篠山紀信の写真展に行く

 篠山紀信といえば、おれの中で高岡早紀のおっぱいを撮って流通させたという功績をもって、おれ連邦人民文化英雄に輝いているのだけれども、正直言って写真芸術とか写真家とかについてはまったく知らないといっていい。被写体目的でなく持っている(おれだってグラビア写真集くらいもってる。本上まなみとか)ものといえば藤原新也くらいだ。

 じゃあ、なんでと問われれば、なにかでこの展覧会を知った彼女の人に誘われたから。オペラシチーって馬がいたような気がするようなところへ。というか、東京の有名な場所の位置関係がさっぱりわからん。つーか、写真展というものに行くのは初めてかもしれない。
 というのはどうでもよくて、写真展なんだけれども、いきなりバーンって三島由紀夫のあの写真、ほれ、裸で両手首を縛り付けられて、腹に矢がぶっ刺さってるやつが出てきて、「ああ、これって篠山紀信が撮ったの」とか思ったりして。

 そんでもって、故人(着物姿の老人、なんかの人間国宝かと思ったらバルテュスだった)からスター、ちょっと不思議なのにヌード、そして被災者と、まあポートレート写真というのか、被写体の眼力が強い写真を選んだ(それが今回の写真力の基準らしいけど、おれの頭の中ではまったく関係なく「写真力と維新力って似てるな。つーか、維新力って誰?」ってのがグルグルしてたけどまあどうでもよろしい)とかいうのが続くのだけれども。でもって、まあ、それはそれでわりと面白いのだけれども、まあしかしなんだろうか、最初に言ったみたいに写真芸術のことはわからんし、そもそも写真のよしあし自体も……あくまで好き嫌いのレベルでまだ判断つきかねるところあって、なんとも言えず。でも、たしかにアイドルなり歌舞伎役者なりの威力みたいのを零距離射撃してんな、みたいなのはあると思う。

 一方で、いちおうおれも古いデジタル一眼レフなんかぶら下げてるんだけど(この日のレンズはトキナーの11-16mm、つーか、CMOSに汚れあるよな? くそ、掃除しなきゃ!)、そりゃなんかすげえ人の写真撮りたいとは思うんだけど、なんかポーズ撮ってもらったりするのって違うんだよって。わりと名の知れたAV女優の個人撮影とかチャレンジしてみたけど(見返す勇気ないね)、そうじゃねえやって。もう、ぜんぜん違う。もっと自然な、なんかやってる人間のなんかの瞬間、顔とか撮りたい。でも、今、そこらへんのだれかの自然な姿を撮ったらお縄頂戴の時代だしな。まあ、わりとスポーツとか撮っていいケースはありがたいが、金がないのでカメラとレンズ性能が追いつかない。

 そういうわけで、とりあえずおれは当たり障りのない写真を当たり障りなく撮って、まあそれなりに面白いんだけど、だれか新しいαおれにください。フルサイズとか重そうなのでα65でいいです。おしまい。

追記:なんか常設コレクション展みたいのやってて、絵だったんだけど、小杉小二郎という人のがエドワード・ホッパーをちょっとシュールに、そしてなんか機械的、幻想的にしたみたいで好もしく思った。あとは野坂徹夫という人の小さな作品がかわいくてよかった。そんなところ。

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