「ユリイカ」 特集『マンガ批評の新展開』出ました。
アマゾンでは先週くらいから予約可になってたようですが、店頭には今日から並ぶようです。
- 作者: 荒川 弘
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2008/05/26
- メディア: ムック
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青土社から届いた封筒をさっき開けたばかりなので、中味はこれから読むわけですが、ほかの仕事そっちのけでむさぼるように読みたくなる充実ぶりだと思います。
先日、マンガ表現論の新しい地平を開く大快著、『漫画をめくる冒険・上巻』を同人誌で出したばかりの泉信行(イズミノウユキ)くんを大きくフィーチャーし、彼だけでなくまさに「新展開」を担う書き手がこぞって登場しています。
また、三月にパリで行われた国際会議の様子が紹介され、発表の一部が抄録されている(ぼくの発表自体は、テヅカイズの要約なので割愛しています)ことも、特筆すべきことでしょう。ぼくは今回、島田虎之介さんのインタビューと、東浩紀くんとの対談、東くんと金田淳子さんとの鼎談に出ています。そして『『テヅカ・イズ・デッド』のそれから』と題して、ここ三年ほど、とくに三月のパリでの会議を振り返った小文を書いています。自分なりにどう「表現論」を進めているかというまとめですね。
さらに、荒川弘さんのインタビューが掲載されているのも、大きなトピックです。一方の島田さんも、手塚治虫文化賞新生賞受賞後はじめてのインタビューとなり、とてもタイムリーな掲載となっています。
とりあえずは、目次を載せておきます。
※青土社ホームページより
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特集*マンガ批評の新展開
【進化する表現論】
マンガにおける視点と主体をめぐって / 夏目房之介×宮本大人×泉信行
【マンガを読む/読み替える】
「キャラたち/キャラクターたち」 『3月のライオン』 ――零たちと読者たちの視点 / 泉信行
ユートピアゆき猫目の切符 『よつばと!』 のメタ感情記号 / 斎藤環
いつかあなたとはお別れしなくてはなりません 作者である飼い主は愛する猫との別れをどう描くのか / 吉田アミ
福満しげゆき、あるいは 「僕」 と 「美少女」 の小規模なセカイ マンガは複眼で触り続ける / 杉田俊介
平坦な戦場をループさせることで生き延びること 『リバーズ・エッジ』 と 『ひぐらしのなく頃に』 を MAD する? / 濱野智史
うるさくて何が悪い 黒田硫黄と黒と白 / 麻草郁
【注目作家インタビュー!】
現実(リアル)を素材に夢(ファンタジー)を錬(ね)る 『鋼の錬金術師』 という錬成の行方
/ 荒川弘 [聞き手=藤本由香里]
世界の断片をつなぐマンガの力
/ 島田虎之介 [聞き手=伊藤剛]
【マンガ/批評の未来】
マンガの/と批評はどうあるべきか? / 東浩紀×伊藤剛
【マンガ批評も変わる】
『テヅカ・イズ・デッド』 のそれから / 伊藤剛
一般キャラクター論のために 『テヅカ・イズ・デッド』 再考 / 師茂樹
コマ割りは 「何を」 割っているのか 翻訳者のノート / 野田謙介
【「日本マンガ」 という悪い場所?】
「クールジャパン」 と 「MANGA」 / 小田切博
漫画の新しい体質 / 福嶋亮大
おたくと漫画 / 森川嘉一郎
【マンガ読者の現在】
失われた成熟を求めて マンガ・オタク・批評 / 東浩紀×伊藤剛×金田淳子
【パリからのレポート】
国際会議 「マンガ、60年後・・・・・・」 について マンガ・西洋・アカデミズム / 中田健太郎
オタク現象と日本のポストモダニティ / 東浩紀 [コメンテーター=ミシェル・マフェゾリ]
日本マンガにおける「演出」と「フレーミング」
様々な視覚的物語手法の分析(長谷川、手塚、ちば、小島、高橋、すえのぶ)
/ グザヴィエ・エベール+パスカル・ルフェーヴル [コメンテーター=アンリ・モルガン] (訳=野田謙介)
西洋的 「オタク」 についての覚書
ヨーロッパのマンガファンダム誕生における日本文化の 「芳香」 の重要性
/ マルコ・ペッリッテリ (訳=中田健太郎)
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パリの会議関係の原稿も含めて、一部の方の原稿については、掲載前に送っていただいたり、こちらの原稿を送って意見を求めたりしていたのですが、いま初見の原稿をざっと見わたした感じでも、各々の原稿が有機的に関連しあっている印象を強く持ちました。「マンガ批評・研究」が本当に「はじまった」という感触、汽車の重い車輪がぐらり、と回りだした瞬間のような力強さを感じます。
自分のパートも含めていろいろ言及すべきこともあるのですが、今日のところはお知らせまで。
いや、本当に、とてもわくわくする内容になってますよこれ。
マンガ批評に関心のある方は、ぜひ手にとってみてください。