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メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

20170621(Wed)

[]ニコラス・ケイジ主演、ポール・シュレイダー監督によるユルくて奇ッ怪な犯罪ドラマ〜映画『ドッグ・イート・ドッグニコラス・ケイジ主演、ポール・シュレイダー監督によるユルくて奇ッ怪な犯罪ドラマ〜映画『ドッグ・イート・ドッグ』を含むブックマーク ニコラス・ケイジ主演、ポール・シュレイダー監督によるユルくて奇ッ怪な犯罪ドラマ〜映画『ドッグ・イート・ドッグ』のブックマークコメント

ドッグ・イート・ドッグ (監督:ポール・シュレイダー 2016年アメリカ映画)

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ニコラス・ケイジ主演の『ドッグ・イート・ドッグ』ってェ映画観たんですけどね。なにしろ主演がニコラス・ケイジってェ段階で、たいていの映画ファンは「ああ(察し)」って感じで遠い目をするでしょうけどね。オレは以前から思ってたんですよ、この世の中には二種類の人間がいる。それはニコラス・ケイジの映画を観る人と観ない人だ、って事なんですが。その辺で言うと、オレなんかはニコラス映画を観る人間なんですけどね、じゃあ好きかって言われると、いやあ、って考えちゃうんですけどね。なんかこう、ニコラス君って「しょーもねーなー」って雰囲気がビンビンしまくっててね、そのしょーもなさを味わいたいがためについついニコラス映画を観ちゃうっていうかね。

ただね、毎回ニコラス映画の新作が公開されるたびに、「もう見るのは止めよう」と思ってしまう自分もいることは確かでね、今回も一瞬思い悩んですけどね、「ニコラス映画なんだから別にソフトになってからでもいんでね?」とね。しかしねえこれがアナタ、今回の共演はウィレム・デフォーなんですよ。まあ実はついこの間まで「ウィリアム・デフォー」だとばっかり思ってたんですが、なにしろこのデフォーさん、なんかもう腹空かせた野良犬みたいな顔してますよね。ほとんど(本人が)怪奇な俳優ですよね。いやでも嫌いじゃないんですよ。このデフォーさんとニコラス君が並んで立っているだけでもう見ちゃいけないものを見てしまったような危険な匂いがビンビンしますよね。

それだけじゃない。なんと監督がポール・シュレイダー。あの『タクシードライバー』(レヴュー)の脚本家としてオレの脳裏にパンツの染みみたいにこびりついている名前ですよ。ニコラス・ケイジウィレム・デフォーポール・シュレイダー。いやあクセありまくりですよね。コーラで煮詰めた牛モツみたいなメンツですよね。これはもう映画館で観るのが運命というものでしょう。ちなみに原作はエドワード・バンカーの同名小説なんですが、このエドワードさん、タランティーノ映画『レザボア・ドッグス』でミスター・ブルーの役柄だった人でもあるんですよ。

物語はっていうと、要するに犯罪ドラマですよ。ムショ帰りの3人のクズ野郎が出所も果たしたことだしさっさとヤヴァイ仕事やって一発儲けようや、とクズにしかできないクズ思考で再び犯罪行為に手を染めるっちゅうよくあるクライムストーリーなんですね。で、ヤクの売人襲って小金をせしめて図に乗った彼らは、今度は高額の報酬を提示された誘拐計画に乗り出すんですが、不測の事態が次々に起こり3人はピンチに立たされる、とまあこれもよくあるお話ではありますね。そういった点では新しいものはなんにもないんですが、そんなお話自体よりも、3人のクズっぷりと、なんだか知らんがミョーな演出が続いてゆくその展開ぶりが愉快な作品なんですよ。

主人公の3人というのはムショ仲間同士だったトロイ(ニコラス・ケイジ)とコカイン中毒のマッド・ドッグ(ウィレム・デフォー)と巨漢のディーゼル(クリストファー・マッシュ・クック)。この3人がなにしろもう負け犬を極め尽くしたクズ野郎なんですが、特にデフォー演じるマッド・ドッグの頭のおかしさが格別。最近公開されて話題となった『トレインスポッティング2』(レヴュー)でいう所のべグビーみたいなヤツでね、でもべグビーなら暴力だけで済むんですがマッド・ドッグはすぐぶっ殺しちゃうんですな。

それと全編に渡るミョーな演出。冒頭なんてなにからなにまでピンクの部屋でマッド・ドッグがダラダラとTV観ていたりとか、3人に再会の場所であるストリップ・バーではなぜかモノクロだったりとか、ヤクをやるシーンではとても楽しげにサイケデリックなエフェクトがかかったりとか、小金を手にした喜びのあまりお互いケチャップやマスタードをかけあってキャッキャウフフする3人組とか、そしてなにより呆然とさせられるあのラストとか、なにしろミョーだしある意味ドラッギーでもあるんですよ。おまけにそんなシーンに被さるサウンドドラックがまた微妙にユルくて奇ッ怪な雰囲気を盛り上げるんですね。犯罪ドラマではありますが緊張感溢れるサスペンスとアクション!とか全然そういうのではなくて、バカでダルくて頭がおかしい、そんな方向のお話なんですね。

これ、何かに似てるなーと思ったら、ヴェルナー・ヘルツォーク監督の『バッド・ルーテナント』(レヴュー)やウィリアム・フリードキン監督の『キラー・スナイパー』(レヴュー)あたりのトチ狂った雰囲気とでもいうのでしょうか、実際これらの作品ほど極め尽くした感じはまるでないんですが、「犯罪ドラマだと思ったらなんか変なモノ見せられた…」とあっけにとられてしまう感覚は通じるんじゃないかと思います。それと感じたのは、この映画のユルい快感というのは映画館の暗がりで観てナンボのアンモラルさが漂っているからで、これを日常品で埋め尽くされた部屋でDVDで観ても退屈な凡作としか感じないでしょう。だからね、皆さんも終わっちゃう前に劇場で観ましょうよ。

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