2009ねん04がつ28にち
俺は日曜日、本牧の方へ散歩した(とても悲しかった)
競馬を見終えてもまだ外はあかるい。風が強いので自転車はない。歩いて、俺は本牧の方へ行った。買い物に、行ったんだ。
メーンストリートから一本内側を歩く。埋め立てられた川、川の上の健康広場。夕焼け。
俺は動揺しないようにしている。脳をそのようにしている。動揺はないのに、悲しい。透きとおって、冷静に悲しいのだ。
ああ、悲しいなあ、悲しい。どうしようもなく悲しい。でも、胸がつまったり、呼吸が苦しくなったり、手に力が入らなかったりしないんだ。冷静に悲しいな。ピュアに悲しい。俺は俺をこんなに冷静に見ていて、とても悲しいのだ。
俺は、うまれてからこのかた、メランコリックで、リリシズムにあふれていて、ポエティカルなんだ。生活や政治や経済もくそったれだ。
生活、生活なんて。
俺は、イトーヨーカドーの二階のチチカカで、ペルーの民芸品を買った(店員は、まれにみる美少年だった)。俺は、ブックオフへ行った。雑誌半額セールだったので、五年前のMovable typeの本を52円で買った。俺は、つるかめランドで肉を買った。肉が半額だったからだ。半額といっても、そんなに安いわけではなかった。
買い物袋を持って、俺はゲオに寄った。ゲオに寄って、ニンテンドーDSiと、ファミスタDS2009を買った(色はピンクでいいんですか? と言われた。いいんだ)。俺は、こんなになんの決心もしないで、こんな買い物をしたことはなかった。俺は、肉のパックをぶらさげて、ゲーム機とゲームを買った。じつは、もう買うつもりで、イトーヨーカドーのATMで金をおろしていたんだ。
俺は、帰り道のドラッグ・ストアで液体洗剤を買った。液体洗剤を、ニンテンドーDSiと同じビニール袋に入れた(袋はけっこうです、と言った)。
ああ、俺は、俺は、こんなにも悲しい。
俺は人生に詰まるとファミスタをやるんだ
……いつだったか、俺がニートそのものであったころ、母とめずらしくシリアスな会話をした(おかしな話だが、ともにおしゃべりなのでニートのひきこもりだろうと、会話自体は絶えなかった。変な余裕のある親子もいたものだ)。「あんた、逃げてばっかりで人生どうするの?」。俺は、プレイステーションの野球ゲームをしていた。PSワールドスタジアム。俺がゲームに対してうわのそらになればなるほど、俺の赤ヘル軍団はホームランを打ちまくった。前田が、江藤が、金本が。みるみる二桁得点になった。あのときの俺は、世界中の誰よりもワースタがうまかった。
クロスバイク購入への道〜その3〜 - ○内○外日記ブログ
俺は人生に詰まるとファミスタをやるんだ。たぶん、そういうことだと思う。俺は、いろいろのゲームに、競馬シミュレーションやその他いろいろのゲームに、人生の時間を使ってきたが、どこか帰るべき場所があるとすれば、ファミスタかもしれない。違うかもしれない。だけれど、今はそう思わせてくれ。
ファミスタを最後にプレイしたのは、PS版ワースタの最後の方。はたしてもう、何年前か(熱チュー!プロ野球シリーズもプレイしもしたが、あれは別物だろう)。しかし、今回、自分でも驚いた。俺の中に、プレイステーションのワースタの感覚が残っていたのだ。これには驚いた。
具体的にいえば、DS2009で用意されていない、LR同時押しで全走者ストップ、守備時における、普通以上スライディング未満のダッシュだ。これには驚いた。もしも次作があるならば、これらもケアしてほしい。できることなら、バッティングフォーム、ピッチングフォームも、もう少し。
……いや、俺はゲーム機であるDSのポテンシャルを知らない。ひょっとしたら無理かもしれない。まあ、それならそれでいいだろう。たとえば、選手の収録数。これがすごい。俺は、日ハムや、ヤクルトや、楽天の、一年目や二年目の選手をいかに知らないかということを思いしらされた。そのあたりは、いい。名前も漢字でフルネーム、それでいい。
ああ、俺の中の懐古趣味とハイスペック、進歩主義。まあ、そんなものはどうでもいい。俺はただ、黙々と、黙々と、一人で、ファミスタの世界に没頭して、そのまま死ねばいいのだ、なあ。
一人一殺主義
ゴールデンウィークだし、心がひさびさに陰々滅々と……いや、そういうのとは違うんだ。生理的なものではないんだ。なにかこう、頭が、考えが、しょうもないくらいに、ふんわりと、スウィートに暗い感じなんだ。ひょっとしたら、『幽閉者/テロリスト』のサントラ、大友良英の、すごいノイズで脳をかきみだしているせいかもしれないけれど、まあ、どうでもいいんだ、理由なんて。
それで俺は、朝起きて、「一人一殺がいいんじゃないのか」と思った。なにかを示唆する夢を見ていたのかもしれない。それはわからない。でも、それを、ゴールデンウィークだし、誰も見ていないし、こっそりつぶやく。
人間、一人一人というのは、非常にたいしたものだ。社会で、たいしたものでないと思われている、たとえば俺のようなものだって、このインターフェイス、機能、まだ、オリエント工業の人形よりも、いくらか精巧に、巧妙にできているんじゃないか。そして、脳味噌の中のひろがりといえば、まったくもって宇宙と同じくらいひろい。
それぞれの、一人一人の人間が、そうだ。それなのに、どうも、その価値というものが、軽んじられているというか、えらく、まあ、たいしたことのないように、あつかわれている場合がある。
