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関内関外日記(跡地) このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2016ねん02がつ04にち

法の根拠って? 『キヨミズ准教授の法学入門』を読む

キヨミズ准教授の法学入門 (星海社新書)

キヨミズ准教授の法学入門 (星海社新書)

 おれはなんにも知らない。知らないことが多すぎる。なんでも知らないわけじゃなく、知らないことだけ知らないのだが、いずれにせよ知らないことは知らないことである

 とくに生きていて知らないな、と思うことをいくつかあげれば、法律であり、政治であり、経済である。よくもまあこんな重大なことを知らずに生きてこられたな、と思わずにはおられない。とはいえ、できれば知りたいことではある。18世紀におけるオランダのプラントハンターのことや、量子力学について知りたいとは思わないが、このあたりの大まかなことについてだいたいの知識を得たいという心はある。

 そこで手にとったのが『キヨミズ准教授法学入門』である。なにかネット記事を読んでいて、おすすめの本として自著を本文中にするりと紛れ込ませていたのが面白かったので手にとってみた。どうも中高生向けの本、といってもいいかもしれない。しかし、おれはやはり法律を知らぬし、納得のいかないところもあるし、なによりおれは高卒なのでちょうどいいといえる。

 おまけに表紙といくらかのイラスト石黒正数である。おれは石黒正数漫画をたぶんすべて所有している。さらにおまけとして、本書の舞台高校生大学准教授と知り合いになって法学の話を聞く、という構成になっている)になっているのが近くに県立図書館と市立図書館があり、さらに坂の上に無料動物園がある……って、桜木町界隈じゃん。主人公の通う高校って、山手駅あたりにあるの? という具合である。こんなところでも、なにかこう、読む気が湧いてくるってもんじゃあありませんか。

 というわけで、読んだのだが。なるほど、法的三段論法権利には物権債権があるということ、公法原理、そしてなんだ、「司法試験とは無縁そうなレベル(失礼)な大学法学部ってなにやってんの」という疑問に対する答え……。

 「実はですね、法学部というのは単に、法律の条文を暗記したり、理解したりする学部ではなくて、魅力的な法解釈を展開する能力を身に付ける学部なんですね。実際、学部試験でも、司法試験でも、条文見れば答えが出るような問題絶対に出ませんね」

 へえ、そうだったのか。なかなかおもしろそうじゃないの。たとえば、「受精卵を勝手に持って行ったらそれは窃盗罪にあたるかどうか?」とか、想像創造があるのか、と。うん。なるほど。

 ……とはいえ、おれが求めていた答えは、本書になかったといっていい。おれのひどく幼稚で原初的な疑問だ。

 「おれはいつこの国の法律に従うとだれかと約束したのか?」

 これである。とはいえ、おれはこの国、つまりは日本の法律にそれほど不満を抱いているわけじゃあない。それどころか、おれのようなボンクラ警察のお世話にならずに生きてこられたあたり、わりとよくできてるんじゃないか、とすら思っている。つーか、かなりいいんじゃねえの、とまで思っているが、おれが日本の権力といつ契約したのか。生まれた瞬間にそういうことになっているのか。生まれた瞬間からこの国の六法に縛られているのか。そう、たまたま生まれてきたある国、べつにジャマイカでもアメリカでも北朝鮮でもいいが、その国の法律に従う義務はどこで確定するのか、ということだ。そして、確定するならするで、その根拠はどこにあるのか、ということだ。たまたま国境線のあっちとこっちでルールが違うんじゃ、普遍性というもの疑問符がついてくるんじゃないの?

 ……って、これはもう政治の話なのかしらん。少なくとも本書は、法の起源から、日本の法に至るまでの概略を記してくれている。だが、自明のものとして、だ。おれにはその自明さがいまいちからぬ。たとえば、最近も(というか、さっきテレビ見てたら安倍総理改憲志向について、まさにこの本の著者がテレビで語っていたのを目にしたのだけれど)憲法改正についてあれやこれや話がある。日本国憲法出自についてのあれやこれやだ。だが、おれのスケールもっと馬鹿であって、護憲しようが改憲しようが、それ以前それの根拠はどこにあるのか、だれが決めたのか、たまたま生まれたらそれに従うという(従わなくてもいいが罰がついてくる)のはいったいなんなのか。

 一言でいえば、たとえ、それが普通選挙から発したものであっても、いっさいの立法、いっさいの権力、いっさいの特権的で官許的な、公式かつ法的な感化をしりぞける。それが、搾取する少数支配者の利益になるだけで、彼らに従属する圧倒的な多数者の利益にはならない、と確信しているからである

 われわれが真にアナーキストである意味は、まさにこの点にあるのだ。

バクーニン「鞭のドイツ帝国社会革命

 われわれは、いかなる種類の強制をも有しない、平等人の社会承認する。しかも、こうしたいっさいの強制の欠如にもかかわらず、平等人の社会において、成員の反社会的行為社会に重大な脅威になろうとは思わない。自由人たちからなる社会は、現代のわれわれの社会よりも、よりよくこれらの反社会的行為から身を守ることができるであろう。今日の社会は、社会道徳擁護警察スパイ監獄――つまり、それは犯罪大学なのだ――看守、死刑執行人、および裁判官たちにゆだねているのだ。他方、自由人社会は、なかんずく、反社会的行為を予防することができるであろう。

クロポトキン近代科学アナーキズム

 え、犯罪者がいるから法律必要なのではなく、法律というもの犯罪者のものを作り出しているって? 思わず下着で笑っちゃう、変な人間理想像SF妄想。飛躍しすぎだろうっていって、おれにはそんなところがある。おしまい

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