Hatena::ブログ(Diary)

メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

20170428(Fri)

[]海上にそびえ立つ地獄〜映画『バーニング・オーシャン海上にそびえ立つ地獄〜映画『バーニング・オーシャン』を含むブックマーク 海上にそびえ立つ地獄〜映画『バーニング・オーシャン』のブックマークコメント

バーニング・オーシャン (監督:ピーター・バーグ 2016年アメリカ映画)

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どひゃああ!地獄じゃ!地獄じゃ!映画『バーニング・オーシャン』は海に浮かぶ地獄を描いたパニック映画なんじゃあ!地獄と言ってもホラーじゃない!2010年メキシコ湾沖で実際に起こった海底油田爆破事故を映画化したものなんじゃあ!

そこはメキシコ湾沖約80キロの洋上に位置する石油掘削施設「ディープウォーター・ホライズン」。この施設、海に浮かびながら自動で位置を調節し、海底から石油を掘削することができる施設なんだね。ここでは126人もの作業員が従事している。この日、技師のマイク(マーク・ウォールバーグ)と施設主任ジミー(カート・ラッセル)は交代要員として施設へとやってきたが、雇用主であるBP社管理職員ヴィドリン(ジョン・マルコビッチ)は、工期の遅れを取り戻す為テストを省いて強硬に掘削作業を進めようとしていた。そんなヴィドリンの要請をジミーは断固として拒否していたが、しかしジミーのいない間に掘削作業が開始されてしまう。そして悲劇が起こってしまう。海底油田から逆流した天然ガスが引火し、それは次々と施設内を爆破してゆき、ありとあらゆるものを焼き払い、遂に「ディープウォーター・ホライズン」は「海にそびえたつ地獄」と化したのだ。施設内に取り残された126人の運命は!?

それにしても「ディープウォーター・ホライズン」っていう施設名だけでホラー映画ファンはグジャドロ宇宙ホラー映画『イベント・ホライズン』を思い出しちまうよな。石油掘削施設を舞台にした韓国産モンスターパニック映画『第7鉱区』ってのもあったね。それとかレニー・ハーリンのサメパニック映画『ディープ・ブルー』やら、こちらは深海が舞台の『ザ・デプス』やら、なにしろ海は怖いことだらけだよ!そしてこの『バーニング・オーシャン』は、海を舞台にした『タワーリング・インフェルノ』ということが出来るかな。あれも阿漕な経営者のせいで高層ビルが丸ごと「そびえたつ地獄」になっちゃう映画だったからね。カート・ラッセルと大火災ということなら『バックドラフト』という映画もあったね。

最初映画を観る前は、「石油掘削施設の火災事故の映画かー、実話っていうのがなんだか辛気臭そうだし、そもそも舞台としちゃあなんかちっちゃくない?」ぐらいにしか思ってなかったんだよ。だけど映画を観始めてみると、「ディープウォーター・ホライズン」のロケーションがなにからなにまでリアルで、あっという間に引き込まれてしまうんだよ。似たような施設をロケハンしたりもしたんだろうけど、その不愛想な剥き出しの鉄の塊みたいな建造物がドーンと海の上に浮かんでいるだけで、既に禍々しい雰囲気を醸し出しているんだね。ここでグルグル回ったりグオングオン動いたりしている巨大な機械装置を見ているだけで既に背筋がぞわぞわしてくるんだよ。

そしていよいよ大惨事が起こってしまう。もうここからスクリーンに目が釘付けですよ!大爆発!大炎上!大崩壊!なにもかもが破壊され燃え上がり崩れ落ちてゆき、あっちもこっちも地獄地獄地獄!!そんな阿鼻叫喚の地獄絵図の中で逃げ場を求め右往左往する人間たち!いやもうオレこのこの大破壊の光景があまりにも凄まじすぎて、大変、大変不謹慎なこととは思われますけれども、「ウヒャヒャ!ウヒャヒャ!みんなぶっ壊れてゆく!みんな燃え上がってゆく!楽しいのう!楽しいのう!」と半笑いしつつうっとりとスクリーンを眺めておりましたよ(←バカ)!この辺、2015年公開の大地震映画『カリフォルニア・ダウン』を観た時と同じぐらい興奮しまくったなあ!

いや実際には、多数の死傷者が出て、原油流出により環境にも多大の被害を出した大事故ではあるんだけれども、「映画」という「見世物」にした途端に、これがもう圧倒的なまでに壮絶なディザスタームービーとして楽しむことができちゃうんだから罪なもんかもしれない。とか言いつつ楽しかったから全然罪とは思わないけど。映画それ自体も、実話としての重さや経営陣の社会責任ということよりも、「大災害の中に取り残された人間の行動」をクローズアップしていて、登場人物たちに共感しながら、一緒に恐怖を味わいながら、「死にたくない!どうしたら生き延びられるんだ!」と手に汗握ればいいんだと思うんだよ。そしてこのとんでもなくリアルな視覚効果により、この映画は第89回アカデミー賞の「視覚効果賞」と「音響編集賞」にノミネートされたぐらいなんだね。

というわけで、最初全然期待していなかったんだけど、この『バーニング・オーシャン』最高に面白かったなあ!↓に予告編貼っておいたけど、実際はこの100倍ぐらい凄まじいことになってるから!主演のマーク・ウォールバーグカート・ラッセルも実に男臭くて、これがまた次第に油臭く煙臭く血生臭くなってゆく汚れ具合がまたよくて、対するジョン・マルコビッチの冷淡で卑劣な演技がまたもや憎々しくて、そんな俳優陣を眺めるのもまた楽しかったよ!気になった方は是非観に行くといいよ!

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20170427(Thu)

[]『水曜どうでしょう』DVD第26弾・「四国八十八カ所III ・日本全国絵ハガキの旅2」を観た 『水曜どうでしょう』DVD第26弾・「四国八十八カ所III ・日本全国絵ハガキの旅2」を観たを含むブックマーク 『水曜どうでしょう』DVD第26弾・「四国八十八カ所III ・日本全国絵ハガキの旅2」を観たのブックマークコメント

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『水曜どうでしょう』のDVD第26弾は「四国八十八カ所III」と「日本全国絵ハガキの旅2」のカップリングである。

それにしても「四国八十八カ所III」……。こんなのをもう3回もやってんのか……。1回目も2回目も観ているがよく覚えていない。その前フリとなる「試験に出るどうでしょう」はそれぞれ印象深かったが、「四国八十八カ所」については「なんかそんなのもやってたなあ」ぐらいしか記憶がない。要するにそれぐらいグダグダだったのである。しかし考えてみてほしい。「どうでしょう」は基本がグダグダでとりたてて内容の無いものなのである。そういった意味では最も「どうでしょう」らしい企画かもしれない。そして「IV」「V」と続いたとしても(続いたの?)「またやんのかよ!」とか言いつつ観ているオレであろう。

しかし、実は今回の「四国八十八カ所」、個人的にはとても興味深く観ていたのである。なぜなら、このDVDが発売された頃に四国旅行(正確には徳島旅行)を計画していたからである。しかもこの四国旅行、車での移動を予定していたので、「四国の道路事情というのはどうなっているのであろうか?」と思っていた矢先なのである。まさに渡りに船、棚から牡丹餅である。ちなみにその四国(徳島)旅行についてはオレのブログで「四国徳島カピバラ旅行」というタイトルでもってここここここここの4日間に渡ってまとめてある。

そしてこのDVDで語られていた四国の道路事情は「道が狭い」「カーブが多い」、そしてそんな道を走るものだから「車に酔う」ということであった。実際車を走らせてみると四国の道は確かに道が狭くカーブが多い。この辺DVDを観ていたので大いに心構えすることが出来た。なんと「どうでしょう」が実生活の役に立つことがある、という驚くべき事例である。しかも今回の旅行は山道が多かったから「断崖絶壁みたいな道を走ることになってタマヒュン状態」でもあった。ただし、車に酔うことは無かった。

もちろん今回のオレの旅行は四国八十八カ所お遍路の旅でもなんでもなかったし、さらに徳島限定でもあり、寺を見る予定もなかったけれども、ロードマップを広げた時に「どうでしょう」にあったように"寺が固まっている場所"を見つけ、「あー徳島のこの辺は寺が固まってて回りやすいって言ってたなー」などと思いだして、番組とのシンクロを楽しんだ一瞬もあった。今回の旅行は時間が限られていたので無理ではあったが、せめて一番札所である徳島の霊山寺ぐらいは寄って行けばよかったかな、とちょっと後悔している。

今回のDVDを観てはっとさせられたのは「どうでしょうは旅番組なんですよ!」と誰かが言っていたことだろう。オレは「どうでしょう」はメンバーが無理難題を吹っ掛けられてグダグダ愚痴り合いをする様を楽しむ番組だと思っていたが、確かにやっていることは旅なのだ。当たり前のことだがすっかり忘れていた。そういえば徳島の高速道路を走らせていた時、「「どうでしょう」だったらこういうシーンであの曲が掛かるよね!」と水曜どうでしょうエンディングテーマ「1/6の夢旅人2002」をスマホのYouTube経由で流して、大いに盛り上がった記憶がある。そう、あの時オレは、どうでしょうメンバーの一人として四国の道を走っていたのである(なんだこの綺麗なまとめ方は)。

ちなみにカップリングの「日本全国絵ハガキの旅2」は、ミスターがとんでもない絵はがきを引いてしまいメンバー一同阿鼻叫喚の大騒動となった、という捧腹絶倒篇である。さらにラスト、インチキの限りを尽くした締め方があまりに「どうでしょう」らしい、実に楽しい必見の一作となっている。

購入はこちらで。

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20170426(Wed)

[]最近読んだコミック 最近読んだコミックを含むブックマーク 最近読んだコミックのブックマークコメント

暗黒神話 完全版 / 諸星大二郎

暗黒神話 完全版 (愛蔵版コミックス)

暗黒神話 完全版 (愛蔵版コミックス)

