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『侍戦隊シンケンジャー』感想11

◆第十九幕「侍心手習中」◆ (監督:竹本昇 脚本:小林靖子
OPマイナーチェンジで、ゴールド追加。
モヂカラの研究中に、折神は文字のプログラムのようなもの、と気付いた源太は、自作の折神――海老折神を披露。源太登場回からイカと一緒に水槽に入っていましたが、また海産物が増えました。
電子モヂカラは、書の代わりに、携帯電話(寿司チェンジャー)を介した文字入力で擬似的なモヂカラを発生させるシステムと説明……博士ポジションが居ないのを良い事に、源太の開発能力がトンデモ。
まあ、志波家が志波家なので、これまであまり、科学的なアプローチを試みていなかった、という可能性はありそうですが。
「確かに凄い……侍というより、職人だな」
皆が褒めそやす源太に、ぐさっと五寸釘を突き刺す流ノ介。
「侍になってはしゃいでいる内は侍じゃない。侍ごっこだ!」
「なにぃぃぃ」
侍の純粋培養種である流ノ介に自分が侍である事を認めてもらいたい源太は、茉子達のアドバイスを受け、生活態度の改善……の前にまずは黒子の扮装で屋敷に潜り込み、流ノ介をストーキングしてその一日を観察する事に。
夕食後、モヂカラの練習を行い、それを終えたら就寝まで歌舞伎の稽古、そして朝4時には起床してトレーニング……と真面目一筋の流ノ介。基本的に、修練の積み重ねと実力が繋がっている世界観なので、流ノ介の背景としては納得する所。
早朝ランニング中に女性の悲鳴を聞いた流ノ介は、既に尾行している事を察していた源太に声をかけ、2人は山奥の結界の中へ。そこにはかつて三途の川に繋がっていた井戸があり、初めて地上出張したシタリは、その井戸に生け贄を捧げる事で井戸と三途の川を繋げ、人間界に外道衆の出城を作り出そうとしていた。
ここでドウコクが人間界に出てこられないのは、封印の後遺症で乾燥肌が酷い為である事が判明。
シタリが繰り出した油アヤカシに油をかけられて武器が握れず、直接打撃もぬるぬるボディに通じず、シタリの妖術で吹っ飛ばされる2人。怪我をした源太に逃げるように言って単身人質の元へ向かう流ノ介は生アクションを披露するが、そこに源太も駆けつける。
「助けなきゃいけねえ人が居るのに、侍が自分の命守るかよ」
「どうやら、他はともかく、その一点だけはおまえも侍のようだな」
源太の覚悟を聞いて流ノ介がそれを認めるのですが、この辺りはどうも悪い意味で月並みにして雑。お約束はお約束で構わないのですが、源太がそこに至る背景描写が薄いので、うわべのお約束になった感じは否めません。
「丈瑠の為に侍になりたい」というのと、「侍として〜」というのは、別の事項なので、その分は土台を補強しなければいけなかったのですが、そこが足りていない。
まあ解釈としては源太の場合、侍ではないが故に、“侍らしさ”の理想に対して純粋、という事かもしれませんが、殿との幼馴染みの約束、にもうワンステップ加える大事な所だけに、ここを描くなら、もう1話ぐらい使って欲しかった所。
結界の影響で他のメンバーに連絡を取れない2人だったが、自分が稽古の時間に遅れれば、必ず変事を察して動いてくれる、という確信が流ノ介にはあった。
「信じるんじゃない。殿は来る。それだけだ。私はただ、戦えばいい」
先行して突貫した2人は人質の救出に成功。油アヤカシの攻撃に苦戦するが、そこに流ノ介の確信通り、4人がやってくる。
「ほー、信じるんじゃなくて疑わねえんだ。これっぽっちも。参ったねぇ。侍が命預けるってのは、こういう事か」
シタリは退却し、相性が悪いという忠告を無視して戦いを挑んだ油アヤカシは案の定、殿に燃やされ、水と光のダブル攻撃で成敗。巨大化後は油攻撃でイカを分離させるが、イカスミ吐いて再合体して冷凍された所を一閃。今回も一本締めを入れて一件落着。
何かと残念な流ノ介の、高性能かつ芯から侍な箇所だけがピックアップされた結果わかった事は、自分に厳しく他人にも厳しい上で結構高圧的な努力家というのは、身近に居るとなかなか嫌な奴だな、と(笑) むしろ流ノ介には愛嬌として残念が必要だ、というのが良くわかるエピソードになりました。
そして源太は、侍としてはともかく、人間としてはあまり影響を受けてはいけない人の影響を受けたキガスル。


◆第二十幕「海老折神変化」◆ (監督:竹本昇 脚本:小林靖子
ことはのサプライズ誕生パーティが準備され、殿、ケーキ屋さんにはじめてのおつかい。
近所なら、多分、迷子にはならない……筈。
ドウコクの縛りが完全に抜けた十臓は、久々に復帰して地上に出た早々、荒野で屋台とすれ違う。
「あんた……ただもんじゃないな。屋台を見る目つきでわかる。相当のグルメだ」
「面白い。寿司屋。次に会った時は食わせろ」
……バカの相手をするの面倒くさくなったな(笑)
「あの雰囲気……もしかして 無職 ミシュラン
バカとバトルジャンキーがそんな出会いをしていた頃、市街地に魂を吸い取る口アヤカシが出現し、ことはが魂を吸われてしまう。
「魂を食われた人間は、一日で死ぬ」
助けたければアヤカシを倒すしかないが、性格の悪いアヤカシはわざわざ種明かしをした上で、三途の川へ引きこもると宣言。ことはは倒れ、他にも54人の人々が意識不明となり、その近しい人々の悲嘆が三途の川を増水させていく。
「ほんま……うちだけでよかったわ」
翌朝、わずかに意識を取り戻したことはは、仲間達の無事を見て、けなげ爆弾で全方位大爆破。

