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メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

20161125(Fri)

[]少年二人が発明した"夢の車"で冒険の旅が始まる〜映画『グッバイ、サマー』 少年二人が発明した"夢の車"で冒険の旅が始まる〜映画『グッバイ、サマー』を含むブックマーク 少年二人が発明した"夢の車"で冒険の旅が始まる〜映画『グッバイ、サマー』のブックマークコメント

■グッバイ、サマー (監督:ミシェル・ゴンドリー 2015年フランス映画)

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フランスを舞台に、14歳になる男の子二人の友情と冒険を描いた映画がこの『グッバイ、サマー』だ。これだけだと子供たちによるありふれた青春ドラマのように思えるけど、なんと監督はあのミシェル・ゴンドリーなのである。これはただで済む筈がない。

ミシェル・ゴンドリー。オモチャ箱をひっくり返したようなビジュアル・センスの監督で、結構お気に入りだ。PV集のDVDも楽しかったし『エターナル・サンシャイン』(2004)や『僕らのミライへ逆回転』(2008)も素敵な映画だったな。極めつけはボリス・ヴィアン幻想小説を映画化した『ムード・インディゴ うたかたの日々』(2013)だろう。悲痛な愛を変幻自在の映像で描いたこの作品はオレ自身の2013年日本公開作品ベスト作品にも推した(ええと、『グリーン・ホーネット』(2011)だけは勘弁して下さい……)。

そんなミシェル・ゴンドリーが描く14歳の青春とはどんなものなのだろう?そもそも"青春ストーリー"だなんてしゃらくさいし、自伝的ストーリーとは銘打っているけど、なんだか感傷的なだけだったりしないだろうか?などと若干の心配もあったが、いや全くそんなことはなかった。なんと主人公となる二人の少年、「家型の車」を作って旅に出るのである。「家型の車!?なんじゃそりゃ!?」と思われるかもしれない。いやしかし、ホントに「家型の車」なんですよ!?

物語を説明しよう。主人公の名はダニエル(アンジュ・ダルジャン)。ちょっと変わった性格の彼は、女の子みたいな容姿をしていることもあってクラスでは浮いた存在だった。家ではパンクな兄や意識の高い母親(なんとオドレイ・トトゥ!)にうんざりする毎日。そんな彼の生活が転校生テオ(テオフィル・バケ)の登場により一変する。決して周囲に溶け込もうとしないテオとダニエルはすぐに意気投合した。絵を描くことの好きなダニエルと、手先の器用なテオはまさにうってつけのコンビだったのだ。「親も学校も下らない!こんな毎日から逃げ出してやる!」そう決意した二人は、スクラップを集め「夢の車」を作って大冒険の旅に出ることを計画したのだ!

そう、そしてこの「夢の車」というのが↑のポスターに写っている「家型の車」なのである。なんで"家型"なのか?実は最初、車までは作ったのだけれど、よせばいいのに運輸局の許可を貰おうとして断られたのだ。「じゃあこうしよう。車体を家の形にするんだ。そしてもしも警察に見つかりそうになったら、道端に止めてあたかも最初から家だったかのように偽装するんだ!」子供の考えることとはいえ、いや子供の考えることだからこそ、なんとまあこの自由な発想!そもそも公道を「家型の車」が走ってたらそっちのほうが目立つに決まってんじゃん!とは思うが、田舎町だったからなのかなんなのか、二人の計略はまんまと成功し、かくして二人と「家型の車」とのロード・ムービーの始まり始まり!というわけなのだ。

この「家型の車」の登場により既にしてミシェル・ゴンドリーらしい稚気溢れる摩訶不思議さが漂っている作品だと言わざるを得ないだろう。ゴンドリーの自伝的映画とはいえ、ホントにこんな車を作ったのかどうかは定かではないが、少なくとも常にこういった自由な発想の中で遊び、そんな想像力を駆使した物作りの喜びに浸る少年時代であったろうことは、その後の活躍を見れば明らかな事だ。そしてそんなゴンドリーの少年時代に、テオのような無二の親友がおり、輝くばかりの夏を過ごしたであろうことも十分に伝わってくる。道中では様々な珍事件が起こり、それらのエピソードはどれもクスリと笑わせてくれる結末を迎え、またはしんみりとさせ、そしてそれらの体験が二人の友情をさらに篤くしてゆくのだ。そして物語ではダニエルのちょっとした恋の顛末までも描かれる。

オレは子供時代は、こんな車こそ作れなかったけど、一番近いのだと「秘密基地」だなあ。友達と集まって、木っ端やらその辺の廃物を持ち寄り、空き地の隅に「秘密基地」を作ったもんだった。そしてその「秘密基地」の中に友達と籠り、アニメや特撮ドラマの「秘密基地」を想像の中でそこに重ね合わせ、敵のスパイや怪人や宇宙人と戦う計画を練っていたのだ。空き地の隅っこだから秘密もなにもないんだけれど、そこで進行する妄想の中の出来事はなにより秘密計画で、そしてそれは友達同士の中でだけ分かち合われた"秘密"だった。ダニエルとテオが作った「家型の車」の中は、それは親や学校や乱暴なクラスメイトが決して立ち入ることの出来ない、あたかも「絶対領域」の如き心地よい世界だったに違いない。

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