聴いたエレクトロニック・ミュージック / Bleep:10、Legowelt、Teebs、Dino Sabatiniのブックマークコメント

Bleep:10 / Various Artists

Warpレーベルの運営する音楽通販サイトBleepが10周年を迎え、それを記念してリリースされたコンピレーション・アルバム全14曲入り。収録アーティストはGas、Lone、Machinedrum、Oneohtrix Point Never、Modeselektor、Untold、Fuck Buttons、Dabrye、Autechre、Shackleton、Nosaj Thing、µ-Ziq、Nathan Fakeと、現在のエレクトロニック・ミュージックの先端を行くそうそうたる顔ぶれ。 《試聴》

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◆Crystal Cult 2080 / Legowelt

Crystal Cult 2080

Crystal Cult 2080

ダッチ・エレクトロ界にその名を轟かすLegoweltの2ndアルバムが登場。今作もアナログ機材をフル稼働し、独特の脱力系コズミック・エレクトロを奏でまくってくれております!この不思議の森でヘニャポコした感じがいい!1stに引き続いてまたまた良作です。オススメ! 《試聴》

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◆E s t a r a / Teebs

カリフォルニアを拠点に活躍するプロデューサーTeebsの2ndアルバム。Prefuse73、Lars Horntveth(Jaga Jazzist)参加による柔らかく温かな味わいのエレクトロニカ《試聴》

◆Shaman's Paths / Dino Sabatini

Shaman´s Path

Shaman´s Path

2012年にリリースされた、イタリア出身のミニマリスト、Dino Sabatiniの1stアルバム。アフリカ民族音楽を彼自身の視点で解釈し、ディープでミニマルなエクスペリメンタル・ミュージックとして完成させている。 《試聴》

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20140516(Fri)

[]ベータマックスじゃない〜映画『V/H/S シンドローム』『V/H/S ネクストレベル』 ベータマックスじゃない〜映画『V/H/S シンドローム』『V/H/S ネクストレベル』を含むブックマーク ベータマックスじゃない〜映画『V/H/S シンドローム』『V/H/S ネクストレベル』のブックマークコメント

■V/H/S シンドローム (監督:アダム・ウィンガード,デヴィッド・ブルックナー,タイ・ウエスト,グレン・マクエイド,ジョー・スワンバーグ,レイディオ・サイレンス,アダム・ウィンガード,ジョー・スワンバーグ 2012年アメリカ映画)

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映画『V/H/S』、最初は「宮崎勤の部屋の中みたいのを舞台にしたホラーなのか?」などと勝手に思い込んでスルーしていたのだが、若手監督によるP.O.V.ホラーのオムニバスと知って興味が湧き、1作目『V/H/S シンドローム』と2作目『V/H/S ネクストレベル』をまとめて観ることにしました。で、これが結構面白かったのでざっくり感想などを。

まずは『V/H/S シンドローム』。お話はバカガキどもが侵入した家でオッサンの死体と大量のビデオテープを発見するところから始まります。で、ガキどもがビデオを一個づつ再生したところ…という流れ。収録作は5本。
『AMATEUR NIGHT』クラブでナンパした女が実は…というお話。「はいはいキチガイ女キチガイ女」と思ってたんですが、そしたらアナタ、なんかもういきなりびっくらコキましたね。なーんすかこれは。ラストも「うわっ!」とか言っちゃいましたよ。【顏裂け度:★★★★★】
『SECOND HONEYMOON』旅行中のカップルがビデオカメラであちこち撮ってるわけですよ。そして夜。そのビデオカメラで、誰かが、寝てるカップルを撮りはじめるんです…うあああジワジワ来たわ。【歯ブラシは止めて度:★★★★★】
『TURSDAT THE 17TH』森にやってきた男女…って導入から「はいはい殺人鬼が現れてみんなぬっ殺すのね」とか思ってましたが、確かにそうなんだけどその殺人鬼が独特でさ。【その罠はいつ仕掛けたんだ度:★★★★★】
『THE SICK THING THAT HAPPENED TO EMILY WHEN SHE WAS YOUNGER』ビデオチャットする男女。「部屋になんかいるのよ…」と女が言いだして「はいはい幽霊幽霊」と思って観てたけどやっぱり現れると「うあああ!」とびっくりするという。でもそれだけでなくて、女もなんか変で、腕のグジグジを抉りはじめたりとかさ…。【目をつぶったらもっと怖いだろ度:★★★★★】
『10/31/98』4人のバカガキが人気のない屋敷に侵入して…って話なんですが「はいはいお化け屋敷お化け屋敷」とか思ってたら天井裏で怪しい儀式やっててさ…これは結構凝ってましたね。【壁から腕度:★★★★★】

全体的にノイズだらけのザラついた画質、ブレまくる撮影、ブツブツに途切れまくる映像と、具合が悪くなるほど見難い事ことこの上ないんですが、逆にその「見えそうで見えない」「何が写っているのか分からない」というのが不安感をあおって、とても怖くて楽しかったですね。物語的にはありがちなんですが、それぞれ一捻り加えているのと、作品が短いのでアイディア一つで一点突破出来る、という部分も成功の原因じゃないでしょうか。こういったパンクな雰囲気もまたよかったですね。

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■V/H/S/ネクストレベル (監督:サイモン・バレット,アダム・ウィンガード,エドゥアルド・サンチェス,グレッグ・ヘイル,ティモ・ジャイアント,ギャレス・ヒュー・エヴァンス,ジェイソン・アイズナー,アダム・ウィンガード 2013年アメリカ映画)

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『V/H/S』シリーズ第2弾となるのがこの『V/H/S/ネクストレベル』であります。しかしねー、今時ビデオの録画媒体はスマート・メディアとかDVDとかBlu-rayとかなんじゃないのか?第1弾はまだいいとして、この第2弾でも相変わらずビデオテープなのか?と思う訳ですよ。でも観てみたらやっぱり今回も扱われているのはビデオテープでした!それぞれの収録作を観ても、録画している時はデジタル機器使っているみたいなのに、なーんか作中ではテープにして残されているんですよね。さらにビデオ収集していた本人とみられる映像が「これらのビデオを観る事で脳に影響が…」とか言ってるんですが、これはクローネンバーグの『ビデオドローム』へのオマージュってヤツなんでしょうね。ある意味この『V/H/S』シリーズ自体が『ビデオドローム』の子供たち、と言えなくもないですね。余談になりますがその『ビデオドローム』、ビデオ媒体はVHSではなくてベータマックスだったんですよね。

さて今回あばら家に侵入してコワ〜イビデオを観る羽目になるのは探偵とその助手の男女。しかしビデオを観ているその後ろで怪しい人影が動いて…とかなってるわけですな。収録作は4本。
『PHASE I CLINICAL TRIALS』事故で片目を失った男が代わりにビデオ機能の付いた義眼を入れられるが、この義眼を入れたばっかりに見えない筈の死者の姿が見えるようになる、というお話。目それ自体が録画している、という部分がこの作品の特徴でありましょう。まあしかし、どちらにしてもお化けが出てきてこわいよー!という部分は一緒なわけで、アイディア倒れな作品のように思われました。【片目つぶってればよかったんじゃないのか度★★★】
『A RIDE IN THE PARK』ヘルメットにビデオカメラを付けてサイクリングする男がゾンビに襲われ、自分もゾンビになって…という、なんと「ゾンビ視点」のP.O.V.作品なんですね。ゾンビ視点で人間を貪り食う!という部分が新しいといえば新しいのですが、まあそれだけっちゃあそれだけの作品なんだよなあ。【臓物ドアップ度★★★】
『SAFE HAVEN』とあるカルト教団に取材に訪れたドキュメンタリー映画スタッフが出遭うとんでもない恐怖を描くお話。教祖は狂いだすわ信者は集団自殺しちゃうわ、映画スタッフも追い掛け回されてぶっ殺されちゃうわ、さらにその後もっともっととんでもないことになって、まさに地獄絵図。これは結構長めな上にお話もきっちり作り込んでいました。しかもロケーションがインドネシアで、それにより異様な呪術的雰囲気を醸し出す要因となってるんですね。これはインドネシアのバイオレンス・アクション『ザ・レイド』のギャレス・エヴァンスが監督したということもあるのでしょう。もう後半までなんでもアリの展開でパワフルな作品でした。【でも最後のアレは作りモノ臭くて大いにシラケた度★★★】
『SLUMBER PARTY ALIEN ABDUCTION』留守番中の家が宇宙人に襲われ阿鼻叫喚となる少年少女のお話。そしてこの作品はなんと子犬に取りつけられたカメラによるP.O.V.!まあ新しいといえば新しいんですが、別に子犬である必然性はあまり感じなかったんだが…やりゃあいいってもんじゃないだろ…。あと宇宙人もなあ、子供さらう時毛布にくるむって、仮にもスッゴイ科学力で地球来たとは思えないんだが…。【要するにナマハゲですね度★★★】

