逆浦島

しつこいようだがブログにも書いてきた通り、8月は半ドンが二回あっただけで見事に一日も休みがなかった。ところが身体はへとへとなのに、そのことが自分でもピンとこないのだ。それがこの土日に妻とデートした際に気づいたある些細な事実によって、初めて深く認識されるというようなことが実際にあるから不思議だ。
▼土曜の夕方妻とお祭りに行く時、僕は海の日に買ったティンバーランドのポロシャツに初めて袖を通した。ボーナスサンデー恒例のアウトレットデートでこの夏用に購入した時点では、9月になるまで一度も着ないことになるなんて夢にも思わなかった。そしてその際に妻が「ひと夏ポロシャツ一枚きりじゃねえ」といっしょに買ってくれたチェックのシャツも、続く日曜の買物に連続でおろすまで、ついに日の目を見る機会がなかったのだ。その時僕は初めて「ああこの夏は本当に一日も休みがなかったんだな」としみじみと実感したものだ。
▼二枚とも軽くて最高の着心地だった。夏の仕事帰りに汗を吸ったTシャツをユニクロのポロシャツに着替えた時はさっぱりした気分になったものだが、一回洗えば縮んでおへそが見えそうだった。やっぱりなんでも値段なりだね。三倍も五倍も違うんだから当然といえば当然だ。ユニクロだけを着ていたのではそのことに気づかない。
▼僕はユニクロの商品がいいなんて思ったことは一度もない。素敵だと思ったことはもちろん、コスパに優れているとさえ思ったことはない。ユニクロが日本で成功したのは、ユニクロの本質が購買力のなくなった平均的日本人の国民服だからだ。その意味でユニクロが世界標準になるのは難しいだろう。世界は普段着=国民服であるような画一的な国ばかりではないからだ。
▼話がそれた。そんなわけで今年はついに夏らしいことを一度もしなかった。海も山も川も、例年そう何度も行けるわけではないが、ゼロというのは初めてだ。それがなんなのかはっきり言うことができないが、そのことによって見失うことが絶対にあると思う。直観的にそう感じるのだから僕にもまだ童心が残っているわけだ。浦島太郎は竜宮城で遊びすぎて時がたつのを忘れたが、この昔話の寓意は逆のパターンでも同じだろう。
▼先週までの忙しさが嘘のように今週は仕事が薄い。最近の世の中の恐ろしいところは、昨日までよくても突然デッドエンドになることだ。社会全体に余裕がないから会社も個人も仕事がなくなるととたんに行き詰まる。立ち止まると倒れてしまうからとにかく忙しくしてないと不安でしょうがない。それは我々中小零細企業に限らずシャープやソニーのような大企業でも同じことだ。
▼定時に帰宅してテレビを見ているとケータイが鳴った。山奥でフリースクールの先生をしている友人からだった。今日から新学期で超憂鬱だという。半月以上休みがあった彼は僕が8月一日も休まなかったというと驚いていた。彼から外国で働く親友の消息を聞いた。毎夏帰国する彼は今年も帰国してまた任地に戻っていったという。会わないどころか連絡すらとらなかったのは初めてだ。この時もまた「ああ僕は夏休みがなかったんだな」と改めて思った。山奥にいるのはどっちだろう。
▼日曜のデートランチは流行の讃岐うどんチェーン。糖尿病ナンバーワンは香川県でうどん食文化がおおいに関係していると日曜朝の健康番組でやっていた。理由は①すするのでどうしても早食いになる②つけあわせに天ぷらが多く野菜が少ない。この番組を見て讃岐うどんを食べたくなるのだから僕も糖尿まっしぐらだ。

夫婦で天ぷらを食べ過ぎ、さすがに夕食は入らず夕食はおかずのみで晩酌。

その分献立が一日ズレた月曜はナスとトマトのブルーチーズパスタ。

実は月曜も昼休みにフットネイル帰りの妻と待ち合わせて二日連続でうどんを食べてしまった。そういえばひどい糖尿だった墓石屋の社長も部類のうどん好きだったな。