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メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

20170731(Mon)

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ザ・マミー/呪われた砂漠の王女 (監督:アレックス・カーツマン 2017年アメリカ映画)

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映画『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』である。「マミー」というのはミイラの事でお母さんとか乳飲料とは関係ない。1932年に公開されたホラー映画『ミイラ再生』のリブート作であり、同じくこの映画のリブート作である『ハムナプトラ』シリーズの異母妹みたいな作品でもある。お話は古代エジプトのとっても悪い女王のミイラが運ばれてきた現代のイギリスで復活して大パニック、と、そういう映画である。

しかしこの映画、それ以前にトム・クルーズが主演している作品でもある。トムクルとホラー。今まで無かった組み合わせである。無かった、というよりあまりに似つかわしくなくて誰も組み合わせようなどと考えなかったのだろうと思う。あの溌剌としたおっさんをどんよりじっとりしたホラー・ジャンルに抜擢してもホラーのクセに颯爽としてしまう訳の分からないものになってしまうだけではないか。ところがこの作品ではその禁を犯してトムクル主演のホラー映画を作ってしまったのである。

結果はどうかというと、当たり前と言えば当たり前だが、いつものトムクル主演映画になっている。ホラーだろうが何だろうが、とりあえずトムクル映画として完結しているのである。しかも水と油とかそういうこともなく、いわばトムクルがホラーを捻じ伏せた形で完成しているのだ。ミイラ女の呪いガー、復讐ガー、とかいう物語なのにもかかわらず、トムクルが颯爽と溌剌と飛んだり跳ねたり拳にモノを言わせていればそれは紛う事なきトムクル映画でしかないのである。げに恐るべきはトムクルのスター性である。

逆に言うならトムクルがそのスター性でもって牽引していなければ単にしょーもないB級ホラーに成り果てていただろう。いや、実際の所、作品それ自体は古臭いプロットしか持たないホントにしょーもないB級映画であるのは確かなのだ。

実はそんなしょーもないB級ホラー作品を魅力的に見せたのはトムクルだけの尽力ではない。悪い女ミイラ役のソフィア・ブテラ、彼女がいいのだ。かつては『キングスマン』のガゼル役でキャラ萌え男女を大いに沸かせた彼女だが、この『ザ・マミー』でも悪い女ミイラを実に魅力的に演じているのだ。いやーソフィアちゃん可愛かったなー、人間のヒロインとして登場したアナベル・ウォーリスとソフィアちゃんだったらオレ、やっぱりソフィアちゃん取っちゃうなー、呪われてゾンビになってもソフィアちゃんのほうが断然いいよ!というわけでトムクルとソフィア・ブテラ、この二本柱の存在によりしょーもないB級映画でしかないはずの『ザ・マミー』がそこそこに楽しめるエンターティメント作品に仕上がっているのである。

しかしなんだかモニョっちゃう部分がひとつあって、それがこの作品がユニバーサル・ピクチャーズによる「ダーク・ユニバース・シリーズ」の第1作目となる作品だとかなんとかいうことなんだよな。「ダーク・ユニバース・シリーズ」っちゅうのは、この『ザ・マミー』を皮切りに半魚人とかフランケンシュタインとか狼男とか、かつてのハマー・ホラーを復活させようとかいう企画らしいのだ。で、それをどうやら、「マーベル・シネマティック・ユニバース(アベンジャーズ)」や「DCエクステンディド・ユニバース(ジャスティス・リーグ)」みたいなクロスオーバー作品群にしたいらしいんだよな。

この辺でなんでモニョッちゃうかというと、まずこの『ザ・マミー』には「対モンスター組織:プロディジウム」なんてェのが登場して、ラッセル・クロウ演じるその親玉というのが「ジキル博士」という、その名前だけで「あーハイハイ」って人物だったりするのよ。で、「人類の平和ガー」とか言っちゃったりしてんのよ。この辺で「ハァ?」とか思っちゃうわけなのよ。多分「ダーク・ユニバース・シリーズ」は、この「対モンスター組織:プロディジウム」と「ジキル博士」を『アベンジャーズ』でいう所の「シールド」みたいな位置付けにして今後展開してゆくんだろなあと予測できるわけなんだけど、ハマー・フィルムのモンスターに人類の平和結びつけてどうすんの?って気がしないでもないんだよな。

この展開で思い出す映画が『ヴァン・ヘルシング』と『リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い』なんだけど、オレは嫌いじゃないんだが、結構「あかんヤツや」という評判も高いんだよなー。あと"ごちゃ混ぜな雰囲気"ということでは『47RONIN』あたりもこの辺りの系譜にちょっと引っ掛かるよなー。

多分コレ、「マーベル・シネマティック・ユニバース」や「DCエクステンディド・ユニバース」、さらにはキングコングゴジラの登場する「モンスターバース」と「バース」流行りのハリウッドで「俺らもいっちょかみして儲けようや!」という映画会社の目論見としか思えないんだよなー。アメコミやゴジラは分かるとしても、ハマー・フィルム・モンスターによる「バース」って誰得なんだ…という気がしないでもないんだよなー。

とはいえ、これはこれで盛り上がったら「ハマー・フィルム・モンスターサイコーっしょ!?」と大いに沸き立つキャラ萌え大好きの善男善女映画ファンも増える事だろうし、そうならば誰得どころかみんな幸せになれると思うので、ユニバーサル・ピクチャーズの企画担当の皆さんにはこれからも頑張ってほしいと思いマス(棒読み)。