暗黒神話』。諸星大二郎の名を伝説にまで高めたあの超名作が「完全版」となって登場である。オリジナルが1976年発表というから、これはもう40年を経た逆襲と言わざるを得ない。これはもう買って、そして読まねば話にならない。内容についてはもはや説明しない、漫画というメディアを愛する方ならあまねく読むべき作品であり、凄まじいイマジネーションで生み出された魂凍える恐るべき物語である。なにより今回の「完全版」はオリジナルより100ページ余り加筆しての作品である。ここからして既に本書を読んだ方も所有している方も再び購入して読まねばならない理由である。さらに丸背ハードカバー箱入り上製本だ。装丁は祖父江慎だ。本編は銀インクまで使用した二色刷りでこの印刷効果が物語の妖しさをさらに倍加させる。気になるお値段は3456円と少々高価だが、一生ものの家宝がこの値段で手に入ると思えばタダみたいなものではないか。最後にもう一度書く、諸星大二郎の『暗黒神話』が完全版となって蘇った。買って、そして読みなさい。

【諸星大二郎特集・前編】伝奇コミック不朽の名作『暗黒神話』に超豪華な完全版が登場!奇才・諸星大二郎作品を今こそ読み直そう! | 集英社コミックシンク

愛蔵版コミックス『暗黒神話』

■BOX~箱の中に何かいる~ (2) / 諸星大二郎

BOX~箱の中に何かいる~(2) (モーニング KC)

BOX~箱の中に何かいる~(2) (モーニング KC)

その諸星による新作『BOX~箱の中に何かいる~』第2巻。1巻目では映画『CUBE』の如き不条理なパズル漫画と思わせておきながら、この2巻ではパズルそっちのけで諸星らしい仄暗いドロドログヂャグヂャの世界が展開するのである。また、伝奇要素を極力排したという部分で諸星の新機軸ともなる作品でもある。60半ばを超え新機軸とは恐れ入る。とはいえこの物語、読んでいるとかつての諸星作品のカットによく似た箇所が登場して面白い。あれは「生命の木」だろ!これは「ヒルコ」だろ!これなんか「生物都市」だよな!と発見しつつ読むとこれまた楽しみが倍加する。それとこの作品、性同一性障害やホモセクシャルにやんわり言及しているところが諸星の作品にしては珍しい。

アイアムアヒーロー(22) / 花沢健吾

アイアムアヒーロー 22 (ビッグコミックス)

アイアムアヒーロー 22 (ビッグコミックス)

アイアムアヒーロー』、完結。いやあ、これまで長かったような短かったような。1巻初版が2009年だからほぼ8年か。ここまでダレずによく続いたもんだ。振り返ると、主人公英雄以外がメインとなって進行する物語は全部省いてもお話として通用してしまうので、まあ人気にあやかった水増しもあったのかもしれないが、それが先細ってきたのは作者が飽きてきたからなのではないか。なにしろ第1巻から2巻にかけての計算された綿密な構成は作者の並々ならぬ力量の賜物であろうけれども、そんな作者が水増しを余儀なくされるのは本意では無かったのではないかと真偽も知らないくせに勝手に想像している。そしてだからこその「投げっ放し」と世の不評を買ったラストだったのではないか、とこれも勝手に想像している。だけどさあ、この物語、突き詰めちゃうとSFになっちゃう訳で、作者はそこを主人公英雄の個人的ルサンチマンの物語として最後は落としたかったんじゃないのかな。さらに言うと21巻まで突っ走りに突っ走ったこの物語が、まるで未完みたいな終わり方をするのは、要するに物語は永遠に続いているってことでもあるんじゃないかな。と、とても好意的な意見のオレである。

■レイリ(3) / 室井大資岩明均

「武田VS織田の乱世、数奇な運命を少女・レイリは失踪する!!」という時代劇コミック『レイリ』の第3巻。原作の岩明均は長大な歴史サガ『ヒストリエ』に行ってしまったまま多分もう帰ってこないと思うので、岩明テイストのもう一面を鮮やかに描くこの作品は実に嬉しい。そのもう一面とは冷え冷えとして描かれる暴力と死である。さらにその「死」に憑りつかれた主人公少女という設定がまたいい。グラフィック担当の室井は岩明よりも情念の籠った絵を表出し、岩明テイストからさらに一歩踏み込んだ物語世界を展開している。

ヴィンランド・サガ(19) / 幸村誠

ヴィンランド・サガ(19) (アフタヌーンKC)

ヴィンランド・サガ(19) (アフタヌーンKC)

話が進んでるのか進んでないのか全く分からない(それはオレが粗筋をすっかり忘れているから)ヴィンランド・サガ新刊、いつになくギャグ要素が増えているような気がするが、なんかこれ平野耕太の影響も強いんじゃないのか。ヴィンランド・サガでこんな吹くとは思わなかったぞ。

監獄学園(24) / 平本アキラ

監獄学園(24) (ヤンマガKCスペシャル)

監獄学園(24) (ヤンマガKCスペシャル)

監獄学園騎馬戦大会、ようやっと終わりが見えてきた。引っ張り過ぎだ平本。もうアストロ球団並じゃないか。そしてヒグマの如く巨大化したアンドレはこの巻ではもうゴジラ並の巨獣と化しているではないか。さらに覚醒した副会長はなんだか合体ロボ状態じゃないか。なんなんだいったい。馬鹿馬鹿しくていいけど。

■WOMBS(1) / 白井弓子

WOMBS(1) (IKKI COMIX)

WOMBS(1) (IKKI COMIX)

本年度日本SF大賞を受賞したコミック『WOMBS』の第1巻は無料お試し読みできますよー。

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20170425(Tue)

[]カピが可愛いいしいひろしの絵本『たべてみたい!』 カピが可愛いいしいひろしの絵本『たべてみたい!』を含むブックマーク カピが可愛いいしいひろしの絵本『たべてみたい!』のブックマークコメント

■たべてみたい! / いしいひろし

たべてみたい! (MOEのえほん)

いしいひろしさんが描いた絵本『たべてみたい!』は3歳以上推薦です。

これを読んだオレは3歳以上なので全然問題ありません。

『たべてみたい!』は表紙絵から分かるようにカピバラが主人公となります。

3歳以上推薦の絵本をオレがなぜ読んでいるかというと、ひとえにカピバラ好きだからです。

そしてこの絵本のカピが、とっても可愛いんです!

いしいひろしさんはカピバラの可愛らしさをよく理解して描いていますね!

そして絵本だから何度も本を開いて「カピ、可愛いなあ」と思っちゃうんですね。

それにしてもカピバラはパステル調の画材が似合いますね。

この絵本の中には他の動物も登場しますが、デフォルメなしで結構リアルに描かれているんですね。

で、実際カピもそれほどデフォルメしてないんですが、もともと体型がああだから、

何故かデフォルメしてあるように見えるというのがとても可笑しい!

そもそもデフォルメされているように見えてしまう動物なのかカピバラは!?

たべてみたい! (MOEのえほん)

たべてみたい! (MOEのえほん)

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20170424(Mon)

[]万里の長城を舞台にしたシルクパンク・ファンタジー映画『グレートウォール』 万里の長城を舞台にしたシルクパンク・ファンタジー映画『グレートウォール』を含むブックマーク 万里の長城を舞台にしたシルクパンク・ファンタジー映画『グレートウォール』のブックマークコメント

■グレートウォール (監督:チャン・イーモウ 2016年中国・アメリカ映画)

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映画『グレートウォール』である。「万里の長城」である。最初映画館でこれの予告編がやっているのを観て、「へー、万里の長城を舞台にした中国の歴史合戦モノかー、『レッドクリフ』みたいな映画なんかなー」と思ってると、なんとマット・デイモンが出てきて「ありゃ?」と驚かされる。「まあこの時代の中国に白人が紛れ込んだとしてもおかしくはないかもしれんが……」と心を落ち着けてると、兵士の皆さんが戦っている相手がなんだか変だ。「え?これ、モンスターじゃないかよ!?なんなんだよこの映画!?」こうしてオレの頭は混乱の極みに達したのである。

そう。映画『グレートウォール』は、宋代と呼ばれる当時の中国王朝の兵士たちが、万里の長城を舞台に、大群となって押し寄せるモンスターと熾烈な戦いを繰り広げる、いわば"トンデモ"系の映画だったのである。「いやあ、どうなってんだコレ……」。相当キワモノの臭いがするが、アルバトロス産B級モンスターパニック映画並みの馬鹿馬鹿しさを期待して、そして映画としてはなにも期待せずにオレは劇場へと足を運んだというわけである。

物語としては「黒色火薬を求めてはるばるヨーロッパからやってきたマット・デイモンとその一行がモンスターに追われ万里の長城に辿り着き、そこで長城軍に協力してモンスター討伐に乗り出す」というごく単純なもので、キャラには特に深みは無いし人間関係もお仕着せみたいだしそもそもマット・デイモンが登場する必然性も無い。それよりも万里の長城を舞台にした人間vsモンスターの攻防を徹底的に見せることが中心となっている。万里の長城に雲霞の如くわらわらと攻め入る無数のモンスターの様子は、映画『スターシップ・トゥルーパーズ』のバグや『ワールド・ウォーZ』のゾンビの群れを彷彿させて、そのとんでもない数とスピードに固唾を飲まされる。

それに対する長城軍兵士は、弓矢や槍や爆裂火の玉やなどあらゆる武器を使ってモンスターに応戦する。この人間vsモンスターの万里の長城を守るための戦いは、どこか『ロード・オブ・ザ・リング』で繰り広げられた凄まじい攻城戦を思い出させた。この長城軍兵士たちは、役割に応じて赤青黒と色分けされた凝った意匠の甲冑を着こんでおり、この辺のリアルさにこだわらないデザインセンスはゲーム『真・三国無双』あたりに通じるものがあるなあと思った。

それだけでなく、万里の長城にはあれこれからくりや仕掛けが施してあったり、気球に似た移動装置が登場したり、「女子バンジージャンプ突撃槍隊」という派手な見た目のわりに残念な攻撃力しか持たない戦法を繰り出したりと、荒唐無稽さには益々拍車が掛かる。時代に見合わないこういった奇々怪々な装置の数々が登場する様は、スチームパンクならぬ"シルクパンク"ファンタジー作品としてこの映画を呼びならわしてもいいかもしれない。

