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関内関外日記(跡地) このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2013ねん01がつ16にち

開始30秒でわかった『ビビッドレッド・オペレーション』の決意

 おれには映像作品で用いられる技術や、その原理・原則の知識などまったくない。だから「ここはこういう狙いでこっち側からこういう具合に人物が出てきて……」などと語れることはまったくない。ただ、ポケーッと見てて結果として作り手の狙いにフィットすれば「すごくすごいです!」となるし、狙いが逸れれば「いや、あんまり」となるだけだ。

 おれはおれについてそれでいいと思っているし、あえて読解力を増そうという気はない。小説美術についても同じだ。たぶん、あらゆるアートに関して前提知識があったほうがいいというか、いいことが多いのだろうとは思う。ただ、面倒くさいというかきりがないというか、どこまで突き詰めれば? というところで嫌になってしまう。嫌になるくらいなら、季節外れの花火場違い拍手をおくってる方がいくぶんマシじゃないか。おれの価値観だ。酸っぱいブドウとも言える。

 ただ、アニメについては、たった一つだけ気にして見ていることがある。それは、故・今敏監督自作PERFECT BLUE』のコメンタリーかなにかで語っていたことだ。「最初カット(シーン?)がその作品全体を表している(象徴している? 紹介している?)のだ」と。……って、うろ覚えから(?)が多くて説得力がねえな。というか、これが自作についての原則なのか、一般的にそうなのか、あるいはそうであるべきなのかとか、そういうところも忘れちまってるし。

 まあいい。ともかく、最初になにが映るかだ。それで監督なら監督意図と言うものが伝わるという。これはなんというか、チェックするに実に簡単だ。覚えやすい。だからおれは、これについてはちょっと気にするようにしている。ちょっとだけ。

 そしてようやく、おれは『ビビッドレッド・オペレーション』の話をする。おれは30を過ぎてアニメを見始め、ついには一人でライブまで出かけてペンライト振るところまで行ったわけだが、果たしてそれがすばらしい『ストライクウィッチーズ』のイベントでなければありえなかった話だ。その機会を作ったすばらしい『ストライクウィッチーズ』の監督である高村和宏の新作を見逃すはずはないじゃあないですか。おれは頬をバラ色に染めてその始まりを待ったのだ。「まず、なにが映るんだ?」と。君ら、すばらしい『ストライクウィッチーズ』の始まりがなにを映してきたか覚えているか? 最初に仕掛けてくる可能性は高い!

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 お、お尻でも女の子でもない! ましてやパンツでもない! スカイツリー(みたいなやつ)と、それをとりまく大都会! ……これは、なんとかエンジンとかいう無尽蔵のエネルギーをどうとかする(先行するラジオノニクエ釣りと一人紅白歌合戦ばかりやってるので事前情報ないです)近未来と、それに対する脅威、そこに含まれるであろう文明批判、3.11後の原子力をめぐるなんたらかんたら……? などと、思わず押入れをかき回してアイザック・アシモフの『神々自身』でも引っ張りだそうかという勢いである。そういえば、公式サイトかなんかで、脚本の人がネウ子のあつかいについて監督仕事関係なく話し合ったとかいう記事があったような(ちなみにおれ自身はというとSF好きでもあるので、ネウ子方面の話に行ってもよかったかもしれないという思いもある)。つまりは、そういうことか?

 と、思いきや、股間から昇る朝日! そこには何かを秘めたる決意を持った面差し少女

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 「わたしは、やらなくちゃいけないの」。この台詞とともに「監督 高村和宏」の文字が浮かぶ。そうなのか! と、ここでおれは膝を打つ。ここに股間督とまで呼ばれる男の静謐にして確固たる決意のほどをも同時に感じざるをえないじゃあないですか。

 おそらく、物語は謎のエネルギーと謎の敵をめぐる物語にもなるだろう。敵についても、ネウロイのようにその正体や目的なぞを捨象するわけにいかいかもしれない。しかし、だ。監督はやらなくちゃいけないのである。かわいい女の子を描くこと、こだわりの股間を描くこと……、これをやらなくちゃいけない、そういう決意の表れにほかなるまい。

 いやあ、なんとも泣かせる話じゃないですか。もうこれだけで胸いっぱい、お腹いっぱいですよ。クエだって釣ったも同然、太鼓判。この作品に間違いなしと言わざるをえない。

 そういうわけで、2クールものに続いて面白そうな新作も多そうでかなり大変な季節ではあるが、なんとか生き残って少女たちの友情を、戦いを見届けなければなるまいと、そう思ったのだ。思ったのだから仕方ない、またいつかペンライト振る日が来ようとも!