全体的に画像の鮮明さが逆に仇となっており、1作目の「画像が汚すぎるゆえのなんだかわからない恐怖」が薄れて、P.O.V.を生かした、というよりはどれも普通にホラーな作品になっちゃってるような気がしました。

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20140515(Thu)

[]京都1300年の呪い〜映画『燃える仏像人間』 京都1300年の呪い〜映画『燃える仏像人間』を含むブックマーク 京都1300年の呪い〜映画『燃える仏像人間』のブックマークコメント

■燃える仏像人間 (監督:宇治茶 2013年日本映画)

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仏像人間!それはムカデ人間でも武器人間でもない!仏像人間!それは仏像と人間の融合したおぞましい生命体!仏像人間!彼らは合体を繰り返しより凶悪な存在になってゆく!仏像人間!仏像と合体したらどうして凶暴になるのかはよくわからない!仏像人間!なんでわざわざ仏像とだけ融合すんのとか聞いちゃいけない!仏像人間!それはみうらじゅんのことじゃない!大仏魂!それは「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」!

『仏像人間』である。物質転送装置により仏像と合体し、より高次の存在となって世界に君臨しようという恐るべき陰謀を描いた物語である。舞台は仏像盗難事件が多発する京都。寺の娘の女子高生・紅子は住職である父と母を惨殺され、さらに寺の仏像までも奪われてしまう。身寄りを無くした紅子は父母の知り合いだった円汁の寺に身を寄せるが、そこで円汁に仏像窃盗集団シーダルダが父母殺害の犯人であることをほのめかされる。そんなある日、紅子は偶然入り込んだ寺の地下で、仏像と両親が融合した醜い生命体を発見するのだ…ッ!?

さてこの『仏像人間』、映画本編は"劇メ−ション"というアニメ手法を使っている。これはキャラクターなどを切り絵で作成し、これを背景の上で動かして撮影しているのだ。そしてなんといってもこの『仏像人間』のキモとなるのは、その切り絵に描かれた実におどろおどろしい仏像人間のグラフィックだろう。シャブやって画用紙こねくり回したらこんなの出来ちゃいました!グゥエヘヘヘ!といった雰囲気の、一回見たら忘れられないようなキモチ悪さに満ち満ちているが、単にグロテスクなだけではなくどこかユーモラスでもあるのだ。劇中登場する仏像人間だけでなく、主人公・紅子や普通の人間まで普通じゃない姿をしているというのもなんだか凄い。"劇メ−ション"という呼び名にしろその手法にしろ、ちょっとビンボクセえなあ、とは思うのだが、そのビンボ臭さとこのおどろおどろしさが奇妙にマッチし、独特のレトロ感を醸し出してもいる。なにしろテーマは仏像だし。

ただし、商業作品としてみるとあれこれ粗がありすぎる。シナリオにしろ演出にしろどうにも稚拙で素人の作った自主映画以上のものではない。台詞などは時々日本語になっていないことすらある。声優の声も映像のおどろおどろしさとまるで合わないごく普通の喋り声。ゲージュツ家が作ったんだからグラフィック以外の事はしょうがないのか?それと本編の前後に寺田農と声優だという女性が演じる実写が入るのだけれども、これがまるで意味がない。結局、個性的なグラフィックのみで牽引する作品になっており、ある種のアート作品というかオレのような珍しモノ好きな人間の為のカルト作品ということができるかもしれない。その辺納得ずくで、物語の出来よりも次から次に現れる怪しいグラフィックをひたすら堪能したい、という方にならお勧めできる作品だろう。

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20140514(Wed)

[]ナチに改造されて生きる オレたちゃ武器人間なのさ〜映画『武器人間』 ナチに改造されて生きる オレたちゃ武器人間なのさ〜映画『武器人間』を含むブックマーク ナチに改造されて生きる オレたちゃ武器人間なのさ〜映画『武器人間』のブックマークコメント

■武器人間 (監督:リチャード・ラーフォースト 2013年オランダ/アメリカ映画)

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助手「博士、また下らない映画観てるんですか。ホント好きですねえ」
博士「下らないとはなんじゃ下らないとは。わしが今観ているのは『武器人間』といってな、ナチスのキチガイ博士が開発した改造人間が暴れ回る!という素晴らしい映画なのじゃ」
助手「改造人間ですか。なんか仮面ライダーみたいですね」
博士「そうともいえる。出てくる武器人間ときたらショッカーの怪人さながらじゃからのう」
助手「やっぱりイソギンチャックとかキノコモルグとかアルマジロングみたいなヤツが出てくるんですかね」
博士「いや、武器人間ちゅうぐらいだから武器っぽいのじゃよ。両手が鎌のウォールゾンビとか頭がプロペラになったプロペラヘッドとか口がドリルになったモスキートとか、その他レイザーティース、オペンハイマー、マミー・エヴァ、T35と、もろもろの怪人の皆さんが総出演なんじゃぞ」
助手「うおおおなんだか楽しそうじゃないですか!やっぱり仮面ライダーみたく改造されるときには「やめろぅ〜!やめろぅうぅ〜〜!!」ってのたうちまわるんですかね?」
博士「…助手よ、それはとんねるずがやった「仮面ノリダー」のほうじゃ…」
助手「(聞いてない)あとこの武器人間も仮面ライダーみたく武器人間スナックが発売されて武器人間カードが子供たちの間でコレクションされたり、でもスナックはあんまり美味しくないからその辺に捨てられて社会問題になったりするんですかね」
博士「カードに当たりが出たら武器人間アルバムが貰えてカードを整理したりできると嬉しいのう」
助手「いやあ博士も僕もしみじみオッサンですねえ。で、どんなお話なんですか」
博士「主人公となるのはソ連の偵察部隊でな。彼らはナチスドイツの占領地に侵入するんじゃが、古びた教会で謎の大虐殺現場に遭遇、そして建物の地下に入ったところ、不気味な改造手術を受けた人間たちに襲われるのじゃ。なんとそこはフランケンシュタインの末裔であるマッドサイエンティストの秘密工場で、そこで博士は死体と機械を合体させた武器人間を製造していたのじゃ!映画はこれをP.O.V.視点で撮影して臨場感を盛り上げておるのじゃな」
助手「やんややんや!しかし武器と合体した武器人間と普通の人間の兵士だと一方的な戦いになりそうですね」
博士「…いやこれが武器人間、意外と出オチな連中ばかりでのう」
助手「ありゃま」
博士「両手がハサミ!とか言われても、冷静に考えると戦争でどんだけ使えるんかい?ってな感じだし、頭がプロペラ!とか言ったって、いったいどうしたいんじゃ?とも思うわけなんじゃ。まあしかし、そういった馬鹿馬鹿しさ、見てくれ勝負な部分が逆に楽しいんじゃがの!」
助手「確かにショッカーも、世界征服!とか言いながら商店街襲ったり老人ホーム襲ったりとか結構セコイ作戦展開してましたからねえ」
博士「そんな話あったかのう?」
助手「この辺は軽く流して下さい」
博士「後半はフランケンシュタイン博士のキチガイぶりと死体だらけの実験室でのグログロ改造展開とかも待っておるから、キチガイとかグログロの好きの方は涎垂らしながら観るといいと思うんじゃ」
助手「なるほどー。ところで前から気になってたんですが、僕と今話している博士って、いったい何の博士で、僕はいったい何を助手しているんですか?」
博士「これ書いてるヤツがそこまで考えていると思うかい?」
助手「うーん…ねーな…」