丈瑠の好感度が激しく上昇した!▼
流ノ介の好感度が激しく上昇した!▼
茉子の好感度が激しく上昇した!▼
千明の好感度が激しく上昇した!▼
彦馬の好感度が激しく上昇した!▼
黒子たちの好感度が激しく上昇した!▼

殿も思わずことはを抱き起こして励まし、矢も楯もたまらずアヤカシが姿を消した隙間を我武者羅に刀で斬りつける千明。何とか三途の川へ乗り込む方法は無いのかと思い悩む4人の前に、十臓が姿を見せる。
「俺は勝負運が無いのかな。やっと戦えるかと思うと、おまえは妙に取り込み中と来ている」
自分の都合で休暇していた自覚があるのか、殿の事情にも気をつかうバトルジャンキーさん(重病)。
「わかっているならどけ。おまえの相手をしてる暇はない」
「生きた人間が、三途の川に行く方法ならある」
三味線のBGMに合わせて、背景には薄皮太夫のシルエットも入り、太夫もはぐれ者確定という事でいい模様。
生きて三途の川に入る方法――それはおよそ人の道から外れた事をして、生きて外道に身を堕とす事。
「どれほどの事をするか、それを考えろ」
「おまえ……まさかそうやって外道衆に」
「同じ外道となって、人の命を超えて戦う。それもまた、一興だな」
ことはの為、人々の為、外道に落ちるもやむなしと覚悟を決める4人……ここで侍の使命の為に戦う礎になっているのは、近しい人を想う情の部分であり、それがあるから、どこかの誰かの為に戦えるのだ、だから仲間の為に戦うのは使命を捨てる事ではないし丈瑠が一人で重荷を背負う事もない、と持ってくるのですが、それはいいけど4人とも、どんな外道を働くつもりなの? という部分が引っかかって話がすっと入ってきませんでした(^^;
前回も踏まえる形で「覚悟」と「覚悟の背景」と「殿と家臣」を繋げているのですが、現実的な手段として突き付けられた「人の道から外れた行い」に関する葛藤が軽い為、話のピントがずれた感じに。
流ノ介の恥ずかしい過去をインターネットに流すぐらいでは、たぶん無理ですよ?
そこへ源太が、アヤカシを引っ張り出せるかもと海老折神の海老ぞーを持ってやってくる……と他の解決手段が持ち出されるので、そもそもこのエピソードで突き詰める問題ではなかった、という事になるのですが、当然その展開はキャラクターが知っているわけではないので、この前段階では相応の重みを持たせなければなりません。太夫と十臓に関する伏線も兼ねていたのでしょうが、小林靖子としては珍しいレベルのミステイク。
また、海老ぞーが来た途端にその話が完全に雲散霧消してしまい、思わぬ助けで空気が一変、という意図だったのかとは思いますが、十臓の登場が久々だけに、あおりをくって十臓の印象まで薄くなってしまったのは少々やりすぎだったと思います。
5人は海老ぞーにモヂカラを打ち込みまくり、徐々に巨大化していく海老。そして、先の戦闘中にゴールドに「海老」の文字を打ち込まれていた口アヤカシの体が、遂に起動した海老折神と文字の力で繋がった事により、海老に引き寄せられる形で地上へと引きずり出されてくる。
「海老」の文字の作用により得意の分離攻撃も不能になったアヤカシは、怒りの5人の猛攻を受けてあっさり焼死。シンケンオー合体不能のため巨大化したアヤカシに挑む海老折神は、侍変形により、巨大ロボットへと姿を変える!
ダイカイオー東、へいお待ち!」
……東?
顔が変わると武装が変わる仕様のダイカイオーは、西、南とフォームチェンジすると大天空と共にオオナナシ軍団を蹴散らし、最後は東に戻って「海老ハサミ 灰皿テキーラ 本手返し」により、口アヤカシを成敗。
エネルギー供給こそ4人の助けを借りましたが、源太は独力で変形ロボットを開発してしまい、この男、戦隊史上に残るトンデモメンバーかもしれません。
志波家は正式に、給料払って抱えておいた方がいいと思います。野に放っておくには、危険すぎる……。
黄色回かと思ったら黄色は寝ているだけで、終わってみれば、海老回。海老でダイカイオーで東西南北とかさっぱり意味がわかりませんが、率直に格好悪いので、これは合体前提だと思いたい(^^; 名前は大海王と言う所でしょうが、どちらかというと色々なセンスが前作『炎神戦隊ゴーオンジャー』ぽい(笑) ……そしてこの後、貝折神も出てくるのであろうか。
ラストはことはの誕生パーティで和やかに締め……かと思いきや、源太が屋敷を出ると、寿司屋台に近づいていた謎の男が、烏賊折神を自前のクーラーボックスにしれっと収めていた。
「この世界のお宝、折神は、僕がいただいた」
「なんだとぉ? てめぇなにもんだ?!」
「ま、通りすがりの仮面ライダー、てとこかな」
次回、『ディケイド』コラボ回?
ゴールド加入後、新メカ登場などノルマ達成優先という所か、やや出来の悪いエピソードが2本続きました。一応、「侍の使命と覚悟」という部分を振り返っているのですが、物語の中に今ひとつ綺麗に収まらず。状況が落ち着くのを少し待ちたい。
なお寿司屋はまだ、EDには入れず。