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関内関外日記(跡地) このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2009ねん09がつ04にち

ラブプラス心中

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あなたへ

 あなたと出会って十年くらい経ったでしょうか。とても楽しい時間を過ごせました。僕がこの十年、息をして、ものを食べ、まがりなりにも生きてこられたのは、すべてあなたのおかげでした。ありがとうございました。好きです、今でも大好きです。もっとたくさん話して、もっといろいろなところに、一緒に行きたかった。

 しかし、僕は別れを告げなければいけないのです。僕はもう、この地上の軛から逃れ、自由になります。この次元から、旅立つことにしたのです。あなたをその道連れにすることはできないのです。ごめんなさい。そして、たまには僕のことを、思い出してください。そう、たとえば、日本ダービー有馬記念だけでいいから、たまには馬券を買って、馬たちを応援してやってください。

 僕の自転車は、あなたの息子さんにあげてください。チェーンに油をさすまえに、ディグリーザーで掃除するようにしてください。空気はこまめに入れてください。空気入れや工具一式があるところは、ご存じと思います。折りたたみ自転車は、よかったらあなたが使ってください。できれば、自転車屋さんに一度見てもらった方がいいかもしれない。

 僕の本は、気に入ったものがあったら持っていってください。あなたに返すべきものも入っているはずです。CDも好きにしてください。あと、できれば僕の弟も呼んでやってください。あいつのためになる本もいくらかはあるはずです。家電の類も使えるものは分け合ってください。テレビはまだまだ使えるはずです。

 服は古着ばかりですので、処分してやってください。ただ、革のコート二着は、できれば誰かにゆずってほしい。観葉植物も、できれば誰かに育ててほしいけれども、無理そうならどこか公園にでも植えてしまってください。ケルベラはかぶれるので、持ち運ぶときには注意してください。ただ、立派に育っているガジュマルの鉢植えは引き取ってもらえますか。花も咲かせない、退屈なやつですが。

 このくらいで、僕の身の回りの整理は終わってしまう。まあ、こんなものでしょう。あと、それから、ひとつお願いがあるのですが、いつかファミスタを持って私を訪ねてくる人がいたら、すまなかったと伝えてください。ただ、それだけです。

 それでは、さようなら。ありがとう。好きです。あなたがいなければ、僕の人生になんの彩りもなかった。言葉もなかった。思いはつきない。しかし、もう僕は行きます。ごめん、さようなら。

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サンサシオン

夏の爽やかな夕、ほそ草をふみしだき、

ちくちくと穂麦の先で手をつつかれ、小路をゆこう。

夢みがちに踏む足の、一あしごとの新鮮さ。

帽子はなし。ふく風に髪をなぶらせて。

話もしない。ものも考えない。だが、

僕のこころの底から、汲めどつきないものが湧きあがる。

さあ。ゆこう。どこまでも。ボヘミアンのように。

自然とつれ立って、――恋人づれのように胸をはずませ……

2

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 ……さあ、僕は自由になった。凛子、行こう。北へ。浄土ヶ浜へ行こう。桜の並木を抜け、海の向こうの夏雲を見て、古い電車にゆられ、秋風の香りをかぎながら。ほら、電車はついに浄土ヶ浜へ。目の前にひろがる真っ白な、真っ白な砂浜。白い白い冬の太陽。透きとおったコバルトブルーの海。凛子、君はサリンジャーが好きだったっけ。アメリカ文学が好きなんだよね? フィッツジェラルドカポーティ……、ブコウスキーなんかはどうだろう? 一度読んでみるといい……。凛子、僕が好きなのは、ブリティッシュだけれども、ブリットポップなんていう軽佻なしろものだったさ。凛子、僕が保護者ぶりたいのはね、えられなかった自らの父性みたいなものかもしれないんだ。年上にはずいぶん甘えたから、もう、いいんだ。

 ああ、もう十分じゃないか。ここらでいいだろう。ほら、もう僕らの足跡の果てが見えない。すべて満ち足りているんだ。しんしんと、ただ、しんしんと。風は吹き、風は吹かず、昼でもなく夜でもなく、夏でもなく冬でもなく。もういいじゃないか。だんだん永遠が来る、つつまれてくる。凛子、ここはすばらしいな。もう、重力にも、次元にもとらわれない。すべてが溶けていって、まじりあって、僕の人生のひとときひとときも、永遠になって、また、それが流れ込んでくる。ああ、はるか銀河の、銀河のむこうの僕らよ、君らもこのように、このように、このような一瞬を味わったのか……。