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20140513(Tue)

[]甲冑着た旧日本軍の改造人間が襲ってくる!〜映画『デッド・マイン / Dead Mine』 甲冑着た旧日本軍の改造人間が襲ってくる!〜映画『デッド・マイン / Dead Mine』を含むブックマーク 甲冑着た旧日本軍の改造人間が襲ってくる!〜映画『デッド・マイン / Dead Mine』のブックマークコメント

■デッド・マイン / Dead Mine (監督:スティーヴン・シェイル 2012年インドネシア映画)

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旧日本軍が埋めたとされる財宝を探しにスマトラ島へやってきたトレジャーハンターの皆さんが、山賊の攻撃により暗くていやらしい洞窟に閉じ込められ、辿り着いたのが打ち捨てられた旧日本軍の地下秘密基地!そしてそこで軍のおぞましい実験により生み出された化け物連中に襲われちゃう!というインドネシア製のホラー映画です。配役はインドネシア俳優だけではなく欧米俳優も参加していますが、日本からはなんと水野美紀さんも出演されて主役張っておりましたよ(どうでもいいことですが「みずのみき」って入力したらオレのPC、「水飲み器」って変換しやがりましたよ…)。日本未公開作品なので輸入Blu-rayで視聴しました。

この『デッド・マイン』、「洞窟に閉じ込められた連中が化け物に追い掛け回されてヒイヒイいうのを観て楽しむ映画」という点において『ディセント』や『ヒルズ・ハブ・アイズ2』あたりを連想させますが、そこに原口智生監督によるビデオ映画『ミカドロイド』を髣髴させる旧日本軍の遺した怖い怖い遺産が絡んでくる、というわけなんですね(とかいって『ミカドロイド』観てないっすけどね!)。ただ出来としては『ディセント』や『ヒルズ・ハブ・アイズ2』あたりのイラつく演出が無くて素直に楽しめました。なにより良かったのは、旧日本軍がテーマに関わっているだけあって、作品のそこここで微妙な日本語や日本語ポスターや日本っぽい意匠が施されているという点なんですよ。

例えば洞窟内の旧日本軍秘密基地にある旭日旗をバックにした軍人さんのポスターとか、漢字で書かれたプロパガンダとか、そういうのも面白かったんですが、旧日本軍の生き残りの人が現われたりしてね、きっとたいていの人は「おお!横井さん!?」とか「小野田さん!?」とか思っちゃうんじゃないでしょうか。しかもこの地下秘密基地自体があの悪名高き731部隊のもの、ということになっているんですね。さらに隠されている財宝というのが「山下財宝*1」の一部である、という部分も細かいですね。この辺、第2次世界大戦で日本と因縁浅からぬインドネシアならでは設定ではないでしょうか。

そしてこの映画の見所となるのは、後半に登場する甲冑着て日本刀下げた強化兵士軍団の登場でしょうね。こいつらが地下巨大倉庫で始皇帝陵の兵馬俑みたいに隊列組んで、今や遅しと殲滅する相手を待ち構えている姿は迫力ありましたよ。そもそも原子爆弾まで登場した世界大戦に、日本が甲冑に刀の兵士作ってた、ということ自体馬鹿馬鹿しくて可笑しい話なんですが、こんなもん作ってるから日本は戦争に負けたんだよ!ともちょっと思っちゃいましたね!でもこいつら銃で撃たれても屁とも思わない強化人間だから、白兵戦はとりあえず無敵で、主人公ら登場人物はどんどん追いつめられてゆくんですね!ホラー的にはまあまあだったんですが、人体実験室の禍々しさとこの甲冑戦士とで楽しめた映画でしたね。

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*1山下奉文大将率いる日本軍によって、終戦時にフィリピンに埋められたとされる莫大な埋蔵金についての都市伝説

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20140512(Mon)

[]息子を救うため潜入捜査に協力した一人の男のサスペンス・アクション〜映画『オーバードライブ』 息子を救うため潜入捜査に協力した一人の男のサスペンス・アクション〜映画『オーバードライブ』を含むブックマーク 息子を救うため潜入捜査に協力した一人の男のサスペンス・アクション〜映画『オーバードライブ』のブックマークコメント

■オーバードライブ (監督:リック・ローマン・ウォー 2013年アメリカ映画)

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この『オーバードライブ』、主演のドウェイン・”筋肉ムキムキ”・ジョンソンが、麻薬密売容疑で捕まった息子を救うため、麻薬組織をぶっ潰す!という、実話をもとにした映画だと聞いて、「おお、ドウェイン・ジョンソンが自慢の筋肉を生かしてワルモノどもをちぎっては投げちぎっては投げ、さらに銃撃と爆発とカーアクションとついでにムフフなお色気がてんこ盛りになった愉快痛快お気楽至極なB級アクションなのだな!?」と勝手に思ってたんですが、実際観てみると大違い、結構渋くて緊迫感たっぷりのクライム・サスペンスだったのですよ。

最初に「麻薬密売容疑で捕まった息子を救うため、麻薬組織をぶっ潰す」とは書きましたが、これはドウェインさん演じる運送会社社長ジョンが、密売容疑で10年の刑をくらってしまった息子の刑を軽くしてもらう為に、司法当局に協力して麻薬組織への潜入捜査を始めちゃう、ってことなんですよ。「でもドウェインさんガチムチのコワモテだから、潜入捜査の一個や二個、ちょちょいのちょいでやっつけちゃうんじゃない?」と思ってたらさにあらず、なんとドウェインさん、この映画ではその辺のチンピラにあっさりボコボコにされちゃうぐらい非力な設定なんですね。要するに「あくまでごく普通の一般人が、息子のために危険な潜入捜査をはじめてしまう」という所がこの映画のミソとなるんですな。

「じゃあ主人公、ガチムチのドウェインさんじゃなくてもいいじゃん?」と思われるかもしれませんがそうじゃないんです。題材的に暗くてガチガチにリアルになりがちなお話を、筋肉パンパンなドウェインさんの存在感で補ってるんですよ。ドウェインさんは俳優としてはそんなに器用な方ではないとお見受けしますが、逆にそんな不器用な朴訥さが、寡黙で非力ながら強靭な意志で事態を乗り越えてゆく男の気風をうかがわせるんです。これが男前の演技派俳優だったらリアル過ぎてキッツイ作品になってたんだと思います。そしてそんな朴訥なドウェインさんの脇を、スーザン・サランドンバリー・ペッパー、ジョン・バーンサルといった個性的な俳優を充てることで、物語に厚みを持たせるのに成功しているんですね。

しかもこのお話、最初は末端構成員との取引だけに潜入捜査すればよかったものを、司法当局が欲をかき、ジョンにさらに危険な取引場所への潜入を要請し出すんですよ。ここで止めれば息子を救うことが出来ない、しかし一つ間違えば自分のみならず家族の命も失うことになる、こういった一筋縄の行かなさが物語を複雑にし、面白さを増すことになるんです。そしてそんな葛藤の中にあるジョンを助けるのが、ジョンの部下で元麻薬売人だったダニエルなんですね。最初は嫌々だったダニエルが、次第にジョンの力強い助っ人になってゆく描写がまたいいんですよ!そして我慢に我慢を重ね、歯を食いしばって耐え忍んでいたジョンが、クライマックスではこれまでの緊張感を振り払うかのような怒涛のアクションを見せるんですよ!オレはついつい「オッサンやれ!やったれ!」と画面に叫んじゃいましたね!いい意味で裏切られたサスペンスの佳作でしたね。

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オーバードライヴ [Blu-ray]

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20140511(Sun)

