『イノセンス』 山田正紀 徳間デュアル文庫

アニオタに媚びたライノベ文体ではなくて、

普通のハードボイルド文体で、

アニメ映画「イノセンス」の前日譚を自由にでっち上げた佳作。

犬好きには評価が高くなるかもしれない。

犬SFとして高評価するべきかもしれない。

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『戦争と天皇と三島由紀夫』 半藤一利&松本健一 他 朝日文庫

本書のベストセリフ

三島由紀夫「ぼくは、むしろ天皇個人に対して反感を持っているんです。本当は宮中で天皇を殺したい」

半藤一利 &保阪正康「昭和の戦争と天皇
松本健一 &保阪正康二・二六事件三島由紀夫
原武史&保阪正康昭和天皇宮中祭祀
冨森叡児&保阪正康「戦後日本を動かした政治家たち」

の四個の対談が収められています。

半藤一利 ×松本健一 を読みたかったが、

保阪正康という二流を介しても、

半藤一利松本健一 が同じ本の中に存在しているのは、

一流同士は惹かれあうという持論が証明されてマンセーである。

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『黒猫の三角』 森博嗣 講談社文庫

Vシリーズ一作目だが、

シリーズ開幕では不可能なネタをやってしまった大傑作。

あっと驚く真犯人の後に、

シリーズを続ける為の大ドンデン返しが待ち構えています。

SMシリーズは二作目を読む気が出なかったが、

これの二作目を読めずにやめられる人はいないと断言する。

探偵助手が女装趣味のある大学生であるというのも素晴しい!

タイトルの本当の意味は

クロネッカーデルタであるという、

本物の理系ミステリ。

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『煙で描いた肖像画』  ビル・S・バリンジャー 創元推理文庫

題名どうりの物理トリック(J・G・バラードの「コーラルDの雲の彫刻師」のような)

が出るかと思ったが違ったw。

題名は比喩表現です。

というわけで、本格推理ではなくて、サスペンス寄りの文学である。

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『ミステリ・オペラ』 山田正紀 早川文庫JA

戦場で死者が甦る!

ホラーとしか思えない不思議な事件を語るのは、

平行世界を移動する超能力者!?

SFホラーにするしかないと思われるが、

見事に本格ミステリとして結末付けます。

この長さだと無駄な描写や薀蓄があるものだが、

無駄は無く、全てが計算されつくした見事な本格ミステリ

ミステリの全てのガジェットが登場する、

ミステリ版「ハイペリオン」 。

童謡見立て殺人等の幼稚な推理小説が、

人類史に存在しなければならない理由を訴える

究極のミステリである。

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『死が招く』 ポール・アルテ 早川ポケミス

ツイスト博士シリーズ2作目。

1作目には劣るが、

サクサク読めます。

謎の一部に偶然の要素が入ったのは残念。

ミステリに出てくる動物は、

猫と犬が双璧で、

猿とか蛇とか烏とか海豚が出てくるのもあるが、

本書は珍しい鴨ミステリでもあるw

鴨フェチの人は必読w

カーのパスティーシュだが、

カーより刈り込まれているので、

カーにうんざりする人も本書は楽しく読めるであろう。

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『おとり捜査官2 視覚』 山田正紀 朝日文庫

ネタばれせずにどう面白さを伝えるか悩むな。

一気読みは間違いないが、

最後まで引っ張った犯人の動機の謎が、

○○では、絶対当てる事は不可能だな。

予測不可能な本格推理としては成功しているが、

ちょっとアンフェアというか、

その手使ったら何でも説明出来るでしょ!

とちょっと脱力した。

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