『親子で学ぶ数学図鑑:基礎からわかるビジュアルガイド』 キャロル・ヴォーダマン 創元社

人間の頭の中にしか存在しない数学世界を、ビジュアルに図鑑として図説する天才的発想の本。2P見開きカラーで立体的に数学の概念が具象化され見てるだけで楽しい。リアルに役立つ数学コラムは大人にも参考になる。

基本的に算数ネタだが、一部高校教科書ネタにまで踏み込んでます。

私が一番参考になったのは、nの0乗が1になる理由です。
数列的解釈で、
10の3乗=1000、10の2乗=100、10の1乗=10、10の0乗=1、10の-1乗=0.1、10の-2乗=0.01
そうするしかないと説明するのではなくて、
小学生でも理解出来る見事な計算で証明してます。

三角数が最初にネタになってるページでは、
1が三角数か否か解り辛い文だが、
最後のまとめで再び話題になってる時は、
ちゃんと1も図説され、はっきり解る巧いフォローの構成になっております。

確率ネタで確率100%の絶対確実な事象の例として、
「明日も地球は回る」
という例が出て来るが、
これは各人の科学の素養とスタンスを推し測れる素晴しい命題です。

慣性の法則があるから、明日いきなり地球の自転が停止する事はありません。
他の天体と衝突して地球が消滅する可能性があるから100%ではないと思うのは甘いです。

56億7千万年後の地球は消滅してる確率が高いですが、
明日の地球は必ず存在します。
24時間で地球を破壊する高質量の天体を工面することは不可能。
24時間以内の衝突コースに急加速すれば、
その天体自体がバラバラに砕けて無害になります。

昔、月を24時間で地球に落下させ、地球を破壊できるか計算したことがあるのだ。
月の弾性や粘性のデータは大雑把で計算したが、
私以外の二人も不可能と判断したので大丈夫。

お子様の知的好奇心を擽る魅力的なネタ満載の御本です。 

親子で学ぶ数学図鑑:基礎からわかるビジュアルガイド

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