『黄金の魔獣』 タニス・リー 早川文庫FT

いきなり男女のズッコンバッコンから始まるので、

腐女子は801シーンもてんこ盛りと期待してしまうだろうが、

男同士の絡みの描写はキスシーンしかありません。

黄金の金髪のイギリス人がイスラム社会(トルコ?)で

不死身の狼男になってしまい、

世界中を駆け回って人々を虐殺する話である。
変身中は人間としての意識がなく、

虐殺を終えて人間に戻っても、

自分が虐殺していた記憶はない。

前後関係から自分が犯人だと気付き、

親しい友人に打ち明けて、満月の時は自分を縛っておくように頼むのだが、

彼の変身は服を破る変身ではなくて、服を肉体に取り込み、

細胞が服の上にも増殖してしまう変身なので、

縛ったロープも自分の肉体の一部として千切ってしまい、

友人も殺してしまう。

故郷には愛する母がいる。

故郷に帰りたいが、帰れば母も殺してしまう。

だが、彼は魔力を持つダイヤモンドに導かれ、

故郷に帰ってきてしまう!

狼男になった彼の顛末は…。


リーだからそれなりに意外なストーリー展開で良い方だが、

訳がやや悪いと思う。

凶眼にイーヴルアイとルビ振るのはセンス悪いよな。

エビルアイかイビルアイの方が一般的だよな。

リーの作品はやはり浅羽莢子訳がいいよな。

室住信子訳も悪くないが、

この訳者のリー作品は読むのを後回しにした方がいいと思う。

黄金の魔獣 (ハヤカワ文庫FT)

黄金の魔獣 (ハヤカワ文庫FT)