インド・ラブコメ2作〜リティク・ローシャン主演『Mujhse Dosti Karoge!』 / シャー・ルク・カーン主演作『Dil To Pagal Hai』

■幼馴染に恋しちゃったけどなんだかややこしいことになっちゃった!?〜映画『Mujhse Dosti Karoge!』(監督:クナール・コーリー 2002年インド映画)


幼馴染に恋しちゃったけど、なんだかややこしいことになっちゃった!?というラブ・コメディです。リティク・ローシャン、ラーニー・ムケルジー、カリーナー・カプールといったボリウッド・スターが共演しているのが見所ですね。
お話はというと、まず男子一人に女子二人の幼馴染3人組がインドにおったわけです。彼らの名前はラージ(リティク)とプージャ(ラーニー)とティナ(カリーナー)。しかしラージがイギリスに引っ越すことになり、ティナと文通を約束しますが、彼女はホントは文通に興味が無くて、プージャがこっそり代わりに返事を出していたわけですな。ラージは成長してインドに帰郷し、文通相手だとラージが思い込んでいるティナに早速恋のアタック、ティナはティナでまんざらでもなく結婚まできまってしまいます。一方本当に文通を交わしていてラージに恋していたプージャはすっかり落ち込んでしまうのですが、この恋の行方はいかに…というものなんです。
思い込みの激しいリティク、ひたすらコンサバなカリーナー、いつも複雑な表情のラーニーと、それぞれにキャラの合った配役になっているのが判り易かったです。物語はその後プージャの結婚相手としてウダイ・チョープラが登場するんですが、二の線の役で出てくるウダイ・チョープラ、いろいろ違和感がありまくってこれはこれで楽しいです。しかしまあ、いじらしいといえばいじらしいのですが、じれったいといえばじれったい物語でもあり、「あーもうさっさとホントのこと言っちゃえば済む話じゃんかよ!」と思えなくないこともありません。一回決まった結婚を解消するのは大変かと思いますが、この葛藤で最後まで引っ張ってしまうんですよ。それを『DDLJ』や『Kuch Kuch Hota Hai』の余り物みたいなサウンドトラックでロマンチックに盛り上げられてもちょっと納得いかないんですよ。
それと、一歩引いて観て見ると、ラーニー・ムケルジー、カリーナー・カプールというギンギンなお姐さん二人に、とっぽい若造のリティク・ローシャンが振り回されていると見えないこともありません。これがシャールクだったらもうちょっと上手な駆け引きが出来たようなきがするんですんけどね。この辺でちょっとリティクのキャラが弱かったかな、と思いました。

■ダンス・カンパニーに燃え上がる恋〜『Dil To Pagal Hai』 (監督:ヤシュ・チョプラ 1997年インド映画)


ダンス・カンパニーを舞台にそのディレクターとダンサーが「真実の愛」に目覚めるまでを描くシャー・ルク・カーン、マードゥリー・ディークシト主演のラブ・ロマンス作品です。また、アクシャイ・クマールがゲスト出演しています。監督はヒンディー映画界の大監督ヤシュ・チョプラ。
物語の主人公であるダンス・カンパニーのプロデューサー、ラーホール(シャールク)はダンサーのニシャー(カリシュマー・カプール)と交際していましたが、彼女は骨折してしまい、代役を立てることになります。その新しいダンサー、プージャー(マードゥリー)にラーホールは恋してしまいますが、彼女にはアジャイ(アクシャイ)という婚約者がいた、という展開なんですね。要するに交際相手のいる者同士が別の相手に気が移っちゃう、というお話です。
さてダンス・カンパニーが舞台だということでダンス・シーンがふんだんに盛り込まれてはいるんですが、これがなんといいますか、どうも古臭くてセンスが悪い。いわゆるジャズ・ダンスなんですが、なんかもう「円ショップ武富士」状態なんですよ。コレオグラファーは監督としても有名なファラー・カーンと、あとシアマク・ダヴァルという方が担当だということですが、大勢がカニ歩きしながら手足パタパタさせるのって、1997年当時は斬新だったのかしらん。
お話のほうも「人は沢山の恋をするけれど真実の愛は一つだけさ!」みたいなかっこいいこと言ってますが、いや単に目移りしただけだろー?別の女性に乗り換えただけじゃんかよー?としか思えなくて、いまいち盛り上がらないんだよな。それとこの作品でのシャールク、出演時は30代になったばかりの頃ということもあってか、なんだかガサツで小生意気で結構ウザイです。イタズラ好きという性格設定らしいのですが見ていてなんとなくイラッとさせられます。でも劇中かなり器用にドラムを演奏するシーンがあり、これはなんだか意外でした。
それに対してマードゥリー・ディークシト、これが素晴らしい。時代を感じさせない美人女優であったり踊りが達者だったりというだけでなく、ああこの人演技が上手いなあ、と感じさせてくれるですよ。マードゥリーの作品は殆ど観たことはないのですが、いかにも女性的なヒロインの役柄ばかりだけではなく、本当はいろんな役柄をこなせられる女優なんじゃないかと思いましたね。このマードゥリーに若き日のシャールクがからむと、なんだか綺麗なお姉さんが悪ガキに困らされているようにしか見えないのもちょっとナニだったなあ。