"シルクパンク"というのは中国系アメリカ人SF作家ケン・リュウによる造語であり、スチーム=イギリス産業革命により生み出された架空テクノロジーに対する、よりアジア的な架空テクノロジーを指すものだ。映画に登場する架空テクノロジーはケン・リュウの定義よりも外れるが、それでも現実には存在しなかった幻想の万里の長城の戦いには似つかわしい言葉のような気がする。それと併せ、万里の長城の周囲の光景はせり出した岩山など現実に有り得ないものばかりで、「実はこれ、地球外惑星に植民した中華文化圏の人々が歴史を経てテクノロジー的後退を起こし、その中で原生生物と戦いを繰り広げるというSF作品だったんじゃないのか!?」と勝手な妄想までしてしまったぐらいである。SF者というのは基本的に妄想だらけの難儀な人間なのである。

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20170421(Fri)

[]異質な思想背景を持つ社会集団同士の対立〜ヴィゴ・モーテンセン主演映画『はじまりへの旅』 異質な思想背景を持つ社会集団同士の対立〜ヴィゴ・モーテンセン主演映画『はじまりへの旅』を含むブックマーク 異質な思想背景を持つ社会集団同士の対立〜ヴィゴ・モーテンセン主演映画『はじまりへの旅』のブックマークコメント

■はじまりへの旅 (監督:マット・ロス 2016年アメリカ映画)

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映画『はじまりへの旅』はアメリカ北西部の森林地帯で社会を拒絶しながら生活するある一家が、家族の死をきっかけに町へ出ることにより騒動に巻き込まれる、といった物語だ。主演はヴィゴ・モーテンセン

ヴィゴ演じる父親ベンは6人の息子・娘と共に森の中で自給自足の生活を営んでいた。ベンの厳格な教育により、子供たちはずば抜けた体力と知力を兼ね備え、さらに父親譲りの自由な考えを持つ人間に育っていた。しかし都市部に入院していた母の死を知り、一家は都会に出ることを余儀なくされる。だが資本主義社会と束縛に満ちた社会通念を真っ向から否定する彼らは行く先々で騒動を起こす。そして、仏教式の火葬を望んでいた母がキリスト教式の埋葬をされると知った時、彼らの怒りは頂点に達する。

映画を観ながら最初に思ったのは「ヒッピーコミューンの現代版かいな」という事だった。「伝統・制度などの既成の価値観に縛られた人間生活を否定することを信条とし、また、文明以前の自然で野生生活への回帰を提唱する人々*1」を指すヒッピーは、60年代後半に巻き起こった若者たちのカルチャー・ムーブメントだった。それは大まかにいうならベトナム戦争とそれを引き起こしたアメリカ社会へのアンチテーゼという意味合いもあった。

ただ『はじまりへの旅』の登場するベン一家とヒッピームーブメントが違うのは、そこにカルトの匂いがしない事と、薬物と(なにしろ家族だから)フリーセックスが存在しないことだろうか。原始的な自給自足体制の中で生活する彼らはどこかアーミッシュ社会と通じるものもあるが、アーミッシュがその根幹にキリスト教教義があるのに対し、ベン一家の信条とするのは「社会と資本からの自由」ということであったのだろう。ベン一家は強靭な肉体と強烈な理論武装でもって社会の個人への思想的拘束を全否定していた。

しかし映画が始まってしばらく経つと、主人公ベンの信条がどこか矛盾を孕んでいることに気付かされる。原始的な生活を営んでいるとはいえ、彼らの使うサバイバルナイフも、ロッククライミングに使う登山道具も、彼らが乗り込むバスも、さらには様々な知識と思想の書かれた本も、それら全ては豊かな資本が生み出したものだからだ。資本とは搾取であり貨幣とは悪習であるという思考から万引きするというのも、結局は生産者からの搾取行為ということになってしまう。要するにちぐはぐであり、言ってしまえばこじらせたインテリのニューエイジごっこにしか思えなくなってしまうのだ。

さらに言ってしまえば、人間社会から隔絶した世界で高邁な理想だけを子供たちに叩き込んだところで、子供たちの生きていける世界はその隔絶した世界だけでしかなくなってしまう。社会性の皆無なオレが言ってもなんの説得力もないが、人間は一応社会的な生き物でもあるわけで、そこを教えないのなら実践の存在しない理論だけを頭に貯め込んでしまうだけではないか。

……などということをブチブチ思いがら観ていたのだが、この物語においてベン一家が争点とする重要ポイントが「妻(母)の埋葬」の在り方である、という部分で、「あ、これはネオヒッピーのニューエイジ物語とちょっと違うな」ということにようやく気付いた。埋葬の在り方、というのは信教の在り方、ということである。しかし、死んだベンの妻は仏教徒だから、という説明はあるが、ベン一家が仏教徒であることも他の信教があることも特に説明されない(またはオレの見過ごしかもしれない)。

ここで、宗教を特定しないのなら、それは信教の形で抽象化された「別の何か」なのであり、さらにはネオヒッピー的な生活描写すら、実は通念的な社会とは異質な「別の何か」を象徴化したものなのだと言えないだろうか。その「別の何か」とは異質な思想背景を持つ社会集団のことであり、その社会集団と通念的な社会との衝突を描こうとしたのがこの物語ではないかということだ。

これは例えば、欧米キリスト教社会とイスラーム教社会であり、社会共産主義国家と資本主義国家であり、その他人種や性差、社会階級を含むあらゆる対立項にある社会集団を暗喩したものがこの物語だったのではないかと思うのだ。大風呂敷を広げたように思われるかもしれないが、この作品はアメリカ映画であり、即ちこれは、もうひとつの「アメリカ現代社会の縮図」を描こうとしたものではないのだろうか。そしてその縮図の中で、「それぞれが自由でいられること」を模索しようとしたのがこの作品だったのではないか。

それともう一つ、この映画の原題は『Captain Fantastic』となっているが、これは、英国のポップ・スター、エルトン・ジョンが1975年にリリースした名作中の名作アルバム『キャプテン・ファンタスティック(Captain Fantastic and the Brown Dirt Cowboy)』の同名曲から採られているのではないだろうか。この曲はエルトン・ジョンをなぞられた"キャプテン・ファンタスティック"と彼の盟友である作詞家のバーニー・トーピンをなぞらえた"ブラウン・ダート・カウボーイ"が、いかにショウビズの世界で悪戦苦闘しながら彼らの居場所を築こうとしたかが歌われるが、これは映画の主人公ベンこと"キャプテン・ファンタスティック"と、彼の家族である"ブラウン・ダート・カウボーイ(ズ)"が、いかにこの社会で悪戦苦闘しながら彼らの居場所を築こうとしたかに重ね合わせられているような気がするのだが、これは牽強付会だろうか。とはいえ、邦題の『はじまりへの旅』って、映画を観終っても何のことかよく分からなかったが。

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はじまりへの旅  【サントラ盤】

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キャプテン・ファンタスティック+3

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20170419(Wed)

[]最近聴いたエレクトロニック・ミュージック 最近聴いたエレクトロニック・ミュージックを含むブックマーク 最近聴いたエレクトロニック・ミュージックのブックマークコメント

■Migration / BONOBO

MIGRATION

この[MUSIC]ジャンルの記事(というか単なるメモなんだが)を日記に更新するのは2ヶ月ぶりとなるが、それはひとえに2月を前後して引っ越しをしていたからだった。引っ越し前に申し込んでいたネットが開通したのが結局それから50日後で、音楽情報を全くチェックできなかったのである。そもそも試聴ができないしDL購入もできない。だからほぼ1か月余り、手持ちの音源ばかり聴いていた。そしてその中で、引っ越し間際に購入したBONOBOのこのアルバムを最も聴いていた。BONOBOことサイモン・グリーンは1999年から活躍するエレクトロニック・ミュージック・アーチストで、『Migration』は今年1月にリリースされたニューアルバムだ。実のところBONOBOは以前アルバムを1枚聴いたくらいでそれほど印象に残っていなかったが、この『Migration』は強く心に残る作品だった。「エレクトロニック・ミュージック」という言葉で一括りにできない芳醇な音楽性を兼ね備えているのだ。非常に繊細であり同時に洗練されており、時にメランコリックでありセンチメンタルであるその音は、強烈なアレンジメントとコンポジションの才能が生み出したものであるであることは確かだ。そしてあの2月、あるいは3月、このBONOBOのアルバムを多く聴いていたのは、引っ越しも含めあれこれと疲弊していた自分の心に、これらの音がひんやりとよく沁みたからなのだろう。特にヴォーカル曲『Surface』の美しさと切なさはひとしおだった。とりあえずこれまで今年聴いたアルバムの中では十指に入る名作であることは確実である。 《試聴》

MIGRATION

MIGRATION

■The Final Experiment / Shed

The Final Experiment

The Final Experiment

ベルリンのテクノ・プロデューサー、Shedの通算4枚目となるフルアルバム。Shedはオレもとてもお気に入りのプロデューサーだが、ソリッドなテクノを基本としながらもアルバム毎に表情が違い、その度に驚かされる。今作では幽玄に鳴り響くシンセワークが特徴的か。 《試聴》

■Brand New Day / Mr.YT

Brand New Day

Brand New Day

Mr.YT a.k.a. Yuji Takenouchi(竹ノ内裕治)が90年代にリリースしたEP3作品をリマスターしたリイシュー盤。アルバム全体が朝から深夜をイメージして作られ、アンビエントから始まる美しいメロディに彩られたエレクトロニック・ミュージック。 《試聴》

■Chinoiseries Pt.3 / Onra

フランス、パリのプロデューサー/DJ/ビートメイカーOnraがアジアをはじめとする他国籍音源をディグしまくって製作されたビートアルバム。怪しげな中国語が飛び交う様はスネークマンショーか!?それにしてもジャケットの写真はブルース・リーなのか!? 《試聴》