[]ハリウッドスターたちが本人役で阿鼻叫喚の世界の終りを演じる映画『ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日』 ハリウッドスターたちが本人役で阿鼻叫喚の世界の終りを演じる映画『ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日』を含むブックマーク ハリウッドスターたちが本人役で阿鼻叫喚の世界の終りを演じる映画『ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日』のブックマークコメント

■ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日 (監督 セス・ローゲン,エヴァン・ゴールドバーグ 2013年アメリカ映画)

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ハリウッドスターたちが本人役で登場し、恐るべきパニックの中阿鼻叫喚の大騒ぎを繰り広げるというセス・ローゲンが製作・監督・脚本・主演のコメディです。

お話はLAに住む俳優セス・ローゲンの元にジェイ・バルチェルが訪れ、ジェームズ・フランコの新築披露パーティに参加するところから始まります。パーティーにはジョナ・ヒル、クレイグ・ロビンソン、ダニー・マクブライド、クリストファー・ミンツ=プラッセばかりか、エマ・ワトソンや歌手リアーナまで訪れているんですな(他にもカメオ出演有)!買い物に出掛けたセスとジェイは空からの青い怪光線に人々が拉致されるのを目撃、その後大地震と不気味なクリーチャーが街を襲い始めます!次々と間抜けな死に方をしてゆくハリウッド・スターたち!生き残った面々は家に立て籠もりますが、危機はさらに彼らを襲い、そしてストレスからお互い同士も一触即発の危機に!ハリウッドスターたちは生き延びることができるのか!?というSFチックなコメディなんでありますな。

構成としては『スカイライン』みたいな青い光の人間拉致や『世界侵略 ロサンゼルス決戦』みたいな火の海となったロサンゼルスや『ミスト』みたいな孤立した集団のサバイバルや『エクソシスト』みたいな悪魔憑きが登場しますが、まあ結構思い付きで作ったのではないかと思われます。むしろ中心となるのは危機に出遭ったハリウッドスターたちの人間性テストみたいなあまりにイタイ言動や行動の数々でしょう。ここで描かれるハリウッドスターたちのしょうもない性格やあまりよろしくない言動行動は決して本当のことではないにせよ、「こいつだったらこのぐらいバカでもおかしくないなあ!」とか「こいつだったらこのぐらい卑劣で性格悪くてもおかしくないなあ!」と観客に思わせ、そんな部分を上手く描いて笑いに持って行っているところがミソでありましょうか。

現実のハリウッドスターたちがお互い疑心暗鬼に取りつかれ、口汚く罵りあったり抜け駆けしたり情けないぐらいへっぴり腰だったりするのを見せられるのが面白いこの映画、それぞれのキャラを全部書き出すことはしませんが、いつも自分が浮いている気がしているジェイ・バルチェルが段々と周りからハブられてゆく様、ダニー・マクブライドの自己中ぶりはなんだか妙にキャラが合ってるし、あの可愛らしいエマ・ワトスンがあんなことやこんなことをするくだりなんかも可笑しかったなあ。

ただまあハリウッドスターというよりは、セス・ローゲンを中心とするハリウッドコメディスターたちが中心となっている作品なので、彼ら自身に馴染がないと面白さが半減するかもしれません。会話なども上手く練られている(あるいは上手くアドリブを効かしている)のですが、楽屋落ちでイージーに流れてゆく部分も多いので、いわゆる「ハリウッドコメディスター新春かくし芸大会」程度のものだと思って気楽に観たほうがいいでしょう。

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20140510(Sat)

[]死体安置所から忽然と消えた死体を巡るスペインのサスペンス・ホラー〜映画『ロスト・ボディ』 死体安置所から忽然と消えた死体を巡るスペインのサスペンス・ホラー〜映画『ロスト・ボディ』を含むブックマーク 死体安置所から忽然と消えた死体を巡るスペインのサスペンス・ホラー〜映画『ロスト・ボディ』のブックマークコメント

■ロスト・ボディ (監督:オリオル・パウロ 2012年スペイン映画)

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ある晩、死体安置所の警備員がパニック状態のまま道路に飛び出し、車に轢かれて意識不明の重体となるんです。警察が駆けつけると、死体安置所からは1体の女性の死体が消えていました。警備員はいったい何を見たのか?そして女性の死体はどこにいったのか?といったお話なんですね。しかもこの死体の女性は、元夫に自然死に見せかけて殺されたものだったんです。死体が消えた事で元夫は恐怖に震えます。そしてこの元夫を責めるように犯罪の証拠が彼の周りに突然現れたりするんです。さらに警察もこの元夫の殺人を疑い始め、捜査を開始するんですね。

この物語が面白いのは、死んだ妻が亡霊となって元夫を責めさいなむホラーなのか?それとも妻は死んでいなくて、姿を隠したまま夫に復讐をするサスペンスなのか?またはそれらとは全然関係ない理由が背後に隠されているのか?ということが最後まで分からない、という部分ですね。事件のカギを握る警備員がずーっと意識不明のまま、という引っ張り具合もいいんですね。ただ死体が消えただけならパニックを起こして逃げ出したりはしないでしょう。では彼は何を見てしまったのか?という部分でどんどん気になってくるんですね。

こんな具合に、ホラー的な演出もサスペンス的な演出も両方成されているがために、観ているほうとしては結末に何が待っているのか予測がつかないんですよ。死んだ妻の幻影が元夫の背後に!?おおおきたきたホラーだよ!という描写があっても実は元夫の悪夢だったりするし、監視カメラの電源が切られてるのはやっぱり人間がやったからか…でもそれも亡霊のせいともできるし…と両方考えちゃうんですよ。そしてこれがもしホラーじゃないとするなら、誰がどんな目的で死体を隠したのか?という推理ドラマ的な側面も浮かび上がってくるんですね。

そしてラストには思いもよらぬ驚愕の大ドンデン返しが待ち構えてます!「うおおお!?そういうことだったのか!?」とびっくりすること請け合いですよ!いやまさかこう来るとはね…。物語の進行も十分サスペンスフルでしたが、このラストでさらにピリッと引き締まった感じです。スペインのホラー・サスペンスは『永遠の子供たち』『REC/レック』『アザーズ』など、コントラストの強い死生観とウェットな情感に溢れた映画が多いですね。この『ロスト・ボディ』もこれらと同じくヨーロッパ的な暗さと情緒が独特の雰囲気を醸し出す佳作でしたね。男優も女優も知らない方ばかりでしたが、それぞれに渋くてよかったですよ。

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20140509(Fri)

[]伊豆アニマルキングダムへカピバラたちに会いに 伊豆アニマルキングダムへカピバラたちに会いにを含むブックマーク 伊豆アニマルキングダムへカピバラたちに会いにのブックマークコメント

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この連休はカピバラさんたちに会うために、相方さんと一緒に伊豆稲取にある動物園「伊豆アニマルキングダム」へ行ってきました。

特急踊り子号に乗って都心から2時間余り、さらに駅前からバスに乗り10分少々山を上ったところに「伊豆アニマルキングダム」はあります。ここは動物たちのいる「アニマルゾーン」、遊園地のある「プレイゾーン」、ゴルフコースのある「スポーツゾーン」の3つ分かれていて、さらに「アニマルゾーン」内にはキリンやサイやシマウマなどの大型草食動物を放飼いにしたウォーキングサファリゾーンがあり、これらの動物たちに餌をやったりできるんですね。目玉としてホワイトタイガーがいるのもここのウリとなっています。この日は連休中ということもあって結構混んでいましたよ。

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さていろんな動物を横目で眺めながら、カピバラさんたちの待つ「わくわくふれあい広場」(有料:100円)へ。この「伊豆アニマルキングダム」、なんと放し飼いのカピバラさんたちと思いっきりふれあいまくることのできる動物園なんですよ!わくわくだなあ!

というわけで、居ました。

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大きいカピが2頭の他に、小カピが8頭ぐらいワチャワチャと闊歩しています!!

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もう触りまくり!

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ワチャワチャした小カピもワチャワチャと触りまくり!ハァハァ…。

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しかしどんなに触られててもカピは例によって「ぬー…ん」としているのでした!

