北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『サイボーグ009』の完結編が始まるとかなんとか

 『サイボーグ009』の完結編がクラブサンデーというサイトでweb連載されるようです。ヤフーのトップページ見てたら知ったんですが、驚くべきは萬画であること。

http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20120404-OYT1T00622.htm

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 ちなみに、ゆとりなワタクシは当然リアルタイム世代ではありません。アニメもTKが音楽やってた平成版しか知りません。後追いのファンですのでご了承を。

 まず、『サイボーグ009』の連載形態が今の普通のマンガと違うので、リアルタイム世代じゃない身としては理解しづらい。ウィキペとかの情報に頼るハメになります。ただ、完結編に関する情報などかなり詳細に書いてあるのでありがたいです。
 まぁ、いろいろと作品があって、それぞれ完結したりはしてるんだけど、作者が「今度こそ最後」という意図で描いて、結果未完で終わっているのが「天使編」と「神々との闘い編」。どっちも神様と戦う話。個人的には「天使編」のが好きかな。未完のまま作者は死去。

サイボーグ009 (23) (秋田文庫)

サイボーグ009 (23) (秋田文庫)

サイボーグ009 (21) (秋田文庫)

サイボーグ009 (21) (秋田文庫)

 死ぬ前に息子に「俺に何かあったら、完成させてくれよ」と託していたそうです。生前、石ノ森章太郎が完結編のアイディアをまとめた構成ノートを息子が解読、補完、再構築して作られた(作られている)のが、真の完結編である「conclusion GOD'S WAR」。
 「conclusion」は「終結」を意味するそうです(調べた)。つまり、「神々との闘い編」を今度こそ終わらせようとする意志なんでしょう。

 んで、そんな「conclusion GOD'S WAR」というタイトルの作品は先日発表された萬画以外にもありまして。アニメと小説。

 アニメというのは、平成版テレビアニメの最終章「地下帝国ヨミ編」の後にくっついた3話(放送時は2話)。ソフト化されてますが、ユーなんとかチューブとか、ニコなんとか動画にあったようななかったような・・・・・。
 このアニメは「Conclusion God's War〜序章〜」として作られたものです。ですので、その後かなり変更も加えられてます。ただ、萬画石ノ森章太郎の元に未来からギルモアがやってくるという導入部は小説版と同じでして、完結編の土台となる設定なのではないかと思われます。
 また、神を名乗る新たな敵が現れる、00ナンバーサイボーグの能力がパワーアップするという展開は、「天使編」や「神々との闘い編」にも通じるものがあります。ちなみにアニメ版では、このパワーアップした各キャラの能力が詳しく語られているので、興味ある人は是非。全員チート級に強くなります。

 そして、小説版。三部作構成で作られ、2006年に1巻が発売されてます。いくらなんでもタイトルが長すぎますね。一見さんお断り臭がハンパないです。とはいえ現状で、『サイボーグ009』の完結編に詳細に語られているのはコレのみです。完結編の1/3は完結しています。
 ちなみに、小説という形は石ノ森章太郎の意志ですからね。一旦小説で発表してから萬画にするつもりだったそうです。遺された構成ノートから翻訳、補完、再構築して作られたのがこの小説です。石ノ森章太郎の考えた完結編に100%マッチはしないもののかなり近いものになっていると思われます。
 この1巻は、「プロローグ」、「001 天使の羽音」、「002 摩天楼の底」、「003 ありえざるもの」、「004 妖精(フェアリー)街道」、「エピローグ」と章立てされています。名前通り、各サイボーグメンバーについて語られる話です。要するに・・・・・1巻を読んでも009は出ません!!(買った時泣いた・・・)

 ただ、先日発表されたweb連載版のサブタイトル。来週公開の初回は「天使の羽音」、来月公開分は「摩天楼の底(前編)」となっている通り、web連載版も小説版とほとんど同じものと思われます。小説版を完成させる前に萬画化に踏み切ったのだと。(小説版を何年も待っていた人の気持ちは置いといて)
 「小説版は正しかったんや!」とうれしい一方、悲しい事実も。サブタイトルが小説版と同じと言うことは、内容も同じと予想され、それはすなわちワタクシが本当に知りたい005以降のエピソードが語られるのは当分先という事実。小説版において、002のエピソードは003と004のエピソードとページ数は概ね同じなので、萬画版のボリュームも近いと思われます。2回目のサブタイトルが「摩天楼の底(前編)」ですので、3回目は「摩天楼の底(後編)」となるでしょう。つまり、002、003、004のエピソードは各2回。月一の連載ペースを維持し続けたとして、小説版を追い抜く005の回が発表されるのは11月。な、なげぇ・・・・・・。

 web連載のニュースを聞いた時にまず驚いたのが小説でないこと。その次に驚いたのがそのタイトルです。正式タイトルが『サイボーグ009 完結編 conclusion GOD'S WAR』。小説版より短いのはありがたいのですが、個人的に気になったのは「2012」という数字がなくなってる点。
 「2012」というのは年号でして、完結編の舞台設定を表しています。これは石ノ森章太郎が決めた数字です。それが、今度のでは省かれた。そして、現在が2012年4月、月一の連載であることを考えると・・・・・・・・さては「2012年」って設定諦めやがったな。
 小説版のファンとしては、なかなか続編が発表されない小説にじれてました。「近未来だった設定が現在になっちゃうよ・・・?」と思ってたら2012年になってしまいました。完結編を不安視していたところへこのタイトルですよ。
 おそらく舞台設定は変わっているのではないでしょうか。そこらへん、初回が発表された際には要注目です。