■Seasons / Martin Schulte

Seasons

Seasons

ロシアのMarat ShibaevによるユニットMartin Schulteのニューアルバム。ダブテクノを基本形としながらアンビエント/テックハウスの展開を取り入れ、そのどれもが楽しめるという一口で二度三度美味しい構成が絶妙。さらにその音は清涼感溢れる透明なメロディと浮遊感溢れるサウンドエフェクトで構成され、非常に美しいアルバムとして完成している。今回のお勧め。 《試聴》

■Planets / Mr Cloudy

Planets [Explicit]

Planets [Explicit]

ロシアのダブテクノ/ミニマルダブ・エレクトロニカ・プロディーサーSergey BarkalovによるMr.Cloudyのニューアルバム。なにしろダブテクノでありダビーな4つ打ちキックが延々と続きおぼろげなシンセ音が現れては消えてゆく眩惑仕様。ダブテクノはどれも同じって言えば同じではあるが、このズブズブ感は心底クセになるんだよな。 《試聴》

■Ancient M'ocean / Babe Terror

Ancient M'ocean

Ancient M'ocean

サンパウロ在住のイラストレーターMichael CrookとデザイナーBela J. Audibly avant-gardeとのコラボレーションBabe Terror。ローファイ録音機器とヴォイスでドリーミンな反復ノイズを繰り出すアルバムは、CDとセットになったSFコミックのBGMとして製作されたとか。ただちょっと単調かな。 《試聴》

■Providence / Nathan Fake

UKの人気プロデューサーNathan Fakeが5年振りにリリースしたニューアルバム。荘厳な電子音に彩られた曲の合間に女性ヴォーカルをフィーチャーしたエレクトロ・ポップも顔をのぞかせる。 《試聴》

■Drunk / Thundercat

Drunk

Drunk

このThundercat、ジャズに暗いオレは全く知らなかったのだが、「新世代ジャズシーンを牽引するロサンゼルスの天才ベーシスト」という人なのらしい。とはいえ、そんな肩書など知らなくても、そしてジャズを殆ど聴かないオレにとっても、このアルバムはとても面白い。一聴して非常に引き締まったジャズ・ファンクのテイストではあるが、なんだかこう、茶目っ気があるサウンドで、そして美しく、さらに楽しい。ジャズ門外漢のオレですら、「これはなんなんだ?」と聴き入ってしまう。傑作。 《試聴》

■On & On / NMLS

On & On

On & On

ワルシャワ、ポーランドに拠点を持つN_Codedレーベルの主催者Piotr MichałowskiがNMLS名義でリリースしたデビュー・アルバム。洗練されたIDM、グリッチ、ダウンテンポ、アンビエントの要素を兼ね備えており、硬質なメロディとビートは眩惑的であると同時に強い覚醒をもたらしてくれる。今回のお勧め盤。 《試聴》

■Dreamy Harbor / Various

Dreamy Harbor

Dreamy Harbor

ベルリンの老舗クラブ&レーベルTresorが25周年を記念してリリースしたコンピ。Tresorといえばかつてゴリゴリのミニマルハードコアなテクノのイメージがあったが、このアルバムではよりエクスペリメンタルな方向に近づいており、時代も変わるもんだなあと思わせた。 《試聴》

■DJ-Kicks - Matthew Dear / Matthew Dear

DJ-KICKS

DJ-KICKS

名門レーベルStudio K7の人気DJミックス・シリーズ「DJ-KICKS」新作はデトロイトで活躍するベテランプロデューサーMatthew Dear《試聴》

■fabric 92: Call Super / Call Super

Fabric 92: Call Super

Fabric 92: Call Super

DJミックスシリーズFabricの92番はUKロンドン注目の才人、Call Super。 《試聴》

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20170417(Mon)

[]このクソみたいな人生〜映画『T2 トレインスポッティングこのクソみたいな人生〜映画『T2 トレインスポッティング』を含むブックマーク このクソみたいな人生〜映画『T2 トレインスポッティング』のブックマークコメント

■T2 トレインスポッティング (監督;ダニー・ボイル 2017年イギリス映画)

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I.

「未来を選べ、人生を選べ」、物語で主人公がそう呟く『トレインスポッティング』だが、その言葉は以下のように締めくくられる。「俺は選ばないことを選んだ。人生ではなく他のものを選んだ。理由?理由なんかいらない。ヘロインがあれば誰も理由なんか必要ない」。即ちそれは「未来なんか知らねえし、人生なんてケツの穴だ」ということだ。それはかつてイングランドを席巻したパンクロック・バンド、セックス・ピストルズが『God Save The Qeen』でリフレインする「NO FUTURE」を地で行く人生だ。未来なんか、ない。

未来なんかない。クソど田舎の、クソ労働者階級の、クソ貧乏人に生まれた者に、選べる人生なんかない。選べるのは、せいぜい、同じクソ塗れのダチと、かっぱらいと、ヤクだけだ。クソに生まれた者は、一生這いずり回るしかないんだ。クソとして生まれ、クソとして生き、クソとして年老い、クソとして死ぬだけだ。それはつまり、「無意味な、クソ人生」ということだ。だがな。そもそも、人生になんて意味はねえんだ。だったら楽しく気楽にやろうじゃないか。未来のない、このクソ塗れの人生を。

II.

未来なんかなく、人生はクソだ。それが1996年に公開されたイギリス映画『トレインスポッティング』だった。だがしかし、そのようなテーマであったにもかかわらず、この物語には絶望や諦観の暗い陰りは無かった。それは、刹那に生きるチンピラたちの、限りなく未来を先伸ばすしかない【今】だけが、ヒリヒリと描かれる物語だった。彼らには、絶望している暇も、諦観している暇すらも無かった。彼らは、ドラッグによる刹那を、その最高の「今」を永遠に繫ぎ止める為に、ありとあらゆるものを犠牲にし続けなければならなかったからだ。

ドラッグ塗れの生活を送る彼らは、とりあえずドラッグとは無縁な日本人には、カンケ―ないものだったろうか。いや、我々だって、実は何かの依存症なのではないか。我々の「今」と「未来」は、それほど確実で、安定したものなのか。不安な「今」と、不確実な「未来」を払拭するために、何がしかのものに沈溺し、あるいは仮託し、そして信奉し、そして「今」と「未来」は確実なものである、と思い込もうとしているだけなのではないか。実は我々ですら、未来なんかなく、人生はクソなのではないか。

III.

そして、そんな彼らが、20年振りに、帰ってきた。帰ってきた、というよりも、単に生きながらえていた、というのが正確かもしれない。明日もなく、ドラッグ塗れだった連中が、あれから20年も生きながらえていたこと自体が、ある意味奇跡かもしれない。本当は、文字通りクソ塗れになって野たれ死んでいたって、おかしくなかった連中がだ。そうだ、人は、時として唐突に死ぬが、意外と結構、生きながらえてしまうものなのだ。

生き恥さらして生き延びてしまうのだ。未来はないとか、将来のことなんか考えたことも無いとか、人生なんかどうでもいいとか、なんとなくカッコいいことを言いながら、その未来も、将来も、その結果の人生も、否応なく、生き延びてしまった者の上に降りかかってくるのだ。そして、先延ばしし続けたあらゆる事柄が、その「未来」に、膨大なツケを要求してくるのだ。

20年後の彼らは、どうなっていたのか。いや、どうもなっていない。スパッドはドラッグ塗れで失敗した人生を、シックボーイは美人局まがいのセコイ裏稼業を、ベグビーに至ってはずーっと刑務所だ。では前作ラストで彼らから逃亡した主人公レントンは?ネタバレになるから書かないけれども、実のところレントンだって、華々しい未来に生きているわけではなかった。

20年経った連中の人生は、相変わらずクソのままだった。そりゃそうだ、未来のことを考えなかった人間に、未来なんかあるわけがない。人が灰から生まれ灰に返るように、クソはクソに生まれクソのままであり続けるだけだ。例え20年の歳月があろうと、連中はどん詰まったまま何も変わらなくて変えられなくて、惨めな人生は確固としてそこにあり、その中でただ一つ変わったのは、20年、無意味に年老いたということだけだ。そしてその20年は、連中にとって、単なる空虚だったんだ。

IV.

映画は、映画という娯楽は、そして映画というファンタジーは、時として、惨めで下らない人生を送るダメ人間の主人公に、一発逆転の契機を与え、そして主人公はその契機を逃さず、華々しい人生の転機を手に入れて結末を迎える。それは娯楽だからだ。それはファンタジーだからだ。観る者は、それらファンタジーに、一発逆転した人生の夢を見、心地よさを覚える。人生に一発逆転なんかそうそうあるわけがないけれども、せめて娯楽の中では夢を見たい。夢を見て、クソつまらない自分の人生が、それほど耐え難いものではないと思い込みたい。全てではないけれども、映画には、そんな機能がある。

だが、映画『トレインスポッティング』において、主演4人のチンピラどもは、一発逆転の夢を常に持ちつつ、したくてもできないか、やっても必ず失敗する。そしてこの『T2』においても、その法則は残酷なまでに不変だ。なぜならこれは、あらゆる運命から見捨てられた、筋金入りのダメ人間の物語だからだ。そしてそれは、一発逆転をどこかで夢見つつ、結局何も変わり映えしない人生を歩んでいるだけの現実の我々とたいした変わりはない。

将来のことを熟考し、その為に努力し、行動している人は沢山いるだろう。しかしそれでも選べるのは、平々凡々とした、ありきたりの人生だ。いや、平々凡々でも、ありきたりでもいいんだ。しかしそれは「選んだ人生」なんだろうか。その「選んだ」筈の、ありきたりの人生に、何一つ不安や不満がない人間がいるだろうか。熟考し、努力し、行動して手にいれたはずの人生が、なにかもやもやと画竜点睛を欠くものにしか思えないのは何故なんだろうか。それは、「悪くはない」が、「良くもない」人生でしかないからなのではないか。であれば、「人生を選べ」だなんて、タチの悪い冗談でしかないのではないか。

V.

