Hatena::ブログ(Diary)

メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

20141128(Fri)

[]オレ的アニメ映画ベストテン オレ的アニメ映画ベストテンを含むブックマーク オレ的アニメ映画ベストテンのブックマークコメント

ワッシュさんの「アニメ映画ベストテン」に参加します。

今回オレの「アニメ映画ベストテン」では、アート・アニメ、ユーロ・アニメを中心に選んでみました。お馴染みの定番作品でもよかったんですが、いい機会なので自分がこれまで観て面白かったアート・アニメ関係をひとまとめにすることで、このジャンルに馴染のない方に多少なりとも関心を持ってもらいたかったんです。まあ実際自分もこのジャンルのアニメを全て観ているわけではなく、また自分の好みからヘルミーナ・ティールロヴァーやイジー・トルンカらチェコ・アニメの巨匠の作品は抜けているんですが、何かの参考にしていただければ嬉しいです。では行ってみよう!

1位:話の話 (監督:ユーリ・ノルシュテイン 1979年ロシア映画)

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ユーロ・アニメーション界で最も重要な存在といえばユーリ・ノルシュテインをおいて他にいないでしょう。そのノルシュテインによる至宝の作品『話の話』は、切り絵をベースとしたアニメであり、暗く色相の低いおぼろな輪郭の映像の中に、詩情豊かで幻想味溢れる世界がしんしんと広がってゆくのです。物語は多層的な構成を成し、様々なイメージが夢のように現れては消え、そして繰り返されてゆきます。それらのイメージは奇妙におぼろで、どこか物寂しく、儚げです。そしてそれら紡ぎ合わされたイメージから伝わってくるのは、戦時下のロシアの悲哀に満ちた空気、失われた幸福の思い出、その切なさなんです。若干難解な作品ではありますが、お芋を食べる二足歩行の子供オオカミや、縄跳びをする牛を眺めているだけでも、なんだかふわっと心が持って行かれてしまうんです。この『話の話』はDVD『ユーリ・ノルシュテイン作品集』に収められている一篇ですが、『霧の中のハリネズミ』なんかも好きだなあ。

ユーリ・ノルシュテイン作品集 [DVD]

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2位:ストリート・オブ・クロコダイル (監督:スティーブン・クエイ、ティモシー・クエイ 1986年アメリカ映画)

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双子の映像作家ブラザーズ・クエイ(スティーブン・クエイ、ティモシー・クエイ)によるストップ・モーション・アニメ『ストリート・オブ・クロコダイル』は、なによりその透徹した退廃性に目を奪われるだろう。永遠の夜の如き闇の中、半ばがらくたとなった人形たちが鬼火のように目を輝かせ、錆だらけのネジがクルクルと踊り、テーブルから湧きだした生肉は芋虫のように這い回る。腐食と腐敗のイメージに満ちた禍々しくもまた妖しい映像は、幻想的であり怪奇趣味的であり、なにより超現実的な世界を形作っているのだ。原作はあるようなのだが、なにしろ物語らしい物語をここから読み取ることは困難で、観る者は目の前で繰り広げられる異様なまでの陰鬱さにひたすら心胆寒からしめるか、あるいはうんざりさせられることだろう。そのどちらであろうとも、観終わった後に、「今観たものはいったいなんだったのだ?」と呆然とさせられているに違いない。

ブラザーズ・クエイ ショート・フィルム・コレクション [DVD]

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3位:サヴァイヴィング・ライフ -夢は第二の人生- (監督:ヤン・シュバンクマイエル 2010年チェコ映画)

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チェコ出身のシュルレアリスト/パペット・アニメ映像作家、ヤン・シュヴァンクマイエルの長編新作映画『サヴァイヴィング・ライフ -夢は第二の人生-』は【夢】をテーマにした奇想奇天烈な物語です。映画は写真切り絵のアニメーションと実写の混合で製作され、例によってシュヴァンクマイエルらしいシュールな映像を堪能することが出来ます。シュヴァンクマイエルは初期のグロテスクなストップモーション・アニメのほうが有名だと思いますが、あえて最新作を選んでみました。  《レヴュー

サヴァイヴィングライフ -夢は第二の人生- [DVD]

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4位:ファンタスティック・プラネット (監督:ルネ・ラルー 1973年フランス/チェコ映画)

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『ファンタスティック・プラネット』はフランスのアニメ作家ルネ・ラルーによるSFアニメ。切絵の手法を使った奇妙な動きのアニメーションと、ロラン・トポール原画による暗く陰鬱でシュールな絵、そしてペシミズム溢れるストーリーでカルト的な人気を誇るアニメーションである。この物語の舞台は惑星イガム。ここに住む巨人族ドラーグ人は、彼等から見れば豆粒ほどの大きさの人類を奴隷とし、迫害していた。しかしある日人間達はドラーグ人に叛旗を翻し…というストーリーなのだが、この映画での人間が、虫けらのように扱われ、嬲り殺されペットにされる様子が凄まじい。 《レヴュー

5位:チェブラーシカ (監督:ロマン・カチャーノフ 1969年ロシア映画)

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南国産オレンジの箱一緒に詰められてやって来た、小熊みたいな、小猿みたいな、不思議な生き物チェブラーシカ。人形アニメ『チェブラーシカ』は、そんなチェブとワニのゲーナ、謎の意地悪婆さんシャパクリャクらが登場し、小さな騒動を通しながら友情の輪を広げてゆく微笑ましい物語です。もこもこした主人公キャラが可愛らしい、というのもありますが、この物語もロシアらしいどこかはかなげな哀感がこもっているんです。そんな部分が、世に多く存在する同工の人形アニメよりも心を惹きつけてやまない部分なのではないかと思います。

チェブラーシカ [DVD]

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6位:アズールとアスマール (監督:ミッシェル・オスロ 2006年フランス映画)

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ヨーロッパのある国で、アラブ人の乳母により育てられた白人少年アズールと乳母の息子であるアラブ人少年アスマール。二人は背格好のよく似た男の子で、肌の色の違いさえなければまるで双子のようだ。成長したアズールは乳母であったアスマールの母からかつて聞かされた妖精の伝説を確かめるために海を渡りアラブの地へと渡る。この作品、どのシーンも神々しいまでに美しい。場面が移り変わるたびに現れる情景の美しさに思わず目を奪われる。イスラム様式の建物、そしてその内装を無限に覆う幾何学的なアラベスク模様の精緻な美観。画面の構成もシンメトリーを多用した非常に様式性の高いもので、どの場面もあたかも絵画のように壮麗だ。いや、絵画というよりも最良の絵本を見せられているようだ。そしてその物語は力強く気高く、輝くような啓示に満ちている。 《レヴュー

アズールとアスマール [Blu-ray]

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7位:アクメッド王子の冒険 (監督:ロッテ・ライニガー 1927年ドイツ映画)

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実ははこれ、非常に古い作品です。今から80年前、1926年にドイツで製作されたもので、これに映像修復と彩色を加え、サウンドをオーケストラにより新録音したことにより現在の形となっています。ネットで見ると「世界初の長編アニメ」は1973年製作の「白雪姫」という情報が多いですが、製作年からいってこの「アクメッド王子の冒険」が実質「世界初の長編アニメ」ということになるでしょう。物語はアラビアンナイトを下敷きにした幻想的な冒険ファンタジー。アラブのとある王国の王子アクメッドが、魔法使いの姦計により見知らぬ国へと飛ばされ、そこで数々の冒険、恋、戦いを繰り広げます。ある意味通俗的過ぎるぐらいの物語ですが、だからこそ逆に”影絵”の美しいフォルムと動きを堪能できるのではないかと思います。 《レヴュー

8位:岸辺のふたり (監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット 2000年イギリス・オランダ映画)

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オランダの短編アニメーション(8分)。2001年アカデミー賞短編アニメーション賞受賞。岸辺の真っ直ぐな真っ直ぐな道を自転車で走りぬけて行く父娘。父は木立の前で自転車を止めると、戸惑う小さな娘を抱きしめ、そして小さなボートに乗ると一人海の彼方へと漕ぎ出し去ってしまう。それから幾年月…。殆どセピア色のみの淡色で描かれるシンプルだが美しい描線、長い影だけがどこまでも続く淋しげな風景、巧みに描かれる四季の移り変わり、そして短い作品時間の中で表現される娘の成長と時間の流れ。音楽は聴けば誰でも思い出すであろう「ドナウ川のさざ波」。奇妙な郷愁と切なさに満ちた珠玉作。 《レヴュー

9位:ほら男爵の冒険 (監督:カレル・ゼマン 1961年チェコ映画)

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チェコスロバキアを代表するアニメ作家、カレル・ゼマンの冒険ファンタジー。この作品はタイトル通り誰もが知るあの「ほら男爵の冒険」を描いたもの。ゼマンの作品はアートを目指したものではなく、ジョルジュ・メリエス譲りの奇想天外な映像の喜びを追及したものです。そういった意味ではまさに娯楽映画なんです。この『ほら男爵の冒険』でも実写とアニメを合成しながら摩訶不思議な世界を描きますが、製作された時代もあって特撮や合成が相当ローテクなのにもかかわらず、遊び心が豊かであり、そして今観るとキッチュなレトロさを感じさせるんですね。ゼマン自身、本物っぽい特撮よりも、あえて紙芝居みたいな合成を選んで製作しているように思います。この素朴な絵作りがとても伸び伸びしていて楽しいんですよ。

10位:クレオパトラ (監督:手塚治虫/山本暎一 1970年日本映画)

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10位は日本のアニメを。この『クレオパトラ』は手塚治虫が原案・構成・監督を務め虫プロにより「大人向けのアニメ」として製作されたもので、そのせいか適度にエロティックである。物語は故国エジプトを守るためにクレオパトラがシーザー、アントニウスの暗殺を託される、といったもので、さらにSF的な要素も加味されている。ただし要所要所に手塚らしい悪ノリしまくったおふざけが入り、ある意味怪作かもしれない。実は子供の頃にTVで観て、いつも観ている子供向けのアニメとは違うただならぬ雰囲気を感じ、非常に心に残っていた。それは歴史に翻弄される一人の女を描いた、この物語の無常感からだろう。由紀さおりの歌う主題歌も忘れられなかった。

…というわけで、ワッシュさん集計よろしく!

1位:話の話 (監督:ユーリ・ノルシュテイン 1979年ロシア映画)

2位:ストリート・オブ・クロコダイル (監督:ブラザース・クエイ 1983〜1988年アメリカ映画)

3位:サヴァイヴィング・ライフ -夢は第二の人生-(監督:ヤン・シュバンクマイエル 2010年チェコ映画)

4位:ファンタスティック・プラネット (監督:ルネ・ラルー 1973年フランス/チェコ映画)

5位:チェブラーシカ (監督:ロマン・カチャーノフ 1969年ロシア映画)

6位:アズールとアスマール (監督:ミッシェル・オスロ 2006年フランス映画)

7位:アクメッド王子の冒険 (監督:ロッテ・ライニガー 1927年ドイツ映画)

8位:岸辺のふたり (監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット 2000年イギリス・オランダ映画)

9位:ほら男爵の冒険 (監督:カレル・ゼマン 1961年チェコ映画)

10位:クレオパトラ(監督:手塚治虫/山本暎一 1970年日本映画)

20141127(Thu)

[][]ワンちゃんたちが活躍するディズニー提携のインド産CGアニメ〜映画『Roadside Romeo』 ワンちゃんたちが活躍するディズニー提携のインド産CGアニメ〜映画『Roadside Romeo』を含むブックマーク ワンちゃんたちが活躍するディズニー提携のインド産CGアニメ〜映画『Roadside Romeo』のブックマークコメント

■Roadside Romeo (監督:ジュガル・ハンスラージ 2008年インド・アメリカ映画)

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ロミオという名のワンちゃんが恋と冒険を繰り広げちゃう、という2008年に製作されたインドのCGアニメです。そしてこのアニメ、ディズニーとの提携で制作されているんですね。また、主人公ロミオの声をサイフ・アリー・カーンが、ヒロイン犬ライラーの声をカリーナ―・カプールが担当しています。

