巣立雛邂逅

 大きな蛾か蝶の影、あるいは目の端に走った錯覚か。いずれにせよ、俺は階段をのぼるしかない。階段の半ば、それは思いっきり俺に向かって飛んできた。小スズメだった。そんな予感は、実のところ少しあった。小スズメは俺をよけると、階段の上を低空飛行して、何を思ったか一階のドアに向かって二三度体当たりすると、今度はガラス戸にぶつかり、なおばたばたと低空で外に飛び出し、停めてあった自動車の下に落ち着いた。巣立ち雛。
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 もう二年前になるのか、職場の外のベランダにいた巣立ち雛を、間違って保護しかけてしまったことがあった。調べてみて、放っておくのが一番とわかった。また、そんな季節か。そういえば、スズメの鳴き声も活発だ。雨に驚いたか小スズメ、世話はしてやらんぞ。