あれから20年。クソでしかない人生を生きてきたクソどもは、「老い」だけを手に入れた。老いること、それは「死」を間近にすることだ。若い頃は、そりゃあ粋がって「いつ死んだって怖くねえ」ぐらいのことは言うかもしれない。「死」はまだまだ先の、非現実的なことなのかもしれない。だが、年老いて、知力も体力も衰え、訳の分からない体の不調を意識しだしてくる時に、「死」は「現実」のものとして目の前に立ちはだかる。前作で仲間から、故郷から逃走したレントンが、なぜわざわざ帰ってきたのか。それは冒頭で描かれる、心臓病による体の不調により、「死」を意識したからなのだろう。

未来があろうがなかろうが、「死」だけは誰にも公平に訪れる。刹那の興奮と快楽に沈溺していようと、どれだけ自分の人生を先延ばしし続けようと、「死」だけは確実に自らの身に訪れる。そして、その終局を意識した時に、自分の人生の全貌が、自分が何をして何をしなかったかが、目の前に詳らかになる。レントンに限らず、主人公たちは皆、年老いることによって、自分の無様な人生と、ようやく対峙することになる。そして、そんな無様なだけでしかなかった自分の人生に、年老いることにより、落とし所を見つけられるか見つけられないか、それがこの『T2』という物語だったのだ。

物語では、クライマックスにおいて、その「落とし所」を、見つけられる者も、見つけられない者もいる。だが、人生が遣る瀬無く、そして、その遣る瀬無い人生を生きてきてしまったことに、誰もが変わりない。その遣る瀬無さが、映画を観ていたオレの胸に、まるでブーメランのように、深々と突き刺さってきたんだよ。人生を選べたか、選べなかったか、実はそんなことは重要じゃないんだ。ただ、何をしたとしても、何をしなかったとしても、それでもどうしても心に湧き起らざるを得ない遣る瀬無さが、オレには、堪らなく痛かったんだよ。

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トレインスポッティング [Blu-ray]

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20170414(Fri)

[]ドスケベ中年オヤジは全裸スカヨハの夢を見るか?〜映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』 ドスケベ中年オヤジは全裸スカヨハの夢を見るか?〜映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』を含むブックマーク ドスケベ中年オヤジは全裸スカヨハの夢を見るか?〜映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』のブックマークコメント

■ゴースト・イン・ザ・シェル (監督:ルパート・サンダース 2017年アメリカ映画)

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映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』は予告編を観た時からいろいろヤヴァ気な雰囲気がプンプンとしていた。ビジュアルは所々では悪く無かったし、原作を割と丁寧になぞってあるのだろうということは感じたが、だがしかし、「想像を超える様なもの」は殆どなかった(シティに躍る人体のでっかいホログラフは意外とイケた)。

で、実際観てみると、残念ながらやはり予告編から想像できる以上の作品ではなかった。原作の持つSFテーマそれ自体は決して古びていないと思うのだが、それを原作発表後20年以上経てから実写映像化してみると、他の映画でさんざん使いまわされたイメージやプロットばかりが羅列されることになり、どうにも新鮮味に欠けるのだ。

このテの「近未来クライムアクション」はどうしても『ブレードランナー』(1982)の呪縛から逃れられない運命を背負っているが、まあその辺は頑張ろうとしてはいたと思う。『ブレードランナー』は要するに西洋社会の没落と東洋的なものの流入だが、この『ゴースト〜』ではさらに一歩進んで「そんな中でも中国は元気」といったビジュアルが面白かった(まあ中国資本が入っているからなのだろうが、それが逆に映画を猥雑で面白くしている)。

けれども、だ。やはり『ブレードランナー』は越えられないのだ。さらに「電脳世界」といった部分においては、『マトリックス』をも、超えていないのだ。まあそこまでは期待していないとしても、それらとはまた違うビジョンが『ゴースト〜』原作にはあったはずで、そこにも到達していないのだ。そもそも「結局一番悪いのは企業ですよ!」なんてェのは『エイリアン』(1979)のウェイランド=ユタニ・カンパニーだし『ロボコップ』(1987)のオムニ社だし、SFとしてもどうにも前世紀的じゃないか?個人VS巨大資本の構図なんて、マルクス・レーニン主義の残滓じゃないか?

そこじゃない、『攻殻機動隊』は、そんな作品じゃないのだ。マン・マシーンの自我が到達する、新たな進化の地平線を垣間見せること、それが『攻殻』だったんじゃないか?この映画が中心テーマとして据えてしまった、自分が人間か、機械か、なんていうアイデンティティ・クライシスなどその遥か前段階でしかないのだ、人間でも、機械でもない、新たなる"何か"へのステージを描き出そうとしたのが『攻殻』だったんじゃないのか?

だが原作のそんな側面を映像化したら一般客が置いてけぼりになると考えたのだろう、その代わりに新規に投入されたのが家族とか愛とか復讐とか、まあとても分かり易く同時にとても生臭いお話、というのが映画版『ゴースト〜』だったというわけだ。だがなあ、そんなのは他の映画でやってほしかった、そんなお話は『ゴースト〜』になんか求めていないのだ。

しかし同時に思う、主人公素子の「ネットは広大だわ」という印象深い言葉で締めくくられる『攻殻機動隊』第1巻から早20有余年、広大なはずのネットは規制とセクト主義と中傷合戦と企業広告に溢れ返る陳腐な世界になってしまったようにも思う。かつてインターネットに夢見たドゥルーズ的リゾ−ムの世界は結局幻だったのかとも思う。いや、これはきっと単なるオレのような老人の繰り言でしかないのだ。もっと賢くて、若い人たちは、既に新たなる"何か"へのステージに、その地平線にきっと立っているのだ。

そんな老害となり果てたオレにとって、映画『ゴースト〜』のただ一つの見所は、主演を演じたスカーレット・ヨハンセンの、その人間離れした美しさ、これに尽きるだろう。アンドロイド役だけあってまるで作りもののように美しいのだ。まあなんかエフェクト使ってるんだろうが。

で、そのスカヨハが着る光学迷彩スーツ、これがどうにも肌色に限りなく近い色で、最初見た時に「スカヨハ、全裸ッ!?」とオジサンは目を見張ってしまったのだ。これが光学迷彩スーツと分かった後も、オジサンにはやはりスカヨハが全裸に見えてしょうがなくて、「これは全裸なんだ、今オレの目の前でスカヨハが全裸で飛んだり跳ねたり足を開いたり閉じたりしているんだ……ッ!!」と妄想が膨らみまくり、さらに別の部分も膨らみまくってしょうがなかった。

考えてみると原作『攻殻』は思弁的サイバーアクションであると同時に薄物着た主人公素子がたわわな乳房とくびれた腰を強調し、おまけにやたら股間を開きまくるエロエロなSFでもあったではないか。であるならオレが『ゴースト〜』のスカヨハに限りなくエロを感じたなら、ある意味この映画化は十分要を成しているといえるのではないか。しかし映画『ゴースト〜』はあらんことか押井版アニメの影響が強く、無意味に暗い上にクソつまらない屁理屈が多いのだ。しかもその屁理屈のこね具合が押井の域に達していないから単に辛気臭いだけなのだ。映画でもスカヨハはずっと眉間に皺寄せまくって表情に変化がなく、その美貌をだいなしにしていた。結局この映画の敗因は無理して押井の真似をしようとしたところにあったのかもしれない。

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攻殻機動隊(1) (ヤングマガジンコミックス)

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攻殻機動隊 (2) KCデラックス

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20170413(Thu)

[]四国徳島カピバラ旅行〜その4:山また山の彼方にたらいうどんを見た! 四国徳島カピバラ旅行〜その4:山また山の彼方にたらいうどんを見た!を含むブックマーク 四国徳島カピバラ旅行〜その4:山また山の彼方にたらいうどんを見た!のブックマークコメント

■絶壁だらけのタマヒュン山中!

さて旅行最終日、ホテルをチェックアウトし、「たらいうどん」なる凄そうなネーミングのうどんを求めて車を走らせることにしました。そしてその途中の道で、あれやこれやの観光スポットを見る予定です。しかしそもそも泊まったホテルが徳島県とはいえ四国のほぼ真ん中寄り、香川・愛媛・高知と接した山の中にあったものですから、ここから帰るだけでも山また山の山道を走らせてゆかねばなりません。

四国の山道はなにしろ狭い、カーブが多い、さらに山道なので殆ど断崖絶壁状態の位置に作られていて、助手席に乗っているだけでも冷や冷やモノです。なにしろこんな(↓)なんですよ?車を運転していた相方さんは「"峠を攻める"ってどういうことなのかやっとわかったぜ……」とハードボイルドな笑みを浮かべておりました……。

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そしてどんどん山道を走らせてゆきます。カーブが多くちょっと先ですら山壁に隠れており対向車が来たらどうすんだ、と緊張しまくり、もうタマヒュン状態です。なのでこの山道を「タマヒュン山道」と呼ぶことにしたオレです。

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そうこうしているうち最初の目的地「小便小僧の像」に付きました。断崖絶壁に小便小僧の像を作った酔狂な方がいるんですよ!

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こんな絶壁じゃタマヒュン過ぎておしっこするどころか先に漏らしちゃうよ!そういうわけでこの銅像を個人的に「タマヒュン小僧」と呼ぶことにしました。

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さらに車を走らせ「祖谷渓谷展望台」へ。

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展望台から見渡す祖谷渓谷の山々。いやマジタマヒュンだわ。もうタマヒュン渓谷って呼んじゃうわ。

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そしてそんな山々に圧倒されている(ホントはスマホ見ている)オレ(ちょっとタマヒュンしてます)

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GPSの示す場所はここ。もうホンット四国の山ん中だよッ!!山ん中すぎてもうそれだけでタマヒュンだよ!

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■それは「たらいうどん」だった!

これでもまだまだ行程の3分の1ぐらい。それでも山道が段々下りになってきて、人家がちらほら見えるようになりようやくほっとしてきました。途中、桜の咲く通りがあり、その下にはダムが見えました。写真に撮ったらいい絵になりましたね。四国は桜が丁度見ごろぐらいだったようですが、山の中の桜はまだ咲き始めぐらいでした。

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川の色も若干穏やかに見えてきました。

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それから高速に乗り、この日のメインイベント、「たらいうどんの新見屋」へとひた走ります!高速で車を走らせている時に「水曜どうでしょう」で旅のクライマックスによく流れる曲をかけたら盛り上がりました!