主人公ロミオは悠々自適の飼い犬生活を送っていましたが、飼い主に捨てられ野良犬となってしまいました。そんな彼はムンバイの町で出会った4匹のチンピラ犬と意気投合、犬用のヘアサロンを開くことで大成功を収めます。そこへやってきたのがマフィアのチャイヌー、地元を仕切るマフィア・ボス、チャーリー・アンナの手下である彼は、ショバ代を強請りにきたのです。そんなことも知らないロミオはチャイヌーを追い帰しますが、チャーリーの恐ろしさを知る仲間たちは戦々恐々。そんなある日ロミオは歌姫である犬のライラーと知り合い、彼女にぞっこんとなります。しかし、マフィアのボス・チャーリーもまた、ライラーのことがお気に入りだったのです。

登場するのが基本的にワンちゃんばかり、というワンちゃんムービーです。その他は猫とネズミが一匹づつ出てくるぐらい、あと人間もちょっとだけ出てくるかな。動物たちが中心となって活躍するCGアニメというと『ハッピー・フィート』や『マダガスカル』など沢山ありますが、ワンちゃんが主人公というと『ボルト』という秀作を思いだしますね。この『Roadside Romeo』でもCGのワンちゃんたちが様々なドラマを展開してゆきますが、面白かったのは、ワンちゃんが主人公の、特にインドである必然性のない物語なのにもかかわらず、観ていると随所にインド映画らしさが滲み出ている部分でしょうか。

まず楽しい歌と踊りの入る部分はそのまんまインド映画ですし、舞台となる町並みもインドらしいごちゃごちゃした汚い佇まいで、その町には『Dhoom2』のポスターが貼ってあったり、おまけに『DDLJ』ネタまで飛び出す始末。しかしそういった見た目だけではなく、物語の展開にインド映画っぽさがあるんです。主人公が前向きな性格で、起業して成功したり、仲間とわいわいがやがやしながら友情を育んだり、グラマラスな美女に一目惚れして、その美女と意外と簡単に付き合えたり、悪いヤツと渡り合うときも腕力ではなく口八丁手八丁で煙に巻いたり、嘘ついたせいで追いつめられたりと、インド映画らしいテイストが見え隠れしているんですよ。見る人が見ると、ワンちゃんの仕草ひとつにもインド人ぽいところがあるのだとか。そういう部分で楽しめましたね。

ところでこの間インドの3DCGアニメ『コーチャダイヤーン』のレビューの時に「インド初のCGムービー!」なんて書きましたが、調べたところによるとインド初3DCGアニメとなるのは『Alibaba』(2002年)という映画が最初っぽいんですよねえ(どんなのかというとここで観ることができます)。まだ他にあるかもしれませんがとりあえず訂正しておきます。この『Roadside Romeo』は2008年製作のCGアニメとなりますが、ディズニー提携のせいか、2014年製作の『コーチャーダイヤーン』よりもグレードの高いグラフィックに見えますね。観ていて自然なんですよ。もちろん実写的な『コーチャーダイヤーン』とカートゥーン的な『Roadside Romeo』ではCGに求められる精度が違いますが、アニメの動きもこちらのほうがいいんじゃないかなあ。ピクサーやドリーム・ワークスの最新作と比べたら確かに見劣りもしますが、CGアニメとしては十分の出来具合だと感じました。

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20141126(Wed)

[]未だ誰も観たことの無い孫悟空の物語〜映画『西遊記 はじまりのはじまり』 未だ誰も観たことの無い孫悟空の物語〜映画『西遊記 はじまりのはじまり』を含むブックマーク 未だ誰も観たことの無い孫悟空の物語〜映画『西遊記 はじまりのはじまり』のブックマークコメント

■西遊記 はじまりのはじまり (監督:チャウ・シンチー 2013年中国映画)

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クリストファー・ノーランの新作はどうも観る気が起きないのだが、チャウ・シンチーの新作と聞くとこれは観なきゃマズイだろ、と思ってしまうオレである。だって『少林サッカー』で『カンフーハッスル』の監督だぜ?『ミラクル7号』から6年振りの監督作だぜ?途中『ドラゴンボール EVOLUTION』の製作なんかもやってあれこれ鬱憤溜まってるだろうから、きっとそれが大爆発した映画になってるぜ?予告編観たら既に相当ハチャメチャだったぜ?

物語はもちろん誰もが知るあの『西遊記』である。だがチャウ・シンチーの『西遊記 はじまりのはじまり』は、かの物語を未だ誰も見たことの無い西遊記として再構成しているのだ。誰もが知っているからこそ弄り甲斐があるということなのだろう。この『はじまりのはじまり』はとある水辺の村を妖怪が襲い、それを「妖怪ハンター三蔵法師(ウェン・ジャン)が調伏するために訪れる所から始まる。

天竺へ経典を求めて旅に出るあの三蔵法師が「妖怪ハンター」である、という部分がまず面白い。その三蔵法師がどう孫悟空や沙悟浄・猪八戒らと出会い、旅を決意するのかまでを描くのがこの物語となるのだ。だからお話は三蔵法師中心で、肝心の孫悟空がなかなか現れない。その孫悟空とどういった形で出会うのか?という興味がこの物語を引っ張ってゆくことになるのだ。

冒頭の舞台となる水辺の村がオールセットになっていて、そのセットを縦横無尽に使いトリッキーなアクションを見せる所からまず楽しませる。現れる水妖はこれが大変恐ろしい姿をしていて、しかも思う存分殺戮を繰り広げる、といった部分にも驚かされる。だってまず女子供から血祭りなんだよ!「孫悟空のお話だから面白そうだね!」と観に行った家族連れを凍り付かせちゃうかもね!PG-12だからそんなにエゲツなくないけどね!

そしてそこで三蔵法師は女妖怪ハンター・段(スー・チー)と知り合い、あろうことか彼女は三蔵法師にぞっこんになっちゃうんだ!でも三蔵法師はこれを頑なに避けるんだね!そして物語は、女妖怪ハンター・段が三蔵法師をなんとかして振り向かせようとあの手この手に打って出るという、ラブコメ展開が中心となるんだよ。西遊記なのにラブコメ!という部分が実に面白いね。段を演じるスー・チーさんのエキゾチックな美貌も魅力たっぷりだ!

この後物語は怪しげな妖怪ハンターたちがぞろぞろ現れて、その奇抜な超能力を見せるんだ。物語に現れる妖怪よりも妖怪ハンターのほうが多いぐらいだよ!彼ら妖怪ハンターの能力も物語後半まで小出しになっていて、その真の力の程は最後までのお楽しみになっている。舞台も岩蔵の中にある豪華で不気味な料理処や、妖怪ハンター戦車なんかが登場し、またもや楽しい美術を見せるんだね。

そしていよいよ孫悟空を探しに険しく奥深い山の中に分け入る三蔵法師なんだが、そこで出会った孫悟空は…なんと小汚いおっさん!おまけにハゲ!これのどこが孫悟空なんだよ!?今まで作られた西遊記の物語の中でも最も貧相な孫悟空なんじゃないかなこれ!?意外性あり過ぎ・奇をてらい過ぎだよ!?…などと観客を大いにドン引きさせてからの怒涛のクライマックス展開が楽しいんだからここでメゲちゃだめだよ!

とまあアクション・特撮はチャウ・シンチー印の安定の派手さとハチャメチャぶりを見せ、おまけに物語はとことん意外性で引っ張ってゆくこの『西遊記 はじまりのはじまり』、徹底して娯楽性を追及した良作だったな!しかもなんと歌と踊りまで登場し、暴力警官ならぬ暴力猿が地球の重力無視して暴れまわるっていうんだからなんかもうインド映画みたいだったね!というかそもそも三蔵法師はインドを目指すんだからインド映画ぽくなって当然なんだよ!という重度の「インド映画脳」と化したオレにも相当楽しめる作品でした!

参考:「GOLDEN ASIA」に期待すること / インド映画通信

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20141125(Tue)

[]文フリ終了 文フリ終了を含むブックマーク 文フリ終了のブックマークコメント

昨日開催された文フリはつつがなく終了、オレが参加した同人誌『ブートレグ カタログ』はメデタク完売、購入して下さった皆さんどうもありがとうございました。それにしてもオレ、売り子手伝ってましたが「皇帝とか言ってるくせに借りてきた猫のようだった」という状態であんまり役に立ってなかったような気が…。

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[]購入コミック覚書 購入コミック覚書を含むブックマーク 購入コミック覚書のブックマークコメント

■監獄学園(15) / 平本アキラ

監獄学園(15) (ヤンマガKCスペシャル)

監獄学園(15) (ヤンマガKCスペシャル)

東京都郊外にある私立八光(はちみつ)学園は由緒正しい全寮制の女子高・・・・だった。本年度から理事長交代によって教育方針が変わり、男子が入学することになったのだが、入ってきたのは主人公の藤野清志他、たったの5人。女子1000人に対して圧倒的少数の男子どもを待ち受けるのは、はたして天国か地獄か。男共の下心がうずきまくる仰天ハイスクールコメディ始業!!

男子高校生の煩悩と妄想を、下品極まりないストーリーと無駄に巧いグラフィックで描きまくった『監獄学園』第15巻。今回は妄想が妄想を呼びなんだか訳が判らなくなってしまっている主人公が楽しいです。

■エリア51(9) / 久正人

エリア51  9 (BUNCH COMICS)

エリア51 9 (BUNCH COMICS)

真鯉探偵事務所に突如出現したサンジェルマン伯爵は、吸血鬼ベベに襲われるマッコイを助け「3時10分に気をつけろ」と言い残し消える。この言葉の真意は??

時間を操る男・サンジェルマン伯爵がサトリの妖怪少女・ネモリの命を狙う訳は?どうやら新章突入っぽい『エリア51』第9巻。今回はあんまり壮大にならないぐらいのシンプルな話運びになりそう。

いとしのムーコ(6) / みずしな孝之

いとしのムーコ(6) (イブニングKC)

いとしのムーコ(6) (イブニングKC)

毎年恒例の初夢から始まる第6巻はだーいすきなこまつさんと雪に囲まれて幸せいっぱいのムーコがソリにチャレンジしたり、ティッシュと格闘したり、梅雨空でのニューアイテムでおしゃれに変身したりと大活躍。そしてムーコがキューピッド!? うしこうさんの恋にも(ほんのわずか)進展が…。今巻もおなじみのムーコご自慢「おはなつやつや仕様」カバーが目印!ラブリーな愛犬とのほっこりワールド全開でお送りですよ!

相変わらず天真爛漫でちょいとおバカなムーコのはしゃぐ姿が愛くるしい『いとしのムーコ』第6巻。毎号季節がくるくると移り変わりますが、変わらず幸せそうなムーコとこまつさんの姿に和ませられます。

20141121(Fri)

[][]11月24日開催の文学フリマ出展の映画評同人誌『Bootleg』にこのオレも参加します 11月24日開催の文学フリマ出展の映画評同人誌『Bootleg』にこのオレも参加しますを含むブックマーク 11月24日開催の文学フリマ出展の映画評同人誌『Bootleg』にこのオレも参加しますのブックマークコメント

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◆映画評同人誌【Bootleg】に参加だよッ!

11月24日に開催される「文学フリーマーケット」に出展の映画評同人誌【Bootleg】に、このオレも幾つか文章を書きましたので、ここでその紹介をしたいと思います。

◆【Bootleg】ってナニ?

人気映画ブログ「ゾンビ、カンフー、ロックンロール」管理人として鋭くもまたヤンチャ極まりない映画評を書くヒゲメガネ(ちょいメタボ)こと侍功夫氏が主宰する映画評同人誌です。2010年から今回まで7巻の同人誌を発行しています(オレが調べた限りでは…。まだあるの?)。また、Tシャツブランド「Bootleg Wear」も立ち上げています。

◎映画評同人誌「Bootleg」の歩み

・『Bootleg Vol.0』 (2009年)

『Bootleg vol.1 DYNAMITE』 (2010年)

『Tシャツブランド「Bootleg Wear」』 発足 (2010年)

『Bootleg vol.2 LOVE STORY』 (2010年)

『Bootleg vol.3 Noir』 (2011年)

『Bootleg Basic』 (2012年)

『Bootleg ALONE』 (2012年)

『Bootleg CATALOG』 (2014年)

◆【Bootleg】ってどこがスゴイの?

