最近読んだ本〜『終わりなき戦火 老人と宇宙6』

■終わりなき戦火 老人と宇宙6 / ジョン・スコルジー

終わりなき戦火 老人と宇宙6 (ハヤカワ文庫SF)

プログラマの操縦士レイフは、気がつくと脳だけの姿で宇宙船につながれ、コロニー連合への兵器にされていた。レイフはその元凶の謎の組織“均衡”に、決死の反撃を試みるが…。そのころエイリアンとの外交任務中のコロニー防衛軍のハリーは、“均衡”の攻撃を受けた地球の宇宙船を救助していた。連合と地球、エイリアン間に争乱を引き起こす“均衡”の目的とは?大人気ミリタリーSF“老人と宇宙”シリーズ第6弾。

75歳以上の老人が徴兵され超科学による肉体改造を施され最強兵士として星間戦争に挑む!というジョン・スコルジーの人気ミリタリーSFシリーズ『老人と宇宙(そら)』シリーズも早6作目である。物語は1巻〜4巻で一度一区切り付き、5巻からは新たな登場人物を配して作品世界を展開することになる。物語の根幹となるのは3つの勢力の虚々実々の争いだ。1つは地球、もう1つは超戦士を生み出す為地球を搾取し続けたコロニー連合、もう1つは異星人連合コンクラーベ。彼らが三つ巴となり、宇宙を戦火に染めるかもしれない一触即発の危機が描かれるのがこの新章となる。
今作『終わりなき戦火』では前作『戦いの虚空』で描かれた宇宙規模の陰謀と凄まじい戦闘が、誰にどのようにしてもたらされ、そしてその陰謀が最終的にターゲットとするものは何なのかが描かれることになる。とはいえ、前作がほぼ4年ほど前に出た作品なので、読んでるオレ、「あれ、これってどんな話だったっけ……」と既に右往左往状態である。
今作は4章に分かれている。1章目「精神の営み」は謎の異星人に脳だけ取り出され戦艦と接続された男を、2章目は異星人連合コンクラーベ内での政治闘争劇を、3章目は独立運動に翻弄されるコロニー連合戦士の日々を、4章目ではこれまでの登場人物たちが集まり銀河に破滅をもたらそうとする勢力との戦いに乗り出すといった塩梅だ。全体的に、物語に登場する勢力同士がなぜいがみ合っているのかが分かっていないと楽しめないので、全作、ないしはせめて5巻ぐらいから読んでいないと辛いかもしれない。
で、感想はというと、実の所ごちゃごちゃとした政治劇が、なんか、燃えない。いや、別にややこしいことは言ってはいないんだけど、スターウォーズI〜IIIの銀河共和国のゴタゴタを思いっきりミニチュアサイズにしたみたいで、ドラマチックさに欠けるんだよな。なんだか現実の世界情勢を思い起こさせちゃうのも、ちょっとシラケる理由かな。そもそもさー、コロニー連合だのコンクラーベの存続だの、別にどうでもよくってさー、なんかかったりいんだよなー。
要するにだな、オレはもっと宇宙戦争してほしいんだよ!もっとこうボッコンボッコンやってほしいんだよ!ロケットやら殺傷弾やらレーザー光線がドッカンドッカン撃ちまくられ、宇宙船やら未来建造物やらがバッコンバッコンぶっ壊れ、沢山の人間がズッコンズッコン惨たらしく死ぬ様を楽しみたいんだよ!なんだよこの頭悪い文章!いーんだよちょっと今作フラストレーション溜まったんだから!あとねー、今作ちょっとユーモア足りないんだよなー。
そんなわけでちょいと食い足りなかった「老人と宇宙」第6巻、これじゃあ続編出ても読むかどうか謎だなー。
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