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カピとの触れ合いをすっかり堪能した相方さんとオレは、カピのみんなに別れを告げ「伊豆アニマルキングダム」の「プレイゾーン」へ。

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そしてここの「恐竜の棲む森」をぶらぶらしました(有料:500円)。

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森の中にいる等身大な恐竜の模型が動いたり吠えたりするんですよ。他愛ないといえばそれまでなんですが、なんだか楽しかったな。

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※行ってみようと思われた方へ:食事なんですが、「アニマルゾーン」側にあるレストランは大変混雑していたので、「プレイゾーン」側のレストランに行かれるか、またはお弁当持参のほうがいいかも(「プレイゾーン」側に芝生があって、ここでお弁当広げて食べられます)。これは連休中だったので混んでいた、というのもあるかと思うんですが、自分たちが行ったときは1時間待ちでした。

伊豆アニマルキングダムHP

20140508(Thu)

[]フランス・コミック界伝説のアンチ・ヒーロー・スペースオペラ〜『ローン・スローン』 フランス・コミック界伝説のアンチ・ヒーロー・スペースオペラ〜『ローン・スローン』を含むブックマーク フランス・コミック界伝説のアンチ・ヒーロー・スペースオペラ〜『ローン・スローン』のブックマークコメント

■ローン・スローン / フィリップ・ドリュイエ

ローン・スローン (ShoPro Books)

フランス漫画界最大のカルト作家、フィリップ・ドリュイエがついに日本上陸! 70年代のフランス漫画界において、鬼才中の鬼才と称され、その大胆な構図・色彩感覚にはメビウスも影響を受けたとされるフィリップ・ドリュイエ。アール・ヌーヴォー、インド建築、ゴシック様式などを取り入れた、宇宙空間における建築物の描写に定評があり、欧米では“スペース・アーキテクト"の異名で呼ばれています。いまなおカルト的人気を誇るフィリップ・ドリュイエが1972年に連載を開始し、2012年、ようやく完結を迎えた壮大なSF叙事詩『ローン・スローン』が初邦訳でいよいよ登場です!

この『ローン・スローン』はあのメビウスにも影響を与えたというフランスのカルトBD作家、フィリップ・ドリュイエの代表作を収めたものだ。『ローン・スローン』シリーズは1972年から2012年まで40年に渡って書き続けられた作品で、この単行本はその集大成的な作品集となっている。物語は深宇宙の暗黒神によって超絶的なパワーを得た一人の男、ローン・スローンが、星々を経めぐりながら凄まじい破壊と戦闘と死をもたらしてゆく、というアンチ・ヒーロー物のスペースオペラだ。禍々しく輝く殺人マシン、忘れ去られた古代神殿のような巨大建造物、野獣と化したクリーチャーが画面一杯に躍り、それらがサイケデリックなコマ割りの中で地獄の祝祭の如き大戦争を繰り広げてゆくのがこのコミックなのだ。狂熱と混沌が支配するこの物語は神話的であると同時に暗いゴシック趣味に彩られたヒロイック・ファンタジーであり、そしてピカレスクSF冒険譚としてはアルフレッド・ベスタ―の『虎よ!虎よ!』を想起させる。ただし『ローン・スローン』が発表された時は革命的な作品であったようだけれども、このような"伝説"を知らずに読むとグラフィックやストーリーテリングが現在進行形の他のBDと比べてさすがに古臭さと拙さを感じるのも確かだ。そういった意味で楽しめたかというと実は微妙なのだが、BDとSFコミックの資料的な意味合いとして一読するにはいいかもしれない。

[]最近読んだコミック 最近読んだコミックを含むブックマーク 最近読んだコミックのブックマークコメント

ちいさこべえ(3) / 望月ミネタロウ

大工の棟梁を主人公にした山本周五郎原作の人情噺第3巻、この巻でも登場人物たちの細かい心の機微が絶妙のグラフィックとコマ運びで描かれていきます。この作品ではコマ同士を繋ぐ独特の"間"が、実に効果的に登場人物の心の動きを表しているんですよ。行間を読む、なんて言葉がありますが、このコミックはコマ間を読む、みたいな風情があるな。何度も書いてますが完結した暁には望月ミネタロウの代表作になっていることでしょう。

■監獄学園(13) / 平本アキラ

監獄学園(13) (ヤンマガKCスペシャル)

監獄学園(13) (ヤンマガKCスペシャル)

いやあ…もうしょっぱなから、ひどすぎるわ(いい意味で)。ハブに噛まれたと思いこんだ主人公と裏生徒会会長が、毒を吸い出す目的でそれぞれ噛まれた内腿とケツを吸い合うんだが…いやその体位はマズイだろ!バカでエロなシチュエーションを無駄にシリアスに、しかも無駄に高い画力で描くこのコミック、美人だったけど今まで地味な扱いだった裏生徒会会長が、今巻ではバカなことをさせられっぱなしで大変満足致しました。

[]『メタルギア ソリッド ピースウォーカー HD エディション』をやってみたんだが… 『メタルギア ソリッド ピースウォーカー HD エディション』をやってみたんだが…を含むブックマーク 『メタルギア ソリッド ピースウォーカー HD エディション』をやってみたんだが…のブックマークコメント

PS4でやった『メタルギアソリッドV グラウンドゼロズ』がとても面白かったのだけれど、ストーリーが前作からの続きってことでちょっとだけ分かり難かった部分があったのね。それで、その前作である『メタルギアソリッド ピースウォーカー』をやってみようと思ったわけなんですよ。プレイしたのはもともとPSPで出てたヤツの画質をHDにして据え置き機に移植したもの。発売されてから時期も経ってて中古で安くなってたのでまあいいかな、と。ところがやっぱりねえ…ステルスが好きじゃないオレにはやっぱりどうも面白くなくてねえ…。ゲームシステムもPSP準拠なんで、どこかざっくりしてるのも好きになれなかったなあ。いや、巷では相当評価が高いのも知ってるんですが、やっぱりステルスはオレには無理ってことで、許してください!

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20140507(Wed)

[]こういっちゃなんだけどハチってスゲーんだぜ?〜『見ながら学習調べてなっとく ずかん ハチ』 こういっちゃなんだけどハチってスゲーんだぜ?〜『見ながら学習調べてなっとく ずかん ハチ』を含むブックマーク こういっちゃなんだけどハチってスゲーんだぜ?〜『見ながら学習調べてなっとく ずかん ハチ』のブックマークコメント

■見ながら学習調べて納得 ずかん ハチ / 監修:松本吏樹郎, 写真・イラスト:COCO

ハチ (ずかん)

スズメバチってかっこいい! 黄色と黒の危ない配色、そしてあの何とも言えないシャープな体。不気味な羽音でやってきて、猛毒の針で一突き。ミツバチって可愛い!丸っこい体にふわふわの黄色い体。キュートに飛んできて、花粉をもふもふ。しかも刺したら死んでしまう儚い命。そんなハチの魅力にぐーっと迫る! 美しい写真と可愛いイラストが満載で見応え満点。マニアックなハチの知られざる世界から、メジャーなハチの楽しい秘話まで、楽しさ満載の1冊です。

ハチである。オレにとってハチといえば平田隆夫とセルスターズフォークソング『ハチのムサシは死んだのさ』、ハチが飛ぶ童謡『ぶんぶんぶん』、タツノコプロアニメ『みなしごハッチ』、そして仮面ライダー怪人「怪異!ハチ女」である。ちょっと教養のあるところを見せるとロシアの作曲家リムスキー=コルサコフが作曲した『くまんばちの飛行』なども挙げてもいいのである。このように幼少の頃からハチに慣れ親しんできたオレではあるが、実際のハチともなると蜂蜜をとるミツバチとかでっかいクマンバチとかおっかないスズメバチぐらいしか知らないのである。