なんといっても各界のプロを集めた豪華執筆陣でしょう!今回の『Bootleg CATALOG』だけでもこれだけの方が執筆しております。(敬称略にさせていただきます)

古澤健…映画監督・脚本家。この11月に公開された武井咲主演の映画『クローバー』をはじめ、ホラーサスペンス『オトシモノ』『アナザー Another』、ロマンチック・コメディ『今日、恋をはじめます』等数々の傑作を監督しています。

深町秋生…小説家。第三回「このミステリーがすごい!大賞」大賞受賞者。最新作は『ジャックナイフ・ガール 桐崎マヤの疾走』。映画化作『果てしなき渇き』(累計50万部)『アウトバーン』シリーズ(累計40万部)等傑作多数。

速水健朗…フリーランス編集者・ライター。『タイアップの歌謡史』『自分探しが止まらない』『ケータイ小説的。―“再ヤンキー化”時代の少女たち』などの著作があります。ブログ「【A面】犬にかぶらせろ!」管理人でもあります。

とみさわ昭仁…ライター、シナリオライター、ゲームデザイナー(なんと「ポケットモンスターシリーズ」にも参加)。神保町の特殊古書店「マニタ書房」店主。さらに「蒐集原人」「日本一ブックオフに通う男」の異名も持ちます。

真魚八重子…映画ライター。数々の映画解説をはじめ、映画評論誌「別冊映画秘宝」「映画秘宝EX」に多数寄稿。11月16日に初の単著『映画系女子が行く!』をリリース。

ナマニク…ホラー映画ライター。トラッシュ・カルチャー雑誌『TRASH-UP!!』に寄稿。ホラー映画のレビューしかしないブログ「ナマニクさんの暇潰し」主催。「けろみんのブログ」では超絶テクのイラストも披露。

破壊屋…ネタ系映画ブログ「破壊屋ブログ」管理人。読者投票によるランキング「この映画はいったい誰が観に行くんだ!?大賞」をまとめた「誰映画」の企画も毎年好評です。

永岡ひとみ…ブログ「とかくめも」主催。毎回『Bootleg』に素敵なイラストを描いていらっしゃいます。

羽赤美菜…なんと覆面です。

功夫…泣く子も黙る編集長です。

(あ…執筆者の皆様、どっか間違ってたらゴメンナサイ…)

こんなそうそうたるメンバーに仲間入りして文章書くことになったオレなんですが、…いやあ、オレでいいのかなあ…このメンツで唯一「自慢できる!」と思える取り柄といったら、今まで食ったピザの枚数ぐらいなんですけどね。あ、あとフィギュアに100万つぎ込んだことがあるってのがあるかな!

◆今回の【Bootleg】はどんな企画?

毎回様々なテーマで紙面を賑わしている【Bootleg】ですが、今回はどんなテーマなのでしょう?【Bootleg】ブログから抜粋してみましょう。

今回のブートレグのテーマは「カタログ」です。

まぁ、今までだって色々な映画を取り上げていたワケですが、今回は特に「あまり陽の目を見ない作品を取り上げる」という基準での「カタログ」を作りました。

なので、タイトルを出したところで「……それどんな映画?」とか「……あー、知ってはいるけど見てはない。どうなの?」とか、文頭に「……」が必ず付くような作品ばっかり取り上げてます。映画じゃないのまである。それら全部に保障付き印鑑をポンと押したのが今回の「カタログ」です。

「Bootleg CATALOG」完成! ……すると思う!

◆で、ここのブログ主は何書いてんの?

《にわかインド映画ファン》として最近あちこちで顰蹙を買っているこのオレが、にわかの半可通な知識を総動員して書いたはた迷惑な「インド特撮TVドラマ事情」です。扱ったTVドラマは『アーリャマーン』と『シャクティマーン』。『シャクティマーン』なんて字幕無しヒンディー語のみのDVD観て内容よく分かんないままもっともらしいことを書いてます!いろんな意味で見ものだね!しかもそれぞれ3000字も書いちゃったよ!準備期間3ヶ月!2本書くのにまる2日かかったよ!オレって暇なの?

なおペンネームはツイッターのアカウント名である「暗黒皇帝」を使ってます。いやあ恥ずかしいペンネームだな!でも編集長の侍功夫氏には「今回イチオシコラムになってます!」って言ってもらっちゃった!後がコワイよ!他にもインド映画の短めのコラムを2つ書いてます。

◆なんかくれよ。

先着で缶バッチが貰えるよ!

プレゼントもあるよ!

文学フリマ当日にお買い上げいただいた方には先着でプレゼントを用意しました。缶バッジになります。

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11月24日(月・祝)東京流通センター「文学フリマ」でBootleg新刊発売!

さらに【Bootleg】10冊以上ご購入の方には『暗黒皇帝握手券』をプレゼント!暗黒皇帝と握手したい方には嬉しい企画!おっと一丁前にAKB商法並だね!(注:もちろんそんなものは無い)

◆ってか、どこ行けばいいの?

会場はこちらになります。

第十九回文学フリマ開催情報

開催日:2014年11月24日(月祝)

開催時間:11:00〜17:00

会場:東京流通センター 第二展示場

〒143-0006 東京都大田区平和島6-1-1

TEL:03-3767-2111(代表)

アクセス:車、バス / 電車※東京モノレール「流通センター駅」徒歩1分

ブースは「か-01」。会場2階に上がって入口正面のブースになるそうです。並びにはとみさわ昭仁さん新刊も出る「蒐集原人」ブースや映画評ブースが並んでいるとのこと。

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◆とりあえず酒飲みたい

打ち上げの予定もありますので、誰でも参加OKということですから是非いらしてください。参加したい方は↓のTwipiaでご登録を。来ていただいた方にはもれなく侍功夫氏のヒゲを引っ張らせてあげます。「映画の話はいいからとりあえず酒飲ませろ」という方も大歓迎。お店の予約がありますので早めに教えてね!

映画系文学フリマ参加者オフ会兼打ち上げ

http://twipla.jp/events/119684

◆暗黒皇帝が本当にハゲかどうか確かめたい

当日はオレも【Bootleg】ブースで1時ぐらいから店子をしている予定です。暗黒皇帝ファン、このブログのファンで一度このオレに会ってみたい、前々から運命を感じていた、お前の毒電波のせいで夜も眠れない、前々から言いたいことがある、などと思っている方がいらっしゃったら「皇帝とかぬかしてるヤツってどれ?」とかおっしゃっていただけると、「苦しゅうない」という返事が返ってくると思います。さらにこの日オレを見に来たら「あのおっさん、暗黒皇帝のアイコンみたいに本当に禿げてるのか?」ということも確認できるよ!これは楽しみだね!え、見たくもない?…うーん…。

というわけで当日はよろしくお願いします。いいですか、ブースは「か-01」「か-01」「か-01」…。

20141120(Thu)

[]今度の『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』は『エリジウム』だったッ!? 今度の『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』は『エリジウム』だったッ!?を含むブックマーク 今度の『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』は『エリジウム』だったッ!?のブックマークコメント

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「発売されたら必ずギネス級の売り上げを記録する」というミリタリーFPSゲームコール オブ デューティ』の最新作が発売になっちゃいました。今度のタイトルは『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア(CoDAW)』、新シリーズ開始ってことみたいですね。FPSゲーム好き(ただし相当ヌルい)のオレも毎回新作が出るたびに律儀に購入しているクチですが、今回も早速買ってプレイしております。

今度の『CoDAW』の舞台となるのは2054年、なんと40年後の近未来。『CoD』シリーズは『モダン・ウォーフェア』あたりから近未来志向が強まってますが、この『CoDAW』ともなるともうSF世界に片足突っ込んでます。というか、もうSFってことでいいんじゃないかなこれ?やってることは撃ち合い殺し合いの戦争なんですが、なにしろ出てくる兵器がスゴイ。光学迷彩は当たり前、多脚戦車、ホバーバイク、レーザーガン、雲霞の如く襲いかかるドローンなどのハイテク兵器が目白押し、さらにはゲーム『ギアーズ・オブ・ウォー』みたいな重装アーマー兵士まで出てくる始末です。

そして今回の目玉となるのが「EXO」と呼ばれる強化外骨格。これ、映画『エリジウム』で主人公演じるマット・デイモンが体にビス打ちされていたアレと一緒なんですね。『CoD』シリーズの前作『CoD ゴースト』は映画『ゼロ・グラビティ』を思わせるスペース・シャトル崩壊から始まりましたが、今回の『CoDAW』は『エリジウム』だった!というわけなんですよ。さすがにビス打ちはしませんが、この「EXO」の導入によりゲーム内容が結構変わっています。

◎これが「EXO」の機能だッ!?

・アサルトタイプ:ブーストジャンプ(2段ジャンプ)、ソニックス(音響攪乱)

・スペシャリストタイプ:ライオットシールド(シールド展開)、オーバードライブ(加速装置) 

・その他の機能:マググローブ(磁気吸着手袋)、ワイヤーフック、クローク(光学迷彩)

これによりいわゆる「立体機動」が可能になり、戦場を縦横微塵に駆け巡りながら戦いを繰り広げる、というわけなんですよ。EXOはグレードアップ可能で、ステージ・クリアごとにポイントが溜まりそれを振り分けることでグレードアップしてゆくんですね。なんかもう経験値のある『CoD』って感じだなあ。

キャンペーンは傭兵・兵器開発を担う民間軍事会社「アトラス」が中心となる物語です。国家を超えたひとつの巨大企業が世界の平和を担っていたこの時代に、国際テロ組織「KVA」が登場し、世界を恐怖と混乱に陥れます。そのKVAとアトラスとの戦いが描かれるという訳ですが、実はそこに巨大な陰謀が!?という流れなんですね。そして、このアトラスCEOであるジョナサン・アイアンズを演じるのが、ハリウッド俳優・ケヴィン・スペイシーである、という部分が映画ファンには嬉しいんじゃないでしょうか。

↓CGで登場するケヴィン・スペイシーさん

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◎【コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア 字幕版】

コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア [字幕版] - PS4 コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア [字幕版] - PS3 コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア [字幕版] - XboxOne コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア [字幕版] - Xbox360 コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア [字幕版]

◎【コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア 吹き替え版】

コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア [吹き替え版] 【CEROレーティング「Z」】 - PS4 コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア [吹き替え版] 【CEROレーティング「Z」】 - PS3 コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア [吹き替え版] 【CEROレーティング「Z」】 - Xbox360

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20141119(Wed)

[]ルーヴルの亡霊たち / エンキ・ビラル ルーヴルの亡霊たち / エンキ・ビラルを含むブックマーク ルーヴルの亡霊たち / エンキ・ビラルのブックマークコメント

ルーヴルの亡霊たち (ShoPro Books)

ルーヴル美術館コラボコミックプロジェクト第3弾!! 美術品に取り憑いた22の亡霊……圧倒的な画力で綴る死者たちの物語。 パリのルーヴル美術館が、コミックという表現方法を通じて、より幅広く世間にルーヴルの魅力を伝えるため企画した《ルーヴル美術館BD(ベーデー)プロジェクト》。『氷河期』『レヴォリュ美術館の地下』に続く第3弾としてお届けする本作『ルーヴルの亡霊たち』を手がけるのは、独特の退廃美を持ったスタイリッシュなアートワークで、日本でも多くのクリエイターに影響を与えているBD界の奇才エンキ・ビラル。ルーヴルの収蔵作品に取り憑いた22体の亡霊たち……彼らが生前にたどった数奇な運命を、美しいイラストと硬質な文章で描きだします。巻末には作品リスト、美術史家・小池寿子氏による解説を収録。

ルーヴル美術館にさまよう22体の亡霊――。『モンスター』で名高いバンドデシネ界の鬼才、エンキ・ビラルの新作『ルーヴルの亡霊たち』は、バンドデシネを通じてルーヴル美術館の魅力を伝えようとする「ルーヴル美術館BDプロジェクト」の一冊として刊行された。ちなみにこの「ルーヴル美術館BDプロジェクト」はこれまでに『氷河期』(作:ニコラ・ド・クレシー)『レヴォリュ美術館の地下』(作:マルク=アントワーヌ・マチュー)『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(作:荒木飛呂彦)が邦訳されている。

しかしこの『ルーヴルの亡霊たち』は実質的には"コミック"ではない。プロジェクトを依頼されたエンキ・ビラルがルーヴル美術館でインスピレーションを得て撮影した22の美術品(回廊や部屋なども含む)の写真に、彼のイマジネーションによって浮かび上がった亡霊たちの姿をアクリル絵の具・パステルで書き加え、それら亡霊たちの来歴を文章でしたためた形の作品、となっている。だからバンドデシネを期待して買われるとがっかりするかもしれないのでご注意を。実はオレも最初「え、文章メイン?」と分かって戸惑ったが、実際読んでみるとエンキ・ビラルならではの陰鬱さと美意識が伺われてこれはこれで楽しめた。