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しかしそれでも運転に飽きてきた相方さんが「おい。眠くなってきたからなんか歌を歌え」と無茶振りしてきて焦りましたが、「じゃあ『宇宙戦艦ヤマト』の歌でいい?」と聞いたら「あんたのあの歌サイテーだから聴きたくない!」と今度は却下!

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そんなやりとりをしつつ高速を飛ばすこと約一時間、目的地付近のインターチェンジで降り、うどん屋を目指します。すると、ありました。

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メニューはこんな感じ。TVでもよく紹介される人気店らしく、12時丁度あたりに到着したこともあってこの日も駐車場は車で満杯でしたよ。

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お店の脇にはいい感じで川が流れていました。

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たらいうどんは茹で上がりに20分掛かるらしく、それまで「焼き鳥」を注文して食べているのがお勧めらしいです。ここの焼き鳥は串に刺したものではなく、「鳥焼き」って感じかな?とてもニンニクが効いていてビールが欲しくなりましたが、車を運転している相方さんに悪いので断念しました。

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とはいいつつ、「焼き鳥」と「たらいうどん」が出てきたのは一緒だったんですけどね。この「たらいうどん」、見た目の通り木のたらいで出て来るのですが、いわゆる付け麺みたいに温かい「つゆ」につけて食べるんですね。このつゆが独特で、溶き卵が入っているんですよ。この溶き卵によりうどんの味がまろやかになる、というのが特徴なんですね。

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◎たべログ:たらいうどんの新見屋

■旅の最後に大アクシデント!!

というわけで今回の旅も終了です。あとは空港でレンタカーを返して帰りの飛行機に乗るだけ……だったんですが、なんだか雲行きがおかしい。比喩ではなく、空港に車を走らせている間に段々雨になってきて、それが霧に変わっていったんですよ。空港に着いた頃は結構な濃霧状態。「……飛行機、飛ぶのかな?」とレンタカー屋のおじさんに聞いたら、「うん、お昼からずっと欠航で、さっき車を返してきたお客さんもあきらめて電車で帰るって言ってたよ!」と妙に明るい調子で返されました。

空港内の運行掲示板を見たら確かに欠航続きになっていて、自分らは結構早めに空港に着いていたのですが、搭乗予定の便が飛ぶのかどうかまるでわからない状態。で、待つこと1時間、遂に欠航のアナウンスが。「ありゃー」。オレと相方さんは「飛行機をキャンセルして陸路に振り替えてもらうか」「天候が回復することに賭けて次の便に予約を変えるか」を決めねばなりません。陸路だと徳島から東京まで5時間、航空運賃は払い戻されますが電車運賃はその倍の金額になります(パック旅行代金なので航空運賃のほうが安くなっちゃうんです)。また、運悪く次の便が欠航で翌日の便で帰るのであれば今度は宿泊代がかかり、半日分の時間のロスがあります。まあ翌日は日曜だからなんとかはなるんですが、それでも早く帰りたい。

最初相方さんと相談して陸路に振り替えることにしたんですが、カウンターで係の人と話していたら、突然オレ、考えを変えて次の便の予約入れちゃったんですね。相方さんは呆れてましたが、なんかオレ、次の便が飛びそうな気がしたんですよ。飛ぶか飛ばないかは別にして次の便の出発予定時刻は2時間半後、この間、呆れたままの相方さんを横目で見つつずーっとやきもきして待っておりましたよ。そして待つこと2時間、東京から徳島に飛行機が到着し、そのまま東京発に切り替えられるとのアナウンスが入り、やっとほっとしたオレでありました。相方さんには「結果オーライだからいいけど、あんたはたまにそんなことするからねー」とたしなめられちゃいました。すまん相方よ……。

そんなアクシデントもありましたが、とりあえず無事羽田に到着、相方さんとはビールを飲んで仲直りし、旅の思い出を語り合いながらまた次どこのカピバラと会おうかと思いを馳せつつ3日ぶりに家の布団で眠りました。

「また来てね!」

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(おしまい)

20170412(Wed)

[]四国徳島カピバラ旅行〜その3:そこは山の奥深くの秘湯だった 四国徳島カピバラ旅行〜その3:そこは山の奥深くの秘湯だったを含むブックマーク 四国徳島カピバラ旅行〜その3:そこは山の奥深くの秘湯だったのブックマークコメント

■そして四国の山深き秘湯を目指す!

カピの皆さんと別れを告げ、この日の宿として予定していた徳島県山奥の秘湯を目指します。徳島市内から車に乗って高速を使い、さらにとんでもない山道を上り下りして2時間あまり。いや〜四国の山道、スゴイ……。相方さん、運転本当にご苦労様でした。

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そして到着したホテルの名前は「新祖谷温泉ホテルかずら橋」。

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なんとここの温泉、ホテルの中にケーブルカーがあり、それを使って山の上にある温泉「天空露天風呂」に入るのですよ!この「天空露天風呂」は男湯、女湯、混浴、そして五右衛門風呂があります。

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ケーブルカーで山に登るとまずは休憩所、そして展望台になります。生憎の曇り空ですが、山間に帯のようにたなびく霧の様子がとても幻想的でした。

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休憩所の中には囲炉裏や古い壁掛け時計があって風情を醸し出しています。

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休憩所の辺りから見下ろした風景。

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そしてこれが露天風呂の男湯。

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もちろん鹿威しもあったよ!ちょっと音外れてたけど!

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ひとっ風呂浴びてからお待ちかねの夕食。鍋がなんとイノシシ鍋でした。

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きりたんぽ的ななにかと鮎の塩焼き。

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料理が後から後から出てきてびっくりしました。最後はご飯と香の物、そして十割蕎麦。

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夕食後はちょっとしたホテルサービスで、バスに乗り夜の"かずら橋"と滝を見に行きました。かずら橋の写真は暗すぎて撮れませんでしたが、滝のほうを載せておきます。夜の滝って妖しいですね……。途中の道で野兎と出くわしたりもしましたが、走るのが早すぎてとてもカメラに収めることはできませんでした。

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この日は最後にもうひとっ風呂浴びて寝につきました。そして次の朝、旅行最後の日。またもやお風呂に入り、それから朝食。「きのこ鍋」というのが出てきましたが、中に普通に松茸が入っていてちょっと驚いた……。それにしても何食べても美味かった!!

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◎新祖谷温泉ホテルかずら橋ホームページ

(次回、「四国徳島カピバラ旅行〜その4:山また山の彼方にたらいうどんを見た!」に続く)

20170411(Tue)

[]四国徳島カピバラ旅行〜その2:カピが溢れるとくしま動物園 四国徳島カピバラ旅行〜その2:カピが溢れるとくしま動物園を含むブックマーク 四国徳島カピバラ旅行〜その2:カピが溢れるとくしま動物園のブックマークコメント

■徳島の朝はうどんで始まる

旅行2日目、いよいよ今日は動物園のカピとご対面です。とはいえその前に腹ごしらえ。そう、四国といえばうどん。まあ正確にはうどん名物は香川のほうなんですが、とりあえず四国に来たならうどん食べたいじゃないですか!まあ昨日も美術館で食べたけどね!というわけでこの日も朝もはよから徳島で評判の高いうどん店に行くことにしました。

お店の名前は「セルフうどん やま 幸町店」、名前の通りセルフサービスのうどん店ですが、決して侮っちゃいけません。朝の7時からやっています。

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注文したのはごくシンプルなかけうどん、それから調子に乗って朝から天ぷら3つ。そしてこのうどんが本当に美味い!歯触りがふわっとしていて、かといって腰がないわけじゃなく、自分が今まで知っていたうどんと違うんですよ。これは病みつきになりそうですね。

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◎食べログ:セルフうどん やま 幸町店

■とくしま動物園到着。そしてカピ!

美味しいうどんの感動を胸にオレと相方さんはホテルをチェックアウトしてカピバラの待つとくしま動物園へと向かいます。そしたらこれがあんまり早く着き過ぎてまだ開館前でした。開館前の動物園で待つってどんだけカピバラ好きなんだよ……。

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開園と同時に、他の動物には脇目もふらずカピの待つ「サバンナ区」と走ります。

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すると、おりました!メチャクチャ広い飼育場に、あちらにもこちらにもとんでもない数のカピバラが!

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遠くの方にもいますが、広すぎてなんだかよく分かりません!カピの皆さんはあちこちにグループを作ってヌーンとしたりエサを探したり遊んだりしているようです。なんと全部で40頭いるのだとか。

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ここのカピバラはシマウマやキリンと混合飼育されているんですね。この動物園のカピバラ見学スポットは全部で3つありますが、どれも見学するにはちょっと遠目かもしれません。

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しかしですね……これがお昼過ぎ、1時半ごろになると、カピのお昼ご飯を届けに来た飼育員さんが、二重になった柵の一つを開けてくれて、とても近くで見ることができるようになるので、カピバラファンは是非この時間を狙って入るといいです!という訳でご飯を求めて集まった大量のカピバラ動画をのっけておきます。

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見よ、この集結したカピの数!

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カピの皆さん、ご飯を食べ終えた後は思い思いにヌーンとしたり遊んだりしておりました。この動物園ではけっこう長めのお堀があって、ここで泳ぐカピの姿を見られるのも楽しかったですね。こちらはお堀の中で数珠つなぎになって遊ぶ仲良し三匹カピ。

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とまあ大変カピバラを堪能したオレと相方さんでした。ところでこの日はお昼に動物園の食堂で「シロクマカレー」というのを注文したんですが、これちょっとやっつけ仕事すぎないか……。

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途中リスザル舎に入ったら、とても懐こいリスザルばかりで和みましたが、このリスザル、アクセサリーやメガネを盗っちゃうので注意が必要とのこと。相方さんなんて3匹ものリスザルにたかられてえらいことになっていました。

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◎とくしま動物園ホームページ

(次回「四国徳島カピバラ旅行〜その3:そこは山の奥深くの秘湯だった」に続く)

20170410(Mon)

[]四国徳島カピバラ旅行〜その1:そこはシスティーナ礼拝堂だった!? 四国徳島カピバラ旅行〜その1:そこはシスティーナ礼拝堂だった!?を含むブックマーク 四国徳島カピバラ旅行〜その1:そこはシスティーナ礼拝堂だった!?のブックマークコメント

■そこはシスティーナ礼拝堂だった!?

