無謬の国

台風の影響か曇天が続いた。時折雨が激しく降った。昨日今日と晴れて気温が上がったが、風がある。すっかり夏の終わりの風情だ。大阪以西は酷暑のようだが、この辺は本当に過ごしやすい。もう西日本には住めないな。
▼今年はラニーニャの影響による観測史上最も暑い夏になるはずが、高気圧が二つに割れて、特に東日本の天候が不順だ。ベースには環境悪化による地球温暖化もあるかもしれないが、その年の気温の決定要因としては、単年度の気象条件の影響が大きい。また同じ日本でも地域によってかなりの差がある。
▼北海道と沖縄ではもちろん全然違うし、東と西でも大きく異なる。日本は細長いというが、単純にデカいのだ。高緯度の面積が大きく描かれるメルカトル図法の地図を見慣れているせいで小さな島国と勘違いしがちだが、日本は意外に広い。実際は英国はもとより、北欧も含めたヨーロッパのほとんどの国より大きい。名実ともに大国なのだ。
▼柔道と水泳が終わりレスリングと陸上が始まってオリンピックも後半戦に入った。躍進と言っても半分は柔道だ。水泳の復活は水の国にとって当然。これから陸上でまくられて一気に下降するだろう。繰り返すが日本は大国である。人口比からいってもGDP比からいっても、もっとメダルをとっておかしくない。
▼日本が国力に見合うメダルを取れないのは、結局移民を受け入れない排外政策をとっているからだ。事実一皮むけたラグビーは、純血主義との決別が飛躍の契機になっている。日本もベイカーマシュウやケンブリッジ飛鳥が普通にならないと。一部の国際感覚豊かな人や若い世代は別にして、日本人のマインドは基本排他的だと思う。その国民性が、障害者殺傷事件、ひいては前の大戦の下地になっている。
▼さて、五輪報道一色の影に隠れて、昨秋の問題発覚からそろそろ一年になろうとしている横浜の傾斜マンションが15日、横浜市から正式に建築基準法違反の認定を受けた。なぜこのタイミングで?世間はお盆休みですよ。僕は違うけど。リオ五輪開催中でなければ、おそらく大きくとりあげられたはずだ。間違いなくニギッってるな。
▼マンションの傾きを杭データ問題にすり替えることで道義的責任を下請に転嫁することに成功した三井住友建設は今、建て替え費用の実質的な負担まで旭化成グループに押し付けようとしている。あくまで応分の負担を主張するなら、建設時の請負金額の割合にするのが筋だろう。建て替え費用400億円のうち、三井住友不動産200億、三井住友建設199億、日立ハイテク5千万、旭化成建材5千万で決まりでしょう。
▼僕も毎日のように社長に怒鳴られ、1シーズンに1度はクビを覚悟するような失敗をしでかすが、杭の長さが足りなくて高層マンションが傾くのに比べたらなんでもないことだ。他にも床の高さを間違えて全部はつったとか、埋め込みアンカーの位置を間違えて後打ちアンカーにしちゃうとか、鉄骨の寸法が違って作り直したというような話をよくきく。いずれも超のつくゼネコンだ。僕ならその度に死んでるな。全く命がいくつあっても足りないよ。
▼彼らが今も生きているとすれば、それは事が表面化していないからだ。会社に内緒でやり直し、その分余計にかかったお金を裁量の範囲でやりくりし、最悪現場は赤字でしたとすれば誰もわからない。たぶん世の中そんな建物だらけだ。けど日本中で杭のデータ流用が横行していたのに実際に傾いたのは横浜のマンションだけだったように、多少品質に問題があっても日常の使用には耐えうるものだ。
▼人間である以上100%ノーミスというのはありえない。「一生に一度の買物」とか「大手だから信用した」とかいうけど、消費者だけはノーリスクってのもどうかな。みな知らぬが仏で暮らしてるのに、ひとたび表沙汰になると補償騒ぎになる。自分のことはノーリスク、他人のミスは絶対許さない。全く日本人は究極のエゴイストだよ。
▼そのマインドが当事者を偽装と隠蔽に走らせ、欠陥住宅を増やすことに与っている。誰だってマチガイはあるのにバレたら一巻の終わりならそうなるわな。権力を持つものだけが白を黒と強弁で押し通し、あるいは答弁を少しずつ微妙に修正しながら絶対にマチガイを認めないことが許されるなら、もはや日本は戦前となんら変わるところはない。

昨夜は合宿帰りの下の子とラーメン。お店が違うだけで毎食こんな感じ。

うちに帰って酎ハイとガリガリ君のダブルグレープフルーツ。やっぱかなり暑いな。