それら美術品の亡霊たちには、それぞれに名前と、出生時の身長体重が付加され、彼らの生まれてから死ぬまでと、そしてそれら美術品とどのような因縁があったかが記されている。それはあらゆる時代の、あらゆる国の、あらゆる人種の人々の、生と死の物語だ。それらは全て作者エンキ・ビラルの創作だとはいえ、有史以前から生まれ、生き、そして死んでいった、膨大な数にのぼる人間の、その中のどれかに、ここで記された物語とよく似た生涯を生きた者がいたのではないか、とふと思わされてしまうのだ。

それはまた、美術品ひしめくルーヴル美術館の中に、混沌と暗黒のヨーロッパが辿った血塗られた歴史を見出し、そこで死んでいった者の亡霊を証人として、名も無き市井の者たちにとってのヨーロッパ史を改めて語ろうとした試みだということができるかもしれない。ここにはあまりにも多くの死がひしめいている。そして亡霊たちは、今日もまた夜のルーヴル美術館で自らの半生を語るのだ。

MONSTER モンスター完全版 (EUROMANGA COLLECTION)

MONSTER モンスター完全版 (EUROMANGA COLLECTION)

岸辺露伴 ルーヴルへ行く (愛蔵版コミックス)

岸辺露伴 ルーヴルへ行く (愛蔵版コミックス)

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20141118(Tue)

[]ミュータントに奪われた街を縦横無尽に駆け回るハイテンション・バカゲー!〜『Sunset Overdrive 』 ミュータントに奪われた街を縦横無尽に駆け回るハイテンション・バカゲー!〜『Sunset Overdrive 』を含むブックマーク ミュータントに奪われた街を縦横無尽に駆け回るハイテンション・バカゲー!〜『Sunset Overdrive 』のブックマークコメント

■Sunset Overdrive DayOneエディション (XboxOne)

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アメリカの架空の大都市サンセット・シティを舞台に、街中を縦横無尽に駆け廻りながら突然現れたミュータントの群れを倒してゆくというXboxOne専用のアクション・ゲームです。サンセット・シティはオープン・ワールドになっており、主人公は途中出会う仲間と協力しつつ様々なミッションをこなしてゆくんですね。

このゲームのユニークな部分は、まずその移動手段でしょう。プレイヤーの操作する主人公はあたかもローラースケートを履いているかのように電線や建物の縁を高速で滑走する能力を持ちます。これによりゲームにスピード感と爽快感を与えているんですね。

同時に主人公は超人でもないのになぜか強力なジャンプ力と落下の衝撃を何とも思わない肉体を持っています。さらに建物の壁に張り付いて走ることもできるんですね。バルクールとはちょっと違いますが、ああいったアクロバティックでとっても派手なアクションを繰り出しながらプレイを進めてゆくというわけなんですね。

このゲームのもうひとつのユニークな点は、そのハチャメチャな世界観です。いうなれば「ヒャッハーッ!」系です。ミュータントに襲われた世界を描きながら、そのノリはどこまでも軽く、男女どちらでも選択可能な主人公はかっ飛んだファッションでキメています。そして手に持つ武器は滑稽な形をしたものばかり、その武器で奇妙奇天烈な攻撃を繰り出してゆくんですね。

こうしてなんだか斜め上方向にテンションの高いこのゲーム、一言で要約すると「バカゲー」ということができるでしょう!今年の春に『セインツロウ IV』という非常に愉快なバカゲーをプレイし、大変楽しませてもらいましたが、この『サンセット・オーバードライブ』はそれにさらにアクションの多彩さと進化したグラフィックを加味し、「ワンランク上のバカゲー」として完成しているんですね!

実のところ発売前にはそんなに注目していなかったゲームなんですが、発売後やたら評価が高く、そしてやってみるとこれがもう現在XboxOneでできる最高のゲームなんじゃないかと思わせるほどの出来のよさ、XboxOneを持っている方なら迷わずプレイするべきだし、XboxOneを買おうかどうか迷っている方はこのゲームをやるためだけにハードを買っても惜しくありません!続編ものヒットが続く中、こういった新規タイトルの挑戦するXboxOne、やっぱりあなどれないハードですよね。

(↓オレがエディットした自慢の自キャラ)

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20141117(Mon)

[]"生き延びろ!"火星にただ一人残された宇宙飛行士の究極のサバイバルを描く『火星の人』は今年のナンバーワンSF小説ってことでいいと思う。 "生き延びろ!"火星にただ一人残された宇宙飛行士の究極のサバイバルを描く『火星の人』は今年のナンバーワンSF小説ってことでいいと思う。を含むブックマーク "生き延びろ!"火星にただ一人残された宇宙飛行士の究極のサバイバルを描く『火星の人』は今年のナンバーワンSF小説ってことでいいと思う。のブックマークコメント

■火星の人 / アンディ・ウィアー

火星の人 (ハヤカワ文庫SF)

有人火星探査が開始されて3度目のミッションは、猛烈な砂嵐によりわずか6日目にして中止を余儀なくされた。だが、不運はそれだけで終わらない。火星を離脱する寸前、折れたアンテナがクルーのマーク・ワトニーを直撃、彼は砂嵐のなかへと姿を消した。ところが―。奇跡的にマークは生きていた!?不毛の赤い惑星に一人残された彼は限られた物資、自らの知識を駆使して生き延びていく。宇宙開発新時代の傑作ハードSF。

「生き延びろ!」。SF小説『火星の人』の描くものはたった一つ、不毛の惑星・火星にただ一人取り残された男が生存を賭けて戦う姿である。男の名はマーク・ワトニー、火星有人探査船ミッションの隊員だった彼は、猛烈な砂嵐により中止を余儀なくされたミッションから離脱する際、突風により折れたアンテナが直撃、そのまま砂嵐の中に消えた。残りのクルーは彼が死亡したものと判断、離脱を優先し、地球への帰路に着いてしまう。しかしマークは生きていた。そしてそこから、不可能に限りなく近い生存への戦いが始まるのである。

アンディ・ウィアーの『火星の人』。そのどこまでも不屈の精神の在り様が、圧倒的な感動となって読者の胸に迫ってくる超弩級の名作だ。今年読んだSF小説の中でも白眉と言える作品であり(まあそんなに沢山は読んでないんだが)、SFというジャンルを飛び越えてすら、小説の持つ醍醐味を十二分に兼ね備えた素晴らしい作品であると断言したい。600ページ余りと長い作品ではあるが、遅読のオレですらのめり込むようにして読み切った。そして読んでいる間中、主人公マークの一挙手一投足にハラハラし、その中で遮二無二前向きであろうとする彼の生への渇望に胸を熱くさせられた。生きること、人間の、生物の基本中の基本である最重要課題をテーマのど真ん中に据え、それのみを徹底的に描き切ったこの作品にオレは拍手を惜しまない。

もとより舞台は人間の生存に適さない火星である。人間が生き延びるために必要な、空気も、水も、食料も無く、そしてその環境はあまりにも過酷で、些細なミスが即時に死へと繋がる世界なのである。さらに地球と交信する術すらも失われているのだ。マークに残された希望はたったひとつ、約4年後に到着する次回の火星探査船とランデブーし帰還を果たすこと、その4年間をなんとか生き延びること。ここでマークは、残された物資をあらんかぎりまで駆使し、さらにあらゆる知識を総動員して、何が何でも生き残る方法を探ろうとする。

この知恵比べとも言える描写の数々が凄い。彼の持つ膨大な科学知識を生かし、空気、水、食料、電力を次々と生み出してゆき、さらに生存に適した環境を整えてゆく。科学知識の豊富な方なら「その手があったか」と膝を打つだろうし、オレの如き知識貧困な者にも、それらの描写は分かり易く、決して難解なSF作品という訳ではない。だが。どのように計算しても、それら物資は、4年持ちこたえることができない。さらに、次回の火星ミッションが行われる基地まで、3200キロの旅を敢行しなければならないのだ。

この、次から次へと立ち現れる困難、そしてそれに、次から次へと立ち向かってゆき、解決してゆこうとする主人公の描写がなによりも素晴らしい。作者アンディ・ウィアーは、主人公にありとあらゆる困難を、危機を用意する。いくら用意周到であり、豊富な知識を持っていてさえ予測不可能な絶体絶命の事態が、何度も何度も巻き起こる。しかし主人公は決して諦めない。絶望に足元をすくわれることを決して善しとしない。不撓不屈、この精神こそが、マークを生き延びらせるものであり、そのたゆまぬ前向きさこそに、この物語の神髄がある。

そしてこの作品を豊かにしているのは、主人公マークの、開けっ広げな明るさと軽さ、時として爆笑までさせられるユーモアの数々にある。生き残りを掛けた壮絶な物語である筈なのに、この物語には奇妙な明るさがある。むしろ逆に、絶望的な状況であるからこそ、彼は決してユーモアを忘れないようにしているのだ。なにしろこのマークのキャラクターがあまりにも素晴らしい。オレはもう、読んでいて、こんな主人公に生の声援を送り、そして「お前スゲエよ!頑張ったよ!」と抱きしめたくて堪らなかった。ここまで感情移入できる小説も稀有だろう。そんな部分もこの物語を最高のものにしている要素の一つだ。

そしてもう一つ思ったのは、アメリカ人っていうのは、なんと凄い人たちなのだろう、ということだ。実はオレは、アメリカという国に対して否定的な思いが沢山ある。最近ハリウッド映画をあまり観なくなったのも、アメリカ式の思考法にどうにもうんざりさせられていた、という側面もある。だがそれと同時に、アメリカの持つ挑戦者としての気概、古くから存在する開拓者精神、それに対する楽観主義、これらには心の底から平伏させられるものがある。それらは結果的に過度な覇権主義へと繋がってしまう諸刃の剣でもあるにせよ、素晴らしい側面も持つものであることを納得させられざるを得ない。

なんにしろ、アンディ・ウィアーの『火星の人』が今年ナンバーワンの面白さを持つSF小説であるということは間違いない。「火星を舞台にした『ゼロ・グラヴィティ』」とも呼ばれるこの作品、既に映画化も決まっているらしい。SF小説に興味がある方、それと同時に心の底からドキドキハラハラさせられる小説を読んでみたい方、お勧めですよ!

20141115(Sat)

[]最近聴いたエレクトロニック・ミュージック 最近聴いたエレクトロニック・ミュージックを含むブックマーク 最近聴いたエレクトロニック・ミュージックのブックマークコメント

■Abaporu / Gui Boratto

Abaporu

Abaporu

ブラジルを代表するテクノ・アーティスト、Gui Borattoが3年ぶりにリリースしたニューアルバム。カラフルでメロディック、ポップ・センスの溢れる極上のテクノ・サウンド。彼のこれまでの最高傑作かも。今回のお勧め&イチオシ! 《試聴》

■Our Love / Caribou

Our Love

Our Love

ロンドンで活躍するカナダ出身のインディー/エレクトロニカ・アーティストDan SnaithによるユニットCaribouのニュー・アルバム。ポップかつメロウ、ヴォーカルを配したセンチメンタルな曲調がとても心地よい。今回のお勧めその2。 《試聴》

■Satellite / Sam Paganini

Satellite

Satellite

80年代から活躍するイタリアのテクノ・プロデューサーSam Paganiniが満を持してリリースした1stアルバム。パッキパキにフロア仕様のテクノ・トラックが並ぶ良作。今回のお勧めその3。 《試聴》

■DC 07/DC 08/DC 09 (Remastered) / Deepchord

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デトロイトのダブテクノ・ユニット、DeepChordが2000年にリリースした3作のシングル音源をリマスタリング&CD化したもの。浮遊感に満ちたスモーキーなダブ・テクノと合せ、4つ打ちのフロア仕様なトラックが収録されている。 《試聴》

■DC 10/DC 11/DC 12 (Remastered) / Deepchord

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こちらもDeepChordの、2001年リリースのシングル音源をリマスタリング&CD化したもの。↑の『DC 07/DC 08/DC 09』と何が違うかというと何も違わないというか、DeepChordはどれも殆ど同じ曲、というのが部分が実は最高にいい。 《試聴》

