青草新吾の惺々著考 glocaleigyo

生産財の青草新吾1はリタイア。シニアの青草新吾2は複業で貢献を目指す。

100-1/3 太陽電池(PV)の多様化 有機系や薄膜化合物

太陽電池(PV)は2000年以降は需要急増が続いていますが、更に多様化でシリコンを使わない薄膜化合物の生産も立ち上がり、有機太陽電池の量産も足音が聞こえ始めています。

生産財営業の標的は派生需要であり、太陽電池派生需要部材設備です。生産財マーケティングのために行うセグメント化に関し、太陽電池(PV)の分類では、セル製造の工法及び光電変換層形成のための材料に着眼した分類がお薦めです。1)バルクの結晶シリコン系[多結晶と単結晶]と、2)薄膜半導体系[薄膜シリコン、薄膜化合物]、及び3)有機[色素増感型(DSSC)、有機薄膜]への三分類がお勧めです。
今現在は、世界の太陽電池生産の9割弱結晶シリコン系(6割が多結晶で3割が単結晶)で、1割強ぐらいが薄膜シリコン系です。 34[太陽電池向けシリコン]や20[生産財流通でシリコンウエハー]でも前述したシリコンは、クラーク数で酸素に次ぐ元素量ですから、埋蔵量そのものは豊富ですし、リサイクルもできる優れたマテリアルですが、今は、太陽電池向けの精錬能力があまりにも急峻な需要の伸びに追いつけないことから、供給逼迫しています。シリコン逼迫への対応から、これからはシリコン消費量を劇的に減らすことができる薄膜シリコンの割合が高まり続けるものと予想されます。カネカシャープを筆頭に、63[九州地区]で前述の三菱重工(長崎県諫早市/タンデム型)や富士電機システムズ(熊本県南関町/フィルム型)などが生産を拡大中です。これに対し、19[シリコンウエハー]で京セラの多結晶シリコンの内製立ち上げに言及しましたが、京セラは「多結晶シリコン太陽電池において、シリコン原料の鋳造から太陽電池セルの製造とモジュールの組み立てまですべて自社内で一貫生産を行っています。」とのことで結晶シリコンへの集中です。三洋電機は、結晶シリコンと薄膜シリコンを積層してハイブリッド化したHIT(Heterojunction with Intrinsic Thin Layer)で変換効率の向上に注力しているようです。シリコンを使わない次世代太陽電池については後述します。
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が発表したPV2030(2030年に向けた太陽光発電ロードマップ)では、2030年電力総需要1割100GW太陽光発電で賄うことを目標に掲げ、そのために現在の発電コスト30円/kWh前後を7円/kWhに引き下げることを提案しています。
PV2030[ http://www.nedo.go.jp/informations/other/161005_1/161005_1.html ]