昔、小学生のころか、中学生のころか、父親と、ナチによるホロコーストの映像、映画か、ドキュメンタリだったか忘れたが、それを一緒に見ていて、彼はこんなことを言った。「こうやってもくもくと列をなして、大人しく殺されているが、いっせいのせいで、この銃を持ってる兵隊にみんなでおそいかかろうとはしないもんだろうか。そうすれば、まだわずかでも生きる望みはあるのに。わしにはそれがわからん」……。
と、言いながらも、死にゆく人間、抗する力ののこっていない人間というのは、ああいうものなのだろうと、そのような、話をしたかもしれない。
そこまで圧倒的に、目にみえることでなくても、まあ、今でも、なんだかわからん境遇におちいって、おにぎりひとつ買えないで餓死したり、自分の母親と一緒に自殺したりと、そういう話にはことかかない。だいたい、人間、べつに何の能もなくても、それだけで、かなり精巧で、巧妙で、この世の神秘のような偶然でできた、けっこう珍重すべきもののはずなのに、なんかもったいないことをしている。
だから、なんというか、そういう境遇をつくり出す、たとえば末端の人間であっても、それはまた、同じ人間であるのだけれども、やはり同等の貴重品をあつかうにおいて、あつかい方がぞんざいであるというか、その珍重さを考慮しないような、そのようなものであったならば、そこにはもう、彼自身と同等の、同じ貴重品をあつかうだけのことが生じているのであって、その扱いひとつにおいては、彼自身を失う覚悟が必要とされるんじゃないのか、と。
人が、人と接するにあっては、命がかかっているという、覚悟がいる。いや、いちいち命の取り合いをしていてはしまつにおえないが、やはりその可能性はある。法や権威や常識の名の下にあっても、正義とされるものの名の下にあっても、そこにいる一人の人間一人軽んじれば、下手すれば自分が殺されるという可能性。そこにあって、人間一人一人が、それぞれに、おのおのの尊重されるべき、オリエント工業の人形以上の存在として(実は、オリエント工業の人形の方が、あらゆる人間よりすばらしい可能性もあると、俺は声を大にしていいたいのだけれど)、まあなんだかよろしくやっていけるんじゃねえの、と。
もちろん、末端同士で殺し合ってもしょうがないし、だんだん、偉い方へ、上へあがっていくんだ……。
だから、一人一殺の心意気で、みながみな生きれば、あんがいよろしいのかもしれない。が、やはりちょっと物騒だ。世の中には、短気な人もいるし。たとえば、チーズバーガーを注文したのに、チーズの入ってないカレー丼が来た、とかで、いちいちすき家の店員が殺されていては、おさまらない(まあ、殺したほうも次の瞬間殺されると思うが)。
そのあたりを、なにかこう、装置で、装置で決めればいいんだ。生まれた瞬間に、脳味噌に小型の爆弾をみんな埋めこむんだ。全員だ。そして、爆弾に搭載された人間尊厳判定装置が、一定以上の閾値を示すと、目の前のやつと一緒にボカーンってなって、自爆で殺せる。一人一殺。そこはSFだから、まわりには被害がでないんだ。まあ、いちいち爆発したら、後片づけがたいへんそうだから、相手の電脳を焼ききるとか、そのへんで。
で、そんなディストピア(やっぱりディストピアだよな……)に対抗する主人公。やっぱり脳には人間尊厳判定装置が埋めこまれている。いかにして、その判定をくぐりぬけ、相手に殺されず世界をひっくりかえすか……。主演はニコラス・ケイジかキアヌ・リーブスで。
どこからSFになったのかよくわからない。俺は……夢の話をしていたのだっけ?
「一人一殺主義」という言葉で検索したら、血盟団が出てきた。ぼんやり、名前くらいは聞いたことあるかもしれない。そうか、日本にもいろいろなテロリストたちがいたんだ。せっかく夢を見たんだから、なにか本でも読みたい。井上日召。井上昭の昭を分解して「日召」。草「弓剪」剛みたいだ。すごいモダン。読むしかない。
……と、思ったら、なんか古本、あっても高い。しょうがない。まあ、俺にはファミスタがあるんだ。いずれなにかどこか、古本屋とかで出会うこともあるだろう。
それじゃあ。
人間の業を身にはりつけて
「FINAの判断がしっかり出ないと何も言えない。日本で着た(新作)水着が、世界選手権でも着られることを願っている」
スポーツナビ
もう、みんな、裸で泳げ。草なぎ君を見ならえ。
でも、裸で泳ぐようになったらどうなると思いますか。たぶん、こんどは、体毛が問題になってくると思う。もちろん、剃るということだ。みんなで剃れば、それでイーブン。
と、言えるのかどうか。つぎはたぶん、美肌だよ美肌。ざらざらのお肌じゃ、小数点以下の勝負で負ける。だから、スポーツ用品メーカーでなく、エステとかがスポンサーについて、すごい脱毛法とか、美肌処理とかするの。
けど、しだいに、だんだん過熱していくのも目に見えている。たぶん、肌を研磨しだすやつとかでてくる。あと、骨とか削って、流線型にしようとしたりする。
そうなると、やっぱり技術競争になってしまう。「人工皮膚でつくった水かきが許可されることを願っている」とかいう。
でも、全裸なんだぜ。全裸で、なんかイルカの体表みたいにつるつるで、それで、「わたし、水泳やりたい!」って思う子、出てくるだろうか。でも、おっぱいバレーどころじゃない。もう、その競技をはじめたときには、見えてるんだ。
いったい、どうなってるんだ、スポーツ界は。俺は、とても悲しい。









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