■DC 13/DC 14/DC 16 (remastered) / Deepchord

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またもやDeepChord、2001〜2003年リリースのレア音源をリマスタリング&CD化したもの。もちろん上記『DC 07/DC 08/DC 09』『DC 10/DC 11/DC 12』と殆ど同じような音が少しづつ変化しつつも延々と続くわけで、要するにこのCD3枚を連続再生していると数時間に渡りただ一つの音が変化してゆくだけの様子を茫洋と聴く、という楽しみ方ができる。 《試聴》

■Instant Broadcast / Herva

Instant Broadcast

Instant Broadcast

オランダ老舗名門テクノレーベルDelsinからリリースされたHervaのニュー・アルバム。テクノを基本形にロウでスモーキー、時としてノイジーなエクスペリメンタル・サウンドを展開している。 《試聴》

■Linear S Decoded / Shxcxchcxsh

Linear S Decoded

Linear S Decoded

スェーデンで活躍する謎のユニットShxcxchcxshのニュー・アルバム。インダストリアル、ドローン、音響系も取り込んだ次世代仕様ミニマル・テクノ・サウンド。 《試聴》

■Drop The Vowels / Millie & Andrea

Drop The Vowels

Drop The Vowels

Modern LoveレーベルのMiles WhittakerとAndy Stottによるユニットによる初のフルアルバム。ダークでささくれ立った実験的インダストリアル・サウンド。 《試聴》

■Acid Thunder: More Definitive Acid & Deep House 1985-1991 / Terry Farley/Various

Acid Thunder

Acid Thunder

Junior Boy's Ownのオーナー、Terry Farleyが『Acid Rain』に続いてリリースした80〜90年代アシッドハウス、ディープハウスの名作をまとめた5枚組コンピ盤。

《試聴》

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20141114(Fri)

[][]ラジニカーント様、ディーピカ様主演、インド初のフルCGファンタジー歴史アニメ大作、その名は『コーチャダイヤーン』! ラジニカーント様、ディーピカ様主演、インド初のフルCGファンタジー歴史アニメ大作、その名は『コーチャダイヤーン』!を含むブックマーク ラジニカーント様、ディーピカ様主演、インド初のフルCGファンタジー歴史アニメ大作、その名は『コーチャダイヤーン』!のブックマークコメント

■Kochadaiiyaan (監督:スーンダルヤー・ラジニカーント 2014年インド映画)

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2014年、インド映画界が新たに世に問う問題作、その名は『Kochadaiiyaan(コーチャダイヤーン)』!
インド映画界に君臨するスーパースター・ラジニカーント主演!
インド映画界最高の美貌を誇る若手女優ディーピカー・パードゥコーン共演!
そしてインド映画界最大の話題となったインド初の全編フルCGムービー!
さあ君も『コーチャダイヤーン』の世界を体感せよ!

コーヒーだい!緑茶だい!紅茶だいヤーン!!

…というわけで『コーチャダイヤーン』であります。ラジニカーント様とディーピカー様が共演!というのも凄いですが、映画全編がフルCGで制作された歴史ファンタジー作品である、というのがなにしろ話題になった作品なんですね。だからラジニカーント様とディーピカー様はモーション・キャプチャーで演じたCGの姿で出てくるというわけなんですよ。さらにアミターブ・バッチャンがナレーションを務め、音楽はA・R・ラフマーン!それと同時に話題になったのが、相当ヒドイ出来らしいということだったんですね!

【物語】はるか昔、いにしえの南インド。カリンガプリ王国の軍事司令官ラナ(ラジニカーント)は、国の奴隷たち全員を戦士に徴用し、敵対するコッタイパッティナム王国へと進撃する。相対するはコッタイパッティナム王国の王子センゴダゴン。しかし、戦いの火蓋が切られるかと思われたのも束の間、ラナとセンゴダゴンは固く抱擁しあい、ラナの兵たち全員をコッタイパッティナム王国へと連れ帰る。実はこれには過去の深い因縁があった。かつてコッタイパッティナム王国に伝説の戦士コーチャダイヤーンがおり、華々しい戦績を挙げていたが、カリンガプリ王国の陰謀により、全ての兵を奴隷として奪われてしまっていた。そしてラナはコーチャダイヤーンの息子であり、彼は父の汚名をそそぐ為に子供の頃にカリンガプリ王国へ潜入、奴隷となった自国の兵士を取り戻そうとこの日まで自らの出生を偽っていたのだ。ラナの凱旋と戦士の帰還に湧くコッタイパッティナム王国。しかしラナにはもう一つの計画があった。それは処刑された父コーチャダイヤーンの復讐を果たすことだった。

とまあこんなお話が、めくるめくようなフルCGで描かれるというわけなんですが、なにしろグラフィックが酷い。ゲーム画面並みのCG、なんて言い方がありますが、きょうびゲームだってフルHD仕様でびっくりするぐらい綺麗な映像を見せるっていうのに、この『コーチャダイヤーン』はレベルでいうとプレステ2並みのCG映像なんです。ええ、プレステ4でも3でもなく2。のっぺりした背景にのっぺりした登場人物が登場し機械仕掛けのように動いている、そんな感じです。モーションキャプチャーを使用しているはずの主要人物すらぎこちない動きを見せてしまっています。

なによりがっかりさせられるのが主演者たちの造形で、ラジカーント様はまあ分かるんですが、

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ディーピカ様ともなるともう何が何だか…。おぉ〜い責任者出てこぉ〜いッ!!

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そんなわけで、CGアニメ作品としてはどうにも稚拙さと粗さの目立つある意味失敗作ととってもいいような作品なんですが、ただ個人的にこの作品がどうしようもなくつまんなかったかというと、実はそうでもないんですよ。確かに最初はあのCGを見て「あー噂通りやっぱりヒドイ!」と半笑いこそ浮かびましたが、話が進んでゆくとまあこれも味わいの一つ、となんだか納得しちゃったんですね。確かにピクサーやドリームワークスみたいなアメリカのCGアニメ制作会社の凄まじいクオリティの作品と比べると見劣りどころの騒ぎじゃないんですが、ひょっとしたらこれ作ったインドのCGアニメーターは「あれと同じにやる必要はない、そもそもアニメというものはこの程度で十分」ぐらいの認識だったんじゃないのか、そしてこの程度のヌルい認識具合がインドらしくていいじゃん?なんて好意的に解釈しているぐらいなんです。

それに、お話の作りはそれなりにしっかりしているし、見せる所は見せていて、例えグラフィック的にしょぼくても、インドの王宮がドーン!と現れ、古代インドの甲冑を着た兵士たちが戦い、インド映画っぽい無茶なアクションが挿入され、ついでにインド映画らしい歌と踊りが入り(まあちょっとロボットダンス的ではありますが)、それらが実にインドらしい鮮やかな色彩で描かれているので、「うん、普通にインド映画じゃん」となんだか満足してしまえるんですね。で、変な所は変な所で「まあインド映画だし」ということでスルーできちゃうんですよ。

そんな具合に、自分はこの『コーチャダイヤーン』、ネタ的に満足できる作品でしたね。それに、この作品はインド映画界でもまだまだ第一歩を記しただけのCG作品なんですから、今後の展開を期待してあげればいいんじゃないでしょうか。なんでもラジニカーントのキャプチャーいっぱい撮ったから、次作はラジニカーントいなくても簡単にできちゃうよ?とかあまりにもイージーな話もどこかで読みましたが、面白いからまた一作作ってみてください。今度はインドの神様がいっぱい出て来るようなのが観たいなあ。

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20141113(Thu)

[][]ピザ怖いピザ怖いピザ怖い!〜インドの"ピザ"ホラー映画『Pizza』 ピザ怖いピザ怖いピザ怖い!〜インドの"ピザ"ホラー映画『Pizza』を含むブックマーク ピザ怖いピザ怖いピザ怖い!〜インドの"ピザ"ホラー映画『Pizza』のブックマークコメント

■Pizza (監督:カールティク・スッバラージ 2012年インド映画)

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「ところでインドのホラー映画はどうなっておるのだろう?」と思ったわけである。この間『Go Goa Gone』というタイトルのインド産ゾンビ・コメディは観たけれども、あれはあくまでコメディがメイン。今のところガチなインド・ホラーは観ていない。これは日本のインド映画ブログであんまり紹介されていないから、というのもあって、どれが面白いのかよく分からないのである。

そこで選んだインド産ホラー映画は、タイトルがその名も『Pizza』。タミル語のホラー映画である。なんでこの映画を選んだかというと、ただ単にオレがピザ好きだからである。大好物といってもいい。週末は宅配ピザを注文してビールごきゅごきゅ飲みながらDVDをダラダラ観る。もう20年位続いている習慣である。きっとこの間、オレは5万枚ぐらいピザを食ってるに違いない。当然飲んだビールは5万本、吸ったタバコは5万箱である。

そんなことより映画『Pizza』である。「ピザ」っていうぐらいだからピザにまつわるホラーに間違いない。ピザ・ホラー…。それは巨大化したトマトが人を襲うという映画『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』のように、巨大化したピザが暴れまわる、といったものなのであろうか。はたまた『八仙飯店之人肉饅頭』のように、ピザのトッピングが人肉ペパロニでした!というおぞましい物語なのであろうか。想像逞しくしながらオレは映画を観始めたのである。

物語の主人公はピザ配達人である。彼は注文されたピザをある屋敷に届けるが、屋敷の女主人が2階にお金を取りに行ったまま降りてこない。しかも屋敷は突然の停電。そして女主人を探しに2階に上ったピザ配達人が見たものは、女主人の惨殺死体だった!パニックに駆られ逃げ出そうとするピザ配達人だったが、屋敷から一歩も出られず、さらに電話もうまく繋がらない。そしてふと配達したピザを見ると、誰かが食った跡がある…。「この屋敷には誰かがいる!」閉ざされた空間の中でピザ配達人と謎の存在との攻防が始まる。

という物語なのだが、これが結構面白かった。ここまでの粗筋だとスラッシャーホラーのようなのだが、このあと実は心霊要素が絡んでくる。すなわちこの映画、「幽霊屋敷に閉じ込められたピザ配達人」といった物語なのである。映画はこうして「真っ暗なお化け屋敷で不気味な物音に怯え突然現れる亡霊の姿に腰を抜かしながら逃げることのできない恐怖を味わう主人公」を描いてゆく。暗闇から「わっ!」と出てくる亡霊の姿は単純なこけ脅かしと分かっていてもやっぱり怖い。オレは映画を観ている間10回位「ぎえええ!」と叫んで飛び上がった。そういった部分では、決して目新しいものではないにせよ、ホラーとして十分機能した及第点の作品といえる。

しかしだ。実はこの映画、これだけの映画では決してなかったのだ。なんと最後にとんでもないどんでん返しが待っているのだ。観終わって、その物語展開と構成の妙に驚愕するのと同時に、「してやられた!」と大いに感心させられた。オレもそこそこハリウッドのホラー映画は観ているが、ハリウッド・ホラーですらこんな展開を迎える作品はこれまでなかったのではないか。それだけ脚本のオリジナリティに優れていたのだ。この辺、ホラー映画マニアの方にも是非見ていただいて、このアイディアを吟味してみてもらいたい。ある意味、初めて観たインド・ホラーなのにも関わらず、こんな良作に当たったことがちょっと嬉しかった。

ちなみにこの映画、実は字幕無しタミル語音声のみの状態で観た。つまり台詞が何を言っているのか全く分からずに観たのである。たまに英語の単語が出るが、それもたいした助けにはならない。しかし「ホラー・ジャンルだったら言葉が全く分からなくとも面白く観られるんじゃないか?」といったちょっとしたチャレンジのつもりで観たら、これが案外映像と状況で理解できてしまった。ただもちろん、細かな部分は取りこぼしているので、この作品を日本で紹介している多分唯一のブログ「カーヴェリ川長治の南インド映画日記」さんの記事「【Pizza】 (Tamil)」を参考にさせてもらった。

この作品は2013年に続編『Pizza II: Villa』が制作され、これが1作目同様相当のヒットを飛ばしたらしい。また、2014年にヒンディー語でリメイク(しかも3D)され上映されたが評判のほどは知らない。

(↓この英語字幕付き動画見つけたの観終った後だったという…)

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20141112(Wed)

[][]インドのゾンビ映画『Go Goa Gone』に見るインドの埋葬事情!? インドのゾンビ映画『Go Goa Gone』に見るインドの埋葬事情!?を含むブックマーク インドのゾンビ映画『Go Goa Gone』に見るインドの埋葬事情!?のブックマークコメント

■Go Goa Gone (監督:クリシュナ 2013年インド映画)

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うだつの上がらないボンクラ野郎3人が、「無人島で開かれるレイヴ・パーティーに乗り込んでハッチャケようぜ!」と愉快な夜を過ごしますが、一夜明けると島中ゾンビがうろついててさあ大変!?というインドでも珍しいゾンビ・コメディ映画です。

ボンクラ野郎3人、ハルディク(クナール・ケームー)とラヴ(ヴィール・ダース)、そしてバニー(アーナンド・ティワーリー)は、お楽しみを求めてインド西海岸のリゾート地、ゴアへと向かいます。そこでラヴの知り合い女性ルナ(プージャー・グプター)と合流し、沖合いの無人島でロシアン・マフィアが開催するというレイヴ・パーティーに潜り込むんですね。酒と音楽とクスリで思いっきりハッピーになった彼らでしたが、朝目を覚ますとなんとパーティー参加者全員がゾンビになっていた!?逃げ出そうにも無人島、迎えの船は数日来ない!パニック状態の4人の前に現われたのがロシアン・マフィアの生き残りボリス(サイフ・アリー・カーン)。彼らはボリスの持つ大量の銃でこの難局を乗り越えようとしますが…!?