ううむ、「真赤に燃えてるお日様に試合をいどんで負けた」あのハチは、「あさつゆきらきらのばらがゆれる」あのハチは、「母さんほしかろ恋しかろ」のあのハチは、実際はいったいどれだけの種類がありどのような生態をしているのであろうか。そう思っていたオレに1冊の本が紹介されたのである。『見ながら学習調べてなっとく ずかん ハチ』。おおこれはタイトル通り見ながら学習し調べて納得できる大変素晴らしい図鑑のようではないか。しかもそれだけではない。なんと『今日の早川さん』、『異形たちによると世界は…』でお馴染み、鋭敏な感性と絶妙のテクニックを持つ気鋭のコミックライターCOCOさんがイラストと写真を手掛けているというではないか!?すなわちこの『見ながら学習調べてなっとく ずかん ハチ』、楽しくハチの生態を学べるだけではなく、COCOさんの美しくキュートな最新のイラストを堪能することもできるという、まさに一挙両得な書物であるのである。これは買うしかないだろ…。

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★『ずかん ハチ』のココを見てほしい★

・美しいカラー写真が満載! 眺めるだけでも楽しめる

・コミカルなイラストで、内容がすごくわかりやすい

・メジャーなハチから、マイナーのハチまで。マニアックで圧倒的な内容

・社会性の進化や巣の構造なども解説。「観察&考察」する力が身につく

・ハチと人間の関係なども網羅。調べ学習にも最適

さて何も知らなかったハチについてあれこれ読んでびっくりしたのは「意外とこいつら肉食なんだぜ…」ということである。ミツバチのイメージしか持っていなかったから「ハチってみんな花粉とか蜜とか集めてるのか?」とばかり思っていたけれど、実はそうではないのである。しかも「獲物を麻酔して貯蔵する」ハチの種類が結構いるらしいのである。さらに別の昆虫の幼虫などに卵を産んで寄生させるハチなどもいるのである。おおおう…ひょっとして映画『エイリアン』の原型ってハチだったんじゃないのか…そういえば女王蜂みたいなクイーンエイリアンっちゅうのもいたしな…と思えるぐらい、ハチは結構狡猾かつオソロシイ部分も持つ昆虫なのである。ただ刺すのがコワイ、というだけではないのである。しかしそういうハチがまたCOOLなのである。

そんなことを思いつつおそるおそるクマバチのページも読んでみたのである。クマバチっていうぐらいだからやっぱり熊並のオソロシイ爪や強靭な肉体や生命力を持っているのだろうか…春先には民家に降りてきて人々を襲うのだろうか…そんなことを思いつつ読み始めたのである。クマバチはブンブンいいながらホバリングするのが特徴だが、あれにはどのような驚愕の秘密が隠されているのだろうか…と思い説明を読んでみたのである。するとあれは単に通りかかるメスを待っているだけらしいのである。しかも、動くものを見ると、なんだか分かんないけどとりあえず確認の為に寄ってくるらしいのである。クマバチ…お前、以外とアホやろ…。

そんなこんなで、今まで知ることの無かった様々なハチの生態が大変分かり易く楽しく読むことのできる『見ながら学習調べてなっとく ずかん ハチ』、夏休みはまだ先だけれど、お子さんのいる方などはこの本を片手に野山へハチの生態を観察する為に出掛けられてもいいだろうし、庭で見かけるあのハチはいったいどんなハチなのだろうか…とちょっと調べたりもできる、画期的な書物であることは間違いない。ハチの世界は広大かつ深遠なのである。

ハチ (ずかん)

ハチ (ずかん)

今日の早川さん

今日の早川さん

今日の早川さん 2

今日の早川さん 2

今日の早川さん3

今日の早川さん3

異形たちによると世界は…

異形たちによると世界は…

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20140502(Fri)

[]【ブログ10周年記念企画】しょーもないブログを10年書き続けたオレが明かす、誰にも何の役にも立たない9つのブログ作法! 【ブログ10周年記念企画】しょーもないブログを10年書き続けたオレが明かす、誰にも何の役にも立たない9つのブログ作法!を含むブックマーク 【ブログ10周年記念企画】しょーもないブログを10年書き続けたオレが明かす、誰にも何の役にも立たない9つのブログ作法!のブックマークコメント

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どーも。この間、益体も無いブログをダラダラ続けてたらなんと10年になっちゃったよ!びっくりしたなあもう!と鬼瓦権蔵状態(知ってる人いるのか?)になっていたフモでございます。「石の上にも三年」なんてェことわざがありますが、これが10年だと「十年選手」だの「十年一日」だの、「10年やってもなんにも変わんねーヤツだなこの老害!」という意味の、あんまりいい風に取られない年数になってしまうんですな。全く寂しい限りでございます。

さて本日は、この弱小ブログの10周年記念といたしまして、『しょーもないブログを10年書き続けたオレが明かす、誰にも何の役にも立たない9つのブログ作法!』をお送りしたいと思います。この10年、ブログ主であるオレはどんなやり方で、どんなことを考えながらブログを書き続けてきたのか?というお話なんですが、10年続けてもこの程度のブログですから、これを読んだからといってたちまち人気ブログになってPV・ブクマが急上昇!出版依頼、講演依頼、アフィもガッポガッポで高級車高級マンション即購入!おまけにデブでブサメンの俺が美人の彼女をゲットしましたがなにか?とかいう具合には間違ってもなりませんのでご注意されて下さい。あくまで「誰にも何の役にも立たない」ブログ作法ですからね!

あと、どこぞのブログサービスで流行ってるみたいに「9つの作法」なんてタイトルでぶち上げちゃいましたが、最初「10の」で書きたかったんだけど9つしか思いつかんかった…。このなにげに中途半端な数がオレらしいですね…。しかもこれですら無理やりひねり出した、というか捏造しただけなので、「これとこれ被ってなくね?」「これって作法って言わなくね?」「それぞれで矛盾したこと言ってんだけど?」等、指摘・苦情がありましても対応しかねますのでそっとしておいてあげてください。だから!やっつけ仕事なんだよッ!というわけでいってみよう!

1.そもそもブログなんか書く必要は無い

まず、なんでブログなんか書かなきゃならないのか?ってことですよね。当然ですが書いてみたかったら書くんでしょう。世や人に表したいことがあってとか、友達を見つけたいとか、アフィでお金儲けたいとか、全宇宙を破壊に導こうとする異次元の邪神がブログを書けと毒電波を送ってくるからだとか。オレの場合は最初、ネットで見つけたバカ記事変な記事を会社の仲間と共有したくて、「じゃあブログの形でネットに上げとくから見てね」ってやってたのが始まりなんですよ。それと、ブログってナニ?と思ってたまたま見ていたはてなダイアリーを弄ってたら登録されちゃったので、んじゃあこのままブログやっちゃおうか?というなし崩しの理由だったですね。そんなですから特にブログで主張したいことも理解してもらいたい事もなかったですね。

ブログ名を「メモリの藻屑、記憶領域のゴミ」としたのは、バカ記事アホ記事載せるブログだから、これは無意味でナンセンスなブログですよ、みんなゴミみたいなもんですよ、という意味でつけたんですよ。その後記事の性格も変わってはきましたが、基本的に自分のブログというのは無意味でナンセンスなものだという気持ちは変わっていません。ブログなんてそんな気負ったり背負ったりして書かなくてもいいじゃないですか。こんなもんなくなったって誰も困りません。もちろん今まで書いた記事が全部消えたら目の前真っ暗になりそうですが、とりあえず誰が書けと言ってるわけでもないものをわざわざ書いてる、別に書かなくてもいいのに書いてる、ブログを書くってことはその程度のものなんだって気概でいいんじゃないですか。

2.ひたすらバカ真面目に書く

ブログをやるならPVを上げたいと誰もが思うでしょうが、それも簡単にはいきません。自分なんてブログの書き始めの頃はPVなんて殆どありませんでしたよ。最初2ケタぐらいから始まって2,3年やってやっと1日300PVぐらいってところでしたでしょうか。それでも年数続けていると徐々にPVは上がって、今は1日だいたい1万PVぐらいですかね。はい嘘です。その10分の1以下です。10年やってこれが多いのか少ないのかは置いといて、アクセス解析で見るとほぼ90%以上検索でヒットして閲覧してくれている方で、自分の日記を常に見に来ている方というわけではありません。

