最高の贈り物

前の晩から一日中降り続いた雨がやんで、今日は朝から五月晴れの好天となった。昨日は最高気温20度だったのに全然寒くなかった。今日は夏日だというが、空気がサラッとして気持ちがいい。実際の気温と体感温度の間にはかなり差があるな。
▼昨日は朝イチで打合せをすませ、大雨の中を午後から長男の部活の地区大会を観に行った。区内のバレーボールは、生徒を集める四強が固定化。長男の学校は一年の時の先生がいい指導者で、毎回五位に食い込むまでに底上げされたが、四強との間にはなお力の差があった。そして二年の時に長男の心酔するその先生が異動した先が、四強の一角の進学校だった。最後の大会の組み合わせは、偶然にもベスト4を決める準々決勝で、その学校とあたる最高の舞台がお膳立てされていた。
▼結果は第1セット25−23、第2セット23−25で迎えた第3セットもジュースに突入、30−28の大接戦の末、劇的勝利。コートで戦った6人はもちろん、ベンチの交代要員や控えにとどまらず、応援席の下級生部員やマネージャー、ひやかしに来た茶髪やピアスの同級生、先生や父兄まで喜びを爆発させたのは言うまでもない。めったに見ることのできないいいものを見せてもらった。見る者全てに感動と勇気を与える、格闘技なら今大会ベストバウトと言っていい試合だった。
▼俗に頭でっかちはスポーツがダメ、悪ガキは運動神経がいいと思われがちだがそうではない。事実は頭のいい子はなんでもできて、ダメな子は全てダメ。世の中は不公平なのだ。一番の理由はやる気と集中力の問題が大きい。低学力校の生徒には、目標に向かって気持ちを切らさずに努力する持続力の欠けた子が多い。人生を通して、自分自身にも周囲にも、そうすることによって実りある果実を手に入れたという「成功体験」が不足しているからだ。
▼この一勝は単なる一勝にとどまらない。この子たちにとって終生忘れられないものになるだろう。下級生の中には、「○校(長男の学校)に来てよかった」と言ってる生徒もいた。部活動の最大の意義は、子供たちの後の人生の力になることだ。厳しい練習はそれだけで自信につながる。いい結果は時として人を天狗にし、悪影響を与えることもあるが、実績のない学校や生徒にとっては、やはり必要なものだろう。
▼試合後互いの相手校の先生に挨拶に行く恒例のシーンを見ながら、かつての教え子に囲まれた先生はどんな気持ちだろうと思った。素っ気なさそうに振る舞っていたが、きっとうれしいどころの話じゃないだろう。敢えていえば、先生のどっちが勝ってもうれしいという気持ちが、相手校の唯一の敗因だったかもしれない。なにしろ子供たちは最高の恩返しをしたことになる。全く教師冥利につきるってもんだ。
▼そのカリスマ指導者の後を引き継いだ現指導者もよくやったと思う。生徒たちの気持ちが前の先生に向いている中で、比較されて相当やりにくかったと思う。勝利の瞬間小躍りして喜びを隠そうともしなかったのも無理はない。この先生たちも僕より随分若い。まだ二十代だろう。子供たちをよき方向に導く大事な仕事だ。若いのにたいしたもんだ。
▼一夜明けた今日は準決、決勝、三決、五〜八決定戦が行われているはずだが、長男は是が非でも見に来てほしいという感じでもなかった。妻に似て、負ける試合は見せたくないタイプなのかもしれない。あの試合だけ、妻はともかく仕事や部活でほとんど休みのない僕や下の子も偶然都合よく、そろって観に行くことができた。まさに神様がいるとしかいいようがない。

試合前は消化のいいパスタメニューで金曜はアラビアータにひじきサラダ。
そして昨日はボロネーゼにピザ