この映画の面白い所は、なにしろ「インドでゾンビ」ということですね。インドを舞台にしたゾンビ映画というと『The Dead 2: India』というのがあるようですが、これはあくまでもイギリス資本映画。じゃあインドにゾンビ映画があるか?と調べてみたところ、2013年製作の『Rise of the Zombie』という作品が"ボリウッド初のゾンビ映画”なんて言われ方をしているようです。ただ年間1000本以上撮られているインド映画ででから、これまで何にも話題にならなかったゾンビ映画が一本や二本ありそうな気もしますね。どちらにしろ、インドではゾンビ映画ってジャンルは馴染が薄いようなんですね。

そんなですから、登場人物たちは最初ゾンビを見てもゾンビって分からないんです。だから人を襲うゾンビの姿を見て「あれって吸血鬼?」「あ、吸血鬼には十字架が効くんじゃない!?」なんて言ってるんですが、そこでふと彼らは「(インド人である俺らはヒンドゥー教かイスラム教なわけだから)十字架効くわけないよね…」と気付くんですな。「じゃああれナニ?」と頭をひねり、やっとゾンビであることに気づくんです。「でもさあ、俺らのインドでは幽霊とか物の怪とかが一般的でしょ?なんでまたわざわざゾンビ?」と疑問を示す友人に一言、「だからそれが【グローバリゼーション】ってヤツなのさ!」とか言われて納得するんですね!これ、ゾンビ=アメリカから輸入された映画のバケモノ=グローバリゼーションってことなんですな。

確かにインド人にとってはゾンビって「なんじゃそりゃ?」という存在かもしれません。ヒンドゥー教じゃ火葬が普通だし、しかも墓地というものが存在せず、遺灰は聖なるガンジス川に流すのが一般的です。だから甦る死者ってピンとこなさそうじゃないですか。そもそも、ハリウッド映画におけるゾンビというのは新約聖書ヨハネ黙示録にある最後の審判の「死者の甦り」がひとつのモチーフになっていて、だから欧米諸国でゾンビという存在はキリスト教史観の中における終末論を現したものだということもできるんですね。しかしヒンドゥーの皆さんにとっちゃあ「黙示録?カンケーねーよ!」ってことになっちゃうんですよ。一方インドにおいて12%ほどの割合で信教されているイスラム教では土葬を基本とし、その教義には黙示録的な概念はありますが、「インドのゾンビはみんなイスラム教信者!」なんてやっちゃうとあれこれ問題が出そうですから、やっぱりゾンビ映画って作り難いんでしょうね。そんな部分で、映画の中でもゾンビ=アメリカから輸入されたバケモノってなことになっちゃうんじゃないかと思うんですよ。

そしてもうひとつ、映画におけるゾンビって、「大量消費社会の中でただただ反復的に消費行為を繰り返すだけの頭カラッポな一般市民」を揶揄したものでもあるんですね。う゛ーう゛ー言いながらノソノソ街を彷徨い、ケダモノみたいに人間にかぶりつくゾンビは、そのまま頭カラッポな消費者ってことなんですね。じゃあこの『Go Goa Gone』のゾンビはなんの暗喩なのか?というと、これはもう見たまんま、「ゴアに来て淫らな半裸の格好をして享楽的な音楽と酒とクスリで頭アッパラパーにしながら踊り狂う堕落しまくった外国人観光客」そのもののことを現してるんじゃないですかね!?意外とインド人ってゴアで一発キメて好き放題やってる外国人を「あいつらアホちゃう?」と思ってるんじゃないでしょうか。まあ思いつきなんですが、なんだかそういった皮肉もこの映画には込められているような気がしました。

そういえばガンジス川に死体が浮いてるって話だから水葬なんじゃ?なんておっしゃる方がいましたが、ガンジス川上流にあり政情不安でもあるネパールから流れてきている可能性が高いです。あとガンジーの墓、というのはありますが、あれは記念碑的な墓陵なんですね。それと、ヒンドゥー教では聖人の墓はあります。それは悟りを開き神と合一したからであり、一般の方のように輪廻するための火葬、というのが必要ないからです。ところでインドでは普通にベジタリアンの人が多い筈ですが、ベジタリアンの人がゾンビになったら、人間の肉を食いたがるのかしらん?

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20141111(Tue)

[]謎の超巨大惑星を彷徨する3種の知的種族〜『オマル2〜征服者たち』 ロラン・ジョヌフォール 謎の超巨大惑星を彷徨する3種の知的種族〜『オマル2〜征服者たち』 ロラン・ジョヌフォールを含むブックマーク 謎の超巨大惑星を彷徨する3種の知的種族〜『オマル2〜征服者たち』 ロラン・ジョヌフォールのブックマークコメント

オマル2 ー征服者たちー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

ヒト族、シレ族、ホドキン族の3種族による激烈な紛争が勃発し、のちに暗黒時代とよばれるシレ暦9世紀中頃。ヒト族の英雄ジェレミア中尉は、最高司令官ハイダール大元帥から密命を受ける。半世紀前にシレ族から鹵獲した超兵器を境界地域まで運び、それを使って極秘任務を達成せよというのだ。一方、ステイ高原の巨大ピラミッドに参 集した3種族の大使たちが、26年に一度のアエジール族との交渉を開始しようとしていた頃、太陽の光を遮って地表を闇と冷気の世界へと変える「闇のプレート」が突如出現し、ヒト族の領域を侵しつつあった……壮大なスケールのプラネットオペラ、待望の第2弾!

「総面積は地球の5000倍にもおよぶ」という謎の巨大惑星オマル。ここではヒト族、シレ族、ホドキン族という3種の知的生命が抗争を繰り広げていた――。『オマル2〜征服者たち』は『オマル-導きの惑星-』に続くフランスSF作家ロラン・ジョヌフォールの【オマル・シリーズ】第2弾だ。

このシリーズの主人公はなんといっても舞台となる「謎の巨大惑星オマル」だ。『オマル-導きの惑星-』にしてもそうだったが、3種の知的生命体がオマルの大地で冒険を繰り広げる様子を通して、この惑星の謎に満ちた全貌を少しづつ明らかにしてゆく、という趣向が凝らされている。

この「オマル世界」、超巨大天体であるということと併せ、過去において3種知的種族が突然の宇宙船団拉致によって強制的に植民化された世界である、という謎を孕んでおり、さらに地下資源が乏しいために金属による工業化が進まず、技術レベルが超科学とローテクの混在したスチームパンク的世界を形作っている、という部分がなによりも特徴的な世界を生み出している。

そしてこの『オマル2〜征服者たち』では3つの物語を平行して描きながらオマルの大地を襲ったある災厄を描くこととなる。ひとつはジェレミア中尉による極秘の超兵器奪取作戦。ふたつめは天を覆う「闇のプレート」の出現により突然の闇に閉ざされ氷河期化しつつあるオマルを彷徨う地図作成調査隊の脱出行。みっつめは26年に一度天空からやってくる謎の超存在アエジール族と3種混合知的生命大使らとの交渉の裏で渦巻く陰謀。

1作目『オマル-導きの惑星-』は飛行船による冒険を描いていたが、この2作目では原子力機関車による氷河化した大地の走破がメインとなる。主人公らはヒト族軍隊に属し、行く手を阻む他種族との熾烈な戦闘場面が描かれ、前作にはなかったスペクタクルを味わうことができる。いわば「世界観の紹介」が主要な要素になっていた前作に比べ、今作ではいよいよオマルにおけるドラマが展開してゆくというわけだ。そして主人公らは任務のため、どこまでも果てしない大地を疲労と焦燥にまみれながら、文字通りボロボロになりつつ目的地へと向かうのだ。

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20141110(Mon)

[]最近読んだBD / 『KOMA - 魂睡』 ピエール・ワゼム、フレデリック・ペータース 最近読んだBD / 『KOMA - 魂睡』 ピエール・ワゼム、フレデリック・ペータースを含むブックマーク 最近読んだBD / 『KOMA - 魂睡』 ピエール・ワゼム、フレデリック・ペータースのブックマークコメント

KOMA―魂睡

父親を手伝い、煙突掃除をする少女アディダス。母親は他界し、父と2人、慎ましくも、楽しい日々を過ごしていた。彼女の悩みは突然理由もわからず気絶してしまうこと。その回数は次第に増え、気絶している時間も徐々に長くなってきている。ある日、煙突の奥深くへと迷い込んだアディダスは、人間よりも一回りも二回りも大きい怪物に出くわす。彼らは地中深くで、人間の能力や体調、感情するも制御する機械の管理をして暮らしているのだ。アディダスの謎の発作もこの機械の不調が原因だった。やがて、機械の存在を嗅ぎつけ、それを我が物としようとする輩が現れる…。ある少女の冒険を通じて、夢と世界の謎に迫る寓話的ファンタジー。

一人の少女が発見した生と死の秘密、この世界を陰で動かしているもう一つの世界。その中で少女は、この世界を「間違ったもの」に作り変えている化け物の正体を探り出し、それと対峙しようとする。バンドデシネ『KOMA - 魂睡』はそんなダーク・ファンタジーだ。

主人公の少女アディダスは煙突掃除人の父の仕事を手伝いながら生きていた。そんなアディダスは突然昏睡状態に至る、という謎の病に悩まされており、そして遂に誰も入ることのできない煙突内で昏睡してしまう。目が覚めた彼女が見つけたのは、闇の中で黒い巨人たちが不思議な機械を動かしながら、人々の人生のバランスを調整している姿だった。アディダスはそんな一人の巨人と協力しあい現実の世界に戻るが、そこで「闇の世界」を悪用しようと企む秘密組織がアディダスと巨人に襲い掛かろうとしていた。

もしかしたら我々の人生というのは、どこか知られざる場所にある超越的な存在によってコントロールされていて、自分たちはそれら超存在たちの振る賽の目のようなものによって生かされているだけかもしれない。これはそんな夢想によって描かれた物語だ。何者かにコントロールされた人生、それは自分の人生なんかじゃない。しかしもしもそれを取り戻し、自分が本来あるべきだったはずの人生を生き直せたら?