ビビッドレッド・オペレーション

>゜))彡>゜))彡>゜))彡

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神々自身 (ハヤカワ文庫SF)

神々自身 (ハヤカワ文庫SF)

……無尽蔵エネルギーネタだったはず。

……今敏映画作品の中ではこれが一番好きかもしれない。

深町秋生『アウトバーン 組織犯罪対策課 八神瑛子』を読む

 年明け、ベルトのバックルに仕込んだ隠し銃持ってて逮捕されたやつがいるってニュースを読んで、「年末にやってた『BLACK LAGOONOVA特別編集版でロベルタが使ってたやつじゃん!」とか思って、それでなんか『ヨルムンガンド』のCMも間に挟まってたことも相まって、「なんかそういうのもっと」を漠然と求める気になっていた。漠然としているので、ガンアクションなのか、裏社会ものなのかよくわからないが……。

アウトバーン 組織犯罪対策課 八神瑛子 (幻冬舎文庫)

アウトバーン 組織犯罪対策課 八神瑛子 (幻冬舎文庫)

 というところで、この本と目があって、「これか!」と思った。たぶんネットでなんか見かけた!

 というわけで、主人公は「暴力を躊躇わず、金で同僚を飼い、悪党と手を結ぶ」美貌の女刑事。強い女だ。読み始めてしばらくして、たとえばどんな女優がしっくりくるかなど想像するが、いまいち思いつかない。おれの脳内芸能人ストックは非常に少ない。だったらアニメかと思うと、新企画で話題になっている『攻殻機動隊』の草薙素子など思い浮かぶ。しかし、八神瑛子は全身高性能義体のマシーンではない。すげえ強いが、35歳の生身の女性だ。

 玲子はスーツのポケットからハンカチを取り出した。それをまず広げて、ボクサーのバンデージのように右手に巻き始める。巻きながら、ドアチャイムを鳴らす。

 高性能義手でもないので自分の拳を保護する必要がある。痛い目に遭えば怪我もする。ただ、滅法強い。おそらくはしなやかに鍛えられた美しく長い腕から繰り出される刺突のような拳を腹に突き刺されてゲロをぶちまけてのたうち回りたくもなる。いや、うそ、痛いのは嫌いです。

 まあともかく、無敵超人じゃねえって痛々しさがまた魅力でもある。

 彼女の冷ややかな顔つきを見ていると、若かりし日の公安時代対峙してきた敵を、思い出さずにはおれなかった。福井で見たイスラムテロ組織関係しているといわれるレバノン人や、北海道小樽中古輸入業をしていたロシアンマフィア京都学習塾に出入りしていた極左活動家。思想や信仰が強固な信念を作り上げ、自信の感情をマシーンのようにコントロールできる。八神はそうしたタイプの人間に見えた。

 ただ、エリート畑を歩んできた署長(この人のイメージは、これまたアニメになってしまうが『サイコパス』の宜野座さんだな)、目的のためには手段を選ばず、「感情をマシーンのようにコントロールできる」人間に見える。読者にもそのように見える。その真の目的はといえば……、つづく! なのだけれども。

 ただ、ややボカシ気味に書けばその冷徹さ、信念、強さというところは、ある意味での「母は強し」のようにも見える。そのままの意味とも言えないが、そういうところがあって、肉体の限界をも超えるところの強さが出てくる。むろん頭も切れる。そういう美貌の35歳、いいです。

 そして、警察小説。おれは親戚に警官一家のようなものがいて、正月など現役警察官と一緒にテレビの「警察24時」みたいなドキュメント番組を見てああだこうだ言うのを聞いたり、あるいはその懐事情や、ここにはとても書けないようななにかの話などを聞いたりはしている。ひとつぶっちゃけると、鎌倉実家を処分して夜逃げのような形で一家離散したときに頼ったのは、その警察官の伝手で知り合った(十文字削除)だったりする。

 で、警察官という人種をあるていどは知っているつもりだが、逆にぜんぜん知れないと思うこともある。子供時分から知ってて警察官になった子なども、しだいになにかこう、違う空気をまとうようになる。おれ自身が属したことがないのでわからないが、「組織人間」って感じだ。その組織は強大で、しかも内輪の結束というものものすごく固そうだ。それで、「辞めたい、辞めたい」というわりに、辞めたりはしない。なにか暗いところをチラッと感じるところがある。その暗さ、秘密結社性、あるいは大企業などにも敷衍できるかもしれん人間組織一般の暗部……このあたりが刑事警察組織的なハードボイルドノワールかの魅力ってもんだろう。ロイド・ホプキンスシリーズ、L.A.四部作。八神瑛子はどこまで獣臭いラーメン屋階段を昇り、暗部に浸かっていくのか。

 というわけで、まずこれは第一話。二冊目はアウトバーンならぬアイスバーン路上アマゾンからおれめがけて走ってきてるはずだ。おしまい