要するに、オレの日記に来る方というのは殆どがたまたま検索でヒットした方です。検索によるPVが多いのは長年ブログを続けてきたので単語数が膨れ上がり、ヒットしやすくなっているからでしょう。あと、これは推測ですが、頻繁に更新している日記の登録単語は検索エンジンに拾われやすくなるんじゃないでしょうか。

つまり、何の才能も無いオレ如きのような者のブログでも、ただただひたすら書いていればいつか人の目に留まる、ということなんですね。留まるだけ、で評価されているというわけではないですけどね。PVの数なんざその程度のものです。ただ、その中で100人に1人位は「割と面白い記事だった」と思ってくれるんじゃないですかね。で、それでいいじゃないですか。

3.セオリーは無視する

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ネットには「こうすればアクセス数が上がる」「こうすればブクマが注目が以下同文」みたいな記事が「たった一つの方法」だの「5つのコツ」だの「10の法則」だのという数字つきで流布してますが、読む必要無いと思いますよ。そもそもなんで他人の思いついたルールなりセオリーに則って文章書かないとアカンのや、と思うわけです。まあ、こういう人の話を聞きたがらないへそ曲がりだからオレは何事も上手くいかないって気もするんですが、気付かなかったことにしよう…。

それと、1つの方法でも5つのコツでもなんでもいいですが、そういう聞きかじりの方法に飛びついてガツガツしないで、自分のブログなんだから好きに書けばいいいんじゃね?と思うわけなんです。

自分は悪文なんだろうなあとは思うんですが、あんまり積極的に治そうとも思ってないんですよ。てにをはが繋がらないのはさすがにまずいからこれは注意していますが、「上手い文章」とか「よく伝わる簡潔で整理された文章」とか結構どうでもいいです。そういう文章っていくらモノスゴイ事書いてたって無味無臭過ぎて決算報告書でも読まされているみたいで味気ないしつまらない。自分の文章に”味気がある”かどうかは別として、なんだかうにょうにょして余計な雑味があったほうが自分っぽくていいんじゃないかと思ってます。これだと誰からも受けいられるものにはなりませんが、別に誰からも受け入れられるものである必要もないじゃないですか。これで十分面白いと思ってくれる人だけ読んでくれればいいんです。

4.書くことが無くても書く

常日頃文章を書く癖の無い人は「書きたい時に暇を見つけて書こう」としますが、習慣がないのだから「書きたい時」も「暇を見つけて」の「暇」も本当は存在しないんです。だから書きたくなくとも暇がなくとも書くんです。とりあえず必ず書くための時間を作るんです。でもそんな自分でもいざ書こうとすると「…書くの面倒臭えなあ…」と、やっぱり思ってるんですね。「この時間があったらディアブロ3でどんだけ経験値稼げるんだよ…」と思うんですね。それでも書くんです!なぜなら書かねばならないから!なんで書かねばならないのかは分かんないけど!でもやるんだよ!…って言ってること意味分かんないですよね。でも書くことが無くても書くということ自体不条理で意味の分かんないことです。ブログを何年も延々続けるっていうのはそういう不条理で意味の分かんないことをし続けるってことなんじゃないですかね。

5.テーマなんてくだらなくていい

ブログを書く上ではどんなテーマで書くのかが一番最初の問題になるのでしょうが、自分の好きなもののことを書くのが一番簡単なんじゃないでしょうか。でも好きなものなんか何もない場合は、自分の嫌いなものを書けばいいじゃないですかね。妬み嫉み恨み、怒りと憎悪も一部のマニアックな方たちに好まれますが、この場合精神衛生上どうなっても知りませんし訳の分かんない奴が寄ってくるし場合によっては悪い霊に取り憑かれることがあるかもしれないので御利益のあるお守りを携帯するのは必須です。オレに10万円ぐらいくれれば適当なのを作りますからご一報ください。

日常的なことを淡々と書くというのもいいですね。この場合写真に頼ると文章を書かなくていいから楽です。淡々と料理写真を載せる。淡々とペットの写真を載せる。淡々と雲の写真を載せる。でも淡々と近所の幼女の写真を載せたり淡々と自傷写真を載せたり淡々と葬式写真を載せるとかいうのは官憲の介入並びに心療内科の診断を勧められますので避けたほうがいいでしょう。あといつも淡々とUFO写真を載せられるようであればそれはそれでビジネスの糸口になるかもしれないのであなたはラッキーです。

自分は、以前は自分の事ばかり書いていました。タイトルは「オレと○○」、自分と何かの関わりについてですね。「オレとタバスコ」「オレとビール」「オレとピザ」そんなのばっかりでしたね。くだらないですね。でもくだらないことでいいんじゃないですか。「そんなもん誰も読まないし興味なんか示さない」と思われるかもしれませんが、少なくともオレは、主語の大きくて大層なことが書かれているようなブログよりも、あくまで私的なことがポツポツと書かれているブログのほうが好きです。散文的なものが好きなんですよ。そして、主義主張論調論考なんかよりも、人間性それ自体に共感したいしされたいと思う。なんかこう、大上段に構えた事なんかしようとせずに、自分らしいことを大事にして、もっとリラックスした内容でいいんじゃないですか。

6.何を書くか考えずに長文で書く

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さていざ時間を作り、テーマまでは決まったとしても、どう書けばいいのか思い浮かばないことがあります。そんな時でもどこにオチ着けるのかも考えずに闇雲に書き始めます。漠然と思ったこと・思っていたことを書き出してそれに尾ひれを付けるんですな。これは「水増し」「粉飾」とも呼びます。なんだか一見関係ありそうでなさそうな、でもやっぱり関係ないことを書いて煙に巻く、という手もあります。

そもそもオレがなんで長文なのかというと「何を書くか決めていないのに書き始めた結果まとまりがなくとりとめもないダラダラした文章になる」、ただこれだけです。書きながら考えて、書きながらまとめているんですよ。だから最後まで書いてやっと「ああ、これってこういう結論になるのか!?」と自分で気付いてびっくりするぐらいです。全くなんじゃそりゃ、って感じですよね。結論が分かったんだからダラダラした分を削って簡潔にしたらいいのかもしれませんが、それだとそれまで書いた文章が勿体ないので、あえて削らないんです。だってせっかく時間かけて書いたんだもん!

7.でも楽しんで書く

なんだか荒行じみたことばかり書いていますが、実はブログ書くのって、これはこれで楽しいんですよ。確かに書き始めるまでは「ああメンドクセエ…」とか言いながら嫌々始めるんですが、書き始めてみると結構のってくるもんなんですね。これは掃除みたいな家事を始める前は面倒に思ってるけど、いざ始めるととことんやってしまうのと似ていますね。人間の脳ってそういうふうに出来てるらしいですよ。自分はなにしろ最初から文章が頭に出来上がった形ではなく、ああでもないこうでもない…と無い頭をひねって書いているのですが、この「ああでもないこうでもない」と考えてるとき、もやもやとした印象でしかないものを、きちんと筋道の立った文章の形にする、という行為をしている時がとても楽しいのですよ。ネタを考えてるときだって、やっぱり楽しいんですよね。

それと年寄りになってきた自分にとって、しょーもなかろうがなんだろうがなにがしかの文章を書き続けるというのは、怠惰な毎日にたまさか頭を働かさせるトレーニングと、合わせてボケ防止になっていいのではないかと、斯様に思うとるわけですね。自分なんて、自分で書いてても時々訳の分かんない文章書いてますから、これを後で読み返してちゃんと添削する、これでなんとかぎりぎり筋道の立てられる頭の働きを保つ、そんな部分で効果があるのではないかと。

8.飽きたら適当に止める

しかしダラダラ考えて書いてそれでも結論が付かない時は、たとえまとまってなくとも適当な所で切り上げます。それっぽいオチをつけたり胡麻化したりしてお茶を濁す、というのが常套手段です。他に文章の途中で唐突に「ん、誰だこんな時間に…ああこれは!うああああああ!」とか書いていきなりぶち切るという手もあります。まあこの辺はほぼ冗談ですが、1つの記事を時間を掛けて納得できるまで書くというのも正しい事なんですが、まあ自分の能力だとこの辺が限界だろ…と見切りをつけることも肝心です。限界を突き抜けて書けばきっと凄いブログになるのかもしれませんが、毎日それやってると疲れますし疲れると「もういいや…」と燃え尽きます。それに時間が無いことを理由にしておけば「自分はまだ本気出してないだけだ」と自分に対する言い訳にもなります。一石二鳥ですね(どこがだ)!

