C.バーナード 経営者の役割
最近も、読書のペースは相変わらず変わっていないのですが、ノートをとるようなものにあまり出くわしていなかったわけです。
と思ったら、出会ったのがこれ。
- 作者: C.I.バーナード,山本安次郎
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 1968/08/01
- メディア: 単行本
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このダイヤモンド社の経営名著シリーズ、他には 経営行動―経営組織における意思決定プロセスの研究 もあったりと、すごい充実ぶり。全部まとめて復刊させてほしいものですよ。
で、今回は私のコメントは一切なし。ポイントの抜書きだけで許してください、、、ということで。
第一章:緒論
公式組織の定義:意識的で、計画的で、目的を持つような人々相互間の共同
第二章:人間の特性
人間の特性
a)活動ないし行動
b)心理的要因
c)一定の選択力
d)目的
→意志力を行使しうるように選択条件を限定しようとすることを「目的」の設定または「目的」への到達という
管理機能の本質:
人間は特定の協働体系に入るか否かを選択する際、
1)動機<そのときの目的、欲求、衝動>
および
2)その人にとって利用可能と認識される、個人に外的な他の機会
にもとづいておこなわれる。
組織はこれらの範疇のうちひとつを統制したり、影響を与えることによって、個人の行為を修正する結果生ずる。
これらのものを慎重に考慮して専門的に統制することこそが管理機能の本質である。
有効性と能率
- 有効的:ある特定の望ましい目的が達成された場合に、その行為は「有効的」であるという。
- 非能率的:行為の求めない結果が望んでいる目的の達成よりもいっそう重要であり、しかも不満足なときには有効な行為でも「非能率的」という。
- 能率的:求めない結果が重要でなく、些細なものであるときには、その行為は「能率的」である。
- 能率的ではあるが有効的でない:求める目的が達成されないで、求めもしない結果が行為の「原因」ならざる欲求や動機を満たす場合
協働行為の目的は、相互依存的なさまざまな種類のもので、各タイプの行動がやがて協働の制約条件となる。環境が変わり、新しい目的が展開するから、協働の体系はけっして安定的でない。協働における制約のあるものは個人の制約に似ているが、協働に特有の内的性格の制約がさらに加わる。
専門的なマネジメント・プロセス:共同体系を変化する諸条件や新たな目的に対し適応させること
第五章:協働行為の諸原則
4)協働の永続性:
協働の永続性は、協働の a)有効性と b)能率、という二つの条件に依存する。有効性は社会的、非人格的な性格の協働目的の達成に関連する。能率は個人的動機の満足に関連し、本質的に人格的なものである。有効性のテストは共通目的の達成であり、したがってそれは測定される。能率のテストは協働するに足る個人的意思を引き出すことである。
6)管理者の諸職能は、これらの過程(協働の存続に係るプロセス)の有効な適応を確保するという職能である
第六章:公式組織の定義
組織の定義:(二人以上の)意図的に調整された人間の活動や書力の体系
第七章:公式組織の理論
組織は、
1)相互に意思を伝達できている人々がおり、
2)それらの人々は好意を貢献しようとする意欲をもって、
3)共通目的の達成を目指すときに
成立する。
したがって、
組織の要素は、
1)伝達(コミュニケーション)
2)貢献意欲
3)共通目的
である。
組織がまず成立するのは、前述の三要素をそのときの外部事情に適するように結合することが出来るかどうかにかかっている。組織の存続は、その体系(組織)の均衡を維持しうるか否かに依存する。すなわち存続し、生存するためには、一つのものが変わればそれを償う変化が他のものにも起こらなければならない。
非経済的誘因が多くの場合有効性に不可欠であるばかりでなく、基本的な能率に不可欠なものである。
第九章:非公式組織およびその公式組織との関係
- 共同ないし共通目的ではなくて、むしろ個人的目的にもとづく人々の間の相互作用は、その反復的な性格のために、行為や思考の習慣に影響を及ぼし、また斉一な心的状態を促進することによって、体系的となり組織化される。
- 相互作用の経験を互いにもち合う人々の数は限られているが、社会における人間同士の無限の連鎖関係があるために、多くの点において、広範囲に、また多くの人々の間に、いわゆる、しきたり、慣習、制度となり行く斉一な心的状態を発展せしめる結果になる
- 非公式組織は公式組織を発生せしめ、また公式組織はいかなる大規模な非公式組織あるいは社会組織にも必要である
- 公式組織はまた、非公式組織を通じて直接に発展する離反的な傾向をもつ多くの態度、心的状態、制度を明白なものとし、そのため、一般的でただ近似的な仕方でこれらの諸結果が追う語に依存し、相互に修正し合う。
- 公式組織はひとたび確立されると、今度はまた非公式組織を創出する
- 非公式組織は伝達、凝集、および個人に全人性保全の手段として公式組織の運営に必要である
第十章:専門家の基礎と種類
専門家に関する一般命題:
- 協働体系の有効性は、ほとんどまったく専門家の確信の工夫、あるいはその採用に依存している。
- 専門化の第一義的側面は、目的の分析、すなわち、一般目的を中間目的ないし細部目的――それらはより遠い目標の手段となる――に分析することである。
第十一章:誘因の経済
協働への誘因要素:
g)一般的で、しばしば支配的に重要とみなしうるのは、自体の成り行きに広く参加しているという感情を満たす場合である。それはある状態のもとでは、あらゆる階層の人人に影響を与え、必然的にではないが個人的優越や威信への愛着とも関連していることがよくある。そこで認識されるのは、協働的努力全体が重要だから努力の結果もまた重要であるという感じである。したがって、他の事情が等しければ、多くの人々は自分らが小さくて、有用でなく、非友好的と考える組織よりも、大きくて、有用で、有効的とみなす組織との結合のほうを好むのである。
第十二章:権威の理論
伝達体系の性格における規定的諸要因
- 伝達の経路は明確に知らされていなければならない
- 客観的権威は組織のあらゆる構成員に対する明確な公式的伝達経路を必要とする
- 伝達のラインは、できるだけ直接的か、または短くなければならない
- 完全な伝達ラインが通常は用いられなければならない
- 伝達のセンターとしての役目を果たす人々、すなわち役員や監督者の能力は適格でなければならない
- 伝達のラインは組織が機能する間は中断されてはならない
- すべての伝達は認証されなければならない
第十三章:意思決定の環境
管理的意思決定の真髄:
- 現在適切でない問題を決定しないこと
- 機熟せずしては決定しないこと
- 実行し得ない決定をしないこと
- 他の人がなすべき決定をしないこと
新しい意思決定がおこなわれるときには、以前の条件下での以前の意思決定の結果である現在の目的はすでに客観的事実となっており、それが新しい意思決定の一要素である限り、そのときには客観的事実として取り扱われる。
第十四章:機会主義の理論
組織では、異なるときにおける、そしてまた異なる職位にいる、異なる管理者およびその他の人々による連続的意思決定が必要である。
第十七章:管理責任の性質
管理職位とは
- 複雑な道徳性を含み
- 高い責任能力を必要とし、
- 活動状態のもとにあり、そのため
- 道徳的要因として、対応した一般的、特殊的な技術的能力を必要とする。
- そのうえ、他の人々のために道徳を創造する能力が要求される。