アディダスと彼女の父は煙突掃除人だ。懸命に働く父の背中に誇りを覚えつつも、アディダスにとってそれはきつく辛く、実入りの少ない仕事なのは確かだ。そして彼女の母は既にいない。これが運命なのなら甘んじて受け入れるしかないのかもしれない。しかしアディダスは知ってしまったのだ、この運命は悪しきものによって作られた運命だったということを。少女の冒険はこうして始まる。

いわゆる現実世界とメタ世界を描く作品なのだが、一見現世と霊界のメタファーのように思わせながら、実はこの二つの世界が物理的に地続きになっており、そこを行き来できるばかりか、メタ世界を奪おうとする人間の勢力が存在する、といった部分で面白い作品となっている。さらにメタ世界には高次のメタ世界が存在することが描かれるが、時間と空間を超越したこのメタ・メタ世界(?)の登場により、物語は形而上的な様相さえ呈し始めるのだ。

そしてこのメタ・メタ世界を彷徨うのが「世界を間違ったものに作り変えている悪しきもの」なのだが、しかしこれは考えようによっては【神】の別の貌だということもできるのではないか。そしてその「悪しきもの」と正面から対決しようとする少女は、すなわち【神】との対決を挑もうとすることに他ならないのではないか。この『KOMA - 魂睡』は、小さな少女のファンタジックな冒険を描きながら、実はそんな深大なテーマをはらんだ作品でもあるのだ。

20141109(Sun)

[]再び帰省 再び帰省を含むブックマーク 再び帰省のブックマークコメント

訳あって10月の終りに帰省していたが、先日も再び帰省することとなった。土日でのとんぼ返りだ。こんな短い期間に2回も飛行機に乗ったことなど人生初めてである。しかも国内総移動距離が4400キロに達する。これは北海道稚内から沖縄に行ってさらに折り返して大阪まで行った距離と同じぐらいである。母の病気があってのことなのだが、まあ、いろいろ大変である。

写真は飛行機の窓から見えた利尻富士。

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20141107(Fri)

[][]恋の伝導師サルマン・カーンが大暴走男にタジタジになっちゃうコメディ映画『Partner』 恋の伝導師サルマン・カーンが大暴走男にタジタジになっちゃうコメディ映画『Partner』を含むブックマーク 恋の伝導師サルマン・カーンが大暴走男にタジタジになっちゃうコメディ映画『Partner』のブックマークコメント

■Partner (監督:ダヴィッド・ダーワン 2007年インド映画)

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恋愛指南を仕事にする男が困った依頼人の無理目な依頼にてんてこまいさせられちゃう!?というコメディです。主演の恋愛指南の男を『ダバング 大胆不敵』のサルマン・カーン、サルマンさんひっかきまわす男をゴーヴィンダーが演じ、ヒロインを『デリーに行こう!』のラーラ・ダッタ、さらに『チェイス!(Dhoom 3)』の日本公開で盛り上がっているカトリーナ・カイフが演じます。

「ラブ・グル(恋の伝導師)」の異名を持つプレム(サルマン・カーン)は恋愛指南師。恋に悩める多くの男に助言してきた彼のもとにある日、なんとも冴えない男バスカー(ゴーヴィンダー)がやってきます。バスカーが恋した相手というのが彼の会社のボスで富豪の娘、おまけに超美人のプリヤー(カトリーナ・カイフ)でした。「無理ね。無理無理!」プレムはさすがに断りますが、バスカーはしつこく食い下がり、なんとプレムの旅行先バンコクまで追いかけてくる始末。「わーった!わーったから!」バスカーのあまりの粘着振りに音を上げて、渋々依頼を受けるプレム。そんなプレムはギャングに追われていた女性報道カメラマンのネーナー(ラーラ・ダッタ)を助け、そして彼女に恋してしまいます。

大変面白かったです。これまでサルマン・カーン主演の映画は幾つか観ましたが、サルマン映画の中では『ダバング 大胆不敵』以外で一番楽しめた作品かもしれません。今回のサルマンさん、「恋の伝導師」なんて言ってますが、要するにいつもの「胡散臭いキャラ」です。サルマン映画の主人公って割とこういう「なにやって食ってんだかよく分かんないチンピラキャラ」多いですよね。「遊び人の金さん」なんてェ人がいましたが、いうなれば「遊び人のサルマンさん」ってな所でしょうか。この遊び人のサルマンさん、いつもなら口八丁手八丁で易々と難題を乗り越えるところを、今回はとんでもない強敵(?)が登場します。それが「超美人に恋しちゃった男」バスカーさんなんです!

このバスカーさん、とんでもない【大暴走キャラ】です。ルックスはむさ苦しくて小汚いオッサンでおまけにメタボ、やたらワアワアと喋くりまくり、人の話は全く聞かず、要所要所で盛大にボケかまし、彼の通った後はペンペン草も生えません。ええ、もう【コテコテ】という言葉はこの人ために存在したとしか思えないようなキャラクターなんです。このバスカーさんを演じるゴーヴィンダー、実は今まで知らなかったんですが、こんななのにインドの大物俳優で、月一で映画に出ていたこともあったとか。ここで不勉強をお詫びさせてください。なにしろこのゴーヴィンダーが凄すぎて、あのサルマンさんもタジタジ、サルマン主演映画というよりもゴーヴィンダーと二人ペアで成り立つ映画だということができるでしょう。

サルマン+ゴーヴィンダーのコンビも光りますが今や飛ぶ鳥を落とす勢いのカトリーナ・カイフさんが共演しているのも嬉しいですね。さらに歌と踊りが物凄くいいタイミングで挿入され、その出来もとってもよくって実に心地よい。ゴーヴィンダーが身軽に踊るのを見せられるのはちょっとイラッとさせられますが。そしてこの作品、シナリオのまとまりがいい。インドのコメディは割と高度に複雑化したものが多いのですが、この『Partner』はストレートで分かり易い。珍しいな、と思ったら実はこの映画、2005年アメリカ製作のウィル・スミス主演映画『最後の恋のはじめ方』のインド版リメイクということだったんですね。公開時は評判もよく、2015年には同じキャストで続編公開が予定されているとか。いやーまたゴーヴィンダーさんの大暴走ぶりが見られるのでしょうか。楽しみですねー。

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20141106(Thu)

[][]浮気はダメよ!3組の夫婦が巻き起こすコテコテのコメディ映画『No Entry』 浮気はダメよ!3組の夫婦が巻き起こすコテコテのコメディ映画『No Entry』を含むブックマーク 浮気はダメよ!3組の夫婦が巻き起こすコテコテのコメディ映画『No Entry』のブックマークコメント

■No Entry (監督:アニーズ・バスミー 2005年インド映画)

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恐妻家の男が女好きの友人にそそのかされ、美人ダンサーに色目を使ったばかりにとんでもない大騒ぎに!?というのがこの映画、2005年にインドで公開され、この年一番の大ヒットを記録したコメディ作品『No Entry』です。主演をアニル・カプールサルマン・カーン、ファルディーン・カーンが務め、さらにミス・ユニヴァース2000のラーラー・ダッタをはじめとするゴージャス美人3人が男優たちにからみます。もともとはタミル語のヒット作『Charile Chaplin』のリメイクで、『マダム・イン・ニューヨーク』で好演したシュリデヴィの夫、ボニー・カプールのプロデュース作でもあります。また、カメオ出演としてゴーヴィンダ、サミーラー・レッディが登場。

物語はインド・コメディらしい若干のややこしさがあるので、かいつまんで説明してみますね。

○物語のメインとなるのは3組の夫婦とひとりの女。

・恐妻家の男キシェン (アニル・カプール)と、疑り深いその妻カージャル(ラーラー・ダッタ)。

・遊び人で浮気性の男プレム(サルマン・カーン)と、彼を信用しきっている妻プージャ(イーシャー・デーオール)。

・キシェンの友人シェカール(ファルディーン・カーン)と、彼とひょんなことから恋に落ち結婚するサンジャナ。

・プレムが通うバーのダンサー、ボビー(ビパーシャー・バス)。


○キシェンは誠実な男だったが、妻カージャルは彼がどこかで浮気している、といつも疑心暗鬼だった。そんな彼に友人のプレムはダンサーのボビーを紹介するが、それは四角四面の男キシェンが、女性との関係をどれだけ奥さんに隠し通せるかを試してみようというおふざけからだった。妖艶な美女ボビーにキシェンの心は大いに揺らぐ。しかし悪いことはできないもの、キシャンとボビーの逢引の場所に奥さん登場!


○キシェンはとっさに「いやいやいや、これは友人シェカールの奥さんだから!」と説明し納得させてしまう。キシェンの頼みで嫌々ボビーとおおやけの場に出たシェカールだが、今度は自分の妻サンジャナにそれを発見されてしまう!そしてシェカールはシェカールで、「いやいやいや、これはキシェンの奥さんだから!」とボビーを紹介し納得させてしまう。こうして思い込みと勘違いが重なったややこしい状況は、彼らが一堂に会したときさらなる大混乱を生み出すのだった!

いやー、もうコッテコテです。そのうち登場人物全員ヒンディー語じゃなくて関西弁で喋くりまくるんじゃないかと思わせるほどのコテコテのコメディです。言うなれば3組の夫婦の浮気疑惑事件を面白おかしく描いただけのものなんですが、それで上映時間163分持たせちゃうんですから、毎度ながらインド映画いい根性してます。しかもこれが公開された年のナンバーワンヒットになっちゃう、といった部分にインド人の業の深さが垣間見えます。

どこのお国であろうと浮気は褒められたことじゃないですが、インドでも宗教的な部分で結婚の結び付きって絶対に近いものらしく、浮気に対するタブーは相当に強いんじゃないでしょうか。ただまあそこは人間ですから、いくら神様の手前とはいえ浮気しちゃう方もいらっしゃるのではないかと推測できます。しかしこと映画に関しては、あからさまに浮気について描く、っていうのはインドじゃ意外と珍しいのかもしれません(自分が知らないだけで実はいっぱいあったりして)。しかし逆に、タブーが強いからこそ憧れるのは人の心の常で、そういった部分でインドで大ヒットした、っていうことは十分考えられますね。

とはいえ、物語は別に浮気を生々しく描くものではなく、「美女がいたので鼻の下伸ばしちゃった!」とか「ちょっとデートしちゃった!」程度の可愛らしさで、あわや!というシーンもありますが、そこに知らずに女房がやってきちゃう!という危機一髪のシーンを盛り込み上手に回避していたり、要するに浮気そのものよりも煩悩だらけの男の可笑しさ情けなさを描くのが中心となるんですね。それと同時に、インド・コメディお得意の「嘘に嘘を積み重ねた挙句、物事がどんどん訳が分からない方向に転がってゆく」というシチュエーションが連鎖的に爆笑を生んでゆき、「こんなにグチャグチャになった状況をどう収めるの!?」と笑いながら主人公たちが心配になってきちゃったりもします。大いに笑わせてくれる作品でした。いやー、浮気をしちゃダメだね!

ところでこの作品、サルマン・カーンが出演しているので最初主演かな?と思ったんですが、重要な役回りであるけれども中盤は全然登場せず、むしろ美人ダンサーにその気になっちゃったキシェンと、キシェンに振り回されるシェカールの二人が中心的にドタバタを繰り広げることになりますのでサルマン・カーン・ファンはご注意を。キシェン役を演じるアニル・カプールはこの映画の当時はそこそこのインド俳優でしたが、この後2008年にイギリス映画『スラムドッグ$ミリオネア』にクイズ番組司会者役で出演、多数の映画賞を受賞し、国際的に名度を高めましたね。さらに2010年にTVドラマ『24 -TWENTY FOUR-』の最終シーズンに出演、2011年には『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』に出演と、国際的なインド俳優となりました。

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20141105(Wed)

[][]「女性の気持ちになってみろ!」神様に女に変えられたプレイボーイを描くドタバタコメディ〜映画『Mr Ya Miss』 「女性の気持ちになってみろ!」神様に女に変えられたプレイボーイを描くドタバタコメディ〜映画『Mr Ya Miss』を含むブックマーク 「女性の気持ちになってみろ!」神様に女に変えられたプレイボーイを描くドタバタコメディ〜映画『Mr Ya Miss』のブックマークコメント

■Mr Ya Miss (監督:アンタラー・マーリー、サトチト・プラーニク 2005年インド映画)

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手の付けられない女たらしの男が、あまりの品行の悪さに神様に戒められ、女性の姿に変えられて大変な思いをしちゃう!?というドタバタコメディです。

プレイボーイのサンジャイ(アーフターブ・シヴダーサーニー)は今日も見境なく女性に色目を使って勝手気ままに過ごしていました。しかし悪いことはできないもの、ガールフレンドの一人ラヴリーンはそんなサンジャイに遂にブチ切れ、言い争いの末サンジャイを鈍器のようなもので殴り昇天させてしまいます。そして…魂となったサンジャイはシヴァとパールヴァティーの前に引き出され「お前は一度女性の苦労を味わうべきだな?」と言い渡されます。暫くして目が覚めたサンジャイはびっくり仰天、なんと彼は女性の体で転生させられていたのです。

サンジャイは親友のシェーカル(リテーシュ・デーシュムク)を頼り、サンジャイの妹サンジャナー(アンタラー・マーリー)と名乗って元の会社に復帰しますが、男たちは女の彼に色目を使うわ痴漢はするわでたまったもんじゃありません。「ううう…女でいるって大変だ…」へとへとになったサンジャナー(サンジャイ)は親友シェーカルとへべれけに痛飲し、はずみで二人は一夜を共にしてしまい、あろうことか妊娠までしてしまうのです!?サンジャイの明日はどっちだ!?

