「これも時代の流れだから仕方ないのかもしれないが、メジロの名が消えていくのは寂しい」と大久保洋師は言った

メジロドーベルなど有力馬を数多く管理してきた大久保洋吉調教師は、「2、3年前から経営が悪化しているとは聞いていた。これも時代の流れだから仕方ないのかもしれないが、メジロの名が消えていくのは寂しい」と肩を落としていた。

http://www.zakzak.co.jp/race/horse/news/20110426/hrs1104261544001-n1.htm

 これも時代の流れだから仕方ないのかもしれないが、メジロの名が消えていくのは寂しい。俺はメジロマックイーンに間に合わなかった競馬歴しか持たないが、そう思う。
 メジロ。この響きの重み、威厳、一本筋の通った歴史、すばらしい昭和の競馬、連なる血統。メジロマックイーンなどと言われると、その重厚さの前に思わず頭を垂れたくなるほどだ。
 ……だが、競馬をまったく知らない人がなにかで「メジロマックイーン」の名前でケタケタ笑ったことも思い出す。どうも、小鳥のメジロや住宅地の目白と、スティーブ・マックイーンの組み合わせが素っ頓狂に感じられたらしいのである。それもそうか。
 俺とメジロ。ちょうどはまっていたころのメジロ代表馬といえばメジロブライトメジロドーベル。だが、どうも俺が思いうかべたくなるのはメジロロンザンメジロランバート。長距離重賞でなにか一発やってくれそうに思えたメジロの刺客。それぞれきちんと菊花賞に駒を進め、それなりの結果を出したのが、やはりメジロの貫禄というものなのだ。
 ほかに個性派もいた。ランバダブームが終わったあとに活躍し始めたメジロランバダもいたし、メジロスズマルといえば実に妙なやつだった。短距離馬のメジロダーリングなど、メジロらしくなさがあまり好みではなかったが、今となってはメジロの歴史を物語る存在やもしれぬ。
 いずれにせよ、メジロの歴史は幕を下ろす。今後、なにかメジロの冠が続くこともあるかも知れないが、解散となればそれまでだ。再び言うが、これも時代の流れだから仕方ないのかもしれないが、メジロの名が消えていくのは寂しい。ただ、プロ野球団のオーナーが時勢に従って移り変わるように、競馬のプレーヤーも移り変わるものだろう。俺はエイシンフラッシュがダービーを勝ったときに、はじめてエイシンの冠にある種の重みを感じたが、やがてピサやダノンやトーセンもそうなっていくのだろう。しかしまた、シンボリやトウショウには生き残ってほしい。それも時代の流れだから仕方ないのかもしれないが、それらの名が消えていくのは寂しいからだ。それ以上でも、それ以下でも、ない。

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上のコラージュのようななにかは、こちらの本を素材にした。