先週はオレと相方さんと二人、ミケランジェロの「システィーナ礼拝堂天井画」を見るためはるばるバチカン市国へと旅行に出掛けました。そして念願の天井画にご対面!

ドーン!

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いやあ、とっても感動しました!!……というのは半分嘘で、本当は四国の徳島に出掛けていたんです。「なんで徳島でシスティーナ礼拝堂天井画?」というのはおいおい説明しましょう。

さて仕切り直しますと、4月の6日から8日まで徳島旅行をしたわけなのですが、なんでこんな時期に?といいますと、相方さんが仕事で手掛けていたでっかいプロジェクトがやっと終わり、それまで土日も休まず修羅場を潜り抜けてきた相方さんをねぎらい、会社の有給取って慰安旅行へと出掛けたわけなんですね。でまあなんでそれが四国の徳島なのかというと、徳島にはカピバラがわんさかいる動物園があるからなんですよ。それと併せ、ついでにあれやこれやにも行ってみようじゃないか、というのが今回の旅行という訳なんです。

ということで6日木曜日、朝もはよから羽田〜徳島の飛行機に乗ったオレと相方さんであります。まずは徳島阿波おどり空港到着!

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そして空港前にある阿波踊りの像の前で一緒に阿波踊りを踊るオレ!

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■ボスキャラ級の名画レプリカが並ぶ超ド級美術館!

さて今回の旅行、実はオレと相方さんの初めての四国、初めての空の旅だったんですが、それだけではなく、初めての車旅行でもありました。空港で予約済みのレンタカーを借り、この日の目的地、大塚国際美術館へと向かいます(写真はWikipediaのものです)。

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実はブログの最初に載せた「システィーナ礼拝堂天井画」は、この美術館にある精巧なレプリカだったんですね。

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さらにこの大塚国際美術館、「システィーナ礼拝堂天井画」だけではなく、古代から現代までありとあらゆる西洋名画1000点余りもの"陶板複製画"を擁する特殊な美術館なのですよ。そう、"陶板"というぐらいですからここにある全ての複製画は陶器の板に焼入れして製作されているんですね。さらに凄いのは全てが原寸大、「システィーナ礼拝堂天井画」に限らず差し渡し10数メートルはあろうかという巨大絵画が所狭しと展示されているの驚かされます。

展示は地下3階から地上2階までそれぞれ「古代・中世」「ルネサンス・バロック」「バロック・近代」「現代・テーマ展示」「テーマ展示」と時代別に分かれ、それが順路で換算すると約4キロに渡ってこれでもかとばかりに並べられています。あまりにも有名な名画の数々が惜しげもなく並んでいる様を見させられるのは壮観です。また、これまで知らなかったとてつもない名画があったりもするので気が抜けません。なんというんでしょう、「ボスキャラしか出て来ないRPGゲーム」ってな塩梅で、とんでもない強敵を倒したと思ったらさらにとんでもない強敵が現れ、それが果てしなく延々と続くといった熾烈な戦いを繰り広げる様な絵画鑑賞なんですよ!お昼12時に到着したオレと相方さんでしたが、結局閉館時間の5時までいて、それでもまだちゃんと見切れていない!最後は疲労困憊して駆け足で観ることになってしまいました。

これだけのボリュームの美術館なのでその全てを説明することは出来ませんが、写真撮影がOKなのでここで撮った写真の幾つかを並べておきます。もちろん複製画が多かったですが、「システィーナ礼拝堂天井画」のように聖堂絵画全てを再現した展示は度肝を抜かれました。

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この日のお昼はレストランで食べたんですが、これがもうとんでもないコスパとクオリティのメニューで、「大塚美術館とんでもねえ!」と絶叫しまくっていたオレと相方さんでした。オレは「たい飯とうどんセット」を注文したのですが、なにしろたい飯もうどんももんの凄く美味しくて、これで1000円とは鼻血でまくりです!相方さんの注文した海鮮丼セットはさらにとんでもないことになっていたのでこちらは相方さんのブログでご覧ください!

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3時頃にはお茶もいただきました。こちらはケーキとプリンのセット。美術観まくって疲れた頭と体に糖分が沁みる!

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◎大塚国際美術館HP

■徳島の夜はビールで暮れる

世界の名画(のレプリカ)をお腹パンパンになるまで堪能したオレと相方さんはこの日の宿にチェックインし、「さて徳島の夜といったらこりゃもう地ビールしかないだろ!」と行って参りましたクラフトビール専門店「Awa新町川ブリュワリー」!店長自らが作ったクラフトビールと美味しい料理がたっぷり堪能でます!

食べログ:Awa新町川ブリュワリー

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さらにさんざん飲み食いした後は河岸を変え、徳島ラーメンでシメ!徳島ラーメン、「生卵を入れご飯も一緒に注文して食べる」のが通なのらしいですが、この日はお腹パンパンで流石にラーメンだけにしておきました。スープは魚類系のとんこつ醤油風なんですが、微妙な甘さがある部分、そしてお勧めの食べ方の部分で味噌煮込みうどんを思わせるものがありましたね。

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(次回「四国徳島カピバラ旅行〜その2:そこはカピが溢れる動物園だった」に続く)

20170405(Wed)

[]髑髏島のキングコングはギンギンのエレキに乗ってガンガンに登場する!?〜映画『キングコング:髑髏島の巨神髑髏島のキングコングはギンギンのエレキに乗ってガンガンに登場する!?〜映画『キングコング:髑髏島の巨神』を含むブックマーク 髑髏島のキングコングはギンギンのエレキに乗ってガンガンに登場する!?〜映画『キングコング:髑髏島の巨神』のブックマークコメント

キングコング:髑髏島の巨神 (監督:ジョーダン・ヴォート=ロバーツ 2017年アメリカ映画)

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キングコングである。髑髏島の巨神である。メリアン・C・クーパー監督にる1933年の映画『キング・コング』(こちらの版は名前に中グロが入るのがポイント)以来何度か映画化されてきたモンスター映画の最新リメイクである。で、最初に書いとくが、……いやー面白かった!!

もう「面白かった」だけ書いて終わらせたいぐらいしみじみと面白かった映画だが、それではブログにならないのであとは思いついたことを適当に書き散らかしておく。

実は「コング」の再映画化と聞いて「今更かよ」ぐらいのことしか思ってなかった。のちのちゴジラと戦わせる構想であることを知っても「またかよ」しか思わなかった。

特にキングコングには思い入れがない。1933年版は観ていないけれども『キングコングゴジラ』(1962)にしてもジョン・ギラーミン版『キングコング』(1976)もピーター・ジャクソン版『キング・コング』(2005)も「へぇー」と思って観た程度で特別"キングコング"というモンスターに愛着があるわけでもない。

なんかこう、「要するにでっかいエテ公だろ?」ぐらいにしか思えないのである。『ウルトラQ』の巨大猿ゴローとどう違うのよ、と思っていたのである(とはいえゴローは『キングコングゴジラ』の着ぐるみの流用らしい)。

しかーし!この『髑髏島』は違うのよ!確かに見た目はドデカイ猿なんだけれども、なんかこう荒ぶる神みたいに獰猛かつ神々しいのよ!ストーリーでも実際そういう扱いだったが、「単にデカイ猿」以上の超自然的なものを醸し出してるのよ。だからこそ堂々と「モンスター」なわけなのよ。

で、このコングが、映画始まってそうそうガンガン出てきやがるのさ!『ジョーズ』やギャレゴジみたいに気を持たせつつ徐々に姿を現したりなんかしないんだよ!「自分らコング映画観に来よったんやろ!思いっきり観しちゃるわ!とことん観るとええねん!(適当な関西弁)」てな感じで出し惜しみしないんである。まずここがいい!

いやしかしコングだけなら飽きてしまうかもしれない。そこを「コングだけちゃいまっせ!おぜぜ貰った分ぎょうさんサービスしたるわ!(適当な関西弁)」とばかりに奇っ怪な巨大怪獣が総出演なのですよ!もう『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』と『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』が合体して1本の映画になってしまったような状態になってるわけなんですよ!

いやー、怪獣って、本当にいいもんですね……(しみじみ)。

さらにこの『髑髏島』を単なるモンスター映画にしていないのは背景にベトナム戦争を持ってきたところだろう。時代設定もベトナム戦争終結直後だが、この『髑髏島』がもう一つのベトナムであることは観た人誰もが分かることだろう。

でね、よかったのが、ベトナム戦争映画によく流れてくる70年代ロックがね、この『髑髏島』でもギンギンに流れまくって来やがるところなんですよ!そしてこれがおもきしズッパマリな上メッチャカッコイイのよ!!

これもみんな思ったと思うけど、地獄の黙示録』みたいなサイケデリックに狂った雰囲気がガンガンにするのね!

そう、この『髑髏島』、モンスター映画であると同時にロックな映画でもあるんですよ!こんなにエレキギターの似合うモンスター映画なんて今まで観たことなかったわ!今回はなかったけど、次作ではジミヘンの『パープルヘイズ』に乗ってノッシノッシと登場するコングの姿を見てみたいね!

それとちょっとひとつだけ思ったのが島の原住民のことなんだけど、いかにも東洋人しているんだよね。映画テーマがベトナム戦争絡みだからってことなんだろうけど南海といったらどっちかっていいうとポリネシア系じゃないかと思うじゃない。でもそこが東洋系だってことは、太古に南海に人種の流入があああってこうあって……いやこれもまたミッシングリンクのひとつのなのか?とか変なこと想像しちゃったね。

というわけで最高にギンギンでガンガンだったキングコング:髑髏島の巨神』でありましたッ!!