女の気持ちを踏みにじって生きてきた男が、女にされて気持ちを踏みにじりまくられる!というこの物語、男性なら頭が痛いし女性なら溜飲が下がる作品となっていることでしょう。女性に転生しサンジャナーとなったサンジャイは、慣れないハイヒールでよたよたと歩き、ワンピースを変な形に着こなし、長い髪がいつも鬱陶しくてたまりません。しかし心は男のままなので、歩くときは肩をいからせ、苛立ちで顔を歪ませ、ぶっきらぼうな声で喋るんです。まあ元が男ですから、女らしくなんてそうそうできるものではないでしょうが、このどうにも醜悪なちぐはぐさを見せることで、元のサンジャイがどれだけ無神経な男だったのかが分かる仕組みになってるんですね。

この、いかにも無様な「心が男の女」を、女優のアンタラー・マーリーが演じます。こうした不細工ともいえる華の無い役柄をあえて演じる意気込みにまず驚かされましたが、実はこの彼女が本作の監督・脚本も務めていることを知りもう一度驚かされました。一応後半はサンジャナーもすっきりしたショートカットでパンツスーツ姿となり、なんとか落ち着くのですが、アンタラー・マーリーさん自体がこういったファッションのほうが似合う方のように感じました。そしてこのアンタラー・マーリーさん、踊りともなるとキビキビと体が動くダンスの上手さを見せてくれるんですね。決して美人ではないのですが、インド映画界の才女といってもよろしい方なのではないでしょうか。

そして心の千々に乱れるサンジャナーを温かく受け止める親友のシェーカルを演じるのがリテーシュ・デーシュムク君なんですね。これまで自分が何本か観たリテーシュ君映画は、割と情けない男やハチャメチャなお調子者を演じていることが多かったのですが、この作品ではもっと地に足の着いた信頼感のある役どころでしたね。リテーシュ君も決してイケメンというわけではないのですが、もともと気易くて心和ませる男優であるのも確かで、だからこその女性監督からの抜擢だったのかもしれませんね。まあしかし、いくら女になったとはいえ、元の親友とコトを行ってしまう、というのも考えようによっちゃ鬼畜展開ではありますが!

さてこの『Mr Ya Miss』、神様からの戒めで転生させられる、というお話の流れから、実にインド的であると同時に、ある意味教訓的な物語ということもできますが、決して押しつけがましくなく、ドタバタのギャグを通して男女がお互いを思いやる気持ちの大切さを描く、という部分に秀逸さを感じました。自分でやってる時は気付かない、自分がやられて初めて気付く、って実はよくあることですもんね。インドはどちらかというと男性主義的な国といった印象がありますが、製作年である2005年という段階で女性の立場からこういった映画が作られていたこともちょっと感心しました。

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HeadacheHeadache 2014/11/10 23:07 心が男の女ってけっこういて、私はそれがイヤでビアン界隈から離れたんだー。男になろうとするあまり男のダメな部分(下品だったり性差別的だったり頑固だったり古臭かったり)をコピーしてるタチビアンがはばきかしてるのに愛想が尽きて。ビアンに限らず、結構いると思う。

globalheadglobalhead 2014/11/11 11:00 つまんない男のプロトタイプやってもつまんない人になるだけでしょうにねえ。まあそういうオレがつまんない男じゃないかどうかは分かんないですが。そんなオレは普通に男だし、男的な思考をする、まあ要するにその辺に転がってる男ですが、相方からはよく「心は乙女だよねえ」と言われます。

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20141104(Tue)

[]消耗品軍団再々登場!新メンバーもいるぜ!〜映画『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』 消耗品軍団再々登場!新メンバーもいるぜ!〜映画『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』を含むブックマーク 消耗品軍団再々登場!新メンバーもいるぜ!〜映画『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』のブックマークコメント

■エクスペンダブルズ3 ワールドミッション (監督:パトリック・ヒューズ 2014年アメリカ映画)

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「あの消耗品軍団がみたび帰ってきたッ!?」という『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』です。シルベスター・スタローンさんを筆頭に、ジェイソン・ステイサム、アーノルド・シュワルツェネッガー、・・・ええと全部書いているときりがない人数のアクション・スターの皆々様が一同に会する【ムキムキ大量殺戮オヤジ大感謝祭】の3度目の開催というわけなんですな。今回の新たな出場者はメル・「マッドマックス」・ギブソン、ハリソン・「スター・ウォーズ」・フォード、アントニオ・「デスペラード」・バンデラス、ウェズリー・「脱税収監男」・スナイプス等々、さらに新機軸として若手俳優・スポーツ選手の大量雇用、といった目玉も用意されているわけなのでございますよ。

お話は例によって例の如しです。いつものように筋肉と火薬の匂いが3度の飯よりも好きな年寄り傭兵軍団の皆さんが三々五々連れ立ってなんだか恐ろしい敵をやっつけちゃう!というものです。今回の相手役はエクスペンダブルズの創立メンバーでありながら悪に身を落とした男・コンラッド・ストーンバンクス(メル・ギブソン)。しかしあまりの強敵ぶりに消耗品軍団団長バーニー・ロス(シルベスター・スタローン)は仲間たちを解雇、代わりに若くてピチピチした傭兵たちをリクルートし、決死の作戦に挑む!というわけなんですね。

いやあしかし今回は前回にも増して人多すぎ。ブルース・ウィリスみたいにいなくなった人もいますが、従来の消耗品軍団の増量と合わせ、さらに新人4人が参加です。よくこれだけの人数を揃え、しかもスター・新人分け隔てなくそれぞれに万遍なく見せ場を作っているわけですから、シナリオも編集もスケジュール調整も相当苦労したことでしょう。そういった細かな見せ場作りの為に、逆に人物背景などの掘り下げは全く無くなり、ただひたすらアクションの連続といった映画になってはいます。しかしキャラ背景は前作前々作でなんとなくやってるし、そもそもこの映画、「こんな俳優やあんな俳優が出てる!」ってことを楽しみにして観る「スター大喜利大会」でしょうから、観に行く方には問題ないでしょう。

今回の『3』では、監督自ら「前作みたいに俳優が棒立ちになって銃ぶっ放してるだけなのはヤダ」と言っている様に、それなりにアクションの見せ方は工夫されています。まああの「棒立ち連射」も馬鹿馬鹿しくて好きだったんですけどね。ただ「従来メンバーの活躍→解雇→新人傭兵のリクルート→新たな作戦実行」という流れは若干テンポを悪くしているかも。これ、冒頭に新人リクルートのシーンを持って来て、その後にこうなった経緯を回想する形にしたほうがよかったんじゃないのかな。そんな今回のニュー・カマーの中ではなんと言ってもアントニオ・バンデラスさんがその道化キャラのせいで目立つだけ目立ってましたね。ウェズリー・スナイプスさんは1作目からオファーがあった人だけに、旧メンバーとあっという間に溶け込んでいました。そしてハリソン・フォードさんは・・・いやあ、お爺ちゃんじゃんこれ・・・。それと『2』のチート・キャラ、チャック・ノリスさんの姿がないのはやはり寂しいし盛り上がりに影響しているような気がしました。

それにしても、もともとは「かつてのアクション・スターの夢よもう一度」と企画されたシリーズですから、大御所が揃い踏みで画面に登場しているだけでもう充分ともいえるシリーズなんですが、さらに欲張って若手新人も雇用、なーんて影には、意外と世代交代の目論見もあるのかもしれません。確かにスタローン(68歳)シュワルツェネッガー(67歳)だもんなあ・・・。最初はこの二人が並び立つ作品ってだけで楽しかったんですが、今はこの二人が顔を出すと「どっちも老けたなあ・・・大丈夫なのかなあ・・・」と逆に変な心配してしまいましたよ。かと言って新人だけの消耗品軍団とか言われても、先輩大スターと比べちゃうとどうしても華がないから、ちょっと難しいような気もしますね。そういえば女性だけのエクスペンダブルズなんて企画もあるようですが、これだったらまだ面白そうですけどね。

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エクスペンダブルズ (期間限定価格版) [Blu-ray]

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20141103(Mon)

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バイオハザード』の生みの親であり、現在ゼニマックス・グループの開発スタジオTango Gameworksを率いるゲームデザイナー、三上真司氏による新たなホラー・ゲーム、『サイコブレイク』をプレイしております。

主人公の刑事・セバスチャンは、市街地に建つアサイラム(精神病院)で発生した謎の大量死亡事件を調査すべく、相棒のジョセフ、後輩のキッドとともに病院を訪れる。だが彼は、捜査の途中で意識を失い、目を覚ますと眼前には、腐臭に満ちた世界が広がっていた。襲い来る異形の化物たちと、精神病院とは思えない風景。彼はいったい、どこに迷い込んだのか。“何もわからない”という恐怖と孤独に、男は追い詰められていく……。 (サイコブレイク - PlayStation.com)

とまあ、"どことも知れぬ悪夢の如き世界"にとりこまれ、そこでゲロゲロでグチャグチャなクリーチャーたちから逃げたり戦ったりしながら進めてゆくゲームなんですな。

とりあえず基本はステルスです。クリーチャーを避け物陰に隠れ中腰で抜き足差し足しながら勝機をうかがう、もしくは逃げ回る、時々鉄砲バンバン撃つ、そんな感じです。ただし銃弾は少ないので撃ちまくるわけにはいきません。敵はゾンビみたいなヤツが殆どなので(今のところ)、動きはゆっくりなんですが、実は主人公も足が速くないのでもたもたしていると追いつかれます。スキルアップの概念があり、セーブポイントとオートセーブを使い分けながらゲームを進行させてゆきます。

とまあ、『バイオハザード』ミーツ『メタルギア』みたいなゲームなんですよ。

ホラー・ゲームとしてはどうか?というと、「怖い」というよりも「グロい」「気色悪い」のほうが勝っているでしょう。いつもでもどこでもあたりは血糊と死体と臓物だらけ、ゲームしていても腐臭が漂ってきそうなぐらいです。ただ慣れてしまうと単なる「グロいアクションゲーム」になってしまうんですよ。例えば『アラン・ウェイク』の暗闇の恐怖・不安はないし、『ラスト・オブ・アス』の絶望感・無常感もないんです。一番近いのはホラーFPSF.E.A.R.』ですかね。あれも血糊と死体と心霊でしたから。S.T.A.R.S.とアンブレラの出てこない心霊要素込みの『バイオハザード』という言い方のほうが分かりやすいかな。

そういった部分で物凄く斬新なことをやっているってわけでも実はないんですが、ゲーム自体は適度なストレスと上手に敵を殲滅させたときの開放感のバランスがとてもよくて、この辺はさすがにベテラン・ゲームディレクターの仕事だな、という気がします。ホラー性よりもこういった作りの良さで楽しませるゲームですね。・・・とはいいつつ、ヌルゲーマーのオレにとっては結構難易度高くて、死んで死んで死にまくってます。これってちょっと覚えゲーも入ってるし…。ああ・・・心が折れそう・・・。

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サイコブレイク - PS4

サイコブレイク - PS4

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■いぬやしき(2) / 奥浩哉

いぬやしき(2) (イブニングKC)

いぬやしき(2) (イブニングKC)

GANTZ』の奥浩哉による新作コミック『いぬやしき』の第2巻。1巻目は超絶的な能力を手に入れた爺さんのそのハイパワーぶりを描き、この2巻目ではその敵役となる若者の残虐非道ぶりが描かれる。というわけで3巻目あたりからやっと本題って感じなのかな。あとちょっと『クロニクル』思い出した。

ドリフターズ(4) / 平野耕太

異界に召還された歴史上の人物らが敵味方に分かれて壮大な鍔迫り合いを見せる!というこの物語、良くも悪くも平野耕太の趣味全開で、物語それ自体よりも「平野節」を味わうとでもいうような作品である。でも平野さん面白い人だからマンガも面白いよ。あとちょっとフィリップ・ホセ・ファーマーのSF「リバー・ワールド・シリーズ」を思い出した。

ヴィンランド・サガ(15) / 幸村誠

ヴィンランド・サガ(15) (アフタヌーンKC)

ヴィンランド・サガ(15) (アフタヌーンKC)

やっとヴィンランドを目指すのか?!と思ったら今度は諸事情によりなんとギリシャに旅立つという。で、これが片道1年とか…また山あり谷ありのドラマが展開するんだろうけど、多分このギリシャ編だけでまた単行本15巻分とか続くんだろなあ…。先長い…。

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