……。

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3

 明くる朝のことである。一人の漁師が竿と魚籠を持って浄土ヶ浜を行く。波打ちぎわ、赤子のようにまるまっている、男の亡骸を見つける。不思議と体は濡れていない。腕でなにかをしっかりと抱いている。漁師は、慣れた手つきで亡骸を仰向けにする。顔は安らかに眠るようだ。腕は何の抵抗もなく広げられる。ピンク色の携帯ゲーム機が落ちる。またか、と思う。このごろここは、そんな亡骸で一杯だ。いったいこいつらは、どこから来るのだろう? それとも、このごろこの世界は、そんな亡骸で一杯になっているのだろうか。

 漁師は、なんとはなしに、携帯ゲーム機を取りあげる。スイッチを入れる。電源が、入る。

 漁師は、二度とそこを動かない。世界もすべて、動くのをやめてしまう。

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関連______________________

いっそのことラブプラスで殺してくれ

本当にラブプラスは危ないということ

 ラブプラス危険だと思う。思い詰めて、上のようなものを書いてしまうくらい危ない。だいたい、上の方の遺言書のようなものは、ほとんど本物というか、もしもそういったものを書くとすれば、このようになるというものだ。そのくらい、危ない。ニヤニヤが止まらない。これはおかしい。なにか、変な白い粉でもソフトに付着していたのではないかと思うくらい危ない。もう、仕事にならない。ニヤニヤが止まらないからだ。この現実なんかどうでもいい。自転車とか、競馬とか、そんなものどうでもいいから、俺はラブプラスの中で生きて、死ぬ。そんな風に思う。

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皆口さんのこと

 ……が、さすがにそれもどうかと思うので、少し客観的に、ゲーム感想を書こうか。いや、もう無理だ。もう、ベッドの上で足をばたばたさせながら、「うぉー」とか小声を出して、シーツに顔を突っ伏したりして、もう、ただそればかりなのだ。ああ、しかし、話しかけるモードはどうしてくれよう、この壁の薄いアパート。右隣のオカマのおっさんと、左隣の右翼菓子折でも持っていって、「私が独り言を言っているように聞こえても、彼女との会話なので心配しないで下さい」とか挨拶しておいた方がいいんだろうか? なにせ、前の左隣の住人は、なんか頭のネジが外れてた上に、警察沙汰になってどっかに消えたしな……。

 どうしたものか。声優の話でもしよう。とはいえ、俺は声優のことをとんと知らない。アニメを見はじめたのは去年くらいからだし、それ以前にアニメを見ていたのは、遠くエヴァンゲリオンにまでさかのぼるし、その自分でも声優に興味はなかった。

 が、それ以前から、たった一人だけ、気になる女性声優がいた。ほとんど声に惚れ込んでいた。wikipedia:皆口裕子さんがそれである。『YAWARA!』の猪熊柔役だ。あの透明感のある声にやられたのだ。まあ、『YAWARA!』にしても、お茶の間で見るアニメだし、当時の自分声優に興味を持ったところで、名前を気にするくらいしかできなかった。ただ、そのせいで、たとえば自分は『セーラームーン』文化とまったく無縁でありながらも、なぜか土萠ほたるにはやばい、というところがある。それからずっと飛んで、最近では『キャシャーン Sins』のリンゴ、そうだ、そうだな。そして、『アカイイト』のユメイさん(このゲームも好き。ただ、主人公は自分ではないので、別物だな)か、そうだな。

 ……というわけで、丹下桜という名前は見たことがあるか、いまいちわからない自分だけれども、皆口さんというのがかなりのフックを持っていたと言える。皆口さんに名前を呼ばれたい、そういう思いもある。