 小説版についてもう少し。web連載版の初回のサブタイトルは「天使の羽音」。これは小説版でまったく同じサブタイトルが存在するのですが、小説版では「天使の羽音」の前に「プロローグ」が存在するんですよ。
 「プロローグ」では病床に伏した石ノ森章太郎の前に未来(2012年)からギルモア博士がやってくるというメタ構造。『サイボーグ009』という作品は未来の001が警鐘を鳴らすため、石ノ森章太郎の脳に直接アイディアを植え付けた、という設定です。ブッ飛んでますね。
 この「プロローグ」部分はアニメ版でも描かれているので、完結編の土台として鉄板だと思われるのですが、web連載版ではどうなるのでしょうか。無視するとは思えないので、イントロではなく、クライマックス直前、例えば009登場直前にずらしているのではないか、などと予想してます。

 web連載の予想を兼ねて小説版の内容を振り返ります。おそらく、web連載版の予言的ネタバレになります。まぁ、大したことは書きませんが。

 初回「天使の羽音」では、001が突然観念世界に行って、最後の闘いを予感します。タイトル通り「天使の羽音」を聞きます。「天使編」を連想させますね。

 「摩天楼の底」では、002が探偵やってます。そこに謎の美女が到来して・・・・っていう。ちなみに、この「摩天楼の底」、ほとんど石ノ森章太郎書き上げているらしいので、限りなく石ノ森章太郎のアイディアに近いはずです。石ノ森章太郎が真っ先に初稿を書き上げたのが「摩天楼の底」です。「遺族の原作レイプだ!」とか言ってる人は「摩天楼の底」だけでも読めばいいんじゃねぇの?

 この先はweb連載版のサブタイトルが発表されていませんが、小説版通りならば、「ありえざるもの」。003回。ルーブル美術館が舞台。フランソワの前に謎の青年が現れて・・・・っていう(こればっか)。003ということもあり、作中最も009について言及される章です。web連載版だと009について新情報が明かされるかもしれませんね。

 「妖精街道」。004回。004ということで、当然女が出てきて004にホレます。ここで、特筆すべきは004の生い立ち。完結編の舞台を2012年に設定したことに伴い、004の生い立ちが大きく変更されてます。前述しましたが、2012年という設定は石ノ森章太郎のアイディアです。ヒルダはベルリンの壁では死にません。ライオンコスプレもしません。

 その後、小説版では「エピローグ」として再び石ノ森章太郎が現れます。web連載版ではここをすっ飛ばして005回に行くと思われます。こっから先は未知の領域。た、楽しみすぎる・・・・・。

 小説版を読んで個人的に大感動したのは、本編ではなくて。作者であり石ノ森章太郎の息子である小野寺丈によるあとがき。「約束」と題された7ページに渡るものなのですが、これが号泣必至。完結編が出来るまでの経緯や苦労、石ノ森章太郎の思いが語られています。本作が置いてある本屋が近くにある方は是非あとがき部分だけでも立ち読みしてみるといいですよ。「『サイボーグ009』の完結編」という一大プロジェクトのファンになってしまいます。
 ・・・本名か知りませんが、息子さんの名前は丈っていうんですね。奥歯の横に加速装置とか付いてるんでしょうか。

 web連載が決まった時の反応は賛否が分かれました。否としては、「未完のままでいい」とか「遺族による原作レイプ」とか。まぁ、片腹が痛いと。石ノ森章太郎は息子に「俺に何かあったら、完成させてくれよ」と語ってるワケで、性行為で例えるならば、合意の元のセックス。完全に愛し愛された状態でのセクースです。石ノ森章太郎を満足させるテクニックがあるかどうか、完結編の出来がどうかはさておき。レイプではないです。完結編の完成を望んだ人の遺志は尊重したいじゃないですか、フツー。
 ただ、読者の中で『サイボーグ009』は終わったものと整理されているので、今更完結編とか言われても・・・・・って気持ちはわかります。ワタクシも正直「めんどくせぇ」と感じた面もあります。web連載版と小説版の比較とかしたくなるじゃないですか、そうすると小説版を読み返さないといけないワケで・・・めんどい。
 それと、「完結編はヨミ編以外認めない」って人の気持ちもよくわかります。リアルタイム世代でないので、そこまで気持ちは強くないのですが、やはり「ヨミ編」のラストは完結編にふさわしいものだと思います。大感動です。「君はどこに落ちたい?」ってヤツ。

 最後に、秋に公開されるアニメ映画について少々。『009 RE:CYBORG』ってタイトルの。正直アニメ事情に詳しくないので、監督がどのような作品を作ってきたのかとか、まったく知りません。『サイボーグ009』ということで、興味があるだけです。
 というのも、公開される今年は2012年でして、先述の通り小説版の舞台となる年なんですよ。そんな2012年に完結編と関係のない企画が発表されるということが気になります。
 しかも、アニメ映画の舞台は2013年らしいです。「conclusion GOD'S WAR」以降の世界なのかどうか。また、キャッチコピーが「終わらせなければ、始まらない。」とかいう挑発的な文言で。いや、「conclusion GOD'S WAR」以外の形で終わらせてほしくないんだけど・・・・・・。
 てなワケで、アニメ映画版にはあまり期待はしてません。ただ、気になってるのは事実で、早く観たいという気持ちは変わりません。正直『ヱヴァQ』よりも観たいです。(あれは「どうせ『破』は超えられねぇだろ」って気持ちが強いのですが)

 ということで、なんだかんだで2012年は『サイボーグ009』の話題が尽きないねコノヤロー!!といううれしい結果です。2009年は結局なんだったんだ、って感じですね。
 とりあえず、来週発表されるweb連載版を楽しみにしようじゃありませんか。


追記 続きです。『サイボーグ009』完結編(1話)の感想 - 北区の帰宅部