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20170210(Fri)

[]クリス・パイン主演による爽やかな人間ドラマ〜映画『People Like Us』 クリス・パイン主演による爽やかな人間ドラマ〜映画『People Like Us』 - メモリの藻屑、記憶領域のゴミ を含むブックマーク クリス・パイン主演による爽やかな人間ドラマ〜映画『People Like Us』 - メモリの藻屑、記憶領域のゴミ のブックマークコメント

■People Like Us (監督:アレックス・カーツマン 2012年アメリカ映画)

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父の死により明らかになった義理の姉の存在。しかし主人公はある理由からその姉に血の繋がりがあることを知らせられないでいた。2012年にアメリカで公開された日本未公開作『People Like Us』は揺れ動く人の心の綾を情感豊かに描く人間ドラマだ。主演に『スター・トレック』シリーズでお馴染みのクリス・パイン、『ピッチ・パーフェクト』『ハンガー・ゲーム』シリーズのエリザベス・バンクス。共演としてオリビア・ワイルド、ミシェル・ファイファー。監督は『スター・トレック』『アメイジング・スパイダーマン2』などで製作・脚本を務めたアレックス・カーツマン。この作品は彼の実体験に基づいて脚本が書かれたという。

《物語》N.Y.に住むサム(クリス・パイン)は仕事のトラブルにより大金を工面しなければならなくなっていた。そんな折、父の訃報が届く。葬式のため恋人のハンナ(オリビア・ワイルド)と共に実家のあるL.A.に赴くサム。そこで会った父の弁護士は父から託されたという小さな鞄をサムに渡す。その中にはなんと15万ドルもの現金が入っており、さらに驚くべきことにサムに腹違いの姉がおり、この現金はその一人息子に渡してほしいという遺言があった。サムはウェイトレスをしているその姉フランキー(エリザベス・バンクス)を見つけ、徐々に近付いてゆくが、自分が義理の弟であり、大金を託されていることを全く言い出せずにいた。サムは仕事のトラブルで必要だった金を、父が残した金で補充しようと考えていたのだ。だがシングルマザーであるフランキーの暮らしは苦しく、サムはそれを見捨てるわけにもいかなかった。サムはフランキーの一人息子ジョシュ(マイケル・ホール・ダダリオ)とも親密になってゆくが、自分の抱える秘密に次第に苦悩を深めてゆく。

煮え切らない登場人物の出てくる物語は時として苛立たされるが、この作品は逆に主人公の煮え切らなさこそに感情移入して観てしまう物語だった。15万ドル、日本円だと1700万円という大金がいきなり転がり込み、実際のところその金は父の遺言にある相手に渡すべきものではあるが、黙っていれば誰も分かりはしないのだ。しかもそれはただのあぶく銭ではなく、仕事上のトラブルでどうしても必要だった金の穴埋めになるのだ。もちろんこれは正しいこととは言えない。だが、もしも自分が同じ状況に置かれていたとしたら、金を本来の譲渡先に渡していただろうか?最終的に渡したとしても、そこに一切の迷いも生じなかっただろうか?自分はこの物語の主人公とは全く違う、真正な人間であると胸を張って言えるだろうか?

さらに話を難しくしているのがいきなり明らかになった「義理の姉」の存在だ。それも父が死のその時まで秘密にしていた、妻とは別の女性に生ませた娘なのだ。父の遺産を着服しようとしていたサムが、義理の姉フランキーを探し、姉弟であることを秘密にしながら近付いたのは、単に好奇心だったのだろう。しかしサムは、次第にフランキーとその息子ジョシュに頻繁に接触を持とうとし、困り事の手助けをしてゆくようになる。それは、サムの罪悪感からだったのだろう。彼は間違ったことをやろうとしつつ、それへの罪悪感もやはり持ち合わせていたのだ。結局サムはどうしたかったのだろう。遺産を着服するのかしないのか。血の繋がりがあることを告白するのかしないのか。サムはずっと迷い続けている、そして告白を引き延ばせば引き延ばすほど、真実を話す機会をどんどん失ってゆくのだ。この迷い続けるサムの姿が実にいい。なぜならとてもいじらしく、人間臭いからだ。

こういった物語と併せ、作品を素晴らしいものにしているのは主人公サムを感情豊かに演じるクリス・パインの存在だろう。自分はクリス・パイン主演作と言うとなにしろ『スター・トレック』と幾つかの作品しか知らないのだが、実のところ優男なルックスぐらいしか頭になかった。しかしこの作品では、クリス・パインの持つ独特の爽やかさが、心の弱さを持った主人公を嫌味無く見せることに成功しているのだ。弱さと優しさとを併せ持ち、いつも思い惑う主人公の姿に、観る者は自然と自らを重ね合わせることだろう。そしてサムの姉役であるエリザベス・バンクスがまたいい。これまで金髪の美人女優以上の印象がなかったけれども、この作品では人生に疲れ苛立つシングルマザーの姿を非常にリアルに演じ切っていた。他の出演陣にしても、実に人間味溢れる役どころだったと思う。決して派手な作品ではないが、心温まる逸品として長く記憶に残ることだろう。

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