今回のこの記事も自分で書いてて長くて飽きてきました。飽きてきたからカピバラの写真でも貼ろう。

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いやあ、カピバラ可愛いなあ。

9.記事なんてたった一人の人に届けばそれでいい

記事を書く上には沢山の人に読まれたい、いろんな人に読まれたい、と思うかもしれませんが、ネットの向こうにいる人は千差万別です。性別・年齢も違えば、学歴・職業・年収・家族構成も様々ですし、信教・支持政党・贔屓のスポーツチームもあったりなかったりいろいろでしょう。趣味・興味も違うでしょうし性的趣向もSM・フェチ・コスプレ・露出症・幼児プレイと多岐にわたります。国籍が違うこともあるでしょうし、場合によっては人間でもなんでもなくて地底人とかアンドロ星人とか15次元からの使者とかも混じっているかもしれません。それら全ての人に誰でも受け入れられるなんて基本的には不可能です。

もちろん、話題の普遍性や流行性で多くの注目を集めるということはあるでしょう。いわゆる「ウケる記事」の書き方もあるとは思います。でも多くの注目や支持を期待してどの方角にも万遍なく目くばせした文章を書こうとすると、どこかで自分の書きたいこと・書こうとすることの輪郭がぼやけたり八方美人になったり、変に座りのいいだけのお利口な文章になったりすることもあるのです。要するに誰に対して文章を書いているのかってことです。

オレの尊敬する作家、カート・ヴォネガット《創作講座初級篇》の中で「ただ一人の読者を喜ばせるように書くこと。つまり、窓を開け放って世界を愛したりすれば、あなたの物語は肺炎に罹ってしまう」と書いているではないですか。創作小説とブログの文章は性格が違うものですが、「この人に読んでもらいたいな」と具体的でも仮想でもいいから読者を想定して書いたほうが書きやすいということがあるかと思います。読者を想定したほうが何を説明して何を説明しなくていいか取捨選択しやすいですしね。

ただし、こんなこと書きつつオレの場合、「誰も読んでくれなくてもいいもん!」という限りなくいじけた後ろ向きのことを考えて書いているので、何をかいわんや、って感じですけどね!そんないじけた後ろ向きのオレが(はてなダイアリーでいうところの)スターだのブクマだのを一個だけでも付けられると、「ああ…読んでくれた人が一人だけいた…」ともう感無量ですよ。なんといいますか自分のブログが読まれることの期待をどこまでも低く見積もっているオレの、涙なしでは語れない心温まる逸話ですよね…(どこがだ)。また冗談が入っちゃいましたが、記事なんてたった一人の人に届けばそれでいい、その為に毎日時間かけて書く、それがオレのブログの書き方であるのは確かです。

lazy-daisy5113lazy-daisy5113 2014/05/03 01:35 長い!!


10周年おめでとうございます!!!


酒飲みたい。

globalheadglobalhead 2014/05/03 08:00 実はダラダラ10日間ぐらいかけて書いた!途中で本当にメンド臭くなって暫く放置してた!
10周年だったのは2月だったのでその頃からチマチマ書いてたのに結局更新したのは5月だった!

というわけでまた飲みに行きましょう。

kogumariankogumarian 2014/05/03 15:30 10周年おめでとうございます。
自分のはてなにはろくにログインもせず、無言でずっと読んでおります。
もつ焼き屋さんが閉店しちゃったエントリーがなんだかしみじみ風景が浮かんできて好きでした。

globalheadglobalhead 2014/05/05 14:56 ありがとうございます。
まあ実際は止め時も見つからずだらだらと惰性でやってきただけのブログなもんですから、そんなたいしたことではないんですが…。だから今回は、こんなものを10年も続けてきた、という自嘲交じりの記事なんですけどね。それでもたまに面白い記事があったなら幸いであります。
ちょっと出掛けてたもんですからお返事書くの遅くなって申し訳ありませんでした。

HeadacheHeadache 2014/05/07 21:10 おめでとうございます。ていうことは知りあって10年ぐらいなんだろうかい?あたし今いくつだっけ。

globalheadglobalhead 2014/05/08 09:02 6、7年になるんですかねえ。考えてみるとヘデクさんとも長いんだなあ。ヘデクさんのお年は謎ということでよろしいのではないかと。

20140501(Thu)

[]最近聴いたエレクトロニック・ミュージック / Mike Dehnert、Not Waving、Chris Tietjen、Atom Tm & Marc Behrens、Tobias、Efdemin、Garnier、Mum 最近聴いたエレクトロニック・ミュージック / Mike Dehnert、Not Waving、Chris Tietjen、Atom Tm & Marc Behrens、Tobias、Efdemin、Garnier、Mumを含むブックマーク 最近聴いたエレクトロニック・ミュージック / Mike Dehnert、Not Waving、Chris Tietjen、Atom Tm & Marc Behrens、Tobias、Efdemin、Garnier、Mumのブックマークコメント

◆Lichtbedingt / Mike Dehnert

Lichtbedingt

Lichtbedingt

オランダの名門アンダーグラウンド・レーベルDelsinからリリースされた、ベルリン・アンダーグラウンド・シーンで大活躍するミニマリストMike Dehnertのニュー・アルバム。《試聴》

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◆Human Capabilities / Not Waving

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Kompaktのデュオ、Wallsの片割れであるAlessio NataliziaのユニットNot Wavingがリリースした2ndアルバム。もごもごとしたローファイなアンビエント・サウンド。 《試聴》

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◆Neun / Chris Tietjen/V.A.

Neun

Neun

毎年恒例のドイツCocoon Recordingsコンピレーション9作目はレーベルDJ、Chris TietjenによるMix & Unmix。Cocoonらしいフロア向けテック・ハウス。 《試聴》

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◆Bauteile / Atom Tm & Marc Behrens

Bauteile

Bauteile

Atom TMとMarc Behrensによるコラボ・アルバム『Bauteile』。アルバム全1曲70分に渡り、エレクトリック・ミュージック史を振り返る、といったコンセプトのコラージュ・ミュージック。D/Lで探せば1曲扱いで¥200ほどで買えるサイトもある。 《試聴》

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◆A Series Of Shocks / Tobias

A Series Of Shocks

A Series Of Shocks

プロデューサーTobias FreundによるユニットTobiasのセカンド・フルアルバム。美しい抒情も湛えつつ"ダークでロウなテクノアルバム(本人弁)"へと仕上がっている。 《試聴》

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◆Decay / Efdemin

Decay

Decay

ベルリンの気鋭プロデューサー、Efdeminによる3rdアルバム。京都滞在中に製作されたというその音は浮遊感のあるテック/ディープ・ハウス。 《試聴》

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◆A13 / Garnier

A13 [12 inch Analog]

A13 [12 inch Analog]

フレンチ・テクノシーンの皇帝、Laurent Garnierが"Garnier”名でリリースしたアルバムは「The Cloud Making Machine」あたりに通ずるスモーキーなサウンドが並ぶ実験作。 《試聴》

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◆Smilewound / Mum

スマイルウーンド

スマイルウーンド

去年出てた北欧フォークトロニカ、ムームの4年振り、7枚目のアルバム。初期メンバーである双子姉妹の片割れ、ギーザが復帰して回帰的な音となっている。ちなみにこの双子姉妹、ベルセバのアルバム『わたしのなかの悪魔』のジャケ写の女の子たちだって初めて知った。 《試聴》

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