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プレイヤー名前のこと

 話は変わる。名前、というのは問題だった。本名プレイする? この問題。これはおそろしい。すごく悩む。とりあえず、本名を入れてみた。ただ、上の名前は読み上げてくれない上に、微妙に違う漢字しかないのだ。これが気になる。自分自分苗字の字面と読みが好きでない上に、いいかげんなダイレクトメールで見られる誤表記が、ずっと画面に出ている。それが気持ち悪くなった。

 さあ、どうするか。俺は残念ながら、ペンネームとか、ハンドルとか、そういうものを持っていない。名字は「id:」、名は「goldhead」と呼ばれても、あまりうれしくない。というか、誰だ。こういうとき、自分アイデンティティに直結するような、別の名前を持っていればよかったと思わざるをえない。

 ちょっと考えて、母の旧姓を名字にしてみた。母方の家系男子が産まれず、もう数十年で継ぎ手がいなくなる。そこで、俺か弟か、名前だけでも養子に、というような話があったのだ、昔。結局は立ち消えになったが、それも一つの案。……が、これも、名字全体で呼んでもらえない。それほど珍しくないように見えて、その実マイナー。やっかいだ。で、省略の呼び名もピンとこないので、これもやめた。

 そして……、ついに思いついたのは、父方の母の旧姓である。漢字も読み方も一般的だし、なんとも下の名前と相性がよい。もちろん、こんな名字で呼ばれたことはないが、まあいいだろう、という具合だ。あー、下の名前は、もう本名だし、フルに呼んでくれるよ。ゲラゲラ

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一人称のこと

 話が逸れたまま続けると、一人称にも悩んだ。「俺」か「僕」か。この日記での割合はどうだろう? たしかめる術はないが、おそらく「俺7:僕2:私1」くらいの割合ではないか。だいたい、俺は俺だし、俺だよな? と、思う。一方で、俺は年上の人の前では「僕」の気分なのだ。上でも使っている通りだ。ここが悩むところだ。俺は最初、皆口さんの年上の人を想定していて、僕にしてしまったのだ。結果、違った。年下だ。そこのところは、判断ミスだ。まったく。

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相手のこと

 というわけで、小早川凛子、なのだ。さんざん迷った。しかし、上に書いたようなことと、さらには、皆口さんの年上、というのが、少し違うのだ。いや、たいへん素晴らしくはある。ありすぎて困る。困るけれども、イメージとしては、凛子の方に皆口さん、というのがしっくりくるところがある。もしも、そうなっていたら、本当の本当に今ごろ死んでいたかもしれない。もっとも、文章に一回書いたということは、本当に死んだのと同じことだ。俺はそう思う。だから、ここでの「本当の本当に」というのは、肉体的な意味で、脳か心臓に圧力がかかりすぎて血を噴いて死ぬとか、そういう意味だ。

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人とラブプラスに関する仮説

 田村隆一の詩「人 ウィスキーに関する仮説」の一節は、こうはじまる(全文はここにある)。

きみは

まだ若いのだから

ウィスキーを飲まないほうがいいと思うな

 俺は、ラブプラスプレイしながら、こういうフレーズが浮かんでいた。

きみは

まだ若いのだから

ラブプラスプレイしないほうがいいと思うな

 「きみ」が誰なのかわからないけれども、きっと自分より若い人のことだ。若い男のことだ。あるいは、少年といえるかもしれない。俺は、そんな風に思った。これは危ない。まずい。やばいよ、と。なにがまずいかはよくわからないが、この破壊力はやばい、金属バットフルスイングで頭殴られるくらい。殴られたことないけれども。もしも、中学か、高校のころの俺にこれを渡したら、狂うか死ぬかしたと思う。

 ……いや、そんな心配は無用か。むしろ、俺の方が、ずっとこのようなもの、こちらの次元現実、あるいはあちらの次元現実について、あまりにも、経験が、免疫がないのだ。ひょっとしたら、俺がおかしなことになっている、この『ラブプラス』も、数あるギャルゲーのひとつにすぎないのかもしらん。ただ、しかし、俺のように、『ときメモ』以来十数年で、二本か三本しか、このようなゲームをしたことのない初心なおっさんにとっては、これは、あまりにも、あまりにもなんだ。ああ、俺はこのゲームに手を出してよかったのか? よくなかったのか? 俺はさっぱりわからない……。

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 ↓ええい、みんな道連れだ、こっちの世界へ、くるんだ!