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キング・コング [Blu-ray]

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20170404(Tue)

[]最近読んだコミック 最近読んだコミックを含むブックマーク 最近読んだコミックのブックマークコメント

藤子・F・不二雄大全集 中年スーパーマン左江内氏/未来の想い出

藤子・F・不二雄大全集 中年スーパーマン左江内氏/未来の想い出

藤子・F・不二雄大全集 中年スーパーマン左江内氏/未来の想い出

ドラえもん』にこそ思い入れは無いもののオレは藤子・F・不二雄のSF短編がたいそう好きで、結構分厚い大判の短編集を持っていたりする。オレはSF好きの人間だが、藤子・FのSFはシンプルで親しみ易く、SF好きのツボをど真ん中で突く非常に優れた作品が多かったと思う。藤子・Fは『オバケのQ太郎』『パーマン』以降『ドラえもん』を描きあげるまで長きに渡るスランプだったと今調べて初めて知ったが、SF寄りの藤子・Fのセンスが当時の子供たちにはよく理解できなかったせいだったのではないのかと今にして思う(『21エモン』とか傑作じゃないですか)。

そんな藤子・Fの『中年スーパーマン左江内氏』、書店で見かけた時は「読んでたっけかなあ…でも併載の『未来の想い出』は多分読んでないな」と思いおそるおそる購入した。確かに『中年スーパーマン〜』は読んだことがあったようだが、再読してみてもやはり面白い。その面白さというのは、アイディアそのものよりも「どこにでもある平凡な家庭、どこにでもいる平凡な家族」を確固として主人公にしたがる藤子・Fの態度だ。この「平凡さ」というのは今では幻想でしかないのだけれども、「平凡な家庭」で育っていなかった自分ですら奇妙なノスタルジーを覚えるのだ。それは『サザエさん』の二世代家族ではなく核家族時代のノスタルジーだ。それは『オバケのQ太郎』時代から連綿と続く藤子・F漫画の在り方からの擦り込みのようにすら思えるのだ。

一方『未来の想い出』は作者本人らしき人物を主人公としながら「もう一度人生をやり直せたら」という割とありがちな物語の流れを見せる。藤子・Fのような成功者でもそんなことを考えるのかな、などと思いつつ読んでいたら後半、臓腑を抉る展開に息を飲まされた。そう、藤子・Fはこういった人生の残酷さを時として描く人だったな、と思いだした。そして改めて感じたが、藤子・Fはその描く少女が可憐でいい。ときめかされる何かを秘めている。そしてこの物語も、そんな少女が物語の大きなカギを握ることになるのだ。

岡崎に捧ぐ(3) / 山本さほ

岡崎に捧ぐ 3 (BIG SUPERIOR COMICS SPECIAL)

岡崎に捧ぐ 3 (BIG SUPERIOR COMICS SPECIAL)

山本さほが親友岡崎さんと過ごす子供〜青春時代を描く『岡崎に捧ぐ』3巻はいよいよ高校生篇に突入。岡崎さんとは別の学校になってしまい、今まで通り遊んだりはするけれども、学校では山本は一人。この巻では岡崎さんとの友情物語から若干離れ、山本の高校時代が中心に描かれることになる。そして高校時代だけに、山本なりに悩み苦しむ様子が描かれる。同調圧力が友達の証みたいな同級生たちに、山本は付いていけないのだ。そして孤立するのだ。そんな中、決して自分を曲げない山本の意固地さというか山本らしさが実にいい。その挙句、サブカルにはまるのだ。うわああああ分かるわあこれオレだわあああ!そしてそんな只中にいるからこそ、学校の外で会う岡崎さんとの友情にひたすら心安らがせている。で、悩み苦しみとかしつつ、時折黒い山本が炸裂する。決して生真面目ではないのだ。やんちゃなのだ。このバランス感覚がまたいい。青春ドラマはあれこれあるが、この『岡崎に捧ぐ』の独自性はちょっと格別かもしれない。

■山本さんちのねこの話 / 山本さほ

山本さほってキャラクター的に猫を飼っているというイメージじゃなくて、だから猫漫画を描いていると知って「そうなの?」と一瞬思ってしまった。するとどうやら山本はもともと犬派で、さらに猫アレルギーで、にもかかわらずあるきっかけで止むに止まれず猫を飼う羽目になってしまったのだという。う〜ん山本らしい。そんな山本が描く猫漫画だから、妙にデレデレせず(時にはするが)、どことなく一歩引いた視線で猫ライフを描いている。そしてそのせいか、山本描く飼い猫は、なんだか可愛くない。飼ってみたくもない。しかし山本は決して愛情足りない訳ではなく「まあこれも腐れ縁だから」と淡々と猫ライフを過ごしている。そこが非常に新しい。

■みずほ草紙(3) / 花輪和一

みずほ草紙 3 (ビッグコミックススペシャル)

みずほ草紙 3 (ビッグコミックススペシャル)

村社会の因習と村社会の人間関係の恐怖。花輪和一の『みずほ草子』は一貫して村社会の掟によりがんじがらめになった人間たちの憎悪と絶望を描くが、それは国全体が村社会ともいえる(過去の?)日本そのものへの憎悪なのかもしれない。とはいえ、花輪は同時にそれに対する救済も描こうとしている。花輪の描く救済は異世界と異形の者たちによる超現実的・非現実的なものではあるけれども、それは即ち、現実には、救われるものはどこにもないという虚無と諦観があるように感じる。

ヒストリエ(10) / 岩明均

ヒストリエ(10) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(10) (アフタヌーンKC)

前巻に引き続きマケドニアVSアテネ・テーベ連合軍の「カイロネイアの戦い」が描かれることになるが、この作者の手になると大合戦であるものがどうしても冷え冷えと醒めたものとして描かれるのが独特と言えば独特。主人公はもちろん登場人物たちもどこか醒めてるし、さらにどんな緊急時でも基本的にかったるそうなんだよな。これが作者の味なんだが、面白くないわけではないがそこが全般的に平板に感じる理由かなあ。

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20170403(Mon)

[]映画『ラ・ラ・ランド』は『マトリックス』で『インターステラー』だったッ!? 映画『ラ・ラ・ランド』は『マトリックス』で『インターステラー』だったッ!?を含むブックマーク 映画『ラ・ラ・ランド』は『マトリックス』で『インターステラー』だったッ!?のブックマークコメント

ラ・ラ・ランド (監督:デイミアン・チャゼル 2016年アメリカ映画)

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  • ラ・ラ・ランド』、やっと観れた。公開前から楽しみにしていたのだが、まだ引っ越し後の整理で忙しくて、なかなか劇場に行くことができなかった。というわけで3月も終わりになろうという時やっと時間が空き、レイトショーで観ることができた。
  • 楽しみにしていた映画だったが、不安材料もあった。予告編を観た時、キモである筈のミュージカルシーンが、なんだかつまらなかった。監督のデイミアン・チャゼルというのも、なんだか引っ掛かった。『セッション』は観ていないが、その評判からオレの敬遠したい部類の映画であることがありありと分かった。
  • で、ラララを観た感想だが、まあ、悪く無い。しかし、特に良くも無い。そこそこには楽しんだが、半分ぐらい退屈だった。退屈だったのは、ミュージカルシーン、その歌と踊りの殆ど。このミュージカル映画、ミュージカルじゃ無かったら最高だったのにね!とすら思った。
  • 踊りには躍動感が感じられず、歌は説得力が無く、衣装はミニマリズムに頼り過ぎて詰まらなかった。ロケーションは綺麗だったが、観光マップを見ているみたいな薄っぺらさを感じた。お話は出会って恋をした二人が、それぞれの夢を掴んだことにより忙しくなり破綻する、というもので、ありきたりではある。
  • きちんと丁寧に作られているのは理解できるが、突き抜けたものがない。この作品というのは、昔ながらのミュージカルっていいよね、で、昔ながらのジャズっていいよね、で、昔ながらのラブストーリーっていいよね、で、温故知新の役割もあるのだとしても、全体が保守的に感じるのだ。これって今のアメリカを反映しているのか?
  • ただ否定批判ばかりしていても建設的じゃないので、この映画は何だったのかなあ、と考えてみる。オレはこの映画は、監督デイミアン・チャゼルにとっての『マトリックス』だったんじゃないかと思う。
  • 『マトリックス』は、クンフーとコミックとSFがごった煮になり黒装束の麗人が登場する、監督したウォシャウスキー兄弟の「好きなものテンコ盛り!」といった作品だ。同様に『ラ・ラ・ランド』は昔ながらのミュージカル、ジャズといった監督デイミアン・チャゼルの好きなもので構成されている。
  • 『マトリックス』はそのクンフー・シーンが注目されたが、コアなクンフー映画ファンの幾ばくかからは「あんなの本場のクンフー映画に比べたら子供騙しだよ」という意見もあっただろう。同様に『ラ・ラ・ランド』のミュージカルシーンは「あんなの本物を知らない人向けだよ」といった意見もあるようだ。
  • だが誰もがコアなファンであるわけもなく、さらにどちらの作品も「一般客に改めてその楽しさを知らしめた」という役割は十分負っていただろう。そういった「掘り起こし」と「組み合わせ」の妙味が両作にはあるのではないか。両作に絶大な評価があるのはそういった部分からなのではないか。
  • ラ・ラ・ランド』でよかったのはそのクライマックスだ。それまでミュージカル・ラブストーリーとして展開してきたお話が、いきなり『インターステラー』みたいに時空を飛び越えるのである。いやあれはおったまげた。監督は実はこのクライマックスから作品を発想して、そこから物語を構築したのではないかとすら思った。
  • インターステラー』はSF作品だが、この『ラ・ラ・ランド』もこのままSF展開でラストまでゴリ押しすりゃあよかったんじゃないか、とド腐れSFファンのオレとしては思った。そんなことしたら作品的に大いに破綻するのは目に見えているが、そのぐらいの「ハッチャケ振り」が、若干32歳というまだ若いこの監督には必要だったんじゃないのか。

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